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特開2025-18190設計方法、半導体装置及びマスクセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018190
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】設計方法、半導体装置及びマスクセット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20250130BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20250130BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20250130BHJP
   H10D 30/68 20250101ALI20250130BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H10B41/27
H10B43/27
H01L29/78 371
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121692
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
(72)【発明者】
【氏名】亀田 靖
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 泰之
(72)【発明者】
【氏名】中川 晋一
(72)【発明者】
【氏名】原島 弘光
【テーマコード(参考)】
2H197
5F033
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197BA11
2H197CA03
2H197EB25
2H197HA03
5F033HH11
5F033HH19
5F033HH33
5F033KK11
5F033KK19
5F033KK33
5F033MM01
5F033MM13
5F033PP15
5F033QQ00
5F033QQ09
5F033QQ13
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR22
5F033SS11
5F033VV07
5F033VV16
5F033XX01
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA35
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR40
5F083ZA20
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH04
(57)【要約】
【課題】好適に製造可能な半導体装置の設計方法を提供する。
【解決手段】第1マスク及び第2マスクのカーフ領域に、貼合電極に対応する貼合電極パターンを複数配置し(S14p、S14m)、第1マスク及び第2マスクのカーフ領域の配置不可領域をそれぞれ特定し、配置不可領域に配置されている貼合電極パターンを削除し(S15p、S15m)、第1マスク及び第2マスクを用い、位置を変更しながら3回以上露光を行った場合にカーフ領域に形成される第1のパターングループ及び第2のパターングループを生成し、第1ウェハ及び第2ウェハの貼合時に、第1のパターングループと第2パターングループに含まれる複数の貼合電極パターンの複数の位置が重ならない箇所を抽出し(S16pm)、第1マスク及び第2マスクのカーフ領域のそれぞれの重ならない箇所に配置されている貼合電極パターンを削除する(S18p、S18m)。
【選択図】図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貼合電極を介して貼合される第1ウェハ及び第2ウェハの、前記複数の貼合電極のパターニングに際して、露光に用いられるマスクセットの設計方法であって、
前記マスクセットは、第1マスクと第2マスクとを備え、
前記第1ウェハ及び前記第2ウェハは、それぞれ、複数のデバイス領域と、前記複数のデバイス領域を取り囲むカーフ領域と、を備え、
前記複数の貼合電極は、前記デバイス領域に設けられる複数の第1貼合電極と、前記カーフ領域に設けられ、それぞれ電気的に非接続状態の複数の第2貼合電極と、を含み、
前記設計方法は、
前記第2貼合電極の大きさ及び形状を規定し、
前記第1マスク及び前記第2マスクの前記カーフ領域に、前記第2貼合電極に対応する第2貼合電極パターンを複数配置し、
前記第1マスクのカーフ領域及び前記第2マスクのカーフ領域のそれぞれのうち前記第2貼合電極を配置できない領域である配置不可領域をそれぞれ特定し、
前記第1マスクのカーフ領域において、前記第1マスクの前記配置不可領域に配置されている前記第2貼合電極パターンを削除し、
前記第1マスクを用い、第1方向の位置を変更しながら3回以上、前記第1方向と交差する第2方向の位置を変更しながら3回以上露光を行った場合に形成される9か所以上の露光領域のうち、前記第1方向の両側及び前記第2方向の両側において他の露光領域と隣り合う露光領域に形成される第1のパターングループを生成し、
前記第2マスクのカーフ領域において、前記第2マスクの前記配置不可領域に配置されている前記第2貼合電極パターンを削除し、
前記第2マスクを用い、前記第1方向の位置を変更しながら3回以上、前記第2方向の位置を変更しながら3回以上露光を行った場合に形成される9か所以上の露光領域のうち、前記第1方向の両側及び前記第2方向の両側において他の露光領域と隣り合う露光領域に形成される第2のパターングループを生成し、
前記第1ウェハ及び前記第2ウェハの貼合時に、前記第1ウェハ及び前記第2ウェハの表面と交差する方向から見て、前記第1のパターングループに含まれる複数の前記第2貼合電極パターンの複数の位置と、前記第2のパターングループに含まれる複数の前記第2貼合電極パターンの複数の位置と、が重ならない箇所を抽出し、
前記第1マスクのカーフ領域及び前記第2マスクのカーフ領域のそれぞれの前記重ならない箇所に配置されている前記第2貼合電極パターンを削除する
設計方法。
【請求項2】
前記第1マスク及び前記第2マスクは、それぞれ、
前記複数のデバイス領域に対応する複数のマスク領域と、
前記カーフ領域に対応するマスク領域と
を備え、
前記第1マスクの前記カーフ領域に対応するマスク領域は、
前記第1方向に隣り合う一対の前記デバイス領域に対応するマスク領域の間に設けられた第1領域と、
前記複数のデバイス領域に対応する複数のマスク領域に対して前記第1方向の一方側に設けられた第2領域と、
前記複数のデバイス領域に対応する複数のマスク領域に対して前記第1方向の他方側に設けられた第3領域と
を備え、
前記第2マスクの前記カーフ領域に対応するマスク領域は、
前記第1方向に隣り合う一対の前記デバイス領域に対応するマスク領域の間に設けられた第4領域と、
前記複数のデバイス領域に対応する複数のマスク領域に対して前記第1方向の一方側に設けられた第5領域と、
前記複数のデバイス領域に対応する複数のマスク領域に対して前記第1方向の他方側に設けられた第6領域と
を備え、
前記複数の第2貼合電極パターンは、
前記第1領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンが、前記第4領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと重なる位置に設けられ、
前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、を組み合わせて得られるパターングループ中の複数の第2貼合電極パターンが、前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、前記第6領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、を組み合わせて得られるパターングループ中の複数の第4貼合電極パターンのいずれかと重なる位置に設けられ、
前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンの少なくとも一部が、前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
請求項1記載の設計方法。
【請求項3】
前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンの少なくとも一部が、前記第6領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
請求項2記載の設計方法。
【請求項4】
前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、前記第6領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、を組み合わせて得られる前記パターングループ中の複数の第4貼合電極パターンが、前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、を組み合わせて得られる前記パターングループ中の複数の第2貼合電極パターンのいずれかと重なる位置に設けられ、
前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンの少なくとも一部が、前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
請求項2記載の設計方法。
【請求項5】
前記第1マスクの前記配置不可領域は、第1遮光領域パターンを備え、
前記第1遮光領域パターンのうち、前記第2領域に対応する部分と、前記第3領域に対応する部分とを組み合わせて得られるパターングループの形状及び面積は、前記第2領域及び前記第3領域の形状及び面積と同一であり、
前記第2マスクの前記配置不可領域は、第2遮光領域パターンを備え、
前記第2遮光領域パターンのうち、前記第5領域に対応する部分と、前記第6領域に対応する部分とを組み合わせて得られるパターングループの形状及び面積は、前記第5領域及び前記第6領域の形状及び面積と同一であり、
前記第1遮光領域パターンの形状は、前記第2遮光領域パターンの形状と異なる
請求項2記載の設計方法。
【請求項6】
前記第1マスクの前記配置不可領域は、前記第1方向の長さ及び前記第2方向の長さが、それぞれ、前記第2貼合電極パターンの前記第1方向の長さ及び前記第2方向の長さよりも大きい第3遮光領域パターンを更に備え、
前記第2マスクの前記配置不可領域は、前記第1方向の長さ及び前記第2方向の長さが、それぞれ、前記第2貼合電極パターンの前記第1方向の長さ及び前記第2方向の長さよりも大きい第2遮光領域パターンを更に備える
請求項5記載の設計方法。
【請求項7】
複数の貼合電極を介して貼合された第1ウェハ及び第2ウェハを備え、
前記第1ウェハは、
第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の矩形状の第1デバイス領域と、
前記複数の第1デバイス領域のいずれかに対して前記第1方向又は前記第2方向に並ぶ複数の第1構造体領域と、
前記複数の第1デバイス領域及び前記複数の第1構造体領域をそれぞれ取り囲む第1カーフ領域と、
前記複数の第1デバイス領域、前記複数の第1構造体領域、及び、前記第1カーフ領域のいずれも設けられていない余白領域と
を備え、
前記第1デバイス領域は、外周が前記第1ウェハの外周から離れており、
前記第1デバイス領域の前記余白領域からの距離は、前記第1デバイス領域の前記第1方向の幅及び前記第2方向の幅の一方又は双方よりも大きく、
前記第1構造体領域の一部は、外周が前記第1ウェハの外周に沿っており、
前記第1構造体領域の他の一部の前記余白領域からの距離は、前記第1デバイス領域の前記第1方向の幅及び前記第2方向の幅よりも小さく、
前記第1ウェハは、
内部素子と、
前記複数の貼合電極の一部を含む第1貼合電極層と
を備え、
前記第1貼合電極層は、
前記複数の第1デバイス領域及び前記複数の第1構造体領域に設けられ、前記内部素子に電気的に接続された複数の第1貼合電極と、
前記第1カーフ領域に設けられ、それぞれ電気的に非接続状態の複数の第2貼合電極と
を備え、
前記第2ウェハは、
前記第1方向及び前記第2方向と交差する積層方向から見て前記複数の第1デバイス領域と重なる位置に設けられた複数の第2デバイス領域と、
前記積層方向から見て前記複数の第1構造体領域と重なる位置に設けられた複数の第2構造体領域と、
前記積層方向から見て前記第1カーフ領域と重なる位置に設けられた第2カーフ領域と、
を備え、
前記第2ウェハは、
複数のトランジスタと、
前記第1ウェハ側に設けられ、前記複数の貼合電極の他の一部を含む第2貼合電極層と
を備え、
前記第2貼合電極層は、
前記複数の第2デバイス領域及び前記複数の第2構造体領域に設けられ、前記複数のトランジスタに電気的に接続された複数の第3貼合電極と、
前記第2カーフ領域に設けられ、それぞれ電気的に非接続状態の複数の第4貼合電極と
を備え、
前記第1カーフ領域は、
前記第1方向に隣り合う一対の前記第1デバイス領域の間に設けられた第1領域と、
前記複数の第1構造体領域のいずれかと、前記余白領域と、の間に設けられた第2領域と
を備え、
前記第2カーフ領域は、
前記積層方向から見て前記第1領域と重なる位置に設けられた第3領域と、
前記積層方向から見て前記第2領域と重なる位置に設けられた第4領域と
を備え
前記複数の第2貼合電極のうち前記第1領域に設けられたものは、前記複数の第4貼合電極のうち前記第3領域に設けられたもののいずれかと、前記積層方向から見て重なる位置に設けられ、
前記複数の第2貼合電極のうち前記第2領域に設けられたものの少なくとも一部は、前記複数の第4貼合電極のうち前記第4領域に設けられたものいずれとも、前記積層方向から見て重ならない位置に設けられている
半導体装置。
【請求項8】
前記第1カーフ領域は、リソマーク及びTEGの一方又は双方を備え、
前記複数の貼合電極は、前記積層方向から見て、前記リソマーク及び前記TEGの一方又は双方と重ならない位置に設けられている
請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1カーフ領域は、リソマークを備え、
前記複数の貼合電極は、前記積層方向から見て、前記リソマークと重なる位置に設けられている
請求項7記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数の第4貼合電極のうち前記第3領域に設けられたものは、前記複数の第2貼合電極のうち前記第1領域に設けられたもののいずれかと、前記積層方向から見て重なる位置に設けられ、
前記複数の第4貼合電極のうち前記第4領域に設けられたものの少なくとも一部は、前記複数の第2貼合電極のうち前記第2領域に設けられたものいずれとも、前記積層方向から見て重ならない位置に設けられている
請求項7記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の第1構造体領域のうち、外周の一部が前記第1ウェハ及び前記第2ウェハの外周に沿っているものは、前記第1デバイス領域よりも小さい面積を備える
請求項7記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の第1構造体領域の他の一部は、矩形状であり、前記第1デバイス領域と同じ面積を備える
請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1ウェハは、
積層方向に積層された複数の第1導電層と、
前記複数の第1導電層と、前記第1貼合電極層と、の間に設けられた第1配線層と
を更に備え、
前記第1カーフ領域は、
前記複数の第1導電層に対応して前記積層方向に積層された複数の第2導電層を備える領域と、
前記複数の第2導電層を備える領域の外側の領域と
を含み、
前記第1配線層において、前記複数の第2導電層を備える領域に設けられた配線の被覆率は、前記外側の領域に設けられた配線の被覆率よりも小さい
請求項7記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1ウェハは、積層方向に積層された複数の第1導電層を更に備え、
前記第2ウェハは、前記複数のトランジスタと、前記第2貼合電極層と、の間に設けられた第2配線層を更に備え、
前記第1カーフ領域は、
前記複数の第1導電層に対応して前記積層方向に積層された複数の第2導電層を備える領域と、
前記複数の第2導電層を備える領域の外側の領域と
を含み、
前記第2配線層において、前記複数の第2導電層を備える領域に設けられた配線の被覆率は、前記外側の領域に設けられた配線の被覆率よりも小さい
請求項7記載の半導体装置。
【請求項15】
複数の貼合電極を介して貼合される第1ウェハ及び第2ウェハの、前記複数の貼合電極のパターニングに際して、露光に用いられるマスクセットであって、
前記マスクセットは、第1マスク及び第2マスクを含み、
前記第1マスクは、
前記第1ウェハの複数の第1デバイス領域に対応する位置に設けられ、前記複数の貼合電極の一部に対応する複数の第1貼合電極パターンを含む複数の第1マスク領域と、
前記第1デバイス領域を取り囲む第1カーフ領域に対応する位置に設けられ、前記複数の貼合電極の他の一部に対応する複数の第2貼合電極パターンを含む第2マスク領域と
を備え、
前記第2マスクは、
前記第2ウェハの複数の第2デバイス領域に対応する位置に設けられ、前記複数の貼合電極の他の一部に対応する複数の第3貼合電極パターンを含む複数の第3マスク領域と、
前記第2デバイス領域を取り囲む第2カーフ領域に対応する位置に設けられ、前記複数の貼合電極の他の一部に対応する複数の第4貼合電極パターンを含む第4マスク領域と
を備え、
前記複数の第1貼合電極パターンは、前記複数の第3貼合電極パターンと重なる位置に設けられ、
前記複数の第2貼合電極パターンの少なくとも一部は、前記複数の第4貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
マスクセット。
【請求項16】
前記第2マスク領域は、
第1方向に隣り合う一対の第1マスク領域の間に設けられた第1領域と、
前記複数の第1マスク領域に対して前記第1方向の一方側に設けられた第2領域と、
前記複数の第1マスク領域に対して前記第1方向の他方側に設けられた第3領域と、
を備え、
前記第4マスク領域は、
前記第1方向に隣り合う一対の第3マスク領域の間に設けられた第4領域と、
前記複数の第3マスク領域に対して前記第1方向の前記他方側に設けられた第5領域と、
前記複数の第3マスク領域に対して前記第1方向の前記一方側に設けられた第6領域と、
を備え、
前記複数の第2貼合電極パターンは、
前記第1領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンが、前記第4領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと重なる位置に設けられ、
前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、を組み合わせて得られるパターングループ中の複数の第2貼合電極パターンが、前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、前記第6領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、を組み合わせて得られるパターングループ中の複数の第4貼合電極パターンのいずれかと重なる位置に設けられ、
前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンの少なくとも一部が、前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
請求項15記載のマスクセット。
【請求項17】
前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンの少なくとも一部が、前記第6領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
請求項16記載のマスクセット。
【請求項18】
前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、前記第6領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンと、を組み合わせて得られる前記パターングループ中の複数の第4貼合電極パターンが、前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、を組み合わせて得られる前記パターングループ中の複数の第2貼合電極パターンのいずれかと重なる位置に設けられ、
前記第5領域に設けられた前記複数の第4貼合電極パターンの少なくとも一部が、前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
請求項16記載のマスクセット。
【請求項19】
前記複数の第2貼合電極パターンは、前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンと、を組み合わせて前記パターングループを生成する際、前記第2領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンが、前記第3領域に設けられた前記複数の第2貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
請求項16記載のマスクセット。
【請求項20】
前記第1マスクは、前記複数の第2貼合電極パターンのいずれをも含まない第1遮光領域を備え、
前記第1遮光領域のうち、前記第2領域に対応する部分と、前記第3領域に対応する部分と、を組み合わせて得られる領域の形状及び面積は、前記第2領域及び前記第3領域の形状及び面積と同一であり、
前記第2マスクは、前記複数の第4貼合電極パターンのいずれをも含まない第2遮光領域を備え、
前記第2遮光領域のうち、前記第5領域に対応する部分と、前記第6領域に対応する部分と、を組み合わせて得られる領域の形状及び面積は、前記第5領域及び前記第6領域の形状及び面積と同一であり、
前記第1遮光領域のうち、前記第2領域に対応する部分の少なくとも一部は、前記第2遮光領域のうち、前記第5領域に対応する部分の少なくとも一部と重ならない位置に設けられている
請求項16記載のマスクセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、設計方法、半導体装置及びマスクセットに関する。
【背景技術】
【0002】
第1のチップに対応する第1のウェハ、及び、第2のチップに対応する第2のウェハを製造し、これら2枚のウェハを貼合する半導体装置の製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0101911号明細書
【特許文献2】米国特許第11322466号明細書
【特許文献3】米国特許第10998301号明細書
【特許文献4】特開2022-112911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に製造可能な半導体装置の設計方法、半導体装置及びマスクセットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る設計方法は、複数の貼合電極を介して貼合される第1ウェハ及び第2ウェハの、複数の貼合電極のパターニングに際して、露光に用いられるマスクセットの設計方法である。マスクセットは、第1マスクと第2マスクとを備える。第1ウェハ及び第2ウェハは、それぞれ、複数のデバイス領域と、複数のデバイス領域を取り囲むカーフ領域と、を備える。複数の貼合電極は、デバイス領域に設けられる複数の第1貼合電極と、カーフ領域に設けられ、それぞれ電気的に非接続状態の複数の第2貼合電極と、を含む。
【0006】
この設計方法では、第2貼合電極の大きさ及び形状を規定し、第1マスク及び第2マスクのカーフ領域に、第2貼合電極に対応する第2貼合電極パターンを複数配置し、第1マスクのカーフ領域及び第2マスクのカーフ領域のそれぞれのうち第2貼合電極を配置できない領域である配置不可領域をそれぞれ特定する。また、第1マスクのカーフ領域において、第1マスクの配置不可領域に配置されている第2貼合電極パターンを削除する。また、第1マスクを用い、第1方向の位置を変更しながら3回以上、第1方向と交差する第2方向の位置を変更しながら3回以上露光を行った場合に形成される9か所以上の露光領域のうち、第1方向の両側及び第2方向の両側において他の露光領域と隣り合う露光領域に形成される第1のパターングループを生成する。また、第2マスクのカーフ領域において、第2マスクの配置不可領域に配置されている第2貼合電極パターンを削除する。また、記第2マスクを用い、第1方向の位置を変更しながら3回以上、第2方向の位置を変更しながら3回以上露光を行った場合に形成される9か所以上の露光領域のうち、第1方向の両側及び第2方向の両側において他の露光領域と隣り合う露光領域に形成される第2のパターングループを生成する。また、第1ウェハ及び第2ウェハの貼合時に、第1ウェハ及び第2ウェハの表面と交差する方向から見て、第1のパターングループに含まれる複数の第2貼合電極パターンの複数の位置と、第2のパターングループに含まれる複数の第2貼合電極パターンの複数の位置と、が重ならない箇所を抽出し、第1マスクのカーフ領域及び第2マスクのカーフ領域のそれぞれの重ならない箇所に配置されている第2貼合電極パターンを削除する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るメモリダイMDの構成例を示す模式的な分解斜視図である。
図2】チップCの構成例を示す模式的な底面図である。
図3】チップCの構成例を示す模式的な底面図である。
図4】チップCの構成例を示す模式的な平面図である。
図5】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な断面図である。
図6図5の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
図7図6の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
図8】実施形態に係るメモリダイMDの製造方法について説明するための模式的な下面図である。
図9】実施形態に係るメモリダイMDの製造方法について説明するための模式的な下面図である。
図10】実施形態に係るメモリダイMDの製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図11】実施形態に係るメモリダイMDの製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図12】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図13】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図14】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図15】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
図16】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
図17】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図18】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図19】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図20】同製造方法について説明するための模式的な斜視図である。
図21】同製造方法について説明するための模式的な斜視図である。
図22】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
図23】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
図24】カーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xが設けられない場合のウェハW,Wの構造を示す模式的な断面図である。
図25】カーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xが設けられる場合のウェハW,Wの構造を示す模式的な断面図である。
図26】貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な平面図である。
図27】貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な断面図である。
図28】貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な平面図である。
図29】貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な断面図である。
図30】貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な平面図である。
図31】貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な断面図である。
図32】カーフ領域Rの貼合電極Pk1x,Pk2xの製造に利用されるマスクデータの設計処理の処理手順を示すフローチャートである。
図33図32のステップS15p、S15m、S16pmの具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。
図34】カーフ領域のX辺用の貼合電極パーツPARの一例を示す平面図である。
図35】カーフ領域のY辺用の貼合電極パーツPARの一例を示す平面図である。
図36】カーフ領域の交差位置用の貼合電極パーツPARCXの一例を示す平面図である。
図37】カーフ領域Rの貼合電極Pk1x,Pk2xの製造に利用されるマスクのフレームデータFRdatの一例を示す平面図である。
図38図37に示すフレームデータFRdatに貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXが敷き詰められた場合を示す平面図である。
図39】ウェハWのカーフ領域Rの貼合電極Pk2xの製造に利用されるマスクのフレームデータFRPdatの一例を示す平面図である。
図40】ウェハWのカーフ領域Rの貼合電極Pk1xの製造に利用されるマスクのフレームデータFRMdatの一例を示す平面図である。
図41】貼合で使用するリソマークが配置されたフレームデータFRPidat(FRMidat)の一例を示す平面図である。
図42図41のフレームデータFRPidat(FRMidat)をステップアンドリピートした状態におけるリソマークの配置の一例を示す平面図である。
図43図42のフレームデータFRPidatにTEG等の領域を追加した状態のフレームデータFRPidatの一例を示す平面図である。
図44図42のフレームデータFRMidatにTEG等の領域を追加した状態のフレームデータFRMidatの一例を示す平面図である。
図45図43のフレームデータFRPidatに枠データの領域を追加した状態のフレームデータFRPidatの一例を示す平面図である。
図46図44のフレームデータFRMidatに枠データの領域を追加した状態のフレームデータFRMidatの一例を示す平面図である。
図47】フレームデータFRPidatにおけるリソマーク起因の配置不可領域bP1,bP2を示す平面図である。
図48】フレームデータFRMidatにおけるリソマーク起因の配置不可領域bM1,bM2を示す平面図である。
図49】リソマーク、TEGの領域、枠データ又は配置不可領域である配置禁止領域RbPX(RbMX)により欠けている貼合電極パターンPKXを説明するための平面図である。
図50図39のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態におけるフレームデータFRPdatSRを示す平面図である。
図51図40のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現したフレームデータFRMdatSRを示す平面図である。
図52図39のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRPdatSR2の一例を示す平面図である。
図53図40のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRMdatSR2の一例を示す平面図である。
図54】ステップアンドリピート後でのカーフ領域の貼合電極パターンPKXの不一致箇所を示すデータFRPMdifを示す平面図である。
図55図39のフレームデータFRPdatの貼合電極パターンPKXから不一致箇所RKnoにある貼合電極パターンPKXを削除したフレームデータFRPdatを示す平面図である。
図56図40のフレームデータFRMdatの貼合電極パターンPKXから不一致箇所RKnoの貼合電極パターンPKXを削除したフレームデータFRMdatを示す平面図である。
図57図56のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態におけるフレームデータFRPdatSRを示す平面図である。
図58図57のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現したフレームデータFRMdatSRを示す平面図である。
図59図56のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRPdatSR2の一例を示す平面図である。
図60図56のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRMdatSR2の一例を示す平面図である。
図61】マスクデータの設計後のマスクのカーフ領域Rの一部の構成を例示する模式的な平面図である。
図62】マスクデータの設計後のマスクのカーフ領域Rの一部の構成を例示する模式的な平面図である。
図63】変形例に係る枠データCovdat、リソマークALM及びTEGが配置されたフレームデータFRdatを概念的に示す平面図である。
図64】変形例に係る枠データCovdat、カーフ領域の貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRdatを概念的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、実施形態に係る半導体装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0009】
また、本明細書において「半導体装置」と言った場合には、ダイシング後のダイを意味する事もあるし、ダイシング前のウェハを意味することもある。また、前者の場合、パッケージ後のダイを意味することもあるし、パッケージ前のダイを意味することもある。
【0010】
また、本明細書において、「ウェハ」は、シリコン(Si)等の基板を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。従って、例えば、シリコン(Si)等の基板を含む2枚のウェハを貼合し、一方のウェハから基板を除去した場合であっても、この構成は、依然として2枚のウェハを含むものとする。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0012】
また、本明細書においては、基板の表面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の表面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の表面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0014】
また、本明細書において「上」や「下」等の表現を使用した場合、例えば、メモリダイやウェハ等に含まれる2枚のチップ又は2枚のウェハのうち、ボンディングワイヤに接続可能な外部パッド電極が設けられた方を上側とし、この様な外部パッド電極が設けられていない方を下側としても良い。更に、メモリダイやウェハ等に含まれる構成について言及する場合には、例えば、上記Z方向に沿って下側のウェハに含まれる半導体基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って下側のウェハに含まれる半導体基板に近付く向きを下と呼んでも良い。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の下側のウェハに含まれる半導体基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の下側のウェハに含まれる半導体基板と反対側の面や端部を意味する事としても良い。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼んでも良い。
【0015】
また、本明細書において、構成、部材等について、所定方向の「幅」又は「長さ」等と言った場合には、SEM(Scanning electron microscopy)やTEM(Transmission electron microscopy)等によって観察された断面等における幅又は長さ等を意味することがある。
【0016】
[実施形態]
[メモリダイMDの構造]
図1は、本実施形態に係るメモリダイMDの構成例を示す模式的な分解斜視図である。図1に示す通り、メモリダイMDは、メモリセルアレイ側のチップCと、周辺回路側のチップCと、を備える。
【0017】
チップCの上面には、図示しないボンディングワイヤに接続可能な複数の外部パッド電極Pが設けられている。また、チップCの下面には、複数の貼合電極PI1が設けられている。また、チップCの上面には、複数の貼合電極PI2が設けられている。以下、チップCについては、複数の貼合電極PI1が設けられる面を表面と呼び、複数の外部パッド電極Pが設けられる面を裏面と呼ぶ。また、チップCについては、複数の貼合電極PI2が設けられる面を表面と呼び、表面の反対側の面を裏面と呼ぶ。図示の例において、チップCの表面はチップCの裏面よりも上方に設けられ、チップCの裏面はチップCの表面よりも上方に設けられる。
【0018】
チップC及びチップCは、チップCの表面とチップCの表面とが対向するよう配置される。複数の貼合電極PI1は、複数の貼合電極PI2にそれぞれ対応して設けられ、複数の貼合電極PI2に貼合可能な位置に配置される。貼合電極PI1と貼合電極PI2とは、チップCとチップCとを貼合し、かつ電気的に導通させるための、貼合電極として機能する。
【0019】
尚、図1の例において、チップCの角部a1、a2、a3、a4は、それぞれ、チップCの角部b1、b2、b3、b4と対応する。
【0020】
図2及び図3は、チップCの構成例を示す模式的な底面図である。図3では、貼合電極PI1等の一部の構成を省略している。図4は、チップCの構成例を示す模式的な平面図である。図5は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な断面図である。図6は、図5の一部を拡大して示す模式的な断面図である。図7は、図6の一部を拡大して示す模式的な断面図である。尚、図7は、YZ断面を示しているが、半導体層120の中心軸に沿ったYZ断面以外の断面(例えば、XZ断面)を観察した場合にも、図7と同様の構造が観察される。
【0021】
[チップCの構造]
チップCは、例えば図2に示す様に、X方向及びY方向に並ぶ4つのメモリプレーン領域RMPを備える。また、チップCは、4つのメモリプレーン領域RMPよりもY方向の一端側に設けられた周辺領域Rを備える。周辺領域Rは、X方向に並ぶ複数の入出力領域RIOを備える。また、チップCには、これら4つのメモリプレーン領域RMP及び複数の入出力領域RIOを囲むガードリング領域RGDが設けられている。
【0022】
チップCは、例えば図5に示す様に、基体構造LSBと、基体構造LSBの下方に設けられたメモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2と、メモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2の下方に設けられた電極層CHと、電極層CHの下方に設けられた複数の配線層M0,M1,MBと、を備える。メモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2は、それぞれ、Z方向に並ぶ複数のワード線層LWLを備える。Z方向に並ぶ複数のワード線層LWLの間には、酸化シリコン(SiO)等の層間絶縁層111が設けられている。
【0023】
[チップCの基体構造LSBの構造]
例えば図5に示す様に、基体構造LSBは、メモリセルアレイ層LMCA1の上面に設けられた導電層100と、導電層100の上面に設けられた絶縁層101と、絶縁層101の上面に設けられた裏面配線層MAと、裏面配線層MAの上面に設けられた絶縁層102と、を備える。
【0024】
導電層100は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物が注入されたシリコン(Si)等の半導体層を含んでいても良いし、タングステン(W)等の金属を含んでいても良いし、タングステンシリサイド(WSi)等のシリサイドを含んでいても良い。
【0025】
導電層100は、NANDフラッシュメモリのソース線の一部として機能する。導電層100は、X方向及びY方向に並ぶ4つのメモリプレーン領域RMP図2)に対応して4つ設けられている。メモリプレーン領域RMPのX方向及びY方向の端部には、導電層100を含まない領域VZが設けられている。
【0026】
絶縁層101は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0027】
裏面配線層MAは、複数の配線maを含む。これら複数の配線maは、例えば、アルミニウム(Al)等を含んでいても良い。
【0028】
複数の配線maのうちの一部は、NANDフラッシュメモリのソース線の一部として機能する。この配線maは、X方向及びY方向に並ぶ4つのメモリプレーン領域RMP図2)に対応して4つ設けられている。この配線maは、それぞれ、導電層100に電気的に接続されている。
【0029】
また、複数の配線maのうちの一部は、外部パッド電極Pとして機能する。この配線maは、X方向に並ぶ複数の入出力領域RIO図2)に対応して複数設けられている。この配線maは、導電層100を含まない領域VZにおいてメモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2中のビアコンタクト電極CCに接続されている。また、配線maの一部は、絶縁層102に設けられた開口TVを介してメモリダイMDの外部に露出する。
【0030】
絶縁層102は、例えば、ポリイミド等の樹脂材料を上層部に含むパッシベーション層である。
【0031】
[チップCのメモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2のメモリプレーン領域RMPにおける構造]
例えば図3に示す様に、メモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2には、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKが設けられている。図5に示す様に、Y方向に隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、ブロック間構造STが設けられる。
【0032】
メモリブロックBLKは、例えば図6に示す様に、複数のワード線層LWLに対応してZ方向に並ぶ複数の導電層110と、Z方向に延伸する複数の半導体層120と、複数の導電層110及び複数の半導体層120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130と、を備える。
【0033】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の形状を備える。導電層110は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。
【0034】
また、複数の導電層110のうち、最上層に位置する一又は複数の導電層110は、NANDフラッシュメモリの選択ゲート線及びこれに接続された複数の選択トランジスタのゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0035】
また、これよりも下方に位置する複数の導電層110は、NANDフラッシュメモリのワード線及びこれに接続された複数のメモリセル(メモリトランジスタ)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、それぞれ、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0036】
また、これよりも下方に位置する一又は複数の導電層110は、NANDフラッシュメモリの選択ゲート線及びこれに接続された複数の選択トランジスタのゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、その他の導電層110よりもY方向の幅が小さい。また、Y方向に隣り合う2つの導電層110の間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層SHEが設けられている。
【0037】
半導体層120は、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。半導体層120は、NANDフラッシュメモリのメモリセル及び選択トランジスタのチャネル領域として機能する。半導体層120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等を含む。半導体層120は、略円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層125が設けられている。
【0038】
半導体層120は、メモリセルアレイ層LMCA1に含まれる半導体領域120と、メモリセルアレイ層LMCA2に含まれる半導体領域120と、を備える。また、半導体層120は、半導体領域120の下端及び半導体領域120の上端に接続された半導体領域120と、半導体領域120の上端に接続された不純物領域122と、半導体領域120の下端に接続された不純物領域121と、を備える。
【0039】
半導体領域120は、Z方向に延伸する略円筒状の形状を備える。半導体領域120の外周面は、それぞれメモリセルアレイ層LMCA1に含まれる複数の導電層110によって囲まれており、これら複数の導電層110と対向している。尚、半導体領域120の上端部の径方向の幅W120LLは、半導体領域120の下端部の径方向の幅W120LUよりも小さい。
【0040】
半導体領域120は、Z方向に延伸する略円筒状の形状を備える。半導体領域120の外周面は、それぞれメモリセルアレイ層LMCA2に含まれる複数の導電層110によって囲まれており、これら複数の導電層110と対向している。尚、半導体領域120の上端部の径方向の幅W120ULは、半導体領域120の下端部の径方向の幅W120UU及び上記幅W120LUよりも小さい。
【0041】
半導体領域120は、それぞれメモリセルアレイ層LMCA1に含まれる複数の導電層110よりも下方に設けられ、メモリセルアレイ層LMCA2に含まれる複数の導電層110よりも上方に設けられている。尚、半導体領域120の径方向の幅W120Jは、上記幅W120LU,W120UUよりも大きい。
【0042】
不純物領域122は、上記導電層100に接続されている。図6の例では、半導体領域120と不純物領域122との境界線を、破線によって示している。不純物領域122は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む。
【0043】
不純物領域121は、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含む。図6の例では、半導体領域120と不純物領域121との境界線を、破線によって示している。不純物領域121は、ビアコンタクト電極ch及びビアコンタクト電極Vy(図5)を介してビット線BLに接続される。
【0044】
ゲート絶縁膜130は、半導体層120の外周面を覆う略円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、例えば図7に示す様に、半導体層120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132及びブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の電荷を蓄積可能な膜を含む。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133は略円筒状の形状を有し、半導体層120と導電層100との接触部を除く半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。また、図6に示す様に、ゲート絶縁膜130と導電層100との間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層126が設けられている。
【0045】
尚、図7には、ゲート絶縁膜130が窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示した。しかしながら、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0046】
ブロック間構造STは、例えば図6に示す様に、Z方向及びX方向に延伸する導電層141と、導電層141の側面に設けられた絶縁層142と、を備える。導電層141は、導電層100に接続されている。導電層141は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。導電層141は、例えば、NANDフラッシュメモリのソース線の一部として機能する。
【0047】
[チップCのメモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2の周辺領域Rにおける構造]
周辺領域Rには、例えば図5に示す様に、外部パッド電極Pに対応して、複数のビアコンタクト電極CCが設けられている。これら複数のビアコンタクト電極CCは、上端において外部パッド電極Pとして機能する配線maに接続されている。
【0048】
[チップCの電極層CHの構造]
電極層CHは、複数のビアコンタクト電極chを含む。これら複数のビアコンタクト電極chは、例えば、メモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2の構成及びチップC中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。これら複数のビアコンタクト電極chは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。ビアコンタクト電極chは、複数の半導体層120に対応して設けられ、複数の半導体層120の下端に接続されている。
【0049】
[チップCの配線層M0,M1,MBの構造]
例えば図5に示す様に、配線層M0,M1,MBに含まれる複数の配線は、例えば、メモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2の構成及びチップC中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。
【0050】
配線層M0は、複数の配線m0を含む。これら複数の配線m0は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。尚、複数の配線m0のうちの一部は、ビット線BLとして機能する。ビット線BLは、例えば、X方向に並びY方向に延伸する。
【0051】
配線層M1は、例えば図5に示す様に、複数の配線m1を含む。これら複数の配線m1は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0052】
配線層MBは、複数の貼合電極PI1を含む。これら複数の貼合電極PI1は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜pI1B及び銅(Cu)等の金属膜pI1Mの積層膜等を含んでいても良い。
【0053】
[チップCの構造]
チップCは、例えば図4に示す様に、メモリプレーン領域RMPに対応してX及びY方向に並ぶ4つの周辺回路領域RPCを備える。また、チップCは、周辺領域Rに対向する領域に設けられた回路領域Rを備える。回路領域Rは、X方向に並ぶ複数の入出力領域RIOを備える。また、チップCには、これら4つの周辺回路領域RPC及び入出力領域RIOを囲むガードリング領域RGDが設けられている。
【0054】
また、チップCは、例えば図5に示す様に、半導体基板200と、半導体基板200の上方に設けられた電極層GCと、電極層GCの上方に設けられた配線層D0,D1,D2,D3,D4,DBと、を備える。
【0055】
[チップCの半導体基板200の構造]
半導体基板200は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)を含む。半導体基板200の表面には、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含むN型ウェル領域200Nと、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型ウェル領域200Pと、N型ウェル領域200N及びP型ウェル領域200Pが設けられていない半導体基板領域200Sと、絶縁領域200Iと、が設けられている。N型ウェル領域200N、P型ウェル領域200P及び半導体基板領域200Sは、それぞれ、周辺回路を構成する複数のトランジスタTr、及び、複数のキャパシタ等の一部として機能する。
【0056】
[チップCの電極層GCの構造]
例えば図5に示す様に、半導体基板200の上面には、絶縁層200Gを介して、電極層GCが設けられている。電極層GCは、半導体基板200の表面とZ方向に対向する複数の電極gcを含む。また、半導体基板200の各領域及び電極層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、ビアコンタクト電極CSに接続されている。
【0057】
半導体基板200のN型ウェル領域200N、P型ウェル領域200P及び半導体基板領域200Sは、それぞれ、周辺回路を構成する複数のトランジスタTrのチャネル領域、及び、複数のキャパシタの一方の電極等として機能する。
【0058】
電極層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、周辺回路を構成する複数のトランジスタTrのゲート電極、及び、複数のキャパシタの他方の電極等として機能する。
【0059】
ビアコンタクト電極CSは、Z方向に延伸し、下端において半導体基板200又は電極gcの上面に接続されている。ビアコンタクト電極CSと半導体基板200との接続部分には、N型の不純物又はP型の不純物を含む不純物領域が設けられている。ビアコンタクト電極CSは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0060】
[チップCの配線層D0,D1,D2,D3,D4,DBの構造]
例えば図5に示す様に、D0,D1,D2,D3,D4,DBに含まれる複数の配線は、例えば、メモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2の構成及びチップC中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。
【0061】
配線層D0,D1,D2は、それぞれ、複数の配線d0,d1,d2を含む。これら複数の配線d0,d1,d2は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0062】
配線層D3,D4は、それぞれ、複数の配線d3,d4を含む。これら複数の配線d3,d4は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0063】
配線層DBは、複数の貼合電極PI2を含む。これら複数の貼合電極PI1は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜pI2B及び銅(Cu)等の金属膜pI2Mの積層膜等を含んでいても良い。
【0064】
ここで、貼合電極PI1と貼合電極PI2とに銅(Cu)等の金属膜pI1M,pI2Mを用いると、金属膜pI1Mと金属膜pI2Mとが一体化して、互いの境界の確認が困難となる。但し、貼り合せの位置ずれによる貼合電極PI1と貼合電極PI2とを貼り合せた形状の歪み、バリア導電膜pI1B,pI2Bの位置ずれ(側面における不連続箇所の発生)により貼り合せ構造が確認できる。また、貼合電極PI1及び貼合電極PI2をダマシン法により形成する場合、それぞれの側面はテーパー形状を有する。このため、貼合電極PI1と貼合電極PI2とを貼り合せた部分におけるZ方向に沿った断面の形状は、側壁が直線状とはならず、非矩形形状となる。また、貼合電極PI1と貼合電極PI2とを貼り合せた場合、これらを形成する各Cuの底面、側面、及び上面をバリアメタルが覆う構造となる。これに対し、一般的なCuを用いた配線層では、Cuの上面にCuの酸化防止機能を有する絶縁層(SiN又はSiCN等)が設けられ、バリアメタルは設けられていない。このため、貼り合せの位置ずれが発生していなくても、一般的な配線層との区別は可能である。
【0065】
[製造方法]
次に、図8図23を参照して、メモリダイMDの製造方法について説明する。図8図11は、実施形態に係るメモリダイMDの製造方法について説明するための模式的な下面図である。図12図14は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。図15及び図16は、同製造方法について説明するための模式的な平面図である。図17図19は、同製造方法について説明するための模式的な断面図である。図20及び図21は、同製造方法について説明するための模式的な斜視図である。図22及び図23は、同製造方法について説明するための模式的な平面図である。尚、図12図14は、図6に対応する断面を示している。また、図17図19は、図5に対応する断面を示している。以下で参照される図面において、平面図には、図を見易くするためにハッチングが適宜付加されている。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。
【0066】
本実施形態に係るメモリダイMDの製造に際しては、チップCに対応するウェハW、及び、チップCに対応するウェハWを製造し(図20参照)、これら2枚のウェハW,Wを貼合し(図21参照)、裏面配線層MA(図5)等の形成後に、ダイシングによる個片化を行う(図23参照)。
【0067】
[ウェハWの製造方法]
図8は、ウェハWに対応する半導体基板150の表面を示している。図9は、図8の一部を拡大して示している。図8に示す様に、半導体基板150の表面には、X方向及びY方向に並ぶ複数のデバイス領域RMD及び構造体領域RSTと、これら複数のデバイス領域RMD及び構造体領域RSTの間に設けられたカーフ領域Rと、構造体領域RSTのX方向又はY方向の一方側に設けられたカーフ領域R´と、余白領域Rと、が設けられている。尚、半導体基板150と導電層100との間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層112が設けられている(図14参照。)。
【0068】
デバイス領域RMDは、ダイシング後に、メモリダイMDの一部となる略矩形状の領域であり、チップCに対応する構成を含む。デバイス領域RMDは、X方向の両側及びY方向の両側において他のデバイス領域RMD又は構造体領域RSTと隣り合う。
【0069】
構造体領域RSTは、ウェハWの製造に際してデバイス領域RMDと同時に形成される領域であり、デバイス領域RMDとほぼ同様の構成を含む。ただし、構造体領域RSTは、ダイシング後に、メモリダイMDの一部として通常使用されない。構造体領域RSTは、X方向の一方側及びY方向の一方側において、デバイス領域RMD又は他の構造体領域RSTと隣り合う。一部の構造体領域RSTは、デバイス領域RMDと同様に略矩形状に形成され、デバイス領域RMDと同じ面積を備える。これらの構造体領域RSTは、カーフ領域Rを介し、X方向、Y方向又はXY平面における斜め方向において、余白領域Rと隣り合う。これらの構造体領域RSTの余白領域Rまでの距離は、デバイス領域RMDのX方向の幅及びY方向の幅の小さい方よりも小さい。他の構造体領域RSTは、外周の一部がウェハWの外周に沿っており、デバイス領域RMDよりも小さい面積を備える。
【0070】
カーフ領域Rは、ダイシングラインを含む領域である。カーフ領域R中の構成は、メモリセルアレイに対する電圧の入出力や、メモリセルアレイに対するデータ信号又はその他の信号の入出力には使用されない。カーフ領域Rには、メモリダイMDの製造に際して利用される、製造時に発生する不良などの評価や解析を行うために用いられるテストパターンやウェハW中の構成のXY平面における位置決めに際し、基準マークとして用いられるアライメントマーク等が含まれる。尚、カーフ領域R中の配線層MBには、例えば図9に示す様に、2枚のウェハW,Wを貼合する際に利用される複数の貼合電極Pk1x(第2貼合電極)が設けられる。これら複数の貼合電極Pk1xは、電気的に非接続(フローティング状態)である。これら複数の貼合電極Pk1xは、ウェハW,Wの貼合後に、全て、Z方向から見ていずれかの貼合電極Pk2x図16)と重なる位置に配置されている。
【0071】
カーフ領域R´は、基本的には、カーフ領域Rと同様に構成されている。ただし、カーフ領域R´の配線層MBに配置される貼合電極Pk1xの数は、カーフ領域Rの配線層MBに配置される貼合電極Pk1xの数よりも少ない。また、カーフ領域R´の配線層MBにおける単位面積当たりの貼合電極Pk1xの面積は、カーフ領域Rの配線層MBにおける単位面積当たりの貼合電極Pk1xの面積よりも小さい。カーフ領域R´は、X方向及びY方向に並ぶ複数の構造体領域RST全体の外周に位置する。カーフ領域R´は、構造体領域RSTと余白領域Rとの間に設けられている。
【0072】
余白領域Rは、図10及び図11を参照して後述する工程で、露光が行われない領域である。
【0073】
次に、ウェハW,Wを貼合する際に利用される貼合電極PI1,Pk1xのパターニングについて説明する。例えば図10及び図11に示す様に、ウェハWは、露光に用いられるマスクを用いて、例えばX方向の位置を変更しながら複数回、Y方向の位置を変更しながら複数回露光が行われ、複数の露光領域REXが形成される。そして、露光領域REX中の、デバイス領域RMD及び構造体領域RSTには複数の貼合電極PI1に対応する複数の貼合電極パターンが転写され、カーフ領域R,R´には複数の貼合電極Pk1xに対応する複数の貼合電極パターンが転写される。尚、露光は、ウェハW,Wにマスクを通して紫外線等の光を照射することで、回路等を焼き付ける工程である。この露光は、マスクのパターンがすべて一度にウェハに露光されるステッパ(ステップアンドリピート)方式の露光であっても良いし、マスクのパターンがスキャンされ徐々にウェハに露光されるスキャン(ステップアンドスキャン)方式の露光であっても良い。また、例えば図8に示す様に、本実施形態では、各露光領域REXがX方向及びY方向に並ぶ4つのデバイス領域RMDを含む例について説明する。
【0074】
貼合電極PI1,Pk1xは、例えば図12図14に示す様に、ダマシンプロセスによって形成する。
【0075】
例えば、図12に示す様に、配線層M1の表面に、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層gMBを形成する。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法によって行われる。
【0076】
次に、例えば図13に示す様に、貼合電極PI1図5)に対応する位置に、開口PAI1を形成する。この工程は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等の方法によって行う。この工程では、例えば、貼合電極PI1に対応する位置の絶縁層gMBを除去する。
【0077】
次に、例えば図14に示す様に、貼合電極PI1を形成する。この工程は、例えば、スパッタ等によって導電層を形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等の方法によって、導電層の一部を除去することで行われる。
【0078】
尚、図示していないが、図12図14で説明した貼合電極PI1の形成と並行して、カーフ領域Rには、貼合電極Pk1xが形成される。
【0079】
[ウェハWの製造方法]
図15は、ウェハWに対応する半導体基板250の表面を示している。図16は、図15の一部を拡大して示している。図15に示す様に、半導体基板250の表面にも、半導体基板150の表面と同様に、X方向及びY方向に並ぶ複数のデバイス領域RMD及び構造体領域RSTと、これら複数のデバイス領域RMD及び構造体領域RSTの間に設けられたカーフ領域Rと、構造体領域RSTの近傍に設けられたカーフ領域R´と、余白領域Rと、が設けられている。
【0080】
ウェハW中のデバイス領域RMDは、基本的には、ウェハW中のデバイス領域RMDと同様に構成されている。ただし、ウェハW中のデバイス領域RMDは、チップCに対応する構成ではなく、チップCに対応する構成を含む。
【0081】
ウェハW中の構造体領域RSTは、基本的には、ウェハW中の構造体領域RSTと同様に構成されている。ただし、ウェハW中の構造体領域RSTは、ウェハW中のデバイス領域RMDではなく、ウェハW中のデバイス領域RMDとほぼ同様の構成を含む。
【0082】
ウェハW中のカーフ領域Rは、ウェハW中のカーフ領域Rと、ほぼ同様に構成されている。尚、ウェハW中のカーフ領域Rにも、例えば図16に示す様に、2枚のウェハW,Wを貼合する際に利用される貼合電極Pk2x(第4貼合電極)が設けられる。これら複数の貼合電極Pk2xは、電気的に非接続(フローティング状態)である。これら複数の貼合電極Pk2xは、ウェハW,Wの貼合後に、全て、Z方向から見ていずれかの貼合電極Pk1x図9)と重なる位置に配置されている。
【0083】
ウェハW中のカーフ領域R´は、ウェハW中のカーフ領域R´と、ほぼ同様に構成されている。尚、ウェハW中のカーフ領域R´に設けられる複数の貼合電極Pk2xの少なくとも一部は、ウェハW,Wの貼合後に、Z方向から見ていずれの貼合電極Pk1xとも重ならない位置に配置されている。
【0084】
ウェハW中の余白領域Rは、ウェハW中の余白領域Rと、ほぼ同様に構成されている。
【0085】
次に、ウェハW,Wを貼合する際に利用される貼合電極PI2,Pk2xのパターニングについて説明する。例えば図10及び図11を参照して説明した工程と同様に、ウェハWは、露光に用いられるマスクを用いて、例えばX方向の位置を変更しながら複数回、Y方向の位置を変更しながら複数回露光が行われ、複数の露光領域REXが形成される。そして、露光領域REX中の、デバイス領域RMD及び構造体領域RSTには複数の貼合電極PI2に対応する複数の貼合電極パターンが転写され、カーフ領域R,R´には複数の貼合電極Pk2xに対応する貼合電極パターンが転写される。また、例えば図15に示す様に、本実施形態では、各露光領域REXがX方向及びY方向に並ぶ4つのデバイス領域RMDを含む例について説明する。
【0086】
貼合電極PI2,Pk2xは、例えば図17図19に示す様に、ダマシンプロセスによって形成する。
【0087】
例えば、図17に示す様に、配線層D4の表面に、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層gDBを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行われる。
【0088】
次に、例えば図18に示す様に、貼合電極PI2図5)に対応する位置に、開口PAI2を形成する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。この工程では、例えば、貼合電極PI2に対応する位置の絶縁層gDBを除去する。
【0089】
次に、例えば図19に示す様に、貼合電極PI2を形成する。この工程は、例えば、スパッタ等によって導電層を形成し、CMP等の方法によって、導電層の一部を除去することで行われる。
【0090】
尚、図示していないが、図17図19で説明した貼合電極PI2の形成と並行して、カーフ領域Rには、貼合電極Pk2xが形成される。
【0091】
[ウェハW,Wの貼合以降の工程]
ウェハW,Wの製造後、例えば図20に示す様に、ウェハWの表面と、ウェハWの表面と、を向かい合わせる。また、例えば図21に示す様に、ウェハW,Wを貼合する。次に、ウェハWの半導体基板150及び絶縁層112を除去した後に裏面配線層MA等を形成して、図5を参照して説明した基体構造LSBを形成する。
【0092】
次に、例えば図22及び図23に示す様に、カーフ領域R中に設けられたダイシングラインDLに沿って、貼合されたウェハW,Wを切断し、複数のメモリダイMDを形成する。
【0093】
[ウェハW,Wのカーフ領域Rに設けられた貼合電極Pk1x,Pk2x
図24は、カーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xが設けられない場合のウェハW,Wの構造を示す模式的な断面図である。図25は、カーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xが設けられる場合のウェハW,Wの構造を示す模式的な断面図である。
【0094】
上述の通り、ウェハW,Wは、別作りされ、それぞれの貼合面S(表面)で貼合される。例えば図24の例では、デバイス領域RMDに貼合電極PI1,PI2が設けられており、カーフ領域Rには貼合電極Pk1x,Pk2xが設けられていない。この様な構成では、貼合面Sにおいて、デバイス領域RMDとカーフ領域Rとの間に段差が生じてしまう場合がある。段差が生じると、貼合工程において、ウェハWとウェハWとの間にボイドVoiが発生し、貼合不良が発生する可能性が高くなる。
【0095】
そこで、本実施形態では、例えば図25に示す様に、デバイス領域RMDとカーフ領域Rとの双方に貼合電極PI1,PI2,Pk1x,Pk2xを設けることで、ウェハW,Wの貼合面Sを平坦にし、貼合工程においてボイドVoiが発生することを抑制する。
【0096】
[貼合後のウェハW,Wの構成]
次に、図26図31を参照して、貼合後のウェハW,W中の構成を例示する。図26図28図30は、貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な平面図である。図27図29図31は、貼合後のウェハW,Wのカーフ領域を含む一部の構成を例示する模式的な断面図である。尚、図27は、図26に示す構成をA-A´の点線に沿って切断した場合の図である。図29は、図28に示す構成をB-B´の点線に沿って切断した場合の図である。図30は、図29に示す構成をC-C´の点線に沿って切断した場合の図である。
【0097】
上述の通り、カーフ領域Rの配線層MB,DBに設けられる貼合電極Pk1x,Pk2xは、例えば図26及び図27に示す様に、Z方向から見て重なる位置に設けられている。また、本実施形態においては、カーフ領域Rの配線層M1等,D2,D1,D0等に形成される配線m1,d2,d1,d0は、デバイス領域(デバイス領域RMD)の配線層M1等,D2,D1,D0等に形成される配線m1,d2,d1,d0と同時に形成される。これら複数のm1,d2,d1,d0は、電気的に非接続(フローティング状態)である。
【0098】
例えば、図27に示す様に、ウェハWのカーフ領域R中のメモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2の一部には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層が設けられており、ワード線層LWLに対応する構成が設けられていない。そして、例えば、図26及び図27に示す様に、カーフ領域Rにおいて、配線層M1の配線m1と配線層D2,D1,D0の配線d2,d1,d0とは、Z方向から見て一定周期で重なる位置となる位置に設けられている。図27に示す例では、カーフ領域Rにおいて、配線m1はY方向に1つおきに、配線d2,d1,d0はY方向に3つおきに重なる位置となる位置に設けられている。この様な構成によれば、ダイシングに際して、カーフ領域R中のウェハW,Wの剥がれを抑制できるので、この剥がれがデバイス領域に進展することを抑制することができる。
【0099】
また、例えば、図29に示す様に、ウェハWのカーフ領域R中のメモリセルアレイ層LMCA1,LMCA2の他の一部には、ワード線層LWLに対応してZ方向に並ぶ複数の導電層110kが設けられている。また、Z方向に並ぶ複数のワード線層LWLの間には、酸化シリコン(SiO)等の層間絶縁層111kが設けられている。導電層110kは、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。そして、例えば、図28及び図29に示す様に、カーフ領域Rにおいて、配線層M1の配線m1と配線層D2,D1,D0の配線d2,d1,d0とは、Z方向から見て重なる位置に設けられている。この様な構成によれば、ダイシングに際して、ウェハW,Wの剥がれがデバイス領域に進展することを抑制することができる。
【0100】
ここで、図29に示す様に、複数の導電層110kと複数の層間絶縁層111kとが形成されている領域は、図27に示す様に、複数の導電層110kと複数の層間絶縁層111kとが形成されていない領域と比較すると、固く、好適にダイシングすることが難しい場合がある。このため、本実施形態では、図29を参照して説明した領域中の配線層M1,D2,D1,D0における被覆率を、図27を参照して説明した領域中の配線層M1,D2,D1,D0における被覆率よりも、小さくしている。これにより、図29を参照して説明した領域も、図27を参照して説明した領域と同様に、好適にダイシングすることが可能となる。
【0101】
尚、図31に示す様に、ウェハWのカーフ領域Rには酸化シリコン(SiO)等の絶縁層が形成され、ウェハWのカーフ領域Rの配線層D0にマークMが形成される領域が設けられていても良い。この様な領域において、カーフ領域Rの配線層D0には、配線d0は形成されない。しかし、ウェハWのカーフ領域Rの配線層D0よりZ方向に上層すなわち、配線層M1,D2,D1には配線m1,d2,d1,d0が形成される。また、配線層MB,DBには、貼合電極PI1,PI2が形成される。ウェハWのカーフ領域Rの配線層D0に形成されたマークMは、配線層D1と配線層D0との間の層を形成する際に用いられるが、配線層D1以上の層を形成する際には用いられない。従って、マークMの上方に配線m1等を設けても、メモリダイMDを好適に製造可能である。そして、例えば、図30及び図31に示す様に、カーフ領域Rにおいて、配線層M1の配線m1と配線層D2,D1の配線d2,d1とは、Z方向から見て一定周期で重なる位置となるよう配置される。
【0102】
[カーフ領域Rの貼合電極Pk1x,Pk2xの設計方法]
図24及び図25を参照して説明した様に、本実施形態では、デバイス領域RMDとカーフ領域Rとの双方に貼合電極PI1,PI2,Pk1x,Pk2xを設ける。ここで、ウェハW,Wを好適に貼合するためには、ウェハW,Wの貼合面S(表面)における貼合電極PI1,PI2,Pk1x,Pk2xの被覆率(貼合面Sにおける単位面積当たりの貼合電極PI1,PI2,Pk1x,Pk2xの面積の割合)が大きいことが望ましい。しかしながら、詳しくは後述する通り、種々の事情から、ウェハW,Wのカーフ領域R中には、それぞれ、貼合電極Pk1x,Pk2xを配置できない領域(以下、「配置不可領域」と呼ぶ。)がある。また、貼合電極Pk1xと貼合電極Pk2xとは、Z方向から見て重なる位置に設けられることが望ましい。貼合電極Pk1x及び貼合電極Pk2xの一方が他方と重ならない位置に設けられていると貼合電極Pk1x,Pk2x中の銅(Cu)等の金属原子が拡散してしまうおそれがあるためである。従って、貼合電極Pk1x,Pk2xは、ウェハW,Wのそれぞれの配置不可領域を避けつつ、貼合電極Pk1xと貼合電極Pk2xとがZ方向から見て重なる位置に設けられる様に、カーフ領域Rにできるだけ多く配置することが望ましい。
【0103】
以下、図32図62を用いて本実施形態に係るカーフ領域Rの貼合電極Pk1x,Pk2xの製造に利用されるマスクの設計方法について説明する。図32は、カーフ領域Rの貼合電極Pk1x,Pk2xの製造に利用されるマスクデータの設計処理の処理手順を示すフローチャートである。図33は、図32のステップS15p、S15m、S16pmの具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。これらの処理手順は、例えばメモリ及びプロセッサ(マイクロプロセッサ)を含むコンピュータが、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、行っても良いし、操作者がコンピュータに指示を与えることで行われるとしても良い。
【0104】
図34図36は、カーフ領域用の貼合電極パーツの一例を示す平面図である。図34はカーフ領域のX辺用の貼合電極パーツPARの一例を示す平面図であり、図35はカーフ領域のY辺用の貼合電極パーツPARの一例を示す平面図であり、図36はカーフ領域の交差位置用の貼合電極パーツPARCXの一例を示す平面図である。
【0105】
例えば図32に示す様に、まず、ステップS11p~S13pにおいて、ウェハWの製造に利用されるマスクデータにおけるカーフ領域のX辺用の貼合電極パーツPAR図34)、Y辺用の貼合電極パーツPAR図35)、交差位置用の貼合電極パーツPARCX図36)を作成する。図34図36に示す様に、貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXは、それぞれ、複数の貼合電極Pk2x(第2貼合電極)に対応する複数の貼合電極パターンPKX(第2貼合電極パターン)を含む。ステップS11p~S13pでは、これら複数の貼合電極パターンの大きさ、形状、各貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXにおけるX方向及びY方向の位置等を規定する。尚、ステップS11p~S13pの順序は一例であり、適宜入れ替え可能である。また、X辺用、Y辺用及び交差位置用の貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXを作成せず、X辺、Y辺及び交差位置での貼合電極パターンPKXの大きさ、形状、ピッチを規定しても良い。
【0106】
また、ステップS11m~S13mにおいて、ウェハWの製造に利用されるマスクデータにおけるカーフ領域のX辺用の貼合電極パーツPAR図34)、Y辺用の貼合電極パーツPAR図35)、交差位置用の貼合電極パーツPARCX図36)を作成する。これらの貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXは、それぞれ、複数の貼合電極Pk1x(第1貼合電極)に対応する複数の貼合電極パターンPKX(第1貼合電極パターン)を含む。ステップS11m~S13mでは、これら複数の貼合電極パターンの大きさ、形状、各貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXにおけるX方向及びY方向の位置等を規定する。尚、ステップS11m~S13mの順序は一例であり、適宜入れ替え可能である。また、上述した様に、X辺用、Y辺用及び交差位置用の貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXを作成せず、X辺、Y辺及び交差位置での貼合電極パターンPKXの大きさ、形状、ピッチを規定しても良い。
【0107】
図37は、カーフ領域Rの貼合電極Pk1x,Pk2xの製造に利用されるマスクのフレームデータFRdatの一例を示す平面図である。図38は、図37に示すフレームデータFRdatにX辺用の貼合電極パーツPAR、Y辺用の貼合電極パーツPAR及び交差位置用の貼合電極パーツPARCXが敷き詰められた様子を示す平面図である。図37及び図38には矩形状のデバイス領域Rdevとデバイス領域Rdevを取り囲むカーフ領域Rとが示されている。デバイス領域Rdevは、それぞれチップC,Cが形成されるデバイス領域RMDに対応する領域である。
【0108】
次に、ステップS14pにおいて、ステップS11p~S13pで作成した貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXをカーフ領域Rに配置する。また、ステップS14mにおいて、ステップS11m~S13mで作成した貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXをカーフ領域Rに配置する。
【0109】
より具体的には、図37に示すフレームデータFRdatのカーフ領域Rに、ステップS11p~S13p及びステップS11m~S13mで作成した貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXを配置する。これにより、図38に示す様に、フレームデータFRdatのカーフ領域Rに、貼合電極パターンPKXが敷き詰められる。
【0110】
図39は、ウェハWのカーフ領域Rの貼合電極Pk2xの製造に利用されるマスクのフレームデータFRPdatの一例を示す平面図である。図40は、ウェハWのカーフ領域Rの貼合電極Pk1xの製造に利用されるマスクのフレームデータFRMdatの一例を示す平面図である。
【0111】
次に、ステップS15pにおいて、ステップS14pで配置した貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXに含まれる貼合電極パターンPKXから、カーフ領域Rにおける配置不可領域の貼合電極パターンPKXを削除する。ステップS15pでは、ウェハWのフレームデータFRPdatのカーフ領域Rにおける配置不可領域を特定し、図38に示す様に貼合電極パターンPKXが敷き詰められフレームデータFRPdatから、配置不可領域に配置されている貼合電極パターンPKXを削除する。これにより、図39に示す様な貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRPdatを得ることができる。
【0112】
ここで、カーフ領域Rにおける配置不可領域は、カーフ領域Rにおいて貼合電極パターンを配置できない領域である。この配置不可領域は、例えばウェハW,Wの貼合後に利用するリソマーク、枠データ、TEGが形成される領域である。これらの領域のX方向及びY方向の長さは、それぞれ、貼合電極パターンのX方向及びY方向の長さよりも大きい。リソマークは、ウェハW,Wの貼合後に形成される配線、開口などの位置決めに利用されるアライメントマークや重ね合わせ精度を測定するための検出マーク等である。
【0113】
また、ステップS15mにおいて、ステップS14mで配置した貼合電極パーツPAR,PAR,PARCXに含まれる貼合電極パターンPKXから、カーフ領域Rにおける配置不可領域の貼合電極パターンPKXを削除する。ステップS15mでは、ウェハWのフレームデータFRMdatのカーフ領域Rにおける配置不可領域を特定し、図38に示す貼合電極パターンPKXが敷き詰められフレームデータFRMdatから、配置不可領域に配置されている貼合電極パターンPKXを削除する。これにより、図40に示す様な貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRMdatを得ることができる。
【0114】
ここで、図33図41図49を用いて、ステップS15p及びステップS15mの具体的な処理手順の一例について説明する。図41は、貼合で使用するリソマークが配置されたフレームデータFRPidat(FRMidat)の一例を示す平面図である。図42は、図41のフレームデータFRPidat(FRMidat)をステップアンドリピートした状態におけるリソマークの配置の一例を示す平面図である。図43は、図42のフレームデータFRPidatにTEG等の領域を追加した状態のフレームデータFRPidatの一例を示す平面図である。図44は、図42のフレームデータFRMidatにTEG等の領域を追加した状態のフレームデータFRMidatの一例を示す平面図である。図45は、図43のフレームデータFRPidatに枠データの領域を追加した状態のフレームデータFRPidatの一例を示す平面図である。図46は、図44のフレームデータFRMidatに枠データの領域を追加した状態のフレームデータFRMidatの一例を示す平面図である。図47は、フレームデータFRPidatにおけるリソマーク起因の配置不可領域bP1,bP2を示す平面図である。図48は、フレームデータFRMidatにおけるリソマーク起因の配置不可領域bM1,bM2を示す平面図である。図49は、リソマーク、TEGの領域、枠データ又は配置不可領域である配置禁止領域RbPX(RbMX)により欠けている貼合電極パターンPKXを説明するための平面図である。
【0115】
ステップS151p及びステップS151mにおいて、まず、貼合で使用するリソマークが配置された状態を作成する。例えば図41に示す様に、図37に示すフレームデータFRdatにおいて、アライメントマークALM、アライメントマークALM、重ね合わせマークOLMPMが配置された状態のフレームデータFRPidat,FRMidatを作成する。アライメントマークALMは、フレームデータFRPdatに形成される。アライメントマークALMは、フレームデータFRMdatに形成される。図41に示す重ね合わせマークOLMPMは、重ね合わせマークMCP,MCMで構成され、重ね合わせマークMCPはフレームデータFRPdatに形成され、重ね合わせマークMCMはフレームデータFRMdatに形成される。
【0116】
次に、ステップS152p及びステップS152mにおいて、ステップアンドリピートされた状態を作成する。例えば図41のフレームデータFRPidat(FRMidat)から作成されるマスクを用いて、X方向の位置を変更しながら3回以上、Y方向の位置を変更しながら3回以上露光を行った状態を作成することで、ステップアンドリピートされた状態を作成する。図42の例では、X方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を作成している。この場合、図42に示す様に、フレームデータFRPidat(FRMidat)の領域aにはステップアンドリピートすることで形成されるリソマークが配置される。
【0117】
次に、ステップS153p及びステップS153mにおいて、TEG等の領域を追加する。例えば図43に示す様に、図42に示すフレームデータFRPidatにおいて、TEG等の領域TEG,TEGが配置された状態のフレームデータFRPidatを作成する。また、例えば図44に示す様に、図42に示すフレームデータFRPidatにおいて、TEG等の領域TEG,TEGが配置された状態のフレームデータFRMidatを作成する。TEG等の領域TEGは、フレームデータFRPidatに形成され、TEG等の領域TEGは、フレームデータFRMidatに形成される。
【0118】
次に、ステップS154pにおいて、図43に示すフレームデータFRPidatに、枠データ(遮光領域パターン)の領域を追加する。例えば図45に示す様に、図43に示すフレームデータFRPidatにおいて、枠データの領域CovPdatが配置された状態のフレームデータFRPidatを作成する。
【0119】
ここで、枠データは、露光領域REX図8参照)の端部において貼合電極パターン及びその他のパターンの二重露光の発生を防止するための遮光領域を規定するものである。枠データは、マスクのX方向の位置を変更しながら3回以上、Y方向の位置を変更しながら3回以上露光を行った場合に、全ての領域が一度露光され、且つ、いずれの領域も二度は露光されない様なパターンを有する。
【0120】
例えば、図45のフレームデータFRPidatは、X方向の一方側の端部に設けられたカーフ領域Rの一部の領域が枠データの領域CovPdatと重なっており、X方向の他方側の端部に設けられたカーフ領域Rの他の一部の領域が枠データの領域CovPdatと重なっている。また、これら一部の領域及び他の一部の領域を組み合わせて得られる領域の形状及び面積は、X方向の一方側の端部に設けられたカーフ領域R、及び、X方向の他方側の端部に設けられたカーフ領域Rの形状及び面積と同一である。
【0121】
また、図45のフレームデータFRPidatは、Y方向の一方側の端部に設けられたカーフ領域R全体が枠データの領域CovPdatと重なっており、Y方向の他方側の端部に設けられたカーフ領域Rは枠データの領域CovPdatと重なっていない。尚、Y方向の一方側の端部に設けられたカーフ領域Rの形状及び面積は、Y方向の他方側の端部に設けられたカーフ領域Rの形状及び面積と同一である。
【0122】
また、図45のフレームデータFRPidatは、四隅の領域のうちの3つの領域が枠データの領域CovPdatと重なっており、残り1つの領域は枠データの領域CovPdatと重なっていない。尚、これら四隅の領域の形状及び面積は、同一である。
【0123】
また、ステップS154mにおいて、図44に示すフレームデータFRMidatに、枠データの領域を追加する。例えば図46に示す様に、図44に示すフレームデータFRMidatにおいて、フレームデータFRMidatに形成される枠データの領域CovMdatが配置された状態のフレームデータFRMidatを作成する。尚、枠データの領域CovPdatと枠データの領域CovMdatの形状は異なっている。従って、領域CovPdatの少なくとも一部は、領域CovMdatの少なくとも一部と重ならない位置に設けられている。同様に、領域CovMdatの少なくとも一部は、領域CovPdatの少なくとも一部と重ならない位置に設けられている。
【0124】
次に、ステップS155pにおいて、フレームデータFRPidatのカーフ領域Rにおける、リソマーク起因による貼合電極パターンの配置不可領域を特定する。例えば図47に示す様に、フレームデータFRPidatにおいて、リソマーク起因の配置不可領域bP1,bP2を特定する。配置不可領域bP1は重ね合わせマークOLMPMが配置されていた領域である。配置不可領域bP2はアライメントマークALMが配置されていた領域である。
【0125】
また、ステップS155mにおいて、フレームデータFRMidatのカーフ領域Rにおける、リソマーク起因による貼合電極パターンの配置不可領域を特定する。例えば図48に示す様に、フレームデータFRMidatにおいて、リソマーク起因の配置不可領域bM1,bM2を特定する。配置不可領域bM1は重ね合わせマークOLMPMが配置されていた領域である。配置不可領域bM2はアライメントマークALMが配置されていた領域である。
【0126】
次に、ステップS156pにおいて、フレームデータFRPdatのカーフ領域Rの貼合電極パターンPKXから、配置不可領域と重なるすなわちリソマーク、TEGの領域、枠データ及び配置不可領域と重なる貼合電極パターンPKXを削除する。続くステップS157pにおいてフレームデータFRPdatのカーフ領域Rにおいて欠けている貼合電極パターンPKXを削除する。
【0127】
ここで、図49を用いて、欠けている貼合電極パターンPKXについて説明する。配置禁止領域RbPX(RbMX)は、フレームデータFRPidat(FRMidat)において貼合電極パターンPkxが配置できない領域であり、例えばリソマーク、TEGの領域、枠データ又は配置不可領域である。フレームデータFRPidatにおいて、例えば図49に示す様に、領域RFGにおける貼合電極パターンPKXの一部のみが配置禁止領域RbPXと重なっている場合がある。この場合、カーフ領域Rの貼合電極パターンPKXから、配置禁止領域RbPXと重なる貼合電極パターンPKXを削除すると、領域RFGにおける貼合電極パターンPKXの一部が欠けたものすなわち欠けている貼合電極パターンPKXが形成されてしまう。このため、ステップS157pにおいて、フレームデータFRPdatのカーフ領域Rにおいて欠けている貼合電極パターンPKXを削除する。
【0128】
この様にして、図39に示す様に、図38に示す貼合電極パターンPKXが敷き詰められフレームデータFRPdatから、配置不可領域に配置されている貼合電極パターンPKXを削除されたフレームデータFRPdatを得ることができる。
【0129】
また、ステップS156mにおいて、フレームデータFRMidatのカーフ領域Rの貼合電極パターンPKXから、配置不可領域と重なるすなわちリソマーク、TEGの領域、枠データ及び配置不可領域と重なる貼合電極パターンPKXを削除する。続くステップS157mにおいてフレームデータFRMidatのカーフ領域Rにおいて欠けている貼合電極パターンPKXを削除する。フレームデータFRMidatにおいて、例えば図49に示す様に、領域RFGにおける貼合電極パターンPKXの一部のみが配置禁止領域RbMXと重なっている場合がある。この場合、カーフ領域Rの貼合電極パターンPKXから、配置禁止領域RbMXと重なる貼合電極パターンPKXを削除すると、領域RFGにおける貼合電極パターンPKXの一部が欠けたものすなわち欠けている貼合電極パターンPKXが形成されてしまう。このため、ステップS157mにおいて、フレームデータFRMdatのカーフ領域Rにおいて欠けている貼合電極パターンPKXを削除する。
【0130】
この様にして、図40に示す様に、図38に示す貼合電極パターンPKXが敷き詰められフレームデータFRMdatから、配置不可領域に配置されている貼合電極パターンPKXを削除されたフレームデータFRMdatを得ることができる。
【0131】
続いて、図32及び図33を参照し、図50図54を用いてステップS16pmの処理について説明する。図50は、図39のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態におけるフレームデータFRPdatSRを示す平面図である。図51は、図40のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現したフレームデータFRMdatSRを示す平面図である。図52は、図39のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRPdatSR2の一例を示す平面図である。図52の再現データFRPdatSR2は、例えば図39のフレームデータFRPdatから作成されるマスクを用いて、X方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現したデータである。図53は、図40のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRMdatSR2の一例を示す平面図である。図53の再現データFRMdatSR2は、例えば図40のフレームデータFRMdatから作成されるマスクを用いて、X方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現したデータである。図54は、ステップアンドリピート後でのカーフ領域Rの貼合電極パターンPKXの不一致箇所を示すデータFRPMdifを示す平面図である。
【0132】
次に、ステップS16pmにおいて、ステップアンドリピート後でのカーフ領域Rの貼合電極パターンを比較する。より具体的には、図33に示される様に、ステップS161p及びステップS161mにおいて、メモリセルアレイ側のステップアンドリピート及び周辺回路側のステップアンドリピートを再現する。
【0133】
ステップS161pでは、図50に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRPdatSRが得られる。より具体的には、図39のフレームデータFRPdatをX方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現することで、図52の再現データFRPdatSR2に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRPdatSRが得られる。
【0134】
ステップS161mでは、図51に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRMdatSRが得られる。より具体的には、図40のフレームデータFRMdatをX方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現することで、図53の再現データFRMdatSR2に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRMdatSRが得られる。
【0135】
次に、図33に示される様に、ステップS162pmにおいて、ステップアンドリピート後を考慮してメモリセルアレイ側及び周辺回路側の貼合電極パターンが一致しない領域を抽出する。例えば図54に示される様に、図50のフレームデータFRPdatSR図51のフレームデータFRMdatSRとで一致しない貼合電極パターンPKXが抽出されている。
【0136】
続いて、図32及び図33を参照し、図55及び図56を用いてステップS17pm,S18p,S18mの処理について説明する。図55は、図39のフレームデータFRPdatの貼合電極パターンPKXから不一致箇所RKnoにある貼合電極パターンPKXを削除したフレームデータFRPdatを示す平面図である。図56は、図40のフレームデータFRMdatの貼合電極パターンPKXから不一致箇所RKnoの貼合電極パターンPKXを削除したフレームデータFRMdatを示す平面図である。
【0137】
ステップS17pmにおいて、ステップアンドリピート後でのカーフ領域Rの貼合電極パターンを比較した結果、パターンは一致したかを判定する。より具体的には、ステップS171pmにおいて、ステップS162pmでメモリセルアレイ側及び周辺回路側の貼合電極パターンが一致しない領域を抽出できたかを判定する。
【0138】
カーフ領域Rの貼合電極パターンが一致した場合(ステップS17pmで一致)、すなわちメモリセルアレイ側及び周辺回路側の貼合電極パターンが一致しない領域を抽出できた場合(ステップS171pmでno)には、処理を終了する。
【0139】
一方、カーフ領域Rの貼合電極パターンが一致していないことが判定された場合(ステップS17pmで不一致)、すなわちメモリセルアレイ側及び周辺回路側の貼合電極パターンが一致しない領域を抽出でなかった場合(ステップS171pmでyes)には、ステップS18p及びステップS18mにおいて、不一致箇所の貼合電極パターンを削除する。
【0140】
ステップS18pでは、図55に示される様に、図39のフレームデータFRPdatで配置されている貼合電極パターンPKXから不一致箇所RKnoにある貼合電極パターンPKXを削除する。同様に、ステップS18mでは、図56に示される様に、図40のフレームデータFRMdatで配置されている貼合電極パターンPKXから不一致箇所RKnoにある貼合電極パターンPKXを削除する。
【0141】
続いて、図32及び図33を参照し、図57図60を用いてステップS18p,S18mの後の処理について説明する。図57は、図55のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態におけるフレームデータFRPdatSRを示す平面図である。図58は、図56のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現したフレームデータFRMdatSRを示す平面図である。図59は、図55のフレームデータFRPdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRPdatSR2の一例を示す平面図である。図59の再現データFRPdatSR2は、例えば図55のフレームデータFRPdatから作成されるマスクを用いて、X方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現したデータである。図60は、図56のフレームデータFRMdatをステップアンドリピートした状態を再現した再現データFRMdatSR2の一例を示す平面図である。図60の再現データFRMdatSR2は、例えば図56のフレームデータFRMdatから作成されるマスクを用いて、X方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現したデータである。
【0142】
次に、2回目のステップS16pmにおいて、ステップアンドリピート後でのカーフ領域Rの貼合電極パターンを比較する。より具体的には、図33に示される様に、2回目のステップS161p及びステップS161mにおいて、メモリセルアレイ側のステップアンドリピート及び周辺回路側のステップアンドリピートを再現する。
【0143】
2回目のステップS161pでは、図57に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRPdatSRが得られる。より具体的には、図55のフレームデータFRPdatをX方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現することで、図59の再現データFRPdatSR2に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRPdatSRが得られる。尚、図57及び図59に示すフレームデータFRPdatSRの領域aaは1回目のステップS161pにおいて得られた図50及び図52のフレームデータFRPdatSRと比較して貼合電極パターンPKXが再現されていない箇所を示している。
【0144】
2回目のステップS161mでは、図58に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRMdatSRが得られる。より具体的には、図56のフレームデータFRMdatをX方向の位置を変更しながら3回、Y方向の位置を変更しながら3回の露光を行った状態を再現することで、図60の再現データFRMdatSR2に示される様に、貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRMdatSRが得られる。尚、図58及び図60に示すフレームデータFRMdatSRの領域aaは1回目のステップS161mにおいて得られた図51及び図53のフレームデータFRMdatSRと比較して貼合電極パターンPKXが再現されていない箇所を示している。
【0145】
次に、図33に示される様に、2回目のステップS162pmにおいて、ステップアンドリピート後を考慮してメモリセルアレイ側及び周辺回路側の貼合電極パターンが一致しない領域を抽出する。例えば図57及び図58を比較して分かる様に、図57のフレームデータFRPdatSR図58のフレームデータFRMdatSRとで配置されている貼合電極パターンPKXが一致している。このため、次の2回目のステップS171pm(ステップS17pm)を経て、カーフ領域Rの貼合電極Pk1x,Pk2xの製造に利用されるマスクデータの設計処理が終了する。
【0146】
尚、ステップS18p,S18mの後の処理は行わなくても良い。より具体的には、2回目のステップS161m、ステップS161p、ステップS162pm、ステップS171pmは、行わなくても良い。
【0147】
[配線層MB,DBのパターニングに利用されるマスク]
図61及び図62は、配線層MB,DBのパターニングに利用されるマスクの構成を例示する模式的な平面図である。図61には、ウェハW中の配線層DBのパターニングに利用されるマスクGMが示されている。図61の第3マスク領域RG3は、上述したデバイス領域Rdevに対応する領域である。図62には、ウェハW中の配線層MBのパターニングに利用されるマスクGMが示されている。図62の第1マスク領域RG1は、上述したデバイス領域Rdevに対応する領域である。
【0148】
図62及び図61に示されるマスクGM,GMは、複数の貼合電極PI1,PI2,Pk1x,Pk2xを介して貼合されるウェハW,Wの、複数の貼合電極PI1,PI2,Pk1x,Pk2xのパターニングに際して、露光に用いられるマスクセットである。マスクGM,GMは、例えば、石英ガラス、クロム(Cr)等の金属等から構成されている。
【0149】
図62に示されるマスクGM(第1マスク)は、ウェハW(第1ウェハ)の複数のデバイス領域Rdev(第1デバイス領域)に対応する位置に設けられ、複数の貼合電極PI1,Pk1xの一部(貼合電極PI1)に対応する複数の第1貼合電極パターンPI1Pを含む複数の第1マスク領域RG1と、デバイス領域Rdev(第1デバイス領域)を取り囲むカーフ領域Rに対応する位置に設けられ、複数の貼合電極PI1,Pk1xの他の一部(貼合電極Pk1x)に対応する電気的に非接続状態の第2貼合電極パターンPK1Xを含む第2マスク領域RG2とを備える。
【0150】
この第2マスク領域RG2は、図62に示される様に、第1領域RG2R1xと、第2領域RG2R2xと、第3領域RG2R3xとを備える。第1領域RG2R1xは、X方向に隣り合う一対の第1マスク領域RG1の間に設けられている。第2領域RG2R2xは、複数のデバイス領域Rdevに対して、X方向の一方側(図でX方向+側)に設けられている。第3領域RG2R3xは、複数のデバイス領域Rdevに対して、X方向の他方側(図でX方向-側)に設けられている。
【0151】
また、この第2マスク領域RG2は、図62に示される様に、第1領域RG2R1yと、第2領域RG2R2yと、第3領域RG2R3yとを備える。第1領域RG2R1yは、Y方向に隣り合う一対の第1マスク領域RG1の間に設けられている。第2領域RG2R2yは、複数のデバイス領域Rdevに対して、Y方向の一方側(図でY方向+側)に設けられている。第3領域RG2R3yは、複数のデバイス領域Rdevに対して、Y方向の他方側(図でY方向-側)に設けられている。
【0152】
図61に示されるマスクGM(第2マスク)は、ウェハW(第2ウェハ)の複数のデバイス領域Rdev(第2デバイス領域)に対応する位置に設けられ、複数の貼合電極PI2,Pk2xの他の一部(貼合電極PI2)に対応する複数の第3貼合電極パターンPI2Pを含む複数の第3マスク領域RG3と、デバイス領域Rdev(第2デバイス領域)を取り囲むカーフ領域Rに対応する位置に設けられ、複数の貼合電極PI2,Pk2xの他の一部(貼合電極Pk2x)に対応する電気的に非接続状態の第4貼合電極パターンPK2Xを含む第4マスク領域RG4とを備える。
【0153】
この第4マスク領域RG4は、図61に示される様に、第4領域RG4R4xと、第5領域RG4R5xと、第6領域RG4R6xとを備える。第4領域RG4R4xは、X方向に隣り合う一対の第3マスク領域RG3の間に設けられている。第5領域RG4R5xは、複数のデバイス領域Rdevに対して、X方向の一方側(図でX方向+側)に設けられている。第6領域RG4R6xは、複数のデバイス領域Rdevに対して、X方向の他方側(図でX方向-側)に設けられている。
【0154】
また、この第4マスク領域RG4は、図61に示される様に、第4領域RG4R4yと、第5領域RG4R5yと、第6領域RG4R6yとを備える。第4領域RG4R4yは、Y方向に隣り合う一対の第3マスク領域RG3の間に設けられている。第5領域RG4R5yは、複数のデバイス領域Rdevに対して、Y方向の一方側(図でY方向+側)に設けられている。第6領域RG4R6yは、複数のデバイス領域Rdevに対して、Y方向の他方側(図でY方向-側)に設けられている。
【0155】
複数の第2貼合電極パターンPK1Xは、第1領域RG2R1x,RG2R1yに設けられた複数の第2貼合電極パターンPK1Xが、第4領域RG4R4x,RG4R4yに設けられた複数の第4貼合電極パターンPK2Xと重なる位置に設けられる。また、複数の第2貼合電極パターンPK1Xは、第2領域RG2R2x,RG2R2yに設けられた複数の第2貼合電極パターンPK1Xと、第3領域RG2R3x,RG2R3yに設けられた複数の第2貼合電極パターンPK1Xと、を組み合わせて得られるパターングループ中の複数の第2貼合電極パターンPK1Xが、第5領域RG4R5x,RG4R5yに設けられた複数の第4貼合電極パターンPK2Xと、第6領域RG4R6x,RG4R6yに設けられた複数の第4貼合電極パターンPK2Xと、を組み合わせて得られるパターングループ中の複数の第4貼合電極パターンPK2Xのいずれかと重なる位置に設けられる。
【0156】
そして、図62及び図61のマスクGM,GMでは、第2領域RG2R2x,RG2R2yに設けられた複数の第2貼合電極パターンPK1Xの少なくとも一部が、第5領域RG4R5x,RG4R5yに設けられた複数の第4貼合電極パターンPK2Xのいずれとも重ならない位置に設けられている。
【0157】
また、図62及び図61のマスクGM,GMでは、互いに異なる枠データが用いられる。
【0158】
より具体的には、図62に示されるマスクGMは、第2領域RG2R2x,RG2R2yに設けられ、複数の第2貼合電極パターンPK1Xのいずれをも含まず、X方向及びY方向の長さが第2貼合電極パターンPK1XのX方向及びY方向の長さよりも大きい第1遮光領域と、第3領域RG2R3x,RG2R3yに設けられ、複数の第2貼合電極パターンPK1Xのいずれをも含まず、X方向及びY方向の長さが第2貼合電極パターンPK1XのX方向及びY方向の長さよりも大きい第2遮光領域と、を備える。第1遮光領域と第2遮光領域とは、重ならない位置に設けられる。
【0159】
また、図61に示されるマスクGMは、第5領域RG4R5x,RG4R5yに設けられ、複数の第4貼合電極パターンPK2Xのいずれをも含まず、X方向及びY方向の長さが第4貼合電極パターンPK2XのX方向及びY方向の長さよりも大きい第3遮光領域と、第3領域RG2R3x,RG2R3yに設けられ、複数の第4貼合電極パターンPK2Xのいずれをも含まず、X方向及びY方向の長さが第4貼合電極パターンPK2XのX方向及びY方向の長さよりも大きい第4遮光領域と、を備える。第3遮光領域と第4遮光領域とは、重ならない位置に設けられる。
【0160】
第1遮光領域と第2遮光領域とを組み合わせて得られるパターングループの形状と、第3遮光領域と第4遮光領域とを組み合わせて得られるパターングループの形状とは異なる。尚、パターングループの形状は、上述した枠データの形状に対応する。
【0161】
尚、典型的には、貼合電極のパターンの大きさは、数百nm~数μm程度である。一方、枠データのパターンの大きさは、幅が数十μm~数百μm程度であり、長さが数十mm程度である。即ち、両者は一桁以上大きさが異なる。
【0162】
[露光により貼合面のカーフ領域Rが形成されたウェハW,W
ウェハWの製造に際しては、図62に示されるマスクGMを用いて、図10及び図11を参照して説明した様に、X方向の位置を変更しながら複数回、Y方向の位置を変更しながら複数回露光を行うことで、貼合面の配線層MBが形成される。同様に、ウェハWの製造に際しては、図61に示されるマスクGMを用いて、X方向の位置を変更しながら複数回、Y方向の位置を変更しながら複数回露光を行うことで、貼合面の配線層MBが形成される。この様に、それぞれX方向及びY方向の位置を変更しながら複数回露光を行う方式で貼合面の配線層MBを形成するため、図8を参照して説明したウェハWのカーフ領域R´の貼合電極Pk1xの少なくとも一部の位置は、図15を参照して説明したウェハWのカーフ領域R´のいずれの貼合電極Pk2xの位置とも一致しないこととなる。同様に、図15を参照して説明したウェハWのカーフ領域R´の貼合電極Pk1xの少なくとも一部の位置は、図8を参照して説明したウェハWのカーフ領域R´のいずれの貼合電極Pk2xの位置とも一致しないこととなる。
【0163】
尚、図10及び図11を参照して説明した様に、マスクGM(GM)を用いてX方向及びY方向の位置を変更しながら複数回露光が行う際、露光領域REXの一部が、ウェハW(W)からはみ出している箇所もある。このはみ出している箇所には、図8又は図15を参照して説明した構造体領域RSTが形成される。
【0164】
[実施形態の効果]
実施形態によれば、ウェハW,Wが貼合面Sで貼合されてもボイドの発生を抑制することができるので半導体装置の製造歩留りを向上させることができる。本効果について以下に説明する。
【0165】
本実施形態に係るウェハW,Wの構成によれば、ウェハW,Wのカーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xを製造する際に用いられるマスクGM,GMに異なる形状の枠データが形成されるが、カーフ領域Rに設けられる貼合電極Pk1x,Pk2xのそれぞれの位置は貼合時に重なる様に製造される。これにより、貼合面Sを平坦にし、ウェハW,Wが貼合面Sで貼合された時にデバイス領域RMDとカーフ領域Rとの境界近傍でボイドが発生することを抑制することができる。
【0166】
また、本実施形態に係るマスクGM,GMの設計方法によれば、ウェハW,Wのカーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xを製造する際に用いられるマスクGM,GMに異なる形状の枠データが形成されても、カーフ領域Rに設けられる貼合電極Pk1x,Pk2xのそれぞれの位置は貼合時に重なり一致する様に製造できる。
【0167】
尚、マスクGM,GMでは貼合後に使うアライメントマークが形成されるため、貼合後に行うアライメント工程の妨げにならないよう、アライメントマークがある領域では、被覆率及び配置率を下げてカーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xを配置する。カーフ領域Rにおける貼合電極Pk1xの被覆率は、カーフ領域Rの単位領域の面積に占める貼合電極Pk1xの面積の割合として算出される。カーフ領域Rにおける貼合電極Pk1xの配置率は、マスクGM,GMの外周のカーフ領域Rに配置されている貼合電極Pk1xの被覆率をHAとし、枠データの領域を除くマスクGM,GMの外周全面に貼合電極Pk1xを配置した場合の被覆率をHBとしたとき、(HA/HB)×100として算出される。
【0168】
そして、本実施形態に係るマスクGM,GMの設計方法によれば、ステップアンドリピートもしくはステップアンドスキャンされた状態を考慮して、ウェハW,Wのカーフ領域Rに貼合電極Pk1x,Pk2xを配置することができるので、配置率を向上させることができる。これにより、カーフ領域Rにおいて平坦にすることができる貼合面Sの面積が増やすことができ、ウェハW,Wが貼合面Sで貼合された時にデバイス領域RMDとカーフ領域Rとの境界近傍でボイドが発生することを抑制することができる。
【0169】
[その他の実施形態]
以上、実施形態に係る設計方法、半導体装置及びマスクセットについて説明した。しかしながら、以上の設計方法、半導体装置、マスクセットはあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成等は適宜調整可能である。例えば、デバイス領域が2×2のマスクGM,GMや2×2又は6×6のフレームデータFRMdat,FRPdatを例示したが、デバイス領域の構成、カーフ領域Rに形成される貼合電極、TEG、リソマークの配置は、適宜変更しても良い。例えば、図63及び図64に示す様に、2×9のフレームデータFRdatであっても良い。ここで、図63は、変形例に係る枠データCovdat、リソマークALM及びTEGが配置されたフレームデータFRdatを概念的に示す平面図である。図64は、変形例に係る枠データCovdat、カーフ領域Rの貼合電極パターンPKXが配置されたフレームデータFRdatを概念的に示す平面図である。尚、図64の空白領域Pbは、バックサイドで使用するリソマークの領域やTEGが配置され、貼合電極パターンPKX配置されていない領域を示している。
【0170】
また、実施形態では、半導体装置として、チップCにNANDフラッシュメモリが搭載される例について説明した。しかしながら、半導体装置の構成は適宜調整可能である。例えば、チップCには、2D又は3DのDRAMが搭載されても良いし、SRAMが搭載されても良い。チップCにSRAMが搭載される場合、SRAMは、FinFET,Nano sheet,fork sheet等を利用するものであっても良い。また、チップCには、メモリ以外の構成が搭載されても良い。例えば、チップCには、撮像素子等を構成する複数のPhoto diode等が搭載されても良い。
【0171】
尚、本明細書では、下記の事項を開示した。
[事項1]
第1マスクを用い、第1ウェハに複数の第1貼合電極パターンを転写し、
前記複数の第1貼合電極パターンに沿って、前記第1ウェハに複数の第1貼合電極を形成し、
第2マスクを用い、第2ウェハに複数の第2貼合電極パターンを転写し、
前記複数の第2貼合電極パターンに沿って、前記第2ウェハに複数の第2貼合電極を形成し、
前記複数の第1貼合電極及び前記複数の第2貼合電極を介して、前記第1ウェハ及び前記第2ウェハを貼合し、
前記第1マスクは、
前記第1ウェハの複数の第1デバイス領域に対応する位置に設けられ、前記複数の第1貼合電極の一部に対応する複数の第1貼合電極パターンを含む複数の第1マスク領域と、
前記第1デバイス領域を取り囲む第1カーフ領域に対応する位置に設けられ、前記複数の第1貼合電極の他の一部に対応する複数の第2貼合電極パターンを含む第2マスク領域と
を備え、
前記第2マスクは、
前記第2ウェハの複数の第2デバイス領域に対応する位置に設けられ、前記複数の第2貼合電極の一部に対応する複数の第3貼合電極パターンを含む複数の第3マスク領域と、
前記第2デバイス領域を取り囲む第2カーフ領域に対応する位置に設けられ、前記複数の第2貼合電極の他の一部に対応する複数の第4貼合電極パターンを含む第4マスク領域と
を備え、
前記複数の第1貼合電極パターンは、前記複数の第3貼合電極パターンと重なる位置に設けられ、
前記複数の第2貼合電極パターンの少なくとも一部は、前記複数の第4貼合電極パターンのいずれとも重ならない位置に設けられている
半導体装置の製造方法。
【0172】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0173】
GM,GM…マスク、Pkx…貼合電極パターン、Pk1x,Pk2x…貼合電極、W,W…ウェハ、RMD,Rdev…デバイス領域、R…カーフ領域、DL…ダイシングライン、FRPdat,FRMdat,FRMdatSR,FRPdatSR…フレームデータ、200…半導体基板、GC…電極層、LWL…ワード線層、110…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁膜
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