(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017870
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】宿泊施設における便益提供装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20250130BHJP
【FI】
G06Q50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121177
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】592205735
【氏名又は名称】株式会社ケイティーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】樋口 宜尋
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC25
5L050CC25
(57)【要約】
【課題】顔認証に基づいて、宿泊施設における様々な便益をより効率的に利用・清算できる宿泊施設における便益提供装置を、提供する。
【解決手段】本発明の便益提供装置は、宿泊客の顔画像と宿泊客を識別する識別子とを関連付けた顔認証情報を記憶する記憶部と、前記宿泊客の顔画像を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された前記顔画像と前記顔認証情報との一致・不一致を判定する判定部と、前記判定部により、宿泊客を特定できた場合に、前記宿泊客に宿泊施設での利用許可識別子を発行する許可発行部と、前記利用許可識別子に基づいて、宿泊施設に関する設備の利用を許可する利用許可部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿泊客の顔画像と宿泊客を識別する識別子とを関連付けた顔認証情報を記憶する記憶部と、
前記宿泊客の顔画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された前記顔画像と前記顔認証情報との一致・不一致を判定する判定部と、
前記判定部により、宿泊客を特定できた場合に、前記宿泊客に宿泊施設での利用許可識別子を発行する許可発行部と、
前記利用許可識別子に基づいて、宿泊施設に関する設備の利用を許可する利用許可部と、を備える宿泊施設における便益提供装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記宿泊施設の居室入口、宿泊施設入り口、レセプション、エレベーター、駐車場および敷地入り口の少なくとも一か所に備わる、請求項1記載の宿泊施設における宿泊施設における便益提供装置。
【請求項3】
前記撮像部は、宿泊客が撮像範囲内に入った場合には、前記宿泊客の顔画像を自動撮像する、請求項2記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項4】
前記撮像部が宿泊客の顔画像を自動撮像した場合において、
前記判定部は、判定結果を宿泊施設の係員に通知し、
前記係員は、前記判定結果に基づいて、前記宿泊客を認識して対応を行う、請求項3記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項5】
前記係員は、前記判定結果を受信する受信機を所持する、請求項4記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項6】
前記受信機は、メガネ形態を有する、請求項5記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項7】
前記利用許可識別子は、一次元バーコードもしくは二次元バーコードであり、前記宿泊客の携帯端末に表示される、請求項1記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項8】
前記設備は、前記宿泊施設の居室であり、
前記利用許可識別子は、前記居室の開錠・施錠を制御する、請求項1記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項9】
前記設備は、前記宿泊施設の館内設備であり、
前記利用許可識別子は、前記館内設備の利用許可を制御する、請求項1記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項10】
前記利用許可識別子は、前記宿泊客の携帯端末に表示され、
前記利用許可識別子を通じて、前記館内設備の混雑状況を、前記携帯端末に表示する表示制御部を更に備える、請求項9記載の宿泊施設における便益提供装置。
【請求項11】
前記館内設備は、洗濯設備である、請求項10記載の宿泊施設における便益提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証の記録に基づいて、顧客に種々の便益を提供できる便益提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルなどの宿泊施設では、予約している宿泊客がレセプションでチェックインを行い、居室に入室して、その後宿泊施設内部施設やその周辺施設を利用する。現在の宿泊施設においては、レセプションや内部施設などにおいては、スタッフが人力で作業して、宿泊者の利用を可能とする。勿論、チェックインも同様である。
【0003】
例えば、まず予約客はレセプションで受付スタッフとの作業によりチェックインを行う。チェックインにより鍵を受け取り、宿泊客は居室に入ることが可能となる。入手する鍵やカードなどを用いて、宿泊施設内部の館内施設や周辺施設を利用することができるようになる。
【0004】
館内施設などを利用する際には、宿泊客がその場で利用手続きや支払いなどを行う。支払いなどにおいては、宿泊客が自ら、何らかの手段で支払う。あるいは、鍵による部屋番号を示すことで、宿泊施設において最終清算することもある。
【0005】
あるいは、有料ではない無料の館内施設を利用する場合には、鍵やカギに変わる証明書などを見せる必要などがある。
【0006】
また、宿泊施設によっては、宿泊施設の周辺店舗などを利用することができる場合もある。このような場合にも、宿泊客は鍵や宿泊証明書(宿泊者と宿泊している居室を紐づけるためのデバイス)を用いて、利用や清算を行う。
【0007】
また、当然であるが宿泊客が予約している居室に入るには、チェックインを済ませて鍵を受け取ってからの必要がある。鍵(あるいはこれに変わる証明書など)を用いることで、宿泊客は居室を自由に使用できるようになる。
【0008】
このように、宿泊施設における宿泊客は、居室あるいは管内施設などを利用する(あるいは清算する)のに鍵などを必要とする。また、この鍵はチェックインの手続きにより入手できる。現状においての多くの宿泊施設においては、このような手順が行われている。
【0009】
しかしながら、現在の宿泊施設におけるこのような手続きや利用での手順は、宿泊施設にとっても宿泊客にとっても、コストや手間が大きい問題がある。
【0010】
宿泊施設にとっては、多くの宿泊客のチェックインを処理しなければならない。また、宿泊客の全てに鍵を渡したりチェックアウトの手続きを行なったりすることの人手や人力作業が必要である。また、館内施設や周辺施設を宿泊客が利用する場合に、そのチェックや清算を鍵などで行う手間も生じる。それぞれの場所に長時間のスタッフを配置する必要があり、人件費などのコストが高くなってしまう問題がある。
【0011】
また、確認ミスや清算ミスなどによる経営損失や、顧客からのクレーム発生の原因となりえることもある。チェックイン時に異なる宿泊客の個別の要望を受けることで、チェックイン全体の処理が長引いて、宿泊施設のオペレーションが滞るデメリットもある。これにより宿泊客からのクレームが生じることもありえる。これは、館内施設などであっても同様である。
【0012】
逆に、宿泊客の立場からは、チェックインの手間や場合による行列に並ぶことの不便や時間的損失という問題がある。また、館内施設や周辺施設を使用する場合においても、手間や並んだりなどの時間の無駄が好ましくない。また、利用手続きや清算をいちいち行うことも手間である。また、鍵を持ち合わせていなかったりすると、施設の利用や清算もできないなどの不便もある。
【0013】
このような中、顔認証に基づいてチェックインを行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1は、宿泊施設の受付カウンターから視認可能な位置に設置されたチェックイン端末(10)を利用する訪問ユーザの顔画像を取得する第1取得手段(110)と、訪問ユーザの顔画像に基づいて訪問ユーザを特定して、訪問ユーザのチェックイン処理を実行する実行手段(220)と、サービスを利用する特定ユーザの顔画像を取得する第2取得手段(310)と、特定ユーザの顔画像に基づいて特定された特定ユーザのチェックイン処理が完了している場合に、サービスの利用を許可する許可手段(320)とを備える宿泊管理システムを開示する。
【0016】
特許文献1は、顔画像の認証により、宿泊でのチェックインを実行する。これにより、人力や書類に基づくチェックイン作業を減らし、宿泊施設と宿泊客双方の負担や手間を減らすことを実現しようとしている。
【0017】
しなしながら、チェックインは顔認証により簡略化できるとはいえ、それ以上の対応ができない。宿泊客にとっては、宿泊施設での滞在において必要とする様々なものについての手間や時間コストは従来と変わらない問題がある。これは、宿泊施設側にとっても同様である。
【0018】
このように、従来技術においては、顔認証によるチェックインを可能としていながら、宿泊客への便益提供が不十分であることで、宿泊客へのメリットが不十分である問題がある。更には、宿泊施設の人的コスト削減なども不十分である問題がある。
【0019】
本発明はこれらの課題に鑑み、顔認証に基づいて、宿泊施設における様々な便益をより効率的に利用・清算できる宿泊施設における便益提供装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題に鑑み、本発明の宿泊施設における便益提供装置は、宿泊客の顔画像と宿泊客を識別する識別子とを関連付けた顔認証情報を記憶する記憶部と、
前記宿泊客の顔画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された前記顔画像と前記顔認証情報との一致・不一致を判定する判定部と、
前記判定部により、宿泊客を特定できた場合に、前記宿泊客に宿泊施設での利用許可識別子を発行する許可発行部と、
前記利用許可識別子に基づいて、宿泊施設に関する設備の利用を許可する利用許可部と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明の宿泊施設における便益提供装置は、顔画像の記録に基づく顔認証により、宿泊施設での館内施設などでの利用が可能となる。また、利用に加えて、清算も可能となる。
【0022】
また、館内施設の空き状況などを顔認証により確認することもできる。
【0023】
また、顔認証によるチェックインが終了していることで、この顔認証に基づくアプリケーションを用いることで居室の開錠・施錠も可能となる。これにより、宿泊客は鍵や暗証番号などを持ち歩くことなく、居室への入室や退室が可能となる。
【0024】
また、顔画像の記録に基づいて、宿泊施設は到着した予約客を識別して、チェックイン前に予約客を出迎えることができる。これにより、予約客に対するホスピタリティが向上し、宿泊施設および宿泊客の双方にメリットが高まる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態1における宿泊施設における便益提供装置のブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態1における便益提供装置による居室利用を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施の形態1における洗濯設備の稼働状況を表示する利用態様を示す模式図である。
【
図5】利用許可識別子が表示された携帯端末の模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態2における宿泊客を宿泊施設に迎える状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の発明に係る宿泊施設における便益提供装置は、宿泊客の顔画像と宿泊客を識別する識別子とを関連付けた顔認証情報を記憶する記憶部と、
前記宿泊客の顔画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された前記顔画像と前記顔認証情報との一致・不一致を判定する判定部と、
前記判定部により、宿泊客を特定できた場合に、前記宿泊客に宿泊施設での利用許可識別子を発行する許可発行部と、
前記利用許可識別子に基づいて、宿泊施設に関する設備の利用を許可する利用許可部と、を備える。
【0027】
この構成により、顔画像による認証を起点として、宿泊客は鍵や暗証番号などを使用することなく、宿泊施設の設備を利用できる。
【0028】
本発明の第2の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第1の発明に加えて、前記撮像部は、前記宿泊施設の居室入口、宿泊施設入り口、レセプション、エレベーター、駐車場および敷地入り口の少なくとも一か所に備わる。
【0029】
この構成により、宿泊客は必要となる様々な場所で顔画像の撮像を通じた認証が可能となる。
【0030】
本発明の第3の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第2の発明に加えて、前記撮像部は、宿泊客が撮像範囲内に入った場合には、前記宿泊客の顔画像を自動撮像する。
【0031】
この構成により、宿泊客が利用したいと思う設備の近くに来た場合に、自動撮像を起点として利用許可に繋げることができる。
【0032】
本発明の第4の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第3の発明に加えて、前記撮像部が宿泊客の顔画像を自動撮像した場合において、
前記判定部は、判定結果を宿泊施設の係員に通知し、
前記係員は、前記判定結果に基づいて、前記宿泊客を認識して対応を行う。
【0033】
この構成により、宿泊施設は、宿泊客が到着した時点から宿泊客を特定してサービスを開始することができる。
【0034】
本発明の第5の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第4の発明に加えて、前記係員は、前記判定結果を受信する受信機を所持する。
【0035】
この構成により、係員は判定結果をすぐに確認して行動できる。
【0036】
本発明の第6の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第5の発明に加えて、前記受信機は、メガネ形態を有する。
【0037】
この構成により、スマートな外観で係員は宿泊客のもてなしを開始できる。
【0038】
本発明の第7の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第1の発明に加えて、前記利用許可識別子は、一次元バーコードもしくは二次元バーコードであり、前記宿泊客の携帯端末に表示される。
【0039】
この構成により、宿泊局は利用許可を容易に得ることができる。
【0040】
本発明の第8の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第1の発明に加えて、前記設備は、前記宿泊施設の居室であり、
前記利用許可識別子は、前記居室の開錠・施錠を制御する。
【0041】
この構成により、宿泊客は鍵や暗証番号を所持することなく、居室に入室できる。
【0042】
本発明の第9の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第1の発明に加えて、前記設備は、前記宿泊施設の館内設備であり、
前記利用許可識別子は、前記館内設備の利用許可を制御する。
【0043】
この構成により、宿泊施設の様々な館内設備を、利用許可識別子で確実に利用できる。
【0044】
本発明の第10の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第9の発明に加えて、前記利用許可識別子は、前記宿泊客の携帯端末に表示され、
前記利用許可識別子を通じて、前記館内設備の混雑状況を、前記携帯端末に表示する表示制御部を更に備える。
【0045】
この構成により、宿泊客の利便性がさらに高まる。
【0046】
本発明の第11の発明に係る宿泊施設における便益提供装置では、第10の発明に加えて、前記館内設備は、洗濯設備である。
【0047】
この構成により、宿泊施設の洗濯設備を利用できる。
【0048】
以下、図面を用いながら本発明の実施の形態について説明する。
【0049】
(実施の形態1)
【0050】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における宿泊施設における便益提供装置のブロック図である。宿泊施設における便益提供装置(以下、適宜「便益提供装置」と略す)の全体概要を模式的に示している。
【0051】
便益提供装置1は、記憶部2、撮像部3、判定部4、許可発行部5、利用許可部6と、を備える。便益提供装置1は、ホテル、旅館、民泊などの宿泊施設において用いられる。宿泊施設において、宿泊客100に対して、サービスなどの便益を提供する際に用いられる。
【0052】
記憶部2は、宿泊客100の顔画像と宿泊客100を識別する識別子とを関連付けた顔認証情報を記憶する。例えばある宿泊客100の顔画像と、当該宿泊客100の氏名や識別番号などを関連付けたものが顔認証情報である。宿泊施設にとっては、宿泊客の個人情報を顔画像と紐づけて判別することができるための情報である。
【0053】
撮像部3は、宿泊客100の顔画像を撮像する。撮像部3は、宿泊施設において宿泊客100と接する場所(宿泊客100が必要な用事を行なったり、利用を行なったりする場所)に備えられる。例えば、宿泊施設の居室入口、レセプション、エレベーター、ロビー、駐車場および敷地入口の少なくとも一か所に、撮像部3が備わればよい。
【0054】
これらの場所に撮像部3があることで、宿泊客100が便益を受けようとする場所での利用許可を出すことができるからである。また、これらの場所は、宿泊客100が必ず立ち寄るので、撮像を容易に行えるからである。
【0055】
撮像部3は、宿泊客100がその撮像領域に入った場合に、自動撮像してもよいし、宿泊客100が撮像領域に主体的に入った場合に撮像することでもよい。後者の場合には、撮像部3が自動撮像することでもよいし、宿泊客100が撮像部3を操作することで自身の顔画像を撮像することでもよい。
【0056】
撮像部3で撮像された宿泊客100の顔画像は、記憶部2もしくは判定部4に出力される。判定部4での判定に用いられるが、判定部4が顔画像を受信して判定に用いてもよいし、一旦記憶部2に記憶されておき、判定部4は記憶部2からこの顔画像を読みだして判定に用いることでもよい。
【0057】
判定部4は、撮像部3で撮像された顔画像と、記憶部2に記憶されている顔認証情報との一致・不一致を判定する。記憶部2は、宿泊施設において登録された複数の宿泊客100の顔認証情報を記憶している。判定部4は、この複数の顔認証情報と撮像部3から得られた顔画像とを比較する。比較により、顔画像と記憶部2に記憶されている顔認証情報に一致するものがあれば、顔画像を撮像した宿泊客100の識別子を検出できる。
【0058】
この検出により、撮像部3で撮像された顔画像の宿泊客100の氏名や宿泊施設での登録番号などが把握できる。これにより、判定部4は、顔画像の宿泊客100を特定できる。例えば、「〇〇氏」とのように特定できる。過去に宿泊客100が登録していることで、顔画像から当該宿泊客を特定できる。また、顔画像が撮像された時刻においては、当該宿泊客100が、この宿泊施設に実際に宿泊していることも併せて確認される。
【0059】
顔画像の撮像を起点として、記憶部2と判定部4との処理により、顔画像の宿泊客100が、当該宿泊施設に宿泊中であること、宿泊している部屋番号などが把握される。
【0060】
勿論、撮像された顔画像の宿泊客100の顔認証情報が、記憶部2に登録されていないこともあり得る。この場合には、別途のシステムなどにより、当該宿泊客100の顔認証情報の登録手続きが行われる。
【0061】
判定部4で特定されることで、宿泊客100が実際に宿泊施設に宿泊していると判断できるので、宿泊施設は、この宿泊客100に宿泊施設の便益提供を行うことができる。例えば、宿泊施設の居室の利用、館内設備の利用などの便益を提供してよい宿泊客である。
【0062】
許可発行部5は、このように宿泊客100が特定できた場合に、宿泊客100に宿泊施設での利用許可識別子を発行する。利用許可識別子は、電子媒体、紙媒体、部材媒体などで発行されればよい。宿泊客100は、この利用許可識別子をもって、宿泊施設内部での設備を利用することができる。
【0063】
利用許可部6は、利用許可識別子に基づいて、宿泊客100が宿泊施設に関する設備の利用を、実際に許可する。例えば、宿泊施設の居室であったり、館内設備であったりの設備に、宿泊客が入室したり、利用したりすることを実際に許可する。例えば、利用許可部6は、利用許可識別子を認証する認証機能を有しており、認証されれば宿泊客100は設備を利用することができるようになる。
【0064】
結果として、宿泊客100は、宿泊施設が提供する便益を利用することができるようになる。
【0065】
このように、便益提供装置1は、宿泊客100の顔認証情報が記憶されている場合には、宿泊客100は、顔画像の撮像を行うだけで宿泊施設に備わる設備の利用が可能となる。利用許可識別子は、居室の鍵や宿泊客100の身分証明書の提示などを必要としない。また、宿泊客100の署名なども不要である。
【0066】
これにより、宿泊客100は、鍵や身分証明書などを持ち歩く必要がなくなり、宿泊施設における設備利用での面倒が減る。結果として、宿泊施設での滞在が快適になる。宿泊客100にとっては便利であり楽になる。
【0067】
宿泊施設においては、宿泊客100に鍵や身分証明書の提示を求めることがなくなるので、宿泊客とのトラブルが防止できる。また、偽造署名などの問題も未然防止できるので、設備提供における安全性や信頼性も高まる。他の宿泊客にとっても、設備利用時のトラブルの未然防止となり、安心感が高まる。
【0068】
このように、便益提供装置1は、宿泊客にとっても宿泊施設にとっても好ましい結果をもたらす。
【0069】
次に、各部の詳細や他のバリエーションについて説明する
【0070】
(撮像部)
撮像部3は、宿泊客100が撮像範囲内に入った場合には、宿泊客100の顔画像を自動撮像してもよい。例えば、利用設備の前に撮像部3が備わっており、その撮像範囲内に宿泊客100が入ったら自動撮像する。
【0071】
例えば、設備が居室や大浴場などのようにロック解除が必要な場合には、自動撮像を起点として、利用許可に繋がればよい。
【0072】
また撮像部3は、宿泊客100が所持する携帯端末に備わっていてもよい。例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末などのカメラ機能が、この撮像部3となってもよい。この場合、携帯端末に撮像された顔画像を判定部4もしくは記憶部2に送信する機能が備わっている。
【0073】
宿泊客100は、所持する携帯端末のカメラ機能で自分の顔画像を撮像して送信する。この送信により受診された顔画像から、判定部4以降の機能が開始される。この結果、宿泊施設の設備の利用が可能となる。
【0074】
(居室における処理)
便益提供装置1が便益を提供する宿泊施設の設備の一つとして居室がある。居室は、宿泊客100が鍵や暗証番号をもって開錠するのが一般的である。便益提供装置1は、宿泊客100が居室を利用する場合にも適用できる。
【0075】
図2は、本発明の実施の形態1における便益提供装置による居室利用を示す模式図である。宿泊施設には、多数の居室200が存在する。宿泊客100は、自身の居室200を利用する(宿泊する)。
【0076】
居室200には撮像部3としての設置カメラ31が備わっている。設置カメラ31は、宿泊客100の入室の際に顔画像を自動撮像できる。そのための位置に備わっており、宿泊客100が居室200の前に立つと、設置カメラ31の撮像範囲内に宿泊客100の顔が入るようになっている。
【0077】
設置カメラ31は、宿泊客100の顔画像を撮像する。撮像した顔画像を判定部に出力し、判定部の判定結果に基づいて、許可発行部5が利用許可識別子を発行する。このとき、利用許可識別子は、宿泊客100に電子媒体や紙媒体などの様々な方法で発行されるので、宿泊客100はこれを利用して開錠する。
【0078】
利用許可識別子は、居室200の開錠、施錠を制御できる。
【0079】
また、判定部4は、宿泊客100の顔認証情報と居室との紐づけを含めて判定する。この判定により、当該居室200と宿泊客100とが確実に紐づけされていることを確認して、利用許可識別子を発行できる。
【0080】
(宿泊施設の館内設備での利用)
便益提供装置1が対応する設備は、宿泊施設の館内設備である。一例として洗濯設備(ランドリー設備)である。利用許可識別子は、館内設備の利用許可を制御する。例えば、電子媒体や紙媒体で発行された利用許可識別子を、利用許可部6に照合させることで、館内設備の利用が可能となる。
【0081】
例えば、洗濯設備の入り口や洗濯機に利用許可部6が備わっている。これらは、利用許可識別子を照合する照合機能を有している。この照合機能により、利用許可識別子を照合して、設備の利用を許可できる。例えば、入り口が開錠されたり、機器が動作開始になったりする。
【0082】
【0083】
宿泊客100は、顔画像に基づく判定の後で、利用許可識別子を得る。この利用許可識別子は、例えば、宿泊客100の携帯端末に電子媒体として表示される。宿泊客100は、この電子媒体の利用許可識別子を用いて洗濯設備を利用する。例えば、
図3においては、5階ランドリーの一つが空いているので、これを利用すればよい。
【0084】
また、利用許可識別子は、設備の実際の利用にのみ使用されるのではなく、設備の稼働状況や混雑状況などを表示することにも使用される。
図4は、本発明の実施の形態1における洗濯設備の稼働状況を表示する利用態様を示す模式図である。
【0085】
宿泊客100は、撮像された顔画像を元にして、便益提供装置から利用許可識別子を得る。この利用許可識別子は、宿泊施設の設備全体に共通していてもよいし、設備ごとに発行されてもよい。例えば、ここでは洗濯設備に対応する利用許可識別子が発行されてもよい。
【0086】
宿泊客100は、発行された利用許可識別子を
図3のように洗濯設備の実際の利用に用いることもできる。一方で、
図4のように洗濯設備の稼働状況を確認することに用いることもできる。宿泊客100は、発行された利用許可識別子を利用許可部6に照合する。例えば、利用許可部6に読み込ませる。
【0087】
この結果、利用許可部6は、洗濯設備の稼働状況を種々の場所に表示する。例えば、宿泊施設のサイネージ、宿泊客の携帯端末(スマートフォンやタブレット)、宿泊客の居室内部のテレビなどに、稼働状況を表示する。また、稼働状況だけでなく、使用している洗濯設備の終了状況も表示されてもよい。これにより、宿泊客100の洗濯設備利用の利便性が高まる。
【0088】
このような利用許可識別子の発行により、宿泊客100は、洗濯設備の利用を開始したり、洗濯設備の稼働状況を把握したりすることができる。顔画像の判定に基づくので、宿泊客100が特定された上での便益提供なので、便益を希望する宿泊客100は、自分にとっての便益であることを確認できる。
【0089】
また、宿泊施設も宿泊客100を特定したうえで、設備の利用や情報提供ができるので、安心感が高い。便益提供ができることで、宿泊客100へのサービス向上となり、宿泊施設の魅力が向上する。
【0090】
このとき、
図4に示されるように、携帯端末に混雑状況などを表示する表示制御部7を更に備えることも好適である。表示制御部7は、便益提供装置1が備える。便益提供装置1の少なくとも一部は、宿泊施設のサーバー内部において構成されていることがある。この場合、このサーバー内部に表示制御部7が備わっていればよい。サーバーの動作により、表示制御も行われる。
【0091】
これにより、
図4のように携帯端末などに混雑状況などが表示される。
【0092】
なお、ここでは居室と洗濯設備を一例として説明したが、これら以外の宿泊施設内部の設備でも同様である。
【0093】
(利用許可識別子)
利用許可識別子は、一次元バーコードもしくは二次元バーコードにより構成されてもよい。勿論、他の態様もありえる。これらの態様を有することで、宿泊客100は、利用許可部6を介した設備の利用が容易となる。また、これらの態様であることで、セキュリティも高くなる。
【0094】
ここで、利用許可識別子210は、
図5のように宿泊客100の携帯端末200に表示されることも好適である。
図5は、利用許可識別子が表示された携帯端末の模式図である。携帯端末200に利用許可識別子210が表示されている。
【0095】
利用許可識別子210が携帯端末200に表示されることで、宿泊客100は、設備の利用が容易となる。例えば、居室入口や洗濯設備入口に利用許可部6が備わっている。利用許可部6は、利用許可識別子210を読み取り可能な機能を有する。
【0096】
利用許可識別子が一次元バーコードや二次元バーコードであれば、利用許可部6がこれを読み取りすることで、利用許可が行われる。携帯端末200に表示されているので、宿泊客100は携帯端末200を所持していれば、利用許可部6での利用許可を得ることが容易である。また、利用許可識別子210が電子媒体で携帯端末200に表示されることで、紙媒体などと異なり紛失などの懸念も少ない。
【0097】
これらにより、宿泊客100への利便性がさらに高まる。
【0098】
以上のように、実施の形態1における便益提供装置1は、顔画像による認証に基づいて、宿泊客100および宿泊施設にとって安全で便利な便益提供を実現できる。
【0099】
(実施の形態2)
【0100】
次に、実施の形態2について説明する。
【0101】
実施の形態2では、宿泊施設の係員に対して顔画像に基づく認証結果を通知して、係員による宿泊客100へのサービスレベルを向上させる場合について説明する。
【0102】
図6は、本発明の実施の形態2における宿泊客を宿泊施設に迎える状態を示す模式図である。
【0103】
宿泊客100は、様々な手段で宿泊施設に到着する。公共交通機関、自家用車、徒歩(公共交通機関からの徒歩を含む)、送迎バスなどである。
図6では、この一例として自家用車で宿泊施設に到着する宿泊客の状態を示している。自家用車に宿泊客100が乗車している。
【0104】
撮像部3は、撮像範囲内に入った宿泊客100の顔画像を撮像する。ここで、撮像部3は、例えば宿泊施設の駐車場入り口やエントランスの車回しなどに備わっている。このような場所に備わっていることで、自家用車に乗った宿泊客100は、撮像部3の撮像範囲に入りやすい。
【0105】
このようにして撮像範囲に入ったら、撮像部3は、宿泊客100の顔画像を自動撮像する。撮像された顔画像は判定部4に送信される。判定部4は、顔認証情報との照合により宿泊客100を識別する。例えば、「〇〇氏」であることを識別する。判定部4は、この判定結果を宿泊施設の係員に通知する。たとえば、レセプションスタッフやドアマンなどに通知する。
【0106】
この判定結果の通知を受けた係員は、宿泊客100を認識した対応を行う。例えば、宿泊客100の氏名を最初から呼んだうえで案内するなどである。あるいは、チェックインと連動させてもよい。宿泊客100は、到着した時点から自身の氏名により案内されるので、高いおもてなしを受けた気分となれる。また、案内やチェックインがスムーズになるので利便性も高まる。
【0107】
これらが相まって、宿泊客100は、宿泊施設に対するロイヤリティを持つようになる。自分が到着したところから、宿泊施設の係員が自分の氏名を呼んで案内してくれることは、非常に嬉しく感じるからである。また、自家用車で到着した場合には、自家用車を降りたところから自身の氏名を呼んで案内されることになる。この場合も、特別な扱いを受けたように感じて、宿泊客100は宿泊施設に対する嬉しさを感じる。
【0108】
また、宿泊施設もこのような対応ができることで、宿泊客100のロイヤリティを向上させてリピーターに繋げることができる。また、宿泊客100を早期に特定することで、種々のトラブル防止につなげることもできる。
【0109】
また、撮像部3が宿泊施設の入り口や駐車場の入り口に備わり、この時点で宿泊客100を特定できることで、そのままチェックインに繋げることもできる。このとき、特定された判定結果を係員が受信できることで、係員が宿泊客を誘導することもできる。
【0110】
このようにチェックインに繋げることで、混雑防止につながるメリットがある。
【0111】
また、係員は、判定部4の判定結果を受信する受信機を所持することも好適である。例えば、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末を、受信機として所持している。受信機に判定結果が受信されることで、係員は来訪した宿泊客100の氏名や属性を即座に把握できる。把握に基づいて、係員は宿泊客100を案内できる。
【0112】
また、受信機はメガネ形態を有することもよい。受信機能と表示機能が備わったメガネ形態の受信機が存在している。このメガネ形態の受信機を係員が装着する。係員は装着しているメガネ形態の受信機で受信される判定結果に基づいて、宿泊客100を出迎えたり案内したりする。
【0113】
メガネ形態の受信機により、係員は外観もスマートな状態で宿泊客100を出迎えることができる。結果として、宿泊客100へよい印象を与えることができる。
【0114】
また、撮像機能を備えたメガネ形態の受信機であって、メガネ形態の受信機が宿泊客の顔を撮像して、判定に繋げることもよい。判定された後については、実施の形態1において説明した通り、設備の利用につなげることもできる。あるいは、出迎えにおいて宿泊客の氏名を把握して行うこともできる。
【0115】
以上のように、実施の形態2における便益提供装置1は、宿泊客100へ更なる利便性を提供する。宿泊施設にとっては、宿泊客100との信頼関係を高めることができる。
【0116】
なお、実施の形態1~2で説明された宿泊施設における便益提供装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0117】
1 便益提供装置
2 記憶部
3 撮像部
4 判定部
5 許可発行部
6 利用許可部
100 宿泊客
200 携帯端末
210 利用許可識別子