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特開2025-1805評価システム、評価方法、評価プログラム、二酸化炭素回収システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001805
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】評価システム、評価方法、評価プログラム、二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20241226BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101499
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】523237604
【氏名又は名称】Carbon Xtract株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158850
【弁理士】
【氏名又は名称】明坂 正博
(72)【発明者】
【氏名】藤川 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慶
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】回収された二酸化炭素を評価することができる評価システム、評価方法、評価プログラム及び二酸化炭素回収システムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る評価システムは、回収された二酸化炭素の評価システムであって、前記二酸化炭素の回収に関する情報を取得する取得部と、前記回収に関する情報に基づいて前記二酸化炭素を評価する評価部とを備え、前記回収に関する情報には、少なくとも前記二酸化炭素の回収者又は回収場所に関する情報が含まれる、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収された二酸化炭素の評価システムであって、
前記二酸化炭素の回収に関する情報を取得する取得部と、
前記回収に関する情報に基づいて前記二酸化炭素を評価する評価部とを備え、
前記回収に関する情報には、
少なくとも前記二酸化炭素の回収者又は回収場所に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする評価システム。
【請求項2】
前記回収に関する情報には、
少なくとも前記二酸化炭素の品質に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記二酸化炭素の回収者又は回収場所と、前記回収された前記二酸化炭素の品質とが対応付けて記憶された記憶部を参照し、前記二酸化炭素の回収者又は回収場所に応じて、前記回収された前記二酸化炭素の品質を推定する推定部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項4】
前記記憶部に記憶された前記二酸化炭素の回収者又は回収場所と、前記回収された前記二酸化炭素の品質との関係を更新する更新部を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の評価システム。
【請求項5】
前記回収に関する情報には、
少なくとも前記二酸化炭素の回収時期に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項6】
前記回収に関する情報には、
少なくとも前記二酸化炭素の回収量に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項7】
前記回収に関する情報には、
少なくとも前記二酸化炭素の回収方法に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項8】
前記取得部は、
回収された前記二酸化炭素の販売先に関する情報を取得し、
前記評価部は、
前記販売先に関する情報に基づいて前記二酸化炭素を評価する、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項9】
前記取得部は、
回収された前記二酸化炭素の用途に関する情報を取得し、
前記評価部は、
前記用途に関する情報に基づいて前記二酸化炭素を評価する、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項10】
前記評価部は、
前記二酸化炭素が所定の回収者又は場所で回収されたことの信頼性に基づいて前記二酸化炭素を評価する、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項11】
前記評価部が評価した評価に基づいて前記二酸化炭素の販売先又は用途を推奨する推奨部、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項12】
前記評価部での評価に応じて前記二酸化炭素の回収者に対して特典を付与する特典付与部、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の評価システム。
【請求項13】
二酸化炭素の回収装置と、
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の評価システムと、
を具備することを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項14】
回収された二酸化炭素の評価方法であって、
取得部が、前記二酸化炭素の回収に関する情報を取得する工程と、
評価部が、前記回収に関する情報に基づいて前記二酸化炭素を評価する工程とを有し、
前記回収に関する情報には、
少なくとも前記二酸化炭素の回収者又は回収場所に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする評価方法。
【請求項15】
回収された二酸化炭素の評価プログラムであって、
コンピュータを、
前記二酸化炭素の回収に関する情報を取得する取得部、
前記回収に関する情報に基づいて前記二酸化炭素を評価する評価部、として機能させ、
前記回収に関する情報には、
少なくとも前記二酸化炭素の回収者又は回収場所に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の評価システム、評価方法、評価プログラム及び二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、温室効果ガスの代表格である二酸化炭素(以下、CO2とも記載する)の排出を抑制するだけでなく、CO2を回収する技術への関心が高まっている。例えば、従来の二酸化炭素の回収装置には、CO2を含むガスとCO2吸収液とを接触させて上記CO2吸収液にCO2を吸収させるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-013170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二酸化炭素の回収については種々の技術が提案されているものの、回収されたCO2については利用が進んでいない。これは、回収されたCO2の評価が適切になされていないことも関係すると考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回収された二酸化炭素を評価することができる評価システム、評価方法、評価プログラム及び二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る評価システムは、回収された二酸化炭素の評価システムであって、前記二酸化炭素の回収に関する情報を取得する取得部と、前記回収に関する情報に基づいて前記二酸化炭素を評価する評価部とを備え、前記回収に関する情報には、少なくとも前記二酸化炭素の回収者又は回収場所に関する情報が含まれる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回収された二酸化炭素を評価することができる評価システム、評価方法、評価プログラム及び二酸化炭素回収システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る評価システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るサーバのハード構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るサーバの機能構成の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るユーザ端末のハード構成の一例を示す図である。
図5】実施形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る評価システムによる処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る評価システムによる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る評価システム1の概略構成図である。評価システム1は、例えば、二酸化炭素(以下、CO2とも記載する)の回収装置により回収されたCO2を評価するためのシステムである。評価システム1は、サーバ2(情報処理装置)と、このサーバ2とネットワーク4を介して接続される1以上のユーザ端末3とを備える。評価システム1が備えるサーバ2及びユーザ端末3の数はそれぞれ任意である。なお、CO2の回収装置としては、例えば、CO2を選択的に分離可能な分離膜を用いた、いわゆる膜DACと呼ばれるものを採用することができる。膜DACは、他の方式、例えば、アミン溶液を利用した溶液吸収法によるCO2回収装置よりも小型の装置とすることができる。このため可搬性の高い装置とすることができ、持ち運び可能であり、だれでも(例えば、個人でも)CO2を回収することが可能となる。ただし、CO2の回収装置は、膜DAC以外の装置であってもよい。
【0011】
回収されたCO2を利用しようとする際、用途によって、CO2に求められる要件が異なる場合がある。例えば、ある用途では、CO2の純度が重要になり、他の用途では、CO2に含まれる不純物の種類やその量(不純物濃度)が重要になり得る。また、CO2の取引の過程においては、CO2の回収者が誰であるのかも重要となり得る。すなわち、用途によって、どのようなCO2が適切であるか異なり得る。
一方で、CO2の回収方法、回収場所、回収日時等によっては、回収されるCO2の純度や不純物の種類や濃度が異なることが考えられる。さらに、CO2の回収者の数は今後増大すると考えられる。CO2の回収方法、回収場所及び回収日時並びに回収者が誰であるのかについては、上記した膜DACなど、誰でも使用でき、小型で、可搬可能であるという特徴のうち、少なくとも一つを有するような回収装置が用いられる場合に、顕著に変動し得る。よって、回収されたCO2を適切に評価することが求められている。
そこで、評価システム1は、CO2の回収に関する情報に基づき、回収されたCO2を評価するものである。
【0012】
(サーバ2)
図2は、サーバ2のハード構成の一例を示す図である。サーバ2は、例えば、通信IF200A、記憶装置200B(記憶部)、CPU200Cがバスを介して接続された構成を有する。なお、図2では図示していないが、サーバ2は、入力装置(例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなど)や表示装置(CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなど)などを備えていてもよい。
【0013】
通信IF200Aは、他の装置(例えば、ユーザ端末3)と通信するためのインターフェースである。
【0014】
記憶装置200Bは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や半導体記憶装置(SSD(Solid State Drive))であり記憶部を構成する。記憶装置200Bには、各種情報及び情報処理プログラムが記憶されている。各種情報として、記憶装置200Bには、例えば、以下に説明する情報が記憶されている。
【0015】
記憶装置200Bには、CO2の回収者であるユーザのID(識別子)と、属性情報とが対応付けて記憶されている。属性情報には、例えば、企業であれば企業名、住所、法人番号、連絡先(電話番号、メールアドレス)などが含まれる。また、属性情報には、個人であれば、例えば、氏名、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス)などが含まれる。また、記憶装置200Bには、CO2の販売先であるユーザのID(識別子)と、属性情報とが対応付けて記憶されている。販売先の属性情報の内訳は、回収者の属性情報の内訳と同じであってよい。
【0016】
また、記憶装置200Bには、CO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質とが対応付けて記憶されている。
一実施形態における「品質」は、回収後のCO2の純度、濃度、含まれる不純物や不純物濃度などにより決定される、回収されたCO2自体の性質を示す尺度である。本実施形態では、CO2の純度及び濃度が高いほど品質が高く、純度及び濃度が低いほど品質が低い。また、本実施形態では、含まれる不純物の濃度が低いほど品質が高く、含まれる不純物の濃度が高いほど品質が低い。なお、品質をどのように判断するかは、任意であり、上記説明に限られない。
【0017】
また、記憶装置200Bには、回収されたCO2を評価するために、CO2の回収に関するテーブルデータが記憶されている。記憶装置200Bには、テーブルデータとして、例えば、以下に説明する情報が記憶されている。
【0018】
また、記憶装置200Bには、回収者と、該回収者が回収したCO2のスコア(回収したCO2の指標)とが、スコアごとに対応付けて記憶されている。
回収者は、CO2を回収した主体、換言するとだれによって回収されたかの情報である。回収者は、例えば、個人、企業などである。
本実施形態では、個人や企業と、当該個人や企業の回収者についてのスコアとが対応付けられたテーブルデータとして記憶装置200Bに記憶されている。
本実施形態では、例えば、回収者の著名度が高いほど、又は企業の環境活動の実績が高いほどスコアが高くなるようにテーブルデータのスコアが設定されている。回収者が著名である又は企業の環境活動の実績が高いほど、該回収者により回収されたCO2を欲する人が多いと考えられるためである。
なお、本実施形態においてスコアと対応させている事項(回収者又は回収場所等)は、必ずしも数的に良否が表現されているものでなくてもよい。
【0019】
また、記憶装置200Bには、回収場所と、該回場所で回収されたCO2のスコアとが、スコアごとに対応付けて記憶されている。
回収場所は、どのようなところでCO2が回収されたかの情報である。回収場所は、例えば、CO2を回収する場所の位置情報(例えば、GNSSによる測位情報、住所など)である。位置情報には、該位置における環境の情報が対応付けられている。環境は、例えば、工場、都会、幹線道路沿い、森林、海岸、田舎など、CO2が回収される場所の環境である。その他、CO2が回収される場所を使用者等の人的な要素を環境として考慮してもよい。
本実施形態では、環境とスコアとが対応付けられたテーブルデータとして記憶装置200Bに記憶されている。
なお、本実施形態では、含まれるCO2が多いと考えられる環境(例えば、工場、都会、幹線道路沿いなど)ほどスコアが高く、含まれるCO2が少ない考えられる環境(例えば、森林、海岸など)ほどスコアが低くなるようにテーブルデータのスコアが設定されている。
他方で、異なる実施形態、又は本実施形態が別途有し得る評価体系においては、回収されたCO2の用途などを考慮して、上記含まれるCO2が多いと考えられる環境ほどスコアが低くなるように、上記含まれるCO2が少ないと考えられる環境ほどスコアが高くなるように、テーブルデータのスコアが設定されていてもよい。
なお、大気中からCO2を回収した場合、該回収したCO2の利用により再び大気中に放出されてもカーボンニュートラル(回収量と排出量とが同じ又は略同じ)であり、地下貯留を行った場合はカーボンネガティブ(回収量が排出量より多い)と考えられるため、一般に大気中環境からのCO2回収は、スコアが高くなるように設定してもよい。しかしながら、回収者がより高いスコア取得を狙い、自社工場から排出されるCO2回収に先んじて該回収者が大気中からCO2回収を優先することはカーボンニュートラルに貢献しているとは言い難い場合があり得るため、この解決策として回収者のCO2排出データ場所、量、時刻等)と回収データ(場所、量、時刻等)を対応付けてスコアを評価してもよい(例えば、排出データ及び回収データ(排出量と回収量の差分)と、スコアとが対応付けられたテーブルデータを記憶装置200Bに記憶しておくようにしてもよい)。
また、上記説明では、回収場所を位置情報とし、該位置情報に環境の情報を対応付けることにより、位置情報からスコアを取得できるように構成されているが、回収場所を環境としてテーブルデータを設定してもよい。この場合、位置情報から環境に変換する手間を省略することができる。
【0020】
また、記憶装置200Bには、品質と、該品質のCO2のスコアとが、スコアごとに対応付けて記憶されている(品質については上述した)。
本実施形態では、品質とスコアとが対応付けられたテーブルデータとして記憶装置200Bに記憶されている。
なお、本実施形態では、CO2の純度及び濃度が高いほどスコアが高く、純度及び濃度が低いほどスコアが低くなるようにテーブルデータのスコアが設定されている。
また、本実施形態では、含まれる不純物の濃度が低いほどスコアが高く、含まれる不純物の濃度が高いほどスコアが低くなるようにテーブルデータのスコアを設定してもよい。
また、含まれる不純物の種類に応じてスコアが変化するようにテーブルデータのスコアを設定してもよい。
【0021】
また、記憶装置200Bには、回収時期と、該回収時期に回収されたCO2のスコアとが、スコアごとに対応付けて記憶されている。
回収時期は、CO2の回収された季節、時期、時間などの情報である。
本実施形態では、回収時期とスコアとが対応付けられたテーブルデータとして記憶装置200Bに記憶されている。
なお、本実施形態では、回収時期が、余剰電力の多い季節、時期、時間であるほどスコアが高く、余剰電力の少ない季節、時期、時間であるほどスコアが低くなるようにテーブルデータのスコアが設定されている。
【0022】
また、記憶装置200Bには、回収量と、該回収量のCO2のスコアとが、スコアごとに対応付けて記憶されている。
回収量は、回収されたCO2の日量、積算量などの情報である。ここにいう「回収量」には、時間当たりのCO2の回収量(前述の「日量」を含む)、CO2回収装置1台あたりのCO2の回収量、CO2の回収に用いた1単位エネルギーあたりのCO2の回収量などの、他の数量あたりの回収量が含まれていてよい。
本実施形態では、回収量とスコアとが対応付けられたテーブルデータとして記憶装置200Bに記憶されている。
なお、本実施形態では、回収量が多いほどスコアが高く、回収量が少ないほどスコアが低くなるようにテーブルデータのスコアが設定されている。
【0023】
また、記憶装置200Bには、回収方法と、該回収方法により回収されたCO2のスコアごとに対応付けて記憶されている。
ここで回収方法とは、例えば、CO2を回収する際のエネルギー源として何を利用したか、又はCO2の回収にどのような方法を用いたか(回収原理は何か、回収装置は何かなど)の情報である。エネルギー源は、例えば、電力であれば、火力発電による電力、水力発電による電力、又はその他の再生可能エネルギー源を用いた発電による電力などである。また、回収装置に関して、当該回収装置のカーボンフットプリント若しくはライフサイクルアセスメント(当該回収装置のライフサイクル全体(資源採取~廃棄、リサイクルまで)又はその特定段階における環境負荷(カーボンフットプリントの場合、温室効果ガスの排出量(CO2換算))を定量的に評価する手法又はその評価結果)が考慮されてもよい。環境負荷の評価の際は、当該回収装置がこれまで実際にどれだけのCO2を回収してきたものであるのかが考慮されてもよい。例えば、当該回収装置が、既に、当該回収装置の製造時に排出する必要のあったCO2の量を超えて、CO2を回収している場合、当該回収装置によるCO2の回収行為や、当該回収されたCO2を、環境に対してより貢献度の高い(スコアが高い)ものとして評価してもよい。
また、回収装置の耐久性が高い方が、当該回収装置が最終的に回収するCO2の量も多くなるものと想定して、当該回収装置によるCO2の回収行為や、当該回収されたCO2を、環境に対してより貢献度の高い(スコアが高い)ものとして評価してもよい。
なお、このような評価を可能とする目的に限られないが、後述の取得部204が取得する情報としては回収装置の使用履歴に係る情報が含まれていてもよい。
本実施形態では、回収方法とスコアとが対応付けられたテーブルデータとして記憶装置200Bに記憶されている。
なお、本実施形態では、回収方法(CO2の回収に利用されたエネルギー源)の温暖化ガス排出係数が低いほどスコアが高く、温暖化ガス排出係数が高いほどスコアが低くなるようにテーブルデータのスコアが設定されている。
【0024】
また、記憶装置200Bには、推奨されるCO2の販売先又は用途と、該推奨される販売先又は用途におけるCO2の評価(後述の総合評価点)とが、評価ごとに対応付けて記憶されている。
【0025】
記憶装置200Bに記憶された各種情報の一部又は全部は、USB(Universal Serial Bus)メモリや外付けHDDなどの外部記憶装置やネットワーク4を介して接続された他の情報処理装置の記憶装置に記憶されてもよい。この場合、サーバ2は、外部記憶装置や他の情報処理装置の記憶装置に記憶された各種情報を参照又は取得する。
【0026】
CPU200Cは、サーバ2を制御するものであり、図示しないROM及びRAMなどを備える。
【0027】
図3は、サーバ2の機能構成の一例を示す図である。
サーバ2は、例えば、受信部201、送信部202、記憶装置制御部203、取得部204、評価部205、推定部206、更新部207、推奨部208、特典付与部209などの機能を備える。なお、図3に示す機能は、CPU200Cが、記憶装置200Bに記憶されている情報処理プログラムを実行することで実現される。
【0028】
受信部201は、ネットワーク4を介してユーザ端末3から送信される情報を受信する。
【0029】
送信部202は、ネットワーク4を介してユーザ端末3へ情報を送信する。
【0030】
記憶装置制御部203は、記憶装置200Bを制御する。記憶装置制御部203は、例えば、記憶装置200Bへの情報の書き込みや読み出しを行う。
【0031】
取得部204は、CO2の回収に関する情報を取得する。
ここで、回収に関する情報には、少なくとも以下の情報のうちの1以上が含まれる。
(1)CO2の回収者に関する情報(以下、第1情報とも記載する)。
(2)CO2の回収場所に関する情報(以下、第2情報とも記載する)。
(3)CO2の品質に関する情報(以下、第3情報とも記載する)。
(4)CO2の回収時期に関する情報(以下、第4情報とも記載する)。
(5)CO2の回収量に関する情報(以下、第5情報とも記載する)。
(6)CO2の回収方法に関する情報(以下、第6情報とも記載する)。
なお、取得部204は、CO2の品質に関する情報(第3情報)については、推定部206が推定したCO2の品質を第3情報として取得する。
また、取得部204が取得する情報は、評価部205による直接的及び/又は間接的な評価対象となる情報でなくてもよい。
【0032】
評価部205は、取得部204が取得した上記第1情報ないし第6情報のうちの1以上の情報に基づいて回収されたCO2を評価する。評価部205は、例えば、記憶装置200Bを参照し、取得部204が取得した第1情報ないし第6情報のうちの1以上ごとに対応するスコアを取得し、該取得したスコアを加算するなどして総合評価点を算出する。なお、スコアに基づく総合評価点の算出方法は任意であり、例えば加算・減算・乗算・除算が用いられてもよく、全部又は一部のスコアについて重みづけがされていてもよく、全部又は一部のスコアが総合評価点算出の際の閾値として用いられる方法であってもよい。また、異なる観点(用途、販売先等)に基づいて、回収されたCO2の総合評価(又はスコア付け)の仕方を異なるものとしてもよい。総合評価又はスコア付けの観点により、一つの事実に対して2種以上のスコアが付されていてもよい。回収されたCO2に対して、複数の異なる観点から総合評価点が付与されてもよく、この場合、異なる算出方法で複数の総合評価点が計算されてもよい。例えば、CO2を最終的に飲料用の炭酸水に使用する想定と、化学品製造用に使用する想定とで、一つの事実(例えば回収場所が工場である事実)に対して異なるスコアが付され、又は異なる総合評価点が算出されてもよい。
【0033】
推定部206は、CO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質とが対応付けられたテーブルデータが記憶された記憶装置200Bを参照し、CO2の回収者又は回収場所に応じて、回収されたCO2の品質を推定する。
【0034】
更新部207は、記憶装置200Bに記憶されたCO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質との関係(テーブルデータ)を更新する。
更新部207は、例えば、ユーザ端末3から送信される更新指示に基づいて、記憶装置200Bに記憶されたCO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質との関係を更新する。
【0035】
推奨部208は、評価部205が評価した総合評価点(評価)に基づいてCO2の販売先又は用途を推奨する。具体的には、推奨部208は、記憶装置200Bに記憶された推奨されるCO2の販売先又は用途と、該推奨される販売先又は用途におけるCO2の総合評価点とが対応付けられたテーブルデータを参照し、評価部205が算出した総合評価点に対応する販売先又は用途を推奨する。
【0036】
特典付与部209は、評価部205が算出した評価(総合評価点)に応じてCO2の回収者に対して特典を付与する。なお、特典付与部209は、評価部205が算出した総合評価点が高いほど価値の高い特典(例えば、ポイントや仮想通貨などでもよい)を付与すればよく、どの程度の特典を付与するかは任意である。
【0037】
(ユーザ端末3)
ユーザ端末3は、例えば、パソコンタブレット型PC、スマートフォンなどである。
【0038】
図4は、ユーザ端末3のハード構成の一例を示す図である。ユーザ端末3は、例えば、通信IF300A、記憶装置300B、入力装置300C、表示装置300D、CPU300Eがバスを介して接続された構成を有する。
【0039】
通信IF300Aは、他の装置(例えば、サーバ2)と通信するためのインターフェースである。
【0040】
記憶装置300Bは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や半導体記憶装置(SSD(Solid State Drive))である。記憶装置300Bには、端末の識別子や端末の情報処理プログラム(端末プログラム)の情報などが記憶される。端末の識別子は、ユーザ端末3を識別するための識別子である。ユーザ端末3から送信する情報に端末の識別子を付与することで、サーバ2は、受信した情報がどのユーザ端末3から送信されたものであるかを判定することができる。なお、端末の識別子は、IP(Internet Protocol)アドレス、MAC(Media Access Control)アドレスなどを利用してもよく、サーバ2がユーザ端末3に対して付与するようにしてもよい。
【0041】
入力装置300Cは、例えば、タッチパネルやキーパッドなどの入力デバイスである。なお、入力可能であれば、タッチパネル以外の装置や機器であってもよい。また、例えば、音声入力装置であってもよい。
【0042】
表示装置300Dは、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどであるが、表示可能であれば他の装置や機器(例えば、CRT:Cathode Ray Tube)であってもよい。
【0043】
CPU300Eは、ユーザ端末3を制御するものであり、図示しないROM及びRAMなどを備える。
【0044】
図5は、ユーザ端末3の機能構成の一例を示す図である。ユーザ端末3は、例えば、受信部301、送信部302、記憶装置制御部303、入力受付部304、表示装置制御部305などの機能を有する。なお、図5に示す機能は、CPU300Eが、記憶装置300Bに記憶されている情報処理プログラムを実行することで実現される。
【0045】
受信部301は、サーバ2から送信される情報を受信する。
【0046】
送信部302は、入力受付部304で受け付けた入力操作に応じた情報をサーバ2へ送信する。
【0047】
記憶装置制御部303は、記憶装置300Bを制御する。例えば、記憶装置制御部303は、記憶装置300Bを制御して情報の書き込みや読み出しを行う。
【0048】
入力受付部304は、入力装置300Cからの入力操作を受け付ける。
【0049】
表示装置制御部305(表示制御部)は、表示装置300Dを制御し、例えば、受信部301で受信した情報などを表示装置300Dに表示させる。
【0050】
(情報処理)
図6から図7は、評価システム1の情報処理の一例を示すフローチャートである。以下、図6から図7を参照して、評価システム1の情報処理について説明する。なお、図1から図5を参照して説明した構成と同一の構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
(評価処理)
図6は、評価システム1の評価処理の一例を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、評価システム1の評価処理の一例について説明する。
【0052】
(ステップS101)
サーバ2の取得部204は、CO2の回収に関する情報を取得する。
具体的には、取得部204は、以下の第1情報ないし第6情報のうちの1以上を取得する。
CO2の回収者に関する情報(第1情報)。
CO2の回収場所に関する情報(第2情報)。
CO2の品質に関する情報(第3情報)
CO2の回収時期に関する情報(第4情報)。
CO2の回収量に関する情報(第5情報)。
CO2の回収方法に関する情報(第6情報)。
なお、取得部204は、CO2の回収に関する情報として推定部206が推定した第3情報を取得する。
【0053】
(ステップS102)
サーバ2の評価部205は、記憶装置200Bを参照し、取得部204が取得した第1情報ないし第6情報のうちの1以上ごとに対応するスコアを取得する。
【0054】
(ステップS103)
サーバ2の評価部205は、ステップS102で取得したスコアを加算するなどして総合評価点を算出する。
【0055】
(ステップS104)
サーバ2の送信部202は、評価部205が算出した総合評価点を評価としてユーザ端末3へ送信する。
【0056】
(推奨処理)
図7は、評価システム1の推奨処理の一例を示すフローチャートである。以下、図7を参照して、評価システム1の推奨処理の一例について説明する。
【0057】
(ステップS201)
サーバ2の推奨部208は、記憶装置200Bを参照する。
【0058】
(ステップS202)
サーバ2の推奨部208は、評価部205での評価に対応付けされたCO2の販売先又は用途を、CO2の販売先又は用途として推奨する。
【0059】
(ステップS203)
サーバ2の送信部202は、推奨部208が推奨したCO2の販売先又は用途をユーザ端末3へ送信する。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る評価システム1は、回収されたCO2の評価システムであって、CO2の回収に関する情報を取得する取得部204と、回収に関する情報に基づいてCO2を評価する評価部205とを備える。そして、回収に関する情報には、少なくともCO2の回収者又は回収場所に関する情報が含まれる。
このため、個人や企業などの回収者又は位置や環境などに基づいて、回収されたCO2を評価することができる。
【0061】
また、回収に関する情報には、少なくともCO2の品質に関する情報が含まれる。
このため、CO2の品質に基づいて、回収されたCO2を評価することができる。
【0062】
また、回収したCO2についての記録に基づき、その傾向や経験則から、別に回収されたCO2についての特徴を推定してもよい。例えば、あるCO2の、回収者及び/又は回収場所その他の情報を用いて、これを根拠に品質を推定してもよい。
例えば、本実施形態に係る評価システム1は、CO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質とが対応付けて記憶された記憶装置200B(記憶部)を参照し、CO2の回収者又は回収場所に応じて、回収されたCO2の品質を推定する推定部206を備える。
このように推定された品質に基づいて、回収されたCO2を評価することができる。
また、CO2の品質を構成する一つの要素(例えばCO2の純度)から、その他の品質(例えばCO2の不純物濃度)や全体としての品質の評価を推定してもよい。
回収したCO2についての記録に基づき、別に回収されたCO2についての特徴を推定する具体的な手順の例は以下のとおりである。
すなわち、CO2の回収後、これを個別に分析等して当該CO2の含有成分に係る情報(CO2濃度、酸素濃度、窒素濃度、SOx濃度、NOx濃度、有機物含有量などを含むが、これに限られない)を取得し、含有成分に係る記録とその他の情報(当該CO2の回収者、回収場所、回収時期、又は回収方法等)とを関連付けて記憶する。このような記憶から、含有成分に係る記録とその他の情報との相関関係についての傾向や経験則等を導き出し、その後、別途回収されるCO2については、上記その他の情報と上記傾向や上記経験則に基づいて、一部又は全部の分析を実際には行うことなく、含有成分に係る情報(すなわち品質)の一部ないし全部について推定することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る評価システム1は、記憶装置200B(記憶部)に記憶されたCO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質との関係を更新する更新部207を備える。
このように、回収されたCO2の品質を推定するための情報を更新することができるので利便性が高い。
【0064】
また、回収に関する情報には、少なくともCO2の回収時期に関する情報が含まれる。
このため、季節、時期、時間などに基づいて回収されたCO2を評価することができる。
【0065】
また、回収に関する情報には、少なくともCO2の回収量に関する情報が含まれる。
このため、日量、積算量などに基づいて回収されたCO2を評価することができる。
【0066】
また、回収に関する情報には、少なくともCO2の回収方法に関する情報が含まれる。
このため、回収方法に基づいて回収されたCO2を評価することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る評価システム1の取得部204は、回収されたCO2の販売先に関する情報を取得するので、評価部205は、販売先に基づいて回収されたCO2を評価することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る評価システム1は、評価部205が評価した評価に基づいてCO2の販売先又は用途を推奨する推奨部208を備える。
このため、ユーザに回収したCO2の販売先又は用途を推奨することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る評価システム1は、評価部205での評価に応じてCO2の回収者に対して特典を付与する特典付与部209を備える。
このようにCO2の回収者に対してインセンティブを与えることができ、CO2の回収が促進されることが期待できる。
【0070】
[実施形態の変形例]
なお、上記実施形態に係る評価システム1において、取得部204は、回収されたCO2の販売先又は用途(何に使用するかの情報)に関する情報を取得し、評価部205は、該販売先又は用途に基づいてCO2を評価するように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば、回収したCO2がより高い評価となるようにCO2の回収者であるユーザとCO2を購入するユーザとをマッチングするといったことが可能となる。
【0071】
また、上記実施形態に係る評価システム1において、評価部205は、CO2が所定の回収者又は場所で回収されたことの信頼性に基づいてCO2を評価するように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば、購入者に対して安心感を与えることができ、CO2の流通が活性化することが期待できる。
なお、信頼性の情報については、他社によるなりすましや、回収されたCO2の流通をトレースする仕組みを本評価システム1に組み込む必要があるが、既存の技術、例えば、eKYCなどの本人認証システムや分散台帳の仕組みを利用することができる。
また、例えば、本実施形態に係る評価システム1がCO2の回収装置を備えていてもよい。この場合、全体として、本実施形態に係る評価システム1とCO2の回収装置とを含む二酸化炭素回収システムが構成される。この場合、CO2の回収装置に識別番号を付与し、CO2の回収者又は回収場所と対応付けることで、CO2が所定の回収者又は場所で回収されたことの信頼性を担保しやすくなる。
【0072】
また、上記実施形態に係る評価システム1は、例えば、CO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質との関係を学習する学習部を備え、更新部207は、該学習部での学習結果に応じて、記憶装置200Bに記憶されたCO2の回収者又は回収場所と、回収されたCO2の品質との関係を更新する構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態において図3を参照して説明したサーバ2が備える機能の一部又は全部をユーザ端末3が備えていてもよい。
【0074】
なお、上記実施形態において、サーバ2の評価部205は、回収後の流通経路に応じてCO2の評価を変化させるように構成してもよい。この流通経路には、CO2の貯留が含まれていてよく、例えば、貯留方法(貯留に利用するエネルギ源や貯留場所)に応じてCO2の評価を変化させるように構成してもよい。なお、CO2を貯蔵する際のエネルギー源をCO2の評価に反映する方法については上述(段落0023参照)したので重複する説明を省略する。
【0075】
その他、上記実施形態及びその変形例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、実施形態の各構成を各々組み合わせて実施してもよい。例えば、評価システム1は、スタンドアロン型のシステムであってもよく、ネットワーク型又はクラウド型のシステムであってもよい。また、評価システム1は、CO2の回収装置に搭載されたシステムであってもよく、その他のデバイス(サーバを含むまたはサーバを介したデバイスを含む)に搭載されたシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 :評価システム
2 :サーバ
3 :ユーザ端末
4 :ネットワーク
200A :通信IF
200B :記憶装置
200C :CPU
201 :受信部
202 :送信部
203 :記憶装置制御部
204 :取得部
205 :評価部
206 :推定部
207 :更新部
208 :推奨部
209 :特典付与部
300A :通信IF
300B :記憶装置
300C :入力装置
300D :表示装置
300E :CPU
301 :受信部
302 :送信部
303 :記憶装置制御部
304 :入力受付部
305 :表示装置制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7