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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018000
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20250130BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20250130BHJP
   B65G 47/88 20060101ALI20250130BHJP
   B65G 21/20 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B65G47/28 G
B65G47/14 P
B65G47/88 D
B65G21/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121362
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】穂坂 繁彦
【テーマコード(参考)】
3F017
3F025
3F080
3F081
【Fターム(参考)】
3F017CA03
3F017EA01
3F017FA02
3F017FA05
3F017FB01
3F025BA02
3F025BB01
3F080AA22
3F080BA02
3F080BD07
3F080CE03
3F080DA01
3F080DA07
3F080DB01
3F081AA19
3F081BA01
3F081BD02
3F081BF02
3F081CC08
3F081DA01
3F081DA02
3F081DA07
3F081DB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より簡易な構成であるとともに消費エネルギを抑えることのできる単列化のための搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置1は、上流から下流に向けた搬送方向に物品を搬送する搬送路10と、搬送方向に交差する幅方向に間隔をあけて設けられ、搬送方向に沿って延びる一対の単列化ガイド20A、20Bと、一対の単列化ガイドの間であって、搬送路における搬送方向の所定位置に設けられる整列ガイド31と、を備える。単列化ガイドは、上流から下流に向けて間隔が狭くなり、かつ、その途上に2つの物品が幅方向に並列するブリッジ位置を含む。整列ガイドは、ブリッジ位置の上流の側において、2つの物品の搬送方向の位置がずれるように整列させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に向けた搬送方向に物品を搬送する搬送路と、
前記搬送方向に交差する幅方向に間隔をあけて設けられ、前記搬送方向に沿って延びる前記一対の単列化ガイドと、
一対の前記単列化ガイドの間であって、前記搬送路における前記搬送方向の所定位置に設けられる整列ガイドと、を備え、
前記単列化ガイドは、
前記上流から前記下流に向けて前記間隔が狭くなり、かつ、その途上に2つの前記物品が前記幅方向に並列するブリッジ位置を含み、
前記整列ガイドは、
前記ブリッジ位置の前記上流の側において、2つの前記物品の前記搬送方向の位置がずれるように整列させるガイド面を備える、搬送装置。
【請求項2】
前記整列ガイドは、
前記搬送方向における定位置において、2つの前記物品の前記搬送方向の位置がずれるように整列させるか、または、
前記搬送方向の前記下流に向けて移動しながら、2つの前記物品の前記搬送方向の位置がずれるように整列させる、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記整列ガイドは、
前記搬送方向における定位置において、2つの前記物品の前記搬送方向の位置がずれるように整列させる場合、
前記物品の下流への搬送をせき止める第1位置と、前記物品の下流への搬送を許容する第2位置との間を往復移動可能であり、
前記整列ガイドは、
前記第1位置において前記物品をせき止めた後に、前記第2位置に移動する、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記整列ガイドが前記物品をせき止めることを検知できる第1センサを備え、
前記第1センサが前記物品をせき止めたことを検知すると、前記第1位置から前記第2位置に移動し、
前記物品は前記ブリッジ位置を通過し、かつ、前記搬送路により前記下流に向けて単列となって搬送される、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記整列ガイドにおいて、
前記幅方向に並ぶ2つの前記物品のそれぞれと接する2つのガイド面が、前記搬送方向に段差を有して形成される、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ガイド面は、
2つの前記物品の一方に対応する円弧面からなる第1ガイド面と、前記第1ガイド面と前記幅方向に隣接し、2つの前記物品の他方に対応する円弧面からなる第2ガイド面と、を備える、
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記整列ガイドは、
昇降移動可能とされることにより、前記第1位置と前記第2位置との間を往復移動可能であるか、または、
揺動可能とされることにより、前記第1位置と前記第2位置との間を往復移動可能である、
請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品、例えば飲料用の容器を搬送しながら複数列から単列にすることのできる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の単列化ガイドの間を搬送コンベヤに載せて例えば円柱状の複数の飲料用の容器が上流から下流に向けて搬送される。搬送中、それぞれの容器は、一対の単列化ガイドの間隔が狭くなることで複数列の状態から単列の状態にされる。一対の単列化ガイドを含む搬送経路には、搬送方向に直交する方向に容器が2つだけ並列するブリッジ位置が存在する。2本の容器がブリッジ位置において一対の単列化ガイドに挟まれることで互いに進路を妨げるいわゆるブリッジが発生する。このブリッジは、先頭に属する物品がブリッジ位置に達する搬送の初期に起こりやすい。
【0003】
特許文献1は、容器押圧力が小さいときであっても、ブリッジが発生せず、容器を安定して搬送することができる搬送装置を開示する。特許文献1の搬送装置は、搬送手段により搬送される容器を複数不整列から単列にするための一対の単列化ガイドを備え、一対の単列化ガイドの間におけるブリッジ位置に、他のローラの外径より大きな外径を有する大ローラを回転自在に軸支して配置する。
特許文献1の搬送装置において、ブリッジ位置に配置される大ローラは、他のローラ(小ローラ)より外径が大きいので、大ローラの周面は、他の小ローラの周面よりも一対のガイドの内側へ突出する。その結果、以前のブリッジ位置に搬送方向に対して垂直方向に2つの容器が並列することはできない。また、以前のブリッジ位置に搬送方向に対して垂直方向に並列しようとする2つの容器のうち大ローラと接触した容器は、大ローラが回転自在なので、隣接する他の容器に微小な力で押圧されただけで、以前のブリッジ位置から搬送方向の前方側または後方側に容易に移動できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2518245号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の搬送装置において、大ローラおよび小ローラはローラガイドに回転可能に支持され、かつ、このローラガイドは容器を搬送している際中に搬送方向に前進および後退する往復移動する。したがって、特許文献1は、ローラガイドを往復移動させる駆動源が必要であるのに加えて、駆動源を駆動させるための電力などのエネルギが必要である。
以上より、本開示は、より簡易な構成であるとともに消費エネルギを抑えることのできる単列化のための搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送装置は、
上流から下流に向けた搬送方向に物品を搬送する搬送路と、
搬送方向に交差する幅方向に間隔をあけて設けられ、搬送方向に沿って延びる一対の単列化ガイドと、
一対の単列化ガイドの間であって、搬送路における搬送方向の所定位置に設けられる整列ガイドと、を備える。
本開示における単列化ガイドは、
上流から下流に向けて間隔が狭くなり、かつ、その途上に2つの物品が幅方向に並列するブリッジ位置を含む。
また、本開示に係る整列ガイドは、
ブリッジ位置の上流の側において、2つの物品の搬送方向の位置がずれるように整列させるガイド面を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示における整列ガイドはブリッジ位置の上流の側において、物品の下流への搬送をせき止めることができる。したがって、せき止めたときに物品にブリッジが生じない並列の状態を生成してやり、整列ガイドを第2位置に移動させれば、当該物品はブリッジすることなくブリッジ位置を通過できる。本開示は、整列ガイドを設けるという簡易な構成で、かつ、整列ガイドを第1位置から第2位置に移動させるときにエネルギが必要なだけである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る搬送装置を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る搬送装置における整列ガイドの動作を示す側面図である。
図3】第1実施形態に係る搬送装置を物品が搬送される様子を示す平面図である。
図4】第1実施形態に係る搬送装置であって、複数の物品がブリッジ位置を通過する様子を示す平面図である。
図5】第1実施形態に係る搬送装置において、2列の容器が単列化される様子を示す平面図である。
図6】第1実施形態に係る搬送装置における制御手順の一例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る搬送装置を示す平面図である。
図8】第2実施形態に係る搬送装置における制御手順の一例を示すフローチャートである。
図9】整列ガイドの変形例を示す図である。
図10】整列ガイドの変形例を示す図である。
図11】整列ガイドが下流に向けて移動しながら2つの物品を整列させる様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る搬送装置1は、上流(US)から下流(DS)に向けた搬送方向(TD)に物品Cを搬送する過程において、複数列で搬送される物品Cを一列にする単列化が可能な装置である。そして、搬送装置1は、搬送方向(TD)に沿って延びる一対の単列化ガイド20A,20Bにより案内されながら搬送される複数の物品Cにブリッジが生ずるのを、整列機構30という簡易な構成でかつ少ない消費エネルギにおいて防ぐことができる。
物品Cは、円筒状をなしており、例えば飲料を収容する缶容器が例示される。
【0010】
[搬送装置1の全体構成:図1参照]
搬送装置1は、上流(US)から下流(DS)に向けた搬送方向(TD)に物品Cを搬送する搬送路10と、搬送方向(TD)に交差する幅方向(WD)に間隔をあけて設けられ、搬送方向(TD)に沿って延びる一対の単列化ガイド20A,20Bと、を備える。加えて、搬送装置1は、一対の単列化ガイド20A,20Bの間であって、搬送路10における搬送方向(TD)の所定位置に設けられる整列機構30を備える。整列機構30が所定の動作をすることにより、物品Cにブリッジが生じるのを防ぐことができる。また、搬送装置1は、その動作を制御するためのコントローラ100を備える。以下、搬送装置1の各要素について順に説明する。
【0011】
[搬送路10:図1
搬送路10は、コンベヤ装置から構成され、一例として、幅方向(WD)に隣接する第1コンベヤ11、第2コンベヤ13および第3コンベヤ15を備えている。第1コンベヤ11、第2コンベヤ13および第3コンベヤ15は、それぞれが回転電機などの駆動源12と、駆動源12により回転可能とされる主動プーリ14と、主動プーリ14と対をなす従動プーリ16と、主動プーリ14および従動プーリ16に掛け回される無端状のコンベヤベルト18と、を備える。第1コンベヤ11、第2コンベヤ13および第3コンベヤ15のそれぞれの駆動源12が回転駆動されることで、コンベヤベルト18に載せられた物品Cが上流(US)から下流(DS)に向けて搬送される。第1コンベヤ11、第2コンベヤ13および第3コンベヤ15は、それぞれが同じ速度で物品Cを搬送する。また、物品Cは、第1コンベヤ11から第2コンベヤ13に移送され、かつ、第2コンベヤ13から第3コンベヤ15に移送されながら上流(US)から下流(DS)に向けて搬送される。
搬送路10よりも上流(US)および下流(DS)には、物品Cを処理する他の装置が設けられている。
【0012】
[単列化ガイド20A,20B:図1
一対の単列化ガイド20A,20Bは、複数列となって搬送路10を搬送される複数の物品Cを単列化するように物品Cを案内する。それぞれの単列化ガイド20A,20Bは、例えば金属材料からなる表裏の両面が平坦な板材から構成され、例えば物品Cの背丈と同等か低い高さを有する。一対の単列化ガイド20A,20Bは、搬送路10に対する位置および相互の位置が変わらないように固定されている。
【0013】
一対の単列化ガイド20A,20Bは、互いの間隔が上流(US)から下流(DS)に向けて狭くなり、かつ、双方が搬送方向(TD)に微小角度だけ傾いて配置される。本実施形態において、この程度の傾きがあっても、単列化ガイド20A,20Bは搬送方向(TD)に沿っているとする。単列化ガイド20A,20Bの最も上流(US)における間隔をD1とし、単列化ガイド20A,20Bの最も下流(DS)における間隔をD2とし、物品Cの直径をDcとする。そうすると、以下の式(1)が成り立つように単列化ガイド20A,20Bが構成される。また、上流(US)と下流(DS)の間において、単列化ガイド20A,20Bの間隔Dbが以下の式(2)を満たすところがあり、これがブリッジ位置BPである。ブリッジ位置BPにおいて、物品Cが並列になるとブリッジが生ずる。このブリッジ位置BPよりも手前、つまり上流(US)において、整列機構30が物品Cの流れをせき止めることができる。
【0014】
D1>D2>Dc …式(1) , Db=2×Dc …式(2)
【0015】
[整列機構30:図1図2図3参照]
整列機構30は、上流(US)から搬送される物品Cの下流への搬送をせき止めるか、または、物品Cの下流への搬送を許容することができる。整列機構30が物品Cの下流への搬送をせき止めることにより、先頭に属する物品C1,C2がブリッジ位置BPにおいてブリッジすることなく通過できるように整列させる。整列機構30は、物品Cが直に突き当たる整列ガイド31と、整列ガイド31を昇降移動させる駆動源33と、整列ガイド31と駆動源33とを繋ぐ連結機材35と、駆動源33を支持する支柱37と、を備える。
【0016】
整列ガイド31は、図2に示されるように、駆動源33により物品Cの下流(DS)への搬送をせき止める第1位置P1と、物品Cの下流(DS)への搬送を許容する第2位置P2との間を往復移動可能とされる。第1位置P1における整列ガイド31は、一対の単列化ガイド20A,20Bの間であって搬送路10から微小距離だけ離れる位置に配置される。したがって、一対の単列化ガイド20A,20Bの間を物品Cが通るのを、第1位置P1にいる整列ガイド31が妨げる。第2位置P2における整列ガイド31は、一対の単列化ガイド20A,20Bの間から抜け出るとともに搬送路10から物品Cの背丈を超える位置に配置される。したがって、物品Cは、一対の単列化ガイド20A,20Bの間であって整列ガイド31の下方を下流(DS)に向けて搬送路10で搬送される。なお、整列ガイド31は、鉛直方向(V)に往復移動可能であるが、搬送方向(TD)における位置は固定される。つまり、整列ガイド31は、搬送方向(TD)における定位置において、2つの物品(C)の搬送方向(TD)の位置がずれるように整列させる。
【0017】
整列ガイド31は、図2および図3に示されるように、以下の六つの面を備える六面体からなる。
六つの面は、正面31Aと、正面31Aと対をなす背面31Bと、正面31Aと背面31Bを繋ぐ上面31Cおよび下面31Dと、正面31Aと背面31Bを繋ぐ第1側面31Eおよび第2側面31Fと、を含む。なお、この六つの面は、上流(US)から下流(DS)を視認したことを前提として命名されている。つまり、整列ガイド31が搬送路10の正規の位置に配置されていると、各面の向きは次の通りである。つまり、正面31Aは上流(US)を向き、背面31Bは下流(DS)を向き、上面31Cは天を向き、下面31Dは地を向き、第1側面31Eはガイド20Aを向き、第2側面31Fはガイド20Bを向く。
整列ガイド31の幅方向(WD)の寸法は、単列化ガイド20A,20Bの間に挿入および抜去ができる程度に設定される。
【0018】
整列ガイド31が第1位置P1にいるときに、搬送されてくる物品Cの集合である物品群CGの中の先頭に属する物品C1,C2は正面31Aに突き当たり搬送が止められる。先頭に属する物品C1,C2に続く物品群CGの搬送も止められるので、物品群CGは正面31Aによりせき止められる。このとき、先頭に属する物品C1,C2および後続の物品群CGは、搬送路10の搬送動作が続いているので、正面31Aに所定の圧力を持って押し付けられる。先頭に位置する2つの物品C1,C2は正面31Aに押し付けられることにより、ブリッジ位置BPを通過するのに必要な整列状態をなす。
【0019】
ブリッジ位置BPを通過するのに必要な整列状態(以下、単に「整列状態」)について、図3の特に部分拡大図を参照して説明する。
ブリッジ位置BPは、前述したしたように、並列をなしている2本の物品Cがそれよりも下流(DS)に移動できずにブリッジが生じ得る位置であって、前述したDn=2・Dc(式(2))を満たす位置である。なお、ブリッジはブリッジ位置BPよりも下流のガイド20Aとガイド20Bの間隔が狭くなるために生ずる。また、物品Cについて並列とは、搬送方向(TD)における2つの物品Cの位置が一致していることをいう。2つの物品Cが並列のとき、2つの物品Cの幅方向Wにおける寸法が2・Dcと最大になる。ところが、搬送方向(TD)における2つの物品Cの位置がずれていれば、図3の部分拡大図に示されるように、先頭に属する2つの物品C1,C2の幅方向Wにおける寸法Dxは、以下の式(3)に示されるように2・Dcよりも小さくなる。したがって、先頭に属する2つの物品C1,C2の搬送方向(TD)における位置がずれた整列状態のままで下流(DS)に搬送されると、単列化ガイド20A,20Bの間のブリッジ位置BPを通過することができる。
Dx<2・Dc …式(3)
【0020】
正面31Aは、2つの物品Cについて整列状態を形成するために、2つの物品Cのそれぞれを支持する第1ガイド面32Aと第2ガイド面32Bとを備える。幅方向Wにおいて、第1ガイド面32Aはガイド20Aの側に配置され、第2ガイド面32Bはガイド20Bの側に配置される。また、搬送方向(TD)において、相対的に、第1ガイド面32Aは下流(DS)の側に位置し、第2ガイド面32Bは上流(US)の側に位置している。2列となって搬送されてくる2つの先頭に属する物品C1,C2において、ガイド20Aの側の物品C1は第1ガイド面32Aに突き当たり、ガイド20Bの側の物品C2は第2ガイド面32Bに突き当たり、搬送が止められる。第1ガイド面32Aに支持される物品C1と第2ガイド面32Bに支持される物品C2とは、搬送方向(TD)における位置がずれた整列状態をなしている。
【0021】
以上のように、正面31Aにおける第1ガイド面32Aと第2ガイド面32Bとは搬送方向(TD)における位置がずれて段差が形成されており、この位置がずれた第1ガイド面32Aと第2ガイド面32Bとでそれぞれ先頭に属する2つの物品C1,C2を受け止める。そうすることで、物品C1,C2は搬送方向(TD)における位置がずれる整列状態をなす。
なお、ここで説明する例においては、好ましい形態として、先頭に属する物品C1,C2,C3が平面視して正三角形をなしている。しかし、本開示において優先されるべきなのは物品C1,C2の搬送方向(TD)における位置がずれていることであり、物品C1,C2,C3が正三角形以外の三角形をなしていてもよい。
また、第1ガイド面32Aと第2ガイド面32Bは、好ましい形態として、平面視した形状が円弧面をなしている。これは、円筒状の物品Cの外周形状および寸法に整合させるためである。ただし、後述するように、本開示に係るガイド面は円弧面に限定されるものではない。
【0022】
[物品Cの単列化の様子:図4図5参照]
次に、搬送装置1における単列化の様子を説明する。
図4に示されるように、上流(US)から下流(DS)に向けて物品群CGが搬送されてくる。物品群CGの中で、上流(US)の側においては単列化ガイド20A,20Bの間隔が広いために、物品群CGは3列となって搬送されるが、次第に単列化ガイド20A,20Bの間隔が狭くなるので、物品群CGは2列となって搬送される(STEP1)。
先頭に属する物品C1,C2が整列ガイド31の正面31Aに至ると、それぞれが第1ガイド面32Aおよび第2ガイド面32Bに突き当たることで、物品C1,C2は搬送方向(TD)における位置がずれる整列状態をなす(STEP2)。物品C1,C2は、後続の物品C3と合わせると、平面視して三角形状をなしている。
【0023】
物品C1,C2が整列状態をなすと、単列化ガイド20A,20Bの間から整列ガイド31を第2位置P2に移動させる(STEP3)。なお、図4のSTEP.3,4において、整列ガイド31を含め、整列機構30の記載を省いている。
整列ガイド31が第2位置P2に移動すると、物品C1,C2,C3を含め物品群CGは下流(DS)に向けて搬送される(STEP4)。ブリッジ位置BPを越えて搬送されると、物品C1,C2,C3の相対的な位置関係が変わる。以下、図5を参照して説明する。なお、図5は、理解を容易にするために、物品C1,C2,C3だけを記載する。
【0024】
整列ガイド31が第2位置P2に移動した後に、物品C1,C2,C3はブリッジ位置BPを通過する(STEP5,6)。下流(DS)に向けて単列化ガイド20A,20Bの間隔が狭くなるので、物品C1と物品C3はガイド20Aからガイド20Bに向けて負荷を受け、物品C2はガイド20Bからガイド20Aに向けて負荷を受ける。したがって、物品C2は物品C1と物品C3の間に入り込み(STEP7)、さらに下流(DS)に搬送されると、物品C1,C2,C3は一列、つまり単列化される。物品C3の後に続く物品群CGも同様にして単列化される。
なお、物品C1,C2,C3の配列が図4とは逆のパターンもあるため、図5にはこの逆パターンの例が示されている。
【0025】
[コントローラ100:図1
搬送装置1は、搬送路10における駆動源12および整列機構30における駆動源33の動作を司るコントローラ100を備える。コントローラ100は、コンピュータ装置で構成され、駆動源12および駆動源33の動作を制御するのに必要な情報を記憶する記憶部、この情報に基づいて駆動源12および駆動源33に指示を送りまたは必要な情報を受ける送受信部などを備える。
【0026】
必要な情報をコントローラ100に送る要素として、搬送装置1は第1センサ101を備える。第1センサ101は、物品群CGの中の先頭に属する物品C1,C2が整列ガイド31まで達したか否かを検知する。検知したことの情報はコントローラ100に送られ、コントローラ100は受信した検知情報に基づいて駆動源33の動作を制御し、整列ガイド31を第1位置P1から第2位置P2に移動させるか、または、第2位置P2から第1位置P1に移動させる。
本実施形態に係る第1センサ101の種類は任意であり、反射型光電センサ、近接センサ、レーザ距離センサなどの各種センサが適用される。また、整列ガイド31に物品C1,C2が接したことによる荷重を検知するセンサを用いることもできる。さらに、整列ガイド31の近傍を撮像するカメラを第1センサ101に適用することもできる。これらのセンサは、第2センサ102についても当てはまる。
【0027】
[搬送装置1の動作手順:図6参照]
次に、複数列の物品群CGを物品Cに単列化する際の搬送装置1の動作の手順の一例を説明する。この動作は、先行する物品群CGの処理を終えて、新たに物品群CGの処理を搬送装置1にて行うときの動作をいう。先行する処理において、整列ガイド31は第2位置P2に移動し、次の物品群CGの処理のために第2位置P2で待機している。以下の動作の制御は、コントローラ100の指示により行われる。
【0028】
搬送装置1による新たな処理に際し、整列機構30の整列ガイド31を第2位置P2から第1位置P1に移動させる(図6 S101)。これで、物品C1,C2を必要な整列状態とする準備が整うので、駆動源12を駆動させることで、搬送路10の第1コンベヤ11、第2コンベヤ13および第3コンベヤ15の搬送動作を開始させる(図6 S103)。なお、ここでは、整列ガイド31を第1位置P1に移動させてから搬送路10の駆動を開始する例を示したが、両者の動作の開始の順番は逆でもよいし同時でもよい。
【0029】
搬送路10の搬送動作が開始された後に、第1センサ41が容器Cを検知するか否かの判定が行われる(図6 S105)。第1センサ41による物品Cの検知情報は、コントローラ100に送られる。
コントローラ100は、第1センサ41による物品Cの検知情報を取得すると、整列ガイド31を第2位置P2に移動するように駆動源33に指示する(図6 S107)。駆動源33は支持に基づいて、整列ガイド31を第2位置P2に移動させる。これで、物品C1,C2が必要な整列状態とされた物品群CGが下流(DS)に向けて搬送され、単列化が実現される。
全ての物品Cを含む物品群CGの単列化処理が終わると、コントローラ100は搬送路10を構成する第1コンベヤ11、第2コンベヤ13および第3コンベヤ15の動作を停止するように、駆動源12に指示を送る(図6 S109)。
【0030】
[搬送装置1が奏する効果]
搬送装置1によれば、先頭に属する物品C1,C2が整列ガイド31に突き当たることで、物品C1,C2が好ましい整列状態を形成するので、物品C1,C2および後続の物品群CGはブリッジ位置BPを通過することができる。しかも、搬送装置1によれば、整列ガイド31に物品C1,C2が突き当たってから、整列ガイド31を移動させるだけで足りるから、ブリッジが生じるのを簡易な構成でかつ消費するエネルギが少ない。特に、搬送装置1によれば、整列ガイド31を昇降させるだけで足りるので、より構成が簡易であるとともに消費するエネルギが少ない。
【0031】
搬送装置1によれば、物品C(C1,C2)が突き当たる整列ガイド31の第1ガイド面32Aと第2支持面32Bが、円筒状の物品Cの外周形状および寸法に整合する円弧面で構成されている。したがって、整列ガイド31によれば、所望する位置ずれの状態を精度よく再現できる。
【0032】
〔第2実施形態:図7図8参照〕
次に、第2実施形態に係る搬送装置2について、図7および図8を参照して説明する。
搬送装置2は、上流(US)の側に第2センサ102を備える。搬送装置2は、第1センサ101に加えて第2センサ102による物品Cの検知結果に基づいて、整列ガイド31を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。
【0033】
第2センサ102は、整列ガイド31よりも上流(US)の側に離れる位置に設けられ、この上流(US)の側の位置まで物品Cが溜まることを検知する。そうすることで、この位置までに達した物品群CGについて、それぞれの物品Cが高い密度で集積されていることを担保し、安定した単列化の処理が行われるようにする。
したがって、図8に示されるように、制御の手順として、第2センサ102により物品Cを検知した後に、第1センサ101による物品Cの検知を行う(図8 S104,S105)。
【0034】
〔変形例:図9図10図11参照〕
第1実施形態および第2実施形態を説明したが、これら実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
[整列ガイド31の変形例:図9図10参照]
例えば、以上で説明した整列ガイド31は、第1ガイド面32Aおよび第2支持面32Bのそれぞれが円弧面をなし、かつ、第1ガイド面32Aおよび第2支持面32Bが幅方向(W)に段差を形成しているが、本開示は他の形態を含む。
その一例として、図9の上段に示すように、整列ガイド31の正面31Aを搬送方向(TD)に対して傾く傾斜面とすることもできる。この傾斜面からなる正面31Aに物品C1,C2が突き当たることによっても、物品C1と物品C2とを搬送方向(TD)の位置をずらして整列させることができる。
この正面31Aと物品C1および物品C2との2つの接点CP1,CP2は、搬送方向(TD)に位置がずれている。この位置関係は、本実施形態の他の整列ガイド31についても当てはまる。また、接点CP1,CP2を繋ぐと、搬送方向(TD)に対して傾く。これも本実施形態の他の整列ガイド31についても当てはまる。
【0035】
次に、以上で説明した整列ガイド31は、第1ガイド面32Aおよび第2支持面32Bを含む一体の形態をなしているが、本開示はこれに限られない。例えば、図9の下段に示されるように、第1ガイド面32Aを備える第1整列ガイド31Aと、第2ガイド面32Bを備える第2整列ガイド31Bと、を別体で構成することもできる。
【0036】
[整列ガイド31の退避動作]
また、以上で説明した整列ガイド31は、鉛直方向(V)に往復移動、つまり昇降するが、図10に示されるように、整列ガイド31が支点軸39を中心にして所定角度の範囲で回転動作することによって、整列ガイド31を第2位置P2に退避させることもできる。第2位置に退避した整列ガイド31は、退避のときとは逆向きに所定角度だけ回転することにより、第1位置P1に復帰される。このときの駆動源33には回転電機が適用される。
【0037】
以上のように、本開示における整列ガイド31は、揺動可能とされることにより、第1位置P1と第2位置P2との間を往復移動可能とすることもできる。ここで、整列ガイド31が退避する際に、整列ガイド31は物品C1,C2などから回転の向きに負荷を受けることもあり、整列ガイド31は退避動作を妨げられることなく第2位置P2に動作することができる。
【0038】
[整列ガイド31の後退移動による物品C1,C2の整列]
以上で説明した整列ガイド31は、搬送方向(TD)における定位置において、2つの物品(C)の搬送方向(TD)の位置がずれるように整列させる例を示したが、本開示はこれに限らない。本開示は、図11に示されるように、搬送方向(TD)の下流(DS)に向けて後退移動しながら、2つの物品(C)の搬送方向(TD)の位置がずれるように整列させることもできる。
【0039】
図11において、整列ガイド31は、上流(US)の側に設けられる待機位置P3において先頭に属する物品C1,C2が搬送されてくるのを待ち受けている(STEP A)。整列ガイド31に物品C1,C2が突き当たると、整列ガイド31は下流(DS)の側の後退位置P4まで移動する(STEP B,C)。この整列ガイド31の後退移動速度をV31とし、搬送路10による物品C1,C2の搬送速度をV10とすると、V31<V10が成り立つ。したがって、後続の物品群CGからの圧力を受ける物品C1,C2は、整列ガイド31の第1ガイド面32Aおよび第2支持面32Bに押し付けられるので、搬送方向(TD)の位置がずれるように整列される。後退位置P4まで整列ガイド31が後退したならば、整列ガイド31は第2位置P2に移動される。そうすると、物品C1,C2および後続の物品群CGは、下流(DS)に向けて搬送され、その後に単列化される(STEP D)。
【0040】
[付記]
以上の開示により、以下に示す構成が把握される。
〔1〕
上流から下流に向けた搬送方向(TD)に物品(C)を搬送する搬送路(10)と、
搬送方向(TD)に交差する幅方向(WD)に間隔をあけて設けられ、搬送方向(TD)に沿って延びる一対の単列化ガイド(20A,20B)と、
一対の単列化ガイド(20A,20B)の間であって、搬送路(10)における搬送方向(TD)の所定位置に設けられる整列ガイド(31)と、を備え、
単列化ガイド(20A,20B)は、
上流から下流に向けて間隔が狭くなり、かつ、その途上に2つの物品(C)が幅方向(WD)に並列するブリッジ位置(BP)を含み、
整列ガイド(31)は、
ブリッジ位置(BP)の上流の側において、2つの物品(C)の搬送方向(TD)の位置がずれるように整列させる、搬送装置(1,2)。
【0041】
〔2〕
前記整列ガイド(31)は、
前記搬送方向(TD)における定位置において、2つの前記物品(C)の前記搬送方向(TD)の位置がずれるように整列させるか、または、
前記搬送方向(TD)の前記下流(DS)に向けて移動しながら、2つの前記物品(C)の前記搬送方向(TD)の位置がずれるように整列させる、[1]の搬送装置(1,2)。
【0042】
〔3〕
前記整列ガイド(31)は、
前記搬送方向(TD)における定位置において、2つの前記物品(C)の前記搬送方向(TD)の位置がずれるように整列させる場合、
前記物品(C)の下流への搬送をせき止める第1位置(P1)と、前記物品(C)の下流への搬送を許容する第2位置(P2)との間を往復移動可能であり、
前記整列ガイド(31)は、
前記第1位置(P1)において前記物品(C)をせき止めた後に、前記第2位置(P2)に移動する、
【0043】
〔4〕
整列ガイド(31)が物品(C)をせき止めることを検知できる第1センサ(101)を備え、
第1センサ(101)が物品(C)をせき止めたことを検知すると、第1位置(P1)から第2位置(P2)に移動し、
物品(C)はブリッジ位置(BP)を通過し、かつ、搬送路(10)により下流に向けて単列となって搬送される、〔3〕に記載の搬送装置(1,2)。
【0044】
〔5〕
整列ガイド(31)において、
幅方向(WD)に並ぶ2つの物品(C)と接するガイド面(31)が、搬送方向(TD)に段差を有して形成される、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の搬送装置(1,2)。
【0045】
〔6〕
ガイド面(31)は、
2つの物品(C)の一方に対応する円弧面からなる第1ガイド面(32A)と、第1ガイド面(32A)と幅方向(WD)に隣接し、2つの物品(C)の他方に対応する円弧面からなる第2ガイド面(32B)と、を備える、[5]に記載の搬送装置(1,2)。
【0046】
〔7〕
整列ガイド(31)は、
昇降移動可能とされることにより、第1位置(P1)と第2位置(P2)との間を往復移動可能であるか、または、
揺動可能とされることにより、第1位置(P1)と第2位置(P2)との間を往復移動可能である、〔2〕に記載の搬送装置(1,2)。
【符号の説明】
【0047】
1,2 搬送装置
10 搬送路
11 第1コンベヤ
12 駆動源
13 第2コンベヤ
14 主動プーリ
15 第3コンベヤ
16 従動プーリ
18 コンベヤベルト
20A,20B ガイド
30 整列機構
31 整列ガイド
31A 正面(ガイド面)
31B 背面
31C 上面
31D 下面
31E 第1側面
31F 第1側面
32A 第1ガイド面
32B 第2ガイド面
33 駆動源
35 連結機材
100 コントローラ
101 第1センサ
102 第2センサ
BP ブリッジ位置
C,C1,C2,C3 物品
CG 物品群
P1 第1位置
P2 第2位置
TD 搬送方向
W 幅方向
V 鉛直方向
H 水平方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11