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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017818
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ビラスチン含有錠剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20250130BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20250130BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20250130BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K31/454
A61P37/08
A61K9/20
A61K47/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121093
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】尾曲 克彦
(72)【発明者】
【氏名】東山 陽一
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076BB01
4C076CC03
4C076EE31A
4C076FF36
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC39
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA10
4C086ZB13
(57)【要約】
【課題】本発明の一実施形態は、製剤均一性が向上したビラスチン含有錠剤を提供する。または、本発明の一実施形態は、製剤均一性が向上したビラスチン含有錠剤の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によると、ビラスチンと、42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、を含む、ビラスチン含有錠剤が提供される。または、本発明の一実施形態によると、ビラスチンと、42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、1つ以上の医薬的に許容される添加剤とを混合して、混合末を調製し、混合末を圧縮成形することを含む、ビラスチン含有錠剤の製造方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビラスチンと、
42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、を含む、ビラスチン含有錠剤。
【請求項2】
前記結晶セルロースが42°以上49°以下の安息角を有する、請求項1に記載のビラスチン含有錠剤。
【請求項3】
前記ビラスチン含有錠剤100質量%に対して、16質量%以上82質量%以下の前記結晶セルロースを含む、請求項1又は2に記載のビラスチン含有錠剤。
【請求項4】
42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に含む、請求項3に記載のビラスチン含有錠剤。
【請求項5】
1つ以上の医薬的に許容される添加剤を更に含む、請求項1に記載のビラスチン含有錠剤。
【請求項6】
ビラスチンと、42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、1つ以上の医薬的に許容される添加剤とを混合して、混合末を調製し、
前記混合末を圧縮成形することを含む、ビラスチン含有錠剤の製造方法。
【請求項7】
前記結晶セルロースが42°以上49°以下の安息角を有する、請求項6に記載のビラスチン含有錠剤の製造方法。
【請求項8】
前記ビラスチン含有錠剤100質量%に対して、16質量%以上82質量%以下の前記結晶セルロースを混合して、前記混合末を調製する、請求項6又は7に記載のビラスチン含有錠剤の製造方法。
【請求項9】
42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に添加して、前記混合末を調製する、請求項8に記載のビラスチン含有錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、ビラスチン含有錠剤に関する。または、本発明の一実施形態は、ビラスチン含有錠剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビラスチン(2-[4-(2-(4-(1-(2-エトキシエチル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ピペリジン-1-イル)エチル)フェニル]-2-メチルプロパン酸)は、優れた抗ヒスタミン活性を有する化合物であることが知られており、アレルギー性疾患治療剤として用いられている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
アレルギー性疾患は、罹患者数が多い疾患の1つであり、また、季節性の疾患であることも多い。季節性のアレルギー性疾患では、季節開始の約1~2ヶ月前からの予防投与に始まって季節中の治療目的での投与と、毎年数ヶ月にわたり治療薬の処方が必要となる。従って、医療費の抑制の観点から、アレルギー性疾患治療剤の価格の抑制のために安価な医薬品の需要が高まっている。
【0004】
安価な医薬品の供給を可能とするためには、医薬品の製造コストはできる限り低いほうが好ましい。そのため医薬品製剤の製造コストを削減するために、様々な方法が試みられているが、例えば、直接打錠法は、簡便な製造方法であり、作業性が良い製造方法として知られている。例えば、特許文献2には、直接打錠法を用いたビラスチン含有錠剤の製造方法が記載されている。しかし、直接打錠法は、造粒法と比較して製剤均一性を維持することが難しい製法でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-097443号公報
【特許文献2】特開2023-014416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、製剤均一性が向上したビラスチン含有錠剤を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一実施形態は、製剤均一性が向上したビラスチン含有錠剤の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると、ビラスチンと、42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、を含む、ビラスチン含有錠剤が提供される。
【0008】
結晶セルロースが42°以上49°以下の安息角を有してもよい。
【0009】
ビラスチン含有錠剤100質量%に対して、16質量%以上82質量%以下の結晶セルロースを含んでもよい。
【0010】
42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に含んでもよい。
【0011】
1つ以上の医薬的に許容される添加剤を更に含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によると、ビラスチンと、42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、1つ以上の医薬的に許容される添加剤とを混合して、混合末を調製し、混合末を圧縮成形することを含む、ビラスチン含有錠剤の製造方法が提供される。
【0013】
結晶セルロースが42°以上49°以下の安息角を有してもよい。
【0014】
ビラスチン含有錠剤100質量%に対して、16質量%以上82質量%以下の結晶セルロースを混合して、混合末を調製してもよい。
【0015】
42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に添加して、混合末を調製してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によると、製剤均一性が向上したビラスチン含有錠剤が提供される。または、本発明の一実施形態によると、製剤均一性が向上したビラスチン含有錠剤の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るビラスチン含有錠剤及びその製造方法について説明する。なお、本発明のビラスチン含有錠剤及びその製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例において、同一構成又は同様な機能を有する構成については、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
一般に、製剤均一性には、添加剤、例えば、賦形剤の粒子径、嵩密度、表面電荷、表面構造(凹凸など)、安息角などの様々な要因が影響する可能性があり、どの因子が製剤均一性に重要であるかは、原薬と添加剤の種類によって異なる。本発明者らが検討した結果、ビラスチン含有錠剤においては、賦形剤として汎用的に添加される結晶セルロースの安息角が、製剤均一性に影響することが明らかとなった。
【0019】
本発明の一実施形態に係るビラスチン含有錠剤は、ビラスチンと、42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、を含む。本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤が含む結晶セルロースは、42°以上49°以下の安息角を有することが好ましい。ビラスチン含有錠剤が、42°未満の安息角を有する結晶セルロースを単独で含む場合は、製剤均一性が低下する。なお、安息角が50°を超える結晶セルロースは、流動性が乏しく、本実施形態に係るビラスチン含有錠剤の製造には適さない。
【0020】
本明細書において、結晶セルロースの安息角は、第十八改正日本薬局方の参考情報に記載された安息角測定法に準じて測定される。安息角は、粉体の流動性を示す指標の1つとして用いられている。流動性が良い粉体では、投下した際に緩やかな角度で堆積するので安息角は小さくなり、逆に流動性が悪い粉体では、投下した際に急角度で堆積するので安息角が大きくなることが知られている。第十八改正日本薬局方の参考情報に記載された安息角測定法の表1には、流動特性と対応する安息角として、25°~30°の安息角を有する粉体の流動性は極めて良好であること、31°~35°の安息角を有する粉体の流動性は良好であること、36°~40°の安息角を有する粉体の流動性はやや良好であること、41°~45°の安息角を有する粉体の流動性は普通であること、46°~55°の安息角を有する粉体の流動性はやや不良であること、55°~65°の安息角を有する粉体の流動性は不良であること、そして66°以上の安息角を有する粉体の流動性は極めて不良であることが記載されている。
【0021】
上述したように、ビラスチン含有錠剤が、一般に流動性が比較的良好とされる42°未満の安息角を有する結晶セルロースを単独で含む場合には、製剤均一性が低下する。一方、本発明の一実施形態に係るビラスチン含有錠剤が含む42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースは、安息角測定法の表1においては、流動性が普通又はやや不良である粉体に分類される。つまり、本発明の一実施形態に係るビラスチン含有錠剤が含む結晶セルロースの安息角の範囲は、ビラスチン含有錠剤の製剤均一性を得るために特異的な範囲であり、技術常識から容易に推定できるものではない。
【0022】
本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤は、ビラスチン含有錠剤100質量%に対して、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースを16質量%以上82質量%以下の含量で含むことができる。
【0023】
また、本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤は、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースを16質量%以上82質量%以下の含量で含む場合は、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースに加えて、42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に含んでもよい。42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に含む場合、結晶セルロース全体の安息角は、42°以上49°以下の範囲よりも低くなり、ビラスチン含有錠剤の製剤均一性も低下することが予想される。しかし、驚くべきことに、後述する実施例に示すように、本実施形態に係るビラスチン含有錠剤は、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースを16質量%以上82質量%以下の含量で含む場合は、42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に加えても、ビラスチン含有錠剤の良好な製剤均一性を得ることができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤は、ビラスチンとして、ビラスチン又はその塩を含むことができる。ビラスチンは、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸等の有機酸との付加塩、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩、エチルアミン塩、アルギニン塩等の有機塩基との塩等の形態であってもよい。また、ビラスチン又はその塩は、無溶媒和物であってもよく、水和物等の溶媒和物であってもよい。
【0025】
また、本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤は、例えば、1錠あたり、ビラスチン(塩や溶媒和物の場合はビラスチンとして)を20mg含むことができるが、ビラスチンの含量はこれに限定されず、治療効果が得られる範囲で任意に変更可能である。
【0026】
本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤は、普通錠(素錠)であってもよく、口腔内崩壊錠(素錠)であってもよい。また、本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤は、素錠の表面にフィルムを配置したフィルムコーティング錠、又はフィルムコーティング口腔内崩壊錠であってもよい。
【0027】
また、本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤は、1つ以上の医薬的に許容される添加剤を更に含んでもよい。ビラスチン含有錠剤は、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、着色剤、着香剤、矯味剤、滑沢剤、流動化剤及びコーティング剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0028】
一実施形態において、賦形剤としては、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、シクロデキストリン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、ショ糖、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、白糖、部分アルファー化デンプン及び乳糖からなる群から選択される1つ以上を例示することができる。本実施形態に係るビラスチン含有錠剤は、これらの賦形剤を、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースと組み合わせて含むことができる。これらの賦形剤を組み合わせる場合も、本実施形態に係るビラスチン含有錠剤は、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースを16質量%以上82質量%以下の含量で含む。
【0029】
一実施形態において、崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、及びデンプングリコール酸ナトリウム等のデンプン類からなる群から選択される1つ以上を例示することができる。
【0030】
一実施形態において、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(完全けん化物)、マクロゴール、糖アルコール(例えば、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール及びキシリトール)、トレハロース、シクロデキストリン、トウモロコシデンプン、ショ糖、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群から選択される1つ以上を例示することができる。
【0031】
一実施形態において、着色剤としては、食用黄色5号色素、食用青色2号色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄及び黄色三二酸化鉄及び酸化チタンからなる群から選択される1つ以上を例示することができる。
【0032】
一実施形態において、着香剤としては、オレンジ、レモン及びライムからなる群から選択される1つ以上を例示することができる。
【0033】
一実施形態において、矯味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、タウマチン、スクラロース、アセスルファムK、l-メントール、カンフル及びハッカからなる群から選択される1つ以上を例示することができる。
【0034】
一実施形態において、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、水素添加植物油、マイクロクリスタリンワックス、ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上を例示することができる。
【0035】
一実施形態において、流動化剤としては、二酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、タルク及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される1つ以上を例示することができる。
【0036】
一実施形態において、コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリエチレングリコールを例示することができる。
【0037】
[ビラスチン含有錠剤の製造方法]
本発明の一実施形態に係るビラスチン含有錠剤は、直接打錠法により製造される。直接打錠法とは、原薬であるビラスチンと、医薬的に許容される添加剤とを混合して得られた混合末を圧縮成形する錠剤の製造方法である。本発明の一実施形態において、ビラスチン含有錠剤の製造方法は、ビラスチンと、42°以上の安息角を有する結晶セルロースと、1つ以上の医薬的に許容される添加剤とを混合して、混合末を調製すること(工程S1)、及び混合末を圧縮成形すること(工程S2)を含む。
【0038】
工程S1において、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースを、ビラスチン及び1つ以上の医薬的に許容される添加剤と混合して、混合末を調製する。このとき、ビラスチン含有錠剤100質量%に対して、16質量%以上82質量%以下の結晶セルロースを混合して、混合末を調製する。
【0039】
また、一実施形態において、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースを16質量%以上82質量%以下の含量で含む場合は、42°以上49°以下の安息角を有する結晶セルロースに加えて、42°未満の安息角を有する結晶セルロースを更に混合して、混合末を調製してもよい。
【0040】
[ビラスチン含有錠剤の製剤均一性の評価]
本明細書において、ビラスチン含有錠剤の製剤均一性の評価は、第十八改正日本薬局方の製剤均一性試験法の含量均一性試験に準じて行う。ビラスチン含有錠剤に含まれるビラスチンは、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法により定量する。本明細書において、判定値が10%より小さいビラスチン含有錠剤を製剤均一性が高いビラスチン含有錠剤として評価し、判定値が10%以上となるビラスチン含有錠剤を製剤均一性が低いビラスチン含有錠剤として評価する。
【実施例0041】
本願出願時に市販されている結晶セルロースの主要なグレードと、その平均粒子径、嵩密度及び安息角を表1に示す。
【表1】
【0042】
[実施例1]
ビラスチン 20.0g、結晶セルロース(セオラス(登録商標)PH-101、旭化成株式会社) 102.1g、デンプングリコール酸ナトリウム(Primojel(登録商標)、DFEファーマ株式会社) 1.0g、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101(登録商標)、フロイント産業株式会社) 0.6g、及びステアリン酸マグネシウム(植物、太平化学産業株式会社) 1.3gをビニール袋で混合し、打錠機(菊水製作所社、VELA5)を用い、重量125.0mgとなるように打錠し、1錠あたり125.0mgの実施例1のビラスチン含有錠剤を得た。
【0043】
[実施例2]
結晶セルロースをセオラス(登録商標)PH-101からセオラス(登録商標)PH-102(旭化成株式会社)に変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、実施例2のビラスチン含有錠剤を得た。
【0044】
[実施例3]
結晶セルロースをセオラス(登録商標)PH-101からセオラス(登録商標)KG-802(旭化成株式会社) 20.0g、及びセオラス(登録商標)UF-702(旭化成株式会社) 82.1gに変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、実施例3のビラスチン含有錠剤を得た。
【0045】
[実施例4]
セオラス(登録商標)KG-802(旭化成株式会社)を 50.0g、及びセオラス(登録商標)UF-702(旭化成株式会社)を 52.1gに変更したこと以外は実施例3と同様の製造方法により、実施例4のビラスチン含有錠剤を得た。
【0046】
[実施例5]
結晶セルロースをセオラス(登録商標)PH-101からセオラス(登録商標)PH-102(旭化成株式会社) 20.0g、及びセオラス(登録商標)UF-702(旭化成株式会社) 82.1gに変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、実施例3のビラスチン含有錠剤を得た。
【0047】
[比較例1]
結晶セルロースをセオラス(登録商標)PH-101からセオラス(登録商標)PH-301(旭化成株式会社)に変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、比較例1のビラスチン含有錠剤を得た。
【0048】
[比較例2]
結晶セルロースをセオラス(登録商標)PH-101からセオラス(登録商標)PH-302(旭化成株式会社)に変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、比較例2のビラスチン含有錠剤を得た。
【0049】
[比較例3]
結晶セルロースをセオラス(登録商標)PH-101からセオラス(登録商標)UF-702(旭化成株式会社)に変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法により、比較例3のビラスチン含有錠剤を得た。
【0050】
[ビラスチン含有錠剤の製剤均一性の評価]
各実施例及び比較例のビラスチン含有錠剤について各10錠を用いて、製剤均一性を評価した。具体的には、各ビラスチン含有錠剤を水/アセトニトリル混液に溶解し、0.2μmのフィルターで濾過して測定試料を調製した。InertSustain C18カラム(内径:4.6mm、長さ:50粒子径:3.0μm)を用いて、10mMリン酸塩緩衝液(pH6.8)及びアセトニトリルを移動相として、フォトダイオードアレイ検出器(測定波長:215nm)を用いたHPLCにより、各ビラスチン含有錠剤のビラスチン含量を算出した。判定値は第十八改正日本薬局方の製剤均一性試験法の含量均一性試験の判定値の計算に準じて次の式に従って計算した。
【数1】
【0051】
各実施例及び比較例のビラスチン含有錠剤の製剤均一性の判定値を表2に示す。
【表2】
【0052】
表2の結果より、安息角が45°の結晶セルロース(PH-101)を添加した実施例1のビラスチン含有錠剤、及び安息角が42°の結晶セルロース(PH-102)を添加した実施例2のビラスチン含有錠剤においては、安息角が41°の結晶セルロース(PH-301)を添加した比較例1のビラスチン含有錠剤、安息角が41°の結晶セルロース(PH-302)を添加した比較例2のビラスチン含有錠剤及び安息角が34°の結晶セルロース(UF-702)を添加した比較例3のビラスチン含有錠剤と比較して、良好な製剤均一性が得られることが明らかとなった。
【0053】
また、安息角が49°の結晶セルロース(KG-802)を16.0質量%~40.0質量%を含み、安息角が34°の結晶セルロース(UF-702)を更に含む実施例3~4のビラスチン含有錠剤も、良好な製剤均一性が得られることが明らかとなった。さらに、安息角が42°の結晶セルロース(PH-102)を16.0質量%を含み、安息角が34°の結晶セルロース(UF-702)を更に含む実施例5のビラスチン含有錠剤も、良好な製剤均一性が得られることが明らかとなった。