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2025-18342可逆熱変色性印刷物、可逆熱変色性印刷物セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018342
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】可逆熱変色性印刷物、可逆熱変色性印刷物セット
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/037 20140101AFI20250130BHJP
   B41M 5/28 20060101ALI20250130BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20250130BHJP
   C09D 11/17 20140101ALI20250130BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
C09D11/037
B41M5/28 280
B41M5/42 220
C09D11/17
C09B67/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121951
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】海田 菜緒
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】梨原 剛
【テーマコード(参考)】
2H026
4J039
【Fターム(参考)】
2H026AA09
2H026BB02
2H026BB21
2H026FF05
2H026FF11
4J039AD09
4J039BC05
4J039BC29
4J039BC31
4J039BE01
4J039EA48
4J039GA02
4J039GA10
4J039GA34
(57)【要約】
【課題】 変色前の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄が目視や手触で判別し難いため、使用者はどの図柄が変色するか予測できず、変色の意外性と遊戯性を満足させた教習用途や知育用途、偽造防止用途に適した可逆熱変色性印刷物、可逆熱変色性印刷物セットを提供する。
【解決手段】 支持体2表面に、可逆熱変色性材料を含み、文字、記号、絵柄から選ばれる可逆熱変色性図柄3と、非変色性着色剤を含み、可逆熱変色性図柄と関連する文字、記号、絵柄から選ばれる非変色性図柄4とを併設してなり、前記可逆熱変色性図柄と非変色性図柄の厚みが略同一である可逆熱変色性印刷物1、前記可逆熱変色性印刷物と摩擦体とからなる可逆熱変色性印刷物セット。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体表面に、可逆熱変色性材料を含み、文字、記号、絵柄から選ばれる可逆熱変色性図柄と、非変色性着色剤を含み、可逆熱変色性図柄と関連する文字、記号、絵柄から選ばれる非変色性図柄とを併設してなり、前記可逆熱変色性図柄と非変色性図柄の厚みが略同一であることを特徴とする可逆熱変色性印刷物。
【請求項2】
前記可逆熱変色性図柄の厚み(D)が2~100μmであり、非変色性図柄の厚み(D)が下記式(1)満たす請求項1記載の可逆熱変色性印刷物。
0.7≦D/D≦1.3 (1)
【請求項3】
前記可逆熱変色性図柄中の可逆熱変色性材料が(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる有色から無色に変色する可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であり、前記非変色性図柄中に樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料を含み、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料の平均粒子径は略同一である請求項1記載の可逆熱変色性印刷物。
【請求項4】
前記非変色性図柄に含まれる樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料中に非変色性着色剤を含有してなる、又は、樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料表面を非変色性着色剤が被覆してなる請求項3記載の可逆熱変色性印刷物。
【請求項5】
前記可逆熱変色性図柄に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径(L)と、非変色性図柄に含まれる樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料の平均粒子径(L)が下記式(2)満たす請求項3又は4記載の可逆熱変色性印刷物。
0.7≦L/L≦1.3 (2)
【請求項6】
前記可逆熱変色性材料が発色状態における可逆熱変色性図柄の色と、非変色性図柄の色が同一色又は同系色である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆熱変色性印刷物。
【請求項7】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、色濃度-温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、温度Tに達すると消色し始め、温度Tより高い温度T以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度Tより低い温度Tに達すると着色し始め、温度Tより低い温度T以下の温度域で完全に着色状態となるヒステリシス特性を示し、温度Tが30~90℃の範囲にある請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可逆熱変色性印刷物。
【請求項8】
前記可逆熱変色図柄及び非変色性図柄を覆う透明性金属光沢層を設けてなる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の可逆熱変色性印刷物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可逆熱変色性印刷物と、摩擦体とからなる可逆熱変色性印刷物セット。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可逆熱変色性印刷物と、摩擦部材を備えた筆記具とからなる可逆熱変色性印刷物セット。
【請求項11】
前記筆記具に加熱により消色可能なインキを収容してなる請求項10記載の可逆熱変色性印刷物セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可逆熱変色性印刷物、可逆熱変色性印刷物セットに関する。更に詳細には、可逆熱変色性図柄と、非変色性図柄が併設されてなる可逆熱変色性印刷物、可逆熱変色性印刷物セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持体上に可逆熱変色性図柄と、非変色性図柄を併設した印刷物が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記印刷物は、温度変化により可逆熱変色性図柄が消色、発色、或いは、変色して特異な様相変化を視認できるものであるが、可逆熱変色性図柄に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は粒子径が大きいため図柄に厚みがあり、他方の非変色性図柄は厚みが無いため、可逆熱変色性図柄と非変色性図柄を目視や手触で判別でき、変色の妙味を損なうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭59-27988号(実開昭60-138760号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この種の印刷物における変色前の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄が判別し難いため、使用者はどの図柄が変色するか予測できない可逆熱変色性印刷物、可逆熱変色性印刷物セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、支持体表面に、可逆熱変色性材料を含み、文字、記号、絵柄から選ばれる可逆熱変色性図柄と、非変色性着色剤を含み、可逆熱変色性図柄と関連する文字、記号、絵柄から選ばれる非変色性図柄とを併設してなり、前記可逆熱変色性図柄と非変色性図柄の厚みが略同一であることを特徴とする可逆熱変色性印刷物を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性図柄の厚み(D)が2~100μmであり、非変色性図柄の厚み(D)が下記式(1)満たすこと、
0.7≦D/D≦1.3 (1)
前記可逆熱変色性図柄中の可逆熱変色性材料が(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる有色から無色に変色する可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であり、前記非変色性図柄中に樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料を含み、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料の平均粒子径は略同一であること、前記非変色性図柄に含まれる樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料中に非変色性着色剤を含有してなる、又は、樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料表面を非変色性着色剤が被覆してなること、前記可逆熱変色性図柄に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径(L)と、非変色性図柄に含まれる樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料の平均粒子径(L)が下記式(2)こと、
0.7≦L/L≦1.3 (2)
前記可逆熱変色性材料が発色状態における可逆熱変色性図柄の色と、非変色性図柄の色が同一色又は同系色であること、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、色濃度-温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、温度tに達すると消色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度tより低い温度tに達すると着色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に着色状態となるヒステリシス特性を示し、温度tが30~90℃の範囲にあること、前記可逆熱変色図柄及び非変色性図柄を覆う透明性金属光沢層を設けてなること等を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体とからなる可逆熱変色性印刷物セット、前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦部材を備えた筆記具とからなる可逆熱変色性印刷物セットを要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、変色前の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄が目視や手触で判別し難いため、使用者はどの図柄が変色するか予測できず、変色の意外性と遊戯性を満足させた教習用途や知育用途、偽造防止用途に適した可逆熱変色性印刷物、可逆熱変色性印刷物セットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2】色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図3】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図4】本発明の可逆熱変色性印刷物の一実施例を示す縦断面説明図である。
図5】本発明の可逆熱変色性印刷物の他の実施例を示す縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記可逆熱変色性印刷物は、紙、合成紙、布帛等の支持体表面に可逆熱変色性図柄と非変色性図柄が併設された印刷物である。
前記支持体の材質は特に限定されるものではなく、例えば、紙、合成紙、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁材、金属、木材、石材等を例示でき、紙、合成紙が好適に用いられる。
なお、支持体の形状は平面状に限らず、凹凸状であってもよい。
【0009】
前記可逆熱変色性図柄は、文字、記号、絵柄から選ばれる図柄であり、可逆熱変色性材料を含んでなる。
なお、前記絵柄は、人、動物、植物、果実、食料品、乗物、建物、天体、模様等の絵柄が挙げられる。
前記可逆熱変色性材料としては、AgHgIやCuHgI等の無機材料、液晶、可逆熱変色性組成物を含む樹脂粒子、可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(可逆熱変色性顔料)が挙げられ、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が好適に用いられる。
【0010】
前記可逆熱変色性組成物は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が1~7℃の比較的小さい特性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を適用できる(図1参照)。
【0011】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報、特開2008-280523号公報等に記載されているヒステリシス幅(ΔH)が8℃~80℃の比較的大きい特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t~tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物も適用できる(図2参照)。
【0012】
前記可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0013】
以下に可逆熱変色性組成物に含まれる(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
前記(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物が好ましい。
前記フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4′-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0014】
前記(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
前記電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群及びその誘導体、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物があり、これらの中でも活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
活性プロトンを有する化合物及びその誘導体としては、例えばフェノール性水酸基を有する化合物及びその金属塩、カルボン酸及びその金属塩、好ましくは、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びそれらの金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、並びにアゾ-ル系化合物及びその誘導体、1、2、3-トリアゾール及びその誘導体が挙げられ、これらの中でも、有効な熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
前記フェノール性水酸基を有する化合物はモノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、更にビス型、トリス型フェノール等およびフェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、少なくともベンゼン環を2以上有するものが好ましい。また、これら化合物は置換基を有していてもよく、置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等が挙げられる。
前記活性プロトンを有する化合物の金属塩が含む金属としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛およびモリブデン等が挙げられる。
【0015】
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o-クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3-トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0016】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記(ハ)成分を用いて後述するマイクロカプセル化、二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散し易いので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0017】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
【0018】
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0019】
更に、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0020】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0021】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0022】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0023】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等が挙げられる。
【0024】
また、前記(ハ)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【化1】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は-(CHOCOR又は-(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1~3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
【化2】
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10~24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0025】
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【化3】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
【0026】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【化4】
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0027】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【化5】
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0028】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【化6】
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0029】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【化7】
(式中、Rは炭素数4乃至22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4乃至22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物としては、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0030】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【化8】
(式中、Rは炭素数3乃至18のアルキル基、炭素数3乃至18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、メチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物としては、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0031】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【化9】
(式中、Rは炭素数4乃至22のアルキル基、炭素数4乃至22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0032】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(10)で示される化合物を用いることもできる。
【化10】
(式中、Rは炭素数3乃至18のアルキル基、炭素数6乃至11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル基、炭素数3乃至18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
前記化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
【0033】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(11)で示される化合物を用いることもできる。
【化11】
(式中、Rは炭素数3乃至8のシクロアルキル基又は炭素数4乃至9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0034】
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(12)で示される化合物を用いることもできる。
【化12】
(式中、Rは炭素数3乃至17のアルキル基、炭素数3乃至8のシクロアルキル基、炭素数5乃至8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0035】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を適用することもできる(図3参照)。
【0036】
前記可逆熱変色性組成物の各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分1~800、好ましくは5~200、より好ましくは10~100の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
【0037】
更に、各種光安定剤を必要により添加することができる。
前記光安定剤は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3~24質量%、好ましくは0.3~16質量%の割合で含有される。又、前記光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。又、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
前記光安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0038】
前記可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包することによって可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として用いることができる。
なお、マイクロカプセル化は、公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1~1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下を防止することができ、より好適には、内包物/壁膜=6/1~1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成できる。
【0039】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料中には、非熱変色性着色剤を配合することにより、温度変化により有色(1)から色の異なる有色(2)への互変性を呈する顔料とすることもできる。
【0040】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、粒子径0.5~30μm、好ましくは1.0~20μm、より好ましくは1.0~10μmの範囲が実用性を満たす。
なお、粒子径および平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の粒子径および平均粒子径として測定した値である。また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合には、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の粒子径および平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、コールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションしたレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-960V2、株式会社堀場製作所製)を用いて、体積基準の粒子径および平均粒子径(メジアン径)を測定しても良い。
【0041】
前記可逆熱変色性材料は、水及び/又は有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散してスクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷等に用いられる印刷インキ、インクジェット用インキを調製して印刷することにより支持体上に可逆熱変色性図柄を形成できる。
前記インキ中には、非熱変色性着色剤を配合することにより、温度変化により有色(1)から色の異なる有色(2)への互変性を呈するインキとすることもできる。
【0042】
前記非変色性図柄は、非変色性着色剤を含み、文字、記号、絵柄から選ばれる図柄であって、可逆熱変色性図柄と関連する図柄である。
なお、前記絵柄は、人、動物、植物、果実、食料品、乗物、建物、天体、模様等の絵柄が挙げられる。
前記非変色性着色剤は、一般的な染料や顔料を用いることができ、染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料を用いることができる。
前記顔料は、カーボンブラック、群青等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料や蛍光顔料を用いることができる。
前記非変色性着色剤は、水及び/又は有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散してスクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷等に用いられる印刷インキ、インクジェット用インキを調製して印刷することにより支持体上に非変色性図柄を形成できる。
【0043】
前記可逆熱変色性図柄中の可逆熱変色性材料が(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる有色から無色に変色する可逆熱変色性組成物を含む可逆熱変色性樹脂粒子、或いは、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる有色から無色に変色する可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料である場合、前記可逆熱変色性樹脂粒子、或いは、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は比較的粒子径が大きいため、図柄が厚くなり易い。
そこで、非変色性図柄も厚くするため非変色性着色剤を含むインキを重ね刷りすることもできるが、可逆熱変色性樹脂粒子、或いは、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と略同一の粒子径を有する樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料をインキ中に添加して非変色性図柄を形成することにより図柄同士の厚みを略同一にすることが好ましい。
なお、可逆熱変色性図柄と非変色性図柄に含まれるマイクロカプセル顔料が同一壁膜(カプセル被膜)のマイクロカプセル顔料を用いることにより、図柄同士の表面状態を近似した状態にすることができるため、図柄の判別性を困難できるため好適である。
【0044】
前記樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド、ウレタン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、アクリル-ウレタン共重合樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、エチレン-プロピレン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合樹脂、及びアクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂等を例示できる。
前記樹脂粒子は、樹脂粒子中に非変色性着色剤が均質に分散された樹脂粒子、樹脂粒子の表面が非変色性着色剤で被覆された樹脂粒子を用いることもできる。
前記マイクロカプセル顔料の内部は中空であってもよいし、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物の(ハ)成分を内包してもよい。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられ、一例として、融点が-40℃~+95℃の範囲にある結晶性のアルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類から選ばれる化合物を内包させた白色から無色に変色するマイクロカプセル顔料が挙げられる。
前記マイクロカプセル顔料は、非変色性着色剤を内包したマイクロカプセル顔料であってもよいし、マイクロカプセル壁膜中に非変色性着色剤を含有させたマイクロカプセル顔料であってもよいし、マイクロカプセル顔料の表面を非変色性着色剤で被覆して用いることもできる。
【0045】
前記支持体上に形成された可逆熱変色性図柄と非変色性図柄の厚みは略同一であることにより目視や手触で判別し難く、使用者はどの図柄が変色するか予測できず、変色の妙味を満足させることができる。
前記可逆熱変色性図柄の厚み(D)が2~100μm、好ましくは5~50μm、より好ましくは10~50μmであり、非変色性図柄の厚み(D)が下記式(1)満たすことにより、図柄同士の厚みの差を判別し難くなる
0.7≦D/D≦1.3 (1)
なお、前記式(1)は、0.8≦D/D≦1.2を満たすことが好ましく、0.9≦D/D≦1.1を満たすことがより好ましい。
前記図柄の厚みは、図柄の断面をマイクロスコープ[(株)キーエンス社製、マイクロスコープ VHX-6000]を用いて測定することができる。
【0046】
前記可逆熱変色性図柄と非変色性図柄の厚みを略同一にするためには、第一の図柄に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径と、第二の図柄に含まれる樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料の平均粒子径が略同一であると生産性を満足させ易い。
前記可逆熱変色性図柄に含まれる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径(L)と、非変色性図柄に含まれる樹脂粒子又はマイクロカプセル顔料の平均粒子径(L)が式(2)満たすことにより、厚みが略同一になり易くなる。
0.7≦L/L≦1.3 (2)
なお、前記式(2)は、0.8≦L/L≦1.2を満たすことが好ましく、0.9≦L/L≦1.1を満たすことがより好ましい。
【0047】
前記可逆熱変色性図柄と非変色性図柄は互いに関連する図柄であって、同系色の複数の文字からなる可逆熱変色性図柄と同系色の複数の文字からなる非変色性図柄と、可逆熱変色性図柄が変色した際の意味のある単語と等しい非変色性絵柄が形成された教習用途や知育用途、同系色の複数の異なる絵柄の一つが可逆熱変色性図柄、それ以外が非変色性図柄であり、可逆熱変色性図柄を説明する文書からなる非変色性図柄が形成された教習用途や知育用途、同系色の複数の文字からなる可逆熱変色性図柄と複数の文字からなる非変色性図柄がランダムに形成され、可逆熱変色性図柄のみ変色させて意味のある単語が認識できる謎解き用途、同系色の複数の同一の記号の一つが可逆熱変色性図柄、それ以外の記号が非変色性図柄である偽造防止用途が挙げられる。
【0048】
前記可逆熱変色性図柄中に含まれる可逆熱変色性材料が発色状態における可逆熱変色性図柄の色と、非変色性図柄の色が同一色又は同系色であることにより、図柄同士の判別が困難になるため、正解、不正解を択一的に選択する用途には好適である。
なお、同系色とは、マンセル40色相環において、当該色に最も近い色及びその色の両側に隣接する色相(JIS Z 8721(1993)3.1 「色相の表示方法」において表される数字で±2.5、すなわち5.0の幅)をいう。
また、可逆熱変色性図柄が有色(1)から、異なる色の有色(2)に変色する場合、可逆熱変色性図柄に含まれる可逆熱変色性材料が消色状態における可逆熱変色性図柄の色と、非変色性図柄の色が同一色又は同系色であることによっても図柄同士の判別が困難になるため、正解、不正解を択一的に選択する用途に用いることができる。
【0049】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、色濃度-温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、温度tに達すると消色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度Tより低い温度Tに達すると着色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に着色状態となるヒステリシス特性を示す場合、温度tが30~90℃の範囲、好ましくは30~80℃、より好ましくは30~70℃の範囲にあることにより、手触による体温での色変化や、指で擦ったり摩擦体を用いた摩擦熱で色変化するため、簡易に変色させることができる。
【0050】
前記可逆熱変色性図柄及び非変色性図柄上には、透明性金属光沢層を設けることもでき、第一の図柄と第二の図柄の微細な厚みの差を目立たなくすることができると共に、図柄同士の色の違いを目立たなくすることができる。
前記透明性金属光沢層中に含まれる透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料等を例示できる。
また、可逆熱変色性図柄及び非変色性図柄上に、透明性樹脂層を設けることもでき、第一の図柄と第二の図柄の微細な厚みの差を目立たなくすることもできる
前記透明性樹脂層の外表面が梨地であることにより図柄同士の色の違いを目立たなくすることもできる。
なお、前記透明性樹脂層中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等の光安定剤を含有させることもできる。
【0051】
前記可逆熱変色性図柄は、手触、指による摩擦、摩擦体や加熱変色具、冷熱変色具の適用により変色させることができる。
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具や温水等を充填した加熱変色具、冷却具としては、ペルチエ素子を用いた通電冷熱変色具や冷水や氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具を挙げることができるが、簡便な方法で変色可能な摩擦体の適用が好ましい。
前記摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
なお、消しゴムを使用して摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような摩擦体が用いられる。
前記摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。
前記可逆熱変色性印刷物と摩擦体を組み合わせることにより携帯性に優れた可逆熱変色性印刷物セットが得られる。
また、前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦部材を備えた筆記具を組み合わせることにより、携帯性に優れると共に、印刷物に筆記することもできるため利便性を向上させた可逆熱変色性印刷物セットが得られる。
前記摩擦部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒先端部(筆記先端部を設けていない部分)等を挙げることができる。
筆記具に収容されるインキとしては、非熱変色性のインキであってもよいが、加熱により消色可能なインキを用いることにより、繰り返しの筆記を可能として利便性を向上させることができる。
前記加熱により消色可能なインキ中に含まれる着色剤は前述の熱変色性材料を用いることができる。
また、前記筆記具としては、鉛筆やクレヨン等の固形筆記具であってもよい。
【実施例0052】
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の部は質量部である。
実施例1(図4参照)
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体2として合成紙上に、(イ)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′-(2-メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包した4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有するマイクロカプセル顔料(t:-20℃、t:-9℃、t:40℃、t:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.0μm、黒色から無色に色変化する)30部、青色顔料5部、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)50部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水13.8部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷用インキを用いて「つ」、「く」、「え」の文字をランダムに印刷し、乾燥させて可逆熱変色性図柄3を形成した。
次いで、黒色顔料

5部、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)50部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水43.8部からなる黒色スクリーン印刷用インキを用いて「つ」、「く」、「え」以外の文字をランダムに印刷して乾燥させ、繰り返し前記黒色スクリーン印刷用インキを用いて「つ」、「く」、「え」以外の文字上に重ね刷り印刷を合計三回行って非変色性図柄4を形成して可逆熱変色性印刷物1を得た。
なお、前記可逆熱変色性図柄の厚みは30μmmであり、非変色性図柄の厚みは25μmであった。
【0053】
前記可逆熱変色性印刷物の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄は黒色を呈しており、目視では判別できず、図柄同士の厚みを対比しても目視及び手触で判別できなかった。
前記可逆熱変色性印刷物をSEBS樹脂製摩擦体で摩擦すると、「つ」、「く」、「え」のみ青色に変色して「つくえ」の文字を把握することができるため、教習具に利用することができた。
なお、前記青色に変色した可逆熱変色性図柄は-20℃以下に冷却すると黒色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0054】
実施例2
可逆熱変色性印刷物セットの作製
実施例1で得た可逆熱変色性印刷物と、SEBS樹脂製摩擦体とを組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
前記可逆熱変色性印刷物セットは、実施例1と同様に可逆熱変色性印刷物を摩擦体で摩擦すると、「つ」、「く」、「え」のみ青色に変色して「つくえ」の文字を把握することができるため、教習具に利用することができた。
なお、前記青色に変色した可逆熱変色性図柄は-20℃以下に冷却すると黒色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0055】
実施例3(図4参照)
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体2として合成紙上に、(イ)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′-(2-メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:-20℃、t:-9℃、t:40℃、t:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.0μm、黒色から無色に色変化する)30部、青色顔料5部、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)50部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水13.8部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷用インキを用いて「つ」、「く」、「え」の文字をランダムに印刷し、乾燥させて可逆熱変色性図柄3を形成した。
次いで、カプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル66.5部を内包したマイクロカプセル顔料(平均粒子径:2.0μm、白色から無色に色変化する)30部、黒色顔料5部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水63.8部からなる黒色スクリーン印刷用インキを用いて「つ」、「く」、「え」以外の文字をランダムに印刷して乾燥させ、非変色性図柄4を形成して可逆熱変色性印刷物1を得た。
なお、前記可逆熱変色性図柄の厚みは30μmであり、非変色性図柄の厚みは28μmmであった。
【0056】
前記可逆熱変色性印刷物の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄は黒色を呈しており、目視では判別できず、図柄同士の厚みを対比しても目視及び手触で判別できなかった。
前記可逆熱変色性印刷物を摩擦体で摩擦すると、「つ」、「く」、「え」のみ青色に変色して「つくえ」の文字を把握することができるため、教習具に利用することができた。
なお、前記青色に変色した可逆熱変色性図柄は-20℃以下に冷却すると黒色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0057】
実施例4
可逆熱変色性印刷物セットの作製
実施例3で得た可逆熱変色性印刷物と、加熱により消色可能なインキを収容し、軸筒後部に摩擦部材を備えた筆記具とを組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
前記可逆熱変色性印刷物セットは、実施例3と同様に可逆熱変色性印刷物を筆記具の摩擦体で摩擦すると、「つ」、「く」、「え」のみ青色に変色して「つくえ」の文字を把握することができるため、教習具に利用することができた。
なお、前記青色に変色した可逆熱変色性図柄は-20℃以下に冷却すると黒色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
更に、前記筆記具を用いて印刷物に机の絵柄を描くこともできた。
【0058】
実施例5
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体として合成紙上に、(イ)成分として、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン1.0部と、(ロ)成分として、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン8.0部と、(ハ)成分として、ステアリン酸n-ノニル50.0部とからなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:19℃、t:26℃、t:31℃、t:38℃、ΔH:12℃、平均粒子径:1.5μm、黒色から無色に色変化する)30部、黄色顔料5部、アマニ油系オフセットインキビヒクル65.0部を混合した可逆熱変色性オフセットインキを用いてバナナの絵柄を印刷し、乾燥させて可逆熱変色性図柄を形成した。
次いで、ステアリン酸n-ノニル50.0部を内包したマイクロカプセル顔料(平均粒子径:1.7μm、白色から無色に色変化する)30部、黒色顔料5部、アマニ油系オフセットインキビヒクル65.0部を混合した黒色オフセットインキを用いてリンゴの絵柄と「黄色になるのはどっち」の文字を印刷して乾燥させ、非変色性図柄を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
なお、前記可逆熱変色性図柄の厚みは5μmであり、非変色性図柄の厚みは5.5μmであった。
【0059】
前記可逆熱変色性印刷物の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄は黒色を呈しており、目視では判別できず、図柄同士の厚みを対比しても目視及び手触で判別できなかった。
前記可逆熱変色性印刷物を指で擦ると、バナナの絵柄のみ黄色に変色するため、知育具(謎解き)に利用することができた。
なお、前記黄色に変色した可逆熱変色性図柄は19℃以下に冷却すると黒色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0060】
実施例6
可逆熱変色性印刷物セットの作製
実施例5で得た可逆熱変色性印刷物と、SEBS樹脂製摩擦体とを組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
前記可逆熱変色性印刷物セットは、可逆熱変色性印刷物を摩擦体で摩擦すると、バナナの絵柄のみ黄色に変色するため、知育具(謎解き)に利用することができた。
なお、前記黄色に変色した可逆熱変色性図柄は19℃以下に冷却すると黒色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0061】
実施例7
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体として合成紙上に、(イ)成分として2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル‐スピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-g]ピリミジン-5,1’(3’H)-イソベンゾフラン]-3-オン1.0部、(ロ)成分として4-ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル8.0部、(ハ)成分としてヘキサデカン20.0部、(ニ)成分として低分子量ポリスチレン樹脂(軟化点75℃)5.0部、(ホ)成分として1,4-ジデシルオキシベンゼン1.0部とからなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(T:10℃、T:17℃、T:32℃、T:44℃、ΔH:24.5℃、平均粒子径:1.5μm、無色からピンク色に色変化する)30部、青色顔料5部、アマニ油系オフセットインキビヒクル65.0部を混合した可逆熱変色性オフセットインキを用いてブドウの絵柄を印刷し、乾燥させて可逆熱変色性図柄を形成した。
次いで、中空のマイクロカプセル顔料(平均粒子径:1.7μm)30部、青色顔料5部、アマニ油系オフセットインキビヒクル65.0部を混合した青色オフセットインキを用いてリンゴの絵柄と「紫色になるのはどっち」の文字を印刷して乾燥させ、非変色性図柄を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
なお、前記可逆熱変色性図柄の厚みは5μmであり、非変色性図柄の厚みは5.8μmであった。
【0062】
前記可逆熱変色性印刷物の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄は青色を呈しており、目視では判別できず、図柄同士の厚みを対比しても目視及び手触で判別できなかった。
前記可逆熱変色性印刷物をSEBS樹脂製摩擦体で擦ると、ブドウの絵柄のみ紫色に変色するため、教習具に利用することができた。
なお、前記紫色に変色した可逆熱変色性図柄は10℃以下に冷却すると青色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0063】
実施例8
可逆熱変色性印刷物セットの作製
実施例7で得た可逆熱変色性印刷物と、SEBS樹脂製摩擦体とを組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
前記可逆熱変色性印刷物セットは、可逆熱変色性印刷物を摩擦体で摩擦すると、ブドウの絵柄のみ紫色に変色するため、教習具に利用することができた。
なお、前記紫色に変色した可逆熱変色性図柄は10℃以下に冷却すると青色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0064】
実施例9
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体として合成紙上に、(イ)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′-(2-メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:-20℃、t:-9℃、t:40℃、t:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.0μm、黒色から無色に色変化する)30部、赤色顔料5部、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)50部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水13.8部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷用インキを用いて「REAL」の文字のうち「E」の文字のみ印刷し、乾燥させて可逆熱変色性図柄を形成した。
次いで、カプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部を内包したマイクロカプセル顔料(平均粒子径:2.0μm、白色から無色に色変化する)30部、黒色顔料5部、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)50部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水13.8部からなる黒色スクリーン印刷用インキを用いて「REAL」の文字のうち「R AL」の文字を印刷して乾燥させ、非変色性図柄を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
なお、前記可逆熱変色性図柄の厚みは30μmであり、非変色性図柄の厚みは26μmmであった。
【0065】
前記可逆熱変色性印刷物の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄は黒色を呈しており、目視では判別できず、図柄同士の厚みを対比しても目視及び手触で判別できなかった。
前記可逆熱変色性印刷物を摩擦体で摩擦すると、「E」の文字のみ赤色に変色するため、偽造防止に利用することができた。
なお、前記赤色に変色した可逆熱変色性図柄は-20℃以下に冷却すると黒色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0066】
実施例10(図5参照)
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体2として合成紙上に、(イ)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′-(2-メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:-20℃、t:-9℃、t:40℃、t:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.0μm、黒色から無色に色変化する)30部、ピンク色顔料5部、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)50部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水13.8部からなる可逆熱変色性スクリーン印刷用インキを用いて「つ」、「く」、「え」の文字をランダムに印刷し、乾燥させて可逆熱変色性図柄3を形成した。
次いで、カプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部を内包したマイクロカプセル顔料(平均粒子径:2.0μm、白色から無色に色変化する)30部、黒色顔料5部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水63.8部からなる黒色スクリーン印刷用インキを用いて「つ」、「く」、「え」以外の文字をランダムに印刷して乾燥させ、非変色性図柄4を形成した。
なお、前記可逆熱変色性図柄の厚みは30μmであり、非変色性図柄の厚みは28μmmであった。
次いで、前記可逆熱変色性図柄及び非変色性図柄上に、透明性金属光沢顔料(Iriodin205)を含むインキを用いて印刷して乾燥させ、透明性金属光沢層5を形成して可逆熱変色性印刷物1を得た。
【0067】
前記可逆熱変色性印刷物の可逆熱変色性図柄と非変色性図柄は金色を呈しており、目視では判別できず、図柄同士の厚みを対比しても目視及び手触で判別できなかった。
前記可逆熱変色性印刷物を摩擦体で摩擦すると、「つ」、「く」、「え」のみピンク色に変色して「つくえ」の文字を把握することができるため、教習具に利用することができた。
なお、前記ピンク色に変色した可逆熱変色性図柄は-20℃以下に冷却すると金色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
【0068】
実施例11
可逆熱変色性印刷物セットの作製
実施例10で得た可逆熱変色性印刷物と、加熱により消色可能なインキを収容し、軸筒後部に摩擦部材を備えた筆記具とを組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
前記可逆熱変色性印刷物セットは、実施例10と同様に可逆熱変色性印刷物を筆記具の摩擦体で摩擦すると、「つ」、「く」、「え」のみピンク色に変色して「つくえ」の文字を把握することができるため、教習具に利用することができた。
なお、前記ピンク色に変色した可逆熱変色性図柄は-20℃以下に冷却すると金色になり、繰り返しの実用性を満足させていた。
更に、前記筆記具を用いて印刷物に机の絵柄を形成することもできた。
【符号の説明】
【0069】
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 可逆熱変色性印刷物
2 支持体
3 可逆熱変色性図柄
4 非変色性図柄
図1
図2
図3
図4
図5