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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017978
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20250130BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250130BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/00 L
G03G15/00 107
G03G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121335
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小須田 繁
【テーマコード(参考)】
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2H270KA54
2H270LA60
2H270LB20
2H270LD05
2H270LD11
2H270PA36
2H270PA61
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC65
5C062AD05
(57)【要約】
【課題】綴じ部材検出部を通過した原稿と、原稿積載部に載置される原稿との同一性を担保する。
【解決手段】原稿を読み取る読み取り部41、42と、読み取り部41、42に向けて給送される原稿を積載する原稿積載部1と、原稿積載部1に原稿が載置されたことを検出する第一の原稿検出部51と、原稿を綴じる綴じ部材を検出する、原稿積載部1とは異なる箇所に設けられた綴じ部材検出部20と、綴じ部材検出部20に対する原稿の通過を検出する第二の原稿検出部と、第二の原稿検出部による検出タイミングと第一の原稿検出部での検出タイミングの差に基づき、第一の原稿検出部51で検出された原稿と第二の原稿検出部で検出された原稿が同一か判断する原稿同一性判断部70とを備え、原稿同一性判断部70が同一の原稿ではないと判断した場合、読み取り部41、42による読み取り処理を実行しないことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部に向けて給送される原稿を積載する原稿積載部と、
前記原稿積載部に原稿が載置されたことを検出する第一の原稿検出部と、
原稿を綴じる綴じ部材を検出する、前記原稿積載部とは異なる箇所に設けられた綴じ部材検出部と、
前記綴じ部材検出部に対する原稿の通過を検出する第二の原稿検出部と、
前記第一の原稿検出部での検出タイミングと前記第二の原稿検出部での検出タイミングの差に基づき、前記第一の原稿検出部で検出された原稿と前記第二の原稿検出部で検出された原稿が同一か判断する原稿同一性判断部と
を備え、
前記原稿同一性判断部が同一の原稿ではないと判断した場合、前記読み取り部による読み取り処理を実行しないことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第一の原稿検出部での原稿検知タイミングと前記第二の原稿検出部による原稿通過検出タイミングとの差が予め設定された第一時間より小さい時に、前記原稿一致性判断部は、前記第一の原稿検出部で検出された原稿と前記第二の原稿検出部で検出された原稿が一致していないと判断することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第一の原稿検出部での原稿検知タイミングと前記第二の原稿検出部による原稿通過検出タイミングとの差が予め設定され前記第一時間よりも大きい第二時間より大きい時に、原稿一致性判断部は、前記第一の原稿検出部で検出された原稿と前記第二の原稿検出部で検出された原稿が一致していないと判断することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿同一性判断部の判断結果をユーザーに報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記原稿同一性判断部が前記第一の原稿検出部で検出された原稿と前記第二の原稿検出部で検出された原稿が一致していないと判断した場合に、スキャン動作を行うか否かを選択可能な選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記綴じ部材検出部は、綴じ部材の移動に伴って変化する磁界を利用して前記綴じ部材を検出し、
前記第二の原稿検出部による原稿の検出結果及び前記綴じ部材検出部による綴じ部材の検出結果を受ける磁界検出制御部と、を備え、
前記磁界検出制御部は、前記第二の原稿検出部が原稿の通過を検出している状態において、前記綴じ部材検出部が磁界の変化を検出した場合、綴じ部材ありと判断することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記綴じ部材検出部が、前記画像読取装置と脱着可能に構成されていることを特徴とする請求項1から6に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を搬送する搬送装置として、ステープルやクリップなどの綴じ部材で綴じられたままの原稿が搬送されると、原稿が破損したり、搬送装置の搬送路内を傷付けたりしてしまうため、給紙動作を開始する前に綴じ部材を検知する方法が求められている。
【0003】
従来、筐体の側面に綴じ部材検出部を設けた画像読取装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7000911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、綴じ部材検出動作をされた原稿と、原稿積載部に載置される原稿との同一性を担保できない課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を鑑み、本発明に係る画像読取装置は、
原稿を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部に向けて給送される原稿を積載する原稿積載部と、
前記原稿積載部に原稿が載置されたことを検出する第一の原稿検出部と、
原稿を綴じる綴じ部材を検出する、前記原稿積載部とは異なる箇所に設けられた綴じ部材検出部と、
前記綴じ部材検出部に対する原稿の通過を検出する第二の原稿検出部と、
前記第一の原稿検出部での検出タイミングと前記第二の原稿検出部での検出タイミングの差に基づき、前記第一の原稿検出部で検出された原稿と前記第二の原稿検出部で検出された原稿が同一か判断する原稿同一性判断部と
を備え、
前記原稿同一性判断部が同一の原稿ではないと判断した場合、前記読み取り部による読み取り処理を実行しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、綴じ部材検出部が原稿積載部とは異なる場所にある構成において、綴じ部材検出部によって綴じ部の有無を確認した原稿と原稿積載部に置かれた原稿の同一性を担保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る画像読取装置を概略的に示す側面視の断面図。
図2】第1の実施形態に係る画像読取装置を、一部を透視して概略的に示す平面図。
図3】第1の実施形態に係る画像読取装置を概略的に示す斜視図。
図4】第1の実施形態に係るステープル検知部の構成を示す側面視の概略断面図。
図5】第1の実施形態に係るステープル検知センサの構成を示す概略図。
図6】第1の実施形態に係るステープルの位置と共振周波数との関係を示すグラフ。
図7】第1の実施形態に係るステープル検知の制御のフローチャート。
図8】第1の実施形態に係る原稿同一性確認の制御のフローチャート。
図9】第2の実施形態に係る原稿同一性確認の制御のフローチャート。
図10】第3の実施形態に係るステープル検知装置を概略的に示す斜視図。
図11】第4の実施形態に係るステープル検知装置を概略的に示す側面視の断面図。
図12】第4の実施形態に係るステープル検知センサのコイル形状の説明図。
図13】第4の実施形態に係るステープル検知装置を概略的に示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について説明する。まず、本実施形態の画像読取装置の概略構成について、図1から図2を用いて説明する。
【0010】
[画像読取装置]
画像読取装置200は、原稿を搬送する原稿搬送装置101と、原稿搬送装置101により搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部40とを備える。原稿搬送装置101は、原稿積載部としての原稿台1と、分離給送手段としての分離給送機構10と、搬送手段としての搬送部30と、綴じ部材検知手段としてのステープル検知部20を備える。
【0011】
原稿台1は、原稿Pを複数枚積載できるトレイである。幅規制板8は、原稿の幅方向すなわち原稿搬送方向と直交する方向に移動し原稿の幅方向の位置を規制する。分離給送機構10は、給送手段としての給送ローラ11と、分離部材としての分離ローラ12とを備える。給送ローラ11は、給送モータ13によって回転駆動され、所定の給送速度で原稿を矢印RT方向に給送する。なお、所定の給送速度は、可変としても良い。例えば、原稿の種類(厚紙、薄紙、普通紙、プラスチックシートなど)に応じて適宜、所定の給送速度を可変としても良い。
【0012】
分離ローラ12は、給送ローラ11との間で原稿をニップするニップ部Nを形成し、原稿台1に積載された原稿Pを1枚ずつ分離して給送ローラ11により給送させる。ニップ部Nは、分離ローラ12と給送ローラ11とが当接している領域である。このような分離ローラ12は、原稿を原稿搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を、不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して分離モータ14から常時受けている。
【0013】
また、給送モータ13と分離モータ14は、制御手段としての制御部70の指示で駆動を開始、若しくは、停止する。また、制御部70は、不図示の通信線で後述の金属検知センサ21と接続されており、金属検知センサ21による検知結果に基づいて、給送モータ13と分離モータ14の駆動の開始、又は、停止を制御する。
【0014】
制御部70は、画像読取装置200全体の制御を行う。このような制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0015】
点線Dは、給送ローラ11と分離ローラ12のニップ部Nの原稿搬送方向の中心を示す線である。給送ローラ11により搬送される複数の原稿の先端が点線Dに到達した場合、原稿は給送ローラ11と分離ローラ12とに接して1枚ずつに分離される。以下に、給送ローラ11と分離ローラ12で原稿を1枚ずつに分離する方法の詳細を説明する。
【0016】
先ず給送ローラ11と分離ローラ12との間に原稿が1枚存在するときについて説明する。分離ローラ12がトルクリミッタを介して原稿を上流側に押し戻す回転力の上限値よりも、給送ローラ11の原稿を下流側に搬送する方向への回転力が上回り、分離ローラ12は給送ローラ11に追従して回転する。
【0017】
次に給送ローラ11と分離ローラ12との間に原稿が複数枚存在するときについて説明する。分離ローラ12は原稿を上流側に押し戻す方向に回転して、最も下位の原稿以外を上流側へ押し戻す。このように給送ローラ11が原稿を下流側に搬送する作用と、分離ローラ12の原稿を上流側に押し戻す作用とによって、給送ローラ11と分離ローラ12のニップ部Nに原稿が重なって送り込まれたとき、最も下位の原稿のみ下流側に搬送される。それ以外の原稿は上流側に押し戻され、重なった原稿が分離される。よって、給送ローラ11と分離ローラ12は2つのローラで原稿の分離給送機構10を構成する。
【0018】
原稿台1の原稿積載面には、繰り出し手段としての繰り出しローラ15が配置されている。繰り出しローラ15は、不図示の繰り出し駆動モータによって、給送ローラ11の原稿給送方向と同方向に原稿を給送するように、回転駆動される。本実施形態においては、繰り出しローラ15は、最も下位の原稿を下流側に繰り出すピックアップローラとして用いることができる。繰り出し駆動モータとしては、給送モータ13を用いても良い。但し、繰り出しローラ15は、原稿台1に配置されたコロであって、原稿の移動を補助するように原稿の移動にしたがって従動回転するものでも良い。
【0019】
上述のように、給送ローラ11と分離ローラ12を有することにより、本実施形態の搬送装置101は、原稿台1に積載した原稿を1枚ずつ、所定の給送速度で、搬送経路90に分離給送する。
【0020】
搬送経路90は、上搬送ガイド91と、下搬送ガイド92とを対向させて配置することにより、上搬送ガイド91と、下搬送ガイド92との間に形成される。上搬送ガイド91には分離ローラ12が、下搬送ガイド92には給送ローラ11が、それぞれ配置されている。
【0021】
このような搬送経路90は、分離給送機構10の上流側から搬送部30までの装置内部に原稿を案内する。本実施形態において、搬送経路90とは、上搬送ガイド91と下搬送ガイド92に挟まれた空間の最も上流側から、後述する一対の搬送ローラ(搬送ローラ対)33、34までの間の領域をさす。上述のように分離給送機構10によって給送した原稿は、上搬送ガイド91または下搬送ガイド92に沿って、後述する一対の搬送ローラ(搬送ローラ対)31、32まで移動する。
【0022】
搬送経路90を形成する搬送ガイドとしての上搬送ガイド91は、図1に示すように、第1ガイド部91aと、第2ガイド部91bとを有する。第1ガイド部91aは、分離給送機構10の上流側から搬送ローラ32まで、搬送経路内(搬送路内)を搬送される原稿の搬送方向に沿って配置されている。即ち、第1ガイド部91aは、搬送経路90内を搬送される原稿の搬送方向と略平行となるように配置されている。第1ガイド部91aは、数mm程度(例えば5mm以下)の隙間をあけて下搬送ガイド92の対向側に配置される。
【0023】
第2ガイド部91bは、第1ガイド部91aの原稿搬送方向上流に設けられ、原稿台1に積載された原稿を第1ガイド部91aに向けて案内する。本実施形態では、第2ガイド部91bは、原稿台1の原稿束を分離給送し易いように整えるため、第1ガイド部91aの原稿搬送方向上流端から更に上流に向かう程、原稿から離れる方向に傾斜している。言い換えれば、上搬送ガイド91の上流側の部分である第2ガイド部91bは、原稿搬送方向下流側に向かうにつれて下搬送ガイド92に向かう方向に傾斜している。したがって、第2ガイド部91bは、第1ガイド部91aよりも下搬送ガイド92から離れるように形成されている。
【0024】
点線Cは、第1ガイド部91aと第2ガイド部91bの境目を示す線である。また、図1及び図2における点線Cと搬送経路90が交差する領域は、搬送路の入口となる開口部である。その下流側の搬送経路90を搬送路、その上流側の搬送経路90を給送経路とする。すなわち、第1ガイド部91aと下搬送ガイド92とが対向する部分が搬送路であり、第2ガイド部91bに対応する部分が給送経路である。なお、本実施形態において、第1ガイド部91aと第2ガイド部91bは、上搬送ガイド91と点線Cが交わる位置で一体の部材が屈曲するようにして構成されているが、第1ガイド部91aと第2ガイド部91bは、別の部材で構成しても良い。
【0025】
上搬送ガイド91には、第一の原稿検出部として、原稿台原稿検知センサ51が配置されている。原稿台原稿検知センサ51は、原稿台1に積載された原稿、又は、分離給送機構10が搬送する原稿を検知するセンサである。
【0026】
搬送部30は、原稿を搬送する一対の搬送ローラ31、32と、一対の搬送ローラ31、32の原稿搬送方向下流に配置され、同じく原稿を搬送する一対の搬送ローラ33、34とを有する。搬送ローラ31及び搬送ローラ33は、搬送モータ35によって駆動回転し、対向する搬送ローラ32及び搬送ローラ34は、それぞれ従動回転する。これにより、それぞれのローラ対により原稿を下流側へ搬送する。
【0027】
搬送モータ35は、制御部70により制御され、原稿の読み取りに最適な速度や、読み取り解像度等の設定に応じて、原稿の搬送速度を変更できるように搬送ローラ31と搬送ローラ33を駆動する。一対の搬送ローラ31、32と、一対の搬送ローラ33、34との間には、後述する画像読取部40が配置されている。
【0028】
上流側の一対の搬送ローラ31、32の下流側で、画像読取部40の上流側には、レジスト後センサ5が配置されている。レジスト後センサ5は、搬送される原稿を検知するセンサである。
【0029】
画像読取部40は、原稿の表裏面を読み取る一対の読取ユニット41、42を有する。読取ユニット41、42は、上述のように原稿が搬送される搬送経路90を挟むように対向して配置され、原稿の両面又は片面の画像を読み取る。このような画像読取部40は、読取速度と解像度の設定に基づき走査間隔を変更可能であり、レジスト後センサ5が搬送される原稿を検知した直後、原稿の画像の読み取りを開始する。
【0030】
画像読取部40により画像が読み取られた原稿は、一対の搬送ローラ33、34に搬送され、原稿排出台6に排出される。原稿排出台6は、搬送ローラ33、34が原稿搬送方向後端まで搬送した原稿を積載するトレイである。
【0031】
上述のように、画像読取装置200は、原稿台1に積載した原稿を装置内部に1枚ずつ分離給送して原稿の画像を読み取り、原稿排出台6に画像読取後の原稿を順次積載する。
【0032】
[ステープル検知部]
次に、綴じ部材検出部としてのステープル検知部20について、図3から図5を用いて説明する。本実施形態における綴じ部材は金属性のステープルを想定しており、検出手段には金属検知を用いている。
【0033】
図3に示すように、ステープル検知部20は、ステープル検知部上部20aとステープル検知部下部20bで構成され、画像読取装置200の側面に配置されている。ユーザーは原稿を原稿台1に積載する前に、原稿の端部をステープル検知部上部21aとステープル検知部下部21bの隙間に挿入し、スライドさせることで、原稿端部に金属製の綴じ部が無いか確認する。ステープル検知部20によるステープルの検知方法については後述するが、スライド方向は不問であり、破線矢印MDに沿った方向でも良く、逆方向でも良い。ステープル検知が完了した原稿を原稿台1に積載する。
【0034】
ステープル検知部20は、第二の原稿検出部として、ステープル検知部原稿検知センサ61を備えており、図4に示すようにステープル検知部上部20aに配置されている。ユーザーがステープル検知部20に原稿をスライドさせた時に、原稿の有無を検知する。破線矢印MDに沿った方向、逆方向、どちらから原稿をスライドさせても検知出来るように、ステープル検知部原稿検知センサ61a、62bを両端側の2か所にそれぞれ設けている。破線矢印MDに沿った方向からスライドさせた場合、ステープル検知部原稿検知センサ61aが原稿を検知した後に金属検知センサ21の金属検知動作を開始し、ステープル検知部原稿検知センサ61bが原稿を検知しなくなったら金属検知動作を終了する。矢印MDと逆方向にスライドさせた場合は、同様にステープル検知部原稿検知センサ61bが原稿を検知したら金属検知動作を開始し、ステープル検知部原稿検知センサ61bが原稿を検知しなくなったら金属検知動作を終了する。
【0035】
ステープル検知部20は金属検知センサ21を備えている。金属検知センサ21は、図4に示すようにステープル検知部下部20bに配置されている。図5に金属検知センサ21の構成を示す。検知コイル71、共振回路72、周波数算出器73を有し、プリント基板上でそれらを接続することにより、通電した検知コイル71の周囲に発生する磁界(検知領域)に入ったステープルを検知する。周波数算出器73は原稿同一性判断部として機能する制御部70に通信線で接続されている。周波数算出器73の接続先は制御部70ではなく、SUB-CPUを設けて接続し、SUB-CPUを制御部70に接続する構成にしても良い。SUB-CPUを設けることで、金属検知動作を行う際は制御部の一部の電源を落とす、動作周波数を落とすなど省電力動作させるようにしても良い。
【0036】
検知コイル71は、プリント基板上に銅箔などの導体(パターン)で形成されるコイルである。本実施形態における検知コイル71の巻数は、共振回路72と接続して300kHz~500kHz程度で共振する巻数であるものとする。また、検知コイル71の形態は、上記に限らず、導体を巻いて形成するコイルであっても良い。
【0037】
共振回路72は、検知コイル71と接続して共振する回路である。また、共振回路72は、図5に不図示の共振用コンデンサを含む。一般に、検知コイル71と共振回路72の共振条件は、検知コイル71のインダクタンス成分と共振用コンデンサの容量成分によって決定される。
【0038】
周波数算出器73は、共振回路72の周期的な電圧変化を予め設定した時間ts(サンプリング時間)で取り込み、接続した共振回路72の共振周波数を算出するICである。また、周波数算出器73は、算出した周波数をデジタルデータ(周波数データ)に変換し、周波数データを出力する。
【0039】
上記のサンプリング時間tsには、周波数を1度算出するために必要なサンプリングの最小時間がある。サンプリングの最小時間は、周波数算出器73の性能によって決まる固有の数値である。また、サンプリング時間は周波数算出器73内部のレジスタ値によって決定し、外部からの通信でレジスタ値を変更できるが、少なくともサンプリングの最小時間以上の値が設定される。なお、周波数算出器73のサンプリング時間tsは、短い時間を設定すると検知コイル71が外来ノイズの影響を受けた時に、算出する周波数が大きく変化してしまうため、長い時間を設定することが望ましい。
【0040】
なお、金属検知センサ21とステープル検知部原稿検知センサ61はステープル検知部上部20aとステープル検知部下部20bのどちらに配置させても良い。上部と下部を入れ替えても良く、上部、下部の一方のみに配置させても良い。ステープル検知部原稿検知センサ61を1個とし、中央付近に配置するようにしても良い。
【0041】
以下に、図6を用いて、原稿に綴じられたステープルSの位置に応じて変化する共振周波数の特徴について説明する。横軸は、ステープルSと検知コイル71との相対的な距離を表しており、ステープル検知部原稿検知センサ61が原稿を検知した時点を0としている。縦軸は、周波数算出器73が算出する共振周波数を表している。区間A1では、検知コイル71の近傍にステープルSが無い状態を示しており、共振周波数は略一定の周波数F1を示す。区間A2では、検知コイル71の近傍にステープルSがある状態を示しており、ステープルSと検知コイル71の間で発生する電磁誘導で、検知コイル71と接続した共振回路72の共振周波数が低下する。このため、周波数算出器73が算出する共振周波数は、周波数F1付近から周波数F2付近に低下する。区間A3は、検知コイル71の近傍にステープルSが無い状態を示しており、区間A1と同等の周波数F1付近を示す。このように、ステープルSと検知コイル71の相対位置によって、周波数算出器73が算出する共振周波数は変化する。
【0042】
制御部70は、周波数データが予め設定した判定値以上に変化した場合、ステープルありと判定することができる。予め設定する判定値には、周波数F1と周波数F2の差分値を用いる。周波数データの変化が差分値以上であれば、ステープルがあると判定し、変化が差分値未満であれば、ステープルがないと判定する。
【0043】
なお、判定値には、差分値よりも小さい値、例えば、差分値の50%や70%など、差分値に対する所定の割合としても良い。即ち、周波数データが変化したと判定する判定値は、検知コイル71の検知領域を通過するステープルがない場合と、ある場合との共振周波数の差分値以下、かつ、検知領域の周囲にステープルがない状態における共振周波数の変動値Fc(図6)以上の値であれば良い。このような判定値を制御部70に予め設定することにより、制御部70は検知コイル71近傍に接近するステープルの有無を判定する。
【0044】
次に、図7のフローチャートを用いて、ステープル検知部20の金属検知動作をステープル検知として説明する。制御部70は画像読取装置200の電源が投入されるとステープル検知をスタートさせる。
【0045】
制御部70は、ステープル検知部原稿検知センサ61が原稿を検知したか確認する(S101)。原稿を検知しない場合(S101のNo)、S101に戻り原稿の検知を待つ。
【0046】
原稿を検知した場合(S101のYes)、ステープルチェック済フラグをクリアする(S102)。ステープルチェック済フラグはステープル検知を実施済かを示すフラグであり、フラグありであれば実施済、フラグ無しであれば未実施となっている。
【0047】
次にステープルありフラグをクリアする(S103)。ステープルありフラグは、ステープル検知の結果、原稿にステープルがあるかを示すフラグであり、フラグありであればステープルあり、フラグ無しであればステープル無しとなっている。
【0048】
次にタイマーT1の計測結果をクリアする(S104)。このように、S102からS104では、前回のステープル検知の実施結果の影響を受けないようにするため、フラグやタイマー計測結果をクリアしている。
【0049】
次にステープル検知部が金属を検知したか確認する(S105)。金属を検知した場合(S105のYes)、ステープルありフラグをセットする(S106)。
【0050】
続けてユーザーにステープルありの警告を表示する(S107)。各種警告の表示方法は、画像読取装置の不図示の表示部に表示させたり、不図示の表示用ランプを点灯させたり、画像読取装置と接続したコンピュータの画面に表示させたりしても良い。
【0051】
ステープルチェック済フラグをセットし(S108)、ステープル検知を終了する。
【0052】
一方、S105で金属を検知しない場合(S105のNo)、ステープル検知部が原稿を検知しなくなったか確認する(S109)。原稿を検知している場合(S109のNo)、S105に戻り金属の検知を再度確認する。
【0053】
原稿を検知しなくなった場合(S109のYes)、タイマーT1の計測を開始する(S110)。タイマーT1は、ステープル検知が完了してから、次に原稿台原稿検知センサ51が原稿を検知するまでの時間を計測するためのタイマーである。最後にステープルチェック済フラグをセットし(S108)、ステープル検知を終了する。
【0054】
次に、図8のフローチャートを用いて、本実施形態の原稿の同一性を確認する動作を説明する。なお、図7で説明した金属検知動作と図8で説明する原稿同一性確認は同時に進行される。
【0055】
図8のフローチャートにおいて、制御部70は画像読取装置200の電源が投入されると原稿同一性確認をスタートさせる。制御部70は、原稿台原稿検知センサ51が原稿台に積載された原稿を検知したか確認する(S201)。原稿を検知しない場合(S201のNo)、S201に戻り原稿の検知を待つ。
【0056】
原稿を検知した場合(S201のYes)、ステープルチェック済フラグがセットされているか確認する(S202)。
【0057】
ステープルチェック済フラグがセットされていない場合(S202のNo)、ユーザーに「ステープルチェックしていない原稿ではないですか?」等の警告を表示する(S203)。ここでユーザーはスキャンの実施可否を選択することが出来る。ユーザーがスキャン可を選択した場合(204のYes)、スキャン指示を待つ(S205)。スキャン指示が来ない場合(S205のNo)、S205に戻りスキャン指示を待つ。スキャン指示が来た場合(S205のYes)、スキャンを実施し(S206)、原稿同一性確認を終了する。
【0058】
S204でユーザーがスキャン否を選択した場合(S204のNo)、ユーザーに「原稿台から原稿を取り除いてください」等の表示を行い(S207)、原稿同一性確認を終了する。
【0059】
S202において、ステープルチェック済フラグがセットされている場合(S202のYes)、タイマーT1が最短時間t1(第一時間)未満か、すなわちT1<t1であるか確認する(S208)。タイマーT1は図7のS110にてステープル検知完了後からの時間を計測している。最短時間t1は固定値であり、ステープル検知を行った原稿を原稿台1に載置する事が困難であると考えられる短い時間である。例えば0.5秒に設定している。先に原稿台1に原稿を載置し、その後に別の原稿でステープル検知を行った場合もT1<t1となる。タイマーT1<t1である場合(S208のYes)、ステープル検知を行った原稿と原稿台1に載置された原稿が同一でない可能性があるため、S203に進み、警告を表示する。
【0060】
タイマーT1<t1ではない場合(S208のNo)、タイマーT1が最長時間t2(第2時間)を超えているか、すなわちT1>t2であるか確認する(S209)。最長時間t2は固定値であり、ステープル検知を行った原稿を原稿台1に載置するには時間が経過し過ぎていると考えられる長い時間である。例えば10秒に設定している。タイマーT1>t2である場合(S209のYes)、ステープル検知を行った原稿と原稿台1に載置された原稿が同一でない可能性があるため、S203に進み、警告を表示する。
【0061】
タイマーT1>t2ではない場合(S209のNo)、ステープル検知完了後から原稿台1に原稿を載置するまでの時間が適正であるため、ステープルありフラグがセットされているか確認する(S210)。ステープルありフラグがセットされている場合(S210のYes)、ユーザーに「ステープルのついた原稿ではないですか?」等の警告を表示し(S211)、S204に進む。S210でステープルありフラグがセットされていない場合(S210のNo)、ステープル検知部20を通過した原稿と原稿台1に載置される原稿の同一性を確認でき、ステープルも無いことが確認できたため、問題無くスキャン動作出来ると考えられるので、S205に進み、スキャン指示を待つ。スキャン指示が来た場合(S205のYes)、スキャンを実施し(S206)、原稿同一性確認を終了する。
【0062】
なお、図7のステープル検知動作並びに図8の原稿同一性確認動作は、画像読取装置200の電源が投入されたことをきっかけにスタートさせるようにした。これを、ユーザーが不図示の検知開始ボタンを押す事でスタートさせるようにしたり、画像読取装置200に接続されたPCからの検知開始指示でスタートさせるようにしても良い。ユーザーの操作やPCの指示があるまでは、原稿台原稿検知センサ51やステープル検知部20の電源を切ったり動作頻度を落としたりするように構成することが可能になり、消費電力を削減することが出来るようになる。
【0063】
また、図8のフローチャート進行中に原稿台原稿検知センサ51が原稿を検知しなくなった場合や、ステープル検知部20が原稿を検知した場合、図8のフローチャートをリセットし、S201から再度スタートするようにしても良い。これらの場合、ステープル検知部20に通された原稿と原稿台に載置された原稿が異なる原稿の可能性が考えられるからである。
【0064】
以上のように、本実施形態では、綴じ部材検出部が原稿積載部とは異なる場所にある構成において、綴じ部材検出部によって綴じ部の有無を確認した原稿と原稿積載部に置かれた原稿の同一性を担保することが可能となる。また原稿の同一性が疑われる場合はユーザーに確認を促すことが可能で、誤って綴じ部材が付いた原稿を搬送してしまい原稿が破損することを避けることが可能となる。
【0065】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。構成は第1の実施形態と共通であり、第1実施形態の原稿同一性確認のフロー(図8)を一部変更したものである。フローの変更点は2点ある。1点目はステープル検知を済ませた原稿を原稿台に積載した後に、ユーザーが原稿を整列させるために原稿台から原稿を降ろす場合を想定している。降ろしてから戻すまでの時間が一定時間t3(第三時間)よりも短い場合はステープル検知の結果を有効とし、長い場合は別の原稿が置かれた可能性があると考え警告を出すようにしている。2点目はユーザーへの警告表示をスキャン指示が来てから出すようにしている。以下では第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0066】
図9のフローチャートを用いて、本実施形態の原稿の同一性を確認する動作を説明する。制御部70は画像読取装置200の電源が投入されると原稿同一性確認をスタートさせる。
【0067】
制御部70は、原稿台原稿検知センサ51が原稿台に積載された原稿を検知したか確認する(S301)。原稿を検知しない場合(S301のNo)、S301に戻り原稿の検知を待つ。原稿を検知した場合(S301のYes)、ステープルチェック済フラグがセットされているか確認する(S302)。
【0068】
ステープルチェック済フラグがセットされていない場合(S302のNo)、スキャン指示が来たか確認する(S303)。スキャン指示は、ユーザーが不図示のスキャン指示ボタンを押す事で受け付けたり、画像読取装置200に接続されたPCからの指示で受け付けるようにしても良い。
【0069】
スキャン指示が来ない場合(S303のNo)、S301に戻る。スキャン指示が来た場合(S303のYes)、ユーザーに「ステープルチェックしていない原稿ではないですか?」の警告を表示する(S304)。ここでユーザーはスキャン動作を継続するか、中断するか選択することが出来る。
【0070】
ユーザーが継続を選択した場合(305のYes)、スキャンを実施し(S306)、原稿同一性確認を終了する。スキャンを選択しない場合(S305のNo)、スキャンを実施せずに、原稿同一性確認を終了する。
【0071】
S302において、ステープルチェック済フラグがセットされている場合(S302のYes)、タイマーT1がt1未満か、すなわちT1<t1であるか確認する(S307)。タイマーT1は図7のS108にてステープル検知完了後からの時間を計測している。t1は固定値であり、ステープル検知を行った原稿を原稿台1に載置する事が困難であると考えられる短い時間である。例えば0.5秒に設定している。先に原稿台1に原稿を載置し、その後に別の原稿でステープル検知を行った場合もT1<t1となる。
【0072】
タイマーT1<t1である場合(S307のYes)、ステープル検知を行った原稿と原稿台1に載置された原稿が同一でない可能性があるため、前出のS303に進む。
【0073】
タイマーT1<t1ではない場合(S307のNo)、タイマーT1がt2を超えているか、すなわちT1>t2であるか確認する(S308)。t2は固定値であり、ステープル検知を行った原稿を原稿台1に載置するには時間が経過し過ぎていると考えられる長い時間である。例えば10秒に設定している。
【0074】
タイマーT1>t2である場合(S308のYes)、ステープル検知を行った原稿と原稿台1に載置された原稿が同一でない可能性があるため、前出のS303に進む。タイマーT1>t2ではない場合(S308のNo)、ステープル検知を行った原稿と原稿台1に載置された原稿が同一であると考え、スキャン指示が来たか確認する(S309)。
【0075】
スキャン指示が来ない場合(S309のNo)、原稿台原稿検知センサ51が原稿台に積載された原稿を検知しなくなったか確認する(S310)。これは、ユーザーが一度原稿台にセットした原稿を、整列し直すために原稿台から降ろした場合を考慮している。一定時間t3を超えなければ、原稿は同一であると考える。
【0076】
原稿台原稿検知センサ51が原稿なしになっていない場合(S310のNo)、スキャン指示を待つためにS309に戻る。原稿なしになった場合、(S310のYes)、タイマーT3の計測を開始する(S311)。タイマーT3は、原稿台原稿検知センサ51が原稿なしになってから、次に原稿ありになるまでの時間を計測するためのタイマーである。
【0077】
次に、原稿台原稿検知センサ51が原稿ありになったか確認する。原稿ありになっていない場合(S312のNo)、原稿ありになるまで待機する。原稿ありになった場合、タイマーT3がt3未満か、すなわちT3<t3であるか確認する(S313)。t3は固定値であり、ユーザーが一度原稿台にセットした原稿を、整列し直すために原稿台から降ろし、再び原稿台にセットするためにかかると考えられる時間よりも長い時間である。例えば10秒に設定している。
【0078】
タイマーT3<t3である場合(S313のYes)、原稿台1に置き直された原稿が同一であると考え、スキャン指示が来たか確認する(S309)。
【0079】
タイマーT3<t3でない場合(S313のNo)、スキャン指示が来たか確認する(S314)。スキャン指示が来ない場合(S314のNo)、S314に戻り原稿の検知を待つ。スキャン指示が来た場合(S314のYes)、ユーザーに「ステープルチェックした原稿と同じですか?」の警告を表示する(S315)。ここでユーザーはスキャン動作を継続するか、中断するか選択することが出来る。その後、S305に進む。
【0080】
S309において、スキャン指示が来た場合(S309のYes)、ステープルありフラグがセットされているか確認する(S316)。ステープルありフラグがセットされている場合(S316のYes)、ユーザーに「ステープルのついた原稿ではないですか?」の警告を表示する(S317)。ここでユーザーはスキャン動作を継続するか、中断するか選択することが出来る。その後、S305に進む。ステープルありフラグがセットされていない場合(S316のNo)、ステープル検知部20を通過した原稿と原稿台1に載置される原稿の同一性を確認でき、ステープルも無いことが確認できたため、スキャンを開始し(S306)、原稿同一性確認を終了する。
【0081】
なお、図9では制御部70は画像読取装置200の電源が投入されたことをきっかけに原稿の同一性確認をスタートさせるようにしたが、ユーザーが不図示のボタンを押す事でスタートさせるようにしたり、画像読取装置200に接続されたPCからの指示でスタートさせるようにしても良いし、図7で説明した金属検知動作が終了したことを条件にスタートさせても良い。
【0082】
また、図9のフローチャート進行中に原稿台原稿検知センサ51が原稿を検知しなくなった場合や、ステープル検知部20が原稿を検知した場合、図9のフローチャートをリセットし、S301から再度スタートするようにしても良い。これらの場合、ステープル検知部20に通された原稿と原稿台に載置された原稿が異なる原稿の可能性があるからである。
【0083】
また、S311でタイマーT3のカウントをスタートして以降、S312で原稿台原稿検知センサ51が原稿ありにならずにタイムアウト時間t4(第4時間)が経過した場合には、タイムアウトとして、そのままタイマーT1をリセットするとともに原稿同一性確認を終了することが好ましい。
【0084】
以上のように、本実施形態では実施例1に加えて、ステープル検知実施後に原稿台に原稿を載置した後に、原稿を整列させるため等の理由で原稿台から原稿を降ろした場合の対策を行った。原稿を降ろした後に戻すまでの時間が一定時間よりも短い場合はステープル検知の結果を有効とすることで、再度ステープル検知をやり直す手間を削減することが出来る。
【0085】
<第3の実施形態>
第1の実施形態と第2の実施形態では、ステープル検知部20を画像読取装置200の側面に配置していた。本実施形態ではステープル検知部20の代わりに周辺装置としてステープル検知装置300を設け、画像読取装置200と取り外し可能、位置の移動可能に構成する例を示す。
【0086】
図10にステープル検知装置300の概略構成図を示す。ステープル検知装置300はステープル検知装置上部300aとステープル検知装置下部300bとステープル検知装置上下接続部300cとステープル検知装置ケーブル300dで構成される。
【0087】
ステープル検知装置上部300aは第1の実施形態のステープル検知部上部20aと同様の機能を備えており、ステープル検知装置下部300bはステープル検知部下部20bと同様の機能を備えている。
【0088】
ステープル検知装置上下接続部300cはステープル検知装置上部300aとステープル検知装置下部300bを接続している。ステープル検知装置上下接続部300cの上下方向の寸法により、ステープル検知装置上部300aとステープル検知装置下部300bの隙間、すなわちステープル検知を行う原稿束の厚さが決まる。隙間の寸法を変更出来るように、ステープル検知装置上下接続部300cを上下方向に伸縮可能に構成しても良い。
【0089】
ステープル検知装置ケーブル300dは、画像読取装置200の側面に設けられたステープル検知装置接続部80に接続される。ステープル検知装置接続部80はユーザーが任意に脱着可能に構成できるようにしても良く、例えばUSB接続などの接続形態であってもよい。また、一度装着したら離合しないようにロックする構成にしても良い。ステープル検知装置ケーブル300dの長さ寸法により、ステープル検知装置300を画像読取装置200から離して配置できる距離が決まる。ケーブルを用いて曲げることが可能に構成することでユーザーがステープル検知装置300を任意の位置に配置できるようにしても良く、硬い部材を用いてステープル検知装置300と画像読取装置200の相対位置関係を固定するようにしても良い。ステープル検知装置接続部80は画像読取装置200の側面に配置したが、他の電源ケーブルやインターフェイスケーブルと並べて配置するために例えば背面に設けても良く、ユーザーの設置環境に合わせて反対側の側面に配置しても良く、複数個所に設けても良い。
【0090】
以上のように、ステープル検知装置300を設けることで、ユーザーがステープル検知装置の設置を任意に行うことができるようになる。ユーザーが画像読取装置200を購入した後に、ステープル検知装置300を追加購入し、ステープル検知機能を任意に追加することができるようになる。
【0091】
<第4の実施形態>
以下、本発明の第4実施形態に係る画像読取装置について説明する。本実施形態においては、第1から第3の実施形態とは異なり、ステープル検知部20をシート積載台1の上流側に配置している。以下、第1実施形態との共通部分については同じ符号を用いるとともに説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0092】
図11は、本実施形態に係る画像読取装置の側面視の断面図である。シート積載台1には、金属検知部20の検知コイル71が配置されている。検知コイル71よりも搬送方向上流側にシートPを載置し、手を離すとシートPがシート積載台1上を速度Vfで滑り落ち、シート全体が検知コイル71上を通過する。シート積載検知センサ25は、検知コイル71よりも搬送方向上流にシートPが積載されたことを検知するセンサであり、例えば反射型のフォトカプラで構成される。
【0093】
プリント基板上に配線した検知コイル71の形状について、図12を用いて説明する。検知コイル71の形状は、シート搬送方向である矢印RT方向に対して交差(本実施形態では直交)する幅方向に長い長円形である。長円形の検知コイル71は、長手方向(幅方向)の外径L2をシート積載台1の幅方向に可能な限り延ばした長さとし、短手方向(矢印RT方向)の外径L1を(シートが滑り落ちる速度Vf)×(サンプリング時間t)以上の長さとした長円形であるものとする。
【0094】
即ち、検知コイル71は、検知コイル71のシート搬送方向の大きさである外径L1が、周波数算出器73が少なくとも1回、共振周波数を算出するまでの間にシートが速度Vfで滑り落ちる長さ以上である。より好ましくは、検知コイル71のシート搬送方向の大きさを、周波数算出器73が少なくとも1回、共振周波数を算出するまでの間に速度Vfで滑り落ちるシートの長さよりも大きくする。
【0095】
なお、外径L1は、サンプリング時間tが設定可能な時間が最大値である場合の大きさとすることが好ましい。即ち、外径L1は、(シートが滑り落ちる速度Vf)×(最大のサンプリング時間t)以上の長さとすることが好ましい。実際には、ステープルなどに用いられる軟鉄などに代表される金属の電気抵抗に基づいた自己誘導による渦電流の時定数を考慮し、外径L1を(シートが滑り落ちる速度Vf)×(最大のサンプリング時間t)×1.5~2.0程度に設定することが好ましい。なお、ステープルを検知する精度を考慮すれば、検知コイル71により生じる磁界の範囲内にステープル全体が進入した状態における共振周波数を用いることが好ましいが、ステープルが縦に進入(長辺が搬送方向と平行に進入)してきた場合には、最もステープルを検知しづらくなる。この状況も考慮し、ステープルの長辺の長さをXとしたときに、検知コイル71の外形L1に対し、(L1-X)が(シートが滑り落ちる速度Vf)×(最大のサンプリング時間t)以上となるように設定されていることが好ましい。これは、外径L1をXよりも大きくして、検知コイル71内にステープル全体が存在する状態でサンプリングを行い、且つ、外径L1とXの差分の範囲内でも少なくとも1回サンプリングを行えるようにしたものである。
【0096】
このように金属検知センサ21の検知コイル71のシート搬送方向の大きさを規定することで、シートを綴じているステープルが検知領域を通過中に周波数算出器73が共振周波数を1回以上算出できる。このため、より確実に検知コイル71の近傍にステープルが接近した時の周波数データをCPU74に出力できる。即ち、搬送されるシートを綴じているステープルなどの金属を、より確実に検知できる。
【0097】
なお、検知コイル71の形状は、上述の形状に限らず、外径L1が周波数算出器73のサンプリング時間t以内に、滑り落ちる速度Vfでシートが進む長さ以上の大きさであれば良い。即ち、検知コイル71の形状は上述の長円形に限らず、コイルとして機能する形状であれば、角の丸い長方形でも良いし、矩形、あるいは、円形でも良い。
【0098】
次に、本実施形態の金属検知センサ21の性質に関して、以下に説明する。金属検知センサ21は、それぞれ1つの検知コイル71でステープルを検知する単コイル共振型のセンサである。即ち、金属検知センサ21は、シートの搬送面に直交する方向から見た場合に、複数の検知コイルの少なくとも一部が重なるように配置されておらず、シートの搬送面上の同一箇所に、例えば複数の巻き数の検知コイルが1個配置されている。このような単コイル共振型の金属検知センサは、コイル1つでステープルの検知が可能だが、ステープルがコイルから離れると感度が低下するという性質がある。
【0099】
次に、本実施形態の金属検知センサ21の配置に関して、以下に説明する。金属検知センサ21の検知コイル71は、図13に示すように、点線D(ニップ部N)から搬送方向上流側に所定の間隔を開けてシート積載台1に配置されている。所定の間隔とはシートPの搬送方向の長さ以上が好ましい。例えばシート積載台1に積載可能な定型最大サイズがA4サイズであれば、所定の間隔を297mm以上とするのが良い。このように配置することで、ユーザーがシートPを検知コイル71よりも搬送方向上流側に置き、手を離すとシートPがシート積載台1上を滑り落ちることで、シート全体が検知コイル71上を通過するため、シート全体に対して金属検知することが出来る。検知コイル71や、金属検知センサ21とCPU74を接続するケーブルは、シート積載台1の内部に配置されている。
【0100】
装置の寸法上の制約等から所定の間隔としてシート積載台1に積載可能な定型最大サイズを確保出来ない場合でも、一定の効果を得られる事は明白である事から、本発明から逸脱する物ではない。なお、シートがシート積載台1を滑り落ちる際、シートPとシート積載台1の間に発生する摩擦力や静電気の影響により滑らかに滑り落ちない場合は、繰り出しローラ15を搬送方向に複数設けても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 原稿台
10 分離給送機構
11 給送ローラ
12 分離ローラ
20 ステープル検知部
21 金属検知センサ
30 搬送部
40 画像読取部
51 原稿台原稿検知センサ
61 ステープル検知部原稿検知センサ
70 制御部
71 検知コイル
72 共振回路
73 周波数算出器
80 ステープル検知装置接続部
91 上搬送ガイド(搬送ガイド)
91a 第1ガイド部
91b 第2ガイド部
92 下搬送ガイド
101 原稿搬送装置
200 画像読取装置
300 ステープル検知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13