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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018242
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】計測装置及び計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/30 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
G01B5/30
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121782
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】513278068
【氏名又は名称】株式会社ALFA
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 好孝
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA01
2F062AA04
2F062BC45
2F062DD23
2F062EE01
2F062GG11
2F062HH05
2F062MM06
2F062MM10
(57)【要約】
【課題】車体の歪みの計測精度を向上させることが可能な計測装置及び計測方法を提供する。
【解決手段】本体10を第1支持部40、第2支持部80、及びスタンド31(第3支持部)によって支持し、計測部110の接続部122(基準接続部)を、車体の一方の第2基準5R(計測対象基準)に接続し、計測装置1を左右方向へ反転させ、さらに、第1支持部40のロッド部61、第2支持部80のロッド部91、及び計測部110のロッド部121を、装置中心面P0に対して反転させ、本体10を第1支持部40、第2支持部80、及びスタンド31によって支持するので、計測部110の接続部122を、車体の他方の第2基準5L(計測対象基準)に正確に位置決めすることができる。これにより、車体の歪みの計測精度を向上させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に左右対称に配置された複数の基準を用いて車体の歪みを比較計測する装置であって、
装置中心面に沿って延びる本体と、
一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち支持対象基準に接続される3つの支持部と、
一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち計測対象基準に接続される計測部と、
を備え、
前記支持部及び前記計測部は、一端側が前記本体に接続され、前記装置中心面に沿って延びるアームと、一端側が前記アームに接続され、他端側に基準接続部が設けられるロッド部と、前記ロッド部を前記装置中心面を対称面として反転可能に保持する保持部を有することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計測装置であって、
前記保持部は、前記ロッド部が挿入され、前記ロッド部を前記装置中心面に対して垂直方向へ案内するガイド部と、前記ロッド部を前記ガイド部に固定する固定部とを有し、
前記ロッド部は、前記ガイド部の端面に当接させる当接部を有し、
前記ガイド部は、一端側の端面から前記装置中心面までの距離と、他端側の端面から前記装置中心面までの距離とが等しいことを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の計測装置であって、
前記ロッド部は、前記ガイド部に挿入される第1ロッドと、前記第1ロッドに接続され、前記第1ロッドに対して垂直に延び、前記基準接続部が設けられる第2ロッドと、一端側の端部が前記第2ロッドに接続され、他端側の端部が前記支持アームに形成された穴に抜き差し可能に挿入される第3ロッドとを有することを特徴とする計測装置。
【請求項4】
請求項1に記載の計測装置を用いて車体の歪みを計測する方法であって、
3つの支持部の基準接続部を選択された支持対象基準に接続し、本体を支持するステップと、
計測部の基準計測部を、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、一方の計測対象基準に接続するステップと、
計測装置を左右方向へ反転させるステップと、
前記支持部及び前記計測部のロッド部を、装置中心面を対称面として反転させて前記支持部及び前記計測部の保持部で保持するステップと、
前記支持部の前記基準接続部を、前記選択された支持対象基準に対して左右対称に配置された支持対象基準に接続し、本体を支持するステップと、
前記計測部の基準接続部の位置と、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、他方の計測対象基準との位置を比較するステップと、
を含むことを特徴とする計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の歪みを計測するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、正常側の基準ポイントと正常側の測定ポイントとの距離に合わせて二点間を調整し、次に、歪み側(損傷側)の基準ポイントにセットされた吸着具のマグネットに先端球状シャフトの球状先端部分をセットし、先端尖状シャフトの円錐状先端部分が歪み側の測定ポイントから離れている度合いに基づいて車体の歪みを測定するようにした二点間距離ゲージ(以下「従来の計測装置」と称する)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6021137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の計測装置は、正常側の2点間の距離と損傷側の2点間の距離とを比較するものであり、作業者が目安的に使用するに止まる。また、従来の計測装置では、一方の接続部(先端部分)を損傷側の車体の基準に接続させた状態で、他方の接続部(先端部分)の三次元空間における位置を特定することができない。
【0005】
本発明は、車体の計測精度を向上させることが可能な計測装置及び計測方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計測装置は、車体に左右対に配置された複数の基準を用いて車体の歪みを比較計測する装置であって、装置中心面に沿って延びる本体と、一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち支持対象基準に接続される3つの支持部と、一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち計測対象基準に接続される計測部と、を備え、前記支持部及び前記計測部は、一端側が前記本体に接続され、前記装置中心面に沿って延びるアームと、一端側が前記アームに接続され、他端側に基準接続部が設けられるロッド部と、前記ロッド部を前記装置中心面を対称面として反転可能に保持する保持部を有することを特徴とする。
本発明の計測方法は、3つの支持部の基準接続部を選択された支持対象基準に接続し、本体を支持するステップと、計測部の基準計測部を、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、一方の計測対象基準に接続するステップと、計測装置を左右方向へ反転させるステップと、前記支持部及び前記計測部のロッド部を、装置中心面を対称面として反転させて前記支持部及び前記計測部の保持部で保持するステップと、前記支持部の前記基準接続部を、前記選択された支持対象基準に対して左右対称に配置された支持対象基準に接続し、本体を支持するステップと、前記計測部の基準接続部の位置と、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、他方の計測対象基準との位置を比較するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車体の計測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の説明図であって、計測装置の平面図である。
図2】本実施形態の説明図であって、計測装置の正面図である。
図3】本実施形態の説明図であって、支持部の側面図である。
図4】本実施形態の説明図であって、計測部の側面図である。
図5】本実施形態の説明図であって、車体前部に左右対称に配置された基準を示す図である。
図6】本実施形態の説明図であって、本体並びに支持部及び計測部を図2に対して反転させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
本実施形態では、図5に示される車体前部のメンバ部品2に左右対称に配置された一対の第1基準3L,3R(支持対象基準)及び一対の第2基準5L,5R(計測対象基準)並びにメンバ部品2の中央に配置された第3基準7(支持対象基準)に基づき、車体の歪みを計測するための装置及び方法を説明する。
【0010】
まず、本実施形態に係る計測装置1を説明する。便宜上、計測対象車両(図示省略)の正面に立つ作業者の視線に基づき方向を定める。例えば、図1及び図2における左方向(左側)及び右方向(右側)を左方向(左側)及び右方向(右側)、図2における上方向(上側)及び下方向(下側)を上方向(上側)及び下方向(下側)、並びに図1における下方向(下側)及び上方向(上側)を前方向(前側)及び後方向(後側)と定める。
【0011】
図1又は図2に示されるように、計測装置1は、アルミニウム合金製の角形管(以下「アルミ製角パイプ」と称する)によって構成された本体10を有する。本体10は、左右方向へ延びるメインビーム15を有する。本体10には、メインビーム15に対して垂直に配置され、メインビーム15の左右方向(長さ方向)中央部から前方向へ延びる、後述する第3支持部のセンタビーム25(アーム)が接続される。本体10は、一端側(図1における「右側」)の端部がメインビーム15の前側の側面18に接続され、他端側(図1における「左側」)の端部がセンタビーム25の右側の側面28に接続されるL形ビーム35を有する。
【0012】
本体10のメインビーム15の側面16及びL形ビーム35の側面36並びに第3支持部のセンタビーム25の側面26は、同一平面(便宜上、当該平面を「基準面11」と称する)上に配置される。本体10は、メインビーム15の側面17、センタビーム25の側面27、及びL形ビーム35の側面37が同一平面(便宜上、当該平面を「基準面12」と称する)上に配置される。計測装置1は、装置中心面P0を有する。本体10は、基準面11から装置中心面P0までの距離と、基準面12から装置中心面P0までの距離が等しい。換言すれば、本体10は、装置中心面P0に沿って延びるように形成される。
【0013】
計測装置1は、本体10を車体上に支持する3つの支持部(支持部)を備える。3つの支持部のうち第1支持部40は、一端側の端部42がメインビーム15の右側の端部20に接続され、装置中心面P0に沿って延びるアーム41(アーム)を有する。図3に示されるように、アーム41は、アルミ合金製のフラットバーからなる一対のアームプレート45,46を有する。アームプレート45,46は、上下方向に間隔をあけて対向して配置される。アーム41は、一端側の端部42が本体10のメインビーム15の一端側(図1における「右側」)の端部20に接続される。アーム41は、一端側の端部42(アームプレート45,46)に形成された同軸の穴47,47を有する。
【0014】
他方、本体10は、メインビーム15の一端側(図1における「右側」)の端部20に形成された複数個(本実施形態では「3個」、図1に2個のみ表示)の穴48(貫通孔)を有する。本実施形態では、アームプレート46の穴47、メインビーム15の3つの穴48のうち図1における右端の穴48、及びアームプレート45の穴47にボルト49を挿通し、アームプレート45から突出したボルト49の先端部にノブナット50を装着する。アーム41の一端側の端部42は、ノブナット50を締め付け、一対のアームプレート45,46間でメインビーム15の一端側の端部20を挟圧することにより、本体10に固定される。
【0015】
アーム41は、他端側の端部43に設けられ、アルミ製角パイプからなる筒体51を有する。筒体51は、一対のアームプレート45,46間に配置される。筒体51の外側の端面52とアームプレート46の端面54とは、同一平面上に配置される。アームプレート45は、アームプレート46よりも全長が短いため、筒体51は、端部55の側面56が露出される。なお、筒体51は、アームプレート45,46に接合される。
【0016】
第1支持部40は、第1基準3L,3Rに接続させる接続部62(基準接続部)を有するロッド部61と、アーム41の他端側の端部43に設けられ、ロッド部61を保持する保持部71とを備える。ロッド部61は、保持部71によってアーム41(装置中心面P0)に対して垂直に保持される第1ロッド63を有する。第1ロッド63は、保持部71のガイド部72の軸穴(図示省略)に摺動可能に挿通される摺動部64と、第1ロッド63の下部に形成される大径部65とを有する。
【0017】
ロッド部61は、第1ロッド63に対して垂直に配置され、第1ロッド63の大径部65の下側の端部を貫通する第2ロッド66を有する。第1ロッド63の下側の端部は、第2ロッド66の軸方向中央部に接続される。第1ロッド63の中心線(軸線)は、第2ロッド66の中心線(軸線)に直交する。第2ロッド66の一端側(図3における「右側」)の端部には、紡錘形の接続部62が下向きに取り付けられる。接続部62は、中心線が第1ロッド63の中心線に対して平行に配置され、かつ中心線が第2ロッド66の中心線に直交する。
【0018】
ロッド部61は、第2ロッド66からアーム41に向かって延びる第3ロッド67を有する。第3ロッド67は、一端側(図3における「下側」)の端部が、第2ロッド66の他端側(図3における「左側」)の端部に接続され、他端側(図における「上側」)の端部が、アーム41の一端側の端部42に形成された穴68に挿入される。穴68は、アームプレート45及びアームプレート46の両方に同軸に設けられ、図3では、第3ロッド67は、アームプレート46の穴68に挿入される。
【0019】
ガイド部72は、円筒管からなり、中心線が車両中心線P0に対して垂直に配置され、アーム41の他端側の端部43(アームプレート45,46)を貫通する。ガイド部72は、一端側(図3における「上側」)の端面73から装置中心面P0までの距離と、他端側(図3における「下側」)の端面74から装置中心面P0までの距離とが等しく設定される。保持部71は、第1ロッド63の大径部65(当接部)をガイド部72の一端側の端面73又は他端側の端面74に当接させた状態で、第1ロッド63の摺動部64をガイド部72に対して固定するロックボルト76(固定部)を有する。
【0020】
図1又は図2に示されるように、3つの支持部のうち第2支持部80は、一端側の端部82がメインビーム15の他端側(図1図2における「左側」)の端部21に接続され、装置中心面P0に沿って延びるアーム81と、車体の第1基準3L,3R(支持対象基準)に接続させる接続部62(基準接続部)を有するロッド部91と、アーム81の他端側の端部83に設けられ、ロッド部91を保持する保持部101とを備える。
【0021】
本実施形態では、第1支持部40と第2支持部80とは、基本構造が同一である。便宜上、第2支持部80の、第1支持部40との共通部分については、同一の称呼及び符号を用い、重複する説明を省略する。また、本実施形態では、3つの支持部のうち第3支持部(符号省略)は、センタビーム25(アーム)と、後述するスタンド31(ロッド部)とによって構成される。
【0022】
図1又は図2に示されるように、計測装置1は、一端側の端部112が本体10のL形ビーム35に接続され、装置中心面P0に沿って延びるアーム111と、車体の第2基準5L,5Rに接続させる接続部122(基準接続部)を有するロッド部121と、アーム111の他端側の端部113に設けられ、ロッド部121を保持する保持部131とを備える。本実施形態では、アーム111及び保持部131は、前述したアーム41及び保持部71と基本構造が同一である。便宜上、アーム111及び保持部131の、アーム41及び保持部71との共通部分については、アーム41及び保持部71と同一の称呼及び符号を用い、重複する説明を省略する。
【0023】
図4に示されるように、ロッド部121は、保持部131のガイド部72の軸穴(図示省略)に摺動可能に挿入され、アーム111(装置中心面P0)に対して垂直に保持されるロッド123を有する。ロッド123の一端側(図4における「下側」)の端部には、圧縮コイルばね124の他端側(図4における「上側」)の端部が接続される。圧縮コイルばね124は、ロッド123に対して同軸に配置される。圧縮コイルばね124の一端側(図4における「下側」)の端部には、先細り形の接続部122が固定される。
【0024】
保持部131は、ロッド123の外周に装着されるボス132(当接部)を有する。ボス132の軸穴(図示省略)には、ロッド123が摺動可能に挿通される。ボス132には、ボス132をがロッド123に固定するための蝶ボルト133が装着される。保持部131は、ボス132をガイド部72の一端側(図4における「上側」)の端面73に当接させたときの装置中心面P0から接続部122の先端までの距離と、ロッド部121を反転させ、ボス132をガイド部72の他端側(図4における「下側」)の端面74に当接させたときの装置中心面P0から接続部122の先端までの距離とが等しい。
【0025】
次に、前述した計測装置1を使用して、車体前部のメンバ部品2(図5参照)に左右対称に配置された一対の第1基準3L,3R(支持対象基準)及び一対の第2基準5L,5R(計測対象基準)並びにメンバ部品2の中央に配置された第3基準7(支持対象基準)に基づき、車体の歪みを計測する方法を説明する。ここでは、左側の第2基準5Lの、右側の第2基準5Rに対する歪みの度合を計測する手順を説明する。
【0026】
まず、基準面11を上に向けた状態(図2参照)で、第1支持部40のロッド部61の接続部62(基準接続部)を右側の第1基準3Rに接続し、第2支持部80のロッド部91の接続部62を左側の第1基準3Lに接続する。この状態で、第1支持部40のアーム41のノブナット50及び第2支持部80のアーム81のノブナット50を締め付け、アーム41及びアーム81を本体10のメインビーム15に固定する。
【0027】
なお、第1支持部40のロッド部61の第1ロッド63は、大径部65(当接部)が保持部71のガイド部72の他端側(図4における「下側」)の端面74に当接され、ロックボルト76によって当該ガイド部72に固定される。他方、第2支持部80のロッド部91の第1ロッド63は、大径部65が保持部101のガイド部72の他端側の端面74に当接され、ロックボルト76によって当該ガイド部72に固定される。
【0028】
次に、スタンド31(ロッド部)の一端側(図2における「下側」)の端部(基準接続部)を第3基準7(支持対象基準)に接続し、スタンド31の他端側(図2における「上側」)の端部を第3支持部のセンタビーム25(アーム)の図2における下側の側面27に接続(当接)させる。これにより、本体10は、基準面11を上に向けた状態で、車体前部のメンバ部品2上に3点支持される。
【0029】
次に、計測部110のロッド部121の接続部122(基準接続部)を右側の第2基準5R(計測対象基準)に接続し、この状態で、アーム111のノブナット50を締め付け、アーム111を本体10のL形ビーム35に固定する。さらに、保持部131のボス132(当接部)をガイド部72の他端側(図4における「下側」)の端面74に当接させた状態で、蝶ボルト133を締め付け、ロッド部121のロッド123を保持部131のガイド部72に固定する。
【0030】
次に、計測装置1を左右方向へ反転し、基準面12を上に向けた状態で支持する。次に、第1支持部40の保持部71のロックボルト76を緩めてロッド部61をアーム41(ガイド部72)から取り外し、取り外したロッド部61を反転させて保持部71によって再保持する。すなわち、ロッド部61の大径部65(当接部)を保持部71のガイド部72の一端側(図3における「上側」)の端面73に当接させ、ロッド部61の第3ロッド67をアーム41のアームプレート45の穴68に挿入し、ロックボルト76を締め付け、ロッド部61の第1ロッド63を保持部71のガイド部72に固定する。
【0031】
同様に、第2支持部80保持部101のロックボルト76を緩めてロッド部91をアーム81から取り外し、取り外したロッド部91を反転させて保持部101によって再保持する。すなわち、ロッド部91の大径部65(当接部)を保持部101のガイド部72の一端側(図3における「上側」)の端面73に当接させ、ロッド部91の第3ロッド67をアーム81のアームプレート45の穴68に挿入し、この状態でロックボルト76を締め付け、ロッド部91の第1ロッド63を保持部101のガイド部72に固定する。
【0032】
さらに、計測部110の保持部131のロックボルト76を緩めてロッド部121をアーム111(ガイド部72)から取り外し、取り外したロッド部121を反転させて保持部131によって再保持する。すなわち、ロッド部131のボス132(当接部)を保持部131のガイド部72の一端側(図4における「上側」)の端面73に当接させ、この状態でロックボルト76を締め付け、ロッド部121のロッド123を保持部131のガイド部72に固定する。
【0033】
次に、第1支持部40のロッド部61の接続部62(基準接続部)を左側の第1基準3L(支持対象基準)に接続し、第2支持部80のロッド部91の接続部62を右側の第1基準3R(支持対象基準)に接続する。この状態で、第1支持部40のアーム41のノブナット50及び第2支持部80のアーム81のノブナット50を締め付け、アーム41及びアーム81を本体10のメインビーム15に固定する。この状態で、第3支持部のセンタビーム25(アーム)の図6における下側の側面27を、第3支持部のスタンド31(ロッド部)の他端側(図6における「上側」)の端部に接続(当接)する。これにより、計測装置1の本体10は、基準面12を上に向けた状態で、車体前部のメンバ部品2上に3点支持される。
【0034】
ここで、計測対象基準である第2基準5Lと第2基準5Rとは、左右対称に配置されている。すなわち、計測部110のロッド部121の接続部122(基準接続部)の先端位置は、事故等で損傷する前の第2基準5Lの正規の位置である。よって、ロッド部121の接続部122が第2基準5Lに接続されるように、メンバ部品2を修理したり部品交換することで、車体の歪みを損傷前の状態に戻すことができる。
【0035】
ここで、従来の計測装置は、車体における正常側の2点間の距離と損傷側の2点間の距離とを比較するものであり、作業者が目安的に使用するに止まる。また、従来の計測装置は、一方の接続部を損傷側の車体の基準に接続させた状態で、他方の接続部を、一方の接続部を中心とする半径R(2つの接続部間の距離)の円上に位置決め可能であり、他方の接続部の三次元空間における位置を特定することができない。
【0036】
これに対し、本実施形態では、第1支持部40のロッド部61の接続部62(基準接続部)を、一方の第1基準3R(支持対象基準)に接続し、第2支持部80のロッド部91の接続部62を、他方の第1基準3L(支持対象基準)に接続し、第3支持部のスタンド31(ロッド部)の一端側の端部(基準接続部)を、メンバ部品2の第3基準7(支持対象基準)に接続し、本体10を3点支持する。
次に、ロッド部121の接続部122を一方の第2基準5Rに接続する。
次に、計測装置1を左右方向へ反転させる。
次に、第1支持部40のロッド部61、第2支持部80のロッド部91、及び計測部110のロッド部121を、本体10(装置中心面P0)に対して反転させる。なお、本実施形態では、スタンド31(第3保持部のロッド部)を反転させる必要はない。
次に、第1支持部40のロッド部61の接続部62を他方の第1基準3L(支持対象基準)に接続し、第2支持部80のロッド部91の接続部62を一方の第1基準3R(支持対象基準)に接続し、第3支持部のスタンド31(ロッド部)の他端側の端部を第3支持部のセンタビーム25(アーム)に接続(当接)させ、本体10を3点支持する。
このとき、計測部110のロッド部121の接続部122の先端位置は、事故等で損傷する前の他方の第2基準5Lの正規の位置となる。
このように、本実施形態では、計測装置1の本体10を第1支持部40、第2支持部80、及び第3支持部によって3点支持した状態で、計測部110のロッド部121の接続部122(基準接続部)を、メンバ部品2に設けられた第2基準5L,5R(計測対象基準)に接続させるので、計測装置1を左右方向へ反転させ、さらに計測部110のロッド部121を装置中心面P0に対して反転させることにより、計測部110のロッド部121の接続部122を、三次元空間に正確に位置決めすることができる。
また、本実施形態では、第1支持部40のロッド部61の第3ロッド67及び第2支持部80のロッド部91の第3ロッド67を、第1支持部40のアーム41の穴68及び第2支持部80のアーム81の穴68に挿入するように構成ので、第1支持部40及び第2支持部80のロッド部121を反転させる前の第2ロッド66の、アーム41及びアーム81に対する平面視(図1参照)における角度を、ロッド部121を反転させた後の第2ロッド66の、アーム41及びアーム81に対する平面視における角度と、同一に再現することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 計測装置、3L,3R 第1基準、5L,5R 第2基準、7 第3基準、10 本体、31 スタンド、41 アーム、63 第1ロッド(ロッド)、71 保持部、72 ガイド部、73 一端側の端面、74 他端側の端面、76 ロックボルト(固定部)、81 アーム、101 保持部、111 第3アーム、123 ロッド、131 保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に左右対称に配置された複数の基準を用いて車体の歪みを比較計測する装置であって、
装置中心面に沿って延びる本体と、
一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち支持対象基準に接続される3つの支持部と、
一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち計測対象基準に接続される計測部と、
を備え、
前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部は、一端側が前記本体に接続され、前記装置中心面に沿って延びるアームと、一端側が前記アームに接続され、他端側に基準接続部が設けられるロッド部と、前記ロッド部を前記装置中心面を対称面として反転可能に保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記ロッド部が挿入され、前記ロッド部を前記装置中心面に対して垂直方向へ案内するガイド部と、前記ロッド部を前記ガイド部に固定する固定部とを有し、
前記ロッド部は、前記ガイド部の端面に当接させる当接部を有し、
前記ガイド部は、一端側の端面から前記装置中心面までの距離と、他端側の端面から前記装置中心面までの距離とが等しいことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計測装置であって、
前記ロッド部は、前記ガイド部に挿入される第1ロッドと、前記第1ロッドに接続され、前記第1ロッドに対して垂直に延び、前記基準接続部が設けられる第2ロッドと、一端側の端部が前記第2ロッドに接続され、他端側の端部が前記ームに形成された穴に抜き差し可能に挿入される第3ロッドとを有することを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の計測装置を用いて車体の歪みを計測する方法であって、
3つの支持部の基準接続部を選択された支持対象基準に接続し、本体を支持するステップと、
計測部の基準計測部を、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、一方の計測対象基準に接続するステップと、
前記計測装置を左右方向へ反転させるステップと、
前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部のロッド部を、装置中心面を対称面として反転させて前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部の保持部で保持するステップと、
前記3つの支持部のうちいずれかの支持部の前記基準接続部を、前記選択された支持対象基準に接続し、前記本体を支持するステップと、
前記計測部の基準接続部の位置と、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、他方の計測対象基準との位置を比較するステップと、
を含むことを特徴とする計測方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の計測装置は、車体に左右対に配置された複数の基準を用いて車体の歪みを比較計測する装置であって、装置中心面に沿って延びる本体と、一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち支持対象基準に接続される3つの支持部と、一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち計測対象基準に接続される計測部と、を備え、前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部は、一端側が前記本体に接続され、前記装置中心面に沿って延びるアームと、一端側が前記アームに接続され、他端側に基準接続部が設けられるロッド部と、前記ロッド部を前記装置中心面を対称面として反転可能に保持する保持部を有し、前記保持部は、前記ロッド部が挿入され、前記ロッド部を前記装置中心面に対して垂直方向へ案内するガイド部と、前記ロッド部を前記ガイド部に固定する固定部とを有し、前記ロッド部は、前記ガイド部の端面に当接させる当接部を有し、前記ガイド部は、一端側の端面から前記装置中心面までの距離と、他端側の端面から前記装置中心面までの距離とが等しいことを特徴とする。
本発明の計測方法は、3つの支持部の基準接続部を選択された支持対象基準に接続し、本体を支持するステップと、計測部の基準計測部を、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、一方の計測対象基準に接続するステップと、前記計測装置を左右方向へ反転させるステップと、前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部のロッド部を、装置中心面を対称面として反転させて前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部の保持部で保持するステップと、前記3つの支持部のうちいずれかの支持部の前記基準接続部を、前記選択された支持対象基準に接続し、前記本体を支持するステップと、前記計測部の基準接続部の位置と、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、他方の計測対象基準との位置を比較するステップと、を含むことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
さらに、計測部110の保持部131のロックボルト76を緩めてロッド部121をアーム111(ガイド部72)から取り外し、取り外したロッド部121を反転させて保持部131によって再保持する。すなわち、ロッド部11のボス132(当接部)を保持部131のガイド部72の一端側(図4における「上側」)の端面73に当接させ、この状態でロックボルト76を締め付け、ロッド部121のロッド123を保持部131のガイド部72に固定する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
次に、第1支持部40のロッド部61の接続部62(基準接続部)を左側の第1基準3L(支持対象基準)に接続し、第2支持部80のロッド部91の接続部62を右側の第1基準3R(支持対象基準)に接続する。この状態で、第3支持部のセンタビーム25(アーム)の図6における下側の側面2を、第3支持部のスタンド31(ロッド部)の他端側(図6における「上側」)の端部に接続(当接)する。これにより、計測装置1の本体10は、基準面12を上に向けた状態で、車体前部のメンバ部品2上に3点支持される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
これに対し、本実施形態では、第1支持部40のロッド部61の接続部62(基準接続部)を、一方の第1基準3R(支持対象基準)に接続し、第2支持部80のロッド部91の接続部62を、他方の第1基準3L(支持対象基準)に接続し、第3支持部のスタンド31(ロッド部)の一端側の端部(基準接続部)を、メンバ部品2の第3基準7(支持対象基準)に接続し、本体10を3点支持する。
次に、ロッド部121の接続部122を一方の第2基準5Rに接続する。
次に、計測装置1を左右方向へ反転させる。
次に、第1支持部40のロッド部61、第2支持部80のロッド部91、及び計測部110のロッド部121を、本体10(装置中心面P0)に対して反転させる。なお、本実施形態では、スタンド31(第3保持部のロッド部)を反転させる必要はない。
次に、第1支持部40のロッド部61の接続部62を他方の第1基準3L(支持対象基準)に接続し、第2支持部80のロッド部91の接続部62を一方の第1基準3R(支持対象基準)に接続し、第3支持部のスタンド31(ロッド部)の他端側の端部を第3支持部のセンタビーム25(アーム)に接続(当接)させ、本体10を3点支持する。
このとき、計測部110のロッド部121の接続部122の先端位置は、事故等で損傷する前の他方の第2基準5Lの正規の位置となる。
このように、本実施形態では、計測装置1の本体10を第1支持部40、第2支持部80、及び第3支持部によって3点支持した状態で、計測部110のロッド部121の接続部122(基準接続部)を、メンバ部品2に設けられた第2基準5L,5R(計測対象基準)に接続させるので、計測装置1を左右方向へ反転させ、さらに計測部110のロッド部121を装置中心面P0に対して反転させることにより、計測部110のロッド部121の接続部122を、三次元空間に正確に位置決めすることができる。
また、本実施形態では、第1支持部40のロッド部61の第3ロッド67及び第2支持部80のロッド部91の第3ロッド67を、第1支持部40のアーム41の穴68及び第2支持部80のアーム81の穴68に挿入するように構成したので、第1支持部40及び第2支持部80のロッド部121を反転させる前の第2ロッド66の、アーム41及びアーム81に対する平面視(図1参照)における角度を、ロッド部121を反転させた後の第2ロッド66の、アーム41及びアーム81に対する平面視における角度と、同一に再現することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に左右対称に配置された複数の基準を用いて車体の歪みを比較計測する装置であって、
装置中心面に沿って延びる本体と、
一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち支持対象基準に接続される3つの支持部と、
一端側が前記本体に接続され、他端側が前記複数の基準のうち計測対象基準に接続される計測部と、
を備え、
前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部は、一端側が前記本体に接続され、前記装置中心面に沿って延びるアームと、一端側が前記アームに接続され、他端側に基準接続部が設けられるロッド部と、前記ロッド部を前記装置中心面を対称面として反転可能に保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記ロッド部が挿入され、前記ロッド部を前記装置中心面に対して垂直方向へ案内するガイド部と、前記ロッド部を前記ガイド部に固定する固定部とを有し、
前記ロッド部は、前記ガイド部の端面に当接させる当接部を有し、
前記ガイド部は、一端側の端面から前記装置中心面までの距離と、他端側の端面から前記装置中心面までの距離とが等しいことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計測装置であって、
前記3つの支持部のうちいずれかの支持部が備える前記ロッド部は、前記ガイド部に挿入される第1ロッドと、前記第1ロッドに接続され、前記第1ロッドに対して垂直に延び、前記基準接続部が設けられる第2ロッドと、一端側の端部が前記第2ロッドに接続され、他端側の端部が前記アームに形成された穴に抜き差し可能に挿入される第3ロッドとを有することを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の計測装置を用いて車体の歪みを計測する方法であって、
3つの支持部の基準接続部を選択された支持対象基準に接続し、本体を支持するステップと、
計測部の基準計測部を、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、一方の計測対象基準に接続するステップと、
前記計測装置を左右方向へ反転させるステップと、
前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部のロッド部を、装置中心面を対称面として反転させて前記3つの支持部のうちいずれかの支持部及び前記計測部の保持部で保持するステップと、
前記3つの支持部のうちいずれかの支持部の前記基準接続部を、前記選択された支持対象基準に接続し、前記本体を支持するステップと、
前記計測部の基準接続部の位置と、車体に左右対称に配置された一対の計測対象基準のうち、他方の計測対象基準との位置を比較するステップと、
を含むことを特徴とする計測方法。