(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018006
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】急硬性コンクリートを生成して打設する工法
(51)【国際特許分類】
B28C 7/04 20060101AFI20250130BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20250130BHJP
B28C 5/06 20060101ALI20250130BHJP
B28C 5/42 20060101ALI20250130BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B28C7/04
E04G21/02 101
B28C5/06
B28C5/42
C04B28/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121371
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500524958
【氏名又は名称】株式会社すばる建設
(71)【出願人】
【識別番号】516365057
【氏名又は名称】株式会社エム・シー・エス
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】筒井 隆規
(72)【発明者】
【氏名】平間 昭信
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩▲朗▼
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰明
(72)【発明者】
【氏名】三関 欣晃
(72)【発明者】
【氏名】河西 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】串橋 巧
【テーマコード(参考)】
2E172
4G056
4G112
【Fターム(参考)】
2E172AA13
2E172BA03
2E172BA09
4G056AA06
4G056CB32
4G056CC01
4G056CD64
4G112PC06
4G112PE01
(57)【要約】
【課題】本発明は、コンクリート練り混ぜ時または練り混ぜ後の運搬時や打設ポンプ内において凝結リスクがなく、別途凝結遅延剤を添加し凝結を遅らせる方法や、アジテータ車で急硬材を打設直前に添加するなどの対策を取る必要もなく、コンクリート温度が高い場合に凝結進行が早くなり、途中で凝結しない急硬性コンクリートを生成し打設する工法を提供する。
【解決手段】本発明は、練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両から送出されるコンクリートに急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し打設する工法であって、維持設備あるいは移動車両から送出するコンクリート送出管の途中に生成部を設け、圧縮空気を急硬材の移送手段として使用すると共に混合促進手段として使用した送出管を接続し、生成部で急硬性コンクリートを生成し、生成部先端側に接続された送出管から打設できることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両から送出されるコンクリートに急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、打設する急硬性コンクリートを生成して打設する工法であって、
前記練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両からコンクリートを送出するコンクリート送出管の途中箇所に急硬性コンクリートの生成部を設け、該生成部に圧縮空気を急硬材の移送手段として使用すると共に、前記コンクリートに急硬材を混合させる際の混合促進手段として使用した急硬材送出管を接続し、前記生成部で前記コンクリートに前記急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、生成された急硬性コンクリートを前記生成部先端側に接続された送出管から打設できる、
ことを特徴とする急硬性コンクリートを生成して打設する工法。
【請求項2】
練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両から送出されるコンクリートに急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、打設する急硬性コンクリートを生成して打設する工法であって、
前記練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両からコンクリートを送出するコンクリート送出管の途中箇所に急硬性コンクリートの生成部を設け、該生成部に除湿された圧縮空気を粉体状をなす急硬材の移送手段として使用すると共に、前記コンクリートに前記急硬材を混合させる際の混合促進手段として使用した急硬材送出管を接続し、前記生成部で前記コンクリートに前記急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、生成された急硬性コンクリートを前記生成部先端側に接続された送出管から打設できる、
ことを特徴とする急硬性コンクリートを生成して打設する工法。
【請求項3】
前記生成部には補助用の圧縮空気を送出する送出管が接続された、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の急硬性コンクリートを生成して打設する工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急硬性コンクリートを生成して打設する工法に係り、特に、打設する打設管内に急硬性コンクリートの生成部を設けて生成後すぐに打設できる急硬性コンクリートを生成して打設する工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
早期の交通開放が必要な道路工事や、早期に強度が必要な例えばトンネル工事におけるシールドの現場打ちコンクリートセグメントの施工など、特に打設時の流動性と早期強度発現の両者を確保したい場合の工事に、急硬性コンクリートの使用が採用される。
【0003】
急硬性コンクリートとは、例えば、コンクリートにカルシウムアルミネートと石膏を主成分とした急硬材を前記コンクリートの結合材の一部として使用して生成したコンクリートであり、コンクリートの練り混ぜ後、初期の流動性を確保しつつ、一般的なレディーミクストコンクリートに比べ、極めて早く強度を発現できるコンクリートを指標するものである。すなわち、急硬成分などを含有する材料を添加・混合したコンクリートであり、前述したように、初期には流動性が高く、そこに強度が発現するため、急速施工に極めて有効なコンクリートとなる。
【0004】
しかしながら、前記急硬性コンクリートは早期に強度を発現することから、凝結の進行も極めて早く、コンクリート練り混ぜ時、またはコンクリート練り混ぜ後の運搬時やコンクリート打設ポンプ内において凝結するリスクがあり、もって急硬性コンクリートはその取り扱いが難しく、もって急硬性コンクリートを生成して打設するのが難しいとの課題があった。
【0005】
そこで、従来では、コンクリートに別途凝結遅延剤を添加し、運搬・打設にかかる時間分凝結を遅らせる方法や、先行技術文献における非特許文献として掲載した「急硬性高流動コンクリートの基本特性について」に記載されている様に、練り上がり後の急硬材を含まないレディーミクストコンクリートにアジテータ車の中で急硬材を打設直前に添加するなどの対策が行われていた。
しかし、前記対策を実施したとしても、特に、コンクリート温度や環境温度が高い場合には凝結進行が早くなってしまい、打設途中でアジテータ車内またはポンプ内で凝結してしまうとの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】安藤慎一郎等著、「急硬性高流動コンクリートの基本特性について」土木学会第55回年次学術講演会、平成12年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決すべく創案されたものであり、コンクリート練り混ぜ時、またはコンクリート練り混ぜ後の運搬時やコンクリート打設ポンプ内において凝結するリスクがなく、また、別途凝結遅延剤を添加し、運搬・打設にかかる時間分凝結を遅らせる方法や、練り上がり後の急硬材を含まないレディーミクストコンクリートにアジテータ車で、急硬材を打設直前に添加するなどの対策を取る必要もなく、コンクリート温度が高い場合に、凝結進行が早くなってしまい、打設途中でアジテータ車内またはポンプ内で凝結してしまうことのない急硬性コンクリートを生成して打設する工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両から送出されるコンクリートに急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、打設する急硬性コンクリートを生成して打設する工法であって、
前記練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両からコンクリートを送出するコンクリート送出管の途中箇所に急硬性コンクリートの生成部を設け、該生成部に圧縮空気を急硬材の移送手段として使用すると共に、コンクリート送出管内を移動するコンクリートに急硬材を混合させる際の混合促進手段として使用してなる急硬材送出管を接続し、前記生成部で前記コンクリートに前記急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、生成された急硬性コンクリートを前記生成部先端側に接続された送出管から打設できる、
ことを特徴とし、
または、
練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両から送出されるコンクリートに急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、打設する急硬性コンクリートを生成して打設する工法であって、
前記練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両からコンクリートを送出するコンクリート送出管の途中箇所に急硬性コンクリートの生成部を設け、該生成部に除湿された圧縮空気を粉体状をなす急硬材の移送手段として使用すると共に、前記コンクリートに前記急硬材を混合させる際の混合促進手段として使用してなる急硬材送出管を接続し、前記生成部で前記コンクリートに前記急硬材を混合して急硬性コンクリートを生成し、生成された急硬性コンクリートを前記生成部先端側に接続された送出管から打設できる、
ことを特徴とし、
または、
前記生成部には補助用の圧縮空気を送出する送出管が接続された、
ことを特徴とするものである。
本発明は、急硬性コンクリートを生成して打設する際に、コンクリート送出管の途中箇所で圧縮空気を使用して急硬材を添加することで、前記圧縮空気を急硬材の押し出し動力源とすると共に、混合促進手段として使用し、コンクリートに均一に急硬材を添加した急硬性コンクリートを生成して打設するものである。
そして、送出管の打設筒先近傍位置で急硬材を添加することにより、アジテータ車やポンプ内で急硬性コンクリートを生成する場合の凝結リスクを排除できるものとなる。
また、コンクリート温度に合わせて添加量を調整することで、ムダなく安定して強度を発現させることも可能となる。
さらに、アジテータ車やポンプ内での凝結リスクがないため、凝結遅延剤の添加も必要なく、コスト削減も可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンクリート練り混ぜ時、またはコンクリート練り混ぜ後の運搬時やコンクリート打設ポンプ内において凝結するリスクがなく、また、別途凝結遅延剤を添加し、運搬・打設にかかる時間分凝結を遅らせる方法や、練り上がり後の急硬材を含まないレディーミクストコンクリートにアジテータ車で、急硬材を打設直前に添加するなどの対策を取る必要もなく、コンクリート温度が高い場合に、凝結進行が早くなってしまい、打設途中でアジテータ車内またはポンプ内で凝結してしまうことがない。
【0011】
すなわち、急硬性コンクリートを使用する際のアジテータ車およびポンプ内での凝結リスクがない。また、凝結遅延剤が必要なくなり、コスト削減が可能である。さらに、コンクリート送出管の途中箇所に設けられた生成部にて急硬材を混合するためコンクリート温度等に応じて適宜急硬材の添加量を調整可能であるため無駄なく、要求通りの強度発現が可能となるなど多くの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による一実施例を説明する説明図である。
【
図2】コンクリート温度と急硬材の混合%が異なる場合の圧縮強度値を説明するグラフ(1)である。
【
図3】コンクリート温度と急硬材の混合%が異なる場合の圧縮強度値を説明するグラフ(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例における概略構成説明図である。符号1は、練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両を示す。本実施例では、練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する移動車両の一例としてアジテータ車を挙げた。しかし、アジテータ車に決して限定されるものではなく、練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持できる設備あるいは移動車両であれば構わない。
【0014】
ここで、練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両1から送出されたコンクリートはコンクリートポンプ2によって送出管3に送出される。
尚、
図1において符号4は急硬材収納庫であり、該急硬材収納庫4に収納されている急硬材は圧縮空気等の送出手段によって押し出されて急硬材送出管5に送出され、移動できる様構成されている。
【0015】
さらに、符号6は前記送出管3の途中箇所に設けられた生成部であり、該生成部6で前記コンクリートに急硬材が混合されて急硬性コンクリートが生成される。生成部6の形態については何ら制限はないが、パイプ状をなす送出管3と同様にパイプ状の部材で構成しても構わない。尚、パイプ状をなす生成部6の長さについても何ら限定はない。
【0016】
ここで、前記生成部6には急硬材送出管5の先端部が前記パイプ状をなす生成部6の外周側面において、生成部6に対し略直角に近い角度をもって接続されており、送出管3から生成部6に移動してきたコンクリートに急硬材送出管5から送出された急硬材が添加、混合できる様に構成されている。
【0017】
ここで、本発明では、圧縮空気が急硬材を移動させる押し出し動力源、換言すれば送出手段となると共に、該圧縮空気は急硬材を生成部6内のコンクリートに混合させるに際し、そのコンクリートの外周側面に衝突し、半流動体状をなすコンクリートの塊をばらけさせる作用を有し、もってコンクリートと急硬材との混合を促進させる混合促進手段ともなっているのである。
【0018】
生成部6内は密閉状態となっており、急硬材送出管5からの圧縮空気は連続的に生成部6の外周側面から入り込む。もって、連続的に所定の圧力を有して生成部6に入り込む圧縮空気は生成部6内において半流動体状の塊となっているコンクリートにぶつかり、コンクリートをばらけさせるものとなる。そして、ばらけたコンクリート内に急硬材を均一に添加することが出来、その状態で移動させることによりコンクリート内に急硬材が行き渡らせることが出来るものとなる。
【0019】
そして、生成部6の前方部分には所定の長さを有する送出先端パイプ7が接続されており、この送出先端パイプ7の先端部には、先端側に向かって窄んだ形状に構成された吹き出しノズル8が設けられている。そして、生成部6の前方に接続された送出先端パイプ7から吹き出しノズル8までの間は、急硬材とコンクリートとの均一な混合をさらに促進させる混合促進部13として機能することとなる。
【0020】
符号9は圧縮空気生成機器を示し、該圧縮空気生成機器9により生成された圧縮空気は、貯蔵タンク10を介して、急硬材を急硬材送出管5から生成部6へ押し出して送出する動力源、すなわち急硬材の送出手段となる。
また、前述の如く圧縮空気は、生成部6において急硬材をスムーズにコンクリートに混合させる混合促進手段として作用する。
【0021】
図1の実施例では、圧縮空気生成機器9で生成された圧縮空気が空気乾燥機器11で乾燥され、該乾燥したドライな圧縮空気により、例えば粉体状をなす急硬材を湿気を有しないドライな粉体として形成し、スムーズに急硬材送出管5内に移動でき、またコンクリートに混合できる様に構成されている。
【0022】
ここで、前記急硬材は粉体状のものでも構わないし、液体状のものでも構わないが、液体状の急硬材の場合は、圧縮空気を乾燥したものにする必要はなく、また、空気乾燥機器11の使用も必要がない場合が多い。液体の急硬材の押し出し動力源としては通常のポンプを使用して構わない。
【0023】
ここで、急硬材は急硬性セメント鉱物を主成分としたものが好ましく、該急硬材がセメントと共に水和すると 急激にエトリンガイトが生成され、セメント成分中のエーライトおよびビーライトの水和活性を著しく高めることとなり早期に強度が発現されるものとなる。
【0024】
前述したように、
図1において、符号12は圧縮空気補助送出管を示し、該圧縮空気補助送出管12を使用して、圧縮空気生成機器9で生成された圧縮空気を補助的に生成部6へ送出できるよう構成されている。
【0025】
この圧縮空気補助送出管12は
図1から理解されるように、生成部6との接続において前記急硬材送出管5より送出設備あるいは送出車両側に接続されている。圧縮空気を前記急硬材より先にコンクリートへ送ることによりコンクリートをある程度ばらけさせることが出来、さらに急硬材送出管5からの圧縮空気によりさらにコンクリートをばらけさせる構成としている。よって、この構成であれば、急硬材はより良くコンクリート内に均一に混合させることが出来るものとなる。
【0026】
以上において、本発明による急硬性コンクリートを生成して打設する工法につき説明する。
図1から理解されるように、練り混ぜたコンクリートが固化しないよう維持する設備あるいは移動車両1、例えばアジテータ車から送出されたコンクリートはコンクリートポンプ2によって、フレキシブルな部材で構成された送出管3側に送出され、送出管3の途中箇所に設けられた生成部6まで移動する。
【0027】
また、例えば、粉体状をなす急硬材は、圧縮空気により押し出されて急硬材収納庫4より急硬材送出管5側に送出される。この際、急硬材が粉体状の場合には、ドライな粉体状の急硬材にして急硬材送出管5側へスムーズに移動させるべく、前記圧縮空気を圧縮空気乾燥機器11でドライな圧縮空気にしている。すなわち、ドライな圧縮空気によって、粉体状の急硬材は湿気が消失されてドライな粉体状の急硬材となり、スムーズに急硬材送出管5を移動できる。
【0028】
送出管3内を移動するコンクリートは生成部6まで到達すると、急硬材送出管5から移動してきた粉体状をなす急硬材と混じり合い急硬材入りのコンクリートが生成される。ここで、急硬材がコンクリートと混じり合う際、前記粉体状の急硬材は圧縮空気により押し出されて移動すると共に、コンクリートの外周側面に直接圧縮空気は衝突する。そして、移動してきた半流動体状をなすコンクリートの塊にぶつかってこのコンクリートの外周側面からその奥に入り込み前記コンクリートの塊をバラバラにばらけさせる。そして、バラバラにばらけたコンクリート内に粉体状の急硬材がスムーズに入り込むことが出来、均一に混じり合うこととなる。
【0029】
よって、本発明では、この際に何ら攪拌器具を使用しなくとも急硬材とコンクリートとをより良くスムーズに均一に混じり合わせることが出来るのである。
【0030】
さらに、本発明では、よりよく混じり合ったコンクリートと急硬材は生成部6から送出先端パイプ7の吹き出しノズル8までの間が混合促進部13として形成されており、該混合促進部13によって、コンクリートと急硬材はさらに均一に、より良く混じり合うことになる。そして、急硬材がコンクリート内に均一に混ざり合った良質な急硬性コンクリートが生成されてすぐに打設することが出来るものとなっている。よって、急硬材の混合によって急硬性コンクリートがアジテータ車の中で固まることを懸念したり、凝結遅延剤の添加を検討する必要が全くないのである。
【0031】
尚、本発明では、コンクリートの量に対し、混合する急硬材の量を制御して混合できる工法ともなっており、例えばコンクリートの7%~10%のいずれかの%の急硬材添加を選択制御することによって所望する急硬性コンクリートの生成が簡単に確実、迅速に行えるのである。
【0032】
すなわち、本発明の工法であれば、いずれの添加量(%)の急硬材の添加で所望する急硬性コンクリートが生成出来るかが簡単に、迅速確実に判断出来るのである。
【0033】
すなわち、例えば、コンクリートの20%の急硬材を混合したとする。その場合は、この20%混合した急硬材入り急硬性コンクリートは、その硬化時間に合致した現場の工事で必要とされる急硬性コンクリートなのである。また、コンクリートの30%の急硬材を混合したときは、この30%混合した急硬材入り急硬性コンクリートの硬化時間(20%入り急硬性コンクリートの硬化時間より短くなる)に合致した現場工事で必要とされる急硬性コンクリートである。
【0034】
このように工事現場で必要とされる様々な急硬性コンクリート、換言すれば硬化時間が異なった急硬性コンクリートを迅速確実にかつ容易に生成出来るものとなっている。
【0035】
例えば、所定時間内に1m3のコンクリートを送出出来るように送出ポンプの圧力を調整し、これに対し、前記の所定時間内に1m3のコンクリートの20%あるいは30%となる急硬材が前記コンクリートに混合するよう、急硬材送出管5に使用する圧縮空気の押し出し圧力などを調節し、急硬材の送出速度を調節することで行える。
【0036】
すなわち、本発明の工法であれば、急硬材の混合量がコンクリートに対し、何%必要か簡単に調整でき、必要量の急硬材が混合された急硬性コンクリートが簡単に生成出来る。
【0037】
次に、
図2,
図3を参照して、本発明の工法がコンクリートの温度の違いや打設後の経過時間の違いによっても所定の強度を有する急硬性コンクリートが容易に生成出来る制御について説明する。
図2は、コンクリートの温度が5℃と低いときに、20%の急硬材を混合した急硬性コンクリート及び15%の急硬材を混合した急硬性コンクリートがどのくらいの時間で所定の圧縮強度のコンクリートが生成出来るかを示したグラフである。例えば1日、すなわち24時間経過後には、20%の急硬材を混合した急硬性コンクリートでは、約180kgf/cm
2の圧縮強度が得られ、15%の急硬材を混合した急硬性コンクリートでは、約110kgf/cm
2の圧縮強度が得られることが理解できる。
【0038】
また、
図3は、コンクリートの温度が20℃と比較的高いときに、20%の急硬材を混合した急硬性コンクリート及び15%の急硬材を混合した急硬性コンクリートがどのくらいの時間で所定の圧縮強度のコンクリートが生成出来るかを示したグラフである。このグラフの場合、1日、すなわち24時間経過後には、20%の急硬材を混合した急硬性コンクリートでは、約220kgf/cm
2の圧縮強度が得られ、15%の急硬材を混合した急硬性コンクリートでは、約150kgf/cm
2の圧縮強度が得られることが理解できた。これらグラフからわかるように、コンクリートの温度が高い場合には、比較的早い時間で圧縮強度が獲得できることが理解できる。
【0039】
しかるに、上記
図2,
図3で示す様に、コンクリート温度の違い、そして急硬材の添加量(%)の違いを確認しておけば、いかなる程度の圧縮強度が必要な急硬行性コンクリートが生成するかを容易に認識することが出来、本工法によって容易に所望する急硬性コンクリートを生成し打設することが出来るものとなる。
【符号の説明】
【0040】
1 設備あるいは移動車両
2 コンクリートポンプ
3 送出管
4 急硬材収納庫
5 急硬材送出管
6 生成部
7 送出先端パイプ
8 吹き出しノズル
9 圧縮空気生成機器
10 貯蔵タンク
11 空気乾燥機器
12 圧縮空気補助送出管
13 混合促進部