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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017864
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】携帯用スロープ装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/06 20060101AFI20250130BHJP
   A61G 5/06 20060101ALI20250130BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20250130BHJP
   E04F 11/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
E04F11/06
A61G5/06
A61G5/10
E04F11/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121169
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】599117255
【氏名又は名称】株式会社 シコク
(74)【代理人】
【識別番号】100144509
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋三
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 圭一朗
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301AA01
(57)【要約】
【課題】長尺のスロープ装置でありながら、運搬性、取扱い性に優れた携帯用スロープ装置を提供する。
【解決手段】長辺縁部を近接対向させた状態で並設された長矩形の2枚の板体11,12をヒンジ部5によって折曲自在に連結し、該2枚の板体11,12が平面状に展開した展開姿勢と該2枚の板体が折り畳み状に格納された格納姿勢をとり得るようにした第1スロープ2と第2スロープ3を、スロープ長手方向に列設した状態でこれらの間に配置した連結機構4によって連結・分離可能に構成する。係る構成によれば、長尺一体型のスロープ装置を使用する場合のように、該スロープ装置が長尺過ぎて運搬車両に乗せることができないというような事態の発生もなく、携帯用スロープ装置の最大の利点である運搬性が確保され、その利便性が向上する。また、第1スロープ2と第2スロープ3を分離状態で別々に移動させることができ、且つ軽量であることから、携帯用スロープ装置の移動時における取扱い性が極めて良好となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長辺縁部を近接対向させた状態で並設された長矩形の2枚の板体をヒンジ部によって折曲自在に連結し、該2枚の板体が平面状に展開した展開姿勢と該2枚の板体が折り畳み状に格納された格納姿勢をとり得るようにした第1スロープと第2スロープを、スロープ長手方向に列設した状態でこれらの間に配置した連結機構によって連結・分離可能に構成したことを特徴とする携帯用スロープ装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記連結機構は、上記第1スロープの上記第2スロープに対峙する端部にスロープ幅方向に向けて取り付けられた第1連結レールであって、上記2枚の板材のそれぞれに対応するように取り付けられた2本のレール片で構成される第1連結レールと、上記第2スロープの上記第1スロープに対峙する端部にスロープ幅方向に向けて取り付けられた第2連結レールであって、上記2枚の板材のそれぞれに対応するように取り付けられた2本のレール片で構成される第2連結レールを備え、上記第1連結レールと第2連結レールの嵌合状態においては上記第1スロープと第2スロープがスロープ長手方向において連結され、嵌合離脱状態においては上記第1スロープと第2スロープが分離される構成であることを特徴とする携帯用スロープ装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記第1スロープと上記第2スロープは、連結状態及び分離状態の何れにおいても展開姿勢と格納姿勢をとり得るように構成されていることを特徴とする携帯用スロープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、通路幅方向に折曲可能とした携帯用のスロープ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯用スロープ装置としては、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。このスロープ装置は、矩形板状の2枚のスロープ片を、その長辺縁部同士を近接対向させて並設するとともに、この近接対向部分に貼付した弾性シート材によって上記2枚のスロープ片を折曲可能に連結して一体化して構成される。そして、このスロープ装置を段差部に架設して車椅子の通行路として使用する一方、該スロープ装置の運搬時には、上記2枚のスロープ片をその連結部から折り畳んで格納し、この格納状態で運搬するようにしている。
【0003】
ところで、このようなスロープ装置においては、一体形成の2枚のスロープ片で構成されていることから、架設距離(即ち、スロープ装置が架設される高位面と低位面の水平距離)の増大に対処するには、各スロープ片の長さを長くしてスロープ装置の長大化を図らざるを得ない。
【0004】
しかし、このように架設距離の増大に対処すべくスロープ装置の長大化を行うと、例えば、運搬車両によっては、その荷室長さの制約からスロープ装置の積込み搬送そのものができなくなるとか、スロープ装置の長大化に伴う重量の増加によって、携帯用スロープ装置の最大の利点である運搬性、取扱性が損なわれる、等の問題がある。
【0005】
このような問題に対処する技術としては、特許文献2に示されるよう、スロープ装置を長さ方向の略中央位置から二つ折り状に折り畳んでコンパクトに格納し得るように構成し、スロープ装置の使用時にはこれを展開状態で架設する一方、搬送時等の非使用時では格納状態とする技術が提案されている。
【0006】
しかし、このスロープ装置では、搬送時等におけるコンパクト化の実現によって搬送車両による可搬性は確保されるものの、スロープ装置の重量は、展開状態でも格納状態でも同じであることから、スロープ装置の運搬性、取扱性の改善効果は得られない。
【0007】
一方、特許文献3には、長矩形の2枚の板材を、板材幅方向に対向するように並設し、この対向部分をシ-ト材によって折曲可能に連結する一方、この2枚の板材をそのスロープ長手方向の略中央部で分断している。そし、この分断部において対向する一方の板材の端面部分には複数の突起部を設け、他方の板材の端面部分には穴状の受部を設け、上記一方の板材側の突起部を他方の板材側の受部に嵌合させることで2枚の板材を一体化してスロープ装置としての使用に供する一方、係る嵌合状態を解除することで上記スロープ装置を二つに分割できるようにしたものである。なお、上記構造は、図6の形態に、図1図5の構造を適用した場合を想定したものであって、この特許文献3には明確な記載はされていない。
【0008】
ところが、この特許文献3のスロープ装置では、該スロープ装置の一方の板材側の突起部と他方の板材側の受部をスロープ長手方向から嵌合させたり、嵌合離脱させたりしなければならないことから、少なくとも嵌合部分の長さに相当する長さの作業スペースをスロープ長手方向に確保する必要があり、設置現場における作業スペース上の制約を受け易い。また、板材の幅方向な並んだ複数の突起部を、同じく板材の幅方向に並んだ複数の受部に同時に嵌合させる必要があることから、この嵌合操作、嵌合離脱操作が比較的難しく、特に格納状態でこの嵌合操作、嵌合離脱操作を行う場合には、その操作がより一層困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-143260号公報
【特許文献2】特開2011-84996号公報
【特許文献3】特開2016-67518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本願発明は、架装距離の長大化に対応可能な長尺のスロープ装置でありながら、運搬性及び取扱い性に優れた携帯用スロープ装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0012】
本願の第1の発明に係る携帯用スロープ装置では、長辺縁部を近接対向させた状態で並設された長矩形の2枚の板体をヒンジ部によって折曲自在に連結し、該2枚の板体が平面状に展開した展開姿勢と該2枚の板体が折り畳み状に格納された格納姿勢をとり得るようにした第1スロープと第2スロープを、スロープ長手方向に列設した状態でこれらの間に配置した連結機構によって連結・分離可能に構成したことを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る携帯用のスロープ装置において、上記連結機構が、上記第1スロープの上記第2スロープに対峙する端部にスロープ幅方向に向けて取り付けられた第1連結レールであって、上記2枚の板材のそれぞれに対応するように取り付けられた2本のレール片で構成される第1連結レールと、上記第2スロープの上記第1スロープに対峙する端部にスロープ幅方向に向けて取り付けられた第2連結レールであって、上記2枚の板材のそれぞれに対応するように取り付けられた2本のレール片で構成される第2連結レールを備え、上記第1連結レールと第2連結レールの嵌合状態においては上記第1スロープと第2スロープがスロープ長手方向において連結され、嵌合離脱状態においては上記第1スロープと第2スロープが分離される構成であることを特徴としている。
【0014】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係る携帯用のスロープ装置において、上記第1スロープと上記第2スロープは、連結状態及び分離状態の何れにおいても展開姿勢と格納姿勢をとり得るように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本願各発明では次のような効果が得られる。
【0016】
(a)本願の第1の発明に係る携帯用のスロープ装置では、第1スロープと第2スロープが、連結機構における第1連結レールと第2連結レールの嵌合によってスロープ長手方向に連結されて長尺のスロープ装置とされる一方、上記第1連結レールと第2連結レールの嵌合離脱によって上記第1スロープと上記第2スロープに分離される。
【0017】
(aー1)このため、架設距離の長いスロープ装置が必要とされる場合には、上記第1スロープと第2スロープをスロープ長手方向に連結して用いればよく、また搬送時には上記第1スロープと第2スロープを分離させてそれぞれ個別に運搬車両に乗せて移動させれば良い。この結果、例えば、長尺一体型のスロープ装置を使用する場合のように、該スロープ装置が長尺過ぎて運搬車両に乗せることができないというような事態の発生もなく、携帯用スロープ装置の最大の利点である可搬性及び運搬性が確保され、その商品価値が向上する。
【0018】
(aー2)また、一体型のスロープ装置を用いる場には、それが長尺で且つ重量が大きいことから、移動に際しての取扱い性が低劣となるが、この発明の携帯用スロープ装置では、上記第1スロープと上記第2スロープを分離状態で別々に移動させることができるので、その移動対象物(即ち、上記第1スロープ及び第2スロープ)の長さが短く、且つそれぞれが軽量であることから、携帯用スロープ装置の移動時における取扱い性が極めて良好となる。
【0019】
(b)本願の第2の発明では、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記連結機構を、上記第1スロープの上記第2スロープに対峙する端部にスロープ幅方向に向けて取り付けられた第1連結レールであって、上記2枚の板材のそれぞれに対応するように取り付けられた2本のレール片で構成される第1連結レールと、上記第2スロープの上記第1スロープに対峙する端部にスロープ幅方向に向けて取り付けられた第2連結レールであって、上記2枚の板材のそれぞれに対応するように取り付けられた2本のレール片で構成される第2連結レールを備え、上記第1連結レールと第2連結レールの嵌合状態においては上記第1スロープと第2スロープがスロープ長手方向に連結され、嵌合離脱状態においては上記第1スロープと第2スロープが分離される構成としている。
【0020】
このため、上記第1スロープと上記第2スロープの連結・分離の各作業に際しては、該第1スロープと第2スロープをスロープ幅方向へ相対移動させて行うことができ、そのスロープ長手方向のおける作業スペースはほとんど必要としないので、例えば、特許文献3に示されるような差し込み式の連結構造をもつスロープ装置のようにスロープ長手方向における作業スペースの確保が必須である場合に比して、スロープ装置の設置現場に対する適応性が向上し、スロープ装置の設置作業及び撤去作業を容易に行うことができ、係る作業が必然的に要求される携帯用スロープ装置においては極めて有用である。
【0021】
(c)本願の第3の発明に係る携帯用スロープ装置では、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1スロープと上記第2スロープが、連結状態及び分離状態の何れにおいても展開姿勢と格納姿勢をとり得るように構成されているので、例えば、上記第1スロープと上記第2スロープを共に格納姿勢とした状態で、これらを連結及び分離させる場合には、上記第1スロープと上記第2スロープを、第1連結レールあるいは第2連結レールのレール長さの半分程度だけ相対移動させれば良い。即ち、この第1スロープと第2スロープの連結・分離作業に必要なスロープ幅方向における作業スペースは、第1連結レールあるいは第2連結レールのレール長さの半分程度で済み、スロープ装置の設置現場に対する適応性がさらに向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願発明の実施形態に係る携帯用スロープ装置の架設状態を示す斜視図である。
図2図1に示した携帯用スロープ装置の斜視図である。
図3図2に示した携帯用スロープ装置の分解斜視図である。
図4図2に示した携帯用スロープ装置をヒンジ部から折り畳んだ格納状態を示す斜視図である。
図5図4に示した携帯用スロープ装置の連結作業の過渡状態又は分断作業の過渡状態を示す斜視図である。
図6】第1スロープに適用される連結レールの斜視図である。
図7】第2スロープに適用される連結レールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図3には、本願発明の実施形態に係る携帯用スロープ装置1を示している。このスロープ装置1は、次述の第1スロープ2と第2スロープ3を備えて構成され、該第1スロープ2と第2スロープ3をスロープ長手方向に連結した長尺形体で、段差部の高位面F1と低位面F2間に架設されて使用される。また、スロープ装置1の非使用時には、図3に示すように、上記第1スロープ2と第2スロープ3に分離することができるようになっている。以下、この第1スロープ2と第2スロープ3の構造等を具体的に説明する。
【0024】
「第1スロープ2」
上記第1スロープ2は、長矩形の一対の板体11、12を、その長辺縁部を近接対向させた状態で並設し、この近接対向部を帯状のヒンジ部5によって折曲自在に連結して構成される。そして、この第1スロープ2は、上記2枚の板体11、12が平面状に展開した展開姿勢(図1図2参照)と、上記2枚の板体11、12が上記ヒンジ部5部分から折り畳まれた格納姿勢(図4図5参照)を選択的にとり得るようになっている。
【0025】
また、この第1スロープ2の展開姿勢においてスロープ幅方向の両端に位置する上記第1板材11の長辺縁部と上記第2板材12の長辺縁部のそれぞれには、帯板状の車輪止め7が設けられており、これら左右の車輪止め7,7の内側部分は、例えば、樹脂コーティングなどの耐摩耗性処理が施された走行面9とされる。なお、この車輪止め7の端面7aは、後述するように、上記第1スロープ2と第2スロープ3の連結状態において荷重支持部の一部として機能する。
【0026】
さらに、上記第1スロープ2のスロープ長手方向の一端側には、上記第1板材11と第2板材12に対応して、高位面F1側への掛止部となる端部材13がそれぞれ設けられている。一方、上記第1スロープ2のスロープ長手方向の他端2bには、図3及び図6に示すように、略U字形の断面形状を持つレール片41Aとレール片41Bが、その開溝を上記走行面9側に向けた姿勢で、上記第1板材11と第2板材12のそれぞれに対応して設けられている。この二つのレール片41A,41Bは協働して第1連結レール41を構成し、次述の第2スロープ3側に設けられる第2連結レール42(図7参照)と共に、上記第1スロープ2と上記第2スロープ3の連結機能及び分離機能をもつ連結機構4を構成する。
【0027】
「第2スロープ3」
上記第2スロープ3は、上記第1スロープ2と同様の構造をもつもので、長矩形の一対の板体21、22を、その長辺縁部を近接対向させた状態で並設し、この近接対向部を帯状のヒンジ部6によって折曲自在に連結して構成される。そして、この第2スロープ3は、上記2枚の板体21、22が平面状に展開した展開姿勢(図1図2参照)と、上記2枚の板体21、22が上記ヒンジ部6部分から折り畳まれた格納姿勢(図4図5参照)を選択的にとり得るようになっている。また、この第2スロープ3の展開姿勢においてスロープ幅方向の両端に位置する上記第1板材21の長辺縁部と上記第2板材22の長辺縁部には、それぞれ帯板状の車輪止め8が設けられており、これら左右の車輪止め8,8の内側部分は、例えば、樹脂コーティングなどの耐摩耗性処理が施された走行面9とされる。
【0028】
また、この第2スロープ3の展開姿勢においてスロープ幅方向の両端に位置する上記第1板材21の長辺縁部と上記第2板材22の長辺縁部のそれぞれには、帯板状の車輪止め8が設けられており、これら左右の車輪止め8,8の内側部分は、例えば、樹脂コーティングなどの耐摩耗性処理が施された走行面9とされる。なお、この車輪止め8の端面8aは、後述するように、上記第1スロープ2と第2スロープ3の連結状態において荷重支持部として機能する。
【0029】
さらに、上記第2スロープ3のスロープ長手方向の一端3aには、図3及び図7に示すように、略U字形の断面形状を持つレール片42A、42Bが、その開溝を上記走行面9の反対側(即ち、裏面側)に向けた姿勢で、上記第1板材21と第2板材22のそれぞれに対応して設けられている。この二つのレール片42A、42Bは協働して第2連結レール42を構成し、前述の第2スロープ3側に設けられる第1連結レール4と共に、上記第1スロープ2と上記第2スロープ3の連結機能及び分離機能をもつ連結機構4を構成する。
【0030】
一方、上記第2スロープ3のスロープ長手方向の一端側には、上記第1板材21と第2板材22に対応して、低位面F2への載置部となる端部材14がそれぞれ設けられている。
【0031】
「第1スロープ2と第2スロープ3の連結構造の説明」
上述のように、上記第1スロープ2の第1板材11と第2と板材12の端部には、上記レール片41A、41Bがそれぞれその開溝を上記走行面9側に向けた状態で取り付けられている。また、上記第2スロープ3の第1板材21と第2板材22の端部には、上記レール片42A、42Bがそれぞれその開溝を裏面側に向けた状態で取り付けられている。
【0032】
そして、上記第1スロープ2と第2スロープ3は、図1に示すような展開姿勢の他に、図4に示すように、それぞれヒンジ部5及びヒンジ部6から折り畳まれることで、格納姿勢をとることができる。
【0033】
「第1スロープ2と第2スロープ3が共に展開姿勢にある状態での連結操作」
第1スロープ2と第2スロープ3が共に展開姿勢にあるときには、上記第1スロープ2側の各レール片41A,41B、及び上記第2スロープ3側の各レール片42A,42Bは、共に同軸上に位置する。
【0034】
したがって、第1スロープ2と上記第2スロープ3が共に展開姿勢にあるときには、該第1スロープ2のスロープ幅方向の一端側から上記第1連結レール41の各レール片41A,41Bを、上記第2スロープ3の第2連結レール42の各レール片42A,42Bに嵌合させることで、上記第1スロープ2と上記第2スロープ3を連結することができる。また、連結解除操作は、上記手順とは逆の操作手順を実行することで実現される。
【0035】
「第1スロープ2と第2スロープ3が共に格納姿勢にある状態での連結操作」
一方、上記第1スロープ2及び第2スロープ3が共に格納姿勢にあるときには、図4及び図5にそれぞれ拡大図示するように、上記第1スロープ2側の各レール片41A,41B、及び上記第2スロープ3側の各レール片42A,42Bは、それぞれ上記ヒンジ部5又は上記ヒンジ部6において折り返された状態で二列に並置されている。そして、上記第1連結レール41の上記レール片41A,41Bの左右の切り落とし端は、上記第1スロープ2の両端側に、また上記レール片42A,42Bの左右の切り落とし端は、上記第2スロープ3の両端側に、それぞれ露出状態で開口している。
【0036】
したがって、格納姿勢にある上記第1スロープ2を拡開側の外方から見た場合には上記レール片41A,41Bの一端が並んで開口し、上記ヒンジ部5による折り畳み側の外方から見た場合には、上記レール片41A,41Bの他端が並んで開口することになる。また、格納姿勢にある上記第2スロープ3を拡開側の外方から見た場合には上記レール片42A,42Bの一端が並んで開口し、上記ヒンジ部6による折り畳み側の外方から見た場合には、上記レール片42A,42Bの他端が並んで開口することになる。
【0037】
この結果、上記第1スロープ2側の第1連結レール41の各レール片41A,41Bに、上記第2スロープ3側の第2連結レール42の各レール片42A,42Bをその軸方向から嵌合させて、これら各レール片41A,41Bと各レール片42A,42Bとの係止作用によって上記第1スロープ2と第2スロープ3の連結が実現されるものである。
【0038】
このように、上記第1スロープ2と第2スロープ3が共に格納姿勢にある状態でも、共に展開姿勢にある状態でも、上記第1スロープ2と第2スロープ3の連結、及び連結解除操作は可能であるが、上記第1スロープ2と第2スロープ3の相対移動量を小さく抑えて作業スペースの減少化を図るという観点からは、前者の操作形態(即ち、第1スロープ2と第2スロープ3が共に格納姿勢にある状態での連結操作、連結解除操作)を採用することが望ましい。
【0039】
「格納姿勢下での連結操作の利点」
上記第1スロープ2と上記第2スロープ3が共に格納姿勢にある状態での連結操作を行う場合であるが、図4図5には、格納姿勢にある第1スロープ2及び第2スロープ3を示している。これら各図においては、第1スロープ2の第1板材11と第2板材12が上記ヒンジ部5を起点として若干開いた姿勢となっている。同様に、上記第2スロープ3も、上記第3板材21と第4板材22が上記ヒンジ部6を起点として若干開いた姿勢となっている。
【0040】
この第1スロープ2と第2スロープ3は、その運搬時等においては、上記第1板材11と第2板材12、及び上記第3板材21と第4板材22を、適宜の固定手段によって引き付けて固定保持させるため、この固定保持状態においては、上記第1板材11と第2板材12、及び上記第3板材21と第4板材22はそれぞれ略平行に格納される。
【0041】
しかし、第1スロープ2と第2スロープ3の連結操作時には、上記固定手段が外されているため、第1スロープ2の上記第1板材11と第2板材12、及び上記第2スロープ3の上記第3板材21と第4板材22は、上記ヒンジ部5あるいはヒンジ部6の弾性力を受けて、若干開き気味となり且つ若干開閉できる状態となっている。
【0042】
このような状態下で、上記第1スロープ2側の第1連結レール41の各レール片41A,41Bを、上記第2スロープ3側の第2連結レール42の各レール片42A,42Bにこれらの軸方向から嵌合させる場合、上記第1スロープ2の第1連結レール41側と上記第2スロープ3に第2連結レール42側を適宜開閉方向に動かしながら嵌合させることで両者の芯合わせが促進され、これら両者が容易に嵌合され、上記第1スロープ2と第2スロープ3の連結操作がよりスムーズに行われることになる。これが格納姿勢下での連結操作の利点である。
【0043】
因みに、上記第1スロープ2と第2スロープ3を、それぞれ固定手段によって固定した状態で連結操作を行う場合には、上記第1スロープ2側の第1連結レール41の各レール片41A,41Bと、上記第2スロープ3側の上記第2連結レール42の各レール片42A,42Bの芯合わせを高精度で行う必要があることから、連結操作に手間取るということになる。
【0044】
「第1スロープ2と第2スロープ3の連結状態での剛性の確保」
図1に示すように、上記第1スロープ2と上記第2スロープ3をスロープ長手方向に連結して、これを長尺のスロープ装置をして段差部の高位面F1と低位面F2の間に架設して、例えば、車椅子等の通路として利用する場合には、上記連結機構4部分の剛性の確保が必要となるが、この実施形態のスロープ装置1においては、上記第1スロープ2側の上記第1連結レール41の各レール片41A,41Bと、上記第2スロープ3側の第2連結レール42の各レール片42A,42Bとの連結係止作用と、図2に拡大図示するように、上記第1スロープ2側の車輪止め7の端面7aと上記第2スロープ3側の車輪止め8の端面8aが、上記連結機構4の中心位置から径方向へ離間した位置において当接することによる上記第1スロープ2と第2スロープ3の撓み変形抑制作用の相乗効果によって、上記連結機構4部分の剛性が確保され、上記スロープ装置1の過度の撓みがなく、安全性及び信頼性の高いスロープ装置1が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本願発明に係る携帯用スロープ装置は、主として介護分野において広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 ・・スロープ装置
2 ・・第1スロープ
3 ・・第2スロープ
4 ・・連結機構
5 ・・ヒンジ部
6 ・・ヒンジ部
7 ・・車輪止め
8 ・・車輪止め
9 ・・走行面
11 ・・第1板材
12 ・・第2板材
13 ・・端部材
14 ・・端部材
21 ・・第1板材
22 ・・第2板材
41 ・・第1連結レール
42 ・・第2連結レール
F1 ・・高位面
F2 ・・低位面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7