(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017836
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 65/16 20060101AFI20250130BHJP
B64C 9/30 20060101ALI20250130BHJP
F16D 59/00 20060101ALI20250130BHJP
F16D 121/14 20120101ALN20250130BHJP
F16D 121/20 20120101ALN20250130BHJP
F16D 123/00 20120101ALN20250130BHJP
F16D 125/38 20120101ALN20250130BHJP
【FI】
F16D65/16
B64C9/30
F16D59/00 A
F16D121:14
F16D121:20
F16D123:00
F16D125:38
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121126
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】音在 啓太郎
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA44
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA57
3J058AA78
3J058AA79
3J058AA87
3J058AB29
3J058BA67
3J058CC06
3J058CC13
3J058CC56
3J058FA24
(57)【要約】
【課題】部品点数の増加を抑制可能であるとともに、装置の径方向の大型化を抑制することが可能なブレーキ装置を提供する。
【解決手段】このブレーキ装置100は、駆動力伝達軸部1と、ブレーキ部2、制御部600からの信号に基づいて、駆動力伝達軸部1を回転可能状態からブレーキ部2による回転位置固定状態に切り替える電気式切替部3と、駆動力伝達軸部1の加速度に基づいて、駆動力伝達軸部1を回転可能状態から回転位置固定状態に機械的に切り替える機械式切替部4を備える。ブレーキ部2、電気式切替部3、および、機械式切替部4は、駆動力伝達軸部1の回転中心軸線Cの軸方向Yに沿って同軸状に並んで配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から伝達された駆動力により回転中心軸線回りに回転する駆動力伝達軸部と、
前記駆動力伝達軸部の回転を制動させて前記駆動力伝達軸部の回転位置を固定するブレーキ部と、
制御部からの信号に基づいて、前記駆動力伝達軸部を回転可能状態から前記ブレーキ部による回転位置固定状態に切り替える電気式切替部と、
前記駆動力伝達軸部の加速度に基づいて、前記駆動力伝達軸部を前記回転可能状態から前記回転位置固定状態に機械的に切り替える機械式切替部とを備え、
前記ブレーキ部、前記電気式切替部、および、前記機械式切替部は、前記駆動力伝達軸部の前記回転中心軸線の軸方向に沿って同軸状に並んで配置されている、ブレーキ装置。
【請求項2】
前記駆動力伝達軸部を前記回転可能状態から前記回転位置固定状態に切り替えるための、前記電気式切替部および前記機械式切替部の各々に共通の切替機構をさらに備える、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記共通の切替機構は、接続部材を介さずに直接的に前記電気式切替部および前記機械式切替部の各々に接続されている、請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記共通の切替機構は、前記軸方向に沿った断面において、前記同軸状に並んだ前記電気式切替部および前記機械式切替部の各々に跨って配置されている、請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記電気式切替部は、前記回転中心軸線回りの周方向に沿った環状のソレノイド部を含み、
前記共通の切替機構は、前記回転中心軸線の径方向において、前記環状のソレノイド部と前記駆動力伝達軸部との間に配置される電気式側部分を有する、請求項4に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記共通の切替機構は、前記回転中心軸線の径方向において、前記機械式切替部を外側から覆う機械式側部分を有する、請求項4に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記共通の切替機構は、前記回転可能状態において互いに係合する第1係合部材および第2係合部材を含み、
前記電気式切替部および前記機械式切替部の各々は、別個に、前記第1係合部材と前記第2係合部材との係合を解除する係合解除部を含む、請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
前記第2係合部材は、前記係合解除部により前記第1係合部材と前記第2係合部材との係合が解除された場合に、前記ブレーキ部まで移動して前記ブレーキ部に当接することによって、前記ブレーキ部による制動を開始させるように構成されている、請求項7に記載のブレーキ装置。
【請求項9】
前記共通の切替機構は、前記第2係合部材を前記ブレーキ部まで移動させるため、前記第2係合部材を前記ブレーキ部側に付勢する付勢部材をさらに含む、請求項8に記載のブレーキ装置。
【請求項10】
前記ブレーキ部は、
前記共通の切替機構により前記回転可能状態から前記回転位置固定状態に切り替えられた場合、前記駆動力伝達軸部から伝達されるトルクを前記軸方向の力に変換する変換部と、
前記変換部により変換された前記軸方向の力により前記駆動力伝達軸部の回転を制動させる制動力を発生させる制動力発生部と、
前記変換部により変換された前記軸方向の力により前記制動力発生部が制動する際、前記軸方向において前記駆動力伝達軸部に当接する当接部とを含む、請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項11】
前記係合解除部により前記第1係合部材と前記第2係合部材との係合が解除されて前記ブレーキ部による前記回転位置固定状態になった後、前記第2係合部材を移動させて前記第1係合部材と前記第2係合部材とを係合させることにより前記回転位置固定状態を解除する位置固定状態解除部をさらに備える、請求項8に記載のブレーキ装置。
【請求項12】
前記制御部と電気的に接続され、前記駆動力伝達軸部の回転角度位置を検出する回転角度位置センサをさらに備える、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項13】
航空機の翼端に配置されるブレーキ装置において、
前記電気式切替部は、前記回転中心軸線の径方向において前記機械式切替部よりも小さく、かつ、前記軸方向において前記機械式切替部の前記駆動源とは逆側に配置されている、請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項14】
前記電気式切替部および前記機械式切替部の各々は、前記回転中心軸線の径方向における断面において、前記回転中心軸線に対して対称な形状を有している、請求項1に記載のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置に関し、特に、駆動力伝達軸部の回転を制動させて駆動力伝達軸部の回転位置を固定するブレーキ部を備えるブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動力伝達軸部の回転を制動させて駆動力伝達軸部の回転位置を固定するブレーキ部を備えるブレーキ装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、メインシャフトと、ブレーキ機構と、電磁クラッチ機構と、過速度切替機構とを備える、過速度ブレーキユニット(ブレーキ装置)が開示されている。
【0004】
上記特許文献1のブレーキ機構は、メインシャフトの回転速度が規定の速度を超えた過速度になった場合に、メインシャフトの回転を制動させるように構成されている。電磁クラッチ機構は、過速度を検知したことに基づく制御部からの信号に基づいて、ブレーキ機構をメインシャフトを制動させる状態に切り替えるように構成されている。過速度切替機構は、過速度で回転するメインシャフトから伝達される遠心力に基づいて、ブレーキ機構をメインシャフトを制動させる状態に切り替えるように構成されている。
【0005】
上記特許文献1のブレーキ機構と、過速度切替機構とは、メインシャフトの回転中心軸線の軸線上に並んで配置されている。電磁クラッチ機構は、メインシャフトに接続される第1オフセットギヤと、ブレーキ機構に接続される第2オフセットギヤとを含んでいる。
【0006】
上記特許文献1の電磁クラッチ機構は、過速度を検知したことに基づく制御部からの信号に基づいて、過速度状態のメインシャフトとブレーキ機構とを、第1オフセットギヤおよび第2オフセットギヤを介して接続する接続状態に切り替えるように構成されている。これにより、電磁クラッチ機構により、過速度状態のメインシャフトの駆動力を利用したブレーキ機構によるメインシャフトの制動が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の過速度ブレーキユニットでは、過速度切替機構とブレーキ機構とがメインシャフトの回転中心軸線の軸線上に並んでいるが、電磁クラッチ機構が第1オフセットギヤおよび第2オフセットギヤにより過速度切替機構に対してメインシャフトの回転中心軸線の軸線上から径方向にずれた位置に配置されている。このように配置された電磁クラッチ機構および過速度切替機構の各々により、ブレーキ機構によるメインシャフトの制動が行われている。このため、上記特許文献1の過速度ブレーキユニットでは、第1オフセットギヤおよび第2オフセットギヤを設けた分だけ電磁クラッチ機構の部品点数が増加している。また、上記特許文献1の過速度ブレーキユニットは、メインシャフトの回転中心軸線の軸線上から径方向にずれた位置に電磁クラッチ機構が配置されているので、電磁クラッチ機構が軸線上から径方向にずれた分だけ過速度ブレーキユニットが大型化する。このため、上記特許文献1の過速度ブレーキユニットでは、部品点数が増加するとともに、ユニット(装置)が径方向に大型化するという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数の増加を抑制可能であるとともに、装置の径方向の大型化を抑制することが可能なブレーキ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるブレーキ装置は、駆動源から伝達された駆動力により回転中心軸線回りに回転する駆動力伝達軸部と、駆動力伝達軸部の回転を制動させて駆動力伝達軸部の回転位置を固定するブレーキ部と、制御部からの信号に基づいて、駆動力伝達軸部を回転可能状態からブレーキ部による回転位置固定状態に切り替える電気式切替部と、駆動力伝達軸部の加速度に基づいて、駆動力伝達軸部を回転可能状態から回転位置固定状態に機械的に切り替える機械式切替部とを備え、ブレーキ部、電気式切替部、および、機械式切替部は、駆動力伝達軸部の回転中心軸線の軸方向に沿って同軸状に並んで配置されている。
【発明の効果】
【0011】
上記第一の局面におけるブレーキ装置において、ブレーキ部、電気式切替部、および、機械式切替部は、駆動力伝達軸部の回転中心軸線の軸方向に沿って同軸状に並んで配置されている。これにより、ブレーキ部と、電気式切替部および機械式切替部とが径方向においてずれている場合と異なり、ブレーキ部と、電気式切替部および機械式切替部とを径方向において接続するためのオフセットギヤなどが必要ない。また、ブレーキ部、電気式切替部および機械式切替部を径方向にずれて配置せずに同軸状に配置することによって、装置の径方向の大型化を抑制することができる。これらの結果、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置の径方向の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の航空機の航空機システムの一部を示した模式図である。
【
図2】第1実施形態のブレーキ装置の概要を示したブロック図である。
【
図3】第1実施形態のブレーキ装置の軸方向の断面図である。
【
図7】第1実施形態の航空機において飛行中にシャフトの折損が発生した場合を示した模式図である。
【
図8】第1実施形態の航空機において飛行中にシャフトの折損が発生した場合において機械式切替部のボール部に遠心力が加えられた状態を示した断面図である。
【
図9】第1実施形態の航空機において飛行中にシャフトの折損が発生した場合において第1係合部材と第2係合部材との係合が解除された状態を示した断面図である。
【
図10】第1実施形態の航空機において飛行中にシャフトの折損が発生した場合において第2係合部材がブレーキ部に当接した状態を示した断面図である。
【
図11】第1実施形態の航空機において飛行中にシャフトの折損が発生した場合において当接部が駆動力伝達軸部に当接した状態を示した断面図である。
【
図12】第1実施形態の航空機において滑走路から離陸する際にシャフトの折損が発生した場合を示した模式図である。
【
図13】第1実施形態の航空機において飛行中にシャフトの折損が発生した場合において電気式切替部によりスリーブが移動した状態を示した断面図である。
【
図14】第1実施形態のブレーキ装置において位置固定状態解除部により位置固定状態を解除する状態を示した断面図である。
【
図15】第2実施形態の航空機の航空機システムの一部を示した模式図である。
【
図16】第1実施形態のブレーキ装置の回転角度位置センサを示した断面図である。
【
図17】第1および第2実施形態の変形例のブレーキ装置のブレーキ部を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
[第1実施形態]
まず、
図1~
図14を参照して、本発明の第1実施形態によるブレーキ装置100の構成について説明する。
【0015】
図1において、ブレーキ装置100が、航空機Arのフラップ400の回動を作業者による解除操作が行われるまで停止させる装置として航空機システム1000に設けられた態様が示されている。なお、ブレーキ装置100は、航空機システム1000において、スラット(図示せず)および自動扉などに取り付けられてもよい。スラットは、航空機Arの翼のX1方向側の端部に設けられ、航空機Arの翼のX1方向側の端部からX1方向に延びることにより、航空機Arの翼との間に隙間を形成するための構成である。
【0016】
ここで、航空機Arの進行方向をX方向とし、X方向のうち前進方向をX1方向とし、X方向のうち後進方向をX2方向とする。航空機Arの左右方向をY方向とし、Y方向のうち右方向をY1方向とし、Y方向のうち左方向をY2方向とする。航空機Arの上下方向をZ方向とし、Z方向のうち上方向をZ1方向とし、Z方向のうち下方向をZ2方向とする。
【0017】
航空機システム1000は、一対のブレーキ装置100と、駆動源200と、一対のシャフト300と、複数(4つ)のフラップ400と、複数(8つ)のアクチュエータ500と、制御装置600とを備えている。なお、制御装置600は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。また、フラップ400は、左右一対で対称であれば、2つ、または、6つ以上であってもよい。また、アクチュエータ500は、左右一対で対称であれば、2つ、4つ、6つ、または、10つ以上であってもよい。
【0018】
一対のブレーキ装置100は、航空機Arの翼端に配置されている。ここで、翼端とは、航空機Arの一対のシャフト300の各々のY1方向側またはY2方向側の端部である。一対のブレーキ装置100は、X方向に延びる航空機Arの中心線に対して線対称の位置に配置されている。一対のブレーキ装置100の各々は、航空機Arのフラップ400の回転角度位置を作業者による解除操作が行われるまで位置固定するように構成されている。なお、ブレーキ装置100の詳細な構成は後に詳細に説明する。
【0019】
駆動源200は、一対のシャフト300の各々を回転させる駆動力を発生させる。駆動源200は、一対のシャフト300に連結されている。駆動源200は、モータおよび減速機構などを有している。駆動源200は、航空機Arの胴体部分に配置されている。駆動源200は、一対のシャフト300に連結されている。一対のシャフト300の一方は、Y1方向に沿って延びているとともに、一対のシャフト300の他方は、Y2方向に沿って延びている。一対のシャフト300の各々は、駆動源200からブレーキ装置100まで、複数のアクチュエータ500の各々において分割されるとともに、複数のアクチュエータ500の各々に連結された状態で延びている。一対のシャフト300の各々は、駆動源200により同期して回転する。
【0020】
複数(4つ)のフラップ400の各々は、揚力を調整するための、風を受ける面を有している。複数(4つ)のフラップ400は、左右の翼において非対称の揚力を発生させないように、X方向に延びる航空機Arの中心線に対して線対称の位置に配置されている。また、複数(4つ)のフラップ400の各々は、Y方向に延びる回転中心軸線C回りのR方向(
図3を参照)に回動するように構成されている。複数(4つ)のフラップ400の各々の舵面は、左右対称の回動角度位置に調整される。複数のアクチュエータ500は、一対のシャフト300の各々のトルクによりフラップ400を回動させるとともに、フラップ400の回転角度位置を保持するように構成されている。複数のアクチュエータ500の各々は、図示は省略するが、減速機構、回転角度センサおよび非可逆機構などを有している。複数のアクチュエータ500は、一例として、2つずつ1つのフラップ400に接続されている。
【0021】
制御装置600は、フライトコントロールコンピュータである。制御装置600は、ブレーキ装置100、駆動源200、および、アクチュエータ500の各々に電気的に接続されている。制御装置600は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶部とを有している。制御装置600は、センサで取得した情報などと、記憶部に記憶された各種プログラムとに基づいて、ブレーキ装置100、駆動源200、および、アクチュエータ500の各々を制御するように構成されている。
【0022】
(ブレーキ装置)
ブレーキ装置100は、複数のフラップ400の各々において左右非対称(愚一致)になる場合に、一対のシャフト300の各々の回転を停止させるとともに、停止させた際のフラップ400の回動角度位置を保持するように構成されている。このようなブレーキ装置100により、左右のフラップ400を動かないようにすることが可能であるので、現在の左右のフラップ400の非対称度がさらに悪化することを抑制することが可能である。一対のブレーキ装置100の各々は、同じ構成を有しているので、Y1方向側のブレーキ装置100についてのみ以下に説明する。
【0023】
図2に示すように、ブレーキ装置100は、駆動力伝達軸部1と、ブレーキ部2と、電気式切替部3と、機械式切替部4と、共通の切替機構5と、位置固定状態解除部6と、筐体7(
図3を参照)とを含んでいる。なお、電気式切替部3および機械式切替部4の各々は、特許請求の範囲の「係合解除部」の一例である。
【0024】
図3に示すように、駆動力伝達軸部1は、駆動源200から伝達された駆動力により回転中心軸線C回りに回転するように構成されている。駆動力伝達軸部1のY2方向側の部分には、一対のシャフト300のうちのY1方向側のシャフト300が連結されている。これにより、Y1方向側のシャフト300を介して駆動源200の駆動力が伝達される。駆動力伝達軸部1は、回転可能状態において、Y1方向側のシャフト300と一体的に回転するように構成されている。駆動力伝達軸部1は、Y方向に延びている。駆動力伝達軸部1は、ブレーキ部2、電気式切替部3、機械式切替部4および共通の切替機構5に接続されている。
【0025】
ここで、回転中心軸線C回りの周方向をR方向とし、R方向のうちの一方向をR1方向とし、R方向のうちの他方向をR2方向とする。回転中心軸線Cの延びる方向に直交する径方向をD方向とし、D方向のうちの外側をD1方向とし、D方向のうちの内側をD2方向とする。
【0026】
ブレーキ部2は、駆動力伝達軸部1の回転を制動させて駆動力伝達軸部1の回転角度位置を固定するように構成されている。すなわち、ブレーキ部2は、回転可能状態の駆動力伝達軸部1を制動させて回転位置固定状態にするように構成されている。駆動力伝達軸部1の回転角度位置は、R方向における回転角度位置である。
【0027】
図3に示すように、具体的には、ブレーキ部2は、変換部21と、制動力発生部22と、当接部23と、複数の付勢部24とを有している。
【0028】
変換部21は、共通の切替機構5によりブレーキ部2を介して回転可能状態から回転位置固定状態に切り替えられた場合、駆動力伝達軸部1から伝達されるトルク(回転力)をY方向のうちのY1方向の力に変換するように構成されている。変換部21は、ボールカムである。変換部21は、軸側部分211と、複数のボール部212と、当接部側部分213とを有している。
【0029】
軸側部分211は、駆動力伝達軸部1と一体的に回転するように、R方向において駆動力伝達軸部1と係合している。軸側部分211は、Y1方向側から視て、環状に形成されている。複数のボール部212は、R方向において等角度間隔で配置されている。複数のボール部212の各々は、付勢部24により付勢された当接部側部分213と軸側部分211とによりY方向において挟持されている。当接部側部分213は、駆動力伝達軸部1と一体的に回転するように構成されている。当接部側部分213は、Y1方向側から視て、環状に形成されている。当接部側部分213は、付勢部24の付勢力に抗して、軸側部分211に対してY1方向側に移動するように構成されている。当接部側部分213は、付勢部24の付勢力により、軸側部分211に対してY2方向側に移動するように構成されている。
【0030】
変換部21では、駆動力伝達軸部1と一体的に回転する軸側部分211および当接部側部分213において、制動力発生部22により当接部側部分213の回転が制動された場合、軸側部分211と当接部側部分213とに回転差が生じる。そして、変換部21では、軸側部分211のトルクにより、複数のボール部212の各々が、回転が制動された当接部側部分213に向かって移動する。これにより、当接部側部分213が、付勢部24の付勢力に抗して、軸側部分211に対してY1方向側に移動する。
【0031】
制動力発生部22は、変換部21により変換されたY1方向(軸方向)の力により駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力を発生させるように構成されている。すなわち、制動力発生部22は、付勢部24の付勢力に抗して当接部側部分213がY1方向側に移動した際のY1方向側の力により、駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力を発生させるように構成されている。
【0032】
具体的には、制動力発生部22は、変換部側制動部221と、筐体側制動部222とを有している。変換部側制動部221は、当接部側部分213および当接部23の各々にY方向に移動するように取り付けられている。筐体側制動部222は、筐体7にY方向に移動するように複数取り付けられている。変換部側制動部221および筐体側制動部222の各々は、Y1方向側から視て、環状に形成されている。変換部側制動部221は、2つの筐体側制動部222同士の間に配置されている。これにより、当接部側部分213がY1方向側に移動した際、変換部側制動部221が筐体側制動部222に挟持されることにより、変換部側制動部221と筐体側制動部222との間に発生する摩擦力によって、駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力が発生する。
【0033】
ここで、制動力発生部22は、互いに当接することにより制動力を発生させる、回転中心軸線CのD方向に沿った平面状制動面22aを有している。平面状制動面22aは、変換部側制動部221が筐体側制動部222に挟持される際、変換部側制動部221と筐体側制動部222とが接触する面である。
【0034】
当接部23は、変換部21により変換されたY1方向の力により制動力発生部22が制動する際、Y方向において駆動力伝達軸部1に当接するように構成されている。当接部23は、付勢部24の付勢力に抗して、当接部側部分213に対してY2方向側に移動するように構成されている。当接部23は、付勢部24の付勢力により、当接部側部分213に対してY1方向側に移動するように構成されている。当接部23は、Y1方向側から視て、環状に形成されている。また、当接部23は、駆動力伝達軸部1と一体的に回転するように構成されている。
【0035】
複数の付勢部24は、R方向において等角度間隔で配置されている。複数の付勢部24の各々は、当接部側部分213をY2方向側に付勢している。付勢部24のY1方向側の端部は、当接部23に取り付けられている。付勢部24のY2方向側の端部は、当接部側部分213に取り付けられている。
【0036】
(電気式切替部)
図3に示すように、電気式切替部3は、制御装置600からの信号に基づいて、駆動力伝達軸部1を回転可能状態からブレーキ部2による回転位置固定状態に切り替えるように構成されている。具体的には、電気式切替部3は、環状のソレノイド部31と、スリーブ部32と、ボール部33と、付勢部34とを有している。
【0037】
環状のソレノイド部31は、回転中心軸線C回りのR方向に沿って設けられている。環状のソレノイド部31は、制御装置600からの信号に基づいて、電磁力によりスリーブ部32をY1方向側に移動させるように構成されている。
【0038】
スリーブ部32は、D2方向側に駆動力伝達軸部1および共通の切替機構5が挿入される孔を有する円筒形状を有している。ボール部33は、D方向において、環状のソレノイド部31と共通の切替機構5との間に配置されている。ボール部33は、回転中心軸線C回りのR方向に互いに隣接して複数配置されている。ボール部33は、スリーブ部32内に共通の切替機構5を回転可能に支持するための部材である。ボール部33は、スリーブ部32とX方向において係合している。
【0039】
これにより、スリーブ部32がY1方向側に移動することにより、ボール部33とともに共通の切替機構5の後述する第1係合部材51がY1方向側に移動する。また、スリーブ部32がY2方向側に移動することにより、ボール部33とともに共通の切替機構5の後述する第1係合部材51がY2方向側に移動する。これにより、切替機構5の後述する第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除される。
【0040】
付勢部34は、スリーブ部32をY2方向側に付勢している。これにより、スリーブ部32は、Y方向において駆動力伝達軸部1に当接する位置に配置される。
【0041】
このように、電気式切替部3は、D方向における断面において、回転中心軸線Cに対して対称(点対称)な形状を有している。すなわち、環状のソレノイド部31およびスリーブ部32の各々は、点対称な形状を有している。また、複数のボール部33は、点対称に配置されている。
【0042】
電気式切替部3は、D方向において機械式切替部4よりも小さく、かつ、Y方向においてY2方向側(機械式切替部4の駆動源200とは逆側)に配置されている。すなわち、電気式切替部3は、機械式切替部4よりも翼端側に配置されている。
【0043】
(機械式切替部)
図3に示すように、機械式切替部4は、駆動力伝達軸部1の加速度に基づいて、駆動力伝達軸部1を回転可能状態から回転位置固定状態に機械的に切り替えるように構成されている。すなわち、機械式切替部4は、駆動力伝達軸部1のR1方向およびR2方向の各々の回転加速度による遠心力Fcに基づいて、駆動力伝達軸部1を回転可能状態から回転位置固定状態に機械的に切り替えるように構成されている。
【0044】
図4に示すように、機械式切替部4は、支持部41と、連結部42と、複数(6つ)のボール部43と、複数(6つ)の溝部44とを有している。なお、ボール部43および溝部44の各々は、2~5、または、7つ以上であってもよい。
【0045】
支持部41は、複数のボール部43の各々をD2方向側から支持するように構成されている。連結部42は、支持部41を駆動力伝達軸部1に連結するように構成されている。連結部42は、D方向において、支持部41と駆動力伝達軸部1とに貫通している。これにより、支持部41は、連結部42により、Y方向の移動が規制されるとともに、R方向において駆動力伝達軸部1と一体的に回転する。
【0046】
複数のボール部43の各々は、鉄などの金属製の球である。複数のボール部43の各々は、D2方向側から支持部41に支持されているとともに、D1方向側から共通の切替機構5の後述する第1係合部材51にD1方向側から押さえられている(
図3を参照)。複数のボール部43の各々は、Y1方向側から第1係合部材51に支持されているとともに、Y2方向側から駆動力伝達軸部1に支持されている(
図3を参照)。
【0047】
複数(6つ)の溝部44の各々は、ボール部43をD1方向およびD2方向の各々に移動可能に収容している。複数(6つ)の溝部44の各々は、ボール部43をD1方向およびD2方向の各々に移動可能に収容している。複数(6つ)の溝部44の各々は、支持部41のD1方向側の外周面からD2方向側に窪んで形成されている。複数(6つ)の溝部44の各々は、R方向において、等角度間隔に配置されている。
【0048】
このように、機械式切替部4は、D方向における断面において、回転中心軸線Cに対して対称(点対称)な形状を有している。すなわち、支持部41は、点対称な形状を有している。また、複数のボール部43は、点対称に配置されている。複数(6つ)の溝部44は、点対称に配置されている。
【0049】
ここで、
図3に示すように、支持部41とともに複数のボール部43の各々が回転することに基づく遠心力Fc(
図8を参照)により、複数のボール部43の各々がD1方向側に移動することによって、共通の切替機構5の後述する第1係合部材51がY1方向側に移動する。これにより、切替機構5の後述する第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除される。また、支持部41とともに複数のボール部43の各々が回転することに基づく遠心力Fcが小さくなることにより、複数のボール部43の各々がD2方向側に移動する。
【0050】
(ブレーキ部、電気式切替部および機械式切替部の配置)
本実施形態のブレーキ部2、電気式切替部3、および、機械式切替部4は、Y方向(駆動力伝達軸部1の回転中心軸線Cの軸方向)に沿って同軸状に並んで配置されている。すなわち、ブレーキ部2のD方向の中心位置と、電気式切替部3のD方向の中心位置と、機械式切替部4のD方向の中心位置とは、駆動力伝達軸部1の回転中心軸線Cの軸線上に配置されている。ブレーキ部2、電気式切替部3、および、機械式切替部4は、Y1方向側から視て、重なっている。ブレーキ部2、電気式切替部3、および、機械式切替部4は、Y方向に沿った断面において、D方向において重なっていない。ブレーキ部2、機械式切替部4および電気式切替部3は、この順にY2方向側から並んで配置されている。
【0051】
(共通の切替機構)
図3に示すように、共通の切替機構5は、駆動力伝達軸部1を回転可能状態から回転位置固定状態に切り替えるための、電気式切替部3および機械式切替部4の各々に共通の機構である。共通の切替機構5と、電気式切替部3および機械式切替部4の各々とは、オフセットギヤおよびスリーブなどの接続部材を介さずに直接的に接続されている。
【0052】
具体的には、共通の切替機構5は、第1係合部材51と、第2係合部材52と、ボール部53と、付勢部材54とを有している。共通の切替機構5は、第1係合部材51、第2係合部材52、ボール部53および付勢部材54により構成されたボールラッチ部である。すなわち、第1係合部材51と、第2係合部材52とは、ボール部53を介して互いに係合している。第1係合部材51と、第2係合部材52とは、ボール部53による係合が外れることにより、Y1方向およびY2方向の各々に移動可能となる。
【0053】
〈第1係合部材〉
第1係合部材51は、Y方向において、電気式切替部3および機械式切替部4に跨って配置されている。第1係合部材51は、電気式側部分511と、機械式側部分512とを有している。
【0054】
電気式側部分511は、D方向において、環状のソレノイド部31と駆動力伝達軸部1との間に配置されている。電気式側部分511は、ボール部33を介して、スリーブ部32をR方向に回転可能に支持しているとともに、スリーブ部32とX方向において係合している。電気式側部分511は、X方向に延びる円筒形状を有している。
【0055】
機械式側部分512は、D方向において、機械式切替部4をD1方向側から覆っている。また、機械式側部分512は、Y方向において、機械式切替部4をY1方向側から覆っている。機械式側部分512は、内端面512aと、内傾斜面512bと、内側面512cと、内傾斜面512dとを有している。内端面512aは、機械式切替部4をY1方向側から当接するように覆っている。内傾斜面512bは、内端面512aのD1方向側の端部からY1方向に対してD1方向側に傾斜する方向に延びている。内傾斜面512bは、機械式切替部4に当接するように覆っている。これにより、機械式側部分512は、駆動力伝達軸部1とともに形成した空間に、機械式切替部4を収容している。
【0056】
内側面512cは、ボール部53をD1方向側から当接するように覆っている。内側面512cは、内傾斜面512bのD1方向側の端部からY2方向側に延びている。内傾斜面512dは、内側面512cのD1方向側の端部から、Y2方向に対してD1方向側に傾斜する方向に延びている。
【0057】
〈第2係合部材〉
図3に示すように、第2係合部材52は、第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除された場合に、ブレーキ部2まで移動してブレーキ部2に当接することによって、ブレーキ部2による制動を開始させるように構成されている。
【0058】
具体的には、第2係合部材52は、突出部521と、支持部522とを有している。突出部521と、支持部522とは、一体的に設けられている。
【0059】
突出部521は、支持部522からY1方向に突出している。突出部521は、Y1方向側から視て、環状に形成されている(
図5を参照)。突出部521には、ボール部53を収容する収容孔521aが形成されている(
図5を参照)。収容孔521aは、D方向に突出部521を貫通している。収容孔521aは、R方向において等角度間隔で複数(4つ)設けられている(
図5を参照)。支持部522は、突出部521のY2方向側に設けられている。
【0060】
支持部522は、Y1方向側から視て、環状に形成されている(
図6を参照)。支持部522には、駆動力伝達軸部1の一部を挿入する挿入孔522aが形成されている(
図6を参照)。挿入孔522aは、Y方向に支持部522を貫通している。挿入孔522aは、R方向において等角度間隔で複数(3つ)設けられている(
図6を参照)。なお、挿入孔522aは、2つ、または、4つ以上であってもよい。
【0061】
このように、共通の切替機構5は、Y方向に沿った断面において、第1係合部材51および第2係合部材52により、同軸状に並んだ電気式切替部3および機械式切替部4の各々に跨って配置されている。
【0062】
〈ボール部および付勢部材〉
ボール部53は、駆動力伝達軸部1をR方向に回転可能に支持した状態で、収容孔521aに収容されている。付勢部材54は、第2係合部材52をブレーキ部2まで移動させるため、第2係合部材52をY2方向側(ブレーキ部2側)に付勢している。付勢部材54のY1方向側の端部は、駆動力伝達軸部1に当接している。付勢部材54のY2方向側の端部は、第2係合部材52に当接している。付勢部材54は、R方向において等角度間隔に複数(12個)配置されている(
図5を参照)。なお、付勢部材54は、2個~11個、または、13個以上であってもよい。
【0063】
(位置固定状態解除部)
図3に示すように、位置固定状態解除部6は、電気式切替部3および機械式切替部4のいずれかにより第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除されてブレーキ部2による回転位置固定状態になった後、第2係合部材52を移動させて第1係合部材51と第2係合部材52とを係合させることにより回転位置固定状態を解除する部材である。位置固定状態解除部6は、付勢部材61によりY2方向側に向かって付勢されている。位置固定状態解除部6は、作業者によりY2方向側の端部を押されることにより、付勢部材61の付勢力に抗して、第2係合部材52に向かって進むように構成されている。
【0064】
(筐体)
筐体7は、駆動力伝達軸部1、ブレーキ部2、電気式切替部3、機械式切替部4および共通の切替機構5を内部に収容する収容空間を有している。筐体7には、位置固定状態解除部6のY2方向側の部分を露出させた状態で、位置固定状態解除部6がY方向において移動可能に取り付けられている。
【0065】
(機械式切替部によるブレーキ部の作動)
次に、
図7~
図10を参照して、機械式切替部4によるブレーキ部2の作動について説明する。
【0066】
図7に示すように、飛行中に、航空機Arの一対のシャフト300のうちのY1方向側のシャフト300が、折損位置Brにおいて折損した場合を一例として示す。この場合、Y1方向側のシャフト300の折損位置Brよりも駆動源200側の部分は、駆動源200により回転させることができるが、Y1方向側のシャフト300の折損位置Brよりも翼端側の部分は、駆動源200により回転させることができなくなる。このため、折損位置Brよりも翼端側の部分のフラップ400において、空気圧および風力などを含むかなり大きな荷重に起因するフラップ400の回動を制動することができない。したがって、折損位置Brよりも翼端側の部分のフラップ400は、空気圧および風力などを含むかなり大きな荷重に起因して、かなり大きな加速度で回動する。
【0067】
この際、
図8に示すように、フラップ400がかなりの加速度で回動するので、駆動力伝達軸部1から機械式切替部4に大きな遠心力Fcがかかる。これにより、
図9に示すように、複数のボール部43の各々がD1方向側に移動するとともに、第1係合部材51がY1方向に移動量Mv1を移動する。また、第1係合部材51がY1方向に移動量Mv1を移動した際、第1係合部材51の内側面512cがボール部53に当接しなくなるので、ボール部53が収容孔521aから移動可能となる。
【0068】
したがって、
図10に示すように、付勢部材54により第2係合部材52がY2方向側(ブレーキ部2側)に向かって、移動量Mv2だけ移動する。この際、制動力発生部22において、付勢部材54の付勢力により変換部側制動部221が筐体側制動部222に挟持される。この際、変換部側制動部221と筐体側制動部222との間に発生する摩擦力によって、駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力が発生する。これにより、ブレーキ部2に変換部側制動部221を介して接続された当接部側部分213の回転が制動されることにより、駆動力伝達軸部1により回転している軸側部分211と、当接部側部分213との間に回転差が生じる。
【0069】
そして、
図11に示すように、軸側部分211から複数のボール部212の各々に伝達される遠心力により、複数のボール部212の各々が、変換部側制動部221と筐体側制動部222との間に制動力を発生させた状態を保持して、当接部側部分213とともに当接部23をY1方向側に押し返す。これにより、当接部23と駆動力伝達軸部1とがY方向において当接する。
【0070】
また、第2係合部材52が、第1係合部材51の内傾斜面512dとボール部53とが当接するまで、Y1方向側に移動する。これにより、駆動力伝達軸部1から伝達されるトルクに基づく変換部側制動部221と筐体側制動部222との間の制動力により駆動力伝達軸部1の回転が停止されるので、駆動力伝達軸部1が回転可能状態から回転位置固定状態に切り替えられる。したがって、フラップ400の回転角度位置が位置固定される。この際、駆動力伝達軸部1から変換部21に伝達されるトルクは、当接部23と駆動力伝達軸部1とがY方向において当接するので、駆動力伝達軸部1に還流される。
【0071】
このように、共通の切替機構5では、回転可能状態において第1係合部材51および第2係合部材52が互いに係合しているが、回転位置固定状態において第1係合部材51および第2係合部材52が互いに係合していないことになる。
【0072】
(電気式切替部によるブレーキ部の作動)
次に、
図10~
図13を参照して、電気式切替部3によるブレーキ部2の作動について説明する。
【0073】
図12に示すように、航空機Arが滑走路から離陸する際に、航空機Arの一対のシャフト300のうちのY1方向側のシャフト300が、折損位置Brにおいて折損した場合を一例として示す。この場合、Y1方向側のシャフト300の折損位置Brよりも駆動源200側の部分は、駆動源200により回転させることができるが、Y1方向側のシャフト300の折損位置Brよりも翼端側の部分は、駆動源200により回転させることができなくなる。
【0074】
ここで、飛行中であれば、空気圧および風力などを含むかなり大きな荷重がかかるが、滑走路から離陸する際にはそこまで大きな荷重がかからないので、機械式切替部4は作動しない。しかしながら、アクチュエータ500の回転角度センサなどのセンサにより、Y1方向側のシャフト300において動かない部分があることを検出することができる。これにより、制御装置600は、アクチュエータ500の回転角度センサなどのセンサの信号に基づいて、電気式切替部3に信号を送信するように構成されている。
【0075】
これにより、
図13に示すように、環状のソレノイド部31において発生した電磁力によりスリーブ部32が、付勢部34の付勢力に抗してY1方向側に移動するとともに、第1係合部材51がY1方向に移動量Mv1を移動する。また、第1係合部材51がY1方向に移動量Mv1を移動した際、第1係合部材51の内側面512cがボール部53に当接しなくなるので、ボール部53が収容孔521aから移動可能となる。その後は、
図10および
図11を参照して示した上記説明と同じ動作が行われるので、説明を省略する。
【0076】
このように、電気式切替部3および機械式切替部4の各々は、別個に、第1係合部材51と第2係合部材52との係合を解除する係合解除部である。
【0077】
(位置固定状態の解除)
図14では、電気式切替部3および機械式切替部4のいずれかにより第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除されブレーキ部2による回転位置固定状態になった状態が示されている。航空機Arが整備場などに移動した後、作業者が、位置固定状態解除部6を押圧することにより、第2係合部材52の収容孔521a内のボール部53が第1係合部材51の内側面512cとD1方向側から当接する位置まで、第2係合部材52をY1方向側に移動させる。これにより、第1係合部材51と第2係合部材52とが係合する状態に戻るとともに、駆動力伝達軸部1が、回転位置固定状態から回転可能状態に切り替えられる。
【0078】
(第1実施形態の効果)
第1施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0079】
第1実施形態では、上記のように、ブレーキ部2、電気式切替部3、および、機械式切替部4は、駆動力伝達軸部1の回転中心軸線CのY方向(軸方向)に沿って同軸状に並んで配置されている。これにより、ブレーキ部2と、電気式切替部3および機械式切替部4とがD方向(径方向)においてずれている場合と異なり、ブレーキ部2と、電気式切替部3および機械式切替部4とをD方向(径方向)において接続するためのオフセットギヤなどが必要ない。また、ブレーキ部2、電気式切替部3および機械式切替部4をD方向(径方向)にずれて配置せずに同軸状に配置することによって、装置の径方向の大型化を抑制することができる。これらの結果、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置のD方向(径方向)の大型化を抑制することができる。また、部品点数の増加を抑制することにより、装置の重量の増加をすることができるので、航空機Arの燃費を向上させることができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、ブレーキ装置100は、駆動力伝達軸部1を回転可能状態から回転位置固定状態に切り替えるための、電気式切替部3および機械式切替部4の各々に共通の切替機構5を備えている。これにより、電気式切替部3および機械式切替部4の各々に専用の切替機構を設ける場合と比較して、ブレーキ装置100の部品点数の増加をより抑制することができるので、ブレーキ装置100の構造の複雑化をより抑制することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、共通の切替機構5は、接続部材を介さずに直接的に電気式切替部3および機械式切替部4の各々に接続されている。これにより、電気式切替部3および機械式切替部4と共通の切替機構5とを比較的近くの位置に配置することができるので、これによってもブレーキ装置100の大型化を抑制することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、共通の切替機構5は、Y方向(軸方向)に沿った断面において、同軸状に並んだ電気式切替部3および機械式切替部4の各々に跨って配置されている。これにより、共通の切替機構5の一部が電気式切替部3および機械式切替部4にD方向(径方向)においてオーバーラップしているので、共通の切替機構5と電気式切替部3と機械式切替部4とをY方向(軸方向)に並べる場合と比較して、オーバーラップさせている分だけ、ブレーキ装置100のY方向(軸方向)の大型化を抑制することができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、電気式切替部3は、回転中心軸線C回りのR方向(周方向)に沿った環状のソレノイド部31を含んでいる。共通の切替機構5は、回転中心軸線CのD方向(径方向)において、環状のソレノイド部31と駆動力伝達軸部1との間に配置される電気式側部分511を有している。これにより、環状のソレノイド部31と駆動力伝達軸部1との間の空間を利用して、共通の切替機構5の電気式側部分511を配置することにより、共通の切替機構5の一部を電気式切替部3および駆動力伝達軸部1の各々にD方向(径方向)においてオーバーラップさせている。この結果、電気式切替部3および駆動力伝達軸部1のいずれかのみをオーバーラップさせて他の部材をY方向(軸方向)に並べる場合と比較して、オーバーラップさせている分だけ、ブレーキ装置100のY方向(軸方向)の大型化を抑制することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、共通の切替機構5は、回転中心軸線CのD方向(径方向)において、機械式切替部4を外側から覆う機械式側部分512を有している。これにより、共通の切替機構5において機械式切替部4とD方向(径方向)においてオーバーラップさせる構造を簡易な構造により実現することができるので、共通の切替機構5の構造の複雑化を抑制することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、共通の切替機構5は、回転可能状態において互いに係合する第1係合部材51および第2係合部材52を含んでいる。電気式切替部3および機械式切替部4の各々は、別個に、第1係合部材51と第2係合部材52との係合を解除する係合解除部を含んでいる。これにより、電気式切替部3により第1係合部材51と第2係合部材52との係合を解除する状態と、機械式切替部4により第1係合部材51と第2係合部材52との係合を解除する状態とを異ならせることができるので、電気式切替部3および機械式切替部4のいずれかによりブレーキ部2によって駆動力伝達軸部1を回転可能状態から回転位置固定状態に切り替えることができる。この結果、電気式切替部3および機械式切替部4のうちの適切な方法を用いてブレーキ部2により駆動力伝達軸部1の回転を止めることができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上記のように、第2係合部材52は、係合解除部により第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除された場合に、ブレーキ部2まで移動してブレーキ部2に当接することによって、ブレーキ部2による制動を開始させるように構成されている。これにより、第2係合部材52をブレーキ部2に当接させるだけで、ブレーキ部2による制動を開始させることができるので、制御装置600から制御信号をブレーキ部2に送信して制動を開始させる場合と比較して、制御装置600とブレーキ部2とを電気的に接続する必要が無い。この結果、制御装置600とブレーキ部2とを接続する配線などの接続部材を配置する必要がないので、ブレーキ装置100の構造の複雑化を抑制することができる。
【0087】
また、第1実施形態では、上記のように、共通の切替機構5は、第2係合部材52をブレーキ部2まで移動させるため、第2係合部材52をブレーキ部2側に付勢する付勢部材54を含んでいる。これにより、第2係合部材52を移動させる構造を簡易な構造で実現することができるので、ブレーキ装置100の構造の複雑化を抑制することができる。
【0088】
また、第1実施形態では、上記のように、ブレーキ部2は、共通の切替機構5により回転可能状態から回転位置固定状態に切り替えられた場合、駆動力伝達軸部1から伝達されるトルクをY方向(軸方向)の力に変換する変換部21を有している。ブレーキ部2は、変換部21により変換されたY方向(軸方向)の力により駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力を発生させる制動力発生部22を有している。ブレーキ部2は、変換部21により変換されたY方向(軸方向)の力により制動力発生部22が制動する際、Y方向(軸方向)において駆動力伝達軸部1に当接する当接部23を含んでいる。これにより、変換部21から制動力発生部22を介して制動力発生部22に伝達された駆動力伝達軸部1のトルクを当接部23を介して駆動力伝達軸部1に逃がすことができるので、ブレーキ部2に過大な負荷がかからないようにすることができる。
【0089】
また、第1実施形態では、上記のように、ブレーキ装置100は、電気式切替部3および機械式切替部4(係合解除部)により第1係合部材51と第2係合部材52との係合が解除されてブレーキ部2による回転位置固定状態になった後、第2係合部材52を移動させて第1係合部材51と第2係合部材52とを係合させることにより回転位置固定状態を解除する位置固定状態解除部6を備えている。これにより、位置固定状態解除部6を操作することにより回転位置固定状態を解除することができるので、ブレーキ装置100を分解して回転位置固定状態を解除する場合と比較して、容易に回転位置固定状態を解除することができる。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、航空機Arの翼端に配置されるブレーキ装置100において、電気式切替部3は、回転中心軸線CのD方向(径方向)において機械式切替部4よりも小さく、かつ、Y方向(軸方向)において機械式切替部4の駆動源200とは逆側に配置されている。これにより、D方向の幅が狭くなる翼端に電気式切替部3を配置することにより、翼端のD方向の幅の大型化を抑制することができるので、翼の薄型化を実現することができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、電気式切替部3および機械式切替部4の各々は、回転中心軸線CのD方向(径方向)における断面において、回転中心軸線Cに対して対称な形状を有している。これにより、電気式切替部3および機械式切替部4の各々の構成をD方向(径方向)において均等にバランス良く配置することができるので、電気式切替部3および機械式切替部4の各々の構成に均等に切り替えのために必要な荷重を容易に均等に加えることができる。
【0092】
[第2実施形態]
図15および
図16を参照して、第2実施形態によるブレーキ装置700の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、ブレーキ装置700が、回転角度位置センサ708を含んでいる。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0093】
図15において、第2実施形態のブレーキ装置700が、航空機Arのフラップ400の回動を作業者による解除操作が行われるまで停止させる装置として航空機システム2000に設けられた態様が示されている。なお、ブレーキ装置700は、航空機システム2000において、スラット(図示せず)および自動扉などに取り付けられてもよい。
【0094】
ここで、航空機Arの進行方向をX方向とし、X方向のうち前進方向をX1方向とし、X方向のうち後進方向をX2方向とする。航空機Arの左右方向をY方向とし、Y方向のうち右方向をY1方向とし、Y方向のうち左方向をY2方向とする。航空機Arの上下方向をZ方向とし、Z方向のうち上方向をZ1方向とし、Z方向のうち下方向をZ2方向とする。
【0095】
(ブレーキ装置)
図16に示すように、ブレーキ装置100は、駆動力伝達軸部1と、ブレーキ部2(
図3を参照)と、電気式切替部3と、機械式切替部4(
図3を参照)と、共通の切替機構5(
図3を参照)と、位置固定状態解除部6(
図3を参照)と、筐体7と、回転角度位置センサ708とを含んでいる。なお、電気式切替部3および機械式切替部4の各々は、特許請求の範囲の「係合解除部」の一例である。
【0096】
回転角度位置センサ708は、制御装置600と電気的に接続され、駆動力伝達軸部1の回転角度位置を検出するためのセンサである。回転角度位置センサ708は、RVDT(Rotary Variable Differential Transformer:回転可変差動変圧器)であるが、他の回転角度位置を検出するセンサであってもよい。これにより、制御装置600は、回転角度位置センサ708から送信された信号に基づいて、電気式切替部3により、駆動力伝達軸部1を回転可能状態からブレーキ部2による回転位置固定状態に切り替える信号を送信するか否かを判定する制御を行うように構成されている。
【0097】
なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0098】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0099】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ブレーキ部2、電気式切替部3、および、機械式切替部4は、駆動力伝達軸部1の回転中心軸線CのY方向(軸方向)に沿って同軸状に並んで配置されている。これにより、部品点数の増加を抑制することができるとともに、装置のD方向(径方向)の大型化を抑制することができる。
【0100】
また、第2実施形態では、上記のように、ブレーキ装置700は、制御装置600と電気的に接続され、駆動力伝達軸部1の回転角度位置を検出する回転角度位置センサ708を備えている。これにより、回転角度位置センサ708により検出した駆動力伝達軸部1の回転角度位置に基づいて電気式切替部3の制御を行うことができるので、正確に電気式切替部3の制御を行うことができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様であるので、説明を省略する。
【0101】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0102】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、制動力発生部22では、変換部側制動部221が筐体側制動部222に挟持されることにより、変換部側制動部221と筐体側制動部222との間に発生する摩擦力によって、駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力が発生する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図17に示す変形例に用に、制動力発生部822では、変換部側制動部822aをY1方向側に移動させて、変換部側制動部822aと筐体側制動部822bとを当接させて摩擦力を発生させることにより、駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力を発生させてもよい。
【0103】
また、上記第1および第2実施形態では、作業者が、位置固定状態解除部6を押圧して第2係合部材52をY1方向側に移動させることにより、駆動力伝達軸部1を回転位置固定状態から回転可能状態に切り替える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、作業者が、航空機に設けられた押しボタンを押圧することにより、制御部から送信された信号に基づいて駆動する駆動部により位置固定状態解除部を移動させることによって、駆動力伝達軸部を回転位置固定状態から回転可能状態に切り替えてもよい。
【0104】
また、上記第1および第2実施形態では、ブレーキ装置100(800)が、航空機Arのフラップ400の回動を作業者による解除操作が行われるまで停止させる装置として航空機システム1000に設けられた態様が示されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ブレーキ装置が、エレベータの扉、工作機器、電動ウインチおよびホイストなどに設けられた態様であってもよい。
【0105】
また、上記第1および第2実施形態では、制動力発生部22は、互いに当接することにより制動力を発生させる、回転中心軸線Cの径方向に沿った平面状制動面22aを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制動力発生部は、互いに当接することにより制動力を発生させる、軸方向に傾斜した傾斜状制動面を有していてもよい。
【0106】
また、上記第1および第2実施形態では、位置固定状態解除部6は、駆動力伝達軸部1を回転位置固定状態から回転可能状態に切り替える部材である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、位置固定状態解除部は、第2係合部材の移動を検知する検知部材として用いてもよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、機械式切替部4によるブレーキ部2の作動の例として、飛行中に、航空機Arの一対のシャフト300のうちのY1方向側のシャフト300が、折損位置Brにおいて折損した場合を一例として示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、飛行中に、アクチュエータ内のブレーキが作動しなかった場合などの他の態様においても、機械式切替部によりブレーキ部が作動することが考えられる。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、電気式切替部3によるブレーキ部2の作動の例として、航空機Arが滑走路から離陸する際に、航空機Arの一対のシャフト300のうちのY1方向側のシャフト300が、折損位置Brにおいて折損した場合を一例として示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アクチュエータ内のセンサがフラップのしきい値以上の過速度を検知した場合などの他の態様においても、電気式切替部によりブレーキ部が作動することが考えられる。
【0109】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0110】
(項目1)
駆動源200から伝達された駆動力により回転中心軸線C回りに回転する駆動力伝達軸部1と、
前記駆動力伝達軸部1の回転を制動させて前記駆動力伝達軸部1の回転位置を固定するブレーキ部2と、
制御部600からの信号に基づいて、前記駆動力伝達軸部1を回転可能状態から前記ブレーキ部2による回転位置固定状態に切り替える電気式切替部3と、
前記駆動力伝達軸部1の加速度に基づいて、前記駆動力伝達軸部1を前記回転可能状態から前記回転位置固定状態に機械的に切り替える機械式切替部4とを備え、
前記ブレーキ部2、前記電気式切替部3、および、前記機械式切替部4は、前記駆動力伝達軸部1の前記回転中心軸線Cの軸方向Yに沿って同軸状に並んで配置されている、ブレーキ装置100(700)。
【0111】
(項目2)
前記駆動力伝達軸部1を前記回転可能状態から前記回転位置固定状態に切り替えるための、前記電気式切替部3および前記機械式切替部4の各々に共通の切替機構5をさらに備える、項目1に記載のブレーキ装置100(700)。
【0112】
(項目3)
前記共通の切替機構5は、接続部材を介さずに直接的に前記電気式切替部3および前記機械式切替部4の各々に接続されている、項目2に記載のブレーキ装置100(700)。
【0113】
(項目4)
前記共通の切替機構5は、前記軸方向Yに沿った断面において、前記同軸状に並んだ前記電気式切替部3および前記機械式切替部4の各々に跨って配置されている、項目2に記載のブレーキ装置100(700)。
【0114】
(項目5)
前記電気式切替部3は、前記回転中心軸線C回りの周方向に沿った環状のソレノイド部31を含み、
前記共通の切替機構5は、前記回転中心軸線Cの径方向Dにおいて、前記環状のソレノイド部31と前記駆動力伝達軸部1との間に配置される電気式側部分511を有する、項目4に記載のブレーキ装置100(700)。
【0115】
(項目6)
前記共通の切替機構5は、前記回転中心軸線Cの径方向Dにおいて、前記機械式切替部4を外側から覆う機械式側部分512を有する、項目4に記載のブレーキ装置100(700)。
【0116】
(項目7)
前記共通の切替機構5は、前記回転可能状態において互いに係合する第1係合部材51および第2係合部材52を含み、
前記電気式切替部3および前記機械式切替部4の各々は、別個に、前記第1係合部材51と前記第2係合部材52との係合を解除する係合解除部を含む、項目2に記載のブレーキ装置100(700)。
【0117】
(項目8)
前記第2係合部材52は、前記係合解除部により前記第1係合部材51と前記第2係合部材52との係合が解除された場合に、前記ブレーキ部2まで移動して前記ブレーキ部2に当接することによって、前記ブレーキ部2による制動を開始させるように構成されている、項目7に記載のブレーキ装置100(700)。
【0118】
(項目9)
前記共通の切替機構5は、前記第2係合部材52を前記ブレーキ部2まで移動させるため、前記第2係合部材52を前記ブレーキ部2側に付勢する付勢部材54をさらに含む、項目8に記載のブレーキ装置100(700)。
【0119】
(項目10)
前記ブレーキ部2は、
前記共通の切替機構5により前記回転可能状態から前記回転位置固定状態に切り替えられた場合、前記駆動力伝達軸部1から伝達されるトルクを前記軸方向Yの力に変換する変換部21と、
前記変換部21により変換された前記軸方向Yの力により前記駆動力伝達軸部1の回転を制動させる制動力を発生させる制動力発生部22と、
前記変換部21により変換された前記軸方向Yの力により前記制動力発生部22が制動する際、前記軸方向Yにおいて前記駆動力伝達軸部1に当接する当接部23とを含む、項目2に記載のブレーキ装置100(700)。
【0120】
(項目11)
前記係合解除部により前記第1係合部材51と前記第2係合部材52との係合が解除されて前記ブレーキ部2による前記回転位置固定状態になった後、前記第2係合部材52を移動させて前記第1係合部材51と前記第2係合部材52とを係合させることにより前記回転位置固定状態を解除する位置固定状態解除部6をさらに備える、項目8に記載のブレーキ装置100(700)。
【0121】
(項目12)
前記制御部600と電気的に接続され、前記駆動力伝達軸部1の回転角度位置を検出する回転角度位置センサ708をさらに備える、項目1に記載のブレーキ装置100(700)。
【0122】
(項目13)
航空機Arの翼端に配置されるブレーキ装置100(700)において、
前記電気式切替部3は、前記回転中心軸線Cの径方向Dにおいて前記機械式切替部4よりも小さく、かつ、前記軸方向Yにおいて前記機械式切替部4の前記駆動源200とは逆側に配置されている、項目1に記載のブレーキ装置100(700)。
【0123】
(項目14)
前記電気式切替部3および前記機械式切替部4の各々は、前記回転中心軸線Cの径方向Dにおける断面において、前記回転中心軸線Cに対して対称な形状を有している、項目1に記載のブレーキ装置100(700)。
【符号の説明】
【0124】
1 駆動力伝達軸部
2 ブレーキ部
3 電気式切替部
4 機械式切替部
5 切替機構
6 位置固定状態解除部
21 変換部
22、822 制動力発生部
23 当接部
24 付勢部
31 環状のソレノイド部
34 付勢部
51 第1係合部材
52 第2係合部材
54 付勢部材
100、700 ブレーキ装置
200 駆動源
511 電気式側部分
512 機械式側部分
600 制御装置(制御部)
708 回転角度位置センサ
Ar 航空機
C 回転中心軸線