(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017853
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/202 20210101AFI20250130BHJP
H01M 50/273 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20250130BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20250130BHJP
H01M 50/276 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20250130BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20250130BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20250130BHJP
【FI】
H01M50/202 501P
H01M50/273
H01M50/178
H01M50/105
H01M50/557
H01M10/0562
H01M50/276
H01M50/271 S
H01M50/271 B
H01M10/052
H01M50/224
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121151
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】カナデビア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 剛
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011CC10
5H029AJ11
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK18
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM14
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029DJ02
5H029DJ09
5H040AA14
5H040AA31
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC05
5H040DD13
5H040LL01
5H043AA01
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA02
5H043HA11D
5H043JA03D
(57)【要約】
【課題】筐体の変形を抑制できる電池を提供する。
【解決手段】
電池1は、ラミネートセル10と、筐体11と、封口体12とを備える。ラミネートセル10は、正極リード4および負極リード5を有する。筐体11は、ラミネートセル10を収容する。筐体11は、正極リード4および負極リード5が通る開口111を有する。封口体12は、筐体11の開口111を封止する。封口体12は、通気性を有する多孔質体から作られる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードを有するラミネートセルと、
前記リードが通る開口を有し、前記ラミネートセルを収容する筐体と、
通気性を有する多孔質体から作られ、前記筐体の前記開口を封止する封口体と
を備える、電池。
【請求項2】
前記ラミネートセルは、
正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間に配置される固体電解質層とを有するセルと、
前記セルに積層される集電体と、
前記セルと前記集電体との積層体を覆うラミネートフィルムと、
前記集電体と接続され、少なくとも一部が前記ラミネートフィルムから露出する前記リードと
を備える、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記筐体が、金属から作られ、
前記封口体が、絶縁性の前記多孔質体から作られた、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記封口体は、前記リードが通るスリットを有し、前記開口の内面に接着されている、請求項1に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラミネートセルと、ラミネートセルを収容する金属製のケースとを備える電池が知られている。
【0003】
例えば、発電要素としての積層体と、積層体を収容する第1容器と、積層体に接続され、第1容器の外に引き出された端子と、第1容器を収容する第2容器とを備える固体リチウムイオン電池が開示されている。積層体は、正極層と、負極層と、固体電解質層とを含む。第1容器は、第1フィルムと第2フィルムとからなる。第2容器は、金属製の本体と、金属製の蓋とを有する。蓋は、端子が通る穴を有する。蓋は、溶接や接着などによって本体に気密に固定されている。端子と穴との間の隙間は、充填材によって塞がれている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されるような固体リチウムイオン電池を真空環境下で使用しようとした場合、第2容器内の気体が膨張することにより、第2容器が変形してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、真空環境下で電池を使用した場合に筐体の変形を抑制できる電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、リードを有するラミネートセルと、前記リードが通る開口を有し、前記ラミネートセルを収容する筐体と、通気性を有する多孔質体から作られ、前記筐体の前記開口を封止する封口体とを備える、電池を含む。
【0008】
このような構成によれば、筐体の開口を封止する封口体が、通気性を有する多孔質体から作られている。
【0009】
そのため、真空環境下で電池を使用した場合、筐体内の気体が封口体を通過して筐体外に排出される。
【0010】
その結果、真空環境下で電池を使用した場合に、筐体内の気体が膨張することによって筐体が変形してしまうことを、抑制できる。
【0011】
本発明[2]は、前記ラミネートセルが、正極層と、負極層と、前記正極層と前記負極層との間に配置される固体電解質層とを有するセルと、前記セルに積層される集電体と、前記セルと前記集電体との積層体を覆うラミネートフィルムと、前記集電体と接続され、少なくとも一部が前記ラミネートフィルムから露出する前記リードとを備える、上記[1]の電池を含む。
【0012】
本発明[3]は、前記筐体が、金属から作られ、前記封口体が、絶縁性の前記多孔質体から作られた、上記[1]または[2]の電池を含む。
【0013】
このような構成によれば、筐体の剛性によってラミネートセルの膨張を抑制できながら、封口体によって、リードを筐体から絶縁できる。
【0014】
本発明[4]は、前記封口体が、前記リードが通るスリットを有し、前記開口の内面に接着されている、上記[1]~[3]のいずれか1つの電池を含む。
【0015】
このような構成によれば、筐体内にラミネートセルを収容した後、リードをスリットに通しつつ筐体の開口内に封口体を入れて、封口体を開口の内面に接着するという簡単な工程で、電池を製造できる。
【0016】
そのため、電池の製造効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電池によれば、真空環境下で電池を使用した場合に筐体の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.電池
図1Aおよび
図1Bに示すように、電池1は、ラミネートセル10と、筐体11と、封口体12とを備える。電池1は、電解質として固体電解質を使用した全固体電池である。
【0020】
(1)ラミネートセル
図2Aおよび
図2Bに示すように、ラミネートセル10は、複数のセル2と、複数の集電体3と、リードの一例としての正極リード4と、リードの一例としての負極リード5と、ラミネートフィルム6とを備える。
【0021】
(1-1)セル
本実施形態では、セル2は、シート形状を有する。セル2は、セル2の厚み方向から見て、略矩形状である。なお、セル2の形状は、限定されない。セル2は、板形状であってもよいし、フィルム形状であってもよい。また、セル2は、セル2の厚み方向から見て、略円形状であってもよい。
【0022】
セル2の厚みは、例えば、100μm以上、好ましくは、200μm以上、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下である。
【0023】
図3Aに示すように、セル2は、正極層21と、負極層22と、固体電解質層23とを有する。セル2は、集電体を有さない。セル2は、正極層21、負極層22および固体電解質層23からなる。セル2は、集電体3から独立したベアセルである。なお、セル2は、集電体3と一体であってもよい。
【0024】
(1-1-1)正極層
正極層21は、セル2の厚み方向において、負極層22から離れて配置される。正極層21は、セル2の厚み方向において、固体電解質層23に対して負極層22の反対側に配置される。正極層21は、固体電解質層23と接触し、負極層22と接触しない。
【0025】
正極層21は、正極活物質を含有する粉体から作られる。本実施形態では、正極層21は、バインダーなどの樹脂を含有しない。本実施形態では、正極層21は、正極活物質の粉体と固体電解質の粉体との混合物から作られる。なお、正極層21は、固体電解質を含有しなくてもよい。正極層21は、正極活物質のみからなってもよい。
【0026】
正極活物質として、例えば、リチウム含有酸化物が挙げられる。リチウム含有酸化物として、例えば、リチウム・ニッケル複合酸化物(LiNiXM1-XO2)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、NCA系層状酸化物)、マンガン酸リチウム(スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn2O4))、Li過剰の複合酸化物(Li2MnO3-LiMO2)が挙げられる。
【0027】
正極活物質は、リチウムイオンの挿入および離脱が可能であれば、リチウム含有酸化物に限定されない。正極活物質として、例えば、オリビン系化合物(LiMPO4)および硫黄含有化合物(Li2S)が挙げられる。
【0028】
なお、上記化学式中、Mは、遷移金属を示す。
【0029】
正極活物質として、高容量が得られ易い観点から、好ましくは、Co、NiおよびMnからなる群より選択される少なくとも一種を含むリチウム含有酸化物が挙げられる。
【0030】
また、正極活物質は、レート特性の改善の観点から、表面をコーティング材で被覆してもよい。
【0031】
コーティング材として、例えば、Li4Ti5O12、LiTaO3、Li4NbO3、LiAlO2、Li2ZrO3、Li2WO4、Li2TiO3、Li2B4O7、Li3PO4、Li2MoO4、LiBO2、アルミナ(Al2O3)、および、炭素(C)が挙げられる。
【0032】
正極活物質は、単独で使用または2種以上併用することができる。
【0033】
固体電解質は、リチウムイオン伝導性を示す。固体電解質として、例えば、有機固体電解質、および、無機固体電解質が挙げられる。
【0034】
無機固体電解質として、例えば、硫化物、酸化物、窒化物、および、水素化物が挙げられる。
【0035】
硫化物としては、例えば、Li2Sと、周期表第13族元素、第14族元素および第15族元素からなる群より選択された少なくとも一種の元素を含む他の硫化物とを含むものが挙げられる。
【0036】
周期表第13族元素、第14族元素および第15族元素として、例えば、P、Si、Ge、As、Sb、および、Alが挙げられ、好ましくは、P、Si、および、Geが挙げられ、より好ましくは、Pが挙げられる。
【0037】
具体的には、硫化物として、例えば、Li2S-SiS2、Li2S-P2S5、Li2S-GeS2、Li2S-B2S3、Li2S-Ga2S3、Li2S-Al2S3、Li2S-GeS2-P2S5、Li2S-Al2S3-P2S5、Li2S-P2S3、Li2S-P2S3-P2S5、LiX-Li2S-P2S5、LiX-Li2S-SiS2、および、LiX-Li2S-B2S3(X:I、BrまたはCl)が挙げられる。
【0038】
固体電解質として、好ましくは、無機固体電解質が挙げられ、より好ましくは、硫化物が挙げられる。固体電解質は、単独で使用または2種以上併用できる。正極活物質と固体電解質との比率は、限定されない。
【0039】
正極層21の厚みは、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上である。正極層21の厚みは、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。
【0040】
(1-1-2)負極層
負極層22は、セル2の厚み方向において、正極層21から離れて配置される。負極層22は、セル2の厚み方向において、固体電解質層23に対して正極層21の反対側に配置される。負極層22は、固体電解質層23と接触し、正極層21と接触しない。
【0041】
負極層22は、負極活物質を含有する粉体から作られる。負極層22は、バインダーなどの樹脂を含有しない。本実施形態では、負極層22は、負極活物質の粉体と固体電解質の粉体との混合物から作られる。なお、負極層22は、固体電解質を含有しなくてもよい。負極層22は、負極活物質のみからなってもよい。
【0042】
負極活物質は、リチウムイオンの挿入および離脱が可能な物質であれば、限定されない。負極活物質として、例えば、炭素材料、金属およびその合金、半金属、および、金属または半金属の化合物が挙げられる。
【0043】
炭素材料として、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、ハードカーボン、および、非晶質炭素が挙げられる。金属およびその合金として、例えば、リチウムおよびその合金が挙げられる。半金属として、ケイ素が挙げられる。金属または半金属の化合物として、例えば、金属または半金属の酸化物、硫化物、窒化物、水化物、および、シリサイド(リチウムシリサイド)が挙げられる。金属または半金属の酸化物として、例えば、チタン酸化物、ケイ素酸化物が挙げられる。
【0044】
負極活物質は、単独で使用または2種以上併用できる。負極活物質として、例えば、ケイ素酸化物と炭素材料とを併用できる。
【0045】
負極層22が含有する固体電解質として、例えば、上記した固体電解質が挙げられる。好ましくは、負極層22が含有する固体電解質は、正極層21が含有する固体電解質と同じである。負極活物質と固体電解質との比率は、限定されない。
【0046】
負極層22の厚みは、正極層21の厚みとほぼ同じである。負極層22の厚みは、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上である。負極層22の厚みは、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。
【0047】
(1-1-3)固体電解質層
固体電解質層23は、セル2の厚み方向において、正極層21と負極層22との間に配置される。固体電解質層23は、固体電解質の粉体から作られる。固体電解質層23は、バインダーなどの樹脂を含有しない。
【0048】
固体電解質として、例えば、上記した固体電解質が挙げられる。好ましくは、固体電解質は、正極層21が含有する固体電解質と同じである。
【0049】
固体電解質層23は、正極層21および負極層22よりも薄い。固体電解質層23の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上である。固体電解質層23の厚みは、例えば、300μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0050】
(1-2)集電体
図3Bに示すように、集電体3は、セル2に積層される。詳しくは、複数の集電体3のそれぞれは、複数のセル2のそれぞれと交互に積層されている。複数の集電体3は、正極集電体3Aと、負極集電体3Bとを含む。正極集電体3Aは、セル2の正極層21と接触する。負極集電体3Bは、セル2の負極層22と接触する。
【0051】
具体的には、本実施形態では、セル2と集電体3との積層方向において、一方側から他方側に向かって、正極集電体3A、第1のセル2A、負極集電体3B、第2のセル2B、正極集電体3Aの順に積層されている。積層方向において、1つの負極集電体3Bは、第1のセル2Aの負極層22と、第2のセル2Bの負極層22との間に配置される。つまり、積層方向において、1つの集電体3が、2つのセル2の間に配置される。
【0052】
図4Aおよび
図4Bに示すように、集電体3は、導電体31と、絶縁部材32と、接着剤層33とを有する。
【0053】
(1-2-1)導電体
導電体31は、例えば、金属から作られる。導電体31は、積層部311と、タブ312とを有する。
【0054】
積層部311は、第1方向および第2方向に延びる。第1方向は、積層方向と直交する。第2方向は、第1方向および積層方向の両方と直交する。積層部311は、シート形状を有する。積層部311は、厚み方向において、一方面S1と他方面S2とを有する。言い換えると、導電体31は、厚み方向において、一方面S1と他方面S2とを有する。積層部311は、セル2と接触する。集電体3が正極集電体3Aである場合、積層部311は、セル2の正極層21と接触する。集電体3が負極集電体3Bである場合、積層部311は、セル2の負極層22と接触する。積層部311は、積層方向から見て、略矩形状を有する。積層部311は、複数のエッジE1、E2、E3、E4を有する。
【0055】
エッジE1は、第1方向における積層部311の一端部に配置される。エッジE1は、第2方向に延びる。エッジE1は、直線形状である。エッジE2は、第1方向における積層部311の他端部に配置される。エッジE2は、第2方向に延びる。エッジE2は、直線形状である。エッジE3は、第2方向における積層部311の一端部に配置される。エッジE3は、第1方向に延びる。エッジE3は、直線形状である。エッジE4は、第2方向における積層部311の他端部に配置される。エッジE4は、第1方向に延びる。エッジE4は、直線形状である。
【0056】
タブ312は、積層部311のエッジに配置される。本実施形態では、タブ312は、第2方向における積層部311の一方側のエッジE3に配置される。タブ312は、積層部311のエッジE3から突出する。タブ312は、積層部311とは別の部材であり、積層部311に接合されていてもよい。タブ312は、ベルト形状を有する。タブ312は、セル2と接触しない。集電体3が正極集電体3Aである場合、導電体31は、タブ312として正極タブ312Aを有する。集電体3が負極集電体3Bである場合、導電体31は、タブ312として負極タブ312Bを有する。セル2と正極集電体3Aと負極集電体3Bとが積層された状態で、負極タブ312Bは、正極タブ312Aから離れて配置される。セル2と正極集電体3Aと負極集電体3Bとが積層された状態で、積層方向において、負極タブ312Bは、正極タブ312Aと重ならない。
【0057】
導電体31の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0058】
導電体31の材料として、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、リチウム(Li)、錫(Sn)、および、これらの合金が挙げられる。
【0059】
(1-2-2)絶縁部材
図4Bに示すように、絶縁部材32は、導電体31の一方面S1上に積層される。
図4Aに示すように、絶縁部材32は、導電体31の積層部311上に配置される。絶縁部材32は、導電体31の積層部311の周縁部に積層される。絶縁部材32は、積層方向から見て、略矩形の枠形状を有する。絶縁部材32は、導電体31のエッジE1に沿って延びる部分32Aと、導電体31のエッジE2に沿って延びる部分32Bと、導電体31のエッジE3に沿って延びる部分32Cと、導電体31のエッジE4に沿って延びる部分32Dとを有する。絶縁部材32は、導電体31のタブ312上には配置されていない。
【0060】
セル2と正極集電体3Aと負極集電体3Bとが積層された状態で、絶縁部材32は、セル2の周りに配置される。
図3Bに示すように、セル2と正極集電体3Aと負極集電体3Bとが積層された状態で、絶縁部材32は、積層方向において、正極集電体3Aと負極集電体3Bとの間に配置される。セル2と正極集電体3Aと負極集電体3Bとが積層された状態で、絶縁部材32は、正極集電体3Aを負極集電体3Bから絶縁する。
【0061】
積層方向において、絶縁部材32の厚みは、セル2の厚みよりも薄い。集電体3が接着剤層33を有さない場合、絶縁部材32の厚みは、セル2の厚みと同じであってもよい。絶縁部材32の厚みは、例えば、50μm以上、好ましくは、75μm以上、また、例えば、500μm以下、好ましくは、400μm以下である。
【0062】
絶縁部材32の材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、および、ポリイミドが挙げられる。
【0063】
(1-2-3)接着剤層
図4Bに示すように、接着剤層33は、導電体31の周縁部において、導電体31の他方面S2上に積層される。集電体3は、接着剤層33を有さなくてもよい。
図3Bに示すように、2つの集電体3の間に1つのセル2が積層された状態で、積層方向においてセル2の他方側に配置された集電体3の接着剤層33は、積層方向においてセル2の一方側に配置された集電体3の絶縁部材32に接着される。
【0064】
接着剤層33の厚みと絶縁部材32の厚みとの総和は、セル2の厚み以下である。接着剤層33の厚みは、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上、また、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下である。
【0065】
接着剤層33は、好ましくは、絶縁性である。接着剤層33の材料として、例えば、アクリル、ポリイミド、シリコーンなどの樹脂、および、それらの樹脂を含侵した不織布が挙げられる。
【0066】
(1-3)正極リードおよび負極リード
図2Aに示すように、正極リード4の一部は、ラミネートフィルム6から露出している。
図5に示すように、正極リード4は、ラミネートフィルム6内において、正極タブ312Aと接合される。これにより、正極リード4は、正極集電体3Aと電気的に接続される。正極リード4は、負極集電体3Bとは接続されない。
【0067】
図2Aに示すように、負極リード5の一部は、ラミネートフィルム6から露出している。負極リード5は、ラミネートフィルム6内において、負極タブ312B(
図4A参照)と接合される。これにより、負極リード5は、負極集電体3B(
図2B参照)と電気的に接続される。負極リード5は、正極集電体3Aとは接続されない。
【0068】
正極リード4および負極リード5のそれぞれは、例えば、略矩形の平板形状を有する。正極リード4および負極リード5の材料として、例えば、純金属、および、合金が挙げられる。純金属として、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、金、および、白金が挙げられる。合金として、例えば、上記純金属の合金、ステンレス、および、チタンが挙げられる。正極リード4および負極リード5は、めっきされていてもよい。例えば、正極リード4および負極リード5は、ニッケルめっき層および金めっき層を有する銅板であってもよい。
【0069】
(1-4)ラミネートフィルム
図2Aおよび
図2Bに示すように、ラミネートフィルム6は、セル2と集電体3との積層体を覆う。なお、セル2と集電体3との積層体は、真空ラミネートされている。ラミネートフィルム6として、例えば、金属箔の両面に樹脂製のフィルムが積層された金属ラミネートフィルムが挙げられる。
【0070】
(2)筐体
図1Bに示すように、筐体11は、ラミネートセル10を収容する。筐体11は、第2方向に延びる。筐体11は、筒形状を有する。なお、筐体11の形状は、ラミネートセル10を収容可能であれば、限定されない。筐体11は、ラミネートセル10の膨張を抑制する。筐体11は、例えば、金属から作られる。金属として、例えば、アルミニウム、ステンレスが挙げられる。
【0071】
筐体11は、開口111を有する。開口111は、第2方向における筐体11の一端部に位置する。
図1Aに示すように、ラミネートセル10が筐体11内に収容された状態で、正極リード4および負極リード5は、開口111を通って筐体11外まで延びる。
【0072】
(3)封口体
図1Aに示すように、封口体12は、開口111内に位置する。封口体12は、開口111の内面に接着されている。これにより、封口体12は、筐体11の開口111を封止する。封口体12は、多孔質体から作られる。多孔質体は、通気性を有し、かつ、絶縁性である。多孔質体として、例えば、フッ素ゴムスポンジ、および、シリコーンスポンジが挙げられる。
【0073】
図1Bに示すように、封口体12は、2つのスリット121A,121Bを有する。スリット121A,121Bは、第1方向に並ぶ。スリット121Bは、第1方向において、スリット121Aから離れて位置する。スリット121A,121Bのそれぞれは、第1方向に延びる。
図1Aに示すように、正極リード4は、スリット121Aを通る。負極リード5は、スリット121Bを通る。なお、スリット121Aとスリット121Bとは、繋がっていてもよい。
【0074】
2.作用効果
(1)電池1によれば、筐体11の開口111を封止する封口体12が、通気性を有する多孔質体から作られている。
【0075】
そのため、真空環境下で電池1を使用した場合、筐体11内の気体が封口体12を通過して筐体11外に排出される。
【0076】
その結果、真空環境下で電池1を使用した場合に、筐体11内の気体が膨張することによって筐体11が変形してしまうことを、抑制できる。
【0077】
(2)電池1によれば、筐体11が、金属から作られ、封口体12が、絶縁性の多孔質体から作られている。
【0078】
そのため、筐体11の剛性によってラミネートセル10の膨張を抑制できながら、封口体12によって、正極リード4および負極リード5を筐体11から絶縁できる。
【0079】
(3)電池1によれば、
図1Aに示すように、封口体は、正極リード4が通るスリット121A、および、負極リード5が通るスリット121Bを有し、開口111の内面に接着されている。
【0080】
そのため、筐体11内にラミネートセル10を収容した後、正極リード4をスリット121Aに通し、かつ、負極リード5をスリット121Bに通しつつ、筐体11の開口111内に封口体12を入れて、封口体12を開口111の内面に接着するという簡単な工程で、電池1を製造できる。
【0081】
そのため、電池1の製造効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 電池
2 セル
21 正極層
22 負極層
23 固体電解質層
3 集電体
4 正極リード(リードの一例)
5 負極リード(リードの一例)
6 ラミネートフィルム
10 ラミネートセル
11 筐体
111 開口
12 封口体
121A スリット
121B スリット