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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018083
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】コンクリート圧送装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 15/02 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
F04B15/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121498
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀之
(72)【発明者】
【氏名】塗谷 勇太
(72)【発明者】
【氏名】小菅 憲正
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA13
3H075BB24
3H075CC36
3H075CC40
3H075DA24
3H075DA30
(57)【要約】
【課題】コンクリート材料中に空洞が生じるのを防止し、コンクリート材料を両ポンプのシリンダ内に確実に吸い込ませることができるコンクリート圧送装置を提供する。
【解決手段】コンクリート圧送装置1であって、ホッパ10と、ホッパ10から外部に延びている配管20と、ホッパ10の内面に開口したシリンダ31を有する二つのポンプ30A,30Bと、ホッパ10内に配置され、前端部が配管20に連結された連結管40と、連結管40の後端部を両シリンダ31,31に交互に連通させる切替装置50と、を備えている。シリンダ31内のコンクリート材料は、連結管40を通じて配管20内に送り込まれる。ホッパ10内には、コンクリート材料に対して圧力および振動を付与する空洞防止装置70が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート材料が投入されるホッパと、
前記ホッパから外部に延びている配管と、
前記ホッパの内面に開口しているシリンダを有する二つのポンプと、
前記ホッパ内に配置され、前端部が前記配管に連結されている連結管と、
前記連結管を移動させて、前記連結管の後端部を前記両シリンダに交互に連通させる切替装置と、を備え、
前記シリンダ内に吸い込んだ前記コンクリート材料を、前記連結管を通じて前記配管内に送り込むように構成されたコンクリート圧送装置であって、
前記ホッパ内には、前記コンクリート材料に対して圧力および振動の少なくとも一方を付与する空洞防止装置が設けられていることを特徴とするコンクリート圧送装置。
【請求項2】
前記空洞防止装置は、膨縮可能な袋体を有し、
前記袋体を膨張させることで、前記コンクリート材料に圧力を付与することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送装置。
【請求項3】
前記空洞防止装置は、前記ホッパに取り付けられた振動装置を有し、
前記振動装置から前記ホッパを介して前記コンクリート材料に振動を付与することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送装置。
【請求項4】
前記切替装置は、
前後方向に延びている回動軸を備え、
前記連結管を前記回動軸の軸回りに左右方向に揺動させることで、前記連結管を前記両シリンダに交互に連通させており、
前記回動軸に対して左右両側に前記空洞防止装置がそれぞれ配置され、
前記連結管が前記回動軸に対して左側に移動したときに、右側の前記空洞防止装置が駆動し、
前記連結管が前記回動軸に対して右側に移動したときに、左側の前記空洞防止装置が駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送装置。
【請求項5】
前記シリンダは、前記ホッパに形成された切替穴を通じて前記ホッパ内に通じており、
前記切替穴の内側の開口縁部には、前記シリンダの奥側に向かうに連れて縮径するテーパー面が形成されるとともに、
前記連結管の後端部の外周縁部には、前記連結管の後端側に向かうに連れて縮径するテーパー面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート圧送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート圧送装置としては、ホッパから打設場所に延びている配管と、ホッパの内面に開口しているシリンダを有する二つのポンプと、ホッパ内に配置された連結管と、を備え、連結管の一端が配管に連結されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
前記したコンクリート圧送装置では、ホッパ内のコンクリート材料をシリンダ内に吸い込むとともに、連結管の他端を両シリンダに交互に連通させることで、両シリンダ内のコンクリート材料を順次に配管内に送り込んでいる。
このようなコンクリート圧送装置は、狭いスペースに設置できるとともに、クレーンでホッパを吊り上げてコンクリート材料を打設する場合に比べて、コンクリート材料の打設効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-49651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のコンクリート圧送装置では、低スランプのコンクリート材料中で連結管を移動させたときに、連結管が通過した跡に空洞が形成されてしまう場合がある。
そして、シリンダの開口部が前記空洞に通じていると、シリンダ内にコンクリート材料を吸い込むことができなくなる。
本発明は、前記した問題を解決し、連結管の移動によってコンクリート材料中に空洞が生じるのを防ぐことができ、コンクリート材料を両ポンプのシリンダ内に確実に吸い込んで、コンクリート材料を両ポンプから配管に順次に送り込むことができるコンクリート圧送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、コンクリート圧送装置であって、コンクリート材料が投入されるホッパと、前記ホッパから外部に延びている配管と、前記ホッパの内面に開口しているシリンダを有する二つのポンプと、前記ホッパ内に配置され、前端部が前記配管に連結されている連結管と、前記連結管を移動させて、前記連結管の後端部を前記両シリンダに交互に連通させる切替装置と、を備えている。前記コンクリート圧送装置は、前記シリンダ内に吸い込んだ前記コンクリート材料を、前記連結管を通じて前記配管内に送り込むように構成されている。前記ホッパ内には、前記コンクリート材料に対して圧力および振動の少なくとも一方を付与する空洞防止装置が設けられている。
【0006】
本発明のコンクリート圧送装置では、空洞防止装置から付与された圧力や振動によって、コンクリート材料が移動し、連結管が通過した跡が埋められるため、コンクリート材料中に空洞が生じるのを防ぐことができる。これにより、コンクリート材料を両ポンプのシリンダ内に確実に吸い込ませることができる。
【0007】
前記した空洞防止装置が膨縮可能な袋体を有している場合には、前記袋体を膨張させることで、前記コンクリート材料に圧力を付与できる。また、前記空洞防止装置が前記ホッパに取り付けられた振動装置を有している場合には、前記振動装置から前記ホッパを介して前記コンクリート材料に振動を付与できる。さらに、空洞防止装置としては、コンクリート材料に圧力を付与する構成と、コンクリート材料に振動を付与する構成との両方を備えていてもよい。
【0008】
前記したコンクリート圧送装置において、前記切替装置は、前後方向に延びている回動軸を備え、前記連結管を前記回動軸の軸回りに左右方向に揺動させることで、前記連結管を前記両シリンダに交互に連通させている。この場合には、前記回動軸に対して左右両側に前記空洞防止装置をそれぞれ配置し、前記連結管が前記回動軸に対して左側に移動したときに、右側の前記空洞防止装置を駆動させ、前記連結管が前記回動軸に対して右側に移動したときに、左側の前記空洞防止装置を駆動させることが好ましい。
このように、連結管が回動軸に対して移動した側の反対側(連結管が移動した跡となる側)において、空洞防止装置を駆動させることで、コンクリート材料中に空洞が生じるのを効率良く防ぐことができる。
【0009】
前記したコンクリート圧送装置において、前記シリンダが前記ホッパに形成された切替穴を通じて前記ホッパ内に通じている場合には、前記切替穴の内側の開口縁部に、前記シリンダの奥側に向かうに連れて縮径するテーパー面を形成するとともに、前記連結管の後端部の外周縁部に、前記連結管の後端側に向かうに連れて縮径するテーパー面を形成することが好ましい。
この構成では、連結管を移動させて切替穴に連通させる際に、切替穴の開口縁部と連結管の後端部の外周縁部との間に骨材を噛み込み難くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンクリート圧送装置では、コンクリート材料に圧力や振動を付与することで、連結管の移動時にコンクリート材料中に空洞が生じるのを防ぐことができるため、コンクリート材料をポンプのシリンダ内に確実に吸い込ませて配管に送り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置において連結管を第一ポンプに連結させた状態を示した平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置において連結管を第二ポンプに連結させた状態を示した平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置を示した図1のIII-III断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置を示した図1のIV-IV断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置において、連結管を切替穴に連通させる状態を示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、ダムの施工に用いられる低スランプのコンクリート材料(粗骨材の最大寸法80~150mm、スランプ5cm以下)を打設場所に圧送することができるコンクリート圧送装置を一例として説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置において連結管を第一ポンプに連結させた状態を示した平面図である。
本実施形態のコンクリート圧送装置1は、図1に示すように、ホッパ10と、ホッパ10から外部に延びている配管20と、ホッパ10に連結された第一ポンプ30Aおよび第二ポンプ30Bと、を備えている。また、コンクリート圧送装置1は、ホッパ10内に配置された連結管40と、連結管40を第一ポンプ30Aおよび第二ポンプ30Bに交互に連結させる切替装置50と、を備えている。
【0013】
ホッパ10には、四角形の底板11と、底板11の縁部に立ち上げられた前後左右四つの壁部12と、が形成されており、上面が開口している。ホッパ10内には、コンクリート材料(図示せず)が投入される。
ホッパ10には、コンクリート材料を攪拌するための攪拌装置60と、コンクリート材料中に空洞が生じるのを防ぐための空洞防止装置70と、が設けられている。
図3は、本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置を示した図1のIII-III断面図である。
ホッパ10の底面13には、図3に示すように、左右の側縁部から左右方向の中間部に向かうに連れて下がるように傾斜している左右の傾斜面14,14が形成されている。また、ホッパ10の底面13の左右方向の中間部には、下方に向けて突出するように円弧状に湾曲した湾曲面15が形成されている。
【0014】
ホッパ10の前側の壁部12には、図1に示すように、連結穴16が貫通し、後側の壁部12には、左右の切替穴17,17が貫通している。
連結穴16は、前側の壁部12の左右方向の中央部に形成されている。左右の切替穴17,17は、後側の壁部12の左右方向の中央部を挟んで左右対称に形成されている。
【0015】
配管20は、ホッパ10から外部に延びている鋼管である。配管20の一端は、ホッパ10の連結穴16に連結されている。これにより、配管20は、連結穴16を通じてホッパ10の内面に開口している。
配管20の長さは、配管20の他端が打設場所に達するように、ホッパ10から打設場所までの距離に応じて適宜に設定される。
【0016】
第一ポンプ30Aは、シリンダ31と、シリンダ31内に収容されたピストン32と、を備えている。
シリンダ31は、前後方向に延びている筒状の部材である。シリンダ31の後端部は閉塞され、前端部はホッパ10の左側の切替穴17に連結されている。これにより、シリンダ31は、切替穴17を通じてホッパ10の内面に開口している。
ピストン32は、油圧機構などの駆動装置(図示せず)によってシリンダ31内を前後方向に往復動する。
第二ポンプ30Bは、第一ポンプ30Aと同様な構成であり、シリンダ31およびピストン32を備え、シリンダ31内をピストン32が往復動可能である。第二ポンプ30Bのシリンダ31は、右側の切替穴17を通じてホッパ10の内面に開口している。
【0017】
連結管40は、前後方向に延びている筒状の部材であり、ホッパ10内において湾曲面15の上方に配置されている。
連結管40の前端部は、連結穴16を通じて配管20に連通している。連結管40の前端部は、ホッパ10の内面に対して軸回りに回動自在に連結されている。
連結管40の後端部は、前端部に対して左右方向および上下方向にずれている。連結管40は、平面視でS字形状に湾曲している。図1の状態では、連結管40の後端部が左側の切替穴17に連通している。これにより、連結管40の後端部が切替穴17を介して第一ポンプ30Aのシリンダ31内に連通した状態となる。
図2は、本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置において連結管を第二ポンプに連通させた状態を示した平面図である。
連結管40の後端部が第一ポンプ30Aに連結している状態から、図2に示すように、連結管40の前端部の中心部を通過する前後方向の軸線Lの軸回りに、連結管40を左右方向に回動させると、連結管40の後端部は右側の切替穴17に連通する。これにより、連結管40の後端部が切替穴17を介して第二ポンプ30Bのシリンダ31内に連通した状態となる。
【0018】
切替装置50は、連結管40を左右方向に回動させるものであり、前後方向に延びている回動軸51と、回動軸51を軸回りに回動させる駆動機構(図示せず)と、を備えている。回動軸51は、連結管40の前端部の中心部から後方に突出し、連結管40の後部の上側に配置されている。
回動軸51は、連結管40の前端部の中心部を通過する前後方向の軸線Lを中心軸とする直線状の部材である。
切替装置50の回動軸51を軸回りに回動させることで、軸線Lを回転中心として連結管40を左右方向に揺動させることができる。
そして、図1および図2に示すように、連結管40を左右方向に反転させることで、連結管40の後端部を第一ポンプ30Aおよび第二ポンプ30Bの両シリンダ31,31に交互に切り替えて連通できる。
【0019】
本実施形態のコンクリート圧送装置1を用いて打設場所にコンクリート材料を圧送する場合には、図1に示すホッパ10内にコンクリート材料を投入し、連結管40が連結されていない第二ポンプ30Bのピストン32をシリンダ31内で後退させる。これにより、ホッパ10内のコンクリート材料が第二ポンプ30Bのシリンダ31内に吸い込まれる。
この状態で、図2に示すように、切替装置50によって連結管40を右方向に揺動させて、連結管40の後端部を第二ポンプ30Bのシリンダ31に連通させる。
そして、第二ポンプ30Bのピストン32をシリンダ31内で前進させて、第二ポンプ30Bのシリンダ31内のコンクリート材料を、連結管40を介して配管20に送り込む。また、第一ポンプ30Aのピストン32をシリンダ31内で後退させて、ホッパ10内のコンクリート材料を第一ポンプ30Aのシリンダ31内に吸い込む。
続いて、図1に示すように、切替装置50によって連結管40を左方向に揺動させて、連結管40の後端部を第一ポンプ30Aのシリンダ31に連結させる。
そして、第一ポンプ30Aのピストン32をシリンダ31内で前進させて、第一ポンプ30Aのシリンダ31内のコンクリート材料を、連結管40を介して配管20に送り込む。また、第二ポンプ30Bのピストン32をシリンダ31内で後退させて、ホッパ10内のコンクリート材料を第二ポンプ30Bのシリンダ31内に吸い込む。
【0020】
コンクリート圧送装置1では、図1および図2に示すように、連結管40の後端部を第一ポンプ30Aおよび第二ポンプ30Bの両シリンダ31,31に交互に連通させ、両シリンダ31,31内のコンクリート材料を順次に配管20内に送り込んでいる。このようにして、ホッパ10内のコンクリート材料を、配管20を通じて打設場所に打設できる。
【0021】
本実施形態のコンクリート圧送装置1では、図1に示すように、ホッパ10内に攪拌装置60が設けられている。攪拌装置60は、ホッパ10内に投入されたコンクリート材料を攪拌するものである。
攪拌装置60は、左右方向に延びている回転軸61と、回転軸61に取り付けられた左右の攪拌翼62,62と、を備えている。
図4は、本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置を示した図1のIV-IV断面図である。
回転軸61は、ホッパ10内の前部に配置されている。回転軸61の両端部は、ホッパ10の左右の壁部12,12に回転可能に支持されている。回転軸61は、図4に示すように、連結管40の上方に配置されている。回転軸61は、ホッパ10の外面に設けられた駆動装置(図示せず)によって軸回りに回転する。
回転軸61には、図1に示すように、左右の攪拌翼62,62が左右方向に間隔を空けて取り付けられている。両攪拌翼62,62は、回転軸61の左右方向(軸方向)の中央部を挟んで左右両側に配置されている。
攪拌翼62は、回転軸61の軸回りに螺旋状に形成されている。本実施形態の攪拌翼62は、図4に示すように、複数の翼板62aを螺旋状に並べることで形成されている。
このような攪拌翼62を有する攪拌装置60によれば、粗骨材の最大寸法が80~150mmでスランプ5cm以下の低スランプのコンクリート材料を十分に攪拌できる。
【0022】
図5は、本発明の実施形態に係るコンクリート圧送装置において、連結管が切替穴に連通する状態を示した側断面図である。
本実施形態のコンクリート圧送装置1では、図5に示すように、シリンダ31に通じる切替穴17の内側(ホッパ10の内部側)の開口縁部には、前記シリンダの奥側に向かうに連れて縮径するテーパー面18が形成されている。また、連結管40の後端部の外周縁部には、連結管40の後端側(切替穴17側)に向かうに連れて縮径するテーパー面41が形成されている。
本実施形態では、切替穴17の内側の開口縁部および連結管40の後端部の外周縁部は、他の部位よりも硬質な金属材料を溶着させて形成されている。
連結管40を移動させて切替穴17に連通させる際に、切替穴17の開口縁部と連結管40の後端部の外周縁部との間に骨材が入り込んでしまう場合がある。このような場合でも、骨材は両テーパー面18,41に沿って、切替穴17の内外方向に移動し、切替穴17と連結管40の後端部との間から外れることになる。
これにより、連結管40を切替穴17に連通させるときに、切替穴17の開口縁部と連結管40の後端部の外周縁部との間に骨材を噛み込み難くなり、連結管40と左右の切替穴17,17(図3参照)との接続をスムーズに切り替えることができる。
また、本実施形態では、切替穴17の内側の開口縁部および連結管40の後端部の外周縁部は、他の部位よりも硬質であるため、骨材が当たっても変形し難い。
【0023】
本実施形態のコンクリート圧送装置1では、図3に示すように、連結管40の後部の左右の側面に排土板43,43が取り付けられている。排土板43は、連結管40の側部から下方に向けて延びている。排土板43によって、連結管40の下部の外面と、ホッパ10の底面13との間に骨材が入り込むのを防ぐことができる。これにより、連結管40を左右方向に移動させたときに、連結管40の外面とホッパ10の底面13との間に骨材が噛み込まれるのを防ぐことができ、連結管40と左右の切替穴17,17との接続をスムーズに切り替えることができる。
【0024】
本実施形態のコンクリート圧送装置1では、図1に示すように、ホッパ10に複数の空洞防止装置70が設けられている。空洞防止装置70は、ホッパ10内に投入されたコンクリート材料中で連結管40を移動させたときに、連結管40が通過した跡に空洞が形成されるのを防ぐための装置である。
本実施形態では、ホッパ10の後部に四つの空洞防止装置70が設けられている。四つの空洞防止装置70は、左右方向に間隔を空けて並べられている。本実施形態では、回動軸51に対して左右両側に二つずつ空洞防止装置70が配置されている。左側の壁部12および傾斜面14にそれぞれ空洞防止装置70が設けられるとともに、右側の壁部12および傾斜面14にそれぞれ空洞防止装置70が設けられている。
【0025】
空洞防止装置70は、図3に示すように、ホッパ10の内面に取り付けられた膨縮装置71と、ホッパ10の外面に取り付けられた振動装置75と、を備えている。本実施形態の膨縮装置71と振動装置75とは、ホッパ10の壁部12または底板11を貫通する軸部によって連結されている。
膨縮装置71は、ホッパ10の内面に固定された枠体72と、枠体72内に収められた袋体73と、を備えている。袋体73は、伸縮性を有する樹脂製の袋である。袋体73には、図示しないコンプレッサから配管が接続されており、袋体73内に圧縮空気を送り込むことで袋体73が膨張する。
袋体73を膨張させると、枠体72の開口部から袋体73の一部が膨出して、ホッパ10内のコンクリート材料に圧力が付与される。その後、配管を通じて袋体73内の空気を抜くと、袋体73が収縮する。このように、膨縮装置71では、袋体73の膨張と収縮を繰り返すことで、コンクリート材料に対して圧力を繰り返し付与する。
振動装置75は、モータの駆動によって振動を発生させるものである。振動装置75が振動すると、その振動がホッパ10に伝わり、ホッパ10内のコンクリート材料に振動が付与される。
【0026】
本実施形態の空洞防止装置70では、図1に示すように、連結管40が回動軸51に対して左側に移動したときには、右側の二つの空洞防止装置70,70が駆動し、膨縮装置71の袋体73が膨張するとともに、振動装置75が振動する。
また、図2に示すように、連結管40が回動軸51に対して右側に移動したときには、左側の二つの空洞防止装置70,70が駆動し、膨縮装置71の袋体73が膨張するとともに、振動装置75が振動する。
このように、本実施形態では、連結管40が回動軸51に対して移動した側の反対側において、空洞防止装置70が駆動するように構成されている。つまり、連結管40が移動した跡となる側において、空洞防止装置70が駆動する。
【0027】
以上のようなコンクリート圧送装置1では、図1に示す空洞防止装置70から付与された圧力や振動によって、コンクリート材料が移動し、連結管40が通過した跡が埋められるため、低スランプのコンクリート材料中に空洞が生じるのを防ぐことができる。これにより、低スランプのコンクリート材料を第一ポンプ30Aおよび第二ポンプ30Bの両シリンダ31,31内に確実に吸い込ませて配管20に送り込むことができ、打設効率を高めることができる。
また、本実施形態のコンクリート圧送装置1では、連結管40が移動した跡となる側において、空洞防止装置70を駆動させることで、コンクリート材料中に空洞が生じるのを効率良く防ぐことができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態のコンクリート圧送装置1では、図3に示すように、空洞防止装置70の膨縮装置71および振動装置75が連結されているが、膨縮装置71と振動装置75とを別体に構成してもよい。
また、本実施形態のコンクリート圧送装置1では、空洞防止装置70として膨縮装置71および振動装置75の両方が設けられているが、膨縮装置71または振動装置75によって空洞防止装置70を構成してもよい。
さらに、ホッパ10に設ける空洞防止装置70の数は限定されるものではなく、ホッパ10の大きさやコンクリート材料の粘度等に応じて適宜に設定される。
本実施形態のコンクリート圧送装置1では、連結管40が左側に移動したときに右側の空洞防止装置70を駆動させ、連結管40が右側に移動したときに左側の空洞防止装置70を駆動させているが、空洞防止装置70を常時駆動させてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 コンクリート圧送装置
10 ホッパ
11 底板
12 壁部
13 底面
14 傾斜面
15 湾曲面
16 連結穴
17 切替穴
18 テーパー面
20 配管
30A 第一ポンプ
30B 第二ポンプ
31 シリンダ
32 ピストン
40 連結管
41 テーパー面
43 排土板
50 切替装置
51 回動軸
60 攪拌装置
61 回転軸
62 攪拌翼
62a 翼板
70 空洞防止装置
71 膨縮装置
72 枠体
73 袋体
75 振動装置
図1
図2
図3
図4
図5