(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018095
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】保持部材、切断用テーブル、切断装置、及び、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
H01L21/78 N
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121520
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【弁理士】
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭一
(72)【発明者】
【氏名】多羅尾 早織
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA15
5F063AA22
5F063BA17
5F063CA04
5F063DD06
5F063FF01
5F063FF03
5F063FF04
(57)【要約】
【課題】切断対象物を切断して生じる非製品部が保持部材に張り付くことを防止する。
【解決手段】切断用テーブル4において切断対象物Wを吸着して保持する保持部材10であって、切断対象物Wを切断して生じる非製品部Wyに接触する接触領域10Sの表面に複数の凹部10cが形成されており、複数の凹部10cは、接触領域10Sの外側に連通している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断用テーブルにおいて切断対象物を吸着して保持する保持部材であって、
前記切断対象物を切断して生じる非製品部に接触する接触領域の表面に複数の凹部が形成されており、
前記複数の凹部は、前記接触領域の外側に連通している、保持部材。
【請求項2】
前記複数の凹部は、平面視において格子状、ストライプ状又はドット状をなすものである、請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
切断対象物を吸着して保持する切断用テーブルであって、
請求項1又は2に記載の保持部材を有する、切断用テーブル。
【請求項4】
切断対象物を吸着して保持する切断用テーブルと、
前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物を切断する切断機構とを備え、
前記切断用テーブルは、請求項1又は2に記載の保持部材を有する、切断装置。
【請求項5】
複数の半導体装置が形成された基板を請求項4に記載の切断装置を用いて切断して、個片化された半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を前記切断用テーブルで保持し、
前記切断用テーブルに保持された前記基板を前記切断機構により切断する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持部材、切断用テーブル、切断装置、及び、半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ウェーハを切削する切削装置において、ウェーハを吸着して保持するチャックテーブルが、ポーラスセラミックで構成された円盤状の保持部と、当該保持部の外周を囲繞して設けられた外周リング部とを有する構成が考えられている。そして、外周リング部は、ウェーハの外周縁部に対応して設けられており、表面粗さの小さい石英ガラス層を積層して構成されている。この構成により、ウェーハに切削加工を施す際に生じる切削屑が石英ガラス層の表面に留まることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、耐水性、切断対象物の反りへの追従性や切断対象物の位置ずれ防止等の観点から、切断対象物を保持する保持部材(保持層)に、例えばシリコーン系の樹脂やフッ素系の樹脂等の弾性樹脂が用いられている。また、保持部材には、切断対象物を吸着して保持するための吸着孔が形成されている。
【0005】
しかしながら、上記の保持部材では、切断対象物を弾性樹脂に密着させて保持しているので、切断対象物を切断して生じる非製品部が、保持部材に張り付いてしまうという問題がある。保持部材に張り付いた非製品部を切削水等の加工液で押し流すこともされているが、非製品部を押し流すことができない場合がある。また、被製品部が保持部材に張り付いたままであると、切断機構の回転刃が破損する恐れもある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、切断対象物を切断して生じる非製品部が保持部材に張り付くことを防止することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る保持部材は、切断用テーブルにおいて切断対象物を吸着して保持する保持部材であって、前記切断対象物を切断して生じる非製品部に接触する接触領域の表面に複数の凹部が形成されており、前記複数の凹部は、前記接触領域の外側に連通していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成した本発明によれば、切断対象物を切断して生じる非製品部が保持部材に張り付くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る一実施形態の切断装置の構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態の切断用テーブルの構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】同実施形態の(a)基板の構成を模式的に示す平面図、及び、(b)保持部材の構成(特に保持領域)を模式的に示す平面図である。
【
図4】同実施形態の保持部材の構成(特に接触領域)を模式的に示す平面図である。
【
図5】同実施形態の保持部材の構成を模式的に示す部分拡大平面図である。
【
図6】同実施形態の保持部材の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。
【
図7】変形実施形態の保持部材の構成を模式的に示す部分拡大平面図である。
【
図8】変形実施形態の保持部材の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る技術について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の技術により限定されない。
【0011】
本発明に係る技術1の保持部材は、切断用テーブルにおいて切断対象物を吸着して保持する保持部材であって、前記切断対象物を切断して生じる非製品部に接触する接触領域の表面に複数の凹部が形成されており、前記複数の凹部は、前記接触領域の外側に連通していることを特徴とする。
【0012】
この保持部材であれば、非製品部に接触する接触領域の表面に複数の凹部が形成されているので、保持部材と非製品部との接触面積を低減して張り付き力を低減し、非製品部を容易に取り除くことができる。また、複数の凹部が接触領域の外側に連通しているので、加工液が保持部材と非製品部との間に流入しやすくなり、非製品部を容易に取り除くことができる。したがって、切断対象物を切断して生じる非製品部が保持部材に張り付くことを防止することができる。また、加工液の供給量を少なくすることもでき、加工液を節約することができる。
【0013】
保持部材の具体的な実施の態様としては、複数の凹部が規則的に形成されている構成、複数の凹部が不規則に形成されている構成、又は、複数の凹部が不定形で形成されている構成が考えられる。ここで、複数の凹部が規則的に形成されている構成は、保持部材への加工処理を行いやすくできる。このため、本発明に係る技術2の保持部材は、上記の技術1の構成に加えて、前記複数の凹部が、平面視において格子状、ストライプ状又はドット状をなすものであることが望ましい。
【0014】
本発明に係る技術3の切断用テーブルは、切断対象物を吸着して保持する切断用テーブルであって、上記の技術1又は2の構成である保持部材を有することを特徴とする。
この構成であれば、切断対象物を切断して生じる非製品部が保持部材に張り付くことを防止することができるので、切断用テーブルから非製品部を容易に取り除くことができる。
【0015】
本発明に係る技術4の切断装置は、切断対象物を吸着して保持する切断用テーブルと、前記切断用テーブルに保持された前記切断対象物を切断する切断機構とを備え、前記切断用テーブルは、上記の技術1又は2の構成である保持部材を有することを特徴とする。
この構成であれば、切断対象物を切断して生じる非製品部が保持部材に張り付くことを防止することができるので、切断用テーブルから非製品部を容易に取り除くことができる。また、非製品部の張り付きを防止できるので、非製品部が張り付くことにより生じる切断機構の回転刃の破損等を防止することもできる。
【0016】
本発明に係る技術5の半導体装置の製造方法は、複数の半導体装置が形成された基板を上記の技術4の切断装置を用いて切断して、個片化された半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、前記基板を前記切断用テーブルで保持し、前記切断用テーブルに保持された前記基板を前記切断機構により切断することを特徴とする。
【0017】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る切断装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0018】
<切断装置100の全体構成>
本実施形態の切断装置100は、切断対象物である基板Wを切断して複数の切断品Pに個片化するものである。
ここで、基板Wとしては、例えばフリップチップ用基板又は封止済基板等を挙げることができる。フリップチップ用基板とは、半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子がフリップチップ接続される基板である。また、封止済基板とは、半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子が接続された基板に対して、少なくとも電子素子を樹脂封止するように樹脂成形したものである。封止済基板を構成する基板としては、リードフレーム、プリント配線板を用いることができ、これら以外にも、半導体製基板(シリコンウェーハ等の半導体ウェーハを含む)、金属製基板、セラミック製基板、ガラス製基板、樹脂製基板等を用いることができる。また、封止済基板を構成する基板には、配線が施されていても施されていなくてもよい。
【0019】
具体的に切断装置100は、
図1に示すように、基板Wを供給する供給モジュール100Aと、基板Wを切断する切断モジュール100Bと、切断されて個片化された切断品Pを検査する検査モジュール100Cとを、それぞれ構成要素として備えている。各構成要素は、それぞれ他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。なお、基板Wが複数の半導体装置が形成された基板である場合、切断装置100は、個片化された半導体装置を製造する半導体製造装置ということができる。
【0020】
以下に示す各モジュール100A~100Cを含む切断装置100の動作制御は、供給モジュール100Aに設けた制御部CTLが行う。この制御部CTLは、供給モジュール100A以外の他のモジュール100B、100Cに設けてもよい。また、制御部CTLは、複数に分割して、供給モジュール100A、切断モジュール100B及び検査モジュール100Cのうちの少なくとも2つのモジュールに設けてもよい。
【0021】
供給モジュール100Aは、切断される基板Wが外部から供給されて、基板Wを収容するものである。この供給モジュール100Aには、基板Wを収容する基板収容部2が設けられる。基板Wは、搬送機構(ローダ)3によって、供給モジュール100Aから切断モジュール100Bに搬送される。なお、ローダ3は、ガイドレール31を用いて基板Wを切断モジュール100Bに搬送するものである。本実施形態の切断装置100は、基板収容部2を3つ備えているが、基板収容部2の個数は特に限定されない。
【0022】
切断モジュール100Bは、基板Wを切断して複数の切断品Pに個片化するものである。この切断モジュール100Bは、基板Wを吸着して保持する切断用テーブル4と、切断用テーブル4に保持された基板Wを切断する切断機構5とを有している。
【0023】
切断機構5は、スピンドル51に回転刃52が装着されることにより構成されている。そして、切断用テーブル4と切断機構5とを相対的に移動させることによって、基板Wが回転刃52によって切断されて切断品Pに個片化される。ここで、回転刃52及び基板Wには、基板Wの切断時に発生する摩擦熱を抑えるために加工液である切削水が加工液供給部50により供給される。その後、個片化された切断品Pは、搬送機構(アンローダ)6によって、切断モジュール100Bから検査モジュール100Cに搬送される。なお、アンローダ6は、複数の切断品Pを個別に吸着して保持する保持部61と、当該保持部61を移動させる移動機構62とを有している。本実施形態の切断装置100は、切断機構5を2つ備えているが、切断機構5は1つであってもよい。
【0024】
検査モジュール100Cは、切断モジュール100Bにより個片化された切断品Pを撮像して検査するものである。この検査モジュール100Cは、複数の切断品Pを吸着して保持する検査用テーブル7と、検査用テーブル7に保持された複数の切断品Pを撮像する検査カメラ8とを備えている。そして、検査モジュール100Cでは、検査カメラ8により得られた画像に基づいて、個片化された切断品Pを良品と不良品とに区別する。そして、移送機構(図示なし)によって良品は良品用トレイ9aに、不良品は不良品用トレイ9bにそれぞれ移送されて収納される。(
図1参照)
【0025】
<切断用テーブル4の構成>
そして、本実施形態では、
図2~
図5に示すように、切断用テーブル4が、基板Wを吸着して保持する保持部材10を有している。この保持部材10には、切断時に回転刃52を避けるための刃避け溝10Mが形成されている。保持部材10は、例えばシリコーン系の樹脂やフッ素系の樹脂等の弾性樹脂(ラバー材)により構成されている。
【0026】
この保持部材10は、基板W又は複数の切断品Pを吸着して保持する吸着孔10aが形成されている。本実施形態では、吸着孔10aによる吸着力を増強するために、吸着孔10aの吸着側開口部の開口サイズを大きくしてポケット部10bを形成している。なお、
図2~
図5のポケット部10bは、平面視において矩形状をなすものであるが、ポケット部10bの平面視における形状はこれに限られない。
【0027】
ここで、基板Wは、
図3(a)に示すように、切断後に製品として用いられる製品部Wxと、切断後に製品として用いられない非製品部Wyとを有している。本実施形態では、複数の製品部Wxが例えば縦横マトリックス状(全体として矩形状)等により中央部に配置されており、それら複数の製品部Wxの外周部に非製品部Wyが配置されている。なお、製品部Wx及び非製品部Wyそれぞれの配置態様は前述に限られない。例えば、非製品部Wyが基板Wの外周部以外に配置されていても良い。
【0028】
このため、
図3(b)及び
図4に示すように、刃避け溝10Mは、製品部Wx及び非製品部Wyに対応して格子状に形成されており、刃避け溝10Mに取り囲まれた矩形状の領域が基板Wの各製品部Wxを保持する保持領域10R(
図3(b)参照)となる。また、保持部材10において複数の保持領域10Rを取り囲む4辺部に非製品部Wyに接触する接触領域10S(
図4参照)が形成される。
【0029】
そして、保持部材10には、
図5及び
図6に示すように、基板Wを切断して生じる非製品部Wyに接触する接触領域10Sの表面に複数の凹部10cが形成されている。複数の凹部10cは、接触領域10Sの表面と非製品部Wyとの接触面積を低減するものである。複数の凹部10cを形成することによって、凹部10cを形成しない場合の接触面積を100%とした場合に、接触面積を例えば20%~30%としている。
【0030】
また、複数の凹部10cは、
図5及び
図6に示すように、非製品部Wyが接触領域10Sに接触した状態において、接触領域10Sの外側に連通している。これにより、加工液供給部50により供給された加工液が、非製品部Wy及び接触領域10Sの間に流入する(
図6参照)。
【0031】
ここで、接触領域10Sの外側に連通しているとは、(1)平面視において凹部10cが非製品部Wy(接触領域10S)の外側に延び、凹部10cが保持部材10の表面に開口していること、又は、(2)平面視において凹部10cが非製品部Wyに覆われているが、凹部10cが保持部材10の側面又は刃避け溝10Mの内面に開口していること等を含む。また、平面視において、凹部10cの両端部が接触領域10Sの外側に連通する構成であっても良いし、凹部10cの一端部が接触領域10Sの外側に連通する構成であっても良い。なお、凹部10cの一端部が接触領域10Sの外側に連通する構成の場合には、加工液が流入しやすいように、例えば加工液が供給される側の一端部が接触領域10Sの外側に連通する構成とすることが望ましい。
【0032】
具体的に複数の凹部10cは、
図5及び
図6に示すように、平面視において格子状、ストライプ状又はドット状をなすものである。なお、
図5及び
図6には複数の凹部10cを格子状とした例を示している。複数の凹部10cを格子状とすることにより、加工液の流入箇所を増やして加工液を流入しやすくできる。なお、複数の凹部10cは、基板Wの種類、保持部材10の材質、又は、加工液の水流条件(例えば流量又は供給方向等)によって、格子状の他に、ストライプ状又はドット状の種々の形状にすることができる。
【0033】
各凹部10cの幅及び深さは、凹部10c内に異物が捕集されない程度に小さくし、かつ、基板Wの切断(切断品Pの生産)及び清掃による摩耗の影響を受けない程度のサイズが望ましい。具体的に各凹部10cの幅及び深さはそれぞれ、例えば数10~数100μmとすることが考えられる。複数の凹部10cのピッチは、例えば数10μmとすることが考えられる。これら複数の凹部10cは、レーザ光を照射して形成しても良いし、切削等の機械加工により形成しても良いし、薬液を用いた化学処理により形成しても良いし、型転写成形により形成しても良い。
【0034】
<本実施形態の効果>
本実施形態の切断装置100によれば、非製品部Wyに接触する接触領域10Sの表面に複数の凹部10cが形成されているので、保持部材10と非製品部Wyとの接触面積を低減して張り付き力を低減し、非製品部Wyを容易に取り除くことができる。また、複数の凹部10cが接触領域10Sの外側に連通しているので、加工液が保持部材10と非製品部Wyとの間に流入しやすくなり、非製品部Wyを容易に取り除くことができる。したがって、基板Wを切断して生じる非製品部Wyが保持部材10に張り付くことを防止することができる。また、加工液の供給量を少なくすることもでき、加工液を節約することができる。
【0035】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0036】
例えば、凹部10cにおいて接触領域10Sと連通する端部の開口(例えば幅又は深さ)を大きくすることによって、加工液が流入し易い形状としても良い。
【0037】
また、
図7及び
図8に示すように、保持部材10において、基板Wの製品部Wxを保持する保持領域10Rの表面に複数の第2凹部10eを形成しても良い。この複数の第2凹部10eは、保持領域10Rの表面と製品部Wx(切断品P)との接触面積を低減するものである。複数の第2凹部10eを形成することによって、第2凹部10eを形成しない場合の接触面積を100%とした場合に、接触面積を例えば50%~60%としている。なお、
図7では、前記実施形態の接触領域10Sにおける凹部10cの図示を省略している。
【0038】
また、複数の第2凹部10eは、基板W又は複数の切断品Pを保持した状態において、吸着孔10a及び保持領域10Rの外側空間が連通しないように形成されている。具体的に複数の第2凹部10eは、平面視において格子状、ストライプ状又はドット状をなすものである。なお、
図7及び
図8には複数の第2凹部10eをドット状とした例を示している。ここで、各第2凹部10eの幅及び深さは、第2凹部10e内に異物が捕集されない程度に小さくし、かつ、基板Wの切断(切断品Pの生産)及び清掃による摩耗の影響を受けない程度のサイズが望ましい。具体的に各第2凹部10eの幅及び深さはそれぞれ、例えば数10~数100μmとすることが考えられる。これら複数の第2凹部10eは、レーザ光を照射して形成しても良いし、切削等の機械加工により形成しても良いし、薬液を用いた化学処理により形成しても良いし、型転写成形により形成しても良い。
【0039】
さらに、
図7及び
図8に示すように、保持部材10の保持領域10Rにおいて複数の第2凹部10e以外の表面を粗化面10dとしても良い。この粗化面10dは、真空張り付きに対する引き剥がしを向上させるものである。粗化面10dは、第2凹部10eの幅及び深さよりも小さい凹凸を有するものであり、例えば数10μmピッチのストライプ状をなすものである。粗化面10dの形成方法としては、レーザ光を照射して形成しても良いし、切削等の機械加工により形成しても良いし、ブラストにより形成しても良いし、型転写成形により形成しても良い。
【0040】
その上、前記実施形態では、保持部材10がポケット部10bを有する構成であったが、ポケット部10bを有さない構成であっても良い。
【0041】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
100・・・切断装置
W ・・・基板(切断対象物)
P ・・・切断品(半導体装置)
4 ・・・切断用テーブル
5 ・・・切断機構
10 ・・・保持部材
10a・・・吸着孔
10S・・・接触領域
10c・・・凹部