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  • 特開-車両の内装部品 図1
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  • 特開-車両の内装部品 図3
  • 特開-車両の内装部品 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018224
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】車両の内装部品
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
B60R13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121742
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 高志
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 徹
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB01
3D023BC01
3D023BD12
3D023BE05
(57)【要約】
【課題】基材を覆う表皮材の端末部分において、破れや白化を発生させず、かつ、基材の端末を鋭角的な形状とする車両の内装部品を実現する。
【解決手段】車両の内装部品は、基材18と、前記基材18の少なくとも一部を覆う表皮材20と、を備え、前記基材18の端末における裏面には、リブ22が設けられ、前記表皮材20の端末部分は、前記基材18の裏面に巻き込まれ、前記リブ22を含んで前記基材18に溶着される、ことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の少なくとも一部を覆う表皮材と、
を備え、
前記基材の端末における裏面には、リブが設けられ、
前記表皮材の端末部分は、
前記基材の裏面に巻き込まれ、
前記リブを含んで前記基材に溶着される、
ことを特徴とする車両の内装部品。
【請求項2】
前記リブの側壁は、前記基材の端末の周縁から離隔した位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の内装部品。
【請求項3】
前記基材は、前記端末に向けて先細り形状であって、前記リブは、当該先細り形状の先端に向けた方向と直交する方向において略中央に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内装部品において、基材の表面は表皮材で覆われている。従来、内装部品の意匠性の向上や、基材と表皮材とのより確実な溶着を図るために、表皮材の成形方法や、表皮材の基材への保持方法に関する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、本体部と、フランジ部と、支持リブと、を有する基材と、この基材を覆ってこの基材に固定される表皮体と、を備える内装材が開示されている。この内装材においては、フランジ部を巻き込んだ表皮体の端末部を、フランジ部の内方に突設されるガイド部に沿って押し込むことで、端末部をガイド部によってガイドしつつ支持リブとフランジ部との間に挟み込ませる。その結果、表皮体の端末部を基材に対して容易かつ確実に保持できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-114261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の車両の内装部品の端末部分においては、表皮材を折りたたんで基材の裏面に収めていた。このとき、基材の端末が鋭角的な形状である場合、基材の端末に接する表皮材の部分に破れや白化が発生することがあった。そのため、当該端末の形状は、鋭角的な形状にすることを避け、大きい角R形状(すなわち、角のカーブの大きさを大きくして鈍角的な形状)としていた。一方、意匠の観点からは、内装部品の端末をより鋭角な形状にしたい場合がある。
【0006】
そこで、本明細書では、基材を覆う表皮材の端末部分において、基材の端末を鋭角的な形状とした場合であっても、表皮材に破れや白化を発生させない車両の内装部品を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する車両の内装部品は、基材と、前記基材の少なくとも一部を覆う表皮材と、を備え、前記基材の端末における裏面には、リブが設けられ、前記表皮材の端末部分は、前記基材の裏面に巻き込まれ、前記リブを含んで前記基材に溶着される、ことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、基材の端末を鋭角的な形状とした場合であっても、表皮材の端末部分は基材の裏面に巻き込まれ、リブに溶着されるため、表皮材の端末部分を折りたたむ必要がない。その結果、基材の端末に接する表皮材の部分における破れや白化の発生を防止できる。
【0009】
また、前記車両の内装部品において、前記リブの側壁は、前記基材の端末の周縁から離隔した位置に配置される、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記車両の内装部品において、前記基材は、前記端末に向けて先細り形状であって、前記リブは、当該先細り形状の先端に向けた方向と直交する方向において略中央に配置される、ことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、内装部品の意匠線を出しつつ、かつ、基材の裏面に巻き込んだ表皮材の端末部分が意匠面に現れることを回避できる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書で開示の車両の内装部品によれば、基材を覆う表皮材の端末部分において、基材の端末を鋭角的な形状とし、かつ、表皮材に破れや白化を発生させないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】内装部品を設けた車両内部の概略図である。
図2】車両の内装部品を車両下方から見た概略斜視図である。
図3】車両の内装部品の裏面を示す概略斜視図である。
図4】表皮材をリブに溶着する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して車両の内装部品について説明する。なお、各図において、「Fr」、「Up」、および、「Rh」は、それぞれ、車両前方、上方、および、右側方を示している。
【0015】
図1は、内装部品を設けた車両内部の概略図である。図1に示すように、車両10のインストルメントパネルの車幅方向右端にエアコンの吹出口12が設けられている。また、このエアコンの吹出口12の直下には、内装部品14が配置されている。より詳しくは、この車両10の内装部品14は、エアコンの吹出口12の背面に位置し、その車幅方向の外側の端面は、ドアやフロントピラーなどの車体側面部16と対向する箇所に設けられている。なお、図1においては、内装部品14を破線で囲んで示している。
【0016】
本例においては、特許請求の範囲における「基材」は、内装部品14の本体部である。しかし、本明細書で開示する車両の内装部品は、これに限らない。ここでは、基材の一例として、図1のようにエアコンの吹出口の直下に設けられる部材を例示している。しかし、基材は、例えば、インストルメントパネルの他の加飾部品であってもよいし、コンソールボックスの蓋体でもよい。すなわち、特許請求の範囲における基材は、車内の様々な内装部品に適用できる。
【0017】
次に、図2,3を用いて、内装部品14についてさらに説明する。図2は、車両の内装部品を車両下方から見た概略斜視図である。また、図3は、車両の内装部品の裏面を示す概略斜視図である。図2,3に示すように、車両10の内装部品14は、基材18と、表皮材20と、を備える。本例では、基材18は、エアコンの吹出口12の直下に設けられる部材である。表皮材20は、基材18の少なくとも一部を覆う部材である。基材18および表皮材20の材質は特に限定されず、表皮材20が基材18の表面に溶着できればよい。なお、図2,3においては、基材18は、表皮材20で覆われた状態であるため、参照符号を括弧書きで示している。また、表皮材20は、薄墨部分で示している。
【0018】
図2,3に示すように、基材18の端末における裏面には、リブ22が設けられる。本例においては、リブ22は、基材18と一体成形される。リブ22は、基材18の表面(すなわち、意匠面)に対して直角に延在する補強部材である。なお、図2-4では、リブ22は、濃墨部分で示している。
【0019】
図2に示すように、本明細書で開示する車両の内装部品は、表皮材20で覆われた基材18の端末において、鋭角的な形状が実現されている。図2には、基材18の輪郭において、隣接する2辺の延長線を破線で示している。すなわち、図2に示す破線は、当該破線が交差する角度が鋭角であること、言い換えると、基材18の端末が鋭角的な形状であることを表している。
【0020】
上記のように、基材18の端末を鋭角的な形状にした上で、表皮材20を基材18の表面に溶着するためには、リブ22が必要となる。本例のリブ22は、鋭角な端末に向けて延在している。この構成について、図4を用いてさらに説明する。
【0021】
図4は、表皮材をリブに溶着する様子を示す図である。図4には、基材18の裏面が示されている。なお、図4においては、表皮材20の端末部分における基材18の裏面への溶着のための代部分を、溶着代20a,20bとして示している。また、表皮材20およびその一部である溶着代20a,20bは、他の部材との境界を区別するために、薄墨で示し、さらに二点鎖線で囲んでいる。なお、溶着代20aと比較して、溶着代20bは、より薄い色で示している。
【0022】
従来から、車両の内装部品においては、意匠性を確保するため、基材の表面は表皮材で覆われており、当該表皮材の端末は基材の裏面側に巻き込まれる。本例においては、基材18の表面は表皮材20で覆われており、表皮材20の端末部分は、基材18の裏面に巻き込まれる。そして、当該裏面に巻き込まれた表皮材20の端末部分は、リブ22を含んで基材18に溶着される。図4には、当該溶着の工程を、上から順に示している。
【0023】
図4の最上部の図は、基材18に表皮材20を合わせた状態(すなわち、表皮材20が基材18の表面を覆った状態)を示した図である。この図においては、溶着代20a,20bは、基材18の裏面に巻き込まれる前の状態にある。図4の上から2つ目の図は、溶着代20aを基材18の裏面に巻き込んで溶着した状態を示した図である。図4の上から3つ目の図は、溶着代20bを基材18の裏面に巻き込んで溶着した状態を示した図である。この図から分かるように、基材18の先端部分の近傍には、表皮材20の端部分が余っている。すなわち、溶着代20a,20bにおいては、余った皮部分が存在する。ここで、基材18にリブ22が設けられていない場合には、表皮材20の端の余った皮部分を折りたたみ、基材18の裏面に収めることになる。しかし、かかる場合、当該余った皮部分を収めるスペースが基材18の裏面に余分に必要になることがある。また、本例のような基材18の先端部分が先細り形状、すなわち、端末が鋭角的な形状の場合には、表皮材20の端の余った皮部分を折りたたむときに、表皮材20に力が掛かり、破れや白化が発生することがある。しかし、本例においては、基材18にはリブ22が設けられているため、図4の上から3つ目の図の2つの黒矢印で示すように、当該余った皮部分は、折りたたまずにリブ22を含んで基材18に溶着できる。次に、図4の最下部に示す図は、当該リブ22を含んで基材18に表皮材20を溶着させた状態を示した図である。この図から分かるように、表皮材20の端の余った皮部分は、リブ22の表面や側面などにぐるりと巻き込んでから溶着させている。
【0024】
上記のように、基材18の端末は鋭角的な形状であるが、表皮材20の端末部分は基材18の裏面に巻き込み、リブ22に溶着させている。言い換えると、表皮材20の端末部分は、リブ22に沿って表皮を収めることができる。したがって、表皮材20の端末部分を折りたたむ必要がない。その結果、基材18の端末に接する表皮材20の部分における破れや白化の発生を防止できる。
【0025】
また、図4に示すように、リブ22の側壁は、基材18の端末の周縁から離隔した位置に配置される。基材18は、端末に向けて先細り形状であるが、リブ22は、当該先細り形状の先端に向けた方向と直交する方向において略中央に配置される。これは、例えば、リブ22が基材18の片方の辺に沿っている場合(すなわち、基材18の側面から延長させた形状である場合)、部品と部品との隙間から端末処理をした表皮材20の皮の部分が見えることがある。しかし、意匠の観点からは、このような基材18の裏面に巻き込んだ表皮材20の余った箇所が意匠面から見えることを回避する必要がある。そのため、リブ22の側壁は、基材18の端末の周縁から離隔した位置(例えば、図4に示すように、基材18の輪郭において、隣接する2辺の略中央)に配置される。
【0026】
なお、これまでの説明は一例であり、本明細書で開示する車両の内装部品は、表皮材の端末部分が、基材の裏面に巻き込まれ、リブを含んで基材に溶着される構成であればよい。したがって、車両の内装部品のその他の構成は、適宜、変更されてもよい。
【0027】
例えば、実施形態においては、リブ22の形状を三角形として示しているが、これに限らない。リブ22は、表皮材20の端の余った所を巻き込めればよい。すなわち、リブ22は、表皮材20の端の余った皮を溶着できる面積があればよいため、その形状は特に限定されない。したがって、リブ22の形状は、三角形の他に、例えば、断面が長軸と短軸とを有する矩形状の棒状であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 車両、12 エアコンの吹出口、14 車両の内装部品、16 ドア、18 基材、20 表皮材、22 リブ。
図1
図2
図3
図4