(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017813
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】逆流抑止継手及びその継手を備えた逆流抑止システム
(51)【国際特許分類】
E03F 7/04 20060101AFI20250130BHJP
F16K 15/03 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
E03F7/04
F16K15/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121081
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA07
3H058BB02
3H058CD11
3H058EE02
(57)【要約】
【課題】平常時、順フロー排水を円滑に流すことができ、逆流発生時、逆流水の流れを確実に抑止することができる逆流抑止手段を提供する。
【課題を解決するための手段】入口開口と出口開口とを有する弁管と、浮力発生部を有し、弁管の出口開口付近に設けられた第1のヒンジ支持部により回動可能に支持された弁体側ヒンジ部を有する弁体と、弁管の出口開口付近に設けられた第2のヒンジ支持部により回動可能に支持されたフローター側ヒンジ部を有するフローターとを備える逆流抑止継手において、弁体側ヒンジ部の外周には1つ以上の弁体側係合歯が設けられ、フローター側ヒンジ部の外周には1つ以上のフローター側係合歯が設けられ、そしてフローターに下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を開く方向へ押圧することを特徴とする逆流抑止継手が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口開口と、出口開口とを有する弁管と、
前記弁管の出口開口付近に設けられた第1のヒンジ支持部により、回動可能に支持される弁体側ヒンジ部を有する弁体と、
浮力発生部を有し、前記弁管の出口開口付近に設けられた第2のヒンジ支持部により回動可能に支持されるフローター側ヒンジ部を有するフローターと
を備える逆流抑止継手において、
前記弁体側ヒンジ部には、1つ以上の弁体側係合歯が設けられ、
前記フローター側ヒンジ部には、1つ以上のフローター側係合歯が設けられ、そして
前記フローターに下降する力が生じるとき、前記下降する力により前記フローター側係合歯は前記弁体側係合歯を前記弁体が開く方向へ押圧することを特徴とする逆流抑止継手。
【請求項2】
前記弁体の開く方向への回動範囲は、前記弁体が前記フローターと当接することにより規制されることを特徴とする請求項1に記載の逆流抑止継手。
【請求項3】
前記フローターに上昇する力が生じるとき、前記上昇する力により前記フローター側係合歯は前記弁体側係合歯を前記弁体が閉じる方向へ押圧しないことを特徴とする請求項1に記載の逆流抑止継手。
【請求項4】
前記フローターに上昇する力が生じるとき、前記上昇する力により前記フローター側係合歯は前記弁体側係合歯を前記弁体が閉じる方向へ押圧することを特徴とする請求項1に記載の逆流抑止継手。
【請求項5】
入口開口と、出口開口とを有する弁管と、
前記弁管の出口開口付近に回動可能に支持される弁体と、
浮力発生部を有し、前記弁管の出口開口付近に回動可能に支持されるフローターと、
前記弁体の動作と前記フローターの動作とを連動させる又は非連動にさせる連結手段と
を備える逆流抑止継手において、前記弁体と前記フローターとは、前記連結手段により
前記フローターの下降動作が前記弁体を開く方向へ回動させるように連結され、そして
前記フローターの上昇動作が前記弁体を閉じる方向へ回動させないように非連結とされることを特徴とする逆流抑止継手。
【請求項6】
弁管の出口開口は、垂直または上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の逆流抑止継手。
【請求項7】
水平方向に開口した流入口と、
前記流入口と連通し、且つ水平方向に開口した流出口と、そして
前記流入口および前記流出口と連通し、且つ上向きに開口した点検口と
を備えた有底の排水ますにおいて、
前記流入口には、請求項6に記載の逆流抑止継手が取り付けられていることを特徴とする逆流抑止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流抑止継手及びその継手を備えた逆流抑止システムに関し、特に自重によりフローターに生じた下降する力が弁体を開いた状態に保持することを特徴とする逆流抑止継手及びその継手を有底の排水ますに備えた逆流抑止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に住宅などのトイレ等の排水設備から排出される排水は、急激な排水量の変化を緩和するために、或いはゴミ等の異物の除去や点検する目的で、各排水設備に接続された排水管を経由して宅地内に設置された排水ますに集められ、そして該排水ますに集められた排水は公共ますやマンホールを経由して下水道本管へ流出される。
【0003】
ところが、大量の雨水が短時間の間に下水道本管内に流入すると、下水道本管の排水能力を超えて溢れ出た排水が排水ます等を通って逆流し、逆流した排水が、排水管に接続された屋内の排水設備から噴き出るという問題がある。一方、平常時は、順フロー排水が少量であっても、排水に含まれる汚物等の異物を詰まらせることなく円滑に下流側へ流さなければならないという課題もある。
【0004】
そのため、下水道本管から逆流した排水が排水ます等を通って屋内の排水設備から溢れ出ることを防止すると共に、順フロー排水が少量であっても、排水に含まれる異物による詰まりを防止するため、例えば特開2020-153508号公報(特許文献1)に記載されているように、弁体が当接する出口開口を上から下へ向かうにつれて後退するように傾斜させることにより、通常、弁体と出口開口との間に隙間を形成して流路を確保した逆流防止装置が開発されている。
【0005】
また、特許文献1に記載の逆流防止装置では、通常、弁体は常時開いた状態となるので、逆流発生時、弁体が出口開口を確実に閉塞するかが不安定になる場合がある。そのため、特許文献1と同様に出口開口を後退するように傾斜させた逆流防止装置においても、逆流発生時の弁体の閉塞動作をより確実なものとするため、例えば特開平10-18405号公報(特許文献2)に記載されているように蓋体(弁体)に浮体を取り付けた逆流防止装置も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-153508号公報
【特許文献2】特開平10-18405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1,2に記載されているような逆流防止装置では、出口開口が後退するように傾斜しているため、通常、自重により吊り下げられた状態にある弁体は出口開口を開いた状態に保持されるので、逆流発生時、逆流水が弁体の下流側表面よりも先に弁体の上流側裏面(弁体と出口開口との隙間)に廻り込んで弁体が出口開口を閉ざすのを困難にし、排水の逆流を抑止できなくなる場合があるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、平常時、順フロー排水が少量であっても円滑に排水を流すことができ、それでいて、逆流発生時、逆流水の流れを確実に抑止することができる逆流抑止手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、逆流抑止手段の構造や排水の流れなどについて鋭意検討を重ねた結果、逆流抑止手段の出口開口については、垂直または上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜させることにより逆流発生時の弁体の閉塞性を高め、そして順フロー排水の流れに対しては、平常時、弁体の開き具合を、自重により下降するフローターの動きと連動させるようにすれば円滑な流れを保証できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、入口開口と出口開口とを有する弁管と、浮力発生部を有し、弁管の出口開口付近に設けられた第1のヒンジ支持部により回動可能に支持された弁体側ヒンジ部を有する弁体と、弁管の出口開口付近に設けられた第2のヒンジ支持部により回動可能に支持されたフローター側ヒンジ部を有するフローターとを備える逆流抑止継手において、弁体側ヒンジ部の外周には1つ以上の弁体側係合歯が設けられ、フローター側ヒンジ部の外周には1つ以上のフローター側係合歯が設けられ、そしてフローターに下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を開く方向へ押圧することを、別言すれば、フローター側係合歯が弁体側係合歯と係合することにより弁体が出口開口を開く方向へ回動させることを特徴とする逆流抑止継手が提供される。
【0011】
本発明によれば、弁管の出口開口は垂直または上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜しているので逆流発生時の弁体の閉塞性が高められ、逆流水の流れを確実に抑止することができる。また、弁体側のヒンジ部の外周とフローター側のヒンジ部の外周には1つ以上の係合歯を設け、そして自重によりフローターに下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を開く方向へ押圧するので、平常時、弁体は出口開口を開いた状態に保持され、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0012】
本発明の逆流抑止継手では、弁体の開く方向への回動範囲は、弁体がフローターと当接することにより規制されるように構成してもよく、或いは、弁管の第1のヒンジ支持部にはストッパーを設け、弁体の開く方向への回動範囲は、弁体側係合歯がストッパーと係合することによりされるように構成してもよい。
【0013】
逆流抑止継手において、弁体の開く側への回動範囲が大きくなり過ぎると、逆流発生時に弁体の上流側裏面に逆流水が衝突してしまい、弁体が出口開口を閉じる側へ作動できなくなる場合がある。そのため、本発明では、フローターまたは専用のストッパーを弁体の回動範囲を規制するストッパーとして機能させることで、逆流水が弁体の下流側表面に確実に衝突するようになり、逆流水に対して弁体が誤作動することなく確実に出口開口を閉じる側へ回動するようになる。
【0014】
本発明の逆流抑止継手は、フローターに上昇する力が生じるとき、上昇する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を閉じる方向へ押圧しないように、別言すれば、フローター側係合歯と弁体側係合歯との係合が解除されるように構成してもよい。
【0015】
すなわち、本発明の逆流抑止継手は、入口開口と出口開口とを有する弁管と、弁管の出口開口付近に回動可能に支持される弁体と、浮力発生部を有し弁管の出口開口付近に回動可能に支持されるフローターと、弁体の動作とフローターの動作とを連動させる又は非連動にさせる連結手段とを備える逆流抑止継手において、弁体とフローターとは、連結手段によりフローターの下降動作が弁体を開く方向へ回動させるように連結され、そしてフローターの上昇動作が弁体を閉じる方向へ回動させないように非連結とされるように構成することができる。
【0016】
本発明において上記の構成を採用すると、自重によりフローターに下降する力が生じるとき、弁体は、フローター側係合歯および弁体側係合歯を介してフローターから出口開口を開く方向へ回動する力を受けるが、浮力によりフローターに上昇する力が生じるときは、フローター側係合歯と弁体側係合歯との係合が解除され、弁体はフローターから力を受けることが無い実質的に自由な状態となる。そのため、弁体は、下流側表面が逆流水からの圧力を受けることにより、自然且つ円滑に出口開口を閉じる方向へ回動するようになる。
【0017】
また、本発明の逆流抑止継手は、フローターに上昇する力が生じるとき、上昇する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を閉じる方向へ押圧するように、別言すれば、フローター側係合歯が弁体側係合歯と係合することにより弁体が出口開口を閉じる方向へ回動されるように構成することができる。すなわち、弁体の開閉動作は、フローターが自重により下降するときも浮力により上昇するときも、フローターの動きに連動するように構成してもよい。
【0018】
この場合、逆流水の液面レベルが所定の設定レベルまで到達しなければ弁体は全閉とならないが、逆流水の液面レベルが設定レベル又はそれ以上のレベルになると、弁体は誤作動することなく確実に出口開口を閉塞し、その状態を維持することができる。
【0019】
また、本発明の逆流抑止継手は、逆流抑止システムとして、水平方向に開口した流入口と、流入口と連通し、且つ水平方向に開口した流出口と、そして流入口および流出口と連通し、且つ上向きに開口した点検口とを備えた有底の排水ますの前記流入口に取り付けてもよい。なお、本願明細書において「上向き」とは、略鉛直方向に向いた「上向き」であれば足り、厳密な意味での鉛直方向に向いた「鉛直方向上向き」を意味するものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明の逆流抑止継手によれば、弁管の出口開口は垂直または上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜しているので逆流発生時の弁体の閉塞性が高められ、逆流水の流れを確実に抑止することができる。また、弁体側のヒンジ部の外周とフローター側のヒンジ部の外周には1つ以上の係合歯を設け、そして自重によりフローターに下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を開く方向へ押圧するので、平常時、弁体は出口開口を開いた状態に保持され、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0021】
本発明の逆流抑止継手によれば、フローターに上昇する力が生じるとき、上昇する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を閉じる方向へ押圧しないようにフローター側係合歯と弁体側係合歯との係合を解除し、弁体は、下流側表面が逆流水からの圧力を受けることにより、自然且つ円滑に出口開口を閉じる方向へ回動するようになる。
【0022】
また、本発明の逆流抑止継手によれば、フローターに上昇する力が生じるとき、上昇する力によりフローター側係合歯は弁体側係合歯を、弁体が出口開口を閉じる方向へ押圧するように、別言すれば、フローター側係合歯が弁体側係合歯と係合することにより弁体が出口開口を閉じる方向へ回動されるように構成してもよく、その場合、逆流水の液面レベルが設定レベル又はそれ以上のレベルになると、弁体は誤作動することなく確実に出口開口を閉塞し、その状態を維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る逆流抑止継手の全体概要を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示される逆流抑止継手のA-A断面図である。
【
図3】
図1に示される逆流抑止継手のうちの弁体を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示される逆流抑止継手のうちのフローターを示す斜視図である。
【
図5】
図1に示される逆流抑止継手のうちの弁管を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示される逆流抑止継手の弁体及びフローターの動きを模式的に表した部分的断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る逆流抑止システム(一部透明)の全体概要を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示される逆流抑止システムのB-B断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る逆流抑止継手の全体概要を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示される逆流抑止継手のC-C断面図である。
【
図11】
図9に示される逆流抑止継手のうちの弁体を示す斜視図である。
【
図12】
図9に示される逆流抑止継手のうちのフローターを示す斜視図である。
【
図13】
図9に示される逆流抑止継手のうちの弁管を示す斜視図である。
【
図14】
図9に示される逆流抑止継手の弁体及びフローターの動きを模式的に表した部分的断面図である。
【
図15】本発明の他の実施形態に係る逆流抑止システム(一部透明)の全体概要を示す斜視図である。
【
図16】
図15に示される逆流抑止システムのD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る逆流抑止継手1,1a及びその継手1,1aが取り付けられた逆流抑止システム2,2aについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【実施例0025】
1.第1の実施形態
<逆流抑止継手>
図1には、本発明の第1の実施形態に係る逆流抑止継手1の全体概要を表した斜視図が示され、
図2には、
図1に示される逆流抑止継手1のA-A断面図が示されている。
図1に示される逆流抑止継手1のうち、
図3には弁体3を図示した斜視図が示され、
図4にはフローター4を図示した斜視図が示され、そして
図5には弁管5を図示した斜視図が示されている。
【0026】
図1,2に示されるように、第1の実施形態の逆流抑止継手1は、入口開口50と出口開口51とを有する筒状の弁管5(
図5)と、弁管5の出口開口51付近に回動可能に軸支された弁体3(
図3)と、浮力発生部40を有し、弁体3と同様に弁管5に回動可能に軸支されたフローター4(
図4)とを備えている。第1の実施形態では、フローター4は、フローター4に生じる重力および浮力発生部40に生じる浮力が効率よく働くように、弁体3とは別個独立して構成されており、フローター4の浮力発生部40は、弁体3よりも下流側の領域および/または弁体3よりも上方の領域で、弁体3から離間した状態にて回動できるように配置されている。
【0027】
また、第1の実施形態では、逆流抑止継手1は塩化ビニル樹脂から形成されているが、用いられる材料に特に限定はなく、プラスチック等の公知の材料を用いることができる。
【0028】
<弁体>
第1の実施形態の逆流抑止継手1は、後述する弁管5の出口開口51に形成された弁座部52を開閉するための弁体3を備えている。弁体3は、弁座部52に当接して塞ぐことができる形状であれば特に限定はなく、第1の実施形態では、弁体3の下流側表面33は、下流側から上流側へ凹んだ形状(上流側裏面34であれば、下流側から上流側へ膨らんだ形状)を有している(
図2)。
【0029】
この場合、弁体3は、排水が上流側へ膨らんだ上流側裏面34に衝突しても大きな力を受けることがないが、排水が上流側へ凹んだ下流側表面33に衝突すると抵抗となり、大きな力を受けることになる。そのため、逆流発生時、逆流水は主に弁体3の下流側表面33に衝突することになるので、弁体3は大きな力を受けて出口開口51を閉じる側へ作動し、排水の逆流を確実に抑止することができる。また、第1の実施形態では、弁体3の周縁部には弁座部52と当接する位置に溝部が設けられており、前記溝部の中には、出口開口51とのシール性を向上させるためにゴム等の弾力のある材料からなるパッキン30が嵌め込まれている。
【0030】
弁体3の上部周縁部には、放射方向に延びた弁体側ヒンジ部31が形成されており、弁体側ヒンジ部31の回転軸Oの外周には、外周面から放射方向に突出した1つの弁体側係合歯32が形成されている。弁体側係合歯32は、その形状や個数に特に制限はないが、第1の実施形態では、弁体側係合歯32は断面が滑らかな三角形状を有する凸部であり、歯車の1つの歯を形成するように凸部および/または凹部から形成されるものであってもよい。また、弁体側係合歯32は、少なくともフローター4が下降するとき、フローター側係合歯42と係合できる個数であれば、1つ又は2つ以上であってもよい。
【0031】
<フローター>
第1の実施形態の逆流抑止継手1は、弁体3の動きを補助するためにフローター4を備えている。フローター4は浮力発生部40を有しており、フローター4の自重により弁体3を開く方向へ回動させる力を生じ、水に対して、フローター4の自重に抗する浮力を発生することができる形状や構造、材質であれば特に限定はない。第1の実施形態では、浮力発生部40は、フローター4の回転軸Pにおいてフローター4の自重により生じる回転モーメントが、弁体3の回転軸Oにおいて弁体3の自重により生じる回転モーメントよりも大きくなるように設定されており、そして、フローター4の回転軸Pにおいて浮力発生部40の浮力により生じる回転モーメントが、フローター4の自重により生じる回転モーメントよりも大きくなるように設定されている。
【0032】
図2に示されるように、第1の実施形態では、強度を有し製作が容易であることから、フローター4の浮力発生部40はプラスチック製の中空の構造体として形成されており、厚肉の円盤形状を有している。浮力発生部40は、円盤状の皿部43と円盤状のキャップ部44ととから構成されており、皿部43の周縁部とキャップ部44の周縁部とを液密に接合することにより内部に空洞が保持されように形成されている。
【0033】
フローター4の皿部43の上部周縁部には、放射方向に延びたフローター側ヒンジ部41が形成されており、フローター側ヒンジ部41の回転軸Pの外周には、外周面から放射方向に突出した1つのフローター側係合歯42が形成されている。フローター側係合歯42は、その形状や個数に特に制限はないが、第1の実施形態では、フローター側係合歯42は、弁体側係合歯32と同様に断面が滑らかな三角形状を有する凸部であり、歯車の1つの歯を形成するように凸部および/または凹部から形成されるものであってもよい。また、フローター側係合歯42は、少なくともフローター4が下降するとき、弁体側係合歯32と係合できる個数であれば、1つ又は2つ以上であってもよい。
【0034】
図1,4に示されるように、第1の実施形態では、フローター側ヒンジ部41は、その側面から直方体状に突起した第1の突起部410および第2の突起部411を備えている。第1の突起部410は、フローター4が上向き回動するときに弁管5のヒンジ支持部51と当接することで、フローター4の上昇する側の回動範囲を規制するストッパーとして機能し、第2の突起部411は、フローター4が下向きに回動するときに弁管5のヒンジ支持部51と当接することで、フローター4の下降する側の回動範囲を規制するストッパーとして機能する。なお、第1の実施形態では、フローター4の上昇する側の回動範囲は、弁体3と当接させることによっても規制することができるので、前記弁体3の利用を優先させて規制しても、上記第1の突起部410の利用を優先させて規制しても、または両者を同時に機能させるように配置して規制してもよい。
【0035】
<弁管>
弁管5は、
図5に示されるように、排水ます等の流入口や配管の流出口(いずれも図示せず)などに取り付けるための略円形の入口開口50と、入口開口50と連通し、且つ弁体3と当接する弁座部52を形成する略円形の出口開口51とを有している。また、弁管5の外周には周方向に溝部が設けられており、前記溝部の中には、逆流抑止継手1を取り付ける排水ます等の流入口や配管の流出口とのシール性を向上させるために、ゴム等の弾力のある材料からなるパッキン53が嵌め込まれている。
【0036】
第1の実施形態では、弁管5は断面が円形の短い直管で構成されているが、必ずしも全部が直管である必要はなく、一部に曲管部を含んでいてもよい。また、弁管5の口径も必ずしも一様である必要がなく、例えば入口開口50と出口開口51との口径が異なる異径管継手のように構成されていてもよい。
【0037】
第1の実施形態では、弁管5の出口開口51(弁座部52)は垂直方向に形成されているが(
図2)、上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜させて形成してもよい(図示せず)。弁管5の出口開口51(弁座部52)を上記のような形状とすると、弁体3の動きがフローター4の動きと連動していないとき、弁体3は、弁体3の自重のみによって出口開口51(弁座部52)を閉塞することが可能となり、弁体3による出口開口51の閉塞性が高まる。
【0038】
また、第1の実施形態では、平常時、弁体3の動きは自重により下降しようとするフローター4の動きと連動しており、フローター4の自重により、弁体3は出口開口51(弁座部52)を開いた状態に保持されるので、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0039】
図1,2,5に示されるように、弁管5の上部には、弁体3の弁体側ヒンジ部31およびフローター4のフローター側ヒンジ部41を回動可能に支持するためのヒンジ支持部54が設けられている。ヒンジ支持部54は、その形状や個数に特に制限はなく、弁体側ヒンジ部31を支持するための第1のヒンジ支持部とフローター側ヒンジ部41を支持するための第2のヒンジ支持部とに分けて構成してもよい。
【0040】
第1の実施形態では、ヒンジ支持部54は、ヒンジ支持部54の軸穴が弁体側ヒンジ部31の軸穴と整合するように弁体側ヒンジ部31の側部に配置され、それぞれの軸穴を1本のピンOで挿通することにより弁体3を回動可能に軸支している。また、ヒンジ支持部54は、弁体側ヒンジ部31の上方において、ヒンジ支持部54の軸穴がフローター側ヒンジ部41の軸穴と整合するようにフローター側ヒンジ部41の側部に配置され、それぞれの軸穴を1本のピンPで挿通することによりフローター4を回動可能に軸支している。さらに、弁管5の上部であってヒンジ支持部54の上流側には、弁管5の入口開口50を排水ます等の流入口や配管の流出口へ取り付ける際の過剰な挿入を防止するために衝立状の挿入止55が設けられている。
【0041】
弁体側ヒンジ部31、フローター側ヒンジ部41およびヒンジ支持部54の構成としては、第1の実施形態のように1つの弁体側ヒンジ部31やフローター側ヒンジ部41を両側から挟み込むように一対のヒンジ支持部54を弁管5に設けてもよく、或いは図示しないが、弁管の1つヒンジ支持部を両側から挟み込むように一対の弁体側ヒンジ部や一対のフローター側ヒンジ部を弁体やフローターに設けてもよく、ピンにかかる力を出来るだけ均等に分散するためには、弁体側及びフローター側ヒンジ部、またはヒンジ支持部のいずれか一方を少なくとも2つ以上配置することが好ましい。
【0042】
<弁体及びフローターの動き>
図6には、第1の実施形態に係る逆流抑止継手1の弁体3及びフローター4の動きを模式的に表した部分的断面図が示されている。
図6において(a)は、基本的に逆流水が発生していないときの弁体3及びフローター4の態様を示し、(b)は、逆流水がフローター4を上昇させて弁体3が出口開口51を閉じたときの態様を示し、そして(c)は、弁体3が出口開口51を閉じた後も逆流水が増えてフローター4の上昇が上限に達したときの態様を示している。以下、弁体3及びフローター4の動きを
図6の(a),(b),(c)の順に従って説明する。
【0043】
<(a)の態様>
図6の(a)には、第1の実施形態に係る逆流抑止継手1を取り付けた排水ます等において、基本的に逆流水が発生しておらず、順フロー排水のみが流れているような平常時の態様が示されている。この場合、浮力発生部40には浮力が発生しておらず、フローター4の自重によりフローター側ヒンジ部41に生じる回転モーメントは、弁体3の自重により弁体側ヒンジ部31に生じる回転モーメントよりも大きくなる。そのため、フローター4には下降する力が生じ、前記下降する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32を、弁体3が出口開口51を開く方向へ押圧するので、弁体3は弁管5の出口開口51を開いた状態に保持される。すなわち、フローター4の下降する動きは、フローター側係合歯42を弁体側係合歯32と連結、連動した状態とし、弁体3を開く方向へ回動させる。
【0044】
また、
図6(a)に示される態様において、逆流水等が発生し、浮力発生部40に生じた浮力によりフローター4に上昇する力が発生するときは、上昇する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32から離れるように回転するので、弁体側係合歯32を弁体3が閉じる方向へ押圧することがない。すなわち、フローター4の上昇する動きは、フローター側係合歯42を弁体側係合歯32から非連結、非連動の状態とし、弁体3を閉じる方向へ回動させることがない。ただし、弁体3の動きがフローター4の動きと非連結、非連動の状態であっても、弁体3自体も自重により自然と閉じる方向へ回動するので、見掛け上、弁体3が出口開口51を閉じた状態(後述する
図6(b)の態様)となるまでは、弁体側係合歯32はフローター側係合歯42に追従するように当接した状態を維持する場合がある。
【0045】
このように、
図6(a)に示される態様では、弁体側ヒンジ部31の外周に1つ以上の弁体側係合歯32を設け、フローター側ヒンジ部41の外周に1つ以上のフローター側係合歯42を設け、そして自重によりフローター4に下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32を、弁体3が出口開口51を開く方向へ押圧するので、平常時、弁体3は出口開口51を開いた状態に保持され、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0046】
なお、逆流抑止継手1において、弁体3の開く側への回動範囲が大きくなり過ぎると、逆流発生時に弁体3の上流側裏面34に逆流水が衝突してしまい、弁体3が閉じる側へ作動しなくなるおそれがある。そのため、第1の実施形態では、フローター4が上昇すると、その動きに連動して出口開口51を開く方向へ回動する弁体3がフローター4と当接するように構成することで、弁体3の開く方向への回動範囲を規制している。また、図示しないが、弁体3の開く方向への回動範囲は、弁体側ヒンジ部31を支持するヒンジ支持部54にストッパーを設け、そして弁体側係合歯32をストッパーと係合させることにより規制してもよい。
【0047】
このように、第1の実施形態の逆流抑止継手1では、フローター4または専用のストッパーを弁体3の回動範囲を規制するストッパーとして機能させることで、逆流水が弁体3の下流側表面33に確実に衝突するようになり、逆流水に対して弁体3が誤作動することなく確実に閉じる側へ回動するようになる。
【0048】
<(b)の態様>
図6(b)には、第1の実施形態に係る逆流抑止継手1を取り付けた排水ます等において、逆流水(図示せず)が発生し、逆流水がフローター4を上昇させて弁体3が出口開口51を閉じたときの態様が示されている。この場合、逆流水により浮力発生部40には浮力が発生し、浮力発生部40の浮力によりフローター側ヒンジ部41に生じる回転モーメントは、フローター4の自重によりフローター側ヒンジ部41に生じる回転モーメントよりも大きくなる。そのため、フローター4にはトータルとして上昇する力が生じ、そのとき前記上昇する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32から離れるように回転するので、弁体側係合歯32を弁体3が閉じる方向へ押圧することがない。すなわち、フローター4の上昇する動きは、フローター側係合歯42を弁体側係合歯32から非連結、非連動の状態とし、弁体3を閉じる方向へ回動させることがない。ただし、
図6(b)に示されるように、弁体3の動きがフローター4の動きと非連結、非連動の状態であっても、見掛け上、弁体側係合歯32はフローター側係合歯42に当接した状態を保持する場合がある。
【0049】
このように、
図6(b)に示される態様では、弁体側ヒンジ部31の外周に1つ以上の弁体側係合歯32を設け、フローター側ヒンジ部41の外周に1つ以上のフローター側係合歯42を設け、そしてフローター4に上昇する力が生じるとき、上昇する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32を弁体3が閉じる方向へ押圧することがない。そのため、弁体3は揺動自在に吊り下げられた状態となり、そして自重により自然と出口開口51を閉じる方向へ回動するので、逆流水は弁体3の上流側裏面34よりも先に下流側表面33に衝突し、逆流水より、下流側表面33から圧力を受けた弁体3は自然且つ円滑に出口開口51を閉じる方向へ回動するようになる。
【0050】
<(c)の態様>
図6(c)には、第1の実施形態に係る逆流抑止継手1を取り付けた排水ます等において、弁体3が出口開口51を閉じた後(
図6(b)の態様)も逆流水が増えてフローター4の上昇が上限に達したときの態様が示されている。この場合、
図6(b)の態様と同様に、フローター4には浮力発生部40の浮力により上昇する力が生じ、そのとき前記上昇する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32から離れるように回転するので、弁体側係合歯32を弁体3が閉じる方向へ押圧することがない。すなわち、
図6(c)の態様においても、フローター4の上昇する動きは、フローター側係合歯42を弁体側係合歯32から非連結、非連動の状態とし、弁体3を閉じる方向へ回動させることがない。フローター4は、弁体3が出口開口51を閉じたままの状態で、細い仮想線で示す位置から、フローター4の回動範囲の上限に達する実線の位置まで弁体3から独立して上昇する。
【0051】
このように、
図6(c)に示される態様では、弁体側ヒンジ部31の外周に1つ以上の弁体側係合歯32を設け、フローター側ヒンジ部41の外周に1つ以上のフローター側係合歯42を設け、そしてフローター4に上昇する力が生じるとき、上昇する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32を弁体3が閉じる方向へ押圧することがない。そのため、弁体3は、
図6(c)の態様においても揺動自在に吊り下げられた状態となり、そして自重により自然と閉じる方向へ回動するので、逆流水は弁体3の上流側裏面34よりも先に下流側表面33に衝突し、逆流水から圧力を受けた弁体3は自然且つ円滑に出口開口51を閉じる方向へ回動するようになる。
【0052】
なお、弁体3の回動範囲とフローター4の回動範囲に特に制限は無いが、第1の実施形態では、順フロー排水の円滑な流れと、逆流発生時の弁体3の高度な閉塞性を保証するため、弁体3の回動範囲は出口開口51(弁座部52)から60~80°に設定されており、フローター4の回動範囲は出口開口51(弁座部52)から95~145°に設定されている。
【0053】
<逆流抑止システム>
図7には、本発明の第1の実施形態に係る逆流抑止システム2(一部透明)の全体概要を表した斜視図が示され、
図8には、
図7に示される逆流抑止システム2のB-B断面図が示されている。
【0054】
図7,8に示されるように、第1の実施形態の逆流抑止システム2は、上述した本発明の逆流抑止継手1を有底の排水ます6の流入口61に取り付けることにより構成されている。
【0055】
より詳細には、第1の実施形態の逆流抑止システム2に用いられる排水ます6は、底部60と、水平方向に開口した流入口61と、流入口61と連通し且つ水平方向に開口した流出口62と、そして流入口61および流出口62と連通し且つ上向きに開口した点検口63とを備えている。また、本実施形態において、流入口61、流出口62および点検口63はいずれも受口形状を有しており、各受口61,62及び63の内部には、上流側接続管71,下流側接続管72及び立上り管70が接続されている。
【0056】
なお、第1の実施形態の逆流抑止システム2では、排水ます6、上流側接続管71,下流側接続管72及び立上り管70は塩化ビニル樹脂から形成されているが、用いられる材料に特に限定はなく、プラスチック等の公知の材料を用いることができる。
【0057】
第1の実施形態の逆流抑止システム2では、本発明の逆流抑止継手1は、逆流抑止継手1の入口開口50を、排水ます6の内部から流入口61の中へ挿入することで取り付けられ、そして弁管5の外周にはパッキン53が設けられているので、弁管5の外周と流入口61の内周とが液密にシールされ、そして逆流抑止継手1が流入口61から容易に抜け落ちることがない。
【0058】
第1の実施形態の逆流抑止システム2では、排水ます6は、流入口61および流出口62の上部に上向きに開口した点検口63を備えているので、弁体3やフローター4が排水ます6や立上り管70の内壁などと干渉してそれらの動きが阻害されることがない。また、弁管5の上部であってヒンジ支持部54の上流側には、衝立状の挿入止55を設けているので、逆流抑止継手1は、挿入止55が排水ます6の内壁や立上り管70の内壁と当接するまで押し込めば足り、過剰な挿入により弁体3やフローター4が排水ます6の内壁などと干渉してそれらの動きが阻害されることも防止されている。
【0059】
第1の実施形態の逆流抑止システム2によれば、排水ます6の流入口61に取り付けた逆流抑止継手1により、弁管5の出口開口51は垂直または上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜しているので逆流発生時の弁体3の閉塞性が高められ、逆流水の流れを確実に抑止することができる。
【0060】
また、第1の実施形態の逆流抑止システム2によれば、弁体側のヒンジ部31の外周とフローター側のヒンジ部41の外周には1つ以上の係合歯32,42を設けたことにより、自重によりフローター4に下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32を、弁体3が出口開口51を開く方向へ押圧するので、平常時、弁体3は出口開口51を開いた状態に保持され、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0061】
2.第2の実施形態
<逆流抑止継手>
図9には、本発明の第2の実施形態に係る逆流抑止継手1aの全体概要を表した斜視図が示され、
図10には、
図9に示される逆流抑止継手1aのC-C断面図が示されている。
図9に示される逆流抑止継手1aのうち、
図11には弁体3aを図示した斜視図が示され、
図12にはフローター4aを図示した斜視図が示され、そして
図13には弁管5aを図示した斜視図が示されている。
【0062】
図9,10に示されるように、第2の実施形態の逆流抑止継手1は、入口開口50aと出口開口51aとを有する筒状の弁管5a(
図13)と、弁管5aの出口開口51a付近に回動可能に軸支された弁体3a(
図11)と、浮力発生部40aを有し、弁体3aと同様に弁管5aに回動可能に軸支されたフローター4a(
図12)とを備えている。第2の実施形態では、フローター4aは、フローター4aに生じる重力および浮力発生部40aに生じる浮力が効率よく働くように、弁体3aとは別個独立して構成されており、フローター4aの浮力発生部40aは、弁体3aよりも下流側の領域および/または弁体3aよりも上方の領域で、弁体3aから離間した状態にて回動できるように配置されている。
【0063】
また、第2の実施形態では、逆流抑止継手1aは塩化ビニル樹脂から形成されているが、用いられる材料に特に限定はなく、プラスチック等の公知の材料を用いることができる。
【0064】
<弁体>
第2の実施形態の逆流抑止継手1aは、後述する弁管5aの出口開口51aに形成された弁座部52aを開閉するための弁体3aを備えている。弁体3aは、弁座部52aに当接して塞ぐことができる形状であれば特に限定はなく、第2の実施形態では、弁体3aの下流側表面33aは、下流側から上流側へ凹んだ形状(上流側裏面34aであれば、下流側から上流側へ膨らんだ形状)を有している(
図10)。
【0065】
この場合、弁体3aは、排水が上流側へ膨らんだ上流側裏面34aに衝突しても大きな力を受けることがないが、排水が上流側へ凹んだ下流側表面33aに衝突すると抵抗となり、大きな力を受けることになる。そのため、逆流発生時、逆流水は主に弁体3aの下流側表面33aに衝突することになるので、弁体3aは大きな力を受けて出口開口51aを閉じる側へ作動し、排水の逆流を確実に抑止することができる。また、第2の実施形態では、弁体3aの周縁部には弁座部52aと当接する位置に溝部35aが設けられており、前記溝部35aの中には、出口開口51aとのシール性を向上させるためにゴム等の弾力のある材料からなるパッキン(図示せず)を嵌め込むことができる。
【0066】
弁体3aの上部周縁部には、放射方向に延びた弁体側ヒンジ部31aが形成されており、弁体側ヒンジ部31aの回転軸Oの外周には、外周面から放射方向に突出した2つ以上の複数の歯からなる歯車状の弁体側係合歯32aが形成されている。弁体側係合歯32aは、その形状や個数に特に制限はないが、第2の実施形態では、弁体側係合歯32aの1つの歯は断面が滑らかな三角形状を有する凸部であり、歯車の歯を形成するものであれば凸部および/または凹部から形成されるものであってもよい。また、弁体側係合歯32aは、フローター4aが上昇および下降するとき、フローター側係合歯42aと係合できる個数であれば、1つ又は2つ以上であってもよい。例えば、フローター側ヒンジ部41aの外周面にはフローター側係合歯42aが1つ形成され、弁体側ヒンジ部31aの外周面には、弁体側係合歯32aが前記フローター側係合歯42aを前後から挟むように2つ以上形成されている場合等が挙げられる。
【0067】
<フローター>
第2の実施形態の逆流抑止継手1aは、弁体3aの動きを補助するためにフローター4aを備えている。フローター4aは浮力発生部40aを有しており、フローター4aの自重により弁体3aを開く方向へ回動させる力を生じ、水に対して、フローター4aの自重に抗する浮力を発生することができる形状や構造、材質であれば特に限定はない。第2の実施形態では、浮力発生部40aは、フローター4aの回転軸Pにおいてフローター4aの自重により生じる回転モーメントが、弁体3aの回転軸Oにおいて弁体3aの自重により生じる回転モーメントよりも大きくなるように設定されており、そして、フローター4aの回転軸Pにおいて浮力発生部40aの浮力により生じる回転モーメントが、フローター4aの自重により生じる回転モーメントよりも大きくなるように設定されている。
【0068】
図10に示されるように、第2の実施形態では、強度を有し製作が容易であることから、フローター4aの浮力発生部40aはプラスチック製の中空の構造体として形成されており、球体形状を有している。浮力発生部40aは、丸棒状のロッド45aを介してとフローター側ヒンジ部41aと連結されており、浮力発生部40aの大きさやロッド45aの長さを調節することにより、浮力発生部40aの浮力により回転軸Pに生じる回転モーメントの大きさを調整することができる。
【0069】
フローター側ヒンジ部41aの回転軸Pの外周には、外周面から放射方向に突出した2つ以上の複数の歯からなる歯車状のフローター側係合歯42aが形成されている。フローター側係合歯42aは、その形状や個数に特に制限はないが、第2の実施形態では、フローター側係合歯42aの1つの歯は、弁体側係合歯32aと同様に断面が滑らかな三角形状を有する凸部であり、歯車の歯を形成するものであれば凸部および/または凹部から形成されるものであってもよい。また、フローター側係合歯42aは、フローター4aが上昇および下降するとき、弁体側係合歯32aと係合できる個数であれば、1つ又は2つ以上であってもよい。例えば、弁体側ヒンジ部31aの外周面には弁体側係合歯32aが1つ形成され、フローター側ヒンジ部41aの外周面には、フローター側係合歯42aが前記弁体側係合歯32aを前後から挟むように2つ以上形成されている場合等が挙げられる。
【0070】
図9,12によく示されているように、第2の実施形態では、フローター側係合歯42aは第1列目のフローター側係合歯420aと第2列目のフローター側係合歯421aとへ分割されており、そして第1列目のフローター側係合歯420aと第2列目のフローター側係合歯421aとは互いにテレコに配列されている。フローター側係合歯42aを第1列目のフローター側係合歯420aと第2列目のフローター側係合歯421aとへ分けてテレコに並べることにより、第1列目および第2列目のフローター側係合歯420a,421aのピッチを、それぞれに弁体側係合歯32のピッチの2倍とすることができ、汚物等が第1列目および第2列目のフローター側係合歯420a,421aの間に付着ないし挟まり難い構造としている。
【0071】
<弁管>
弁管5aは、
図13に示されるように、排水ます等の流入口や配管の流出口(いずれも図示せず)などに取り付けるための略円形の入口開口50aと、入口開口50aと連通し、且つ弁体3aと当接する弁座部52aを形成する略円形の出口開口51aとを有している。また、弁管5aの外周には周方向に溝部が設けられており、前記溝部の中には、逆流抑止継手1aを取り付ける排水ます等の流入口や配管の流出口とのシール性を向上させるために、ゴム等の弾力のある材料からなるパッキン53aが嵌め込まれている。
【0072】
第2の実施形態では、弁管5aは断面が円形の短い直管で構成されているが、必ずしも全部が直管である必要はなく、一部に曲管部を含んでいてもよい。また、弁管5aの口径も必ずしも一様である必要がなく、例えば入口開口50aと出口開口51aとの口径が異なる異径管継手のように構成されていてもよい。
【0073】
第2の実施形態では、弁管5aの出口開口51a(弁座部52a)は垂直方向に形成されているが(
図10)、上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜させて形成してもよい(図示せず)。弁管5aの出口開口51a(弁座部52a)を上記のような形状とすると、出口開口51a(弁座部52a)を上から下へ向かうにつれて上流側へ後退させたものに比べて、弁体3aが出口開口51a(弁座部52a)を閉じるために必要な回転角度が小さくなるので、弁体3aによる出口開口51aの閉塞性が高まる。
【0074】
また、第2の実施形態では、平常時、弁体3aの動きは自重により下降しようとするフローター4aの動きと連動しており、フローター4aの自重により、弁体3aは出口開口51a(弁座部52a)を開いた状態に保持されるので、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0075】
図9,10,13に示されるように、弁管5aの上部には、弁体3aの弁体側ヒンジ部31aおよびフローター4aのフローター側ヒンジ部41aを回動可能に支持するためのヒンジ支持部54aが設けられている。ヒンジ支持部54aは、その形状や個数に特に制限はなく、弁体側ヒンジ部31aを支持するための第1のヒンジ支持部とフローター側ヒンジ部41を支持するための第2のヒンジ支持部とに分けて構成してもよい。
【0076】
第2の実施形態では、ヒンジ支持部54aは、ヒンジ支持部54aの軸穴が弁体側ヒンジ部31aの軸穴と整合するように弁体側ヒンジ部31aの側部に配置され、それぞれの軸穴を1本のピンOで挿通することにより弁体3aを回動可能に軸支している。また、ヒンジ支持部54aは、弁体側ヒンジ部31aの上方において、ヒンジ支持部54aの軸穴がフローター側ヒンジ部41aの軸穴と整合するようにフローター側ヒンジ部41aの側部に配置され、それぞれの軸穴を1本のピンPで挿通することによりフローター4aを回動可能に軸支している。
【0077】
弁体側ヒンジ部31a、フローター側ヒンジ部41aおよびヒンジ支持部54aの構成としては、第2の実施形態のように1つの弁体側ヒンジ部31aやフローター側ヒンジ部41aを両側から挟み込むように一対のヒンジ支持部54aを弁管5aに設けてもよく、或いは図示しないが、弁管の1つヒンジ支持部を両側から挟み込むように一対の弁体側ヒンジ部や一対のフローター側ヒンジ部を弁体やフローターに設けてもよく、ピンにかかる力を出来るだけ均等に分散するためには、弁体側及びフローター側ヒンジ部、またはヒンジ支持部のいずれか一方を少なくとも2つ以上配置することが好ましい。
【0078】
<弁体及びフローターの動き>
図14には、第2の実施形態に係る逆流抑止継手1aの弁体3a及びフローター4aの動きを模式的に表した部分的断面図が示されている。
図14において(a)は、基本的に逆流水が発生していないときの弁体3a及びフローター4aの態様を示し、(b)は、逆流水がフローター4aを上昇させて弁体3が出口開口51を閉じたときの態様を示している。以下、弁体3a及びフローター4aの動きを
図14の(a),(b)の順に従って説明する。
【0079】
<(a)の態様>
図14の(a)には、第2の実施形態に係る逆流抑止継手1aを取り付けた排水ます等において、基本的に逆流水が発生しておらず、順フロー排水のみが流れているような平常時の態様が示されている。この場合、浮力発生部40aには浮力が発生しておらず、フローター4aの自重によりフローター側ヒンジ部41aに生じる回転モーメントは、弁体3aの自重により弁体側ヒンジ部31aに生じる回転モーメントよりも大きくなる。そのため、フローター4aには下降する力が生じ、前記下降する力によりフローター側係合歯42aは弁体側係合歯32aを、弁体3aが出口開口51aを開く方向へ押圧するので、弁体3aは弁管5aの出口開口51aを開いた状態に保持される。すなわち、フローター4aの下降する動きは、フローター側係合歯42aを弁体側係合歯32aと連結、連動した状態とし、弁体3aを開く方向へ回動させる。
【0080】
また、
図14(a)に示される態様において、逆流水等が発生し、浮力発生部40aに生じた浮力によりフローター4aに上昇する力が発生するときは、上昇する力によりフローター側係合歯42aは弁体側係合歯32aを、弁体3aが出口開口51aを閉じる方向へ押圧するので、別言すれば、フローター側係合歯42aが弁体側係合歯32aと係合するので、弁体3aは誤作動することなく確実に出口開口51aを閉塞する。すなわち、フローター4aの上昇する動きは、フローター側係合歯42aを弁体側係合歯32aと連結、連動した状態とし、弁体3aを閉じる方向へ回動させる。
【0081】
このように、
図14(a)に示される態様では、弁体側ヒンジ部31aの外周に1つ以上の弁体側係合歯32aを設け、フローター側ヒンジ部41aの外周に1つ以上のフローター側係合歯42aを設け、そして自重によりフローター4aに下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯42aは弁体側係合歯32aを、弁体3aが出口開口51aを開く方向へ押圧するので、平常時、弁体3aは出口開口51aを開いた状態に保持され、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0082】
なお、逆流抑止継手1aにおいて、弁体3aの開く側への回動範囲が大きくなり過ぎると、逆流発生時に弁体3aの上流側裏面34aに逆流水が衝突してしまい、弁体3aが閉じる側へ作動しなくなるおそれがある。そのため、第2の実施形態では、フローター4aが上昇すると、その動きに連動して出口開口51aを開く方向へ回動する弁体3aがフローター4aと当接するように構成することで、弁体3aの開く方向への回動範囲を規制している。また、図示しないが、弁体3aの開く方向への回動範囲は、弁体側ヒンジ部31aを支持するヒンジ支持部54aにストッパーを設け、そして弁体側係合歯32aをストッパーと係合させることにより規制してもよい。
【0083】
このように、第2の実施形態の逆流抑止継手1aでは、フローター4aまたは専用のストッパーを弁体3aの回動範囲を規制するストッパーとして機能させることで、逆流水が弁体3aの下流側表面33aに確実に衝突するようになり、逆流水に対して弁体3aが誤作動することなく確実に閉じる側へ回動するようになる。
【0084】
<(b)の態様>
図14(b)には、第2の実施形態に係る逆流抑止継手1aを取り付けた排水ます等において、逆流水(図示せず)が発生し、逆流水がフローター4aを上昇させて弁体3aが出口開口51aを閉じたときの態様が示されている。この場合、逆流水により浮力発生部40aには浮力が発生し、浮力発生部40aの浮力によりフローター側ヒンジ部41aに生じる回転モーメントは、フローター4aの自重によりフローター側ヒンジ部41aに生じる回転モーメントよりも、弁体3aの自重により弁体側ヒンジ部31aに生じる回転モーメントよりも大きくなる。そのため、フローター4aにはトータルとして上昇する力が生じ、そのとき前記上昇する力によりフローター側係合歯42は弁体側係合歯32aを、弁体3aが出口開口51aを閉じる方向へ押圧するので、別言すれば、フローター側係合歯42aが弁体側係合歯32aと係合するので、弁体3aは誤作動することなく確実に出口開口51aを閉塞する。すなわち、フローター4aの上昇する動きは、フローター側係合歯42aを弁体側係合歯32aと連結、連動した状態とし、弁体3aを閉じる方向へ回動させる。
【0085】
このように、
図14(b)に示される態様では、弁体側ヒンジ部31aの外周に1つ以上の弁体側係合歯32aを設け、フローター側ヒンジ部41aの外周に1つ以上のフローター側係合歯42aを設け、そしてフローター4aに上昇する力が生じるとき、上昇する力によりフローター側係合歯42aは弁体側係合歯32aを弁体3aが閉じる方向へ押圧するので、弁体3aは誤作動することなく確実に出口開口51aを閉塞し、その状態を維持するようになる。
【0086】
その結果、
図14(b)に示される態様では、弁体3aの開閉動作は、フローター4aが自重により下降するときも、浮力発生部40aに生じた浮力により上昇するときも、フローター4aの動きに連動する。
【0087】
<逆流抑止システム>
図15には、本発明の第2の実施形態に係る逆流抑止システム2a(一部透明)の全体概要を表した斜視図が示され、
図16には、
図15に示される逆流抑止システム2aのD-D断面図が示されている。
【0088】
図15,16に示されるように、第2の実施形態の逆流抑止システム2aは、上述した本発明の逆流抑止継手1aを有底の排水ます6aの流入口61aに取り付けることにより構成されている。
【0089】
より詳細には、第2の実施形態の逆流抑止システム2aに用いられる排水ます6aは、底部60aと、水平方向に開口した流入口61aと、流入口61aと連通し且つ水平方向に開口した流出口62aと、そして流入口61aおよび流出口62aと連通し且つ上向きに開口した点検口63aとを備えている。また、本実施形態において、流入口61a、流出口62aおよび点検口63aはいずれも受口形状を有しており、各受口61a,62a及び63aの内部には、上流側接続管71a,下流側接続管72a及び立上り管70aが接続されている。
【0090】
なお、第2の実施形態の逆流抑止システム2aでは、排水ます6a、上流側接続管71a,下流側接続管72a及び立上り管70aは塩化ビニル樹脂から形成されているが、用いられる材料に特に限定はなく、プラスチック等の公知の材料を用いることができる。
【0091】
第2の実施形態の逆流抑止システム2aでは、本発明の逆流抑止継手1aは、逆流抑止継手1aの入口開口50aを、排水ます6aの内部から流入口61aの中へ挿入することで取り付けられ、そして弁管5aの外周にはパッキン53aが設けられているので、弁管5aの外周と流入口61aの内周とが液密にシールされ、そして逆流抑止継手1aが流入口61aから容易に抜け落ちることがない。
【0092】
第2の実施形態の逆流抑止システム2aでは、排水ます6aは、流入口61aおよび流出口62aの上部に上向きに開口した点検口63aを備えているので、弁体3aやフローター4aが排水ます6aや立上り管70aの内壁などと干渉してそれらの動きが阻害されることがない。
【0093】
第2の実施形態の逆流抑止システム2aによれば、排水ます6aの流入口61aに取り付けた逆流抑止継手1aにより、弁管5aの出口開口51aは垂直または上から下へ向かうにつれて上流側から下流側へ前進するように傾斜しているので逆流発生時の弁体3aの閉塞性が高められ、逆流水の流れを確実に抑止することができる。
【0094】
また、第2の実施形態の逆流抑止システム2aによれば、弁体側のヒンジ部31aの外周とフローター側のヒンジ部41aの外周には1つ以上の係合歯32a,42aを設けたことにより、自重によりフローター4に下降する力が生じるとき、前記下降する力によりフローター側係合歯42aは弁体側係合歯32aを、弁体3aが出口開口51aを開く方向へ押圧するので、平常時、弁体3aは出口開口51aを開いた状態に保持され、順フロー排水が少量であっても円滑な順フロー排水の流れを保証し、排水に含まれる異物により詰りを生じることもない。
【0095】
一方、浮力発生部40aに生じた浮力によりフローター4aに上昇する力が生じるとき、前記上昇する力によりフローター側係合歯42aは弁体側係合歯32aを、弁体3aが出口開口51aを閉じる方向へ押圧するので、逆流水の発生時、弁体3aは誤作動することなく確実に出口開口51aを閉塞し、排水の逆流を抑止することができる。