IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コイト電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-情報処理ユニット 図1
  • 特開-情報処理ユニット 図2
  • 特開-情報処理ユニット 図3
  • 特開-情報処理ユニット 図4
  • 特開-情報処理ユニット 図5
  • 特開-情報処理ユニット 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018016
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】情報処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
G08G1/09 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121391
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 隆寿
(72)【発明者】
【氏名】飯田 彰
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB17
5H181JJ03
5H181JJ11
(57)【要約】
【課題】同一ブロック内で接続方式が2種類以上にわたる複数の端末を一括して制御可能な情報処理ユニットを提供する。
【解決手段】情報処理ユニットは、道路に沿って間隔をあけて設置され、状況に応じた共通の情報を上記道路上から視認可能なように表示する複数の端末を一括して制御する。上記情報処理ユニットは、第1制御部と、第2制御部と、分配部と、を具備する。上記第1制御部は、上記複数の端末のうち第1接続方式に対応する端末を制御可能に構成されている。上記第2制御部は、上記複数の端末のうち上記第1接続方式とは異なる第2接続方式に対応する端末を制御可能に構成されている。上記分配部は、上記複数の端末のそれぞれの制御を上記第1制御部と上記第2制御部とのいずれか一方に分配する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って間隔をあけて設置され、状況に応じた共通の情報を前記道路上から視認可能なように表示する複数の端末を一括して制御する情報処理ユニットであって、
前記複数の端末のうち第1接続方式に対応する端末を制御可能に構成された第1制御部と、
前記複数の端末のうち前記第1接続方式とは異なる第2接続方式に対応する端末を制御可能に構成された第2制御部と、
前記複数の端末のそれぞれの制御を前記第1制御部と前記第2制御部とのいずれか一方に分配する分配部と、
を具備する情報処理ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理ユニットであって、
前記複数の端末をそれぞれ第1グループと第2グループとのいずれか一方に分類した分類情報が記録されたメモリ部を更に具備し、
前記分配部は、前記分類情報に従って、前記第1グループに属する端末の制御を前記第1制御部に分配し、前記第2グループに属する端末の制御を前記第2制御部に分配する
情報処理ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理ユニットであって、
前記分類情報における前記複数の端末のそれぞれの分類を前記第1グループと前記第2グループとで切り替える入力操作が可能に構成された入力操作部を更に具備する
情報処理ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理ユニットであって、
前記分配部によって前記第1制御部に分配された端末の動作に関する第1監視情報を取得する第1監視部と、
前記分配部によって前記第2制御部に分配された端末の動作に関する第2監視情報を取得する第2監視部と、
前記第1監視情報と前記第2監視情報とを一括して取り扱うことが可能なように結合する結合部と、
を更に具備する情報処理ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理ユニットであって、
前記結合部は、前記第1監視情報と前記第2監視情報との一方の形式を他方の形式に合わせて変更する
情報処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば可変式速度規制標識などの複数の端末を一括して制御するための情報処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
可変式速度規制標識は、道路に沿って設置され、各時点における状況に応じた規制速度を道路上から視認可能なように表示する端末である(例えば、特許文献1参照)。可変式速度規制標識は、主に高速道路や高規格幹線道路(自動車専用道路)など高速で走行できる道路に設置され、走行する車両の安全走行を確保するために渋滞情報や気象情報、道路パトロールによる情報などに基づいて適切な規制速度を表示する。
【0003】
可変式速度規制標識を構成する端末は、道路に沿って概ね2kmを超えない間隔で設置され、道路に沿った一定の範囲(例えば、隣り合うインターチェンジ間の範囲など)を1つのブロックとして各ブロックごとに一括して制御及び監視が行われる。各ブロックにおける制御・監視装置と各端末との接続方式としては、メタル回線を用いたマルチドロップ方式が一般的であったが、IPネットワークや無線通信(LTE(Long Term Evolution)等)などを用いた方式なども多く利用されるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61-036900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、各ブロックにおける制御・監視装置と各端末との接続方式を、メタル回線を用いたメタル方式からIPネットワークを用いたIP方式に変更するケースが増えてきている。接続方式をメタル方式からIP方式に変更するためには、各ブロックにおいて、メタル方式の制御・監視装置からIP方式の制御・監視装置に変更した上で、メタル方式の各端末を順次IP方式の端末に入れ替える必要がある。
【0006】
IP方式の制御・監視装置ではメタル方式の端末の制御及び監視を行うことができないため、メタル方式の制御・監視装置からIP方式の制御・監視装置に変更してから、メタル方式の全ての端末のIP方式の端末への入れ替えが完了するまでの間、速度規制を行うことができない区間が発生してしまう。メタル方式の端末をIP方式の端末に入れ替える作業は、車線規制の範囲を小さく留めるため、現実的には1端末ずつしか行うことができない。このため、適正な速度規制を行えない期間が長引きやすいという問題があった。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、同一ブロック内で接続方式が2種類以上にわたる複数の端末を一括して制御可能な情報処理ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る情報処理ユニットは、道路に沿って間隔をあけて設置され、状況に応じた共通の情報を上記道路上から視認可能なように表示する複数の端末を一括して制御する。
上記情報処理ユニットは、第1制御部と、第2制御部と、分配部と、を具備する。
上記第1制御部は、上記複数の端末のうち第1接続方式に対応する端末を制御可能に構成されている。
上記第2制御部は、上記複数の端末のうち上記第1接続方式とは異なる第2接続方式に対応する端末を制御可能に構成されている。
上記分配部は、上記複数の端末のそれぞれの制御を上記第1制御部と上記第2制御部とのいずれか一方に分配する。
【0009】
この情報処理ユニットは、第1接続方式に対応する第1制御部と、第2接続方式に対応する第2制御部と、複数の端末の制御を第1制御部と第2制御部とに分配する分配部と、を備える。これにより、複数の端末に第1接続方式の端末と第2接続方式の端末とが混在していても、全ての端末を一括して制御することが可能となる。
この情報処理ユニットでは、例えば、1つのブロックにおいて第1接続方式の端末を第2接続方式の端末に順次入れ替える場合に、その過程において動作不能となる端末を実質的に作業中の1台の端末のみとすることができる。このため、この情報処理ユニットを用いることで、情報を表示できない区間を最小限に留めることができる。
【0010】
上記情報処理ユニットは、上記複数の端末をそれぞれ第1グループと第2グループとのいずれか一方に分類した分類情報が記録されたメモリ部を更に具備してもよい。
上記分配部は、上記分類情報に従って、上記第1グループに属する端末の制御を上記第1制御部に分配し、上記第2グループに属する端末の制御を上記第2制御部に分配してもよい。
この構成では、第1接続方式の端末を第1グループに分類し、第2接続方式の端末を第2グループに分類した分類情報を用意しておくことで、分配部が当該分類情報に従って複数の端末の制御の分配をより的確に実行可能となる。
【0011】
上記情報処理ユニットは、上記分類情報における上記複数の端末のそれぞれの分類を上記第1グループと上記第2グループとで切り替える入力操作が可能に構成された入力操作部を更に具備してもよい。
この構成では、複数の端末の分類を容易に切り替えることができるため、ソフトウェア等の専門的な知識を持たない作業者(例えば、旧端末の撤去作業や新端末の据付作業を担当する作業者等)によっても迅速かつ確実に分類情報を更新することが可能である。
【0012】
上記情報処理ユニットは、第1監視部と、第2監視部と、結合部と、を更に具備してもよい。
上記第1監視部は、上記分配部によって上記第1制御部に分配された端末の動作に関する第1監視情報を取得する。
上記第2監視部は、上記分配部によって上記第2制御部に分配された端末の動作に関する第2監視情報を取得する。
上記結合部は、上記第1監視情報と上記第2監視情報とを一括して取り扱うことが可能なように結合する。
この情報処理ユニットでは、複数の端末に第1接続方式の端末と第2接続方式の端末とが混在していても、第1接続方式の端末の動作に関する情報である第1監視情報と、第2接続方式の端末の動作に関する情報である第2監視情報と、を結合部によって結合することで、上位装置において全ての端末の動作に関する情報を一括して取り扱うことが可能となる。
【0013】
上記結合部は、上記第1監視情報と上記第2監視情報との一方の形式を他方の形式に合わせて変更してもよい。
この構成では、例えば、1つのブロックにおいて第1接続方式の端末を第2接続方式の端末に順次入れ替える場合に、結合部によって第2監視情報の形式を第1監視情報の形式に合わせて変更することで、全ての端末が第1接続方式の場合と同様の監視情報が生成される。このため、この情報処理ユニットを用いることで、上位装置の設定などの変更を伴わずにそのまま複数の端末の運用を継続することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同一ブロック内で接続方式が2種類以上にわたる複数の端末を一括して制御可能な情報処理ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】道路に沿って複数の端末が設置された状態を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理ユニットを用いた道路表示システムの概略構成図である。
図3】情報処理ユニットの構成を示すブロック図である。
図4】情報処理ユニットの入力操作部に表示される画面の一例を示す図である。
図5】全ての端末がメタル方式である道路表示システムの概略構成図である。
図6図5に示す道路表示システムにおいて接続方式をメタル方式からIP方式に変更する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
[道路表示システム1の全体構成]
図1は、道路に沿って複数の端末Tが設置された状態を模式的に示す図である。複数の端末Tは、各時点における状況に応じた情報を道路上から視認可能なように表示するための道路表示装置であり、道路に沿って所定の間隔をあけて設置されている。図1に示す例では、各端末T(T,T,T,T)がそれぞれ、各時点における状況に応じた情報として規制速度を表示する道路表示装置である可変式速度規制標識として構成されている。各可変式速度規制標識における規制速度を表示する表示部は、例えば、LED式とすることができる。
【0018】
複数の端末Tは、設置位置に応じて複数のブロックに区分されており、各ブロックごとに共通の情報を表示する動作の制御及び監視が一括してなされる。図1に示す例では、複数の端末Tについて、設置位置が、道路の上り車線及び下り車線のいずれに属するか、及び道路に沿って左右に区画された2つの区間のいずれに属するかに応じて、4つのブロック(Aブロック、Bブロック、Cブロック、及びDブロック)に区分されている。各ブロックはそれぞれ、4台の端末T,T,T,Tで構成されている。なお、各ブロックにおける端末Tの台数には特に制限がない。
【0019】
各ブロックにはそれぞれ、全ての端末Tに状況に応じた共通の情報を表示するための道路表示システムが構成されている。各道路表示システムには、全ての端末Tに接続され、全ての端末Tの制御及び監視を一括して行うための情報処理ユニットが設けられている。一般的な道路表示システムでは、情報処理ユニットと複数の端末Tとが共通の接続方式で接続される。情報処理ユニットと複数の端末Tとの接続方式としては、例えば、メタル回線を用いたメタル方式や、IPネットワークを介したIP方式や、無線通信による無線方式などが挙げられる。
【0020】
これに対し、本実施形態に係る情報処理ユニット100は、複数の端末Tが2種類の接続方式で接続可能なように構成されている。つまり、情報処理ユニット100を有する道路表示システム1では、2種類の接続方式の端末Tが混在するブロックにおいても、全ての端末Tの制御及び監視を一括して行うことが可能である。以下、2種類の接続方式の端末Tが混在した構成としたAブロックにおいて、本実施形態に係る情報処理ユニット100を用いた道路表示システム1を構成した例について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る情報処理ユニット100を用いた道路表示システム1の概略構成図である。道路表示システム1は、情報処理ユニット100と、複数の端末Tと、上位装置Sと、を有する。上位装置Sは、例えば、複数の端末Tに表示する情報の切り替えなどの操作を行うための操作機や、複数の端末Tの動作を監視するための監視機などを含む構成とすることができる。上位装置Sは、操作機及び監視機を含む複数の装置で構成されていても、操作機及び監視機の機能を併せ持つ単一の装置で構成されていてもよい。上位装置Sは、情報処理ユニット100を介して全ての端末Tに接続される。
【0022】
道路表示システム1では、複数の端末Tが、第1接続方式であるメタル方式に対応する端末Tと、第2接続方式であるIP方式に対応する端末Tと、で構成されている。図2に示す例では、複数の端末Tが、メタル方式に対応する端末T,Tと、IP方式に対応する端末T,Tと、で構成されている。つまり、道路表示システム1では、端末T,Tがメタル方式で情報処理ユニット100に接続され、端末T,TがIP方式で情報処理ユニット100に接続されている。
【0023】
道路表示システム1では、複数の端末Tを接続方式についてメタル方式とIP方式とで異なるグループに分類し、つまりメタル方式の端末Tを第1グループG1に分類し、IP方式の端末Tを第2グループG2に分類する。図2に示す例では、メタル方式の端末T,Tが第1グループG1に分類され、IP方式の端末T,Tが第2グループG2に分類されている。
【0024】
[情報処理ユニット100の詳細構成]
図3は、本実施形態に係る情報処理ユニット100の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット100は、第1制御・監視部10と、第2制御・監視部20と、分配・結合部30と、を有する。第1制御・監視部10及び第2制御・監視部20はいずれも、分配・結合部30に接続されている。第1制御・監視部10は、第1グループG1の端末Tと接続されている。第2制御・監視部20は、第2グループG2の端末Tと接続されている。分配・結合部30は、上位装置Sと接続されている。
【0025】
第1制御・監視部10は、第1制御部11及び第1監視部12を有する。第2制御・監視部20は、第2制御部21及び第2監視部22を有する。分配・結合部30は、分配部31及び結合部32を有する。分配部31及び結合部32はいずれも、第1制御部11及び第2制御部21にそれぞれ接続されている。第1制御部11及び第1監視部12はいずれも、第1グループG1の端末Tとメタル方式で接続されている。第2制御部21及び第2監視部22はいずれも、第2グループG2の端末TとIP方式で接続されている。分配部31及び結合部32はいずれも、上位装置Sと接続されている。
【0026】
分配部31は、第1グループG1の端末Tの制御を第1制御部11に分配し、第2グループG2の端末Tの制御を第2制御部21に分配する。つまり、分配部31は、上位装置Sから制御信号を受信し、当該制御信号に基づく第1グループG1の端末Tの制御を第1制御部11に実行させ、当該制御信号に基づく第2グループG2の端末Tの制御を第2制御部21に実行させる。第1制御部11は、上位装置Sから分配部31を介して受信した制御信号に基づいて第1グループG1の端末Tの制御を行う。第2制御部21は、上位装置Sから分配部31を介して受信した制御信号に基づいて第2グループG2の端末Tの制御を行う。
【0027】
情報処理ユニット100は、メモリ部40及び入力操作部50を更に有する。メモリ部40は、分配部31及び入力操作部50に接続されている。メモリ部40には、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリが用いられ、複数の端末Tをそれぞれ第1グループG1と第2グループG2とに分類した分類情報が記録されている。分配部31は、第1制御部11及び第2制御部21に対する複数の端末Tの制御の分配を、メモリ部40から読み出した分類情報に従って実行する。入力操作部50は、メモリ部40に記録された分類情報における複数の端末Tの分類を第1グループG1と第2グループG2とで切り替える入力操作が可能に構成されている。
【0028】
入力操作部50は、分類情報を表示可能な表示部51を有し、作業者が表示部51を見ながら複数の端末Tの分類を切り替える入力操作が可能なように構成されている。図4は、表示部51に表示される分類情報の一例を示している。図4に示す分類情報には、4台の端末T,T,T,Tについてそれぞれ、メタル方式を選択するためのラジオボタンと、IP方式を選択するためのラジオボタンが設けられている。情報処理ユニット100では、メタル方式のラジオボタンが選択された端末Tが第1グループG1に分類され、IP方式のラジオボタンが選択された端末Tが第2グループG2に分類される。図4に示す分類情報では、端末T,TについてIP方式が選択され、端末T,Tについてメタル方式が選択されている。
【0029】
入力操作部50では、分類情報における各端末Tの分類の切り替えをラジオボタンの選択によって容易に行うことができる。例えば、メタル方式の端末TをIP方式の端末Tに変更した場合に、分類情報における端末Tについてのラジオボタンの選択をIP方式からメタル方式に切り替える入力操作のみによって、分類情報における端末Tの分類をメタル方式からIP方式に変更することができる。これにより、分配部31による端末Tの制御の分配先が、第1グループG1から第2グループG2に変更される。このように、情報処理ユニット100では、複数の端末Tの分類を容易に切り替えることができるため、ソフトウェア等の専門的な知識を持たない作業者(例えば、旧端末の撤去作業や新端末の据付作業を担当する作業者等)によっても迅速かつ確実に分類情報を更新することが可能である。
【0030】
第1制御・監視部10の第1監視部12は、第1制御部11によって制御される第1グループG1の端末Tの動作に関する第1監視情報を取得する。第2制御・監視部20の第2監視部22は、第2制御部21によって制御される第2グループG2の端末Tの動作に関する第2監視情報を取得する。第1監視情報及び第2監視情報にはそれぞれ、各端末Tの動作の状態を把握可能な情報が含まれ、例えば、各端末Tについてそれぞれ、正常に動作している状態か、動作に不具合がある状態か、動作していない状態かについて把握することが可能な情報などが含まれていることが好ましい。
【0031】
第1グループG1の端末Tと第2グループG2の端末Tとでは、接続方式が異なるため、動作の状態を把握するために必要な情報の種類も異なり、また当該情報を用いて動作の状態を判断するための基準も異なる。したがって、第1監視情報及び第2監視情報は、相互に形式の異なるデータとなるため、上位装置Sによってそのまま一括して取り扱うことが困難である。これに対し、情報処理ユニット100では、結合部32が、第1監視情報と第2監視情報とを上位装置Sにおいて一括して取り扱うことが可能なように結合することで単一の結合監視情報を生成する。これにより、上位装置Sは、結合部32によって生成された結合監視情報を用いて、第1グループG1及び第2グループG2の全ての端末Tの動作の監視を一括して行うことが可能となる。
【0032】
なお、本実施形態に係る情報処理ユニット100では、第1制御・監視部10と端末Tとの第1接続方式と、第2制御・監視部20と端末Tとの第2接続方式と、が相互に異なっていればよく、第1接続方式がメタル方式で、第2接続方式がIP方式である構成に限定されない。情報処理ユニット100では、例えば、第1接続方式がIP方式で、第2接続方式が無線方式であっても構わない。いずれの場合であっても、情報処理ユニット100では、第1制御・監視部10が第1接続方式に対応する端末Tの制御及び監視が可能なように構成され、第2制御・監視部10が第2接続方式に対応する端末Tの制御及び監視可能なように構成される。
【0033】
また、道路表示システム1において情報処理ユニット100と接続される端末Tは、可変式速度規制標識に限定されず、状況に応じて異なる情報を表示する様々な道路表示装置とすることができる。このような端末Tとしては、例えば、交通渋滞や事故発生などの交通情報を表示する交通情報案内板や、駐車場の空き状況や駐車料金などを表示する駐車場案内板や、時間帯や季節に応じて異なる案内を表示する情報案内板や、悪天候時などに道路の状況を表示する道路状況警告板などが挙げられる。
【0034】
更に、情報処理ユニット100は、各構成による機能が適切に実現可能なように、1つ又は複数のコンピュータによって構成することができる。例えば、情報処理ユニット100は、第1制御・監視部10、第2制御・監視部20、及び分配・結合部30がそれぞれ、1つのコンピュータで構成されていても、複数のコンピュータで構成されていてもよい。また、第1制御・監視部10、第2制御・監視部20、及び分配・結合部30のうち、2つが1つのコンピュータで構成されていてもよく、3つ全てが1つのコンピュータで構成されていてもよい。更に、メモリ部40としては、分配・結合部30を構成するコンピュータに内蔵された記憶装置を利用してもよい。加えて、入力操作部50としては、分配・結合部30を構成するコンピュータに対する入力操作に用いられる入力操作部を利用してもよい。
【0035】
加えて、情報処理ユニット100は、必要に応じて、上記で説明した構成以外の構成を更に有していてもよい。また、情報処理ユニット100は、場合によっては、上記で説明した構成の一部を有さなくてもよい。例えば、情報処理ユニット100では、複数の端末Tの監視を行う必要がない場合には、第1監視部12、第2監視部22、及び結合部32を設けなくてもよい。更に、情報処理ユニット100では、分配部31による複数の端末Tの制御の分配に分類情報を用いなくてもよく、この場合には、メモリ部40及び入力操作部50を設けなくてもよい。
【0036】
また、情報処理ユニット100では、2種類の接続方式の複数の端末Tが混在するブロックに限定されず、3種類以上の接続方式の複数の端末Tが混在するブロックにおいても、全ての端末Tの制御及び監視を一括して行うことが可能である。つまり、情報処理ユニット100は、複数の端末Tに含まれ得る3つ以上の接続方式それぞれに対応する3つ以上の制御部及び監視部を設け、分配部31が複数の端末Tの制御を3つ以上の制御部のいずれか1つに分配し、結合部32が3つ以上の監視部で取得された全ての監視情報を結合するように構成することもできる。
【0037】
[道路表示システム1における接続方式の変更]
道路表示システム1では、情報処理ユニット100を用いることによるメリットとして、まず、1つのブロックに2つの接続方式の端末Tが混在した状態で運用を継続できる点が挙げられる。これに加え、道路表示システム1では、情報処理ユニット100を用いることによって、全ての端末Tがメタル方式であるブロックにおいて全てのメタル方式の端末TをIP方式の端末Tに入れ替える過程で動作不能となる端末Tを少なく留めることが可能である点にも大きなメリットがある。以下、このメリットについて詳細に説明する。
【0038】
図5は、全ての端末Tがメタル方式である一般的な道路表示システム1aの概略構成図である。道路表示システム1aでは、本実施形態に係る情報処理ユニット100に代わる情報処理ユニットとしてメタル方式に対応する第1制御・監視部10が単独で設けられている。道路表示システム1aにおいて、本実施形態に係る情報処理ユニット100を用いることなく、接続方式をメタル方式からIP方式に変更するためには、まずメタル方式に対応する第1制御・監視部10をIP方式に対応する第2制御・監視部20に変更した上で、メタル方式の端末Tの撤去作業及びIP方式の端末Tの据付作業を1端末ずつ順次進める必要がある。
【0039】
図6は、道路表示システム1aにおいてメタル方式の端末Tを順次IP方式の端末Tに入れ替える過程を示している。図6に示す状態では、端末TのみがIP方式であり、端末T,T,Tがいずれもメタル方式のままである。この状態の道路表示システム1aでは、IP方式の端末Tのみについて第2制御・監視部20によって制御及び監視を行うことができ、メタル方式の端末T,T,Tについては制御及び監視を行うことができない。このため、この状態の道路表示システム1aでは、端末Tが設置された区間のみにおいて情報を表示することができ、端末T,T,Tが設置された区間においては情報を表示することができない。
【0040】
これに対し、図5に示す道路表示システム1aにおいて第1制御・監視部20を本実施形態に係る情報処理ユニット100に変更することで、図2に示す道路表示システム1を構成することができる。情報処理ユニット100では、複数の端末Tの制御の分配及び監視情報の結合を行う分配・結合部30を設けることで、第1制御・監視部10と第2制御・監視部20とを併存させることができる。また、情報処理ユニット100では、上記のとおり、分類情報を変更することによって複数の端末Tの制御及び監視をメタル方式とIP方式とで切り替えることが可能である。
【0041】
このため、道路表示システム1では、全てのメタル方式の端末Tについて、撤去作業を開始する直前まで運用を継続することができる。また、道路表示システム1では、メタル方式の端末Tの撤去作業ないしIP方式の端末Tの据付作業を行っている間に、分類情報における当該端末Tの分類を第1グループG1から第2グループG2に変更しておくことで、IP方式の端末Tの据付作業が完了した直後から運用を再開することができる。このように、道路表示システム1では、情報処理ユニット100を用いることによって、メタル方式の端末TをIP方式の端末に入れ替える過程において、動作不能となる端末Tを実質的に作業中の1台の端末Tのみとすることができる
【0042】
なお、上記のように道路表示システム1においてメタル方式の端末TをIP方式の端末Tに入れ替える場合、結合部32は、第1監視情報と第2監視情報とを結合する際に、第1監視情報には実質的に変更を加えずに、第2監視情報の形式を第1監視情報の形式に合わせて変更することが好ましい。これにより、道路表示システム1では、上位装置Sが、結合部32によって生成される結合監視情報を、図5に示す道路表示システム1aの第1制御・監視部20の第1監視部12で取得される駆動情報と同様に取り扱うことが可能となる。このため、道路表示システム1では、図5に示す道路表示システム1aから上位装置Sの設定を変更することなくそのまま運用を継続することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…道路表示システム
10…第1制御・監視部
11…第1制御部
12…第1監視部
20…第2制御・監視部
21…第2制御部
22…第2監視部
30…分配・結合部
31…分配部
32…結合部
40…メモリ部
50…入力操作部
51…表示部
100…情報処理ユニット
T…端末
S…上位装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6