(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018346
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20250130BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20250130BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20250130BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/894
A61K8/891
A61K8/27
A61K8/29
A61K8/19
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121957
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】松井 礼奈
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB231
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC262
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC372
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC512
4C083AC532
4C083AC622
4C083AC642
4C083AC792
4C083AC852
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD212
4C083AD282
4C083AD662
4C083BB01
4C083BB11
4C083BB46
4C083BB60
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】高い水相比を有することによる優れた使用感、高い紫外線吸収効果と、良好な経時安定性とを同時に満足できる、油中水型化粧料を提供。
【解決手段】(A)HLBが5以下のシリコーン系界面活性剤、(B)紫外線散乱剤、(C)油分、および(D)水を含んでなり、 (B)成分の含有量が、前記油中水型乳化化粧料の総量に対して、4質量%以上であり、水相の比率が60質量%以上である、油中水型化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)HLBが5以下のシリコーン系界面活性剤、
(B)紫外線散乱剤、
(C)油分、および
(D)水
を含んでなる、油中水型乳化化粧料であって、
(B)成分の含有量が、前記油中水型乳化化粧料の総量に対して、4質量%以上であり、
水相の比率が60質量%以上である、油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
(A)成分が、ポリエーテル変性シリコーンである、請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
(A)成分が、(A1)式(a1)で表され、質量平均分子量が30000以上であるポリエーテル変性シリコーンを含んでなる、請求項1または2に記載の油中水型乳化化粧料。
【化1】
[式中、Aは、メチル基、フェニル基、および一般式:
-C
3H
6O(C
2H
4O)
p(C
3H
6O)
qR’
(式中、
R’は水素原子、アシル基、および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選択される基であり、
pは5~50の整数であり、
qは5~50の整数であり、
繰り返し単位(C
2H
4O)と(C
3H
6O)は、ランダムに配列していても、ブロックを形成していてもよい。)
で示されるポリオキシアルキレン基からなる群から選択される基であり、
Rはメチル基またはフェニル基であり、
mは50~1000の整数であり、
nは1~40の整数であり、
繰り返し単位(SiR
2O)と(SiRAO)は、ランダムに配列していても、ブロックを形成していてもよく、
ポリエーテル変性シリコーン中のポリオキシアルキレン基の含有率が40重量%以上である。]
【請求項4】
(A1)成分が、PEG/PPG-19/19ジメチコンである、請求項3に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
(A)成分が、
(A1)成分と、
(A2)(A1)成分とは異なるポリエーテル変性シリコーンと、
の組み合わせである、請求項3に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項6】
(B)成分が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄および酸化セリウムからなる群から選択される金属酸化物の微粒子である、請求項1または2に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項7】
(C)成分が、シリコーン油を含んでなる、請求項1または2に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項8】
(C)成分が、極性油を含んでなる、請求項1または2に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項9】
前記極性油が、紫外線吸収剤を含まない、請求項8に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項10】
前記極性油が、紫外線吸収剤を含んでなる、請求項8に記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線散乱剤を含む油中水型乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肌に直接塗布される化粧料には、塗布時に肌をみずみずしさ、しっとり感、きめ細かさなどの快適な使用感を与えることが望まれる。このような使用感を実現するために様々な方法が検討されているが、化粧品においては乳化技術によって使用感が変化することが知られており、最適な乳化技術が検討されている。そのような検討の中で、油中水型化粧料において、水相の比率が高いものは、みずみずしさを与えることができるという点で優れていることが知られている。
油中水型化粧料において、特定のシリコーン系界面活性剤と特定のショ糖脂肪酸エステルとを乳化剤として用いることが検討されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
日焼け止め効果を有する化粧料には、紫外線から肌を防御する手段として、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が配合されている。高内水相型の油中水型化粧料では、紫外線防御効果を向上させるために、紫外線吸収剤を高配合することが提案されている。紫外線吸収剤を配合量が高くなると、べたつき等の使用性や、安定性の低下が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明者は、驚くべきことに、水相比の高い油中水型化粧料において、特定量の紫外線散乱剤と特定のシリコーン系界面活性剤とを組み合わせることで、優れた使用感を実現しながら、紫外線防御効果が高く、良好な経時安定性も実現できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0006】
本発明によれば、以下の油中水型乳化化粧料が提供される。
[1](A)HLBが5以下のシリコーン系界面活性剤、
(B)紫外線散乱剤、
(C)油分、および
(D)水
を含んでなる、油中水型乳化化粧料であって、
(B)成分の含有量が、前記油中水型乳化化粧料の総量に対して、4質量%以上であり、
水相の比率が60質量%以上である、油中水型乳化化粧料。
[2](A)成分が、ポリエーテル変性シリコーンである、[1]に記載の油中水型乳化化粧料。
[3](A)成分が、(A1)式(a1)で表され、質量平均分子量が30000以上であるポリエーテル変性シリコーンを含んでなる、[1]または[2]に記載の油中水型乳化化粧料。
【化1】
[式中、Aは、メチル基、フェニル基、および一般式:
-C
3H
6O(C
2H
4O)
p(C
3H
6O)
qR’
(式中、
R’は水素原子、アシル基、および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選択される基であり、
pは5~50の整数であり、
qは5~50の整数であり、
繰り返し単位(C
2H
4O)と(C
3H
6O)は、ランダムに配列していても、ブロックを形成していてもよい。)
で示されるポリオキシアルキレン基からなる群から選択される基であり、
Rはメチル基またはフェニル基であり、
mは50~1000の整数であり、
nは1~40の整数であり、
繰り返し単位(SiR
2O)と(SiRAO)は、ランダムに配列していても、ブロックを形成していてもよく、
ポリエーテル変性シリコーン中のポリオキシアルキレン基の含有率が40重量%以上である。]
[4](A1)成分が、PEG/PPG-19/19ジメチコンである、[3]に記載の油中水型乳化化粧料。
[5](A)成分が、
(A1)成分と、
(A2)(A1)成分とは異なるポリエーテル変性シリコーンと、
の組み合わせである、[3]に記載の油中水型乳化化粧料。
[6](B)成分が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄および酸化セリウムからなる群から選択される金属酸化物の微粒子である、[1]~[5]のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
[7](C)成分が、シリコーン油を含んでなる、[1]~[6]のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
[8](C)成分が、極性油を含んでなる、[1]~[7]のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。
[9]前記極性油が、紫外線吸収剤を含まない、[8]に記載の油中水型乳化化粧料。
[10]前記極性油が、紫外線吸収剤を含んでなる、[8]に記載の油中水型乳化化粧料。
【0007】
本発明によれば、高い水相比を有することによる優れた使用感、例えばみずみずしさと、高い紫外線吸収効果と、良好な経時安定性とを同時に満足できる、油中水型化粧料を提供することができる。
【発明の具体的説明】
【0008】
本発明による油中水型化粧料(以下、簡単に「化粧料」ということがある)は、
(A)HLBが5以下のシリコーン系界面活性剤、(B)紫外線散乱剤、(C)油分、および(D)水
を含んでなり、
(B)成分の含有量が、前記油中水型乳化化粧料の総量に対して、4質量%以上であり、
水相の比率が60質量%以上である。
【0009】
本発明による化粧料に含まれる各成分について説明をすると以下のとおりである。
【0010】
(A)HLBが5以下のシリコーン界面活性剤
本発明による化粧料は、(A)HLB(Hydrophilic-Lypophilic Balance)が5以下のシリコーン界面活性剤(以下、(A)成分と称することがある。他の成分も同様である。)を含んでなる。
(A)成分のHLB値は、5以下であり、好ましくは2~5である。
(A)成分は、分子内にシリコーン構造(疎水性部分)と親水性部分とを有する非イオン性の界面活性剤であり、例えばポリエーテル基やポリグリセリン基で変性されたシリコーン系界面活性剤があり、このうち、ポリエーテル基で変性されたシリコーン、すなわちポリエーテル変性シリコーンであることが好ましい。
【0011】
(A1)ポリエーテル変性シリコーン
好ましくは、(A)成分は、(A)成分が、(A1)式(a1)で表され、質量平均分子量が30000以上であるポリエーテル変性シリコーンを含んでなる。
【化2】
[式中、Aは、メチル基、フェニル基、および一般式:
-C
3H
6O(C
2H
4O)
p(C
3H
6O)
qR’
(式中、
R’は水素原子、アシル基、および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選択される基であり、
pは5~50の整数であり、
qは5~50の整数であり、
繰り返し単位(C
2H
4O)と(C
3H
6O)は、ランダムに配列していても、ブロックを形成していてもよい。)
で示されるポリオキシアルキレン基からなる群から選択される基であり、
Rはメチル基またはフェニル基であり、
mは50~1000の整数であり、
nは1~40の整数であり、
繰り返し単位(SiR
2O)と(SiRAO)は、ランダムに配列していても、ブロックを形成していてもよく、
ポリエーテル変性シリコーン中のポリオキシアルキレン基の含有率が40重量%以上である。]
【0012】
このようなポリエーテル変性シリコーンの分子量は必ずしも限定されないが、質量平均分子量が30000以上であるポリエーテル変性シリコーンであることが好ましい。
(A1)成分は、好ましくはPEG/PPG-19/19ジメチコンである。
【0013】
(A2)ポリエーテル変性シリコーン
(A)成分は、(A1)成分とは異なる、(A2)ポリエーテル変性シリコーンであってよく、好ましくは、(A1)成分と、(A2)成分と、の組み合わせである。
(A2)成分としては、
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、
ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、
シリコーン鎖分岐型メチルポリシロキサン共重合体、
アルキル鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、
アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、
架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、
アルキル基含有架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン
等が挙げられる。
また、ポリグリセリン基で変性されたポリグリセリン変性シリコーンとして、
分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、
架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、
アルキル基含有架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、
アルキル基分岐型ポリグリセリン変性シリコーン
等が挙げられる。
【0014】
より具体的な例として、
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、
セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、
PEG-9メチルエーテルジメチコン、
PEG-10ジメチコン、
PEG-3ジメチコン
等が挙げられ、好ましくは、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである。
【0015】
(A)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.2~8質量%であり、さらに好ましくは0.3~6質量%である。
(A1)の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは0.05~8質量%であり、より好ましくは0.1~6質量%である。
(A2)の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは0.05~8質量%であり、より好ましくは0.1~6質量%である。
【0016】
(B)紫外線散乱剤
本発明による化粧料は、(B)紫外線散乱剤を含んでなる。
(B)成分は、紫外線を散乱または遮蔽する効果を有するものであり、好ましくは金属酸化物の微粒子であり、より好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄および酸化セリウムからなる群から選択され、さらに好ましくは酸化チタンまたは酸化亜鉛である。
金属酸化物の微粒子は、例えば10~50nmの粒子径を有する微粒子酸化チタン及び酸化亜鉛であってよい。更に、酸化チタン及び酸化亜鉛は、表面処理されたものであってよい。ここで、表面処理としては、例えば脂肪酸処理及び脂肪酸エステル処理等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
(B)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(B)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、4質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは4.5~25質量%であり、さらに好ましくは6~20質量%である。
【0018】
(C)油分
本発明による化粧料は、(C)油分を含んでなる。
(C)成分としては、シリコーン油、極性油、非極性油が挙げられる。なお、本発明において、シリコーン油は、極性油または非極性油には含めない。
【0019】
(C)成分は、好ましくはシリコーン油を含んでなる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等が挙げられる。
シリコーン油は、1種または2種以上を配合することができる。シリコーン油の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは2~35質量%であり、より好ましくは3~30質量%である。
【0020】
(C)成分は、好ましくは極性油を含んでなる。ここで、極性油とは、極性基、すなわち親水性基を有するものをいう。この極性油は、化粧料に求められる機能に応じて、通常、化粧品分野、医薬品分野、食品分野などで用いられるものから任意に選択して用いることができる。極性油は、これらのうち、IOB値が0.05~0.80であるものが好ましい。IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、
IOB値=無機性値/有機性値
として表される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子または官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子および官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる。
【0021】
極性油としては、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール、およびワックスなどが挙げられる。これらのうち、エステル油が好ましく用いられる。また、極性油のうち、紫外線吸収効果の高いものは、一般的に紫外線吸収剤と呼ばれ、本発明による化粧品に紫外線から肌を保護する機能を付与するために用いることができる。
【0022】
エステル油としては、例えば、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリエチルヘキサノイン(トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン)、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0023】
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、一般に化粧料に用いられる紫外線吸収剤を広く挙げることができる。例えば、
パラ-アミノ安息香酸(PABA)エチル、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG-25-PABA、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどの安息香酸誘導体、
ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート(サリチル酸オクチル)、ジプロピレングリコールサリチレート、TEAサリチラートなどのサリチル酸誘導体、
オクチルメトキシシンナメート、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸イソプロピル、メトキシケイヒ酸イソアミル、シンノキセート、DEAメトキシシンナメート、メチルケイヒ酸ジイソプロピル、グリセリル-エチルヘキサノエート-ジメトキシシンナメート、ジ-(2-エチルヘキシル)-4’-メトキシベンザルマロネートなどのケイヒ酸誘導体、
4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンなどジベンゾイルメタン誘導体、
オクトクリレンなどのβ,β-ジフェニルアクリレート誘導体、
ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12などのベンゾフェノン誘導体、
3-ベンジリデンショウノウ、4-メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウなどのベンジリデンショウノウ誘導体、
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムなどのフェニルベンゾイミダゾール誘導体、
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン(例えば「ユビナールT150」;BASF社)、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジンなどのトリアジン誘導体、
ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)などのフェニルベンゾトリアゾール誘導体、
アントラニル酸メンチルなどのアントラニル誘導体、
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナートなどのイミダゾリン誘導体、
ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサンなどのベンザルマロナート誘導体、
1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエンなどの4,4-ジアリールブタジエン誘導体
等が挙げられる。
【0024】
極性油は、1種または2種以上を配合できる。極性油の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは0.5~25質量%であり、より好ましくは0.7~20質量%である。
本発明による化粧料は、(B)紫外線散乱剤の配合量が、4質量%以上であることが特徴の一つであり、紫外線吸収剤が配合されなくても、効果的に紫外線を防御することができる。
本発明の一形態において、本発明による組成物が紫外線吸収剤を含まない。
本発明の別の一形態において、本発明による組成物が紫外線吸収剤を含み、好ましくはその配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。紫外線吸収剤の配合量が、質量基準で、(B)成分の配合量以下であることも好ましい形態の一つである。
【0025】
(C)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(C)成分の配合量は、好ましくは5~35質量%であり、より好ましくは7~30質量%である。
【0026】
(D)水
本発明による化粧料は、(D)水を含んでなる。組成物は、上記の成分に加えて、さらに水を含む。水としては、化粧品、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
【0027】
本発明による化粧料は、水相の比率が高く、化粧料の総質量を基準とした水相の比率が60質量%以上であり、好ましくは60~90質量%であり、より好ましくは63~85質量%以上であることがさらに好ましい。本発明において、水はこのような水相を構成するものであるが、水相は水と、水以外の水溶性成分例えば低級アルコール等から構成される。このため、水の含有率は、化粧料の総量に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35~70質量%、よりさらに好ましくは40~65質量%である。
【0028】
なお、分散安定性を改良するために、一般的には増粘剤等を用いることが知られている。しかしながら、本発明者らの検討によればオイルゲル化剤を配合することで使用感が損なわれる傾向にあることがわかった。このため、本発明による化粧料は有機変性粘度鉱物等のオイルゲル化剤を含まないか、含む場合にも低配合量であることが好ましい。
オイルゲル化剤の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%であり、さらに好ましくは実質的に含まない。本発明による化粧料が、オイルゲル化剤を含まない(0質量%)ことも好ましい一形態である。
有機変性粘土鉱物は、例えば、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種であり、以下の式(b2)で表される粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性したものが挙げられる。
(X,Y)2-3(Si,Al)4O10(OH)2Z1/3・nH2O (b2)
式中、
Xは、Al、Fe(III)、Mn(III)、またはCr(III)であり、
Yは、Mg、Fe(II)、Ni,Zn、またはLiであり、かつ
Zは、K、Na、またはCaである。
有機変性鉱物としては、例えば、
ジステアルジモニウムヘクトライト、
クオタニウム-18ヘクトライト、
ステアラルコニウムヘクトライト、および
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム
が挙げられる。
【0029】
本発明による化粧料は、上記以外のその他成分を含んでいてもよい。例えば、上記成分以外の界面活性剤、香料、粉末、保湿剤、親油性増粘剤、低級アルコール(炭素数6未満)、酸化防止剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、 抗炎症剤、皮膜形成剤、およびアミノ酸またはペプチド等を含んでいてもよい。
【0030】
本発明による化粧料は、任意の方法で製造することができる。各成分を配合して、攪拌混合する方法、水溶性成分を混合して水相成分を形成させ、それを油相成分に配合してから分散させる方法など、種々の方法を採用することができる。
【0031】
本発明による化粧料の形態は特に限定されないが、分散安定性に優れていることから、各種の液状化粧料として、肌に直接適用できる形態とすることが好ましい。その場合の粘度は、1,000~70,000mPa・sであることが好ましく、2,500~55,000mPa・sであることがより好ましく、3,000~45,000mPa・sであることがより好ましい。粘度がこのような範囲あることで、塗布時に塗り広げやすく、優れた使用感を得ることができる。
ここで、粘度は、B型回転粘度計を用いて30℃で測定した値である。
【0032】
本発明による化粧料としては、例えば、スキンケア化粧料(例えば、乳液、クリーム、美容液、パック、マスク等)、メーキャップ化粧料(例えば、ファンデーション、化粧下地等)、日焼け止め化粧料、軟膏等が挙げられ、好ましくは日焼け止め化粧料である。なお、これらの形態は例示に過ぎず、本発明にかかる化粧料はこれらの形態に限定されるものではない。
【実施例0033】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、含有率は化粧料の総質量に対する質量%を表す。
【0034】
下記の表1および表2に示された組成の油中水型乳化化粧料を製造し、以下の項目について評価した。それらの結果も表1に併せて示す。
【表1】
【表2】
【0035】
[UV防御効果]
測定プレート(Sプレート)(5×5cmのV溝PMMA板、SPFMASTER-PA01)に上記で調製した化粧料を2mg/cm2の量で滴下し、60秒間指で塗布し、15分間乾燥した後に形成された塗膜の吸光度を株式会社日立製作所社製U-3500型自記録分光光度計にて測定した。実施例101~104および比較例102~105については、比較例101をコントロールとし、実施例201については、比較例201をコントロールとし、比較例302~304に対しては、比較例301をコントロールとした。280nm~400nmにおける吸光度(Abs)を測定し、コントロールと比較して、以下の基準により評価した。
A:吸光度が高く、UV防御効果が優れていた。
B:吸光度が同等であり、UV防御効果が同等であった。
C:吸光度が低く、UV防御効果が低かった。
【0036】
[経時安定性]
上記で調製した化粧料を室温で保存して、経時によって粘度や状態が変化するかどうかを確認し、以下の基準により評価した。
A:粘度および状態がほとんど変化しなかった。
B:粘度がやや変化した。
C:粘度が変化したが、分離は確認されなかった。
D:粘度が変化し、分離が確認された。
【0037】
[使用性]
4名の専門パネルが、上記で調製した各化粧料を肌に塗布したときの使用感について以下の基準により評価した。
A:4名全員がみずみずしいと回答した。
B:2~3名がみずみずしいと回答し、残りはべたつきがあると回答した。
C:1名以下がみずみずしいと回答し、残りはべたつきがあると回答した。
【0038】
[処方例1および2]
以下の表3および4に本発明の化粧料の処方例1および2を示す。表中の数値は質量%を示す。
【表3】
【表4】