(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018131
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】X線撮影装置およびX線撮影システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A61B6/04 332E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121593
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 三紀彦
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA33
4C093ED05
4C093ED14
4C093FA55
(57)【要約】
【課題】所定の方向に天板が傾くことに起因して、天板上における被検者の位置がずれることを抑制することが可能なX線撮影装置を提供する。
【解決手段】このX線撮影装置1は、X線照射部10と、X線検出器11と、天板12と、天板駆動機構13と、撮影部14と、被検者90および被検者保持部材21の画像に基づいて、被検者保持部材21の有無を取得する画像処理部15と、画像処理部15によって取得された被検者保持部材21の有無に基づいて、被検者保持部材21が配置されていない方向である移動不可の方向52を取得するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合に、天板駆動機構13の動作の制限、および、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、
被検者が載置される天板と、
前記天板の傾きを変更可能な天板駆動機構と、
前記天板に載置された被検者、および、前記天板に配置され、被検者の姿勢を保持する被検者保持部材を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された被検者および前記被検者保持部材の画像に基づいて、前記被検者保持部材の有無を取得する画像処理部と、
前記画像処理部によって取得された前記被検者保持部材の有無に基づいて、前記被検者保持部材が配置されていない方向である移動不可の方向を取得するとともに、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける方向と、前記移動不可の方向とが一致しているか否かを判定し、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合に、前記天板駆動機構の動作の制限、および、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部と、を備える、X線撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合において、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するとともに、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記被検者保持部材は、肩当て、握り棒、および、踏み台のうちの少なくともいずれかを含み、
前記画像処理部は、前記肩当て、前記握り棒、および、前記踏み台のうちの少なくともいずれかが、前記天板に配置されているか否かを取得することにより、前記被検者保持部材の有無を取得するように構成されており、
前記制御部は、前記天板を傾ける方向に対応する位置に、前記肩当て、前記握り棒、および、前記踏み台のうちの対応する前記被検者保持部材が配置されているか否かを判断し、前記天板を傾ける方向に対応する位置に、前記肩当て、前記握り棒、および、前記踏み台のうちの対応する前記被検者保持部材が配置されていない方向を、前記移動不可の方向に設定するように構成されている、請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記撮影部によって撮影された被検者および前記被検者保持部材の画像に基づいて、前記被検者保持部材の有無とともに、前記天板における被検者の向き、および、前記被検者保持部材の位置を取得するように構成されており、
前記制御部は、前記天板における被検者の向きと、前記被検者保持部材の有無および位置とに基づいて、前記移動不可の方向を設定するように構成されている、請求項3に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける動作を禁止するか、または、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける速度を低下させることにより、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける動作を禁止することにより、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するとともに、前記天板を傾ける動作を禁止した後、操作者による前記天板の動作の制限を解除する操作入力を受け付けるまで、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける動作の禁止を継続するように構成されている、請求項5に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合において、前記天板駆動機構に対する前記天板を移動させる操作入力があった後に、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するとともに、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、請求項6に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記天板における前記被検者保持部材の位置を取得することを学習させた学習済みモデルによって、前記被検者保持部材の位置を取得するように構成されている、請求項7に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記被検者保持部材の種類と、前記天板を傾ける方向との関係を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、操作者の操作入力に基づいて、前記被検者保持部材の種類と、前記天板を傾ける方向との関係を、前記記憶部に記憶するとともに、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合でも、前記記憶部に記憶された前記被検者保持部材の種類と前記天板を傾ける方向との関係において、前記移動不可の方向への移動が許容されていれば、前記移動不可の方向に対する前記天板の動作を許容するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記撮影部は、前記X線照射部の筐体のうち、前記天板と対向する位置に設けられている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記X線検出器が検出したX線に基づいてX線画像を生成するように構成されており、
前記X線画像を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記表示部において、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している旨を表示することにより、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、
被検者が載置される天板と、
前記天板の傾きを変更可能な天板駆動機構と、
前記天板に載置された被検者、および、前記天板に配置され、被検者を保持する被検者保持部材を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された被検者および前記被検者保持部材の画像に基づいて、前記被検者保持部材の有無を取得する画像処理部と、
前記画像処理部によって取得された前記被検者保持部材の有無に基づいて、前記被検者保持部材が配置されていない方向である移動不可の方向を取得するとともに、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける方向と、前記移動不可の方向とが一致しているか否かを判定し、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合に、前記天板駆動機構の動作の制限、および、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部と、を備える、X線撮影システム。
【請求項13】
前記画像処理部は、前記X線検出器が検出したX線に基づいてX線画像を生成するように構成されており、
前記X線画像を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記表示部において、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している旨を表示することにより、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、請求項12に記載のX線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置およびX線撮影システムに関し、特に、被検者を載置する天板を備え、天板の傾きを変更して撮影を行うX線撮影装置およびX線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者を載置する天板を備え、天板の傾きを変更して撮影を行うX線撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、透視撮影台と、X線管装置と、X線検出器と、制御部と、を備えるX線透視撮影装置が開示されている。上記特許文献1に開示されている透視撮影台は、被検者を載置するための天板と、天板を回動させるローリング機構と、天板の回動中に被検者が把持するための握り棒と、を有する。また、上記特許文献1に開示されている制御部は、天板に載置された被検者の重心位置を推測し、推測した重心位置に基づいて、天板の動作を制御するように構成されている。具体的には、上記特許文献1に開示されている制御部は、被検者の重心位置が天板の回動中心よりも高い位置にあり、かつ、被検者が握り棒を把持していない場合には、天板の回動速度を減速させるように構成されている。また、上記特許文献1に開示されている制御部は、被検者の重心位置が天板の回動中心よりも低い位置にある場合、または、被検者が握り棒を把持している場合には、天板の回動速度を減速させないように制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示されている構成では、被検者の重心位置が高く、かつ、被検者が握り棒(被検者保持部材)を把持していない場合にのみ、天板の回動(動作)を抑制(制限)するように構成されている。しかしながら、上記特許文献1には開示されていないが、天板を回動させて(傾けて)撮影するX線撮影装置では、被検者保持部材が配置されていない方向に天板を傾けて撮影する場合がある。上記特許文献1に開示されている構成では、被検者保持部材が配置されていない場合、被検者保持部材が把持されていないと判定される。被検者保持部材が把持されていないと判定された場合、被検者の重心位置が高い場合にのみ天板の動作が制限される。また、被検者の重心位置が低い場合、または、被検者保持部材が保持されていると判定された場合には、天板の動作が制限されない。しかしながら、たとえば、被検者の腰の近傍に配置された被検者保持部材を被検者が右手で把持している状態において、天板が被検者の右手側に傾いた場合には、被検者が被写体保持部材を把持していたとしても、体重をうまく支持することができずに、天板上における被検者の位置がずれる可能性があるという不都合がある。すなわち、被検者が被検者保持部材を把持しているか否かにかかわらず、天板が傾く方向によって、天板上における被検者の位置がずれる可能性があるという不都合がある。しかしながら、上記特許文献1には、天板が傾く方向に基づいて、天板の動作を制限する構成は開示されていない。そのため、上記特許文献1に開示されている構成では、所定の方向に天板が傾くことに起因して、天板上における被検者の位置がずれることを抑制することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、所定の方向に天板が傾くことに起因して、天板上における被検者の位置がずれることを抑制することが可能なX線撮影装置およびX線撮影システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面におけるX線撮影装置は、X線を照射するX線照射部と、X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、被検者が載置される天板と、天板の傾きを変更可能な天板駆動機構と、天板に載置された被検者、および、天板に配置され、被検者の姿勢を保持する被検者保持部材を撮影する撮影部と、撮影部によって撮影された被検者および被検者保持部材の画像に基づいて、被検者保持部材の有無を取得する画像処理部と、画像処理部によって取得された被検者保持部材の有無に基づいて、被検者保持部材が配置されていない方向である移動不可の方向を取得するとともに、天板駆動機構による天板を傾ける方向と、移動不可の方向とが一致しているか否かを判定し、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致している場合に、天板駆動機構の動作の制限、および、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部と、を備える。
【0008】
この発明の第2の局面におけるX線撮影システムは、X線を照射するX線照射部と、X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、被検者が載置される天板と、天板の傾きを変更可能な天板駆動機構と、天板に載置された被検者、および、天板に配置され、被検者を保持する被検者保持部材を撮影する撮影部と、撮影部によって撮影された被検者および被検者保持部材の画像に基づいて、被検者保持部材の有無を取得する画像処理部と、画像処理部によって取得された被検者保持部材の有無に基づいて、被検者保持部材が配置されていない方向である移動不可の方向を取得するとともに、天板駆動機構による天板を傾ける方向と、移動不可の方向とが一致しているか否かを判定し、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致している場合に、天板駆動機構の動作の制限、および、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の局面におけるX線撮影装置、および、第2の局面におけるX線撮影システムでは、被検者および被検者保持部材の画像に基づいて、被検者保持部材の有無を取得する画像処理部と、画像処理部によって取得された被検者保持部材の有無に基づいて、被検者保持部材が配置されていない方向である移動不可の方向を取得するとともに、天板駆動機構による天板を傾ける方向と、移動不可の方向とが一致しているか否かを判定し、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致している場合に、天板駆動機構の動作の制限、および、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部とを備える。これにより、移動不可の方向と一致する方向に対して天板を傾ける操作入力があった場合には、天板駆動機構の動作が制限されるか、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致していることが報知される。天板駆動機構の動作が制限される場合、天板上における被検者の位置がずれる角度まで天板が傾くことを抑制することができる。また、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致していることが報知される場合、天板上における被検者の位置がずれる可能性があることを操作者に把握させることが可能となるので、操作者に対して天板駆動機構の動作を停止することを促すことができる。これらの結果、所定の方向に天板が傾くことに起因して、天板上における被検者の位置がずれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態によるX線撮影装置を備えるX線撮影システムの構成を示したブロック図である。
【
図2】一実施形態によるX線撮影装置の構成を示した模式図である。
【
図3】一実施形態によるX線撮影システムが備える操作卓の構成を示した模式図である。
【
図4】一実施形態による操作卓における第2入力受付部を拡大した模式図である。
【
図5】一実施形態による撮影部が撮影する画像を説明するための模式図である。
【
図6】一実施形態による画像処理部が、被検者保持部材の有無の情報、被検者保持部材の位置の情報、および、被検者の向きの情報を習得する構成を説明するための模式図である。
【
図7】一実施形態による制御部が、移動不可の方向を取得する構成を説明するための模式図である。
【
図8】一実施形態による制御部が、起倒方向を移動不可の方向に設定する構成を説明するための模式図である。
【
図9】一実施形態による制御部が、逆傾斜方向を移動不可の方向に設定する構成を説明するための模式図である。
【
図10】一実施形態による制御部が、頭足方向を軸とする回転方向のうちの一方側の方向を移動不可の方向に設定する構成を説明するための模式図である。
【
図11】一実施形態による制御部が、頭足方向を軸とする回転方向のうちの他方側の方向を移動不可の方向に設定する構成を説明するための模式図である。
【
図12】一実施形態による制御部が、天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致していることを報知する構成を説明するための模式図である。
【
図13】一実施形態によるX線撮影装置が、天板の動作を制御する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図14】一実施形態による制御部が、天板駆動機構の動作の禁止を解除する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
まず、
図1~
図12を参照して、第1実施形態によるX線撮影装置1を備えるX線撮影システム100の構成について説明する。X線撮影装置1は、医師が被検者90(
図5参照)のカテーテル治療を行う際に、カテーテルを挿入する血管の分岐点などを確認するために、被検者90を撮影するシステムである。言い換えると、X線撮影装置1は、いわゆる、透視撮影装置である。
【0013】
図1に示すように、X線撮影システム100は、X線撮影装置1と、操作卓200とを備える。
【0014】
X線撮影装置1は、手術室などに配置される。また、操作卓200は、X線撮影装置1が配置されている手術室とは別の部屋に配置される。
【0015】
図1に示すように、X線撮影装置1は、X線照射部10と、X線検出器11と、天板12と、天板駆動機構13と、撮影部14と、画像処理部15と、制御部16と、を備える。本実施形態では、X線撮影装置1は、記憶部17と、表示部18とを備える。また、X線撮影装置1は、コリメータ19と、第1入力受付部20とを備える。
【0016】
X線照射部10は、X線を照射するように構成されている。X線照射部10は、高電圧が印加されることによりX線を発生させるX線管球などのX線発生装置を含む。
【0017】
コリメータ19は、平板形状を有しており、中央部に開口が設けられている。コリメータ19は、たとえば、鉛材料などの平板に開口を形成することにより構成される。コリメータ19は、制御部16の制御の下、開口の大きさおよび形状を調整することにより、X線照射部10から照射されるX線の照射範囲の調整を行う。
【0018】
X線検出器11は、X線照射部10から照射されたX線を検出するように構成されている。X線検出器11は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)であり、被検者90を透過したX線を検出する。
【0019】
天板12は、被検者90を載置するように構成されている。また、天板12は、天板駆動機構13によって駆動されることにより、傾きが変更される。天板12の詳細な構成については、後述する。
【0020】
天板駆動機構13は、天板12の傾きを変更可能に構成されている。天板駆動機構13の詳細な構成については、後述する。
【0021】
撮影部14は、天板12に載置された被検者90、および、天板12に配置され、被検者90の姿勢を保持する被検者保持部材21(
図2参照)を撮影するように構成されている。本実施形態では、撮影部14は、光学画像30を撮影するように構成されている。撮影部14は、たとえば、光学カメラである。光学カメラは、たとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、または、CCD(Charge Coupled Device)センサなどの、可視光を受光可能なイメージセンサを含む撮影装置である。
【0022】
画像処理部15は、X線検出器11が検出したX線に基づいてX線画像31を生成するように構成されている。また、本実施形態では、画像処理部15は、撮影部14によって撮影された被検者90および被検者保持部材21の画像(光学画像30)に基づいて、被検者保持部材21の有無を取得するように構成されている。具体的には、画像処理部15は、被検者保持部材21が天板12に配置されているか否かの情報を、被検者保持部材21の有無の情報50として取得するように構成されている。また、本実施形態では、画像処理部15は、被検者保持部材21の位置の情報53、および、被検者90の向きの情報54を取得するように構成されている。画像処理部15は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、回路(Circuitry)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリなどとによって構成される。画像処理部15が被検者保持部材21の有無の情報50、被検者保持部材21の位置の情報53、および、被検者90の位置の情報54を取得する構成の詳細については、後述する。
【0023】
制御部16は、X線撮影装置1全体を制御するように構成されている。具体的には、制御部16は、X線の照射の開始および停止などのX線照射部10によるX線照射の制御、コリメータ19によるX線照射範囲の変更の制御、X線検出器11による検出の制御などを行うように構成されている。また、制御部16は、天板駆動機構13を制御することにより、天板12の傾きを変更するように構成されている。制御部16は、CPU、または、回路(Circuitry)などのプロセッサと、ROMおよびRAMなどのメモリなどとによって構成される。
【0024】
記憶部17は、制御部16が実行する各種プログラムを記憶するように構成されている。また、記憶部17は、撮影部14が撮影した光学画像30を記憶するように構成されている。また、記憶部17は、画像処理部15が生成したX線画像31を記憶するように構成されている。また、記憶部17は、後述する学習済みモデル40を記憶するように構成されている。また、記憶部17は、画像処理部15が取得した被検者保持部材21の有無の情報50、被検者保持部材21の位置の情報53、および、被検者90の向きの情報54を記憶するように構成されている。また、記憶部17は、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51を記憶するように構成されている。また、記憶部17は、制御部16が取得した移動不可の方向52を記憶するように構成されている。記憶部17は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置を含む。
【0025】
表示部18は、X線画像31を表示するように構成されている。表示部18は、たとえば、液晶モニタ、または、有機EL(Electro Luminescence)モニタなどの表示装置である。本実施形態では、表示部18は、X線撮影装置1が有する第1表示部18aと、操作卓200が有する第2表示部18bとを含む。
【0026】
第1入力受付部20は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。具体的には、第1入力受付部20は、天板12の傾きを変更する操作入力を受け付けるように構成されている。第1入力受付部20は、たとえば、押しボタン、操作レバーなどを含む。
【0027】
また、
図1に示すように、操作卓200は、第2入力受付部201と、第2表示部18bとを有する。
【0028】
第2入力受付部201は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。具体的には、第2入力受付部201は、天板12の傾きを変更する操作入力を受け付けるように構成されている。第2入力受付部201は、たとえば、押しボタン、操作レバー201a(
図4参照)などを含む。
【0029】
(X線撮影装置および天板移動機構の構成)
図2に示すように、X線撮影装置1では、X線照射部10は、X線照射部移動機構22によって、移動可能に支持されている。X線照射部移動機構22は、X方向、Y方向およびZ方向の各々に対応して、図示しないモータおよび電磁ブレーキを備えている。そして、X線照射部10は、操作者によって、X方向、Y方向、および、Z方向の各々に移動可能に構成されている。なお、
図2に示す例では、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と互いに直交する2方向のうちの一方側をX方向、他方側をY方向とする。また、X方向のうちの一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。また、Y方向のうちの一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。
図2に示す例では、天板12の長手方向がX方向に沿うように図示している。
【0030】
また、X線照射部10は、X線照射部移動機構22に保持された状態で、Y軸線回りに回動可能に構成されている。したがって、X線照射部10は、X線の照射方向および角度を変更可能に構成されている。また、X線照射部移動機構22は、X線照射部10の回動可能な軸線(Y軸線)に対応して、図示しないモータおよび電磁ブレーキを備えている。第1実施形態によるX線照射部移動機構22は、操作者がX線照射部10を移動させる際に、操作者によって入力された操作力の方向に応じた方向に対して、X線照射部10を移動させる。
【0031】
また、
図2に示すように、X線撮影装置1は、1つの撮影部14を備える。本実施形態では、撮影部14は、X線照射部10の筐体10aに配置されている。具体的には、撮影部14は、X線照射部10の筐体10aのうち、天板12と対向する位置に設けられている。
【0032】
また、天板12は、被検者90(
図5参照)が載置される載置面12aを有する。また、天板12は、天板駆動機構13によって、X方向、Y方向、および、Z方向の各々に移動可能に構成されている。また、天板12は、天板駆動機構13によって、X軸線周りの回転方向に回動可能に構成されている。また、天板12は、天板駆動機構13によって、Y軸線周りの回転方向に回動可能に構成されている。
【0033】
また、天板駆動機構13は、天板12を、X方向、Y方向、および、Z方向の各々に移動可能に構成されている。天板駆動機構13は、X方向、Y方向およびZ方向の各々に対応して、図示しないモータおよび電磁ブレーキを備えている。また、天板駆動機構13は、天板12を、X軸線周りの回転方向に回動可能に構成されている。また、天板駆動機構13は、天板12を、Y軸線周りの回転方向に回動可能に構成されている。天板駆動機構13は、天板12の回動可能な2つの軸線(Y軸線およびZ軸線)の各々に対応して、天板12を回動させるためのモータおよび電磁ブレーキを備えている。第1実施形態による天板駆動機構13は、操作者が天板12を移動させる際に、第1入力受付部20、または、第2入力受付部201(
図1参照)を介して操作者によって入力された操作力の方向に応じた方向に対して、天板12の移動、および、天板12の傾きの変更を行う。
【0034】
また、
図2に示すように、第1表示部18aは、手術室において、医師などの操作者がX線画像31(
図1参照)を確認することが可能な位置に配置されている。第1表示部18aは、たとえば、手術室の天井に設けられた懸垂装置(図示せず)に保持されている。なお、第1表示部18aは、移動可能に構成され、表示部を保持する装置に保持されていてもよい。
【0035】
図2に示すように、被検者保持部材21は、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちの少なくともいずれかを含む。
図2に示す例は、被検者保持部材21が、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cの全てを含んでいる。
【0036】
肩当て21aは、天板12を逆傾斜させる(被検者90(
図5参照)の頭部90a(
図5参照)を下げ、足部90b(
図5参照)を上げる方向に天板12を傾ける)場合に、被検者90の姿勢を支持するように構成されている。本実施形態では、肩当て21aは、操作者によって、天板12に対して手動で着脱可能に構成されている。また、肩当て21aは、操作者によって、天板12上における位置を手動で変更可能に構成されている。
【0037】
また、握り棒21bは、天板12を傾けた際に、被検者90が把持するために設けられている。握り棒21bは、被検者90によって把持されることにより、被検者90の姿勢を支持することができる。本実施形態では、握り棒21bは、操作者によって、天板12に対して手動で着脱可能に構成されている。また、握り棒21bは、操作者によって、天板12上における位置を手動で変更可能に構成されている。
【0038】
また、踏み台21cは、天板12を起倒させる(被検者90の頭部90aを上げ、足部90bを下げる方向に天板12を傾ける)場合に、被検者90の姿勢を支持するように構成されている。本実施形態では、踏み台21cは、操作者によって、天板12に対して手動で着脱可能に構成されている。また、踏み台21cは、操作者によって、天板12上における位置を手動で変更可能に構成されている。
【0039】
(操作卓)
図3は、操作卓200を斜め方向から見た模式図である。
図3に示すように、操作卓200は、第2入力受付部201、および、第2表示部18bが載置される載置面200aと、載置面200aを支持する支持部材200bとを有する。
【0040】
図3に示すように、第2入力受付部201は、操作卓200の載置面200aに配置されている。また、第2表示部18bは、操作卓200の載置面200aに配置されている。
【0041】
(第2入力受付部)
図4は、操作卓200(
図3参照)のうちの、第2入力受付部201の近傍を拡大した拡大図である。
図4に示すように、第2入力受付部201は、操作レバー201aを含む。
【0042】
操作レバー201aは、天板12(
図2参照)の傾きを変更するための操作入力を受けるように構成されている。制御部16(
図1参照)は、操作レバー201aが受け付けた操作入力に基づいて、天板12の傾きを変更するように構成されている。すなわち、制御部16は、操作レバー201aが傾けられた方向に対応する方向に、天板12を傾ける制御を行う。
【0043】
(光学画像)
図5に示す光学画像30は、撮影部14(
図1参照)によって撮影される画像である。
図5に示す例では、光学画像30において、天板12と、被検者90と被検者保持部材21とが写っている。具体的には、光学画像30には、被検者90と、一対の肩当て21aと、一対の握り棒21bと、踏み台21cとが写っている。
【0044】
ここで、天板12を傾ける際に、傾ける方向に対応する位置に被検者保持部材21が配置されていない場合、被検者90が天板12から転落する可能性がある。たとえば、天板12を起倒させる際に踏み台21cが配置されていない場合、天板12を逆傾斜させる際に肩当て21aが配置されていない場合、天板12をX軸線周りに回動させる際に握り棒21bが配置されていない場合などに、被検者90が天板12から転落する可能性がある。
【0045】
そこで、本実施形態では、制御部16(
図1参照)は、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある場合に、天板駆動機構13(
図2参照)の動作を制限するか、または、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある旨を報知するように構成されている。具体的には、制御部16は、画像処理部15(
図1参照)によって取得された被検者保持部材21の有無に基づいて、被検者保持部材21が配置されていない方向である移動不可の方向52(
図1参照)を取得するように構成されている。また、制御部16は、天板駆動機構13による天板12を傾ける方向と、移動不可の方向52とが一致しているか否かを判定するように構成されている。また、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合に、天板駆動機構13の動作の制限、および、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行うように構成されている。
【0046】
(被検者保持部材の有無および位置と被検者の方向との取得)
図6を参照して、画像処理部15が、被検者保持部材21(
図5参照)の有無を取得する構成について説明する。本実施形態では、
図6に示すように、画像処理部15は、撮影部14(
図1参照)によって撮影された被検者90(
図5参照)および被検者保持部材21の光学画像30に基づいて、被検者保持部材21の有無を取得する。具体的には、画像処理部15は、肩当て21a(
図5参照)、握り棒21b(
図5参照)、および、踏み台21c(
図5参照)のうちの少なくともいずれかが、天板12に配置されているか否かを取得することにより、被検者保持部材21の有無を取得するように構成されている。本実施形態では、画像処理部15は、被検者保持部材21の有無に基づいて、被検者保持部材21の有無の情報50を取得するように構成されている。たとえば、画像処理部15は、肩当て21aが配置されているか否かの情報、握り棒21bが配置されているか否かの情報、および、踏み台21cが配置されているか否かの情報を、被検者保持部材21の有無の情報50として取得する。
【0047】
また、本実施形態では、画像処理部15は、撮影部14によって撮影された被検者90および被検者保持部材21の光学画像30に基づいて、被検者保持部材21の有無とともに、天板12における被検者90の向き、および、被検者保持部材21の位置を取得するように構成されている。本実施形態では、画像処理部15は、被検者保持部材21の位置の情報53、および、被検者90の向きの情報54を取得するように構成されている。たとえば、画像処理部15は、被検者90の向きの情報53として、被検者90の頭部90a(
図5参照)が、X方向のうちのいずれの方向側に配置されているかを取得する。また、画像処理部15は、被検者保持部材21の位置の情報53として、光学画像30において被検者保持部材21が写る位置の位置座標を取得するように構成されている。
【0048】
また、本実施形態では、画像処理部15は、天板12(
図5参照)における被検者保持部材21の位置を取得することを学習させた学習済みモデル40によって、被検者保持部材21の位置を取得するように構成されている。また、画像処理部15は、学習済みモデル40によって被検者90の向きを取得するように構成されている。すなわち、学習済みモデル40は、被検者保持部材21の位置、および、被検者90の向きを取得することを学習させることにより生成される。なお、X線照射部10は、天板12に対して正対する状態、および、天板12に対して傾いた状態でX線を照射する場合がある。したがって、学習済みモデル40を生成する際には、天板12と正対した位置から撮影した画像、および、天板12に対して斜め方向から撮影した画像を用いて学習済みモデル40を生成することが好ましい。
【0049】
本実施形態では、画像処理部15は、取得した被検者保持部材21の有無の情報50、被検者保持部材21の位置の情報53、および、被検者90の向きの情報54を、記憶部17に記憶するように構成されている。
【0050】
(移動不可の方向の取得)
次に、
図7~
図11を参照して、制御部16(
図7参照)が、移動不可の方向52(
図7参照)を取得する構成について説明する。
【0051】
制御部16は、天板12(
図5参照)を傾ける方向に対応する位置に、肩当て21a(
図5参照)、握り棒21b(
図5参照)、および、踏み台21c(
図5参照)のうちの対応する被検者保持部材21(
図5参照)が配置されているか否かを判断する。そして、制御部16は、天板12を傾ける方向に対応する位置に、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちの対応する被検者保持部材21が配置されていない方向を、移動不可の方向52に設定するように構成されている。
【0052】
なお、被検者保持部材21が天板12に配置されている場合でも、被検者90の向き、および、被検者保持部材21の位置によっては、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある場合がある。たとえば、被検者90の頭部90a(
図8参照)側に踏み台21cが配置されており、かつ、被検者90が把持することができない位置に握り棒21bが配置されている場合に、被検者90の頭部90aを上げるように天板12を傾ける場合には、天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある。そこで、本実施形態では、制御部16は、天板12における被検者90の向きと、被検者保持部材21の有無および位置とに基づいて、移動不可の方向52を設定するように構成されている。
【0053】
本実施形態では、制御部16は、記憶部17に記憶されている被検者保持部材21の有無の情報50、被検者保持部材21の位置の情報53、および、被検者90の向きの情報54に基づいて、移動不可の方向52を設定する。また、制御部16は、設定した移動不可の方向52を、記憶部17に記憶するように構成されている。
【0054】
図8は、被検者90を載置した天板12を、Y2方向側から見た模式図である。
図8に示すように、天板12には、被検者90の頭部90aの近傍に肩当て21aが配置されている。また、
図8に示すように、天板12には、被検者90の足部90bの近傍に、握り棒21bが配置されている。言い換えると、握り棒21bは、被検者90が把持できない位置に配置されている。また、
図8に示す例では、踏み台21c(
図5参照)は配置されていない。
図8に示すように、被検者90を支持可能な位置に踏み台21cが配置されておらず、かつ、被検者90が把持可能な位置に握り棒21bが配置されていない場合に、起倒方向(回転中心70aを中心として矢印71aに示す回転方向)に天板12を傾ける場合、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある。したがって、制御部16は、被検者90を支持可能な位置に踏み台21cが配置されておらず、かつ、被検者90が把持可能な位置に握り棒21bが配置されていない場合に、起倒方向を移動不可の方向52に設定する。
【0055】
図9は、被検者90を載置した天板12を、Y2方向側から見た模式図である。
図9に示すように、天板12には、被検者90の足部90bの近傍に踏み台21cが配置されている。また、
図9に示すように、天板12には、被検者90の足部90bの近傍に、握り棒21bが配置されている。言い換えると、握り棒21bは、被検者90が把持できない位置に配置されている。また、
図9に示す例では、被検者90の頭部90aの近傍には、肩当て21a(
図8参照)が配置されていない。
図9に示すように、被検者90を支持可能な位置に肩当て21aが配置されておらず、かつ、被検者90が把持可能な位置に握り棒21bが配置されていない場合に、逆傾斜方向(回転中心70bを中心として矢印71bに示す回転方向)に天板12を傾ける場合、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある。したがって、制御部16は、被検者90を支持可能な位置に肩当て21aが配置されておらず、かつ、被検者90が把持可能な位置に握り棒21bが配置されていない場合に、天板12の逆傾斜方向を移動不可の方向52に設定する。
【0056】
図10は、被検者90を載置した天板12を、X1方向側から見た模式図である。
図10に示すように、天板12には、肩当て21a(
図8参照)および踏み台21c(
図9参照)が配置されていない。また、
図10に示す例では、天板12には、被検者90の足部90b(
図9参照)の近傍に、握り棒21bが配置されている。言い換えると、握り棒21bは、被検者90が把持できない位置に配置されている。なお、
図10では、握り棒21bを破線で図示することにより、被検者90が把持できない状態であることを示している。
図10に示すように、被検者90が把持可能な位置に握り棒21bが配置されていない場合に、回転中心70cを中心として矢印71cに示す方向に天板12を傾ける場合、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある。
【0057】
図11は、被検者90を載置した天板12を、X1方向側から見た模式図である。
図11に示すように、天板12には、肩当て21a(
図8参照)および踏み台21c(
図9参照)が配置されていない。また、
図11に示す例では、天板12には、被検者90の足部90b(
図9参照)の近傍に、握り棒21bが配置されている。言い換えると、握り棒21bは、被検者90が把持できない位置に配置されている。なお、
図11では、握り棒21bを破線で図示することにより、被検者90が把持できない状態であることを示している。
図11に示すように、被検者90が把持可能な位置に握り棒21bが配置されていない場合に、回転中心70dを中心として矢印71dに示す方向に天板12を傾ける場合、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある。そこで、制御部16は、被検者90が把持可能な位置に握り棒21bが配置されていない場合に、X軸線周りの回転方向を移動不可の方向52に設定する。
【0058】
(天板駆動機構の動作の制限)
本実施形態では、制御部16は、画像処理部15(
図1参照)によって取得された被検者保持部材21(
図5参照)の有無に基づいて、被検者保持部材21が配置されていない方向である移動不可の方向52(
図7参照)を取得するように構成されている。また、本実施形態では、制御部16は、天板駆動機構13(
図2参照)による天板12(
図2参照)を傾ける方向と、移動不可の方向52とが一致しているか否かを判定するように構成されている。また、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合に、天板駆動機構13の動作の制限、および、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行うように構成されている。
【0059】
本実施形態では、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するように構成されている。具体的には、制御部16は、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止するか、または、天板駆動機構13による天板12を傾ける速度を低下させることにより、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するように構成されている。より具体的には、制御部16は、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止することにより、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するように構成されている。すなわち、本実施形態では、制御部16は、移動不可の方向52に対して天板12を傾ける操作入力があった場合でも、天板12を動かさない制御を行う。
【0060】
ここで、X線撮影装置1(
図1参照)を使用する病院などの施設によっては、X線撮影装置1の近傍に医師などがいる状態において、移動不可の方向52に対して天板12を傾けることを医師などが所望する場合がある。たとえば、踏み台21c(
図5参照)が配置されていない場合でも、天板12を傾ける角度が小さい場合などには、天板12を起倒させることを医師などが所望する場合がある。そこで、本実施形態では、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合でも、記憶部17(
図1参照)に記憶された被検者保持部材21の種類と天板12を傾ける方向との関係51(
図1参照)において、移動不可の方向52への移動が許容されていれば、移動不可の方向52に対する天板12の動作を許容するように構成されている。
【0061】
本実施形態では、制御部16は、操作者の操作入力に基づいて、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51を、予め記憶部17に記憶するように構成されている。なお、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51とは、通常であれば移動不可の方向52に設定される方向に対する天板12の移動を許可するための、被検者保持部材21と天板12を傾ける方向との関係を示す情報である。たとえば、被検者90の足部90b側に踏み台21cが配置されていない場合でも、起倒方向に対する天板12の移動を許容する場合、制御部16は、記憶部17において、踏み台21cが配置されていない場合でも起倒方向に対する天板12の移動を許容する情報を、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51として記憶する。
【0062】
(天板を傾ける方向と移動不可の方向とが一致していることの報知)
また、本実施形態では、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されている。本実施形態では、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13に対する天板12を移動させる操作入力があった後に、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されている。具体的には、制御部16は、表示部18において、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨を表示することにより、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されている。
【0063】
より具体的には、
図12に示すように、制御部16(
図1参照)は、表示部18(
図1参照)において、天板12(
図1参照)を傾ける方向と移動不可の方向52(
図1参照)とが一致している旨を表示する画面60を表示することにより、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知する。本実施形態では、制御部16は、第1表示部18aおよび第2表示部18bの両方に画面60を表示するように構成されている。なお、制御部16は、第1表示部18aおよび第2表示部18bのうちのいずれかにおいて、画面60を表示するように構成されていてもよい。
【0064】
図12に示すように、画面60には、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨のメッセージ60aと、確認ボタン60bとが表示されている。
【0065】
確認ボタン60bは、GUI(Graphical User Interface)の押しボタンである。確認ボタン60bが押下されることにより、制御部16は、操作者がメッセージ60aを確認したと判断する。
【0066】
(天板の動作の制限の解除)
本実施形態では、制御部16は、天板12を傾ける動作を禁止した後、操作者による天板12の動作の制限を解除する操作入力を受け付けるまで、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作の禁止を継続するように構成されている。たとえば、制御部16は、画面60に示す確認ボタン60bが押下された際に、天板12の動作の制限を解除する操作入力が行われたと判断し、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作の禁止を解除する。なお、制御部16は、操作者が、第1入力受付部20(
図1参照)、または、第2入力受付部201(
図1参照)から一度手を離した後、再度、第1入力受付部20、または、第2入力受付部201による操作入力が行われたことに基づいて、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作の禁止を解除してもよい。制御部16は、操作者が意図した操作を行った場合に、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作の禁止を解除するように構成されればよい。
【0067】
(天板の動作を制御する処理)
次に、
図13を参照して、本実施形態によるX線撮影装置1(
図1参照)が、天板12(
図2参照)の動作を制御する処理について説明する。
【0068】
ステップ101において、撮影部14(
図1参照)は、光学画像30(
図5参照)を取得する。具体的には、撮影部14は、被検者保持部材21(
図5参照)および被検者90(
図5参照)が写る光学画像30を撮影する。
【0069】
ステップ102において、画像処理部15(
図6参照)は、被検者保持部材21の有無を取得する。具体的には、
図6に示すように、画像処理部15は、光学画像30と学習済みモデル40(
図6参照)と基づいて、被検者保持部材21の有無を取得する。本実施形態では、画像処理部15は、被検者保持部材21の有無の情報50(
図6参照)を取得する。なお、被検者保持部材21の有無の情報50が取得され、記憶部17(
図6参照)に記憶されている場合、画像処理部15は、記憶部17から被検者保持部材21の有無の情報50を取得してもよい。
【0070】
また、ステップ102において、画像処理部15は、被検者保持部材21の位置を取得する。具体的には、画像処理部15は、光学画像30と学習済みモデル40とに基づいて、被検者保持部材21の位置の情報53(
図6参照)を取得する。なお、被検者保持部材21の位置の情報53が記憶部17に記憶されている場合、画像処理部15は、記憶部17から被検者保持部材21の位置の情報53を取得してもよい。
【0071】
また、ステップ102において、画像処理部15は、被検者90の向きの情報54を取得する。具体的には、画像処理部15は、光学画像30と学習済みモデル40と基づいて、被検者90の向きの情報54(
図6参照)を取得する。なお、被検者90の向きの情報54が記憶部17に記憶されている場合、画像処理部15は、記憶部17から被検者90の向きの情報54を取得してもよい。
【0072】
ステップ103において、制御部16(
図1参照)は、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51(
図1参照)を取得する。具体的には、制御部16は、記憶部17(
図1参照)に記憶された被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51を取得する。
【0073】
ステップ104において、制御部16は、移動不可の方向52(
図7参照)を取得する。具体的には、
図7に示すように、制御部16は、被検者保持部材21の有無の情報50と、被検者保持部材21の位置の情報53と、被検者90の向きの情報54とに基づいて、移動不可の方向52を取得する。なお、移動不可の方向52が記憶部17に記憶されている場合、制御部16は、記憶部17から移動不可の方向52を取得してもよい。
【0074】
ステップ105において、制御部16は、天板12の傾きを変更する操作入力があったか否かを判定する。天板12の傾きを変更する操作入力があった場合、処理は、ステップ106へ進む。天板12の傾きを変更する操作入力がない場合、ステップ105の処理を繰り返す。
【0075】
ステップ106において、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致しているか否かを判定する。天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合、処理は、ステップ107へ進む。天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していない場合、処理は、終了する。すなわち、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していない場合には、制御部16は、操作入力に基づいて、天板12を傾ける。
【0076】
ステップ107において、制御部16は、移動不可の方向52に対して天板12を傾けることが許容されているか否かを判定する。具体的には、制御部16は、移動不可の方向52と、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51とに基づいて、移動不可の方向52に対して天板12を傾けること許容されているか否かを判定する。移動不可の方向52に対して天板12を傾けることが許容されている場合、処理は、終了する。すなわち、移動不可の方向52に対して天板12を傾けることが許容されている場合、制御部16は、操作入力に基づいて、天板12を傾ける。移動不可の方向52に対して天板12を傾けることが許容されていない場合、処理は、ステップ108へ進む。
【0077】
ステップ108において、制御部16は、天板駆動機構13(
図1参照)の動作を制限する。本実施形態では、制御部16は、天板駆動機構13の動作を禁止することにより、天板駆動機構13の動作を制限する。
【0078】
ステップ109において、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知する。具体的には、制御部16は、表示部18(
図1参照)において、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨のメッセージ60a(
図12参照)を表示することにより、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知する。その後、処理は、終了する。
【0079】
なお、ステップ103の処理とステップ104の処理とは、どちらが先に実行されてもよい。
【0080】
次に、
図14を参照して、制御部16(
図1参照)が、天板駆動機構13(
図1参照)の動作の制限を解除する処理について説明する。
【0081】
ステップ110において、制御部16は、操作者からの操作入力があったか否かを判定する。具体的には、制御部16は、
図12に示す画面60における確認ボタン60bが押下されたか否かを判定する。なお、制御部16は、第1入力受付部20(
図1参照)、または、第2入力受付部201(
図1参照)から一度手を離した後、再度、第1入力受付部20、または、第2入力受付部201による操作入力があったか否かを判定してもよい。操作者からの操作入力があった場合、処理は、ステップ111へ進む。操作者からの操作入力がない場合、ステップ110の処理を繰り返す。
【0082】
ステップ111において、制御部16は、天板駆動機構13の動作の制限を解除する。具体的には、制御部16は、天板駆動機構13の動作の禁止を解除する。その後、処理は、終了する。
【0083】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0084】
本実施形態では、上記のように、X線撮影装置1は、X線を照射するX線照射部10と、X線照射部10から照射されたX線を検出するX線検出器11と、被検者90が載置される天板12と、天板12の傾きを変更可能な天板駆動機構13と、天板12に載置された被検者90、および、天板12に配置され、被検者90の姿勢を保持する被検者保持部材21を撮影する撮影部14と、撮影部14によって撮影された被検者90および被検者保持部材21の画像(光学画像30)に基づいて、被検者保持部材21の有無を取得する画像処理部15と、画像処理部15によって取得された被検者保持部材21の有無に基づいて、被検者保持部材21が配置されていない方向である移動不可の方向52を取得するとともに、天板駆動機構13による天板12を傾ける方向と、移動不可の方向52とが一致しているか否かを判定し、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合に、天板駆動機構13の動作の制限、および、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部16と、を備える。
【0085】
これにより、移動不可の方向52と一致する方向に対して天板12を傾ける操作入力があった場合には、天板駆動機構13の動作が制限されるか、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることが報知される。天板駆動機構13の動作が制限される場合、天板12上における被検者90の位置がずれる角度まで天板12が傾くことを抑制することができる。また、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることが報知される場合、天板12上における被検者90の位置がずれる可能性があることを操作者に把握させることが可能となるので、操作者に対して天板駆動機構13の動作を停止することを促すことができる。これらの結果、所定の方向に天板12が傾くことに起因して、天板12上における被検者90の位置がずれることを抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、X線撮影システム100は、X線を照射するX線照射部10と、X線照射部10から照射されたX線を検出するX線検出器11と、被検者90が載置される天板12と、天板12の傾きを変更可能な天板駆動機構13と、天板12に載置された被検者90、および、天板12に配置され、被検者90を保持する被検者保持部材21を撮影する撮影部14と、撮影部14によって撮影された被検者90および被検者保持部材21の画像(光学画像30)に基づいて、被検者保持部材21の有無を取得する画像処理部15と、画像処理部15によって取得された被検者保持部材21の有無に基づいて、被検者保持部材21が配置されていない方向である移動不可の方向52を取得するとともに、天板駆動機構13による天板12を傾ける方向と、移動不可の方向52とが一致しているか否かを判定し、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合に、天板駆動機構13の動作の制限、および、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部16と、を備える。
【0087】
これにより、X線撮影装置1と同様に、所定の方向に天板12が傾くことに起因して、天板12上における被検者90の位置がずれることを抑制することが可能なX線撮影システム100を提供することができる。
【0088】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0089】
すなわち、本実施形態では、上記のように、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されている。これにより、天板12の動作を制限したうえで、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致しており、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれる可能性があることを操作者に把握させることができる。その結果、天板駆動機構13の動作を制限した状態で、操作者に対して天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを把握させることが可能となるので、天板12上における被検者90の位置がずれることをより一層抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、被検者保持部材21は、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちの少なくともいずれかを含み、画像処理部15は、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちの少なくともいずれかが、天板12に配置されているか否かを取得することにより、被検者保持部材21の有無を取得するように構成されており、制御部16は、天板12を傾ける方向に対応する位置に、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちの対応する被検者保持部材21が配置されているか否かを判断し、天板12を傾ける方向に対応する位置に、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちの対応する被検者保持部材21が配置されていない方向を、移動不可の方向52に設定するように構成されている。これにより、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cが配置されていない方向が移動不可の方向52に設定されるため、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちのいずれかを含む被検者保持部材21を配置して撮影を行うX線撮影装置1において、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちのいずれかを含む被検者保持部材21が配置されていない方向に天板12が傾くことに起因して、天板12上における被検者90の位置がずれることを容易に抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、画像処理部15は、撮影部14によって撮影された被検者90および被検者保持部材21の画像(光学画像30)に基づいて、被検者保持部材21の有無とともに、天板12における被検者90の向き、および、被検者保持部材21の位置を取得するように構成されており、制御部16は、天板12における被検者90の向きと、被検者保持部材21の有無および位置とに基づいて、移動不可の方向52を設定するように構成されている。ここで、被検者90を撮影する場合に、被検者90の頭足方向を反対に向けて被検者90を天板12に載置する場合がある。この場合、被検者保持部材21の位置も、被検者90の向きに応じて配置する必要がある。また、被検者90の身長によっては、被検者保持部材21の位置を調整する必要がある。そこで、上記のように、被検者保持部材21の有無とともに、天板12における被検者90の向き、および、被検者保持部材21の位置に基づいて移動不可の方向52を設定することにより、移動不可の方向52を、被検者90の向きおよび被検者保持部材21の位置に応じてより精度よく設定することができる。その結果、天板12上における被検者90の位置がずれることをより一層抑制することができる。また、被検者保持部材21の位置を操作者が手動で変更することが可能な場合、被検者保持部材21を取り付け可能な位置に応じて複数の距離センサなどを設ける必要があり、部品点数が増加する。また、被検者保持部材21を移動させる位置によっては、距離センサなどで位置を取得できない場合がある。そこで、上記のように、光学画像30に基づいて被検者保持部材21の位置を取得するように画像処理部15を構成することにより、被検者保持部材21の位置が操作者によって手動で移動される場合でも、部品点数の増加を抑制しつつ、被検者保持部材21の位置を容易に取得することができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、制御部16は、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止するか、または、天板駆動機構13による天板12を傾ける速度を低下させることにより、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するように構成されている。これにより、制御部16が天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止する場合、移動不可の方向52に対して天板12が傾くことを防止することができる。その結果、天板12上における被検者90の位置がずれることを確実に抑制することができる。また、制御部16が天板駆動機構13による天板12を傾ける速度を低下させる場合には、天板12上における被検者90の位置がずれる角度まで天板12が傾くまでに要する時間を増加させることができる。その結果、天板12上における被検者90の位置がずれるまでに操作者が天板駆動機構13の動作を停止させることが可能となるので、所定の方向に天板12が傾くことに起因して、天板12上における被検者90の位置がずれることをより一層抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、制御部16は、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止することにより、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける動作を禁止した後、操作者による天板12の動作の制限を解除する操作入力を受け付けるまで、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作の禁止を継続するように構成されている。これにより、操作者が意図して天板12の動作の制限を解除する操作入力を行うまで、天板駆動機構13の動作が禁止されるので、操作者が被検者90の状態を確認するまでの間に天板12の動作が再開し、所定の方向に天板12が傾くことに起因して、天板12上における被検者90の位置がずれることを防止することができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13に対する天板12を移動させる操作入力があった後に、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されている。ここで、移動不可の方向52があることを操作者に対して予め報知すると、操作者がX線画像31を確認するなどの作業の妨げになる場合がある。そこで、上記のように構成することにより、操作者が天板駆動機構13を動作させる操作入力を行った際に、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることが報知されるので、操作者の作業を妨げることなく、天板12上における被検者90の位置がずれる可能性があることを、操作者に把握させることができる。その結果、操作者の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、画像処理部15は、天板12における被検者保持部材21の位置を取得することを学習させた学習済みモデル40によって、被検者保持部材21の位置を取得するように構成されている。これにより、被検者90および被検者保持部材21が写る画像(光学画像30)に基づいて、容易に、かつ、精度よく、被検者保持部材21の位置を取得することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51を記憶する記憶部17をさらに備え、制御部16は、操作者の操作入力に基づいて、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51を、記憶部17に記憶するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合でも、記憶部17に記憶された被検者保持部材21の種類と天板12を傾ける方向との関係51において、移動不可の方向52への移動が許容されていれば、移動不可の方向52に対する天板12の動作を許容するように構成されている。ここで、X線撮影装置1を使用する施設(病院など)では、操作者がX線撮影装置1の近傍にいる場合には、被検者保持部材21が配置されていない方向に対して天板12を傾けることを許容する場合がある。また、天板12の一方側に握り棒21bが配置されていれば、握り棒21bが配置されていない方向に対して天板12を傾けることを許容する場合がある。そこで、上記のように、被検者保持部材21の種類と、天板12を傾ける方向との関係51を記憶することにより、移動不可の方向52に対して天板12を傾けることを許容する条件を、X線撮影装置1を使用する施設ごとに設定することができる。その結果、被検者保持部材21の種類と天板12を傾ける方向との関係51に応じて移動不可の方向52に対しても天板12を傾けることが可能になるので、操作者の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、撮影部14は、X線照射部10の筐体10aのうち、天板12と対向する位置に設けられている。ここで、撮影部14を検査室の天井などに配置する場合、撮影部14とX線照射部10との相対位置によっては、X線照射部10の筐体10aなどによって撮影部14の撮影視野が遮られ、被検者90および被検者保持部材21が写る画像(光学画像30)において、被検者保持部材21の有無などを精度よく判定することが困難になる場合がある。そこで、上記のように構成することにより、撮影部14の撮影視野がX線照射部10の筐体10aなどによって遮られることを抑制することができる。その結果、被検者90および被検者保持部材21が写る画像(光学画像30)において、被検者保持部材21の有無などを精度よく判定することが可能となるので、移動不可の方向52を精度よく設定することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、画像処理部15は、X線検出器11が検出したX線に基づいてX線画像31を生成するように構成されており、X線画像31を表示する表示部18をさらに備え、制御部16は、表示部18において、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨を表示することにより、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されている。これにより、表示部18において、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨が表示されるので、天板12上における被検者90の位置がずれる可能性があることを、視覚的に操作者に把握させることができる。したがって、所定の方向に天板12が傾くことに起因して、天板12上における被検者90の位置がずれる可能性があることを操作者が視覚的に把握することができる。その結果、天板駆動機構13の動作を停止するなどの、天板12上における被検者90の位置がずれることを抑制するための動作を、操作者に対して確実に行わせることができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、画像処理部15は、X線検出器11が検出したX線に基づいてX線画像31を生成するように構成されており、X線画像31を表示する表示部18をさらに備え、制御部16は、表示部18において、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨を表示することにより、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されている。これにより、X線撮影装置1と同様に、天板駆動機構13の動作を停止するなどの、天板12上における被検者90の位置がずれることを抑制するための動作を、操作者に対して確実に行わせることが可能なX線撮影システム100を提供することができる。
【0100】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0101】
たとえば、上記実施形態では、制御部16が、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13の動作の制限、および、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることの報知のいずれかを行うように構成されていてもよい。しかしながら、天板駆動機構13の動作の制限、および、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることの報知の両方を行うことにより、天板12が傾くことに起因して天板12上における被検者90の位置がずれることをより一層抑制することができる。したがって、制御部16は天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されることが好ましい。
【0102】
また、上記実施形態では、被検者保持部材21が、肩当て21aと、握り棒21bと、踏み台21cとの全てを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。被検者保持部材21は、天板12を傾ける方向に応じて、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのいずれかを含んでいればよい。また、制御部16は、肩当て21a、握り棒21b、および、踏み台21cのうちの、天板12を傾ける方向に応じた部材に基づいて、移動不可の方向52を取得すればよい。
【0103】
また、上記実施形態では、制御部16が、被検者90の向きと、被検者保持部材21の有無および位置とに基づいて、移動不可の方向52を設定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部は、少なくとも被検者保持部材21の有無に基づいていれば、被検者90の向きおよび被検者保持部材21の位置に基づくことなく、移動不可の方向52を設定するように構成されていてもよい。被検者保持部材21の有無とともに、被検者90の向き、および、被検者保持部材21の位置に基づいて移動不可の方向52を設定することにより、より精度よく移動不可の方向52を設定することができる。したがって、制御部16は、被検者90の向きと、被検者保持部材21の有無および位置とに基づいて、移動不可の方向52を設定するように構成されることが好ましい。
【0104】
また、上記実施形態では、制御部16が、天板駆動機構13の動作を禁止することにより、天板駆動機構13の動作を制限する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、天板駆動機構13による天板12を傾ける速度を低下させることにより、天板駆動機構13の動作を制限するように構成されていてもよい。この場合、制御部16は、天板12上における被検者90の位置がずれる可能性がある角度まで天板12が傾く前に、操作者が天板駆動機構13の動作を停止することが可能となるように、天板駆動機構13による天板12を傾ける速度を低下させればよい。
【0105】
また、上記実施形態では、制御部16が、天板12を傾ける動作を禁止した後、操作者による天板12の動作の制限を解除する操作入力を受け付けるまで、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、天板12を傾ける動作を禁止した後、所定の時間が経過するまでの間、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止するように構成されていてもよい。ここで、制御部が、天板12を傾ける動作を禁止した後、所定の時間が経過するまでの間、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止する構成の場合、操作者が意図しないタイミングで天板駆動機構13の動作の禁止が解除される場合がある。したがって、制御部16は、天板12を傾ける動作を禁止した後、操作者による天板12の動作の制限を解除する操作入力を受け付けるまで、天板駆動機構13による天板12を傾ける動作を禁止するように構成されることが好ましい。
【0106】
また、上記実施形態では、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13に対する天板12を移動させる操作入力があった後に、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、移動不可の方向52を取得した際に、移動不可の方向52を表示部18に表示することにより報知するように構成されていてもよい。ここで、制御部が、移動不可の方向52を取得した際に、移動不可の方向52を表示部18に表示するように構成されている場合、操作者が表示部18においてX線画像31などを確認している間にも、移動不可の方向52が報知され続けることになり、操作者の作業の妨げとなる。したがって、制御部16は、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合において、天板駆動機構13に対する天板12を移動させる操作入力があった後に、天板駆動機構13による天板12の動作を制限するとともに、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致していることを報知するように構成されることが好ましい。
【0107】
また、上記実施形態では、画像処理部15が、学習済みモデル40によって、被検者保持部材21の位置を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部15は、学習済みモデル40を用いずに、画像処理によるパターンマッチングなどによって、被検者保持部材21の位置を取得するように構成されていてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、制御部16が、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している場合であっても、被検者保持部材21の種類と天板12を傾ける方向との関係51において、移動不可の方向52への移動が許容されていれば、移動不可の方向52に対して天板12の動作を許容する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、被検者保持部材21の種類と天板12を傾ける方向との関係51に基づかず、移動不可の方向52に対する天板12の動作を禁止するように構成されていてもよい。この場合、移動不可の方向52に対して天板12が移動することがないため、天板12上における被検者90の位置がずれることをより一層抑制することができる。なお、操作者がX線撮影装置1の近傍に位置しており、天板駆動機構13の動作をすぐに停止することが可能な場合、操作者の利便性(ユーザビリティ)の向上の観点から、制御部は、移動不可の方向52への移動が許容されていれば、移動不可の方向52に対して天板12の動作を許容するように構成されていてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、撮影部14が、X線照射部10の筐体10aのうち、天板12と対向する位置に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。天板12に載置された被検者90、および、被検者保持部材21を撮影することが可能であれば、撮影部14の配置は問わない。
【0110】
また、上記実施形態では、X線撮影装置1が、1つの撮影部14のみを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。1つの撮影部14のみによって撮影する場合に、被検者90および被検者保持部材21が撮影視野に収まらない場合、複数の撮影部を設けてもよい。たとえば、X線撮影装置1は、X線照射部10の筐体10aの一方側および他方側に配置された2つの撮影部を備えていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、制御部16が、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨を、表示部18に表示することにより、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨を報知する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、音声、光などによって、天板12を傾ける方向と移動不可の方向52とが一致している旨を報知するように構成されていてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、X線撮影装置1が、表示部18(第1表示部18a)を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置1は、表示部18を備えていなくてもよい。この場合、X線撮影システム100において、X線画像31などを表示する表示装置を備えていればよい。
【0113】
また、上記実施形態では、X線撮影システム100が、操作卓200を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影システム100は、操作卓200を備えていなくてもよい。この場合、操作者は、X線撮影装置1に設けられた第1入力受付部20によって、天板12を傾ける操作を行えばよい。
【0114】
また、本実施形態では、画像処理部15が、光学画像30に基づいて、被検者保持部材21の有無を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置1は、被検者保持部材21の着脱を検知するセンサを備え、画像処理部15による光学画像30に基づく被検者保持部材21の有無の取得の際に、被検者保持部材21の着脱を検知するセンサの検出結果を併用するように構成されていてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部16による天板駆動機構13の動作の制限の処理、および、天板駆動機構13の動作の制限の解除の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部16による天板駆動機構13の動作の制限の処理、および、天板駆動機構13の動作の制限の解除の処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0116】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0117】
(項目1)
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、
被検者が載置される天板と、
前記天板の傾きを変更可能な天板駆動機構と、
前記天板に載置された被検者、および、前記天板に配置され、被検者の姿勢を保持する被検者保持部材を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された被検者および前記被検者保持部材の画像に基づいて、前記被検者保持部材の有無を取得する画像処理部と、
前記画像処理部によって取得された前記被検者保持部材の有無に基づいて、前記被検者保持部材が配置されていない方向である移動不可の方向を取得するとともに、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける方向と、前記移動不可の方向とが一致しているか否かを判定し、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合に、前記天板駆動機構の動作の制限、および、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部と、を備える、X線撮影装置。
【0118】
(項目2)
前記制御部は、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合において、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するとともに、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0119】
(項目3)
前記被検者保持部材は、肩当て、握り棒、および、踏み台のうちの少なくともいずれかを含み、
前記画像処理部は、前記肩当て、前記握り棒、および、前記踏み台のうちの少なくともいずれかが、前記天板に配置されているか否かを取得することにより、前記被検者保持部材の有無を取得するように構成されており、
前記制御部は、前記天板を傾ける方向に対応する位置に、前記肩当て、前記握り棒、および、前記踏み台のうちの対応する前記被検者保持部材が配置されているか否かを判断し、前記天板を傾ける方向に対応する位置に、前記肩当て、前記握り棒、および、前記踏み台のうちの対応する前記被検者保持部材が配置されていない方向を、前記移動不可の方向に設定するように構成されている、項目1または2に記載のX線撮影装置。
【0120】
(項目4)
前記画像処理部は、前記撮影部によって撮影された被検者および前記被検者保持部材の画像に基づいて、前記被検者保持部材の有無とともに、前記天板における被検者の向き、および、前記被検者保持部材の位置を取得するように構成されており、
前記制御部は、前記天板における被検者の向きと、前記被検者保持部材の有無および位置とに基づいて、前記移動不可の方向を設定するように構成されている、項目1~3のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0121】
(項目5)
前記制御部は、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける動作を禁止するか、または、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける速度を低下させることにより、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するように構成されている、項目1~4のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0122】
(項目6)
前記制御部は、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける動作を禁止することにより、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するとともに、前記天板を傾ける動作を禁止した後、操作者による前記天板の動作の制限を解除する操作入力を受け付けるまで、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける動作の禁止を継続するように構成されている、項目5に記載のX線撮影装置。
【0123】
(項目7)
前記制御部は、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合において、前記天板駆動機構に対する前記天板を移動させる操作入力があった後に、前記天板駆動機構による前記天板の動作を制限するとともに、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、項目1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0124】
(項目8)
前記画像処理部は、前記天板における前記被検者保持部材の位置を取得することを学習させた学習済みモデルによって、前記被検者保持部材の位置を取得するように構成されている、項目1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0125】
(項目9)
前記被検者保持部材の種類と、前記天板を傾ける方向との関係を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、操作者の操作入力に基づいて、前記被検者保持部材の種類と、前記天板を傾ける方向との関係を、前記記憶部に記憶するとともに、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合でも、前記記憶部に記憶された前記被検者保持部材の種類と前記天板を傾ける方向との関係において、前記移動不可の方向への移動が許容されていれば、前記移動不可の方向に対する前記天板の動作を許容するように構成されている、項目1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0126】
(項目10)
前記撮影部は、前記X線照射部の筐体のうち、前記天板と対向する位置に設けられている、項目1~9のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0127】
(項目11)
前記画像処理部は、前記X線検出器が検出したX線に基づいてX線画像を生成するように構成されており、
前記X線画像を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記表示部において、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している旨を表示することにより、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、項目1~10のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0128】
(項目12)
X線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、
被検者が載置される天板と、
前記天板の傾きを変更可能な天板駆動機構と、
前記天板に載置された被検者、および、前記天板に配置され、被検者を保持する被検者保持部材を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された被検者および前記被検者保持部材の画像に基づいて、前記被検者保持部材の有無を取得する画像処理部と、
前記画像処理部によって取得された前記被検者保持部材の有無に基づいて、前記被検者保持部材が配置されていない方向である移動不可の方向を取得するとともに、前記天板駆動機構による前記天板を傾ける方向と、前記移動不可の方向とが一致しているか否かを判定し、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している場合に、前記天板駆動機構の動作の制限、および、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることの報知のうちの少なくともいずれかを行う制御部と、を備える、X線撮影システム。
【0129】
(項目13)
前記画像処理部は、前記X線検出器が検出したX線に基づいてX線画像を生成するように構成されており、
前記X線画像を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記表示部において、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致している旨を表示することにより、前記天板を傾ける方向と前記移動不可の方向とが一致していることを報知するように構成されている、項目12に記載のX線撮影システム。
【符号の説明】
【0130】
1 X線撮影装置
10 X線照射部
10a 筐体(X線照射部の筐体)
11 X線検出器
12 天板
13 天板駆動機構
14 撮影部
15 画像処理部
16 制御部
17 記憶部
18 表示部
21 被検者保持部材
21a 肩当て
21b 握り棒
21c 踏み台
30 光学画像(撮影部によって撮影された被検者および被検者保持部材の画像)
31 X線画像
40 学習済みモデル
51 被検者保持部材の種類と、天板を傾ける方向との関係
52 移動不可の方向
90 被検者
100 X線撮影システム