(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018341
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】光源選定方法および光源選定システム
(51)【国際特許分類】
A01M 29/10 20110101AFI20250130BHJP
A01M 29/34 20110101ALI20250130BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A01M29/10
A01M29/34
A01M1/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121945
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 文裕
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121DA33
2B121FA12
2B121FA14
(57)【要約】
【課題】年単位における時期の遷移に応じて誘虫量を有効に抑制可能な光源の選定が可能なようにする。
【解決手段】第1誘虫情報記憶部に記憶され、一年における所定の時期ごとにおける所定の昆虫の分類ごとの光源に誘引される誘虫量を示す第1誘虫情報のうち、指定された照明使用時期に対応する第1誘虫情報に基づいて、誘引抑制対象の昆虫の分類を特定し、第2誘虫情報記憶部に記憶され、前記光源についての所定の仕様種別のもとでの仕様区分ごとにおける所定の昆虫の分類ごとに対応する誘虫量を示す第2誘虫情報に基づいて、特定された誘引抑制対象の昆虫の分類に対応する誘虫量が最小となる仕様区分を有する仕様の光源を、前記照明使用時期に対応して使用する照明器具の光源として選定するようにして光源選定方法を構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫の誘引を抑制する照明器具の光源の仕様を選定する光源選定システムにおける光源選定方法であって、
特定部が、第1誘虫情報記憶部に記憶され、一年における所定の時期ごとに対応付けて所定の昆虫の分類ごとの光源に誘引される誘虫量を示す第1誘虫情報のうち、指定された照明使用時期に対応する第1誘虫情報に基づいて、誘引抑制対象の昆虫の分類を特定する特定ステップと、
選定部が、第2誘虫情報記憶部に記憶され、前記光源についての所定の仕様種別のもとでの仕様区分ごとに対応付けて所定の昆虫の分類ごとに対応する誘虫量を示す第2誘虫情報に基づいて、前記特定ステップにより特定された誘引抑制対象の昆虫の分類に対応する誘虫量が最小となる仕様区分を有する仕様の光源を、前記照明使用時期に対応して使用する照明器具の光源として選定する選定ステップと
を含む光源選定方法。
【請求項2】
前記第2誘虫情報のうちの少なくとも1つは、前記光源の波長としての前記仕様区分ごとに対応する誘虫量を示す波長対応誘虫情報である
請求項1に記載の光源選定方法。
【請求項3】
前記第2誘虫情報のうちの少なくとも1つは、前記光源の点滅周波数としての前記仕様区分ごとに対応する誘虫量を示す周波数対応誘虫情報である
請求項1または2に記載の光源選定方法。
【請求項4】
前記第1誘虫情報は、一年における気温変化に基づいて定めた所定の時期ごとにおける誘虫量を示す情報である
請求項1または2に記載の光源選定方法。
【請求項5】
昆虫の誘引を抑制する照明器具の光源の仕様を選定する光源選定システムであって、
一年における所定の時期ごとにおける所定の昆虫の分類ごとの光源に誘引される誘虫量を示す第1誘虫情報を記憶する第1誘虫情報記憶部と、
前記光源についての所定の仕様種別のもとでの仕様区分ごとにおける所定の昆虫の分類ごとに対応する誘虫量を示す第2誘虫情報を記憶する第2誘虫情報記憶部と、
第1誘虫情報記憶部が記憶する第1誘虫情報のうち、指定された照明使用時期に対応する第1誘虫情報に基づいて、誘引抑制対象の昆虫の分類を特定する特定部と、
第2誘虫情報記憶部が記憶する第2誘虫情報に基づいて、前記特定部により特定された誘引抑制対象の昆虫の分類に対応する誘虫量が最小となる仕様区分を有する仕様の光源を、前記照明使用時期に対応して使用する照明器具の光源として選定する選定部と、
を備える光源選定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源選定方法および光源選定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境種別と虫の種類・量との関係を記憶するデータベースと、光源の波長域と誘引される虫の種類・重量との関係を記憶するデータベースとを利用して、対象の環境において発生する照明への虫の誘引を最も抑制可能な光源の波長を選定するようにされた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明に誘引される昆虫の量(誘虫量)は、例えば一年における時期(季節)の遷移に応じて変化する。
【0005】
本発明は、年単位における時期の遷移に応じて誘虫量を有効に抑制可能な光源の選定が可能なようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述した課題を解決する本発明の一態様は、昆虫の誘引を抑制する照明器具の光源の仕様を選定する光源選定システムにおける光源選定方法であって、特定部が、第1誘虫情報記憶部に記憶され、一年における所定の時期ごとに対応付けて所定の昆虫の分類ごとの光源に誘引される誘虫量を示す第1誘虫情報のうち、指定された照明使用時期に対応する第1誘虫情報に基づいて、誘引抑制対象の昆虫の分類を特定する特定ステップと、選定部が、第2誘虫情報記憶部に記憶され、前記光源についての所定の仕様種別のもとでの仕様区分ごとに対応付けて所定の昆虫の分類ごとに対応する誘虫量を示す第2誘虫情報に基づいて、前記特定ステップにより特定された誘引抑制対象の昆虫の分類に対応する誘虫量が最小となる仕様区分を有する仕様の光源を、前記照明使用時期に対応して使用する照明器具の光源として選定する選定ステップとを含む光源選定方法である。
【0007】
(2)本発明の一態様は、(1)に記載の光源選定方法であって、前記第2誘虫情報のうちの少なくとも1つは、前記光源の波長としての前記仕様区分ごとに対応する誘虫量を示す波長対応誘虫情報であってよい。
【0008】
(3)本発明の一態様は、(1)または(2)に記載の光源選定方法であって、前記第2誘虫情報のうちの少なくとも1つは、前記光源の点滅周波数としての前記仕様区分ごとに対応する誘虫量を示す周波数対応誘虫情報であってよい。
【0009】
(4)本発明の一態様は、(1)から(3)のいずれか1つに記載の光源選定方法であって、前記第1誘虫情報は、一年における気温変化に基づいて定めた所定の時期ごとにおける誘虫量を示す情報であってよい。
【0010】
(5)本発明の一態様は、昆虫の誘引を抑制する照明器具の光源の仕様を選定する光源選定システムであって、一年における所定の時期ごとにおける所定の昆虫の分類ごとの光源に誘引される誘虫量を示す第1誘虫情報を記憶する第1誘虫情報記憶部と、前記光源についての所定の仕様種別のもとでの仕様区分ごとにおける所定の昆虫の分類ごとに対応する誘虫量を示す第2誘虫情報を記憶する第2誘虫情報記憶部と、第1誘虫情報記憶部が記憶する第1誘虫情報のうち、指定された照明使用時期に対応する第1誘虫情報に基づいて、誘引抑制対象の昆虫の分類を特定する特定部と、第2誘虫情報記憶部が記憶する第2誘虫情報に基づいて、前記特定部により特定された誘引抑制対象の昆虫の分類に対応する誘虫量が最小となる仕様区分を有する仕様の光源を、前記照明使用時期に対応して使用する照明器具の光源として選定する選定部とを備える光源選定システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、年単位における時期の遷移に応じて誘虫量を有効に抑制可能な光源の選定が可能になるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態における光源選定装置の機能構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態における時期対応誘虫情報、波長対応誘虫情報、周波数対応誘虫情報の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態における光源選定装置が実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態における時期対応誘虫情報の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
図1は、本実施形態の光源選定装置100の機能構成例を示している。本実施形態の光源選定装置100は、工事現場において使用する照明器具の光源について、昆虫の誘引を有効に抑制可能な光源の仕様を選定する。
本実施形態において照明器具に使用される光源の種類については特に限定されないが、例えばLED、水銀灯、ナトリウム灯等を挙げることができる。
【0014】
同図の光源選定装置100としての機能は、ハードウェアとしての光源選定装置100が備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることにより実現される。
同図の光源選定装置100は、ユーザインターフェース部101、制御部102、および記憶部103を備える。
【0015】
ユーザインターフェース部101は、ユーザインターフェースに対応するデバイスによりユーザインターフェース機能を実現する部位である。ユーザインターフェース部101に対応するハードウェアとしては、例えば、マウス、キーボード等の入力デバイスやディスプレイデバイス等の出力デバイスを含んでよい。また、ユーザインターフェース部101に対応するハードウェアとして、ディスプレイデバイスの表示面に対する操作が可能なタッチパネル等も含まれてよい。
【0016】
制御部102は、光源選定装置100における各種の制御を実行する。制御部102は、特定部121と選定部122とを備える。
【0017】
特定部121は、時期対応誘虫情報記憶部131が記憶する時期対応誘虫情報(第1誘虫情報の一例)に基づいて、光源選定の対象となる工事(対象工事)が行われる時期において照明に誘引される量(誘虫量)が最も高い昆虫の分類を特定する。誘虫量は、所定の単位容積、単位時間、単位光量の組み合わせのもとで照明に誘引される昆虫の量を示す。誘虫量は、昆虫の重量を示すものであってよいが、昆虫の数を示すものであってもよい。
特定部121により特定される昆虫の分類については、誘虫量の抑制対象となることから、以降において「対象昆虫分類」とも呼ぶ。
【0018】
選定部122は、対象昆虫分類についての誘虫量を最も抑制可能な光源の仕様を選定する。具体的に、選定部122は、誘虫量を最も抑制可能な光源の仕様として、光源の波長と光源の点滅周波数とを選定するようにされる。
【0019】
記憶部103は、光源選定装置100に対応する各種の情報を記憶する。記憶部103は、時期対応誘虫情報記憶部131、波長対応誘虫情報記憶部132、周波数対応誘虫情報記憶部133を備える。
【0020】
時期対応誘虫情報記憶部131は、時期対応誘虫情報を記憶する。時期対応誘虫情報は、一年(年単位)における時期の変化に応じた所定の昆虫種別ごとの誘虫量を示す情報である。
【0021】
図2(A)は、時期対応誘虫情報の一例をしている。同図の時期対応誘虫情報は、5月から9月の月単位の時期ごとに、所定の昆虫分類ごとの誘虫量を示すようにされている。
なお、同図の時期対応誘虫情報は、年間における1月~4月および10月~12月についてはいずれの昆虫分類についても誘虫量が相当に少ないことから、各昆虫分類について誘虫量がゼロであるものとして扱った場合の例を示している。このため、同図の時期対応誘虫情報においては、1月~4月および10月~12月ごとの誘虫量は示されていない。
具体的に、本実施形態においては、「カメムシ・ウンカ」、「ハチ・羽アリ」、「ハエ・ユスリカ」、「コウチュウ」の5つの昆虫分類を定められた場合を例に挙げる。
同図において、例えば5月の時期における5つの昆虫分類「カメムシ・ウンカ」、「ハチ・羽アリ」、「ハエ・ユスリカ」、「コウチュウ」の誘虫量は、それぞれS11、S21、S31、S41、S51として示されている。
【0022】
なお、時期対応誘虫情報において示される昆虫分類ごとの誘虫量は、地域性に依存していてよい。つまり、時期対応誘虫情報は、対象工事が行われる地域にて測定して得られた誘虫量に基づいて作成されたものであってよい。あるいは、時期対応誘虫情報は、対象工事が行われる地域が該当する環境種別に対応して作成されたものであってよい。
【0023】
説明を
図1に戻す。波長対応誘虫情報記憶部132は、波長対応誘虫情報(第2誘虫情報の一例)を記憶する。波長対応誘虫情報は、光源についての所定の波長ごとに対応付けて昆虫分類ごとの誘虫量を示す情報である。
【0024】
図2(B)は、波長対応誘虫情報の一例を示している。同図の波長対応誘虫情報は、「400mm~500mm」、「500mm~600mm」、「600mm~700mm」、「700mm~800mm」の4つの波長範囲(波長域)の区分ごとに対応して、昆虫分類ごとの誘虫量を格納した例を示している。
同図において、例えば「400mm~500mm」の波長範囲に対応する5つの昆虫分類「カメムシ・ウンカ」、「ハチ・羽アリ」、「ハエ・ユスリカ」、「コウチュウ」の誘虫量は、それぞれL11、L21、L31、L41、L51として示されている。
【0025】
説明を
図1に戻す、周波数対応誘虫情報記憶部133は、周波数対応誘虫情報(第3誘虫情報の一例)を記憶する。周波数対応誘虫情報は、光源の点灯周波数ごとに対応付けて昆虫分類ごとの誘虫量を示す情報である。
【0026】
図2(C)は、周波数対応誘虫情報の一例を示している。同図の波長対応誘虫情報は、「1Hz」、「2Hz」、「5Hz」、「10Hz」、「20Hz」、「50Hz」の6つの点灯周波数ごとに対応して、昆虫分類ごとの誘虫量を格納した例を示している。なお、周波数対応誘虫情報は、所定の点灯周波数の範囲ごとに対応付けて昆虫分類ごとの誘虫量を示すものとされてもよい。
同図において、例えば「1Hz」の波長範囲に対応する5つの昆虫分類「カメムシ・ウンカ」、「ハチ・羽アリ」、「ハエ・ユスリカ」、「コウチュウ」の誘虫量は、それぞれF11、F21、F31、F41、F51として示されている。
【0027】
図3のフローチャートを参照して、本実施形態の光源選定装置100が光源の選定に対応して実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:光源選定装置100において特定部121は、対象工事において照明器具を使用する時期(照明使用時期)を取得する。照明使用時期は、例えば対象工事の工事期間(開始日から終了日までの期間)であってよい。あるいは、照明使用時期は、対象工事の工事期間において、例えば誘虫量が最も高くなると予測される所定期間であってもよい。
特定部121は、例えばユーザのユーザインターフェース部101に対する操作によって光源選定装置100に入力された照明使用時期を取得してよい。
【0028】
ステップS102:特定部121は、時期対応誘虫情報記憶部131が記憶する時期対応誘虫情報を参照することにより、ステップS100にて取得した照明使用時期において最も誘虫量が多い昆虫分類を対象昆虫分類として特定する。
【0029】
ステップS104:選定部122は、波長対応誘虫情報記憶部132が記憶する波長対応誘虫情報を参照して、ステップS102により特定された対象昆虫分類の誘虫量が最小の波長を特定し、特定した波長を選定波長とする。
【0030】
ステップS106:選定部122は、周波数対応誘虫情報記憶部133が記憶する周波数対応誘虫情報を参照して、ステップS102により特定された対象昆虫分類の誘虫量が最小の点滅周波数を特定し、特定した点滅周波数を選定周波数とする。
【0031】
ステップS108:選定部122は、光源選定情報を出力する。光源選定情報は、ステップS104により特定された選定波長とステップS106により特定された選定周波数とを含む。さらに光源選定情報は、ステップS102により特定された対象昆虫分類が含まれてもよい。
選定部122は、例えば表示や印刷等により光源選定情報を出力させてよい。
【0032】
図3の処理手順例によれば、まず、ステップS102により対象工事の期間において誘虫量が最大の昆虫分類(対象昆虫分類)が特定される。そのうえで、ステップS104、S106により、対象昆虫分類の誘虫量を最も抑制できる波長と点灯周波数とが選定される。つまり、
図3の処理手順例によっては、対象工事が行われる時期において最も誘虫量が大きい対象昆虫分類に含まれる昆虫の誘虫を有効に抑制することが可能となる。この結果、工事担当者は、工事期間に対応する時期(季節)において誘虫量を有効に抑制可能な光源の仕様(波長、点滅周波数)を把握できる。そして、現実の対象工事の現場において、光源選定情報により示される仕様(波長、点滅周波数)の光源が照明器具に採用されることで、工事中における誘虫量を有効に抑制可能となる。
【0033】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わされてよい。
【0034】
[第1変形例]
上記実施形態においては、照明器具に使用される光源種別は、或る特定の種別で固定とした場合を例に説明した。例えば同じ昆虫分類であっても、光源種別により誘虫量が異なる場合があると考えられる。
そこで、本変形例では、複数の所定の光源種別ごとに対応して選定波長と選定周波数とを特定可能とされる。
本変形例において光源選定装置100は、所定の光源種別ごとに時期対応誘虫情報、波長対応誘虫情報、および周波数対応誘虫情報を記憶してよい。
本変形例の場合、ステップS100において特定部121は、照明使用時期とともに照明器具に使用される光源種別(対象光源種別)を取得する。ステップS102において選定部122は、対象光源種別に対応する時期対応誘虫情報から、ステップS100にて取得した照明使用時期が該当する時期に対応付けられた誘虫量が最大の昆虫分類を対象昆虫分類として特定する。選定部122は、ステップS104において対象光源種別に対応する波長対応誘虫情報において対象昆虫分類の誘虫量が最小の波長を選定波長として特定し、ステップS106において対象光源種別に対応する周波数対応誘虫情報において対象昆虫分類の誘虫量が最小の点滅周波数を選定周波数として特定してよい。
【0035】
[第2変形例]
年間における時期に応じた誘虫量の変化は、具体的には対応の時期における気温に依存する。この点を考慮すると、時期対応誘虫情報における期間について、例えば年間における時期を月単位のように暦の観点から区分するのではなく、気温に基づいて区分することも可能である。
【0036】
図4は、時期を気温に基づいて区分した時期対応誘虫情報の一例を示している。同図の時期対応誘虫情報において、時期は、「ピーク前期1」、「ピーク前期2」、「ピーク前期3」、「ピーク期」、「ピーク後期1」、「ピーク後期2」、「ピーク後期3」の7つの時期に区分される。同図においては、7つの時期ごとに対応する気温の区分が示されている。
同図の時期対応誘虫情報は、10℃未満の気温ではいずれの分類の昆虫の誘虫量もゼロであるとした場合に対応する。このため、時期対応誘虫情報においては、10℃未満の気温に対応する時期は示されていない。
この場合、ステップS100において特定部121は、照明使用時期に対応して予測される気温を取得し、ステップS102において選定部122は、ステップS100にて取得された気温が該当する時期を特定し、特定した時期に対応付けられた昆虫分類のうちから誘虫量が最も多い昆虫分類を対象昆虫分類として特定してよい。
【0037】
[第3変形例]
時期対応誘虫情報記憶部131は、各種の地域、環境種別等ごとに応じた時期対応誘虫情報を記憶するようにしたうえで、光源の選定にあたっては、対象工事の現場の地域や環境種別に対応する時期対応誘虫情報が使用されるようにしてよい。また、波長対応誘虫情報と周波数対応誘虫情報についても同様に、各種の地域、環境種別等ごとに応じた情報が記憶されるようにしたうえで、対象工事の現場の地域や環境種別に対応する情報が使用されるようにしてよい。
【0038】
[第4変形例]
上記実施形態においては、光源の仕様について波長と点滅周波数とを選定するようにされているが、本変形例では、光源の仕様として波長と点滅周波数とのいずれか一方を選定するようにされてよい。
【0039】
[第5変形例]
なお、上記の例では、工事を対象とする場合を例に挙げたが、例えば屋外イベントなどで照明器具を使用する場合にも上記実施形態における構成が適用されてよい。
【0040】
[第6変形例]
なお、光源選定装置100としての機能は、例えば複数の装置やサーバに分散された誘虫予測システムとして構成されてよい。例えば、光源選定装置100はユーザインターフェース部101を備えるユーザ端末と、制御部102および記憶部103を備えるサーバとに分散されてよい。また、この場合には、例えば制御部102としての機能を備えるサーバと記憶部103としての機能を備えるサーバとに分散されてもよい。
【0041】
なお、上述の光源選定装置100としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の光源選定装置100としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0042】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係る光源選定装置、誘虫予測システムは、このSDGsの17の目標のうち、例えば「15.陸の豊かさも守ろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0043】
100 光源選定装置、101 ユーザインターフェース部、102 制御部、103 記憶部、121 特定部、122 選定部、131 時期対応誘虫情報記憶部、132 波長対応誘虫情報記憶部、133 周波数対応誘虫情報記憶部