IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2025-183095フィルム、偏光シート、熱曲げ成形体、および、サングラス
<>
  • -フィルム、偏光シート、熱曲げ成形体、および、サングラス 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025183095
(43)【公開日】2025-12-16
(54)【発明の名称】フィルム、偏光シート、熱曲げ成形体、および、サングラス
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/10 20060101AFI20251209BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20251209BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20251209BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20251209BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20251209BHJP
【FI】
G02C7/10
C08J5/18 CFD
G02B1/04
G02B5/22
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091011
(22)【出願日】2024-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597003516
【氏名又は名称】MGCフィルシート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】小坂 恵夢
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
2H149
4F071
【Fターム(参考)】
2H006BE01
2H006BE05
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA20
2H148CA24
2H148CA27
2H149AA23
2H149BA02
2H149FC08
4F071AC19
4F071AE05
4F071AE09
4F071AF30Y
4F071AF34Y
4F071AF45Y
4F071AH19
4F071BA01
4F071BB06
4F071BC01
4F071BC12
(57)【要約】
【課題】波長420nm以下の光線透過率が低く、かつ、耐熱性に優れたフィルム、ならびに、偏光シート、熱曲げ成形体、および、サングラスの提供。
【解決手段】 本開示に係るフィルムは、芳香族ポリカーボネート樹脂と、トリアジン構造を有する紫外線吸収剤と、波長400~440nmの間に極大吸収波長を有する特定波長吸収色素とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリカーボネート樹脂と、トリアジン構造を有する紫外線吸収剤と、波長400~440nmの間に極大吸収波長を有する特定波長吸収色素とを含む、フィルム。
【請求項2】
前記フィルムの厚みが200~500μmである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記特定波長吸収色素の濃度が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、2~50質量ppmである、請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記トリアジン構造を有する紫外線吸収剤が、式(UV-1)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム。
【化1】
(式(UV-1)中、Rは、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、n2は、0~3の整数であり、
n3、および、n4は、それぞれ独立に、0~4の整数である。)
【請求項5】
前記n3およびn4が、それぞれ独立に1~4の整数である、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記トリアジン構造を有する紫外線吸収剤が、式(UV-2)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム。
【化2】
(式(UV-2)中、R11およびR31、R41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基であり、R、R32、および、R42は、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、n2、n3-1、および、n4-1は、それぞれ独立に、0~3の整数である。)
【請求項7】
前記トリアジン構造を有する紫外線吸収剤が、式(UV-3)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム。
【化3】
(式(UV-3)中、R11およびR31、R41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基である。)
【請求項8】
前記フィルムの波長420nmにおける光線透過率が15%未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムの波長380nmにおける光線透過率が15%未満である、請求項1~8のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルムと偏光膜を有する偏光シート。
【請求項11】
請求項10に記載の偏光シートの熱曲げ成形体。
【請求項12】
請求項10に記載の偏光シートを有するサングラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム、偏光シート、熱曲げ成形体、および、サングラスに関する。特に、ポリカーボネート樹脂を主要成分とするフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAのような芳香族ジオールとホスゲンのようなカーボネート前駆体が縮重合して製造され、優れた衝撃強度、数値安定性、耐熱性および透明度などを有し、電機電子製品の外装材、自動車部品、建築素材、光学部品など広範囲な分野に適用される。
【0003】
一方、サングラスなどに用いられる光学用レンズの場合、視野に影響を与えないながらも外部光源に対する眩しさが発生しないほどの透過率が求められる。また、紫外線のような特定波長の有害な光線から目を保護する必要がある。そこで、機械的物性の他にも光学的特性に優れたポリカーボネート樹脂を用いてサングラスなどの野外活動用の光学用レンズに用いる技術が多様に開発されている(特許文献1、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-202542号公報
【特許文献2】国際公開第2019/066493号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、サングラス用のレンズに用いられるポリカーボネート樹脂に紫外線吸収剤を配合することは検討されてきた。
しかしながら、サングラスに視力矯正機能を持たせようとすると、レンズの厚みが眼鏡の度数に応じて異なる。そのため、紫外線吸収剤をレンズ以外の層に配合することが求められる。ここで、サングラスや眼鏡は、例えば、図1に示すような層構成をしており、具体的には、レンズ1と偏光膜2を有し、通常は、偏光膜2の両面に偏光膜基材3・4が設けられている。ここで、レンズ1に紫外線吸収剤を配合しない場合、偏光膜基材3または偏光膜基材4に紫外線吸収剤を配合することが考えられる。
一方、白内障の予防等のためには、波長420nm程度までの領域の光を遮蔽する必要がある。また、サングラスの用途等に応じて、耐熱性が求められる場合がある。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、波長420nm以下の光線透過率が低く、かつ、耐熱性に優れたフィルム、ならびに、偏光シート、熱曲げ成形体、および、サングラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題のもと、発明者が検討を行った結果、下記手段により、上記課題は解決された。
[1]芳香族ポリカーボネート樹脂と、トリアジン構造を有する紫外線吸収剤と、波長400~440nmの間に極大吸収波長を有する特定波長吸収色素とを含む、フィルム。
[2]前記フィルムの厚みが200~500μmである、[1]に記載のフィルム。
[3]前記特定波長吸収色素の濃度が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、2~50質量ppmである、[1]または[2]に記載のフィルム。
[4]前記トリアジン構造を有する紫外線吸収剤が、式(UV-1)で表される化合物を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載のフィルム。
【化1】
(式(UV-1)中、Rは、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、n2は、0~3の整数であり、
n3、および、n4は、それぞれ独立に、0~4の整数である。)
[5]前記n3およびn4が、それぞれ独立に1~4の整数である、[4]に記載のフィルム。
[6]前記トリアジン構造を有する紫外線吸収剤が、式(UV-2)で表される化合物を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載のフィルム。
【化2】
(式(UV-2)中、R11およびR31、R41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基であり、R、R32、および、R42は、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、n2、n3-1、および、n4-1は、それぞれ独立に、0~3の整数である。)
[7]前記トリアジン構造を有する紫外線吸収剤が、式(UV-3)で表される化合物を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載のフィルム。
【化3】
(式(UV-3)中、R11およびR31、R41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基である。)
[8]前記フィルムの波長420nmにおける光線透過率が15%未満である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のフィルム。
[9]前記フィルムの波長380nmにおける光線透過率が15%未満である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のフィルム。
[10][1]~[9]のいずれか1つに記載のフィルムと偏光膜を有する偏光シート。
[11][10]に記載の偏光シートの熱曲げ成形体。
[12][10]に記載の偏光シートを有するサングラス。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、波長420nm以下の光線透過率が低く、かつ、耐熱性に優れたフィルム、ならびに、偏光シート、熱曲げ成形体、および、サングラスを提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の熱曲げ成形体の層構成の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。また、本明細書における数値の上限値と下限値は、前記上限値と下限値のいずれの組み合わせについても、本実施形態の一例として挙げられる。
【0010】
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
【0011】
本明細書において、重量平均分子量は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定する。
具体的には、ゲル浸透クロマトグラフィー装置には、LC-20AD system(島津製作所社製)を用い、カラムとして、LF-804(Shodex社製)を接続して用いた。カラム温度は40℃とする。検出器はRID-10A(島津製作所社製)のRI検出器を用いる。溶離液として、クロロホルムを用い、検量線は、東ソー社製の標準ポリスチレンを使用して作成する。
【0012】
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、特に述べない限り、示差走査熱量測定(DSC)に従い、ISO11357に準拠して、測定した値とする。示差走査熱量測定(DSC測定)条件のとおりに、昇温、降温を2サイクル行い、2サイクル目の昇温時のガラス転移温度を測定する。
低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、変曲点の接線の交点をガラス転移温度とTgとする。測定開始温度:30℃、昇温速度:10℃/分、到達温度:250℃、降温速度:20℃/分とする。単位は、℃とする。
測定装置は、示差走査熱量計(DSC、日立ハイテクサイエンス社製、「DSC7020」)を使用することができる。
【0013】
本明細書における「フィルム」は、長さと幅に対して、厚みが薄く、概ね、平らな成形体をいう。また、本明細書における「フィルム」には、「シート」も含まれる。また、フィルムは、単層であっても多層であってもよい。
本明細書において、ppmは質量ppmを意味する。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2024年1月1日時点における規格に基づくものとする。本明細書で示す規格で説明される測定方法等が2024年1月1日時点で廃止となっている場合、廃止時点の規格に基づくものとする。
図1は、縮尺度などは実際と整合していないこともある。
【0014】
本実施形態のフィルムは、芳香族ポリカーボネート樹脂と、トリアジン構造を有する紫外線吸収剤(本明細書において、「トリアジン系紫外線吸収剤」ということがある)と、波長400~440nmの間に極大吸収波長を有する特定波長吸収色素(本明細書において、単に、「特定波長吸収色素(C)」ということがある)とを含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、波長420nm以下の光線透過率が低く、かつ、耐熱性に優れたフィルムが得られる。
波長420nmの光をカットするためには、黄色染料を用いることが検討されていた。しかしながら、黄色染料は、得られるフィルムの黄色味が強くなりすぎる傾向にあり、また、遮光性を求めない波長領域の光も吸収してしまう傾向にあった。特に、例えば、偏光膜の両面に黄色染料を含むポリカーボネート樹脂フィルムを貼り合わせた場合、黄色染料を含まないポリカーボネート樹脂フィルムと比較して、色変化が生じやすい傾向にある。特に、フィルムを加熱した時の色変化が大きい。
本実施形態においては、トリアジン構造を有する紫外線吸収剤と、波長400~440nmの間に極大吸収波長を有する特定波長吸収色素を併用することにより、波長420nm程度までの光線を効果的に遮蔽しつつ、加熱しても色変化を小さくできる。この理由は、特定波長吸収色素(C)がシャープな吸収スペクトルを示す色素であることにより、少量でも、波長400~420nm程度の領域の光吸収機能を十分に達成できたことが理由であると推測される。また、トリアジン系紫外線吸収剤を用いることにより、波長380nm程度の領域の光吸収機能も十分に達成しつつ、耐熱性による色変化を最小限に抑制することができたと推測される。
本実施形態のフィルムは、また、トリアジン系紫外線吸収剤と特定波長吸収色素(C)を用いることにより、添加剤に由来するロール汚れを効果的に抑制できる傾向にある。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
【0016】
<芳香族ポリカーボネート樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂を含む。
本実施形態における芳香族ポリカーボネート樹脂とは、例えば、ポリカーボネート樹脂を構成する構成単位の80質量%以上が芳香族モノマー由来の構成単位である。本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂における芳香族モノマー由来の構成単位の割合は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが一層好ましい。前記芳香族モノマーとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールCおよびビスフェノールAPが例示され、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールAPが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。
本実施形態で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の一例は、式(A)で表される構成単位を全構成単位の80質量%以上の割合で含む樹脂である。本実施形態で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂における式(A)で表される構成単位の割合は末端基を除く100質量%であってもよい。
式(A)
【化4】
上記式(A)において、nは任意の数である。
【0017】
本実施形態における芳香族ポリカーボネート樹脂を構成するジオール成分としては、4,4’-イソプロピリデンジフェノールの他、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、およびa,ω-ビス[3-(ο-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが例示される。
【0018】
本実施形態における芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、特に定めるものではないが、重量平均分子量で、20,000以上であることが好ましく、30,000以上であることがより好ましい。また、前記重量平均分子量は、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下である。前記重量平均分子量を下限値以上とすることにより、得られる熱曲げ加工用多層体の強度を高くすることができる。また、前記重量平均分子量を上記上限値以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にある。
なお、本実施形態においては、重量平均分子量の異なる2種以上の本実施形態における芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、混合物の重量平均分子量とする。
【0019】
本実施形態で用いる本実施形態における芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、160℃以下であることが好ましく、155℃以下であることがより好ましく、154℃以下であることがさらに好ましく、153℃以下であることが一層好ましく、152℃以下であることがより一層好ましく、151℃以下であることがさらに一層好ましい。また、本実施形態で用いる本実施形態における芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、140℃以上であり、さらには、143℃以上、145℃以上、147℃以上、148℃以上であってもよい。
本実施形態における樹脂組成物が、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を含む場合、芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、各芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度に質量分率をかけた値の和とする。
【0020】
その他、芳香族ポリカーボネート樹脂の詳細は、本実施形態の趣旨を逸脱しない限り、特開2012-144604号公報の段落0011~0020の記載、特開2019-002023号公報の段落0014~0035の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0021】
本実施形態のフィルムにおける芳香族ポリカーボネート樹脂の含有量は、フィルム100質量%中、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、94質量%以上であることがさらに好ましく、96質量%以上であることが一層好ましく、97質量%以上であることがさらに一層好ましい。また、本実施形態のフィルムにおける芳香族ポリカーボネート樹脂の含有量は、フィルム100質量%中、トリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)以外の成分がすべて芳香族ポリカーボネート樹脂となる量であることが好ましい。
本実施形態のフィルムが芳香族ポリカーボネート樹脂を2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0022】
<トリアジン構造を有する紫外線吸収剤>
本実施形態のフィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤を含む。
トリアジン系紫外線吸収剤を用いることにより、波長380~420nmの波長領域の光線透過率を低くできると共に、耐熱性をより向上させることができる。特に、フィルムを加熱した後の色変化を効果的に抑制できる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤を用いることにより、フィルム製造時のロール汚れを効果的に抑制できる傾向にある。
本実施形態で用いるトリアジン系紫外線吸収剤は、好ましくは300nm以上、より好ましくは310nm以上、さらに好ましくは330nm以上、一層好ましくは350nm以上、また、好ましくは420nm以下、より好ましくは400mn以下、さらに好ましくは390nm以下、一層好ましくは380nm以下に極大吸収波長を有するトリアジン系紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0023】
本実施形態で用いるトリアジン系紫外線吸収剤は、その種類等特に定めるものではないが、式(UV-1)で表される化合物を含むことが好ましく、式(UV-2)で表される化合物を含むことがより好ましく、式(UV-3)で表される化合物を含むことが一層好ましい。
【化5】
(式(UV-1)中、Rは、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、n2は、0~3の整数であり、n3、および、n4は、それぞれ独立に、0~4の整数である。)
【0024】
は、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、または、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であることがより好ましく、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素数3~10の直鎖脂肪族炭化水素基であることが一層好ましく、炭素数3~10の直鎖アルキル基であることがより一層好ましい。
としての炭化水素基(好ましくは脂肪族炭化水素基、より好ましくはアルキル基)の炭素数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることがさらに好ましく、5以上であることが一層好ましく、また、9以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましい。
【0025】
~Rは、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、R~Rの少なくとも1つは水酸基であり、R~Rの他の少なくとも1つは、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であることが好ましい。
~Rとしての炭素数1~10の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよく、直鎖脂肪族炭化水素基(好ましくは直鎖アルキル基)またはフェニル基であることが好ましい。
~Rとしての炭素数1~10の炭化水素基の炭素数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることがさらに好ましく、5以上であることが一層好ましく、また、9以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましい。
【0026】
n2は、0~3の整数であり、0以上の整数であることが好ましく、1以上の整数であることがより好ましく、また、2以下の整数であることが好ましく、1以下の整数であることがより好ましい。
n3、および、n4は、それぞれ独立に、0~4の整数であり、1以上の整数であることが好ましく、2以上の整数であることがより好ましく、3以上の整数であることがさらに好ましく、また、4以下の整数であることが好ましい。
【0027】
【化6】
(式(UV-2)中、R11およびR31、R41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基であり、R、R32、および、R42は、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基であり、n2、n3-1、および、n4-1は、それぞれ独立に、0~3の整数である。)
【0028】
11、R31およびR41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基であり、前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、4以上であることがさらに好ましく、5以上であることが一層好ましく、また、9以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。
脂肪族炭化水素基は、直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましく、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基がより好ましい。
【0029】
、R32、および、R42は、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数1~10の炭化水素基と、-O-および/もしくは-C(=O)-との組み合わせからなる基である。
の好ましい範囲は、式(UV-1)におけるRと同様である。
32、および、R42の好ましい範囲は、それぞれ独立に、水酸基および炭素数1~3のアルキル基であることが好ましく、水酸基およびメチル基であることがさらに好ましい。
n2は、0~3の整数であり、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
n3-1、および、n4-1は、それぞれ独立に、0~3の整数であり、1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0030】
【化7】
(式(UV-3)中、R11およびR31、R41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基である。)
【0031】
11およびR31、R41は、それぞれ独立に、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基であり、前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、4以上であることがさらに好ましく、5以上であることが一層好ましく、また、9以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましい。
脂肪族炭化水素基は、直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖のアルキル基であることがより好ましく、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基がより好ましい。
【0032】
以下に、本実施形態で用いられるトリアジン系紫外線吸収剤を例示する。本実施形態で用いられる紫外線吸収剤がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【化8】
【0033】
本実施形態においては、特に、下記トリアジン系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【化9】
【0034】
本実施形態で用いるトリアジン系紫外線吸収剤の分子量は、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、513以上であることがさらに好ましく、550以上であることが一層好ましく、610以上であることがより一層好ましく、650以上であることがさらに一層好ましく、660以上であることがよりさらに一層好ましく、680以上であることが特に一層好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の分子量を前記下限値以上とすることにより、トリアジン系紫外線吸収剤がより揮発しにくくなり、ロール汚れをより効果的に抑制できる。また、本実施形態で用いるトリアジン系紫外線吸収剤の分子量は、1000以下であることが好ましく、900以下であることがより好ましく、800以下であることがさらに好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の分子量を前記上限値以下とすることにより、ポリカーボネート樹脂との相溶性がより向上する傾向にある。結果として、フィルム成形時のロール汚れを効果的に抑制できる傾向にある。
本実施形態のフィルムが2種以上のトリアジン系紫外線吸収剤を含む場合、トリアジン系紫外線吸収剤の分子量は、最も分子量が小さいトリアジン系紫外線吸収剤の分子量とする。
【0035】
本実施形態で用いるトリアジン系紫外線吸収剤の融点は、180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましく、130℃以下であることが一層好ましく、120℃以下であることがより一層好ましく、115℃以下であることがさらに一層好ましく、110℃以下であってもよい。前記トリアジン系紫外線吸収剤の融点の下限は、90℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
本実施形態のフィルムが2種以上のトリアジン系紫外線吸収剤を含む場合、トリアジン系紫外線吸収剤の融点は、各トリアジン系紫外線吸収剤の融点に各トリアジン系紫外線吸収剤の質量分率を掛けた値の和(加重平均値)とする。
【0036】
本実施形態のフィルムにおけるトリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることがさらに好ましく、1.5質量部以上であることが一層好ましく、1.8質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、フィルムの波長380nmの光線透過率をより小さくできる傾向にある。また、前記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量の上限値は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、3.0質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましく、2.4質量部以下であることがさらに好ましく、2.3質量部以下であることが一層好ましく、2.2質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、フィルムの加熱時の色変化をより効果的に抑制できる傾向にある。
【0037】
本実施形態のフィルムにおけるトリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、フィルム100質量%に対し、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましく、1.2質量%以上であることが一層好ましく、1.5質量%以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、フィルムの波長380nmの光線透過率をより小さくできる傾向にある。また、前記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量の上限値は、フィルム100質量%に対し、3.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましく、2.4質量%以下であることがさらに好ましく、2.3質量%以下であることが一層好ましく、2.2質量%以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、フィルムの加熱時の色変化をより効果的に抑制できる傾向にある。
本実施形態のフィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0038】
<波長400~440nmの間に極大吸収波長を有する特定波長吸収色素>
本実施形態においては、波長400~440nmの間に極大吸収波長を有する特定波長吸収色素(特定波長吸収色素(C)を用いる。特定波長吸収色素(C)を用いることにより、少量の添加でも波長400~440nmの領域における光吸収機能を十分に発揮させることが可能になる。また、配合量を少なくすることができるため、フィルムの加熱時の色変化を効果的に抑制できる。特に、本発明者が検討を行ったところ、特定波長吸収色素(C)においては、上記効果が顕著に発揮されることが分かった。
【0039】
特定波長吸収色素とは、特定波長領域の光を選択的に吸収する色素であり、ナガセヴィータ社、山田化学工業社、山本化成社、オリエント化学工業社等から、様々な波長領域における特定波長領域色素が販売されている。
本実施形態で用いる特定波長吸収色素(C)は、波長400~440nmの間に極大吸収波長を有するものであり、極大吸収波長のピークは、波長410nm以上の領域に存在することが好ましく、波長415nm以上上の領域に存在することがより好ましく、また、波長430nm以下の領域に存在することが好ましく、波長425nm以下の領域に存在することがより好ましい。
【0040】
以下に、本実施形態で用いる特定波長吸収色素(C)の一例を示す。
(1)色素の吸光スペクトルにおいて、極大吸収波長を波長400から440nmにもつ色素。
(2)波長400~440nmの間における吸収スペクトルの半値幅が50nm以下である色素前記半値幅は30nm以下であることが好ましく、また、10nm以上が実際的である。吸収スペクトルは、
(3)波長400~440nmの間に極大吸収波長を有すポルフィリン色素である。このような色素は、いずれでも、特定波長吸収色素(C)となることが経験的に知られている。
(4)上記(1)~(3)の2つまたは3つを満たす色素
【0041】
特定波長吸収色素(C)の吸収スペクトルは、色素をクロロホルム溶媒に溶解させ、分光光度計によって測定した値である。半値幅は、前記方法に従って測定された光線透過率曲線から算出された値とする。
上記(1)~(3)を満たす色素は、芳香族ポリカーボネート樹脂の成形温度で変色しにくい傾向があり、色変化を効果的に抑制できる傾向にある。
【0042】
特定波長吸収色素(C)は、染料であっても、顔料であってもよいが、通常は顔料である。
【0043】
本実施形態の樹脂組成物が特定波長吸収色素(C)を含む場合、その含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、2質量ppm以上であることが好ましく、4質量ppm以上であることがより好ましく、6質量ppm以上であることがさらに好ましく、8質量ppm以上であることが一層好ましく、10質量ppm以上であることがより一層好ましく、また、50質量ppm以下であることが好ましく、40質量ppm以下であることがより好ましく、30質量ppm以下であることがさらに好ましく、20質量ppm以下であることが一層好ましく、15質量ppm以下であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、波長400~440nmの光を効果的に遮蔽できる傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、狙いの波長以外の光を効果的に遮蔽できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、特定波長吸収色素(C)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0044】
本実施形態のフィルムにおいて、トリアジン系紫外線吸収剤と特定波長吸収色素(C)の質量比率(トリアジン系紫外線吸収剤/特定波長吸収色素(C))は、0.10以上であることが好ましく、0.12以上であることがより好ましく、0.14以上であることがさらに好ましく、0.30以下であることが好ましく、0.27以下であることがより好ましく、0.25以下であることがさらに好ましく、0.24以下であることが一層好ましく、0.20以下であることがより一層好ましく、0.18以下であることがさらに一層好ましい。
前記下限値以上とすることにより、紫外線領域の光を効果的に遮蔽できる傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、成形時のロール汚れを効果的に抑制できる向上する傾向にある。
【0045】
<他の成分>
本実施形態のフィルムは、芳香族ポリカーボネート樹脂とトリアジン系紫外線吸収剤と特定波長吸収色素(C)以外の他の成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
他の成分としては、酸化防止剤、離型剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、上記以外の着色剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、衝撃改良剤、摺動改良剤、色相改良剤、酸トラップ剤等が例示される。
また、本実施形態のフィルムには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、国際公開第2021/241471号の段落0047~0103に記載の添加剤を配合でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
他の成分を含有する場合、その含有量は、合計でフィルムの0.001~3質量%であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが一層好ましく、0.1質量%以下であることがより一層好ましく、0.01質量%未満であってもよい。
他の成分は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。他の成分を2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0046】
本実施形態のフィルムは、式(UV-3)で表される化合物以外のトリアジン系紫外線吸収剤を実質的に含まない構成とすることができる。実質的に含まないとは、フィルムに含まれる式(UV-3)で表される化合物以外のトリアジン系紫外線吸収剤の含有量が、フィルムに含まれる式(UV-3)で表される化合物の含有量の1質量%未満であることをいい、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0047】
本実施形態のフィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
本実施形態の第一の形態は、フィルムがトリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤を実質的に含まないことである。実質的に含まないとは、トリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤の含有量が、フィルムに含まれるトリアジン系紫外線吸収剤の含有量の1質量%未満であることをいい、0.1質量%未満であることが好ましい。
本実施形態の第二の形態は、フィルムが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を実質的に含まない構成とすることである。実質的に含まないとは、フィルムに含まれるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が、フィルムに含まれるトリアジン系紫外線吸収剤の含有量の1質量%未満であることをいい、0.1質量%未満であることが好ましい。
本実施形態の第三の形態は、フィルムがトリアジン系紫外線吸収剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の両方を含むことである。第三の形態においては、トリアジン系紫外線吸収剤1質量部に対し、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を1質量部以上含むことが好ましく、3質量部以上含むことがより好ましく、5質量部以上含むことがさらに好ましく、また、6.5質量部以下含むことが好ましく、7質量部以下含むことがより好ましく、8質量部以下含むことがさらに好ましい。第三の形態においては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は合計量が上記範囲となることが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特開2023-025384号公報の段落0023~0025の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0048】
本実施形態のフィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)以外の可視光吸収剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
本実施形態のフィルムは、また、トリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)以外の可視光吸収剤を実質的に含まない構成とすることもできる。具体的には、トリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)以外の可視光吸収剤の含有量が、本実施形態に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)の合計含有量の0.01質量%未満であることが好ましく、0.001質量%未満であることがより好ましい。
本実施形態のフィルムは、また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を実質的に含まない構成とすることもできる。具体的には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が、本実施形態に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)の合計含有量の0.01質量%未満であることが好ましく、0.001質量%未満であることがより好ましい。
本実施形態のフィルムは、また、黒色顔料(さらには、黒色着色剤)を実質的に含まない構成とすることもできる。具体的には、黒色顔料の含有量は、本実施形態に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)の合計含有量の0.01質量%未満であることが好ましく、0.001質量%未満であることがより好ましい。
本実施形態のフィルムは、また、黄色染料(さらには、黄色着色剤)を実質的に含まない構成とすることもできる。具体的には、黄色染料の含有量は、本実施形態に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)の合計含有量の0.01質量%未満であることが好ましく、0.001質量%未満であることがより好ましい。
【0049】
<フィルムの厚み>
本実施形態のフィルムは、その厚みが200~500μmであることが好ましい。前記フィルムの厚みを、下限値以上とすることにより、フィルムの波長420nm以下の光線透過率をより小さくできる傾向にある。前記フィルムの厚みを上限値以下とすることにより、熱曲げ加工性がより向上する傾向にある。
前記フィルムの厚みは、250μm以上であることが好ましく、280μm以上であることがより好ましく、また、550μm以下であることが好ましく、510μm以下であることがより好ましく、500μm未満であることがさらに好ましく、450μm以下であることが一層好ましく、400μm以下であることがより一層好ましく、350μm以下であることがさらに一層好ましい。
【0050】
<フィルムの光線透過率>
本実施形態のフィルムは、380nm~420nmの光線透過率が低いことが好ましい。
本実施形態のフィルムの波長420nmにおける光線透過率は、15%未満であることが好ましい。本実施形態のフィルムの波長420nmにおける光線透過率の下限は特に定めるものではないが、0.1%以上が実際的であり、1%以上であっても十分に要求性能を満たす。
本実施形態のフィルムの波長380nmにおける光線透過率は、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.6%以下であることが一層好ましく、0.1%未満であることがより一層好ましい。本実施形態のフィルムの波長380nmにおける光線透過率の下限は特に定めるものではないが、0%超が実際的である。
上記のような光線透過率を満たすフィルムは、紫外線吸収剤および色素として、芳香族ポリカーボネート樹脂にトリアジン系紫外線吸収剤および特定波長吸収色素(C)を配合することによって達成される。
【0051】
<巻取体>
本実施形態のフィルムは、芯材に巻き取った巻取体とすることができる。
【0052】
<偏光シート>
本実施形態のフィルムは、好ましくは偏光シートに好ましく用いられる。
本実施形態において、偏光シートは、フィルムと偏光膜を有する。より具体的には、本実施形態のフィルム、偏光膜、偏光膜基材の順に積層されたシートである。すなわち、本実施形態のフィルムは、偏光シートの偏光膜基材の少なくとも一方として好ましく用いられる。偏光膜基材は、通常は、接着剤を介して偏光膜に貼り合わされている。本実施形態においては、偏光シートの一方の偏光膜基材は、本実施形態のフィルムであってもよいし、他の偏光膜基材であってもよい。偏光シートの他方の偏光膜基材は、公知の偏光シートの偏光膜基材を用いることができ、本実施形態のフィルムと同じものであってもよい。偏光膜は、公知のものを採用でき、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素または二色性有機染料を吸着もしくは含浸させたものが例示される。
本実施形態のフィルム・偏光膜基材と偏光膜を貼り合わせる接着剤は、公知の接着剤を用いることができ、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤等が挙げられる。中でも、ウレタン系接着剤が好ましい。
接着剤の厚みは、通常1μm以上であり、また、通常30μm以下である。
また、本実施形態の偏光シートは、偏光膜基材の外側に、さらに、マスキングフィルム等が設けられていてもよい。
【0053】
また、本実施形態において、本実施形態の偏光シートは、熱曲げ加工した熱曲げ成形体に好ましく用いられる。特に、偏光シートの偏光膜基材として好ましく用いられる。
本実施形態のフィルムが偏光シートに用いられる場合、偏光膜のいずれの側に設けられていてもよいし、両側に設けられていてもよい。
第一の形態は、本実施形態のフィルムが熱曲げ加工後に、偏光膜の凹面側に位置するように、例えば、図1の偏光膜基材4の側に位置するように配置されることである。
第二の形態は、本実施形態のフィルムが熱曲げ加工後に、偏光膜の凸面側に位置するように、例えば、図1の偏光膜基材3の側に位置するように配置されることである。
第三の形態は、本実施形態のフィルムが偏光膜の両面に位置するように、例えば、図1の偏光膜基材3・4の両方が本実施形態のフィルムであることである。
なお、図1において、偏光シートはレンズ1、偏光膜2、偏光膜基材3・4は曲げ加工がなされているが、曲げ加工がなされていない場合も本実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0054】
本実施形態において、偏光シートは、液晶表示装置に使用される偏光シート、偏光レンズ(サングラスレンズ、スキーゴーグル、度付き眼鏡レンズ、カメラ用ファインダーレンズ)、様々な計器のカバー、自動車のガラス、電車のガラス、車載用表示パネルや電子機器筐体等の偏光シート、車載用インナーミラー、ヘルメットなどのシルバーミラーとして好ましく用いられる。
特に、本実施形態の偏光シートはサングラスに好ましく用いられる。
【実施例0055】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
【0056】
1.原料
A1:ビスフェノールA型ポリカーボネートシート樹脂、三菱ガス化学株式会社製、S-3000
B1:トリアジン系紫外線吸収剤、LA-F70、ADEKA社製
【化10】
B2:非トリアジン系紫外線吸収剤、LA-31、ADEKA社製
【化11】
【0057】
C1:特定波長吸収色素(C)、極大吸収波長は420nm、FDB-001、山田化学工業社製
D1:黄色染料、8000、有本化学工業社製
D2:黄色染料、8005、有本化学工業社製
【0058】
実施例1、比較例1~7
<フィルムの製造>
以下の方法でポリカーボネート樹脂フィルムを製造した。
表1に記載した各成分を、表1に記載の添加量(表1は質量部で示している、ただし、特定波長吸収色素(C)は質量ppmである)となるように計量した。その後、タンブラーにて15分間混合した後、バレル直径25mm、スクリューのL/D=30のベント付き二軸セグメント押出機(東洋精機社製、「2D30W2」)からなるTダイ溶融押出機を用いて、吐出量8Kg/h、スクリュー回転数100rpmの条件で、溶融状に押し出し、フィルム・シート引き取り装置(東洋精機社製、「FT3W20」)の第一ロールのみで冷却固化し、ポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。シリンダー・ダイヘッド温度は280℃、ロール温度は130℃で行った。
最終的に得られるフィルム厚みの調整は、表1に記載の厚みとなるように、第一ロールのロール速度を変更して行った。
【0059】
<光線透過率>
得られたフィルムについて、波長420nmおよび波長380nmの光線透過率を測定した。
具体的には、分光光度計を用い、スキャンスピード300nm/分、サンプリング間隔1nmの条件で、光線透過率(単位:%)を測定した。
測定に際し、分光光度計U-4100(日立ハイテク社製)を用いた。
420nmの光線透過率については、以下の通り区分けして評価した。
<<420nmの透過率>>
A:15%未満
B:1%5以上50%未満
C:50%以上
【0060】
<<偏光シートの光線透過率>>
得られたフィルム2枚を重ねた多層体について、波長420nmにおける光線透過率を測定した。表1に結果を示した。
【0061】
<ロール汚れ>
フィルムの製造の際に用いたロールについて、汚れの有無を目視で確認した。汚れの有無の確認は、5人の専門家が行い、以下の基準に伴い、多数決で判断した。
A:ロール汚れが確認されなかった
B:ロール汚れが確認された
【0062】
<色変化>
得られたフィルム2枚を重ねた多層体について、色相を測定した。比較例1のフィルムを用いた多層体に対する色変化(ΔE)として評価した。
色相はJIS Z 8722に準拠し、di:0°後分光方式の照明受光条件にて、分光光度計を用いて測定した。
分光光度計は、日本分光社製「V-760」を用いた。
【0063】
<耐熱性>
得られたフィルムの耐熱性を評価した。
具体的には、前記多層体を120℃で100時間加熱し、その前後の色変化を測定した。色変化は、加熱前後のΔEとして評価した。
ΔEはJIS Z 8722に準拠し、di:0°後分光方式の照明受光条件にて、分光色彩計を用いて測定した。
分光色彩計は、日本電色工業社製「SD-7000」を用いた。
【0064】
【表1】
【0065】
上記表1において、420nmの透過率、380nmの透過率、耐熱性およびロール汚れは、フィルム単体の評価であり、色変化および420nmの透過率、フィルム2枚を重ねた多層体の評価である。
【0066】
上記「380nmの透過率」の欄に示した値うち、「<0.1」は、波長380nmの光線透過率が0.1%未満であったことを示している。
本実施形態のフィルムは、波長380nm~420nmにおける光線を十分に遮蔽できることが分かった。また、本実施形態のフィルムは多層体としたときにも、波長420nmにおける光線を遮蔽できることが分かった。
本実施形態のフィルムは、製造時のロール汚れを効果的に抑制できた。
本実施形態のフィルムは、紫外線吸収剤や色素を配合しているにもかかわらず、多層体としたときの色変化が小さかった。
本実施形態のフィルムは、紫外線吸収剤や色素を配合しているにもかかわらず、多層体としたときの耐熱性(色変化)が小さかった。
比較例6は、トリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤を用いた例であり、波長420nmにおける光線透過率が評価「A」を満たすレベルまで、紫外線吸収剤を配合したものである。その結果、耐熱性が劣ると共に、ロール汚れが発生してしまった。
一方、比較例7は、比較例6において、紫外線吸収剤の量を実施例1と同量に変更したものであり、波長420nmにおける光線透過率が高かった。
【0067】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0068】
1 レンズ
2 偏光膜
3 偏光膜基材
4 偏光膜基材
図1