(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018403
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ヘアアイロン
(51)【国際特許分類】
A45D 7/02 20060101AFI20250130BHJP
A45D 1/04 20060101ALI20250130BHJP
A45D 1/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A45D7/02 F
A45D1/04 C
A45D1/00 505E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122082
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】301000239
【氏名又は名称】テスコム電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】中島 広雅
(72)【発明者】
【氏名】吉下 祐策
(57)【要約】
【課題】一対の挟持加熱部による毛髪の挟み力を調整しやすくすることができるヘアアイロンを提供する。
【解決手段】本実施形態のヘアアイロンは、プレート及びヒータをホルダで支持して構成されるプレートアッシと、前記プレートアッシを収容するボディとをそれぞれが有し、毛髪を挟持して加熱する一対の挟持加熱部と、前記一対の挟持加熱部の少なくとも一方に設けられ、前記プレートアッシと前記ボディの間に位置して、前記ボディにおける前記プレートアッシの変位に応じて接触・非接触が切り替わることにより、前記一対の挟持加熱部による前記毛髪の挟持度合いを検出する検出機構と、前記検出機構が検出した前記毛髪の挟持度合いに基づいた報知・警告を行う報知・警告部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート及びヒータをホルダで支持して構成されるプレートアッシと、前記プレートアッシを収容するボディとをそれぞれが有し、毛髪を挟持して加熱する一対の挟持加熱部と、
前記一対の挟持加熱部の少なくとも一方に設けられ、前記プレートアッシと前記ボディの間に位置して、前記ボディにおける前記プレートアッシの変位に応じて接触・非接触が切り替わることにより、前記一対の挟持加熱部による前記毛髪の挟持度合いを検出する検出機構と、
前記検出機構が検出した前記毛髪の挟持度合いに基づいた報知・警告を行う報知・警告部と、
を有することを特徴とするヘアアイロン。
【請求項2】
前記検出機構は、前記プレートアッシの側に設けられたプレートアッシ側電極と、前記ボディの側に設けられたボディ側電極と、前記プレートアッシと前記ボディの間を仲介する仲介弾性体と、前記仲介弾性体に取り付けられた導通補助体とを有し、
前記報知・警告部は、前記ボディにおいて前記プレートアッシが沈み込んで前記仲介弾性体が変位し、前記導通補助体を介して前記プレートアッシ側電極と前記ボディ側電極の導通と非導通が切り替わったときに報知・警告を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘアアイロン。
【請求項3】
前記検出機構は、前記プレートアッシの側に設けられたプレートアッシ側電極と、前記ボディの側に設けられた第1、第2のボディ側電極と、前記プレートアッシと前記ボディの間を仲介する第1、第2の仲介弾性体と、前記第1、第2の仲介弾性体に取り付けられた第1、第2の導通補助体とを有し、
前記報知・警告部は、前記ボディにおいて前記プレートアッシが沈み込んで前記第1の仲介弾性体が変位し、前記第1の導通補助体を介して前記プレートアッシ側電極と前記第1のボディ側電極が非導通から導通に切り替わった後、前記ボディにおいて前記プレートアッシがさらに沈み込んで前記第2の仲介弾性体が変位し、前記第2の導通補助体を介して前記プレートアッシ側電極と前記第2のボディ側電極が非導通から導通に切り替わったとき、及び/又は、前記ボディにおいて前記プレートアッシが浮き上がって、前記プレートアッシ側電極と前記第1のボディ側電極が導通から非導通に切り替わったときに報知・警告を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘアアイロン。
【請求項4】
前記報知・警告部は、前記ボディにおいて前記プレートアッシがさらに沈み込んで前記第2の仲介弾性体が変位し、前記第2の導通補助体を介して前記プレートアッシ側電極と前記第2のボディ側電極が非導通から導通に切り替わったときの報知・警告の態様と、前記ボディにおいて前記プレートアッシが浮き上がって、前記プレートアッシ側電極と前記第1のボディ側電極が導通から非導通に切り替わったときの報知・警告の態様とを異ならせる、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘアアイロン。
【請求項5】
前記プレートアッシ側電極と前記第1のボディ側電極の非導通が所定時間に亘って継続したとき、前記一対の挟持加熱部による前記毛髪の加熱温度を低下させる加熱制御部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘアアイロン。
【請求項6】
前記プレートアッシ側電極、前記第1、第2のボディ側電極、前記第1、第2の仲介弾性体、前記第1、第2の導通補助体への蒸気の侵入を防止する侵入防止壁をさらに有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘアアイロン。
【請求項7】
前記侵入防止壁は、前記ホルダの側に形成されたホルダ側侵入防止壁と、前記ボディの側に形成されたボディ側侵入防止壁とを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載のヘアアイロン。
【請求項8】
前記第1、第2の仲介弾性体は、第1、第2のコイルバネから構成され、
前記第1、第2の導通補助体は、第1、第2のコネクトボタンから構成される、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘアアイロン。
【請求項9】
前記検出機構は、前記プレートアッシと前記ボディの少なくとも一方に設けられるとともに、前記プレートアッシと前記ボディの離間状態では非導通状態となり、前記プレートアッシと前記ボディの接近状態では導通状態となる接点部を有するラバースイッチを有し、
前記報知・警告部は、前記ボディにおいて前記プレートアッシが沈み込んで前記プレートアッシと前記ボディが接近することで、前記ラバースイッチの前記接点部が非導通状態から導通状態に切り替わったときに報知・警告を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘアアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いにヒンジ結合された一対の本体と、一対の本体に設置された一対の熱板とを有するヘアアイロンが記載されている。このヘアアイロンでは、一対の熱板の上部面の間に髪の毛を位置させて圧力を加えることにより、一対の熱板から発生する熱を用いて髪の毛を成形する。
【0003】
特許文献2には、第1ヒータを有する第1プレートと、第2ヒータを有する第2プレートとを備えるヘアカーラーが記載されている。このヘアカーラーでは、第1プレートと第2プレートが閉じられた状況にあるとき、第1ヒータと第2ヒータの間に0.06mmから0.12mmの確保された空間が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5663103号公報
【特許文献2】実用新案登録第3201456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の鋭意研究によると、特許文献1のヘアアイロンは、一対の本体による髪の毛の挟み力を使用者が調整する必要があるところ、調整が上手く行かずに不具合が発生するおそれがある。同様に、特許文献2のヘアカーラーは、第1プレートと第2プレートによる髪の毛の挟み力を使用者が調整する必要があるところ、調整が上手く行かずに不具合が発生するおそれがある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、一対の挟持加熱部による毛髪の挟み力を調整しやすくすることができるヘアアイロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のヘアアイロンは、プレート及びヒータをホルダで支持して構成されるプレートアッシと、前記プレートアッシを収容するボディとをそれぞれが有し、毛髪を挟持して加熱する一対の挟持加熱部と、前記一対の挟持加熱部の少なくとも一方に設けられ、前記プレートアッシと前記ボディの間に位置して、前記ボディにおける前記プレートアッシの変位に応じて接触・非接触が切り替わることにより、前記一対の挟持加熱部による前記毛髪の挟持度合いを検出する検出機構と、前記検出機構が検出した前記毛髪の挟持度合いに基づいた報知・警告を行う報知・警告部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一対の挟持加熱部による毛髪の挟み力を調整しやすくすることができるヘアアイロンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一対の挟持加熱部を閉じた状態のヘアアイロンの構成を示す側面図である。
【
図2】一対の挟持加熱部を開いた状態のヘアアイロンの構成を示す側面図である。
【
図5】
図4のV-V線に沿う第1の状態を示す断面図である。
【
図6】
図4のV-V線に沿う第2の状態を示す断面図である。
【
図7】
図4のV-V線に沿う第3の状態を示す断面図である。
【
図8】ヘアアイロンの構成を示すブロック図である。
【
図9】報知・警告部による報知・警告の処理の一例を示す図である。
【
図11】ラバースイッチを用いた検出機構の一例を示す図である。
【
図12】検出機構の数を1つにした場合のヘアアイロンの構成を示す第1の図である。
【
図13】検出機構の数を1つにした場合のヘアアイロンの構成を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本実施形態のヘアアイロンについて詳細に説明する。本実施形態のヘアアイロンは、毛髪を挟持して加熱する一対の挟持加熱部を有しており、一対の挟持加熱部による毛髪の挟み力を最適化させた形で調整するための手段(例えば、毛髪の癖付けに必要な最低限の挟み力を上回り、毛髪のダメージが危惧されるようなネガティブな挟み力を下回るような最適範囲に調整するための手段)を具備したものである。
【0011】
図1は、一対の挟持加熱部を閉じた状態のヘアアイロンの一例を示す側面図である。
図2は、一対の挟持加熱部を開いた状態のヘアアイロンの一例を示す側面図である。
図3は、ヘアアイロンの構成を示す背面図である。
図4は、ヘアアイロンの構成を示す下面図である。
【0012】
ヘアアイロン1は、当該ヘアアイロン1の使用対象者の毛髪を挟持して加熱する一対の挟持加熱部10、20を有している。一対の挟持加熱部10、20は、ヒンジ軸30を中心として、互いに回動自在に連結されている。ヒンジ軸30を中心として一対の挟持加熱部10、20が接近するように回動させた閉状態が
図1であり、ヒンジ軸30を中心として一対の挟持加熱部10、20が離間するように回動させた開状態が
図2である。一対の挟持加熱部10、20の内部構造については、後に詳細に説明する。ここで、ヘアアイロン1の使用者は、ヘアアイロン1を使用して自らの毛髪を処理(スタイリング)する場合の当該使用者であってもよいし、ヘアアイロン1を使用して他人の毛髪を処理(スタイリング)する場合の当該使用者であってもよい。
【0013】
ヒンジ軸30は、一対の挟持加熱部10、20の長手方向における一端(基端)側(
図1、
図2の右端側)を連結している。一対の挟持加熱部10、20は、ヒンジ軸30を回転中心として相対的に回転を行って、一対の挟持加熱部10、20の間隔を変化させる。つまり、ヒンジ軸30を中心として一対の挟持加熱部10、20の間の開度(開き角度)が変化する。ヒンジ軸30を中心とする一対の挟持加熱部10、20の回転動作の方向を開閉方向とし、開閉方向のうち、一対の挟持加熱部10、20の間隔を小さくする方向を閉じ方向、一対の挟持加熱部10、20の間隔を大きくする方向を開き方向とする。
【0014】
図示は省略しているが、ヒンジ軸30の近傍には、一対の挟持加熱部10、20を開き方向に付勢する付勢手段が設けられている。付勢手段の一例として、トーションバネやコイルバネ等を用いることができるが、これ以外の付勢手段を用いてもよい。ヘアアイロン1を使用する際には、一対の挟持加熱部10、20とヒンジ軸30とを接続する一端(基端)側の部分に設けられた把持部10X、20Xを使用者が把持して、付勢手段の付勢力に抗して閉じ方向への力を付与することにより、一対の挟持加熱部10、20を所望の開度まで閉じさせる。この一対の挟持加熱部10、20の開度位置は、使用者による把持部10X、20Xの把持力(グリップ力、握り力)に応じて変動するものであり、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合いを示す指標となる。
【0015】
把持部20Xの内側には操作部40が設けられている。操作部40の側面には、電源スイッチ41と、温度調整ボタン42とが設けられている。その他、図示は省略しているが、操作部40の側面に、温度表示部や液晶ディスプレイ等が設けられていてもよい。また、操作部40の内部には、ヘアアイロン1を統括的に制御する制御部が設けられている。制御部の内部構成及び具体的制御については、後に詳細に説明する。
【0016】
ヘアアイロン1のうち、ヒンジ軸30が設けられている把持部10X、20Xの基端側には、円筒状の支持スリーブ50が設けられている。支持スリーブ50は、ヒンジ軸30を挟んで、2つのボディ(挟持加熱部10、20と把持部10X、20Xを含む)の反対側に向けて突出している。また、ヘアアイロン1に電力供給するための電源コード51が、支持スリーブ50の内側を通って操作部40の内部の電源回路に接続している。電源コード51の基端部分は、コードブッシュ52で覆われて保護されている。
【0017】
ヘアアイロン1の電源がオフの状態で、使用者が電源スイッチ41を操作(押下、長押し)すると、電源オン信号が制御部に入力され、制御部は、ヒータへの通電を開始して一対の挟持加熱部10、20への加熱を開始させる。一対の挟持加熱部10、20の温度が温度センサ(図示略)で検知され、設定された所定の温度(設定温度)に達すると、制御部はヒータへの通電を制御して設定温度を維持する。使用者が温度調整ボタン42を操作して設定温度を選択(変更)することが可能である。ヘアアイロン1の電源がオンの状態で、使用者が電源スイッチ41を操作(押下、長押し)すると、電源オフ信号が制御部に入力されて、制御部は、ヒータへの通電を終了してヘアアイロン1を電源オフ状態にする。
【0018】
なお、ヘアアイロン1においては、一対の挟持加熱部10、20での加熱処理だけではなく、毛髪に対して蒸気の状態で水分を供給するスチーム機能等を備えていてもよい。この場合、操作部40の内部に貯水部等を設けてもよい。
【0019】
このように、ヘアアイロン1は、2つのボディ(挟持加熱部10、20と把持部10X、20Xを含む)がヒンジ軸30で固定されていて、先端側のアイロン部分(一対の挟持加熱部10、20)で毛髪を挟んで加熱することで癖付けを行う。ヘアアイロン1は、バネ等の付勢手段で開閉される構造となっており、一対の挟持加熱部10、20を開いた状態で両者の間に毛髪を差し込み、把持部10X、20Xを手で握り込んで一対の挟持加熱部10、20を閉じることにより、毛髪を挟み込む構造となっている。
【0020】
ここで、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)は、使用者が把持部10X、20Xを握る力に依存していて、強く握るとその分、一対の挟持加熱部10、20の開度が小さくなって毛髪の挟持度合い(挟持力)が強くなり、弱く握るとその分、一対の挟持加熱部10、20の開度が大きくなって毛髪の挟持度合い(挟持力)が弱くなる。
【0021】
一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)は、スタイリングの仕上りに影響があり、挟持度合い(挟持力)が弱すぎると、毛髪への熱伝達ひいては癖付けが不十分となるおそれが高い。反対に挟持度合い(挟持力)が強すぎると、不自然な仕上がりになってしまったり、毛髪に伝わる熱が大きすぎて傷やダメージが進行してしまったりするおそれが高い。
【0022】
このように、ヘアアイロン1を使用する場合、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)は、毛髪の癖付けによる好適なヘアスタイル(スタイリング)の仕上がり、及び、毛髪の傷やダメージの軽減の両立に影響を与える重要な指標(要素)である。
【0023】
しかし、本発明者の鋭意研究によると、実際には、使用者の特性や癖によって、一対の挟持加熱部の握り方や力のかけ具合が個人毎にバラバラに異なるのが普通であり、一対の挟持加熱部による毛髪の挟持度合い(挟持力)を意識してヘアアイロンを使用しているユーザは、一部の美容師等に限られる。つまり、特許文献1、2を含む従来品においては、一対の挟持加熱部による毛髪の挟み力を調整して、毛髪の癖付けによる好適なヘアスタイル(スタイリング)の仕上がり、及び、毛髪の傷やダメージの軽減の両立を図るという観点において、改良の余地があった(挟み力の指標となるものがないためコントロールが難しい要素となっていた)。
【0024】
そこで、本実施形態は、上記の問題点を重要な技術課題として捉えて、ヘアアイロン1の使用時に、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)が適切であるかどうか(適切な範囲内にあるかどうか)を使用者に注意喚起することにより、毛髪の癖付けによる好適なヘアスタイル(スタイリング)の仕上がり、及び、毛髪の傷やダメージの軽減の両立を図ることに成功している。具体的に、ヘアアイロン1の使用時に、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)を検出(モニタリング)して、その検出(モニタリング)の結果に基づいた報知・警告を行うことで、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)を適切に(適切な範囲内に)調整することが可能になる。以下、当該構成要件の具体的な態様について詳細に説明する。
【0025】
図5は、
図4のV-V線に沿う第1の状態を示す断面図である。
図6は、
図4のV-V線に沿う第2の状態を示す断面図である。
図7は、
図4のV-V線に沿う第3の状態を示す断面図である。
図5~
図7は、一対の挟持加熱部10、20のうち、下面側に位置する挟持加熱部20の内部構造を示しているが、上面側に位置する挟持加熱部10についても、基本的に、下面側に位置する挟持加熱部20と同様の内部構造を有していてもよい。
【0026】
図5~
図7に示すように、挟持加熱部20は、プレート21、ヒータ22、並びに、プレート21及びヒータ22を支持するホルダ23で構成されるプレートアッシ24を有している。すなわち、ヘアアイロン1の使用対象者の毛髪を挟むプレート21の背面にヒータ22が格納されており、これらがホルダ23と一体になってプレートアッシ24を構成している。また、挟持加熱部20は、プレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)を収容するボディ25を有している。すなわち、挟持加熱部20は、プレート21及びヒータ22をホルダ23で支持して構成されるプレートアッシ24と、プレートアッシ24を収容するボディ25とを有している。
【0027】
また、挟持加熱部20は、プレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)とボディ25の間に位置して、ボディ25におけるプレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)の変位を保証するシリコン緩衝材(弾性体)26を有している。
図5~
図7の例では、挟持加熱部20の軸方向に離間した2つのシリコン緩衝材26を描いているが、シリコン緩衝材26の数や配置には自由度があり、種々の設計変更が可能である。プレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)は、2つのシリコン緩衝材26に支えられて、ボディ25の内部に配置(収容)されている。一対の挟持加熱部10、20によって毛髪を挟み込むと、荷重を受けたプレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)がボディ25の内部で沈み込んで、2つのシリコン緩衝材26が荷重を受けて変位(弾性変形)する。
【0028】
同様に、上面側に位置する挟持加熱部10も、プレート11及びヒータ12をホルダ13で支持して構成されるプレートアッシ14と、プレートアッシ14を収容するボディ15とを有してもよい。また、挟持加熱部10は、プレートアッシ14(プレート11、ヒータ12、ホルダ13)とボディ15の間に位置して、ボディ15におけるプレートアッシ14(プレート11、ヒータ12、ホルダ13)の変位を保証するシリコン緩衝材(弾性体)16を有していてもよい。
図1、
図2では、挟持加熱部10のプレート11とボディ15とに符号を付して描いている。なお、上面側に位置する挟持加熱部10は、下面側に位置する挟持加熱部20の一部の構成要素のみを具備していてもよい。例えば、上面側に位置する挟持加熱部10は、プレートアッシ14(プレート11、ヒータ12、ホルダ13)とボディ15を有し、シリコン緩衝材16を有しなくてもよい。また、上面側に位置する挟持加熱部10は、後述する「検出機構」の各構成要素を有しなくてもよい。
【0029】
本実施形態では、下面側に位置する挟持加熱部20の内部に、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)を検出する「検出機構」を設置している。この「検出機構」は、上面側に位置する挟持加熱部10の内部に設置されていてもよい。すなわち、「検出機構」は、一対の挟持加熱部10、20の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0030】
挟持加熱部20の内部に設けられた「検出機構」は、プレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)とボディ25の間に位置して、ボディ25におけるプレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)の変位に応じて接触・非接触(導通・非導通)が切り替わることにより、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)を検出するものである。以下、具体的に説明する。
【0031】
図5~
図7に示すように、「検出機構」は、プレートアッシ24の側に設けられたプレートアッシ側電極60と、ボディ25の側に設けられた第1のボディ側電極61と、ボディ25の側に設けられた第2のボディ側電極62と、プレートアッシ24とボディ25の間を仲介する第1のコイルバネ(仲介弾性体)63と、プレートアッシ24とボディ25の間を仲介する第2のコイルバネ(仲介弾性体)64と、第1のコイルバネ(仲介弾性体)63に取り付けられた第1のコネクトボタン(導通補助体)65と、第2のコイルバネ(仲介弾性体)64に取り付けられた第2のコネクトボタン(導通補助体)66と、を有している。第1のボディ側電極61と第1のコネクトボタン65の電気的な接触が保証されており、第2のボディ側電極62と第2のコネクトボタン66の電気的な接触が保証されている。
【0032】
第1のボディ側電極61と第1のコイルバネ63と第1のコネクトボタン65のセットは、挟持加熱部20の軸方向の中央部に1セット設けられており、これを挟むようにして、第2のボディ側電極62と第2のコイルバネ64と第2のコネクトボタン66のセットが2セット設けられている。第1のボディ側電極61と第1のコイルバネ63と第1のコネクトボタン65のセット、及び、第2のボディ側電極62と第2のコイルバネ64と第2のコネクトボタン66のセットは、2つのシリコン緩衝材(弾性体)26に挟まれた軸方向の内側領域に配置されている。プレートアッシ側電極60は、1つの第1のボディ側電極61と2つの第2のボディ側電極62に対応(共通)するように、挟持加熱部20の軸方向に延びる単一の部材として構成されている。
【0033】
このように、「検出機構」は、プレートアッシ24の側に設けられたプレートアッシ側電極60と、ボディ25の側に設けられた第1、第2のボディ側電極61、62と、プレートアッシ24とボディ25の間を仲介する第1、第2のコイルバネ(仲介弾性体)63、64と、第1、第2のコイルバネ(仲介弾性体)63、64に取り付けられた第1、第2のコネクトボタン(導通補助体)65、66とを有している。
【0034】
そして、「検出機構」は、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)がゼロの自由状態(無荷重状態)では、第1のコネクトボタン65が第2のコネクトボタン66よりも若干上方に突出している。従って、ボディ25においてプレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)が沈み込むと、第1変位位置(沈み込み量)にて、第1のコイルバネ63が変位して、第1のコネクトボタン65を介してプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通から導通に切り替わり、第1変位位置(沈み込み量)より深い第2変位位置(沈み込み量)にて、第2のコイルバネ64が変位して、第2のコネクトボタン66を介してプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わる。プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61の導通・非導通と、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62の導通・非導通との組み合わせを以って、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)を検出する。
【0035】
荷重を受けたプレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)がボディ25の内部で沈み込むと、先ず、2つのシリコン緩衝材(弾性体)26が荷重を受けて変位(弾性変形)する。さらに、荷重を受けたプレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)が第1のコネクトボタン65に接触するまで沈み込んだ時点から第1のコイルバネ63が荷重を受けて変位する。さらに、荷重を受けたプレートアッシ24(プレート21、ヒータ22、ホルダ23)が第2のコネクトボタン66に接触するまで沈み込んだ時点から第2のコイルバネ64が荷重を受けて変位する。このように、シリコン緩衝材26及び第1、第2のコイルバネ63、64は荷重を受けると圧縮(変位)し、その時の圧縮量(ボディ25に対してプレートアッシ24が沈み込む量)と荷重との間には一定の規則性がある。プレートアッシ24の沈み込み量に基づいて、プレートアッシ24に掛かる荷重ひいては毛髪に掛かる荷重を把握することが可能である。
【0036】
本実施形態の「検出機構」は、電極(電気接点)の接触・非接触(導通・非導通)に基づく検出原理であるため、耐熱性が低いことによる設計上の制約やコスト面でのデメリットがある電気センサ等を省略できるという利点がある。
【0037】
また、電極どうし(プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61及び/又は第2のボディ側電極62)を接触させる際に注意する点として、電極どうしが硬い材料どうしの場合、急激に荷重が変わってしまい、ユーザの使用感を妨げてしまう点、及び、接触を繰り返すことで接触面が劣化してしまう点が挙げられる。この点、本実施形態では、電極間に第1、第2のコイルバネ(仲介弾性体)63、64を介在させることにより、電極どうし(プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61及び/又は第2のボディ側電極62)の接触荷重を抑えるので、上記のような技術課題を低減(解消)することができる。
【0038】
また、バネだけで接触させる場合、当たり方によっては電極どうしで十分な接触面積が確保できない場合があり、接触状況で反応する/反応しない(導通/非導通)が発生するおそれがある。この点、本実施形態では、第1、第2のコイルバネ(仲介弾性体)63、64の上に接触面積を確保するための第1、第2のコネクトボタン(導通補助体)65、66を設けることにより、電極どうし(プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61及び/又は第2のボディ側電極62)の導通・非導通を確実に切り替えることができる。
【0039】
上記の機能を満足すれば、仲介弾性体(第1、第2の仲介弾性体)及び導通補助体(第1、第2の導通補助体)として何を採用するかには自由度があり、上述した第1、第2のコイルバネ63、64及び第1、第2のコネクトボタン65、66以外の構成要素を採用することも可能である。
【0040】
また、水蒸気や錆付きによる劣化を防止する観点から、電極(プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61と第2のボディ側電極62)及び導通補助体(第1、第2のコネクトボタン65、66)は、例えば、ステンレス材料から構成することが好ましい。
【0041】
なお、プレートアッシ14(プレート11、ヒータ12、ホルダ13)とボディ15との間に位置する弾性体として、シリコン緩衝材以外の弾性体を用いることも可能ではあるが、圧力センサ60に加わる過剰な負荷を軽減させるためにはシリコン等の柔らかい材料が好ましく、圧力センサ60への熱の影響を軽減させるためにはシリコン等の熱伝導率の低い材料が好ましい。
【0042】
図8は、ヘアアイロン1の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、ヘアアイロン1は、スピーカ70と、振動部80と、表示部90と、報知・警告部100と、加熱制御部110とを有している。報知・警告部100と加熱制御部110は、例えば、操作部40に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)の機能構成要素として実現されてもよい。
【0043】
スピーカ70は、音声を出力する音声出力部として機能する。スピーカ70は、例えば、ヘアアイロン1の操作部40に設けられて、ヘアアイロン1の操作ガイドに関する音声を出力したり、後述する報知・警告部100による報知・警告情報としての音声を出力したりする。
【0044】
振動部80は、振動を出力する振動出力部として機能する。振動部70は、例えば、ヘアアイロン1の把持部10X、20Xに内蔵されて、把持部10X、20Xを把持した使用者の手に振動を伝達する。この振動伝達は、後述する報知・警告部100による報知・警告情報として機能する。
【0045】
表示部90は、画像を週力する画像出力部として機能する。表示部70は、例えば、ヘアアイロン1の操作部40に設けられて、ヘアアイロン1の操作ガイドに関する画像を出力したり、後述する報知・警告部100による報知・警告情報としての画像を出力したりする。
【0046】
報知・警告部100は、上述した検出機構(プレートアッシ側電極60、第1、第2のボディ側電極61、62、第1、第2のコイルバネ63、64、第1、第2のコネクトボタン65、66)が検出した一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)に基づいた報知・警告を行う。ここで、「報知・警告」とは、「報知及び警告」、「報知又は警告」、「報知及び/又は警告」、「報知と警告の少なくとも一方」を意味する。報知・警告部100による報知・警告は、例えば、スピーカ70による音声出力、振動部80による振動伝達、表示部90による画像出力のいずれか、又は、これらの組み合わせにより実行される。
【0047】
より具体的に、報知・警告部100は、ボディ25においてプレートアッシ24が沈み込んで第1のコイルバネ63が変位し、第1のコネクトボタン65を介してプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通から導通に切り替わった後、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んで第2のコイルバネ64が変位し、第2のコネクトボタン66を介してプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わったとき、及び/又は、ボディ25においてプレートアッシ24が浮き上がって、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通から非導通に切り替わったときに報知・警告を行う。
【0048】
図5は、ボディ25においてプレートアッシ24が沈み込まない自由状態を描いており、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通であり、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通となっている。
図6は、ボディ25においてプレートアッシ24がやや沈み込んだ状態を描いており、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通しており、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通となっている。
図7は、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んだ状態を描いており、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通しており、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が導通している。
【0049】
第1のコイルバネ63が変位していない自由状態における第1のコネクトボタン65の高さ方向の位置は、例えば、毛髪への熱伝達ひいては癖付けを好適に行うための最低限度の挟持度合い(挟持力)に基づいて設定される。第2のコイルバネ64が変位していない自由状態における第2のコネクトボタン66の高さ方向の位置は、毛髪の傷やダメージの軽減を図る観点で超えてはならない臨界値としての挟持度合い(挟持力)に基づいて設定される。
【0050】
図5に示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通であり、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通となっている場合、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)が弱すぎて、毛髪への熱伝達ひいては癖付けが不十分となるおそれが高い。
【0051】
図7に示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通しており、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が導通している場合、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)が強すぎて、不自然な仕上がりになってしまったり、毛髪に伝わる熱が大きすぎて傷やダメージが進行してしまったりするおそれが高い。
【0052】
図6に示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通しており、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通となっている状態を維持すれば、毛髪の癖付けによる好適なヘアスタイル(スタイリング)の仕上がり、及び、毛髪の傷やダメージの軽減の両立を図ることができる。
【0053】
図9A、
図9B、
図9Cは、報知・警告部100による報知・警告の処理の一例を示す図である。
図9A~
図9Cの縦軸は、プレートアッシ24とボディ25の相対変位量、別言すると、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持荷重を示している。
【0054】
ヘアアイロン1の使用時に、一対の挟持加熱部10、20の間に毛髪を挟み込んで、把持部10X、20Xを握り込んでいくと、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持荷重が徐々に上がり始めて、やがて、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通する。その後、
図9Aに示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通しており、プレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通となっている状態を維持すれば、挟持荷重が好適な範囲内に収まっていることを意味しており、毛髪の癖付けによる好適なヘアスタイル(スタイリング)の仕上がり、及び、毛髪の傷やダメージの軽減の両立を図ることができる。このため、報知・警告部100による報知・警告は行われない。
【0055】
これに対して、
図9Bに示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通から導通に切り替わった後、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んでプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わったときを想定する。この場合、把持部10X、20Xを握り込む力が強くなりすぎて、不自然な仕上がりになってしまったり、毛髪に伝わる熱が大きすぎて傷やダメージが進行してしまったりするおそれが高いため、報知・警告部100による報知・警告を行う。
【0056】
一方、
図9Cに示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通から導通に切り替わった後、ボディ25においてプレートアッシ24が浮き上がってプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通から非導通に切り替わったときを想定する。この場合、把持部10X、20Xを握り込む力が弱くなりすぎて、毛髪への熱伝達ひいては癖付けが不十分となるおそれが高いため、報知・警告部100による報知・警告を行う。
【0057】
報知・警告部100は、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通から導通に切り替わった後、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んでプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わったときの報知・警告の態様と、ボディ25においてプレートアッシ24が浮き上がってプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通から非導通に切り替わったときの報知・警告の態様とを異ならせることができる。
【0058】
例えば、スピーカ70による報知・警告の場合、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んでプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わったときには、「ヘアアイロンの握り力が強すぎます。握り力を弱めて下さい。」との音声ガイドを出力し、ボディ25においてプレートアッシ24が浮き上がってプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通から非導通に切り替わったときには、「ヘアアイロンの握り力が弱すぎます。握り力を強めて下さい。」との音声ガイドを出力してもよい。
【0059】
また、振動部80による報知・警告の場合、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んでプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わったときには、第1の振動パターン(例えば、ブーッ、ブーッ)による報知・警告を行い、ボディ25においてプレートアッシ24が浮き上がってプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通から非導通に切り替わったときには、第2の振動パターン(例えば、ブッ、ブッ、ブッ、ブッ)による報知・警告を行ってもよい。
【0060】
また、表示部90による報知・警告の場合、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んでプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わったときには、「ヘアアイロンの握り力が強すぎます。握り力を弱めて下さい。」との画像表示ガイドを出力し、ボディ25においてプレートアッシ24が浮き上がってプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通から非導通に切り替わったときには、「ヘアアイロンの握り力が弱すぎます。握り力を強めて下さい。」との画像表示ガイドを出力してもよい。
【0061】
さらに、スピーカ70と振動部80と表示部90による報知・警告を組み合わせて、ボディ25においてプレートアッシ24がさらに沈み込んでプレートアッシ側電極60と第2のボディ側電極62が非導通から導通に切り替わったときには、スピーカ70と振動部80と表示部90の第1の組み合わせ(いずれか1つの場合を含む)による報知・警告を行い、ボディ25においてプレートアッシ24が浮き上がってプレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通から非導通に切り替わったときには、スピーカ70と振動部80と表示部90の第2の組み合わせ(いずれか1つの場合を含む)による報知・警告を行ってもよい。第1、第2の組み合わせは互いに異なっており、例えば、第1の組み合わせがスピーカ70と振動部80であり、第2の組み合わせがスピーカ70と表示部90であってもよい。あるいは、第1の組み合わせがスピーカ70と振動部80と表示部90の全てであり、第2の組み合わせがスピーカ70と振動部80と表示部90のいずれか1つであってもよい。
【0062】
加熱制御部110は、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61の非導通が所定時間に亘って継続したとき、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の加熱温度を低下させる。この加熱温度の低下は、一対の挟持加熱部10、20の各ヒータ12、22への通電の停止又は減少により実行される。つまり、一対の挟持加熱部10、20による加熱を完全に停止する場合と、一対の挟持加熱部10、20を火事や火傷の危険性がない程度まで十分に温度低下させる場合の双方を含み得る。プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61の非導通が所定時間に亘って継続したときに、一対の挟持加熱部10、20の高温状態でヘアアイロン1が使用されずに放置されていると判断し、安全性に配慮して一対の挟持加熱部10、20の温度を自動的に下げるように制御する。
【0063】
このように、本実施形態のヘアアイロン1では、「検出機構」が、プレートアッシ24の側に設けられたプレートアッシ側電極60と、ボディ25の側に設けられたボディ側電極(第1、第2のボディ側電極61、62)と、プレートアッシ24とボディ25の間を仲介する仲介弾性体(第1、第2のコイルバネ63、64)と、仲介弾性体(第1、第2のコイルバネ63、64)に取り付けられた導通補助体(第1、第2のコネクトボタン65、66)とを有する。報知・警告部100は、ボディ25においてプレートアッシ24が沈み込んで仲介弾性体(第1、第2のコイルバネ63、64)が変位し、導通補助体(第1、第2のコネクトボタン65、66)を介してプレートアッシ側電極60とボディ側電極(第1、第2のボディ側電極61、62)の導通と非導通が切り替わったときに報知・警告を行う。
【0064】
図10は、
図4のX-X線に沿う断面図である。
図10の矢印で示したように、ヘアアイロン1の使用時には、プレートアッシ24(ホルダ23)とボディ25の境界部から挟持加熱部20の内部に蒸気が入り込む場合があり、この蒸気がプレートアッシ側電極60、第1、第2のボディ側電極61、62、第1、第2のコイルバネ63、64、第1、第2のコネクトボタン65、66に到達することは作動性、耐久性の観点から好ましくない。
【0065】
そこで、挟持加熱部20に、プレートアッシ側電極60、第1、第2のボディ側電極61、62、第1、第2のコイルバネ63、64、第1、第2のコネクトボタン65、66への蒸気の侵入を防止する侵入防止壁を設置することが好ましい。
図10の例では、侵入防止壁として、プレートアッシ24のホルダ23の側に形成されたホルダ側侵入防止壁23Xと、ボディ25の側に形成されたボディ側侵入防止壁25Xとを形成している。
図10において、ボディ側侵入防止壁25Xは、ボディ25の底面から、第1のボディ側電極61と第1のコイルバネ63と第1のコネクトボタン65のセットを両脇から挟んで上方に延びるように一対が設けられている。また、ホルダ側侵入防止壁23Xは、ホルダ23の底面から、一対のボディ側侵入防止壁25Xの両脇(外側)に、かつボディ側侵入防止壁25Xと上下方向に重ならずに下方に延びるように一対が設けられている。なお、
図10の断面図では、第1のボディ側電極61と第1のコイルバネ63と第1のコネクトボタン65のセットに対応する侵入防止壁(ホルダ側侵入防止壁23Xとボディ側侵入防止壁25X)を例示して説明したが、第2のボディ側電極62と第2のコイルバネ64と第2のコネクトボタン66のセットにも同様の侵入防止壁(ホルダ側侵入防止壁とボディ側侵入防止壁)を設けることができる。ホルダ側侵入防止壁23Xとボディ側侵入防止壁25Xをこのような位置関係で設けることにより(相乗効果により)、プレートアッシ側電極60、第1、第2のボディ側電極61、62、第1、第2のコイルバネ63、64、第1、第2のコネクトボタン65、66への蒸気の侵入を効果的に防止することができる。
【0066】
図11A、
図11Bは、ラバースイッチを用いた検出機構の一例を示す図である。
図11Aはラバースイッチ120の外観斜視図であり、
図11Bはラバースイッチ120の断面図である。
【0067】
ラバースイッチ120は、ボディ25に取り付けられる基板121と、基板121の上部に支持されたシリコンラバー122とを有している。シリコンラバー122は、中央側に設けられた中央空間122Xと、周辺側に設けられて中央空間122Xを取り囲む周辺基部122Yと、周辺基部122Yから中央側に向かって斜めに延びる押下凸部122Zとを有している。押下凸部122Zの下面にはコンタクト接点123が形成されており、基板121のコンタクト接点123に対向する部分には基板接点124が形成されている。
【0068】
コンタクト接点123と基板接点124は、シリコンラバー122の押下凸部122Zがプレートアッシ24により押下されていない自由状態では非接触(非導通)であるが、シリコンラバー122の押下凸部122Zがプレートアッシ24により押下されると、コンタクト接点123と基板接点124が接触(導通)される。すなわち、ボディ25に取り付けられたラバースイッチ120において、コンタクト接点123と基板接点124とからなる接点部は、プレートアッシ24とボディ25の離間状態では非導通状態となり、プレートアッシ24とボディ25の接近状態では導通状態となる。報知・警告部100は、ボディ25においてプレートアッシ24が沈み込んでプレートアッシ24とボディ25が接近することで、ラバースイッチ120の接点部(コンタクト接点123と基板接点124)が非導通状態から導通状態に切り替わったときに報知・警告を行うことができる。
【0069】
図11A、
図11Bは、ラバースイッチ(検出機構)120をボディ25の側に取り付けた場合を例示して説明したが、ラバースイッチ(検出機構)120をプレートアッシ24の側に取り付けてもよい。このように、検出機構として、プレートアッシ24とボディ25の少なくとも一方に設けられるとともに、プレートアッシ24とボディ25の離間状態では非導通状態となり、プレートアッシ24とボディ25の接近状態では導通状態となる接点部(例えばコンタクト接点123と基板接点124)を有するラバースイッチ120を適用することができる。この場合、報知・警告部100は、ボディ25においてプレートアッシ24が沈み込んでプレートアッシ24とボディ25が接近することで、ラバースイッチ120の接点部(例えばコンタクト接点123と基板接点124)が非導通状態から導通状態に切り替わったときに報知・警告を行えばよい。
【0070】
図12、
図13は、検出機構の数を1つ(1組、1セット)にした場合のヘアアイロンの構成を示す第1、第2の図である。
図12、
図13の例では、検出機構として、第1のボディ側電極61と第1のコイルバネ63と第1のコネクトボタン65を設けている。
【0071】
図12に示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通となっている場合、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)が一定の圧力に達していないために加圧状態とはみなさず、ユーザへの警告は行わない。
【0072】
図13に示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通している場合、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)が強すぎると判断し、ユーザへ警告することで、過圧状態を報知し、毛髪の傷やダメージの軽減を図ることができる。さらに、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61の非導通を維持したままで、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)を適切に維持すれば、毛髪への熱伝達ひいては癖付けを適切に行うことができる。
【0073】
なお、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61の導通・非導通の切替基準をどのように設定するかには自由度があり、種々の設計変更が可能である。
【0074】
例えば、
図12に示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が非導通となっている場合、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)が弱すぎて、毛髪への熱伝達ひいては癖付けが不十分となるおそれが高い。
【0075】
一方、
図13に示すように、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61が導通している場合、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)が最低限度のレベルで確保されるので、毛髪の癖付けによる好適なヘアスタイル(スタイリング)の仕上がりを実現することができる。さらに、プレートアッシ側電極60と第1のボディ側電極61の導通を維持したままで、一対の挟持加熱部10、20による毛髪の挟持度合い(挟持力)を適切に維持すれば、毛髪の傷やダメージの軽減を図ることもできる。
【0076】
以上のように、本実施形態のヘアアイロンは、プレート及びヒータをホルダで支持して構成されるプレートアッシと、プレートアッシを収容するボディとをそれぞれが有し、毛髪を挟持して加熱する一対の挟持加熱部と、一対の挟持加熱部の少なくとも一方に設けられ、プレートアッシとボディの間に位置して、ボディにおけるプレートアッシの変位に応じて接触・非接触(導通・非導通)が切り替わることにより、一対の挟持加熱部による毛髪の挟持度合いを検出する検出機構と、検出機構が検出した毛髪の挟持度合いに基づいた報知・警告を行う報知・警告部と、を有している。これにより、一対の挟持加熱部による毛髪の挟み力を調整しやすくすることができる。
【0077】
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。
【符号の説明】
【0078】
1 ヘアアイロン
10 挟持加熱部(一対の挟持加熱部)
10X 把持部
11 プレート
12 ヒータ
13 ホルダ
14 プレートアッシ
15 ボディ
16 シリコン緩衝材(弾性体)
20 挟持加熱部(一対の挟持加熱部)
20X 把持部
21 プレート
22 ヒータ
23 ホルダ
23X ホルダ側侵入防止壁(侵入防止壁)
24 プレートアッシ
25 ボディ
25X ボディ側侵入防止壁(侵入防止壁)
26 シリコン緩衝材(弾性体)
30 ヒンジ軸
40 操作部
41 電源スイッチ
42 温度調整ボタン
50 支持スリーブ
51 電源コード
52 コードブッシュ
60 プレートアッシ側電極(検出機構)
61 第1のボディ側電極(検出機構)
62 第2のボディ側電極(検出機構)
63 第1のコイルバネ(検出機構、仲介弾性体)
64 第2のコイルバネ(検出機構、仲介弾性体)
65 第1のコネクトボタン(検出機構、導通補助体)
66 第2のコネクトボタン(検出機構、導通補助体)
70 スピーカ
80 振動部
90 表示部
100 報知・警告部
110 加熱制御部
120 ラバースイッチ(検出機構)
121 基板
122 シリコンラバー
122X 中央空間
122Y 周辺基部
122Z 押下凸部
123 コンタクト接点(接点部)
124 基板接点(接点部)