(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025183876
(43)【公開日】2025-12-17
(54)【発明の名称】ダブルスタック型半導体発光素子及びダブルスタック型半導体発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10H 20/813 20250101AFI20251210BHJP
H10H 20/811 20250101ALI20251210BHJP
H10H 20/824 20250101ALI20251210BHJP
H10H 20/857 20250101ALI20251210BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/04
H01L33/30
H01L33/62
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091808
(22)【出願日】2024-06-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】506334182
【氏名又は名称】DOWAエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】小鹿 優太
(72)【発明者】
【氏名】門脇 嘉孝
(72)【発明者】
【氏名】井上 紘輔
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142BA32
5F142CD13
5F142CD14
5F142CD18
5F142CD25
5F241AA21
5F241AA24
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA08
5F241CA36
5F241CA39
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA74
5F241CA76
5F241CB11
5F241CB15
5F241CB22
5F241CB28
5F241CB36
(57)【要約】
【課題】良好な出力特性を有し、逆方向電圧特性の向上(リーク電流の低減)が可能な、ダブルスタック型の半導体発光素子を提供する。
【解決手段】第1n型半導体層140と、アンドープの第1活性層144と、p型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層1471と、p型疑似トンネル接合層1471に接して設けられるn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層1472と、アンドープの第2活性層149と、第2p型半導体層150と、をこの順に備え、第2活性層149のn型疑似トンネル接合層1472側に含まれるn型ドーパントの不純物濃度の最大値が1.0×10
16atoms/cm
3以下であるダブルスタック型半導体発光素子100。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1n型半導体層と、
アンドープの第1活性層と、
p型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層と、
前記p型疑似トンネル接合層に接して設けられるn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層と、
アンドープの第2活性層と、
第2p型半導体層と、
をこの順に備え、
前記第2活性層の前記n型疑似トンネル接合層側に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の最大値が1.0×1016atoms/cm3以下であることを特徴とする、
ダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項2】
前記n型疑似トンネル接合層と前記第2活性層との間に、Si不純物濃度が5.0×1017atoms/cm3以上5.0×1018atoms/cm3以下である第2n型半導体層を有する、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項3】
前記第1活性層及び前記第2活性層に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の平均は、それぞれ5.0×1015atoms/cm3以下である、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項4】
前記n型疑似トンネル接合層にドープされる前記n型ドーパントはSiである、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項5】
前記p型疑似トンネル接合層にドープされる前記p型ドーパントはCである、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項6】
前記n型疑似トンネル接合層における前記n型ドーパントの不純物濃度は1.5×1019atoms/cm3以上である、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項7】
前記p型疑似トンネル接合層における前記p型ドーパントの不純物濃度は1.0×1019atoms/cm3以上である、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項8】
前記第1活性層及び前記第2活性層、並びに前記p型疑似トンネル接合層及び前記n型疑似トンネル接合層は、AlGaInAs又はInGaAsPを含む、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項9】
前記p型疑似トンネル接合層及び前記n型疑似トンネル接合層に対して、前記第1活性層及び前記第2活性層を介さずに通電したときの電流電圧曲線において、電流が極大となる点は0.02V以上0.2V以下の範囲にある、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項10】
前記p型疑似トンネル接合層及び前記n型疑似トンネル接合層に対して、前記第1活性層及び前記第2活性層を介さずに通電したときの電流電圧曲線において、電流の極大値が7mA以下である、
請求項1に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【請求項11】
基板上に第1n型半導体層を形成する工程と、
前記第1n型半導体層上にアンドープの第1活性層を形成する工程と、
前記第1活性層上にp型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層を形成する工程と、
前記p型疑似トンネル接合層上にn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層を直接形成する工程と、
前記n型疑似トンネル接合層上にアンドープの第2活性層を形成する工程と、
前記第2活性層上に第2p型半導体層を形成する工程と、
を備え、
前記第2活性層の前記n型疑似トンネル接合層側に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の最大値を1.0×1016atoms/cm3以下にする、
ダブルスタック型半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
支持基板と、
前記支持基板上に設けられる接合層と、
前記接合層上に設けられる誘電体部と電極部とが並列する中間電極層と、
前記中間電極層上に設けられる第2p型半導体層と、
前記第2p型半導体層上に設けられるアンドープの第2活性層と、
前記第2活性層上に設けられるn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層と、
前記n型疑似トンネル接合層上に接して設けられるp型ドーパントを有するp型疑似トンネル層と、
前記p型疑似トンネル層上に設けられるアンドープの第1活性層と、
前記第1活性層上に設けられる第1n型半導体層と、
前記第1n型半導体層上に設けられる上部電極と、
を備え、
前記第2活性層の前記n型疑似トンネル接合層側に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の最大値が1.0×1016atoms/cm3以下である
ダブルスタック型半導体発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルスタック型半導体発光素子及びダブルスタック型半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体発光素子の出力を増加させるために、発光層を2つ以上作製し、それらを互いに垂直に配置することで、出力を増加させるダブルスタック型の半導体発光素子が知られていた。このようなダブルスタック型の半導体発光素子は、垂直に配置された2つ以上の発光層のそれぞれの間に、高濃度のドーパントがドープされたトンネル接合層を有する。
【0003】
例えば、特許文献1では、第1活性層と第2活性層とが互いに垂直に重なり合って配置され、第1活性層と第2活性層との間にトンネル接合が形成されたLED半導体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるダブルスタック型のLED半導体は、実際にはほとんど事業化されていない。本発明者らが検討したところ、現実には、発光層を2つ配置しても単一発光層の場合と比較して、電流100mAの場合で発光出力が1.3~1.45倍程度にしかならない。したがって、ダブルスタック型のLEDを使用するよりも、発光層が1つのシングルスタック型LEDを複数使用する方が、効率が良いというのが実情である。また、素子特性としてさらなるリーク電流の低減及び逆方向電圧の増加も求められていた。
【0006】
そこで本発明は、良好な出力特性を有し、リーク電流の低減及び逆方向電圧の増加が可能な、ダブルスタック型の半導体発光素子及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。そして本発明者らは、上述のとおりダブルスタック型LEDで発光出力が1.3~1.45倍程度にしかならない理由は、トンネル接合を形成するための層(ドーパントが高ドープされた層)に含まれるドーパントが意図せぬ悪影響をもたらすためだと考えた。ドーパントの拡散挙動を測定した結果、n型トンネル接合層にドープされたドーパントが第2活性層に拡散し、出力低下の原因となっていることを明らかにした。本発明者らは通常、n型トンネル層が設けられる側の活性層のn型ドーパント濃度に着目し、出力特性及び逆方向電圧特性の向上できる条件を実験的に確認した。すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
【0008】
(1)第1n型半導体層と、
アンドープの第1活性層と、
p型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層と、
前記p型疑似トンネル接合層に接して設けられるn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層と、
アンドープの第2活性層と、
第2p型半導体層と、
をこの順に備え、
前記第2活性層の前記n型疑似トンネル接合層側に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の最大値が1.0×1016atoms/cm3以下であることを特徴とする、
ダブルスタック型半導体発光素子。
【0009】
(2)前記n型疑似トンネル接合層と前記第2活性層との間に、Si不純物濃度が5.0×1017atoms/cm3以上5.0×1018atoms/cm3以下である第2n型半導体層を有する、
上記(1)に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0010】
(3)前記第1活性層及び前記第2活性層に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の平均は、それぞれ5.0×1015atoms/cm3以下である、
上記(1)又は(2)に記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0011】
(4)前記n型疑似トンネル接合層にドープされる前記n型ドーパントはSiである、
上記(1)~(3)のいずれかに記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0012】
(5)前記p型疑似トンネル接合層にドープされる前記p型ドーパントはCである、
上記(1)~(4)のいずれかに記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0013】
(6)前記n型疑似トンネル接合層における前記n型ドーパントの不純物濃度は1.5×1019atoms/cm3以上である、
上記(1)~(5)のいずれかに記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0014】
(7)前記p型疑似トンネル接合層における前記p型ドーパントの不純物濃度は1.0×1019atoms/cm3以上である、
上記(1)~(6)のいずれかに記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0015】
(8)前記第1活性層及び前記第2活性層、並びに前記p型疑似トンネル接合層及び前記n型疑似トンネル接合層は、AlGaInAs又はInGaAsPを含む、
上記(1)~(7)のいずれかに記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0016】
(9)前記p型疑似トンネル接合層及び前記n型疑似トンネル接合層に対して、前記第1活性層及び前記第2活性層を介さずに通電したときの電流電圧曲線において、電流が極大となる点は0.02V以上0.2V以下の範囲にある、
上記(1)~(8)のいずれかに記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0017】
(10)前記p型疑似トンネル接合層及び前記n型疑似トンネル接合層に対して、前記第1活性層及び前記第2活性層を介さずに通電したときの電流電圧曲線において、電流の極大値が7mA以下である、
上記(1)~(9)のいずれかに記載のダブルスタック型半導体発光素子。
【0018】
(11)基板上に第1n型半導体層を形成する工程と、
前記第1n型半導体層上にアンドープの第1活性層を形成する工程と、
前記第1活性層上にp型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層を形成する工程と、
前記p型疑似トンネル接合層上にn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層を直接形成する工程と、
前記n型疑似トンネル接合層上にアンドープの第2活性層を形成する工程と、
前記第2活性層上に第2p型半導体層を形成する工程と、
を備え、
前記第2活性層の前記n型疑似トンネル接合層側に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の最大値を1.0×1016atoms/cm3以下にする、
ダブルスタック型半導体発光素子の製造方法。
【0019】
(12)支持基板と、
前記支持基板上に設けられる接合層と、
前記接合層上に設けられる誘電体部と電極部とが並列する中間電極層と、
前記中間電極層上に設けられる第2p型半導体層と、
前記第2p型半導体層上に設けられるアンドープの第2活性層と、
前記第2活性層上に設けられるn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層と、
前記n型疑似トンネル接合層上に接して設けられるp型ドーパントを有するp型疑似トンネル層と、
前記p型疑似トンネル層上に設けられるアンドープの第1活性層と、
前記第1活性層上に設けられる第1n型半導体層と、
前記第1n型半導体層上に設けられる上部電極と、
を備え、
前記第2活性層の前記n型疑似トンネル接合層側に含まれる前記n型ドーパントの不純物濃度の最大値が1.0×1016atoms/cm3以下である
ダブルスタック型半導体発光素子。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、良好な出力特性を有し、リーク電流の低減及び逆方向電圧の増加が可能な、ダブルスタック型の半導体発光素子及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るダブルスタック型半導体発光素子を説明する模式断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係るダブルスタック型半導体発光素子を説明する模式断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るダブルスタック型半導体発光素子の製造工程の一部を説明する模式断面図である。
【
図4】
図3に引き続く、本発明の第2実施形態に係るダブルスタック型半導体発光素子の製造工程の一部を説明する模式断面図である。
【
図5】
図4に引き続く、本発明の第2実施形態に係るダブルスタック型半導体発光素子の製造工程の一部を説明する模式断面図である。
【
図6】
図5に引き続く、本発明の第2実施形態に係るダブルスタック型半導体発光素子の製造工程の一部を説明する模式断面図である。
【
図7】
図6に引き続く、本発明の第2実施形態に係るダブルスタック型半導体発光素子の製造工程の一部を説明する模式断面図である。
【
図8】試験1を実施するための性能確認用素子を説明する模式断面図である。
【
図9】実施例1乃至3及び比較例1の試験1の通電結果を示すグラフ図である。
【
図10】実施例1乃至3及び比較例1に係るダブルスタック型半導体発光素子の電流―発光出力特性を示すグラフ図である。
【
図11】実施例1に係るダブルスタック型半導体発光素子のSi拡散状態をSIMSによって測定した結果を示すグラフ図である。
【
図12】実施例2に係るダブルスタック型半導体発光素子のSi拡散状態をSIMSによって測定した結果を示すグラフ図である。
【
図13】実施例3に係るダブルスタック型半導体発光素子のSi拡散状態をSIMSによって測定した結果を示すグラフ図である。
【
図14】比較例1に係るダブルスタック型半導体発光素子のTe拡散状態をSIMSによって測定した結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、電気的にp型として機能する層をp型半導体層(「p型層」と略称する場合がある。)と称し、電気的にn型として機能する層をn型半導体層(「n型層」と略称する場合がある。)と称する。一方、Si、Te、Zn、S、C等の特定の不純物を意図的には添加しない場合、「i型」又は「アンドープ」と言う。このIII-V族化合物半導体層には、製造過程における不可避的な不純物の混入はあってよい。本発明では、少なくともアンドープの第1活性層とアンドープの第2活性層を有し、各々の活性層は形成時においてドーパントガスを流さずアンドープ層として形成されるが、他の層(例えばトンネル接合層又は疑似トンネル接合層)からのドーパントの拡散の影響が見られる場合がある。本発明では、層の成長時に意図的には不純物を添加していないが、製造過程において他の層に含まれる不純物の拡散による影響が見られる場合であって、一般的なn型クラッド層又はp型クラッド層における最小の不純物濃度である1×1016/cm3を超える濃度の不純物が観察されないならば、その活性層は「アンドープ」として扱う。
【0023】
一般に「トンネル接合層」とは
図9の比較例1の曲線に示すような、0Vから順方向電圧が増加すると共に順方向電流が増加する挙動を示した後に、順方向電圧の増加に従い順方向電流が小さくなる負性抵抗領域をもつ電流電圧曲線を有する層のことをいう。負性抵抗領域より前に流れる順方向電流はトンネル電流と呼ばれている。本明細書において、「疑似トンネル接合層」とは、
図9の実施例1~3の曲線に示すように、電流電圧曲線において負性抵抗領域を有するが、トンネル電流がゼロに近い値(例えば10mA以下)である層をいう。数値では負性抵抗を示す領域を有するものの、一見すると通常のpn接合ダイオードの電流電圧曲線と負性抵抗領域があること以外は同じ曲線である。一般的にトンネルジャンクション構造を使用する素子では
図9の比較例1のように大きなトンネル電流が流れる必要があると考えられてきたため、本発明者らも当初は
図9の実施例のような挙動ではトンネル電流が微弱なためトンネル接合層として使用できないと考えていたが、実際に本発明のダブルスタック型半導体発光素子に使用してみたところ、理由は不明であるが、通電が起こって比較例1のようなトンネル接合層よりも大きな発光出力と低いリーク電流と高い逆方向電圧が確認されたものである。例えば「疑似トンネル接合層」は、負性抵抗領域の始点(電流の極大点)が0.02V以上0.2Vの範囲にあることが好ましく、電流の極大点における最大のトンネル電流(電流の極大値)が7mA以下であることが好ましい。そして「疑似トンネル接合層」内において接しているp型層及びn型層をそれぞれ「p型疑似トンネル接合層」及び「n型疑似トンネル接合層」と呼称する。
【0024】
本明細書において、n型及びp型ドーパントの不純物濃度は、二次質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry、AMTEC社製CAMECA IMS-4f)によって測定した。分析条件は、一次種がCs+、一次エネルギーが14.5keV、二次極性が負である。各層のSIMSの値は、膜厚が40nmより厚い場合は端部(幅5nm)を除く平均値、膜厚が40nm以下の場合は該当する層のSIMSの最大値(ピーク値)とする。
【0025】
本明細書において、第2活性層のn型疑似トンネル接合層側とは、第2活性層の厚さ方向の中央から第2活性層のn型疑似トンネル接合層側に接する他層との境界までの領域のことを指し、例えば、第2活性層のn型疑似トンネル接合層側の端部に位置する障壁層である。当該領域内ではn型ドーパントの不純物濃度の最大値は、第2活性層と第2活性層のn型疑似トンネル接合層側に接する他層との境界に現れることが多い。
【0026】
各半導体層は、エピタキシャル成長により形成することができ、例えば、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法又は分子線エピタキシ(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法などの公知の薄膜成長方法により形成することができる。例えば、In源としてトリメチルインジウム(TMIn)、Ga源としてトリメチルガリウム(TMGa)又は、トリエチルガリウム(TEGa)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMAl)、As源としてアルシン(AsH3)、又は、ターシャルブチルアルシン(TBAs)、P源としてホスフィン(PH3)、又は、ターシャルブチルホスフィン(TBP)を所定の混合比で用い、これらの原料ガスを、キャリアガスを用いつつ気相成長させることにより、成長時間に応じて所望の厚みで形成することができる。各層をp型又はn型にドーピングする場合は、所望に応じたドーパント源のガスをさらに用いればよい。例えばSiをドーピングする場合、Si2H6ガスなどを用いればよく、Cをドーピングする場合、CBr4ガスなどを用いればよい。
【0027】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態に従うダブルスタック型半導体発光素子及びダブルスタック型半導体発光素子の製造方法について説明する。ダブルスタック型半導体発光素子100は、活性層が垂直方向に複数積み重なっており、これら活性層間は疑似的なトンネル効果により活性層前後における導電型の方向(例えばp型からn型)に対して逆方向(例えばn型からp型)に電流が流れる疑似トンネル接合層が挟まれており、所謂ダブルスタック型の発光ダイオードとして機能する。例えば、最小構成の実施形態である活性層が2つの場合において、第1活性層と第2活性層とは垂直方向に互いに重なり合って配置される。そして、疑似トンネル接合層147に含まれるp型疑似トンネル接合層1471に近い方の活性層を第1活性層144とし、疑似トンネル接合層147に含まれるn型疑似トンネル接合層1472に近い方の活性層を第2活性層149とする。なお、半導体発光素子は、発光ダイオード(LED)であることが好ましく、第1活性層及び第2活性層は各層においてインコヒーレント放射することが好ましい。各々の活性層は単一量子井戸構造(SQW)又は多重井戸構造(MQW)として、あるいは量子細線構造又は量子ドット構造として形成されてもよい。活性層の数を3つ以上とする場合も、各々の活性層が垂直方向に互いに重なり合って配置されており、複数の活性層の中の任意の近接する2つの活性層を第1活性層144及び第2活性層149とみなし、その第1活性層144と疑似トンネル接合層147と第2活性層149とが本発明を満たすならば、本発明のダブルスタック型半導体発光素子100である。
【0028】
第1実施形態に従うダブルスタック型半導体発光素子100の製造方法は、第1n型半導体層140を形成する工程と、第1n型半導体層140上にアンドープの第1活性層144を形成する工程と、第1活性層144上にp型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層1471を形成する工程と、p型疑似トンネル接合層1471上にn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層1472を直接形成する工程と、n型疑似トンネル接合層1472上に第2活性層149を形成する工程と、第2活性層149上に第2p型半導体層150を形成する工程と、を少なくとも含む。第1n型半導体層140から第2p型半導体層150を構成するすべての半導体層をまとめて、半導体積層体120と称する。また、第2活性層149のn型疑似トンネル接合層1472側に含まれる、n型疑似トンネル接合層1472に由来するn型ドーパントの不純物濃度の最大値は、1.0×1016atoms/cm3以下になるようにする。このn型ドーパントの不純物濃度は、7.0×1015atoms/cm3以下であることがより好ましく、5.0×1015atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0029】
第1活性層144とp型疑似トンネル接合層1471との間には、第1電子ブロック層145及び/又は第1p型半導体層146があっても良い。n型疑似トンネル接合層1472と第2活性層149との間には、第2n型半導体層148があっても良い。そして、第2活性層149と第2p型半導体層150との間には、第2電子ブロック層151があっても良い。また、アンドープとする層と、ドーピングによってp型又はn型としている層との間には、アンドープのスペーサ層を設けても良い。以下、各工程の詳細を説明する。
【0030】
まず、成長用基板105を準備する。成長用基板105としては、GaAs、InP、InAs、GaSb、InSbなどの化合物半導体の基板を使用することができる。費用面からはGaAs基板を用いることが好ましい。成長用基板105はその上に最初に成長させる層と導電型を合わせることが好ましい。例えば、成長用基板はSドープされたn型InP基板となっていることが好ましく、第1n型半導体層140はn型InP基板の(100)面上に積層されることが好ましい。また、成長用基板105の厚さは200μm以上900μm以下であることが好ましい。
【0031】
<第1n型半導体層の形成工程>
成長用基板105上に第1n型半導体層140を形成する。第1n型半導体層140は単層でもよいし、異なる複数の層で構成してもよい。
図1では、第1n型半導体層140を構成する層として、n型コンタクト層141及び第1n型クラッド層142を示す。n型コンタクト層141は例えば、n型InGaAs層とすることができ、厚さは2nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上20nm以下であることがより好ましい。第1n型クラッド層は例えば、n型InP層とすることができ、厚さは500nm以上8000nm以下であることが好ましく、3150nm以上3750nm以下であることがより好ましい。n型コンタクト層141及び第1n型クラッド層142に使用されるn型ドーパントとしてはSi、S等が挙げられる。また、成長用基板105とn型半導体層140との間にバッファ層を設けてもよい。
【0032】
図示しないが、第1n型半導体層140とその上に形成するアンドープの第1活性層144との間にスペーサ層を設けてもよい。スペーサ層の厚さは、n型ドーパントを含む層と接する場合は10nm以上200nm以下であることが好ましく、70nm以上130nm以下であることがより好ましい。スペーサ層は、隣り合う層と組成を同じくし、かつ、ドーパントをドーピングしない層とすることが好ましい。このスペーサ層は、ドーピングしている層からアンドープの層への不純物の拡散量を低減し、例えば第1n型クラッド層142からn型ドーパントが第1活性層144に拡散する量を低減する。
【0033】
<第1活性層の形成工程>
第1n型半導体層140上にアンドープの第1活性層144を形成する。第1活性層144は、AlGaInAs又はInGaAsPを含むことが好ましい。
図1では、第1活性層の井戸層を井戸層144wとし、障壁層を障壁層144bとする量子井戸構造を例示的に図示しているが、第1活性層144は単層構造でもよい。井戸層144wと障壁層144bとは異なる層であってもよいし、組成差を調整して井戸層144wに歪みを加えてもよい。また、第1活性層144は例えば、組成比の異なるInGaAlAs層を用いて形成してもよい。第1活性層144は、結晶欠陥抑制による光出力向上のため
図1のように多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を具えることが好ましい。この多重量子井戸構造は、上記井戸層144w及び障壁層144bを交互に繰り返した構造により形成することができる。多重量子井戸構造を用いる場合、井戸層144w及び障壁層144bの組み合わせは、3組以上40組以下が好ましい。つまり、最初の障壁層を含めて3.5組以上40.5組以下が好ましい。さらに、各井戸層の膜厚は5nm以上40nm以下が好ましく、各障壁層の膜厚は10nm以上50nm以下が好ましい。また、第1活性層144は、発光中心波長が1200nm以上である波長域を有してもよい。
【0034】
第1活性層144上に第1電子ブロック層145を設けてもよい。第1電子ブロック層145はアンドープでもp型でも良いが、アンドープであることが好ましい。第1電子ブロック層は単層であってもよいし、複数の層によって構成されてもよい。第1電子ブロック層145の厚さは2nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上30nm以下であることがより好ましい。この第1電子ブロック層145は、第1活性層144へのキャリアの注入および閉じ込めを行う層である。また、第1電子ブロック層145は、後述する疑似トンネル接合層147から第1活性層144へのp型ドーパントの拡散を低減する効果もある。
【0035】
図示しないが、アンドープの第1電子ブロック層145とその上に形成する第1p型半導体層146との間にスペーサ層を設けてもよい。スペーサ層の厚さは、p型ドーパントを含む層と接する場合は40nm以上400nm以下であることが好ましく、170nm以上330nm以下であることがより好ましい。
【0036】
<第1p型半導体層の形成工程>
第1活性層144とp型疑似トンネル接合層1471との間には、第1p型半導体層146を設けることが好ましい。第1p型半導体層146として例えば第1p型クラッド層を有していても良い。第1p型クラッド層の組成は、第1電子ブロック層145の組成よりもバンドギャップが小さいことが好ましく、例えばInGaAsP又はInPが挙げられる。第1p型半導体層146のp型ドーパント濃度は5.0×1017atoms/cm3以上5.0×1018atoms/cm3以下であることが好ましい。第1p型半導体層146は、第1p型クラッド層以外の層を含んでいても良く、例えば第1p型クラッド層とはV族元素が異なるInAlAs層又はAlInGaAs層を有していても良い。
【0037】
<p型疑似トンネル接合層及びn型疑似トンネル接合層の形成工程>
第1p型半導体層146上において、p型疑似トンネル接合層1471上にn型疑似トンネル接合層1472が直接積層された疑似トンネル接合層147を形成する。p型疑似トンネル接合層1471及びn型疑似トンネル接合層1472は、AlGaInAs又はInGaAsPであることが好ましい。p型疑似トンネル接合層1471に使用できるドーパントとしてはMg、Zn、C、Be等があげられるが、Cを使用することが好ましい。p型疑似トンネル接合層1471のドーパントをCとすることで、他のドーパントと比較して成長中の隣接するエピタキシャル層へのドーパント拡散現象を抑えることができる。n型疑似トンネル接合層1472に使用できるドーパントとしてはSi、Te、S、Ge、Sn、Se等があげられるが、Siを使用することが好ましい。n型疑似トンネル接合層1472のドーパントをSiとすることで、n型疑似トンネル接合層1472でドーピングされているドーパントが後述する第2活性層149に拡散する量を抑えることができる。p型疑似トンネル接合層1471におけるp型ドーパントの不純物濃度は、1.0×1019atoms/cm3以上であることが好ましく、1.02×1019atoms/cm3以上であることがより好ましく、1.05×1019atoms/cm3以上であることがさらに好ましい。また、n型疑似トンネル接合層1472におけるn型ドーパントの不純物濃度は、1.5×1019atoms/cm3以上であることが好ましく、1.55×1019atoms/cm3以上であることがより好ましく、1.6×1019atoms/cm3以上であることがさらに好ましい。p型疑似トンネル接合層1471とn型疑似トンネル接合層1472の厚さ及び不純物濃度は同一であっても良いし、異なっていても良い。また、p型疑似トンネル接合層1471及びn型疑似トンネル接合層1472の不純物濃度は層内で均一である必要はなく、濃度勾配があっても良い。n型疑似トンネル接合層1472におけるn型ドーパントの不純物濃度は、5×1019atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0038】
また、第1p型半導体層146とp型疑似トンネル接合層1471との間には、p型中間層を有していても良い。p型中間層は、p型疑似トンネル接合層1471とはV族元素が異なる層からなる層であり、例えば、p型疑似トンネル接合層1471がAlInGaAsで構成されるならば、p型中間層はInGaAsPで構成される。p型中間層は、第1p型クラッド層よりも高い不純物濃度を有し、p型疑似トンネル接合層1471と同等以下の不純物濃度を有することが好ましい。同様に、n型疑似トンネル接合層1472と第2n型半導体層148との間には、n型中間層を有していても良い。n型中間層は、n型疑似トンネル接合層1472とはV族元素が異なる層からなる層であり、例えば、n型疑似トンネル接合層1472がAlInGaAsで構成されるならば、n型中間層はInGaAsPで構成される。n型中間層は、第2n型クラッド層よりも高い不純物濃度を有し、n型疑似トンネル接合層1472と同等以下の不純物濃度を有することが好ましい。
【0039】
通常、トンネル接合層の形成には半導体へのドープ率を極めて高くして、p型疑似トンネル接合層1471とn型疑似トンネル接合層1472との接合面に生じる空乏層が、量子トンネリングが生じるほど薄くなる必要がある。本実施形態では、p型疑似トンネル接合層1471の厚さは10nm以上60nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましく、30nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。また、n型疑似トンネル接合層1472の厚さは5nm以上30nm以下であることが好ましく、10nm以上25nm以下であることがより好ましく、15nm以上20nm以下であることがさらに好ましい。
【0040】
本発明者らは、n型疑似トンネル接合層1472のSiドーパントのドーピング濃度に特に着目した。各種成長条件を最適化することで、n型疑似トンネル接合層1472に高濃度のSiをドープすることが可能となる。Si原子は他のドーパント(例えば、Te)等と比較して、第2活性層149に拡散しづらい特性を有するため、第2活性層149の発光効率が改善し、ダブルスタック型半導体発光素子100全体としても、出力特性が改善する。
【0041】
疑似トンネル接合層147上にSiドープした第2n型半導体層148を形成してもよい。第2n型半導体層148のSi不純物濃度は1.0×1017atoms/cm3以上5.0×1018atoms/cm3以下であることが好ましく、3.0×1017atoms/cm3以上3.0×1018atoms/cm3以下であることがより好ましく、5.0×1017atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。第2n型半導体層148の厚さは、100nm以上2000nm以下であることが好ましく、300nm以上600nm以下であることがより好ましい。また、後述する第2活性層149と疑似トンネル接合層147との間には、第2n型半導体層148以外の層が含まれていてもよく、第2n型半導体層148とアンドープの第2活性層149との間にスペーサ層を設けても良い。
【0042】
第2n型半導体層148とアンドープの第2活性層149との間に形成するスペーサ層の厚さは、10nm以上200nm以下であることが好ましく、70nm以上130nm以下であることがより好ましい。このスペーサ層は、ドーピングしている層からアンドープの層への不純物の拡散量を低減し、例えば第2n型半導体層148からSiが第2活性層149に拡散する量を低減する。
【0043】
<第2活性層を形成する工程>
第2n型半導体層148上にアンドープの第2活性層149を形成する。第2活性層149は、AlGaInAs又はInGaAsPを含むことが好ましい。ここで、第1活性層144と第2活性層149とを有するダブルスタック型半導体発光素子100について、第1活性層144の発光中心波長と、第2活性層149の発光中心波長とは、同一の波長としても良いし、近い波長としても良い。同一の波長とする場合には、第2活性層149は第1活性層144と同じ構成をとることが好ましい。例えば
図1では、組成比の異なるInGaAlAs層を用いて第1活性層144の障壁層144b及び井戸層144wからなる量子井戸構造を図示しているが、第2活性層149の障壁層149b及び井戸層149wもそれぞれ共通の構成とすることが好ましい。この場合、第1活性層144及び第2活性層149は同一の発光波長を有し、各活性層によって発せられる発光スペクトルが合成された発光スペクトルの発光中心波長は1200nm以上である波長域を有する。上述のような第2活性層149への不純物拡散に伴う活性層間での発光効率及び電力消費の偏りが生じなければ、合成された発光強度は活性層が1つの場合に比べて2倍に近い値まで増加する。また、同一の波長ではない場合でも、活性層に使用する材料の構成が同じであり、2つの発光スペクトルの一部が重なる程度に発光中心波長同士が近い場合は本発明と同様の効果が発揮され、合成された発光強度は活性層が1つの場合に比べて2倍に近い値まで増加する。
【0044】
第2活性層149上に第2電子ブロック層151を設けてもよい。第2電子ブロック層151はアンドープでもp型でも良いが、アンドープであることが好ましい。第2電子ブロック層151は単層であってもよいし、複数の層によって構成されてもよい。第2電子ブロック層151の厚さは2nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上、30nm以下であることがより好ましい。この第2電子ブロック層151は、第2活性層149へのキャリアの注入及び閉じ込めを行う層である。また、第2電子ブロック層151は、後述する第2p型クラッド層152から第2活性層149へのドーパントの拡散を低減する効果もある。第2電子ブロック層151がアンドープの場合は、第2電子ブロック層151とその上の第2p型半導体層150との間にスペーサ層を設けても良い。
【0045】
<第2p型半導体層を形成する工程>
第2活性層149上に第2p型半導体層150を形成する。第2p型半導体層150は単層でもよいし、異なる複数の層で構成してもよい。
図1では、第2p型クラッド層152、及びp型コンタクト層153によって構成されるp型半導体層150を示す。
【0046】
第2p型クラッド層152の厚さは1000nm以上8000nm以下であることが好ましい。第2p型クラッド層152がこれより厚いと、第2活性層149からの発光が第2p型クラッド層152内で吸収される影響が大きく、光の外部取り出しが低下するため好ましくない。また電流がLEDチップの端まで広がり表面再結合が増加するほか、素子のオーミック抵抗が増加してしまうことで発光効率が低下するので好ましくない。一方、第2p型クラッド層152がこれより薄いと、電極の真下で発光し、光の取り出しを妨げるため好ましくない。ここで使用できるドーパントとしてMg、Zn、C、Be等があげられる。第2p型クラッド層152のドーパント濃度は5.0×1017atoms/cm3以上3.0×1018atoms/cm3以下であることが好ましい。
【0047】
第2p型クラッド層152上にp型コンタクト層153を設けてもよく、p型コンタクト層153の厚さは30nm以上200nm以下であることが好ましい。また、p型コンタクト層153は、パターニングによって部分的なエッチング除去が可能なように、V族元素が異なる複数の層から形成されることも好ましく、上部電極191と接続するためのp型コンタクト部163を除く部分のp型コンタクト層153の一部をエッチング除去しても良い。p型コンタクト層153のドーパント濃度は第2p型クラッド層152のドーパント濃度より高く、1.0×1018atoms/cm3以上8.0×1019atoms/cm3以下であることが好ましい。また、電極と接する表面側のドーパント濃度が高くなるようにドーパント濃度を傾斜させても良い。
【0048】
本実施形態において、成長用基板105の裏面に裏面電極195を設けてもよく、p型コンタクト層153上の一部には上部電極191を設けてもよい。上部電極191はオーミック電極の配線部及びパッド部を含んでも良く、図示しないがパッド部はボンディング用の金属層または半田を有していても良い。上部電極191及び裏面電極195に用いる金属材料及び形成方法は公知のものを用いることができる。金属材料としては、Ti、Pt、Au、Ag、Al、Zn、Niなどを使用できる。
【0049】
上述した工程を経て得られたダブルスタック型半導体発光素子100は、良好な出力特性を有し、リーク電流の低減及び逆方向電圧の増加が可能である。
【0050】
上記のダブルスタック型半導体発光素子100の製造方法を経て得られるダブルスタック型半導体発光素子100について説明する。
図1を用いてダブルスタック型半導体発光素子100の一例を示す。
【0051】
ダブルスタック型半導体発光素子100は、第1n型半導体層140と、第1n型半導体層140上のアンドープの第1活性層144と、第1活性層144上のp型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層1471と、p型疑似トンネル接合層1471上に接しているn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層1472と、n型疑似トンネル接合層1472上のアンドープの第2活性層149と、第2活性層149上の第2p型半導体層150とを、少なくとも備える。また、第2活性層149に含まれる、n型疑似トンネル接合層1472に起因するn型ドーパントの不純物濃度の最大値は1.0×1016atoms/cm3以下であり、7.0×1015atoms/cm3以下であることがより好ましく、5.0×1015atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0052】
<第1n型半導体層>
第1n型半導体層140の厚さは500nm以上8000nm以下であることが好ましく、3150nm以上3750nm以下であることがより好ましい。第1n型半導体層140は、n型コンタクト層141及び第1n型クラッド層142を含んでもよい。また図示しないが、第1n型半導体層140と第1活性層144との間にスペーサ層を設けてもよい。第1n型半導体層140のドーパントとして、S又はSi等があげられる。
【0053】
<第1活性層及び第2活性層>
第1活性層144及び第2活性層149に含まれる、n型ドーパントの不純物濃度は、それぞれ1.0×1016atoms/cm3以下であることが好ましく、7.0×1015atoms/cm3以下であることがより好ましく、5.0×1015atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。また、原理上、第1活性層144及び第2活性層149に含まれる、n型ドーパントの不純物濃度は2.0×1014atoms/cm3以上である。さらに、第1活性層144及び第2活性層149はそれぞれ、AlGaInAs又はInGaAsPを含むことが好ましい。第1活性層144は、発光中心波長が1200nm以上である波長域を有してもよい。また、第1活性層144と第2活性層149とを有するダブルスタック型半導体発光素子100について、第1活性層144の発光中心波長と、第2活性層149の発光中心波長とは、同一の波長としても良いし、近い波長としても良い。
【0054】
第1活性層144上に第1電子ブロック層145を設けてもよい。第1電子ブロック層145はアンドープでもp型でも良いが、アンドープであることが好ましい。この第1電子ブロック層145は、第1活性層144へのキャリアの注入および閉じ込めを行う層である。また、第1電子ブロック層145は、後述する疑似トンネル接合層147から第1活性層144へのp型ドーパントの拡散を低減する効果もある。
【0055】
第1電子ブロック層145上に第1p型半導体層146として例えば第1p型クラッド層を有していても良い。第1p型クラッド層の組成は、第1電子ブロック層145の組成よりもバンドギャップが小さいことが好ましく、例えばInGaAsP又はInPが挙げられる。図示しないが、アンドープの第1電子ブロック層145とその上に形成する第1p型半導体層146との間に上述のスペーサ層を設けてもよい。
【0056】
<p型疑似トンネル接合層及びn型疑似トンネル接合層>
p型疑似トンネル接合層1471に使用できるドーパントとしてはMg、Zn、C、Be等があげられるが、Cを使用することが好ましい。p型疑似トンネル接合層1471におけるp型ドーパントの不純物濃度は1.0×1019atoms/cm3以上であることが好ましく、不純物濃度は1.02×1019atoms/cm3以上であることがより好ましく、1.05×1019atoms/cm3以上であることがさらに好ましい。n型疑似トンネル接合層1472に使用できるドーパントとしてはSi、Te、S、Ge、Sn、Se等があげられるが、Siを使用することが好ましい。n型疑似トンネル接合層1472におけるn型ドーパントの不純物濃度は1.0×1019atoms/cm3以上であることが好ましく、1.55×1019atoms/cm3以上であることがより好ましく、1.6×1019atoms/cm3以上であることがさらに好ましい。p型疑似トンネル接合層1471及びn型疑似トンネル接合層1472はそれぞれ、AlGaInAs又はInGaAsPを含むことが好ましい。n型疑似トンネル接合層1472におけるn型ドーパントの不純物濃度は、5×1019atoms/cm3以下であることがさらに好ましい
【0057】
<第2n型半導体層>
n型疑似トンネル接合層1472と第2活性層149との間にはSiドープされた第2n型半導体層148が設けられていることが好ましい。第2n型半導体層148のSi不純物濃度は、1.0×1017atoms/cm3以上5.0×1018atoms/cm3以下であることが好ましく、3.0×1017atoms/cm3以上3.0×1018atoms/cm3以下であることがより好ましく、5.0×1017atoms/cm3以上1.0×1018atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。第2n型半導体層148の厚さは、100nm以上2000nm以下であることが好ましく、300nm以上600nm以下であることがより好ましい。第2n型半導体層148とアンドープの第2活性層149との間に上述のスペーサ層を設けても良い。
【0058】
<第2p型半導体層>
第2p型半導体層150の厚さは1000nm以上8400nm以下であることが好ましく、2000nm以上5000nm以下であることがより好ましい。第2p型半導体層150は、第2p型クラッド層152又はp型コンタクト層153を含んでもよい。第2p型半導体層150のドーパントとして、Zn又はC等があげられる。また、第2活性層149と第2p型半導体層150との間に第2電子ブロック層151を設けてもよく、さらに図示しないが、第2電子ブロック層151上にスペーサ層を設けてもよい。そして、p型コンタクト層153の一部を除去して上部電極191と接続するためのp型コンタクト部163を設けても良い。
【0059】
<疑似トンネル接合層の特性>
p型疑似トンネル接合層1471及びn型疑似トンネル接合層1472に対して、第1活性層144及び第2活性層149を介さずに通電したときの電流電圧曲線において、電流が極大となるときの電圧が0.02V以上0.2V以下であることが好ましい。
【0060】
また、p型疑似トンネル接合層1471及びn型疑似トンネル接合層1472に対して、第1活性層144及び第2活性層149を介さずに通電したときの電流電圧曲線において、電流の極大値が7mA以下であることが好ましい。
【0061】
以上、詳細を説明したダブルスタック型半導体発光素子100は、良好な出力特性を有し、リーク電流の低減及び逆方向電圧特性の増加が可能である。なお、
図1のダブルスタック型半導体発光素子100では、紙面下方から第1n型半導体層140、第1活性層144、p型疑似トンネル接合層1471、n型疑似トンネル接合層1472、第2活性層149及び第2p型半導体層150がこの順に設けられているが、これは一例であり、この積層順序を天地逆転しても構わない。
【0062】
(第2実施形態)
図2を参照して、本発明の第2実施形態に従うダブルスタック型半導体発光素子200を説明する。ダブルスタック型半導体発光素子200は、半導体積層体の成長用基板側と反対側に支持基板を接合したうえで成長用基板を除去することで得られる接合型の半導体発光素子である。ダブルスタック型半導体発光素子100と同一の構成要素には原則として数字三桁のうち、下二桁で同一の参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0063】
ダブルスタック型半導体発光素子200は、支持基板280と、支持基板280上に設けられる接合層270と、接合層270上に設けられる誘電体部261と電極部265とが並列する中間電極層260と、中間電極層260上に設けられる第2p型半導体層250と、第2p型半導体層250上に設けられるアンドープの第2活性層249と、第2活性層249上に設けられるn型ドーパントを有するn型疑似トンネル接合層2472と、n型疑似トンネル接合層2472上に接して設けられるp型ドーパントを有するp型疑似トンネル接合層2471と、p型疑似トンネル接合層2471上に設けられるアンドープの第1活性層244と、第1活性層244上に設けられる第1n型半導体層240と、第1n型半導体層240上に設けられる上部電極291と、を少なくとも備える。また、第2活性層249のn型疑似トンネル接合層2472側に含まれる、n型疑似トンネル接合層2472に由来するn型ドーパントの不純物濃度の最大値は、1.0×1016atoms/cm3以下であることを特徴とする。また、このn型ドーパントの不純物濃度は7.0×1015atoms/cm3以下であることがより好ましく、5.0×1015atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。また、原理上、第2活性層249に含まれる、n型疑似トンネル接合層2472に起因するn型ドーパントの不純物濃度は2.0×1014atoms/cm3以上である。
【0064】
図2に示すダブルスタック型半導体発光素子200は、支持基板280と反対側から順に、第1n型半導体層240(n型コンタクト層241及び第1n型クラッド層242)、第1活性層244、第1電子ブロック層245、第1p型半導体層246、p型疑似トンネル接合層2471、n型疑似トンネル接合層2472、第2n型半導体層248、第2活性層249、第2電子ブロック層251、及び、第2p型半導体層250(第2p型クラッド層252、及びp型コンタクト層253)を有する。
【0065】
成長用基板と異なる支持基板280としては、成長用基板より安価で熱伝導性が高いことが好ましく、例えば、Si、Ge、GaAsなどの化合物基板のほか、銅合金、モリブデン、タングステン、コバールなどの熱膨張係数を抑制可能な金属を使用した金属基板又はAlNなどのセラミック基板に金属を付けたサブマウント基板を使用することができる。加工性及び価格の面からSi基板を支持基板280に用いることも好ましい。
【0066】
以下、ダブルスタック型半導体発光素子200とその製造方法の実施形態の一例を、
図3~
図7を参照しつつ、より詳細に説明する。まず、成長用基板205を用意する。そして、
図3を参照し、半導体積層体220を形成する。このとき、成長用基板205上に、図示しないエッチングストップ層を形成してもよい。半導体積層体220は既述の半導体積層体120と同様である。
【0067】
<<中間電極層の形成>>
p型コンタクト層253上に、貫通孔を有する誘電体部261並びに貫通孔内に設けられた電極部265及びp型コンタクト層253の一部であるp型コンタクト部263を備える中間電極層260を形成してもよい。誘電体部261と電極部265(及びp型コンタクト部263)とは並列して配設されてよく、電極部265とp型コンタクト部263は直列に配設されてよい。中間電極層260を形成する具体的手法は任意であるが、中間電極層260を形成するための具体的な態様の一例を
図4および
図5を参照して以下に説明する。なお、図では簡易的に中間電極層260内の電極部265及びp型コンタクト部263を備える場所を2つ、図示しているが、この場所は1つでもよく、3つ以上であってもよく、上部電極291の直下を避けつつ、上部電極291との間の電流が面内方向に均しく広がりやすいように分散した島状又は縞状に配置されていることが好ましい。
【0068】
まず、p型コンタクト層253上にマスクを形成し、スパッタリング法などを用いて電極部265をp型コンタクト層253の一部であるp型コンタクト部263上に形成し、レジストを除去すると共にp型コンタクト部263上以外の電極部265を除去する。その後、p型コンタクト層253上にマスクを形成し、電極部265が形成されているp型コンタクト部263の領域以外のp型コンタクト層253の一部を除去して凸部となるp型コンタクト部263を形成する。次に、誘電体部261を半導体積層体220上に成膜する。成膜法としては、プラズマCVD法またはスパッタ法などの、公知の手法が適用可能である。その後、誘電体部261上にフォトマスクを用いて中間電極層260上のレジストパターンを形成して、電極部265が露出するまで電極部265上の誘電体部261をエッチングにより除去する。中間電極層260の厚さは、500nm以上1000nm以下であることが好ましく、600nm以上800nm以下であることがさらに好ましい。
【0069】
<<金属反射層の形成>>
図4に示すように、中間電極層260上に金属反射層271を形成することも好ましい。金属反射層271は、複数の金属層を含むことができるが、金属反射層271を構成する金属には、Auの他、Al、Pt、Ti、Agなどを用いることができる。ここで、金属反射層271の組成においてAuを50質量%以上有することが好ましい。また、後続の工程における金属接合層279との接合を確実に行うため、金属反射層271の最表層(半導体積層体220と反対側の面)を、Au金属層とすることが好ましい。金属反射層271の厚さは400m以上2200nm以下であることが好ましく、1500nm以上2000nm以下であることがさらに好ましい。
【0070】
<<支持基板との接合>>
半導体積層体220及び中間電極層260を、少なくとも金属接合層279を介して支持基板280と接合する。金属反射層271を設けることで、金属反射層271と金属接合層279とを接合してよい。金属接合層279と、金属反射層271とを対向配置して貼り合せ、250℃~500℃程度の温度で加熱圧縮接合を行うことで、両者の接合を行うことができる。
【0071】
<<金属接合層の形成>>
Ti、Pt、Auなどの金属または、Auと共晶合金を形成する金属(Snなど)または半田を用いて金属接合層279を形成することができ、これらを積層して金属接合層279を形成することが好ましい。金属接合層279の厚さは1000nm以上2000nm以下であることが好ましく、1200nm以上1800nm以下であることがさらに好ましい。金属接合層279の最表層をAu金属とし、金属反射層271の最表層もAuとして、Au-Au拡散によるAu同士での接合を行うことができる。金属反射層271と金属接合層279とを接合して接合層270と称する。
【0072】
支持基板280は、成長用基板205とは異種の基板であればよく、先に述べた半導体基板、金属基板、セラミック基板がベースとなったサブマウント基板などを用いることができる。上述した接合法を用いるため、支持基板280は、本実施形態において形成する各半導体層と格子不整合してもよい。なお、支持基板280は、用途によっては絶縁性でもよいものの、導電性基板であることが好ましい。加工性および価格の面からSi基板を支持基板280に用いることが好ましい。Si基板を用いることで、支持基板280の厚みを、従来よりも大幅に小さくすることもでき、種々の半導体デバイスと組み合わせる実装にも適している。また、Si基板はInAs基板に比べて放熱性の点でも有利である。
【0073】
<<成長用基板の除去>>
支持基板280を接合した後、成長用基板205を除去する。成長用基板205がGaAs基板である場合、例えば、アンモニア過酸化水素混合液を用いて成長用基板205をウェットエッチングすることができる。成長用基板205がInP基板である場合は、例えば、希釈塩酸を用いてウェットエッチングすることができる。
【0074】
図5に示すように、成長用基板205を除去した後、半導体積層体220の上面(支持基板280とは反対側の面)に上部電極291としてオーミック電極及びパッド電極を形成してもよい。オーミック電極は、Au、Ge、Ni、Tiなどの金属又はAuと共晶合金を形成する金属(Snなど)又は半田を用いて形成することができる。蒸着法などの一般的な手段を用いることにより、オーミック電極を成膜して形成することができる。オーミック電極の厚さは制限されないが、例えば300nm以上1300nm以下とすることができる。オーミック電極を成膜後にオーミック接触のための熱処理を行うことが好ましい。
【0075】
オーミック電極形成後、オーミック電極上にパッド電極を形成することが好ましい。パッド電極はTi又はAuなどの金属、若しくはAuと共晶合金を形成する金属(Snなど)、若しくは半田を用いて形成することができる。蒸着法などの一般的な手段を用いることにより、パッド電極を形成することができる。そして、n型コンタクト層241が発光波長に対する光透過性が小さい層である場合は、上部電極291を形成する領域以外のn型コンタクト層241を除去して第1n型クラッド層242の表面を露出させることが好ましい。
【0076】
パッド電極形成後、上部電極291とその周囲以外の半導体積層体220の上面(例えば第1n型クラッド層242の表面)を粗面化してもよい。粗面化を行うことで光の取り出し効率が改善するためである。第1n型クラッド層242の表面の粗面化は、マスクを用いての選択的エッチング又はウェットエッチング等の一般的な手法を用いることにより行うことができる。俯瞰視で、上部電極291と電極部265とは離隔して形成されることが好ましい。
【0077】
<<メサ形成>>
図6に示すように、半導体積層体220の一部を、ドライエッチング法により除去することにより、半導体積層体220にメサ形状を形成してもよい。ドライエッチング法の方式としては反応性エッチング(RIE)とすることが好ましく、使用するプラズマ源としては例えば誘導結合プラズマ(ICP)を用いることができる。ドライエッチングは、俯瞰したときのチップ分割予定線に沿って一定の幅を持つストリート領域に対して行う。ストリート領域の幅(ストリート幅)は、チップ分割を活性層などに悪影響を与えることなく行うのに必要な幅であり、例えば40~100μmである。ストリート領域は格子状とすることができ、俯瞰したときのストリート領域でない領域には、上記で形成したパッド電極、又は中間電極層260の電極部265が配置される。上述のストリート領域の第1n型クラッド層242を露出させるように、第1n型クラッド層242上にドライエッチング時のエッチングレートが半導体積層体220よりも小さく、ストリート領域のエッチング終了まで無くならない厚さのマスク(例えばSiO
2マスク)を形成した後にストリート領域のドライエッチングを行う。このドライエッチングは、メサ形状の外側に中間電極層260が露出するまでエッチングを行う。中間電極層260と第2p型半導体層250とがなす角度θは70°以上85°以下であることが好ましい。また、俯瞰時の第1活性層と第2活性層の面積が同じとなるように、2つの活性層とその間は垂直な側面となることが好ましい。
【0078】
<保護膜の形成>
図7に示すように、メサ形成後、プラズマCVD等を用いて保護膜230を形成することが好ましい。このとき用いられる保護膜230には、SiO
2又はSiN等があげられる。上記のメサ形成工程におけるマスクのSiO
2を保護膜230の一部としても良い。また、上部電極291の上面を保護膜230が覆わないようにすることが好ましい。保護膜230の厚さは50nm以上500nm以下であることが好ましい。
【0079】
さらに支持基板280の裏面に裏面電極295を形成してもよい。
【0080】
以上の製造方法により、
図2に示すダブルスタック型半導体発光素子200を得ることができる。
【実施例0081】
(実施例1)
まず、MOCVD法を用いて、n型InP成長用基板205(厚さ:600μm、Sドープ、ドーパント濃度:2.0×1018/cm3)の(100)面上に、Siドープのn型InPバッファ層(厚さ:120nm、キャリア濃度:5.0×1017/cm3)を形成し、その上に第1n型半導体層240としてSiドープのn型In0.532Ga0.468Asコンタクト層241(厚さ:24nm、キャリア濃度:5.0×1017/cm3)、Siドープの第1n型InPクラッド層242(厚さ:3.5μm、キャリア濃度:5.0×1017/cm3)を形成し、その上にアンドープのInPスペーサ層(厚さ:100nm)を形成した。次に、発光中心波長が1500nmとなる量子井戸構造の第1活性層244(合計膜厚:165nm)を形成した。第1活性層244は、発光中心波長が1500nmとなるように、アンドープのIn0.419Ga0.297Al0.284As障壁層244w(厚さ:10nm)とIn0.765Ga0.125Al0.110As井戸層244b(厚さ:5nm)とを順に10層ずつ交互に積層した後で、In0.419Ga0.297Al0.284As障壁層244wを成長し、最後の障壁層を含めて10.5組とした。第1活性層244上に、アンドープのIn0.522Al0.478As第1電子ブロック層245(厚さ:20nm)、アンドープのInPスペーサ層(厚さ:300nm)を形成し、第1p型半導体層246としてZnドープの第1p型InP半導体層(厚さ:500nm、キャリア濃度:7.0×1017/cm3)、Znドープのp型Al0.478In0.522As層(厚さ:200nm、キャリア濃度:1.0×1018/cm3)、Znドープのp型Al0.122In0.529Ga0.349As層(厚さ:20nm、キャリア濃度:1.0×1018/cm3)を形成した。その上に、Znドープのp型In0.763Ga0.237As0.512P0.488中間層(厚さ:20nm、キャリア濃度:1.0×1018/cm3)を形成した。
【0082】
さらに、Cドープのp型Al0.137In0.529Ga0.334As疑似トンネル接合層2471(厚さ:36nm、キャリア濃度:5.0×1019/cm3)の上に、Siドープのn型Al0.137In0.529Ga0.334As疑似トンネル接合層2472(厚さ18nm、キャリア濃度:1.5×1019/cm3)を直接形成した。p型疑似トンネル接合層2471は、ドーピングガスとしてCBr4を使用してCをドーピングした。n型疑似トンネル接合層2472は、ドーピングガスとしてSi2H6を使用してSiをドーピングした。次に、n型疑似トンネル接合層2472上に、Siドープのn型In0.763Ga0.237As0.512P0.488中間層(厚さ:16nm、キャリア濃度:1.5×1019/cm3)を形成した。
【0083】
疑似トンネル接合層247上に、n型中間層を介して、第2n型半導体層248としてSiドープの第2n型InP半導体層(厚さ:500nm、キャリア濃度:1.5×1018/cm3)を形成し、その上にアンドープのInPスペーサ層(厚さ:100nm)を形成した。次に、第1活性層244と同一の構成を有する第2活性層249(合計膜厚:165nm)を形成した。さらに、第2活性層249上にアンドープのIn0.522Al0.478As第2電子ブロック層251(厚さ:20nm)、アンドープのInPスペーサ層(厚さ:300nm)を形成した。そして、第2p型半導体層250としてZnドープの第2p型InPクラッド層252(厚さ:2.4μm、キャリア濃度:7.0×1017/cm3)並びに、Znドープのp型InP層(厚さ:240nm、キャリア濃度:1.5×1018/cm3)、Znドープのp型In0.749Ga0.251As0.543P0.457層(厚さ:60nm、キャリア濃度:5.0×1018/cm3)、及び、Znドープのp型InGa0.468As(厚さ:120nm、キャリア濃度:1.5×1019/cm3)からなるp型コンタクト層253を形成した。
【0084】
以下の表1に、各層の組成、厚さ、ドーパントの種類、及びキャリア濃度を記載する。なお、キャリア濃度とは結晶成長時における設計上の不純物濃度である。後述するSIMS分析での不純物濃度の測定値が本発明での不純物濃度である。
【0085】
【0086】
次に、p型コンタクト層253の最表面のp型InGaAs層のp型コンタクト部263とする領域の表面以外をフォトレジストで覆い、電極部265としてTi(厚さ:10nm)、Au(厚さ:530nm)を蒸着法を用いて成膜し、p型コンタクト部263とする領域上の電極部265以外のパターンのレジストをその上に成膜された金属と共に除去した。コンタクトアニール後、電極部265上にフォトマスクを形成し、p型コンタクト部263としたい範囲のp型InGaAs層を残して、それ以外のp型InGaAs層を酒石酸―過酸化水素水混合液を用いてウェットエッチングによって除去した。プラズマCVD法により、p型コンタクト層253上の全面にSiO2からなる誘電体部261(厚さ:700nm)を形成した。電極部265上の誘電体部261をエッチングで除去して、誘電体部261と電極部265(及びp型InGaAsコンタクト部263)とが並列して配設される中間電極層260とした。次に、中間電極層260上に金属反射層271(Al(膜厚:10nm/Au(膜厚:650nm)/Pt(膜厚:100nm)/Au(膜厚:900nm)))を蒸着法により形成した。
【0087】
その後、支持基板(Si基板)280上に金属接合層279(Ti(膜厚:650nm)/Pt(膜厚:20nm)/Au(膜厚:900nm))を蒸着法により形成した。次いで、金属反射層271と金属接合層279とを対向配置して、300℃で加熱圧縮接合を行い、接合層270を形成した。次に、成長用基板205を希釈塩酸溶液を用いてウェットエッチングして除去し、n型InGaAsコンタクト層241を露出させた。
【0088】
n型InGaAsコンタクト層241上にAu(厚さ:10nm)/Ge(厚さ:30nm)/Au(厚さ:60nm)/Ni(厚さ:30nm)/Au(厚さ:800nm)/Ti(厚さ:100nm)/Au(厚さ:1000nm)を蒸着法を用いて形成し、上面オーミック電極とした。上面オーミック電極上にパッド電極(Ti(厚さ:150nm)/Pt(厚さ:100nm)/Au(厚さ:2500nm))を、蒸着法を用いて形成した。電極パターンの形成には、レジストを用いたリフトオフ法を用いた。その後、上面オーミック電極直下領域以外のn型InGaAsコンタクト層241を酒石酸―過酸化水素水混合液を用いてウェットエッチングにより除去した。
【0089】
次に、チップ分割予定線に沿ったストリート領域ならびに上面オーミック電極及びパッド電極を覆うように、フォトリソグラフによるレジストマスクを形成し、マスクした領域以外の第1n型InPクラッド層242の光取り出し面に対して、ウェットエッチングによる上面粗面化を行った。
【0090】
その後、プラズマCVD法によって全面にSiO2を形成した後、レジストによるマスクパターン形成及びエッチングによって、チップ分割予定線に沿ったストリート領域を露出させた形のSiO2マスクを形成した。マスクパターンにより露出させているストリート領域の幅は55μmである。ドライエッチング(ICP-RIE)によってメサを形成し、ストリート領域における中間電極層260の外周部を露出させると共に、半導体積層体220の側面を露出させた。エッチング条件は、ドライエッチング、ステージ温度が200℃、圧力が0.2Pa、バイアス電力が150W、ICP電力が190W、オーバーエッチング率が5%、使用したガス種の比率がSiCl4:Ar=4:8である。
【0091】
メサ形成後、上部電極291上に存在する上記SiO2マスクを除去した後、プラズマCVD法によって全面(上記の残存するSiO2マスクの上面及び、露出したメサ部側面及びストリート領域を含む)に保護膜230としてSiN(厚さ:190μm)を成膜した。その後、レジストによるマスクパターンを用いて上部電極291の上面のSiNをエッチングで除去し、その後にレジストを除去した。次に、研磨又はエッチングによって支持基板280の裏面を削り、ダブルスタック型半導体発光素子200の厚さを150μmとした。次に、支持基板280の裏面に裏面電極295(Ti(厚さ:10nm)/Pt(厚さ:50nm)/Au(厚さ:200nm))を蒸着法により形成し、RTAによって60秒間300℃での熱処理を行った。最後に、レーザーダイシングを用いてチップサイズ1080μm×1080μmの矩形上の個々の素子に分離して実施例1にかかるダブルスタック型半導体発光素子200を作製した。
【0092】
(実施例2)
n型InGaAsP中間層(n―InGaAsP層)およびp型InGaAsP中間層(p―InGaAsP層)を設けないこと以外、実施例1と同様にして実施例2に係るダブルスタック型半導体発光素子200を得た。
【0093】
(実施例3)
n型疑似トンネル接合層2472を形成するときのドーパントガス(Si2H6)の流量を3200sccmとした以外、実施例1と同様にして実施例3に係るダブルスタック型半導体発光素子200を得た。
【0094】
(比較例1)
p型疑似トンネル接合層2471を形成するときの成長温度を750℃ではなく725℃とし、成長中に725℃から630℃に変化させながら形成した。さらに、n型疑似トンネル接合層2472のドーパントをTeとし、ドーパントガスとしてDETe(ジエチルテルル)を使用し、流量を10sccm、成長温度を725℃から630℃に変化させながら形成した。これらの条件以外は、実施例1と同様にして比較例1に係るダブルスタック型半導体発光素子200を得た。以下、比較例1の疑似トンネル接合層247に位置する層は、単にトンネル接合層と呼称する。
【0095】
(比較例2)
成長用基板205上に実施例1と同様にして第1p型半導体層246まで形成したのち、疑似トンネル接合層247又は第2活性層249などを形成しないで、p型コンタクト層253を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例2に係るシングルスタック型半導体発光素子を得た。
【0096】
(実施例4)
第1活性層244及び第2活性層249の組成を発光中心波長が1300nmとなるように調整した以外は、実施例1と同様にして実施例4に係るダブルスタック型半導体発光素子200を得た。
【0097】
(比較例3)
第1活性層244及び第2活性層249の組成を発光中心波長が1300nmとなるように調整した以外は、比較例2と同様にして比較例3に係るシングルスタック型半導体発光素子を得た。
【0098】
[試験1]
試験1では、実施例1~3の疑似トンネル接合層247の性能及び比較例1のトンネル接合層を評価した。純粋なトンネル効果に関する評価を行うため、疑似トンネル接合層247(又はトンネル接合層)に対して、第1活性層244及び第2活性層249を介さずに通電できるように、以下のようにして試験を行った。
【0099】
具体的には、まず、2インチのp型InP基板上に、上述した条件で、第1p型半導体層246(p-InP、膜厚500nm)、疑似トンネル接合層247(又はトンネル接合層)、第2n型半導体層248(n-InP、膜厚500nm)を形成し、さらにn型コンタクト層241(n―InGaAs、膜厚24nm)及びInPキャップ層をこの順に成長させた(
図8a)。エッチング溶液塩酸―酢酸により上面のInPキャップ層をエッチングしてn型コンタクト層241を露出させた(
図8b)。次に、上部電極パターン以外をフォトレジストで覆い、上部電極を蒸着した後にレジストをその上に成膜された金属と共に除去して、上部電極を形成した(
図8c)。次に、n型コンタクト層241の上部電極直下とその周囲以外をエッチング除去し、残りのn型コンタクト層24と上部電極を覆うメサ形成用マスクを形成し(
図8d)て、ウェットエッチング(エッチング溶液:Br―MeOH)によりメサエッチングを行った(
図8e)。マスクを除去した後、p型InP基板の裏面に裏面電極の蒸着を行った(
図8f)。作製した素子を性能確認用素子10とする。
【0100】
LEDテスタ(ワイエイシイガーター製、型番:LX4730A)のステージ上に性能確認用素子を載せ、上部電極にプローブをあてて100ms間通電した。ここで、性能確認用素子10の上部電極の形状は円形であり、直径194.4μm、面積29681μm
2であった。さらに、メサの形状は円形であり、直径235.2μm、面積43447μm
2であった。各実施例及び比較例1の上記通電の結果を
図9に示す。また、表2に、各実施例p型疑似トンネル接合層2471及びn型疑似トンネル接合層2472のエピタキシャル構造、ドーパント、膜厚、及び上記通電結果を示す。そして、比較例1のトンネル接合層のエピタキシャル構造、ドーパント、膜厚、及び上記通電結果も、表2に併せて示す。表2に示すSIMS不純物濃度[cm
-3]は、性能確認用素子10ではなく、後述の試験2におけるSIMSによって測定した不純物濃度(ピーク値)を転記したものである。
【0101】
【表2】
*抵抗値[Ω]は、電圧Vrが0.2V~0.5Vの領域にあるときの抵抗値を平均することで算出した。
**降下開始電圧[V]は、電流が極大となる負性抵抗領域の開始時の電圧であり、電圧降下終了電圧[V]は、電流が極小となる負性抵抗領域の終了時の電圧である。
【0102】
図9及び表2からわかるように、比較例1では、一般的なトンネル接合層が示すように最大のトンネル電流(電流の極大値)が数十mAと大きく、負性抵抗のあるトンネルジャンクション特性が得られているのに対して、実施例1~3では、I-V曲線において、負性抵抗領域の始点(電流が極大となる点)が0.02~0.2Vの間にあり、かつ、最大のトンネル電流(電流の極大値)が7mA以下であり、従来考えられる挙動と異なる現象が確認された。
【0103】
[試験2]
試験2では、実施例1~4及び比較例1で作製したダブルスタック型半導体発光素子200及び比較例2~3で作製したシングルスタック型半導体発光素子の出力特性を測定した。さらに、実施例1~3及び比較例1~2をSIMS分析し、不純物濃度を測定した。表3に、実施例1~4及び比較例1で作製したダブルスタック型半導体発光素子200及び比較例2~3で作製したシングルスタック型半導体発光素子に対し、電流を30mA、100mA、1A流した時の発光出力Po[mW]及び順方向電圧Vf[V]、また、電圧を5V、10V印加したときのリーク電流Ir[A]、並びに、電流を0.1μA、1μA流した時の逆方向電圧Vr[V]を示す。また、
図10は、実施例1~3及び比較例1~2(対象波長帯が1500nm帯の素子)の電流―発光出力特性を示すグラフ図である。
【0104】
【0105】
表3及び
図10からわかるように、電流を1A流した時、n型疑似トンネル接合層2472のドーパントがSiである実施例1~3の発光出力は、シングルスタック型の比較例2の発光出力の1.8倍~1.9倍であり、電流が100mAの時は1.6倍~1.7倍である。これに対し、電流を1A流した時、n型疑似トンネル接合層2472のドーパントがTeである比較例1の発光出力は、シングルスタック型の比較例2の発光出力の約1.5倍であり、電流が100mAの時は約1.4倍である。大きな電流を流すほど本実施例の発光出力の向上効果は大きい。本実施例では大電流を流したときの発熱による出力低下が抑制される効果も有しており、本発明の疑似トンネル接合層247は通常のトンネル接合層に比べて電流を面内方向に拡散させやすく電流集中による発熱を抑えることが可能とも考えられる。また、実施例1~3に逆方向電圧5V流した時のリーク電流Irは、1.0×10
-10Aであり、比較例1の6.5×10
-9Aと比較して65分の1となっており、リーク電流の低減も有意に認められる。実施例1~3に逆方向電圧10V流した時のリーク電流Irも比較例1及びシングルスタック型の比較例2と比較して低減している。また、実施例1~3に0.1μA又は1μAを流した時の逆方向電圧Vrは約30Vであり、比較例1又はシングルスタック型の比較例2と比較して逆方向電圧の増加も有意に認められる。これら発光出力の向上、リーク電流の低減及び逆方向電圧の増加の効果は、波長が異なる実施例4とシングルスタック型の比較例3との比較でも同様に認められた。
【0106】
図11~14に実施例1~3及び比較例1のSIMS分析の結果をそれぞれ示す。これらの図では、n型ドーパントが拡散する程度がわかるように、第2活性層249と第1活性層244の全域が範囲に入るように横軸範囲を設定した。また、これらSIMS分析の結果から読み取った、実施例1~3の第2活性層249、第1活性層244及びn型InP層の不純物濃度の平均値、疑似トンネル接合層247(TJ)の不純物濃度の最大値(ピーク値)と、第2活性層249のTJ側のn型ドーパントの不純物濃度の最大値(ピーク値)、を、表4に示す。また、比較例1の第2活性層249、第1活性層244及びn型InP層の不純物濃度の平均値、トンネル接合層(TJ)の不純物濃度の最大値(ピーク値)、及び第2活性層249のTJ側のn型ドーパントの不純物濃度の最大値(ピーク値)についても表4に併せて示す。
【0107】
図11~14のSIMSプロファイルにおいて破線で図示する第2活性層249(i-InGaAlAs)とスペーサ層(i-InP)との境界線の付け方について説明する。境界線は、Asのプロファイルが急降下する箇所において変動する差分の中央に位置するものとした。当該Asのプロファイルをもとに、第2活性層249の厚さ方向の中央から第2活性層249のn型疑似トンネル接合層2472側に接する他層(スペーサ層)との境界までの領域を、第2活性層249のTJ側とした。
【0108】
【0109】
実施例1~3の第2活性層249に混入しているSiの不純物濃度は、n型疑似トンネル接合層2472側における最大値(ピーク値)で1.0×1016atoms/cm3以下であり、第2活性層249全体における平均で5.0×1015atoms/cm3以下である。一方、比較例1の第2活性層249に混入しているTeの不純物濃度は、第2活性層249の大部分において1.0×1016atoms/cm3を超えている。さらに、比較例1では、第2活性層249のTJ側の障壁層にTe濃度が3.3×1017atoms/cm3の大きなピークが存在する。実施例1~3のn型疑似トンネル接合層2472における不純物濃度(Si)のピーク値は1.65~1.83×1019cm-3であり、比較例1のn型トンネル接合層における不純物濃度(Te)のピーク値は1.48×1019cm-3であった。比較例1のn型トンネル接合層における不純物濃度のピーク値が、実施例1~3のn型疑似トンネル接合層2472における不純物濃度のピーク値より少ないのは、比較例1のTeが第2活性層の方向へ移動した結果と予想される。
【0110】
これらのSIMS分析の結果と表3に示す出力特性の測定結果から、トンネル接合層のn型ドーパントとしてTeを使用した場合、不純物であるTeが第2活性層249に拡散し出力低下が起きると考えられる。これに対し、n型ドーパントとしてSiを使用した場合、試験1の結果から通常のトンネル接合とは異なる挙動を示す疑似トンネル接合層となるものの、Siは第2活性層249に拡散しづらいため、出力低下が起きづらい。
【0111】
以上のとおり、本発明条件を満足することにより、良好な出力特性を有し、リーク電流の低減及び逆方向電圧の増加が可能な、ダブルスタック型の半導体発光素子を提供することができる。本発明による疑似トンネル接合層は、従来考えられていたトンネル接合層とは挙動が明らかに異なる。