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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018349
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】パッケージ型圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F02B 65/00 20060101AFI20250130BHJP
   F01M 11/00 20060101ALI20250130BHJP
   F01M 11/12 20060101ALI20250130BHJP
   F02B 77/13 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F02B65/00 D
F01M11/00 S
F01M11/12 Z
F02B77/13 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121966
(22)【出願日】2023-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】多田 尚平
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015FC11
3G015FE03
(57)【要約】
【課題】
油回収器の油面計を備えるパッケージ型圧縮機における、油回収器に関する点検の簡素化を図る。
【解決手段】
パッケージ型圧縮機1は、パッケージ4内に、圧縮機本体2、圧縮機本体2の吐出空気から分離された油を回収する油回収器3、油回収器3の外壁に設置されて油回収器3に貯溜された前記油の油面位置を確認するための油面計11、及び油面計11の画像を取得する撮像部12を備える。パッケージ型圧縮機1は、撮像部12が取得した画像に基づいた油面位置に関する情報をパッケージ4の外部に出力可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージと、
前記パッケージ内に収容された圧縮機本体と、
前記パッケージ内に収容され、前記圧縮機本体から吐出された吐出空気から分離された油を回収する油回収器と、
前記パッケージ内で前記油回収器の外壁に設置されている、前記油回収器に貯溜された前記油の油面位置を確認するための油面計と、
前記パッケージ内に収容され、前記油面計の画像を取得する撮像部と
を備え、
前記画像に基づいた前記油面位置に関する情報を前記パッケージの外部に出力可能な、パッケージ型圧縮機。
【請求項2】
前記油面位置に関する情報は、前記撮像部によって取得された前記油面計の画像である、請求項1に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項3】
前記油面位置に関する情報は、前記撮像部によって取得された前記油面計の画像から加工された前記油面位置の画像である、請求項1に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項4】
前記油面位置に関する情報は、前記撮像部によって取得された前記油面計の画像から得られる油面位置が、前記油面計の上限位置と下限位置により区画された複数の区分のいずれにあるかである、請求項1に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項5】
前記油面位置に関する情報を表示する表示部が前記パッケージの外部に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項6】
前記油面位置に関する情報を、通信回線を介して外部機器に送信する通信部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項7】
前記撮像部によって取得された前記油面計の画像から油面位置を検出し、検出された前記油面位置が前記油面計の上限位置を上回るかの判定、検出された前記油面位置が下限位置を下回るかの判定、及び検出された前記油面位置の変化が所定値以上であるかの判定を実行する制御部と、
前記判定のいずれかが成立したことを報知する報知部と
を備える、請求項1に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項8】
前記制御部は、前記圧縮機本体の負荷運転時に、検出された前記油面位置が前記上限位置を上回るかの判定と、検出された前記油面位置が前記下限位置を下回るかの判定とを実行し、前記負荷運転及び無負荷運転時に、検出された前記油面位置の変化が所定値以上であるかの判定を実行する、請求項7に記載のパッケージ型圧縮機。
【請求項9】
前記制御部は、前記油分離器の油分離性能が所定値以上であるかの判定をさらに実行し、
前記報知部は、当該判定が成立したことを報知する、請求項7に記載のパッケージ型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパッケージ型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮機本体から吐出された吐出空気に含まれる油を遠心力によって分離して回収する油回収器と、油回収器に取り付けられ、油回収器に貯溜された油の油面位置を目視可能に表示する油面計とを備える圧縮機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6266995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の圧縮機が備える油面計は、圧縮機本体、油回収器、及び油面計を含む圧縮機を構成する機器がパッケージ内に収容されている場合、つまり圧縮機がパッケージ型である場合、パッケージを構成するカバーを外さなければ油面計を目視して油面位置を点検することができない。言い換えれば、パッケージのカバーを外さなければ油回収器に適正な量の油が貯溜されているか(油の補充が必要であるか)を確認できない。少なくともこの点において、特許文献1の圧縮機は、油回収器に関する点検が煩雑である。
【0005】
本発明は、油回収器の油面計を備えるパッケージ型圧縮機における、油回収器に関する点検の簡素化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、パッケージと、前記パッケージ内に収容された圧縮機本体と、前記パッケージ内に収容され、前記圧縮機本体から吐出された吐出空気から分離された油を回収する油回収器と、前記パッケージ内で前記油回収器の外壁に設置されている、前記油回収器に貯溜された前記油の油面位置を確認するための油面計と、前記パッケージ内に収容され、前記油面計の画像を取得する撮像部とを備え、前記画像に基づいた前記油面位置に関する情報を前記パッケージの外部に出力可能な、パッケージ型圧縮機を提供する。
【0007】
撮像部が取得した油面計の画像に基づいた油面位置に関する情報をパッケージの外部に出力可能であるので、油面位置を目視して油面位置を確認するためにパッケージを構成するカバーを外す必要がない。言い換えれば、パッケージのカバーを外すことなく、油回収器に適正な量の油が貯溜されているか(油の補充が必要であるか)を確認できる。この点で、本態様のパッケージ型圧縮機は油回収器に関する点検が容易である。
【0008】
前記油面位置に関する情報は、前記撮像部によって取得された前記油面計の画像であってもよい。
【0009】
前記油面位置に関する情報は、前記撮像部によって取得された前記油面計の画像から加工された前記油面位置の画像であってもよい。
【0010】
前記油面位置に関する情報は、前記撮像部によって取得された前記油面計の画像から得られる油面位置が、前記油面計の上限位置と下限位置により区画された複数の区分のいずれにあるかであってもよい。
【0011】
パッケージ型圧縮機は、前記油面位置に関する情報を表示する表示部が前記パッケージの外部に設けられていてもよい。
【0012】
パッケージ型圧縮機は、前記油面位置に関する情報を、通信回線を介して外部機器に送信する通信部を備えていてもよい。
【0013】
パッケージ型圧縮機は、前記撮像部によって取得された前記油面計の画像から油面位置を検出し、検出された前記油面位置が前記油面計の上限位置を上回るかの判定、検出された前記油面位置が下限位置を下回るかの判定、及び検出された前記油面位置の変化が所定値以上であるかの判定を実行する制御部と、前記判定のいずれかが成立したことを報知する報知部とを備えていてもよい。
【0014】
この構成により、油回収器に貯溜された油の油量の過剰、油漏れ等に起因する油量の不足、並びに圧縮機本体や油回収器の動作の異常を報知部によって自動的に報知できる。
【0015】
前記制御部は、前記圧縮機本体の負荷運転時に、検出された前記油面位置が前記上限位置を上回るかの判定と、検出された前記油面位置が前記下限位置を下回るかの判定とを実行し、前記負荷運転及び無負荷運転時に、検出された前記油面位置の変化が所定値以上であるかの判定を実行してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記油分離器の油分離性能が所定値以上であるかの判定をさらに実行し、前記報知部は、当該判定が成立したことを報知してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、油回収器の油面計を備えるパッケージ型圧縮機における、油回収器に関する点検の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るパッケージ型圧縮機の外観を示す斜視図。
図2】第1実施形態における圧縮機本体及び油回収器の模式図。
図3】第1実施形態に係るパッケージ型圧縮機の要部を示す模式図。
図4】油回収器の部分的な斜視図。
図5】油回収器の部分的な正面図。
図6】異常検出処理を説明するためのフローチャート。
図7】第1実施形態に係るパッケージ型圧縮機の第1の変形例の要部を示す模式図。
図8】第1実施形態に係るパッケージ型圧縮機の第2の変形例の要部を示す模式図。
図9】第1実施形態に係るパッケージ型圧縮機の第3の変形例の要部を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施形態に係るパッケージ型圧縮機1(以下、単に圧縮機という)では、油冷式圧縮機である圧縮機本体2と油回収器3を含む圧縮機を構成する機器がパッケージ4内に収容されている。パッケージ4には、吸気口と排気口(図示せず)とが設けられている。
【0021】
図2を参照すると、本実施形態における圧縮機本体2は、雌雄一対のロータ(モータ5により回転駆動される)を収容したロータ室と連通する吸込口2aと吐出口2bを備える。前記吸気口(図示せず)を介し、吸込口2aから吸い込まれてロータ室で圧縮された空気が、吐出口2bから吐出される。圧縮機本体2の吐出口2bは吐出流路6を介して油回収器3に接続されている。
【0022】
吐出口2bから吐出された圧縮空気(吐出空気)は吐出流路6を通って油回収器3に流入する。油回収器3では、圧縮空気の旋回による遠心力とオイルセパレータ(図示せず)とにより吐出空気から油が分離され、下部の油溜りに一時的に貯溜される。油が分離された圧縮空気は油回収器3から供給流路7及び排気口(図示せず)を介して需要側に送られる。
【0023】
油回収器3の油溜りに溜められた潤滑油は、油回収器3と圧縮機本体2(吸込口2a)との差圧により給油流路8を通って圧縮機本体2へ流れる。
【0024】
図2図4、及び図5を参照すると、前述のようにパッケージ4内に収容された油回収器3の外壁3aには、油回収器3に貯溜された油の液面位置を確認するための油面計11が設置されている。つまり、油面計11もパッケージ4内に収容されている。
【0025】
本実施形態における油面計11は、油回収器3の上部接続孔3bと下部接続孔3cにそれぞれ取り付けられた上側流体継手11aと下側流体継手11bと、ガラス等の透明な材料からなる透明管11c(本実施形態で角管)とを備える。透明管11c内の流路の上下端は上側流体継手11aと下側流体継手11bを介して油回収器3の内部と流体的に連通している。透明管11c内に導入された油の液面位置によって油回収器3内に貯溜されている油の油面位置を確認することができる。
【0026】
図4及び図5に示すように、透明管11cには、上限位置11dと下限位置11eが視認可能な線として表示されている。上限位置11dと下限位置11eは圧縮機本体11の正常な動作が保証され得る油回収器3の油面位置の上限と下限に対応している。
【0027】
油面計11はダイヤル油面計、つまり油回収器3の油面に浮かぶフロートの昇降と連動して目盛板上で指針が回転する形式のものであってもよい。油面計11の形式は、油回収器3内の油面を油回収器3の外部から視覚的に確認できるものである限り特に限定されない。
【0028】
パッケージ4内には、油面計11、特に透明管11cを撮影してその画像を取得する可視光カメラ12が収容されている。本実施形態では、可視光カメラ12はカラー撮影が可能であるが、モノクロ撮影にのみ対応しているものであってもよい。
【0029】
本実施形態では、可視光カメラ12はパッケージ4のベース4aに下部が固定されたブラケット13の上部に固定されている。可視光カメラ12はベース4a以外の部材に保持されていてもよい。
【0030】
図2及び図3にのみ概念的に示すように、パッケージ4内には、油面計11のうち少なくとも可視光カメラ12の撮影範囲に入っている部分、特に透明管11cに対して照明光を照射するライト14が収容されている。ライト14は可視光カメラ12と同様にパッケージ4のベース4aに保持されていてもよいし、それ以外の部材に保持されていてもよい。
【0031】
図2及び図3を参照すると、パッケージ4内には、制御部21が収容されている。また、図2及び図3に加えて図1を参照すると、パッケージ4の外部には、制御部21に対してオペーレータが指示、設定等を入力するための入力部23と、制御部21からの情報(特に、後述するように油面位置に関する情報)を視覚的に表示するディスプレイである表示部24が設けられている。
【0032】
制御部21は、圧縮機本体2を駆動するためのモータ5を含むパッケージ型圧縮機1を構成する機器を、各種のセンサや入力部23からの入力に基づいて制御する。また、制御部21は、後述するように、可視光カメラ12で取得した油面計11の画像に基づく油面計11における油面位置に関する情報の生成や出力を実行する。なお、可視光カメラ12で取得した油面計11の画像に基づく油面計11における油面位置に関する情報の生成や出力を実行するための制御部21と別の基板(制御部)を設けてもよい。
【0033】
図3を参照すると、本実施形態における制御部21は、処理部21A、記憶部21B、通信部21C,21D、及び電源部21Eを備える。処理部21Aは記憶部21Bに記憶されたプログラムやデータに基づいて可視光カメラ12で取得した油面計11の画像の処理等を実行する。処理部21AはCPU等により、記憶部21BはROM、RAM等により構築できる。通信部21Cは可視光カメラ12及びライト14との通信を実行する。電源部21Eは可視光カメラ12及びライト14へ電力を供給する。通信部21Dは通信回線25を介した外部端末26との通信を実行する。
【0034】
通信回線25は、インターネットのような公衆回線を一部に含むものであってもよい。また、通信回線25は一部又は全部が無線回線であってもよいし、有線回線であってもよい。通信回線25はMtoM(Machine-to-Machine)と呼ばれる、機器同士が直接情報をやり取りするための接続として機能する。
【0035】
外部端末26は、制御部21からの情報(特に、後述するように油面位置に関する情報)を視覚的に表示するディスプレイである表示部26Aと、制御部21による制御で鳴動するブザーであるアラーム26Bとを備える。外部端末26としては、パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末(スマートフォンを含む)を例示できる。
【0036】
制御部21は、可視光カメラ12で取得した油面計11の画像に基づく油面位置に関する情報をパッケージ4の外部、より具体的には、パッケージ4の外部に設けられた表示部24と、外部端末26の表示部26Aに出力し、入力された情報が表示部24,26Aで表示される。このように可視光カメラ12が取得した油面計11の画像に基づいた油面位置に関する情報をパッケージ4の外部に出力可能であるので、油面位置を目視して油面位置を確認するためにパッケージ4を構成するカバーを外す必要がない。言い換えれば、パッケージ4のカバーを外すことなく、油回収器3に適正な量の油が貯溜されているか(油の補充が必要であるか)を確認できる。この点で、本実施形態のパッケージ型圧縮機1は油回収器3に関する点検が容易である。また、本実施形態における油回収器3に関する点検の簡素化は、圧力容器である油回収器3の設計変更を必要としない。さらに、本実施形態における油回収器3に関する点検の簡素化は、パッケージ4内に可視光カメラ12とライト14を設置する空間が確保でき、制御部21が可視光カメラ12と通信可能である限り、既存のパッケージ型圧縮機の追加機能として実現できる。
【0037】
可視光カメラ12で取得した油面計11の画像に基づく油面位置に関する情報は、可視光カメラ12で取得された油面計11の画像そのもの、可視光カメラ12で取得された油面計11の画像を加工して生成した油面位置の画像、及び上限位置11dと下限位置11eにより区画された3個の区分のいずれに油面位置があるかであってもよい。
【0038】
表示部24,26Aに可視光カメラ12で取得された油面計11の画像そのものが表示されることで、パッケージ4のカバーを外して油面計11を目視することなく、油面位置をリアルタイムで監視することができる。特に、外部端末26の表示部26Aに油面計11の画像そのものが表示されることで、パッケージ型圧縮機1が設置された現場に行くことなく、つまり遠隔で油面位置をリアルタイムで監視することができる。
【0039】
可視光カメラ12で取得された油面計11の画像を加工した油面位置の画像は、例えば、可視光カメラ12で取得された画像をグレースケール化し画像の輝度の変化部をエッジ(輪郭)として検出したものである。この場合も、パッケージ4のカバーを外すことなく、油面位置をリアルタイムで監視することができるし、外部端末26の表示部26Aによって遠隔で油面位置をリアルタイムで監視することができる。
【0040】
上限位置11dと下限位置11eにより区画された3個の区分のいずれに油面位置があるか、つまり油面位置が、上限位置11dを上回る区分にあるか、下限位置11eを下回る区部、又は上限位置11dと下限位置11eの間の区分のいずれにあるかは、例えば以下のように検出される。つまり、可視光カメラ12で取得された画像をグレースケール化し画像の輝度の変化部をエッジ(輪郭)として検出し、それに基づいて、油面位置、上限位置11d、及び下限位置11eが検出される。この検出により、油面位置が3個の区分のいずれにあるかが検出される。このように油面位置がいずれの区分にあるかを表示部24,26Aに表示する場合、画像を送信する場合と比較して、MtoMでの転送データ容量、つまり制御部21から通信回線25を介して送信されるデータ容量を低減できる。この場合も、パッケージ4のカバーを外すことなく、油面位置をリアルタイムで監視することができるし、外部端末26の表示部26Aによって遠隔で油面位置をリアルタイムで監視することができる。
【0041】
油面位置が3個の区分のいずれにあるかは、例えば2桁の2進数で表示することができる。例えば、1桁目を「上限位置11dより下方に油面位置があるか」、2桁目を「下限位置11eより上方に油面位置があるか」とし、いずれの桁についても「Yes」を「1」、「No」を「0」とすると、油面位置が上限位置11dより上方の場合を「01」、油面位置が上限位置11dと下限位置11eの間の場合を「11」、油面位置が下限位置11eより下の場合を「10」と表現でき、油面位置がいずれの区分にあるかを表現できる。このように画像処理により得られた油面位置そのそのもののみを送信することで、数バイトに転送容量を低減できる。
【0042】
可視光カメラ12で取得した油面計11の画像に基づく油面位置に関する情報は、油面位置をレベル化したものを含んでもよい。以下、一例を説明する。まず、可視光カメラ12で取得された画像をグレースケール化し画像の輝度の変化部をエッジ(輪郭)とした検出し、それに基づいて油面位置、上限位置11d、及び下限位置11eを検出する。次に、上限位置11dと下限位置11eの間を10等分したレベル(下限位置11eが0レベルで、上限位置11dが10レベル)のいずれであるかを判断する。上限位置11dと下限位置11eの間が仮に100ピクセルの場合、油面位置が下限位置11eより35ピクセル上方に位置していれば油面位置は4レベルと判定できる。
【0043】
本実施形態の制御部21は図6に示す異常検出処理を実行する。以下の説明において、各ステップで実行される処理の具体的な内容ついては、既に説明しているものについては繰り返しの説明は省略する。まず、可視光カメラ12により油面計11の画像を撮影し(ステップS1)、この画像に基づいて油面位置を検出する(ステップS2)。次に、油面位置が上限位置11dを超えているか、つまり油の充填量が過剰であるかを判断し(ステップS4)、超えている場合には報知処理(ステップS3)を実行する。報知処理の具体的内容については後述する。続いて、油面位置が下限位置11eを下回っているか、つまり油の充填量が不足しているか判断し(ステップS5)、下回っている場合には報知処理(ステップS3)を実行する。さらに、油面位置の変化が正常範囲か、より具体的には油面位置のレベルの変化が基準値以上であるか、つまり油漏れの可能性があるかを判断し(ステップS6)、正常範囲でない、つまり異常であると判断した場合には報知処理(ステップS3)を実行する。ステップS6では、例えば30秒で1レベル以上の変化を異常と仮定すると、油面位置のレベルのデータを30秒保持し、30秒前のデータと比較して1レベル(基準値)以上の変化があれば正常範囲でないと判断する。さらにまた、油回収器3の油分離性能が正常範囲であるか、つまり油回収器3のオイルセパレータのエレメント交換が必要であるかを判断し(ステップS7)、正常範囲でない、つまり異常であると判断した場合には報知処理(ステップS3)を実行する。油分離性能の評価は、運転条件(負荷率、圧力、運転時間等)と圧縮機本体2から吐出された吐出空気に含まれる油の理論値(例えば、0.002 cc/m3)から液面の低下レベルの理論値を求め、油面位置のレベルの変化がこの理論値を超える場合(圧縮機本体2から吐出された吐出空気に含まれる油の量が理論値を上回る場合)には、正常範囲でないと判断する。
【0044】
ステップS3の報知処理では、ステップS4~S7で検出された異常の内容を表示部24,26Aに表示する。この報知処理では、表示部24,26Aの表示と併せて又はそれに代えて、パッケージ型圧縮機1に設けたアラーム(例えば制御部21による制御で鳴動するブザー)や外部端末26のアラーム26Bを鳴動させてもよい。
【0045】
ステップS4,5は圧縮機本体2の無負荷運転時には実行せず負荷運転時にのみ実行し、ステップS6,7は圧縮機の運転時、つまり負荷運転時及び無負荷運転時に実行してもよい。
【0046】
可視光カメラ12で取得した油面計11の画像に基づく油面位置に関する情報の出力や、図6のような異常検出処理は、リアルタイムの映像で連続的に実行してもよく、静止画を適当な時間間隔で取り込んで、それらの静止画の比較により実行してもよい。圧縮機本体2や油回収器3に異常がない限りは油面位置が大きく変動することはないので、省エネルギーの観点から、圧縮機本体2の起動後の一定時間は連続で実行、その後は連続運転中に一定の時間間隔での実行(経過監視)としてもよい。
【0047】
図7から図9は第1実施形態の変形例をそれぞれ示す。これらの図面において、同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。また、これらの変形例について特に言及しない構成や機能は、第1実施形態と同様である。
【0048】
図7に示される変形例では、油回収器3に取り付けたペルチエ素子51によりライト14に給電している。この構成、つまりライト14への供給電力を、圧縮機を熱源とする電力で補う構成により、省エネルギー性が向上する。
【0049】
図8に示される変形例では、可視光カメラ12(例えば図3参照)に代えて、赤外線カメラ52を採用している。この構成により、ライト14(例えば図3参照)が不要となるので、省エネルギー性が向上し、装置構成の簡素化を図ることもできる。
【0050】
図9に示される変形例では、可視光カメラ12(例えば図3参照)に代えて、インテリジェントカメラ53を採用している。インテリジェントカメラ53は、第1実施形態においては制御部21が実行していた、油面計11の画像に基づく油面位置に関する情報の外部端末への出力や、図6のように異常検出処理を実行する。
【符号の説明】
【0051】
1 パッケージ型圧縮機
2 圧縮機本体
2a 吸込口
2b 吐出口
3 油回収器
3a 外壁
3b 上部接続孔
3c 下部接続孔
4 パッケージ
4a ベース
5 モータ
6 吐出流路
7 供給流路
8 給油流路
11 油面計
11a 上側流体継手
11b 下側流体継手
11c 透明管
11d 上限位置
11e 下限位置
12 可視光カメラ
13 ブラケット
14 ライト
21 制御部
21A 処理部
21B 記憶部
21C,21D 通信部
21E 電源部
22 アラーム
23 入力部
24 表示部
25 通信回線
26 外部端末
26A 表示部
26B アラーム
51 ペルチエ素子
52 赤外線カメラ
53 インテリジェントカメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9