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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017890
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】機器の操作部構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/02 20060101AFI20250130BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H01H13/02 A
H05K5/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121231
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 卓也
【テーマコード(参考)】
4E360
5G206
【Fターム(参考)】
4E360AB04
4E360AB05
4E360BA12
4E360BA15
4E360BC20
4E360CA03
4E360EA24
4E360ED07
4E360GA12
4E360GA51
4E360GB63
4E360GC08
4E360GC12
5G206AS46H
5G206AS46J
5G206AS46N
5G206AS46Q
5G206RS02
5G206RS14
5G206RS24
5G206RS37
(57)【要約】
【課題】操作パネルの表面を平面として美観を向上させることができる機器の操作部構造を提供する。
【解決手段】機器1に設けられた操作部2の構造であって、操作部2は、操作スイッチ7が設けられた操作装置5と、操作装置5を収容する収容部6と、収容部6を覆うの操作パネル4とを備える。操作装置5は、操作スイッチ7の操作に応じて発光する発光素子8と、操作スイッチ7が操作可能であり発光素子8の光が視認可能とされたスイッチ操作面12とを備える。収容部6は、操作装置5を収容したとき、スイッチ操作面12を開放する開放部14を備える。操作パネル4は、スイッチ操作面12から空隙Aを存して収容部の開放部14を閉塞する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に設けられて当該機器を操作する操作部の構造であって、
前記操作部は、操作スイッチが設けられた操作装置と、前記機器に形成されて前記操作装置を収容する収容部と、前記収容部を覆う平面板状の操作パネルとを備え、
前記操作装置は、前記操作スイッチの操作に応じて発光する発光素子と、前記操作スイッチが操作可能であり前記操作スイッチに対応する前記発光素子の光が視認可能とされたスイッチ操作面とを備え、
前記収容部は、前記操作装置を収容したとき、前記スイッチ操作面を開放する開放部を備え、
前記操作パネルは、前記操作装置の前記スイッチ操作面から空隙を存して前記収容部の前記開放部を閉塞することを特徴とする機器の操作部構造。
【請求項2】
請求項1記載の機器の操作部構造において、
前記収容部に収容された前記操作装置と前記収容部の内周壁との間に間隙部が形成されており、
前記収容部は、前記開放部の外周縁全周に沿って前記収容部の内側から外側に向かって次第に拡開しつつ湾曲する湾曲面が形成されていることを特徴とする機器の操作部構造。
【請求項3】
請求項1記載の機器の操作部構造において、
前記収容部は、前記開放部の周囲に広がる平坦面を備え、
前記操作パネルは、前記収容部の前記開放部から所定の距離を存して前記開放部の周囲の前記平坦面で接着手段により接着されていることを特徴とする機器の操作部構造。
【請求項4】
請求項1記載の機器の操作部構造において、
前記操作装置は、前記操作装置の天面を覆って前記発光素子の光を拡散する拡散シートを備えることを特徴とする機器の操作部構造。
【請求項5】
請求項4記載の機器の操作部構造において、
前記拡散シートは、前記操作パネルと非接触状態で設けられることを特徴とする機器の操作部構造。
【請求項6】
請求項4又は5記載の機器の操作部構造において、
前記拡散シートは、前記操作装置の天面の外周縁から内側へ所定距離を存した位置までの領域と、前記スイッチ操作面及び前記スイッチ操作面の周囲に対応する位置とを除いた部分が、接着手段により前記操作パネルに接着されていることを特徴とする機器の操作部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の操作部構造に関し、詳しくは、例えば温風暖房装置の本体に設けられて暖房運転時の操作を行う操作部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、機器の操作部においては、複数の操作スイッチが設けられるが、近年では更に、各操作スイッチの操作に応じて点灯するLED等の発光素子が設けられる。しかし、前記操作部の操作スイッチや発光素子は基板に取り付けられていて、外観上好ましいものではない。
【0003】
そこで、操作スイッチや発光素子は、操作部から露出しないように、操作パネルによって覆われる。操作パネルは、比較的薄く形成された板状の合成樹脂により形成されており、指等での押圧によって適度に撓みを生じることで、操作スイッチに押圧力が伝達されるようになっている。
【0004】
また、操作パネルには、各操作スイッチの位置や機能を示す印刷表示が施され、印刷表示等の対応位置においては、発光素子の光が透過して各操作スイッチの位置や操作状況等の各種情報が光により確認できるようになっている。
【0005】
ところで、従来、操作スイッチや発光素子を備える操作装置のスイッチ操作面には、接着剤を介して操作パネルが接着される。このとき、接着剤は、スイッチ操作面の操作スイッチや発光素子を除く略全面に設けられる。これにより、操作パネルは、操作装置のスイッチ操作面の略全面に密着した状態で接着される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-260967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のように、操作装置のスイッチ操作面の略全面に操作パネルを密着させて接着すると、スイッチ操作面に生じている凹凸や段差の影響により操作パネルの表面が平面にならず、操作パネルの美観が低下する不都合がある。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、操作パネルの表面を平面として美観を向上させることができる機器の操作部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明は、機器に設けられて当該機器を操作する操作部の構造であって、前記操作部は、操作スイッチが設けられた操作装置と、前記機器に形成されて前記操作装置を収容する収容部と、前記収容部を覆う平面板状の操作パネルとを備え、前記操作装置は、前記操作スイッチの操作に応じて発光する発光素子と、前記操作スイッチが操作可能であり前記操作スイッチに対応する前記発光素子の光が視認可能とされたスイッチ操作面とを備え、前記収容部は、前記操作装置を収容したとき、前記スイッチ操作面を開放する開放部を備え、前記操作パネルは、前記操作装置の前記スイッチ操作面から空隙を存して前記収容部の前記開放部を閉塞することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、操作パネルと操作装置のスイッチ操作面との間に空隙が形成されているので、スイッチ操作面に凹凸や段差が形成されていても、操作パネルを平面に維持することができ、美観を向上させることができる。
【0011】
本発明においては、前記収容部に収容された前記操作装置と前記収容部の内周壁との間に間隙部が形成されており、前記収容部は、前記開放部の外周縁全周に沿って前記収容部の内側から外側に向かって次第に拡開しつつ湾曲する湾曲面が形成されていることを特徴とする。
【0012】
操作パネルを介して操作装置の操作スイッチを接触或いは押圧操作すると、操作パネルが収容部の開放部から内側に凹入するように変形する場合がある。このとき、開放部の外周縁に角部が形成されていると、開放部の輪郭に沿って操作パネルが角張ってしまい、操作パネルの美観が低下するおそれがある。
【0013】
それに対して、本発明は、開放部の外周縁全周に沿って湾曲面が形成されているので、操作パネルを介して操作装置の操作スイッチを接触或いは押圧操作して、操作パネルが収容部の開放部から内側に凹入するように変形しても、操作パネルは湾曲面に沿って湾曲して角張ることがなく、操作パネルの美観を維持することができる。
【0014】
また、本発明において、前記収容部は、前記開放部の周囲に広がる平坦面を備え、前記操作パネルは、前記収容部の前記開放部から所定の距離を存して前記開放部の周囲の前記平坦面で接着手段により接着されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、接着手段が、収容部の開放部から所定の距離を存して開放部の周囲で操作パネルを接着しているので、開放部の周縁と操作パネルとの間に、未接着の部分が位置し、これによって、開放部の内周縁への操作パネルの接触度合いを小とすることができる。
【0016】
また、本発明において、前記操作装置は、前記操作装置の天面を覆って前記発光素子の光を拡散する拡散シートを備えることを特徴とする。
【0017】
拡散シートにより操作装置の発光素子の光ムラが拡散されて均一な発光状態が得られ、発光素子の光の美観と視認性を向上させることができる。
【0018】
更に、前記拡散シートは、前記操作パネルと非接触状態で設けられることを特徴とする。これによれば、異物や気泡が入り込んみ凹凸や段差が形成されていても、操作パネルを平面に維持することができ、美観を向上させることができる。また、拡散シートを操作パネルに密着させると、操作パネルを通して拡散シートが視認されてしまうおそれがあるが、本発明のように、拡散シートを操作パネルと非接触状態で設けることにより拡散シートが視認されてしまうことによる美観の低下を防止することができる。
【0019】
更に、前記拡散シートは、前記操作装置の天面の外周縁から内側へ所定距離を存した位置までの領域と、前記スイッチ操作面及び前記スイッチ操作面の周囲に対応する位置とを除いた部分が、接着手段により前記操作パネルに接着されていることが好ましい。
【0020】
これによれば、温度変化による操作パネルの膨張や、操作装置側の各部品の収縮に伴う操作パネルの膨張等を抑えることができ、操作パネルの歪みによる美観の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】温風暖房機の外観を示す斜視図。
図2】操作部を平面視た説明図であり、図2Aは操作開始前の操作パネルを示し、図2Bは発光素子が発光した際の操作パネルを示す。
図3】操作部の構造を示す説明的断面図。
図4図3の一部を拡大して示す説明的断面図。
図5】操作部の変形例を示す説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の操作部の実施形態として、図1に示す温風暖房機1に設けられた操作部2について説明する。
【0023】
図1に示すように、温風暖房機1は、本発明における機器に相当するものであり、高い美観を有するケーシング3の内部には、図示しないが、暖房用の温風を生成する空気加熱装置、室内空気を矯正循環させる空気清浄装置、及び、空気加熱装置や空気清浄装置を制御する制御装置等が収容されている。
【0024】
本実施形態の操作部2は、ケーシング3の天面側に設けられており、図2Aに示すように、暗色(黒色)で平坦な操作パネル4で覆われている。
【0025】
操作パネル4は、後述する操作装置5の発光により、図2Bに示すように各種の情報が表示される。
【0026】
操作装置5は、図3及び図4に示すように、ケーシング3に設けられた収容部6に収容されおり、図示しない制御装置等に電気的に接続されて当該制御装置を操作する。操作装置5は、複数の操作スイッチ7と発光素子であるLED8とが取り付けられた基板9を備えている。各LED8は、操作スイッチ7の操作に応じて発光するものと、制御装置から上方を表示するもの(本実施形態では7セグメントLED)等が設けられている。
【0027】
更に、操作装置5は、基板9の各操作スイッチ7の上部に当接する押圧部材10と、各押圧部材10を保持するブロック状の保持部材11とを備えている。保持部材11の上面(本発明における操作装置5の天面に相当)は平坦に形成されていて、操作装置5のスイッチ操作面12とされる。
【0028】
押圧部材10は、押圧操作時の上方からの押圧力を操作スイッチ7に伝達する。それだけでなく、押圧部材10は、透明の硬質合成樹脂により形成されていて、LED8の光をスイッチ操作面12に導く導光部材としての機能も有している。
【0029】
保持部材11の上面には、図3及び図4に示すように、拡散シート13が貼着されている。拡散シート13は白色系の樹脂フィルムによって形成されており、押圧部材10を透過したLED8の光にムラが生じても、拡散シート13を透過させることにより、光ムラを拡散してスイッチ操作面12上において均一な発光状態を得ることができる。
【0030】
図4に示すように、収容部6には、操作装置5のスイッチ操作面12の上方を開放する開放部14が形成されている。操作装置5は収容部6よりも小さく形成されており、これにより、収容部6の内周壁6aと、操作装置5の保持部材11との間には間隙部Bが形成される。
【0031】
図4に示すように、開放部14の外周縁の全周に沿って湾曲面15が形成されている。湾曲面15は、収容部6の内周壁6aの上縁において開放部14の内側から外側に向かって次第に拡開しつつ湾曲する。このように湾曲面15が設けられているので、開放部14の内周縁は角張っていない。
【0032】
また、図4に示すように、収容部6に形成された開放部14の外周部分の上面は、平坦面16とされている。平坦面16は、操作パネル4の平面視形状に対応する領域にわたり平坦に形成されている。
【0033】
図4に示すように、操作パネル4は、開放部14を覆う。操作パネル4は、開放部14の周囲における開放部14から所定の距離を存して両面接着テープ等の接着手段17によって接着されている。そして、図4に示すように、操作パネル4と、操作装置5のスイッチ操作面12(拡散シート13の上面)との間には、空隙Aが形成される。
【0034】
なお、空隙Aは僅かな寸法で設ければよく、操作パネル4を押圧操作したときに、操作パネル4の撓み量を極僅かとして操作パネル4に押圧力が付与されたときに当該押圧力が即座に操作スイッチ7に伝達されるようになっている。
【0035】
以上説明した本実施形態の操作部2の構造によれば、操作パネル4が、操作装置5のスイッチ操作面12(拡散シート13の上面)との間に空隙Aを存して設けられているので、スイッチ操作面12(又は拡散シート13の上面)に凹凸や段差が形成されていても、空隙Aがその凹凸や段差を吸収して操作パネル4のゆがみの発生を防止することができ、操作パネル4の平坦な状態を維持して外観低下を防止することができる。
【0036】
更に、、操作パネル4とスイッチ操作面12の拡散シート13との間に空隙Aが設けられているので、拡散シート13が操作パネル4に密着している場合のような、操作パネル4を通して拡散シート13が視認されてしまうことも防止できる。
【0037】
また、スイッチ操作面12(拡散シート13の上面)との間に空隙Aを設けたことにより、開放部14の周縁と操作装置5のスイッチ操作面12との間に高低差が生じるが、開放部14の周縁が湾曲面15とされていることにより、操作パネル4が押圧操作に伴って湾曲面15に接し、角張ることなく滑らかに湾曲するので、開放部14やスイッチ操作面12の輪郭が操作パネル4上に浮き出ることがない。
【0038】
しかも、接着手段17が、開放部14から離れた位置に設けられているので、開放部14の周縁と操作パネル4との間に、未接着の部分が形成されているので、開放部14の内周縁(湾曲面15)への操作パネル4の接触度合いを小とすることができる。これによれば、操作時の操作パネル4に開放部14やスイッチ操作面12の輪郭が浮き出ることを一層確実に防止することができる。
【0039】
また、操作部の変形例として、図5に示す構造を挙げることができる。即ち、図5に示すように、操作装置5に設けた拡散シート13と操作パネル4とは、両面接着テープ等の接着手段18によって接着されている。このとき、接着手段18は、保持部材11の上面(操作装置5の天面)の外周縁から内側へ所定距離を存した位置までの領域W1と、スイッチ操作面12及びその周囲に対応する領域W2とを除いた部分に設けられて、操作パネル4と拡散シート13とを接着している。
【0040】
これによれば、室温の変化に伴い操作パネル4に膨張が生じた場合や、操作パネル4を接着した収容部6の周辺部の収縮に伴い操作パネル4に膨張が生じた場合に、操作パネル4の歪みを抑えることができ、操作パネル4の美観低下が防止できる。
【0041】
なお、本実施形態においては、好ましい例として、開放部14の外周縁の全周に沿って湾曲面15が形成されているものを示したが、これ以外に、傾斜面であってもよく、Cカット等の面取りでもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、温風暖房機1の操作部2を挙げて説明したが、本発明における操作部の構造は、温風暖房機1以外の機器(例えば、コンロやレンジ等の各種調理器具や家電製品)にも好適に採用することができ、外観を良好にして機器の美観を向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1…温風暖房機(機器)、2…操作部、4…操作パネル、5…操作装置、6…収容部、6a…収容部の内周壁、7…操作スイッチ、8…LED(発光素子)、12…スイッチ操作面、13…拡散シート、14…開放部、15…湾曲面、16…平坦面、17,18…接着手段、A…空隙、B…隙間部。
図1
図2
図3
図4
図5