(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001846
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01M 21/02 20060101AFI20241226BHJP
A01B 29/06 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A01M21/02
A01B29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101558
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和崇
(72)【発明者】
【氏名】木村 行宏
(72)【発明者】
【氏名】田村 明久
【テーマコード(参考)】
2B034
2B121
【Fターム(参考)】
2B034AA03
2B034AA07
2B034BA07
2B034BA10
2B034BB02
2B034BC03
2B034EA07
2B034EA20
2B034EB40
2B034HB14
2B121AA19
2B121BB21
2B121BB29
2B121EA26
2B121FA02
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】凹凸のある土壌に対して押圧部を追従可能とし、雑草の生育を良好に阻害する。
【解決手段】
作業車両1は、車体11と、車体を走行可能に支持する車輪212a、212bと、車体に搭載され、車輪を回転駆動する駆動装置311a、311bと、車体に装着された雑草処理装置41と、を備える。雑草処理装置41は、車両の車幅方向Dwに並べて配置された複数の押圧部(押圧ローラ411)と、車体に対し、複数の押圧部を土壌に沿って移動可能にかつ車両の走行時に雑草を土壌に押付可能に支持する支持機構41と、を備え、支持機構41は、複数の押圧部を、車体に対して上下方向に互いに独立に変位可能に支持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体を走行可能に支持する車輪と、
前記車体に搭載され、前記車輪を回転駆動する駆動装置と、
前記車体に装着された雑草処理装置と、を備え、
前記雑草処理装置は、
車両の車幅方向に並べて配置された複数の押圧部と、
前記車体に対し、前記複数の押圧部を前記土壌に沿って移動可能にかつ車両の走行時に雑草を土壌に押付可能に支持する支持機構と、を備え、
前記支持機構は、前記複数の押圧部を、前記車体に対して上下方向に互いに独立に変位可能に支持する、作業車両。
【請求項2】
前記支持機構は、
前記車体に対する前記複数の押圧部の位置を、車両の前後方向および車幅方向に確定する固定支持部と、
前記車体に対する前記複数の押圧部の前記上下方向の変位を許容する可動支持部と、を備える、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記複数の押圧部は、複数の押圧ローラを備え、
前記支持機構は、前記複数の押圧ローラを回転可能に支持する、請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記複数の押圧ローラは、互いに等しい重量を有し、
前記支持機構は、前記複数の押圧ローラの間で、互いに等しい圧力をもって雑草を土壌に押付可能である、請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記可動支持部は、前記複数の押圧ローラを介して前記土壌に付与される圧力を、前記押圧ローラごとに個別に調整可能である、請求項3に記載の作業車両。
【請求項6】
前記複数の押圧ローラは、自在輪により夫々構成され、上下方向に延びる軸を中心に互いに独立に回動可能である、請求項3に記載の作業車両。
【請求項7】
前記車輪は、前輪と、後輪と、を備え、
前記駆動装置は、前記前輪および前記後輪のうち、前記後輪にのみ動力を伝達可能に構成され、
前記複数の押圧ローラは、前記後輪に対し、車両の前後方向の後方に配置されている、請求項3に記載の作業車両。
【請求項8】
前記可動支持部は、
上下方向に延び、一端部において前記複数の押圧ローラを夫々回転可能に軸支する複数の可動部材と、
前記複数の可動部材を夫々上下方向に移動可能に案内する複数の案内部材と、を備え、
前記固定支持部は、前記複数の案内部材のそれぞれを前記車体に固定する、請求項3から7のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項9】
前記固定支持部は、
一端部において前記車体の後端部に結合し、前記一端部から上方に延びる第1支持部材と、
一端部において前記第1支持部材の上下に離れた複数の部位に結合し、前記各部位から後方に延びて、前記複数の案内部材のそれぞれに結合する第2支持部材と、を備える、請求項8に記載の作業車両。
【請求項10】
前記固定支持部は、
前記車幅方向に延び、前記第1支持部材の上端部に結合する第3支持部材と、
一端部において前記第3支持部材の各端部に夫々結合し、他端部において前記車体に夫々結合する一対の第4支持部材と、を備える、請求項9に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場等において雑草の処理に用いられる作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草の処理に用いられる従来の作業車両は、円筒状のローラを備え、土壌のうえでこのローラを引き摺ることにより、雑草を土壌に押し付け、その生育を阻害するものが一般的である。
【0003】
特許文献1には、機体の左右夫々に走行用の車輪を備えるとともに、機体の下方に配置され、機体の前端部と後端部との間に回転軸が配置された円筒状のローラを備える作業車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような構造では、ローラが土壌の凹凸に追従することができず、ローラが届かない箇所で雑草を土壌に押し付けることができないため、雑草の生育を充分に阻害することが困難となる場合がある。圃場を始め、土壌の凹凸が激しい土地では、ローラが浮き上がる場面が多く、この問題が顕著となる。
【0006】
このような実情に鑑み、本発明は、凹凸のある土壌に対して押圧部を追従可能とし、雑草の生育を良好に阻害することのできる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明の一形態に係る作業車両は、車体と、前記車体を走行可能に支持する車輪と、前記車体に搭載され、前記車輪を回転駆動する駆動装置と、前記車体に装着された雑草処理装置と、を備え、前記雑草処理装置は、車両の車幅方向に並べて配置された複数の押圧部と、前記車体に対し、前記複数の押圧部を前記土壌に沿って移動可能にかつ車両の走行時に雑草を土壌に押付可能に支持する支持機構と、を備え、前記支持機構は、前記複数の押圧部を、前記車体に対して上下方向に互いに独立に変位可能に支持する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一形態によれば、雑草処理装置に設けられた複数の押圧部により雑草を土壌に押し付け、その生育を阻害することにより、雑草を処理することが可能である。さらに、凹凸のある土壌に対して複数の押圧部を夫々独立に追従させ、雑草の生育を良好に阻害することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る作業車両の側面図である。
【
図5】同上作業車両の旋回半径を示す説明図である。
【
図6】同上作業車両に備わる支持機構(可動支持部)の構成図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る作業車両の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
(作業車両の全体的な構成)
図1から
図3は、本発明の一実施形態に係る作業車両1の全体的な構成を示し、
図1は、作業車両1をその右側方からみた側面図であり、
図2は、後方からみた背面図であり、
図3は、上方からみた平面図である。
【0012】
作業車両1は、圃場等において雑草を処理する際に使用される。本実施形態において、「雑草の処理」とは、雑草を土壌に押し付けることによりその生育に影響を及ぼし、生育を阻害する処理をいう。これにより、雑草を完全に除去するのではなく、生育の阻害により背丈が低く抑えられた雑草が土壌の表面を適度に覆った状態を維持する。圃場での使用では、作業車両1を、隣り合う畝と畝との間に形成された溝に沿って走らせ、雑草処理装置1に備わる押圧ローラ411によりこの溝に生えた雑草を土壌に押し付けることで、雑草の処理を実施する。作業車両1は、雑草の処理のほか、車体11に荷台を設置して荷物を運搬したり、台座を形成して人の移動に利用したりすることも可能である。さらに、作業車両1は、圃場以外の土地での雑草の処理に使用することも可能である。圃場における雑草の処理に使用される作業車両1を、以下「圃場作業車両」という場合がある。
【0013】
作業車両(以下、単に「車両」という)1は、基本的な構成要素として、車体11と、車輪21と、駆動装置31と、雑草処理装置41と、を備える。
【0014】
車体11は、車両1の前後方向Dlに延びる左右一対のサイドメンバ111a、111bと、車幅方向Dwに延びる複数のクロスメンバ112a、112b、112cと、を備える。
【0015】
左右のサイドメンバ111a、111bは、互いに車幅方向Dwに離間して、車両1の右側端部と左側端部とに配置されている(以下、左側端部のサイドメンバを「左側サイドメンバ」111aといい、右側端部のサイドメンバを「右側サイドメンバ」111bという)。
【0016】
クロスメンバ112a、112b、112cは、互いに前後方向Dlに離間して、サイドメンバ111a、111bの間に掛け渡すように配置されている。クロスメンバ112は、車両1の前端部に配置された前方クロスメンバ112a、後端部に配置された後方クロスメンバ112b、前方クロスメンバ112aと後方クロスメンバ112bとの間に配置された中間クロスメンバ112cを有する。クロスメンバ112は、3つに限らず、適宜の数だけ設けることが可能である。クロスメンバ112(112a、112b、112c)は、サイドメンバ111(111a、111b)と結合して、車両1の骨格構造を形成する。
【0017】
本実施形態では、骨格構造の強度を増強するため、サイドメンバ111a、111bに対して平行に延在し、前方クロスメンバ112a、後方クロスメンバ112bおよび中間クロスメンバ112cを互いに連結する補強部材113(113a、113b、113c)を備える。クロスメンバ112と同様に、補強部材113は、3つ以外の適宜の数であってもよい。ここに、サイドメンバ111、クロスメンバ112および補強部材113は、全体としてラダー状の骨格構造(つまり、車体フレーム)を構成する。
【0018】
車輪21は、車両1の前方部分に備わる左右一対の車輪、つまり、左前輪211aおよび右前輪211bと、車両1の後方部分に備わる左右一対の車輪、つまり、左後輪212aおよび右後輪212bと、を有する。左前輪211aおよび左後輪212aは、左側サイドメンバ111aの下方に配置され、右前輪211bおよび右後輪212bは、右側サイドメンバ111bの下方に配置されている。これにより、車輪21は、車体11を圃場において走行可能に支持する。本実施形態において、前輪211(211a、211b)は、後輪212(212a、212b)よりも小径である。車両1は、平坦な地面を走行する際に、車体11の上面が地面に対して平行となる。
【0019】
駆動装置31は、電動機である駆動モータ311(311a、311b)により構成される。駆動モータ311a、311bは、左後輪212aおよび右後輪212bのそれぞれに対して設けられ、車体11に対し、図示しないブラケットにより支持されている。つまり、本実施形態では、後輪212a、212bが車両1の駆動輪となり、前輪211a、211bが従動輪となる。
【0020】
駆動モータ311a、311bは、夫々独立に電流制御可能であり、左後輪212aと右後輪212bとのそれぞれに対して独立かつ個別に動力供給可能である。具体的には、左後輪212aと右後輪212bとを互いに等しい速度で回転させたり、一方の回転速度を他方の回転速度よりも低減させたり、一方を他方とは反対の方向に同一または異なる速度で回転させたりすることが可能である。
【0021】
(雑草処理装置の構成)
雑草処理装置41は、車体11の後端部に装着され、前進時に車両1に追従して移動し、雑草を処理する。雑草処理装置41は、車両1の車幅方向Dwに並べて配置された複数の押圧部411と、これら複数の押圧部411のそれぞれを車体11に対して支持する支持機構412と、を備える。雑草処理装置41は、車体11に対して着脱不能であってもよいし、着脱可能であってもよい。着脱可能な取り付けは、例えば、後に述べる固定支持部の第1支持部材4121aおよび第4支持部材4121dを車体11に対して着脱式に結合可能とすればよい。
【0022】
押圧部411は、ローラ部材(以下「押圧ローラ」という)により構成される。押圧ローラ411は、その回転軸が水平方向に向けられ、車両1の移動に伴って回転可能である。本実施形態において、押圧ローラ411は、自在輪であり、上下方向Dvに延びる軸を中心に回動させ、回転軸の向きを変更することが可能である。押圧ローラ411は、車両1の後輪212よりも小径であり、幅も狭い。これに限らず、押圧ローラ411は、前輪211および後輪212のいずれよりも小径とし、幅を狭く形成することも可能である。
【0023】
支持機構412は、押圧ローラ411を土壌に沿って移動可能に支持する。換言すれば、支持機構412は、押圧ローラ411を土壌に接する高さで支持し、押圧ローラ411は、支持機構412により支持された状態で、雑草を土壌に対して押付可能である。
【0024】
本実施形態において、押圧ローラ411による雑草の処理は、主に押圧ローラ411自体および押圧ローラ411とともに移動可能な可動部材4122aに働く重力の作用による。押圧ローラ411は、互いに等しい重量を有する。これにより、通常は、複数の押圧ローラ411の間で、互いに等しい圧力をもって雑草を土壌に押し付けることが可能である。押圧ローラ411により雑草の生育に及ぼす影響、つまり、雑草を土壌に押し付ける圧力は、可動部材4122aに装着可能な重りWの数または1つ当たりの重量を変更することにより、押圧ローラ411ごとに個別に調整可能である。
【0025】
(支持機構の詳細構成)
支持機構412は、固定支持部4121と、可動支持部4122と、を有する。固定支持部4121および可動支持部4122は、互いに協働して押圧ローラ411を車体11に対して支持し、固定支持部4121は、車体11に対する複数の押圧ローラ411の位置を、車体11の前後方向Dlおよび車幅方向Dwに確定する。これに対し、可動支持部4122は、車体11に対する複数の押圧ローラ411の上下方向Dvの変位を許容する。
【0026】
可動支持部4122は、押圧ローラ411に結合され、押圧ローラ411とともに移動可能な複数の可動部材4122aと、可動部材4122aを夫々受容可能に構成され、可動部材4122aの移動方向を規定する複数の案内部材4122bと、を有する。
【0027】
可動部材4122aは、ロッドないし棒形状をなし、土壌に対して垂直に立てるかまたはこれに近い状態で設置される。可動部材4122aは、一端部、具体的には、土壌に近い下端部に、押圧ローラ411が上下方向の軸を中心として回動自在な状態で取り付けられている。可動部材4122aは、複数の押圧ローラ411に対して個別に設けられ、可動部材4122aと押圧ローラ411とは、1対1の関係にあり、互いに同数である。
【0028】
案内部材4122bは、筒形状をなし、可動部材4122aの外径よりもやや大きな内径を有する。案内部材4122bは、その内部に可動部材4122aを同軸に受容可能であり、可動部材4122aは、案内部材4122bによる拘束のもと、上下方向Dvに移動自在な状態にある。
【0029】
ここで、可動部材4122aは、ナットWを装着可能なネジ溝が形成され、ネジ溝に装着されるナットWの数を増やしまたは減らすことで、押圧ローラ411および可動部材4122a全体での重量を調整し、押圧ローラ411を介して土壌に付与される圧力、換言すれば、雑草を土壌に押し付ける圧力を調整可能である。可動部材4122aは、案内部材4122bに対して上向きには実質的な拘束がなく、移動自在である一方、下向きの移動は、ナットWと案内部材4122bとの突き当たりにより制限される。
【0030】
固定支持部4121は、車体11の後端部に取り付けられ、案内部材4122bを車体11に固定する。案内部材4122bが固定支持部4121により車体11に固定され、可動部材4122aが案内部材4122bの内部で上下方向Dvに移動自在な状態にあることで、車体11に対する押圧ローラ411の前後方向Dlおよび車幅方向Dwの位置が固定支持部4121により定められ、車体11に対する押圧ローラ411の上下方向Dvの変位が可動支持部4122により許容される。
【0031】
本実施形態において、固定支持部4121は、第1支持部材4121aと、第2支持部材4121bと、第3支持部材4121cと、第4支持部材4121dと、を有する。固定支持部4121を構成する各部材4121a、4121b、4121c、4121dは、中空のロッドまたは棒形状をなし、互いに等しいか、ほぼ等しい直径を有する。
【0032】
第1支持部材4121aは、一端部において車体11の後端部に結合し、この一端部から上方に延在する。つまり、第1支持部材4121aは、車体11の後端部においてその上面に対して起立または直立した状態にある。第1支持部材4121aは、可動支持部4122の案内部材4122bのそれぞれに対応させて、案内部材4122bに対して平行に設けられている。第1支持部材4121aと案内部材4122bとは、1対1の関係にあり、互いに同数である。
【0033】
第2支持部材4121bは、一端部において第1支持部材4121aの上下に離れた複数(本実施形態では、2つ)の部位に結合し、各部位から車体11の後方に、第1支持部材4121aに対して垂直に延在する。第2支持部材4121bは、他端部において可動支持部4122の案内部材4122bに結合する。つまり、第2支持部材4121bは、第1支持部材4121aとこれに対応する案内部材4122bとを連結する仲介部材として機能し、車幅方向Dwに延びる軸および前後方向Dlに延びる軸のそれぞれを中心とした案内部材4122bの回転を抑止する。
【0034】
このように、可動支持部4122の案合部材4122bは、固定支持部4121の第1および第2支持部材4121a、4121bを介して車体11に固定されている。
【0035】
第3および第4支持部材4121c、4121dは、第1支持部材4121aと車体11との結合を強化し、固定支持部4121による案内部材4122bの固定強度を補強する。
【0036】
第3支持部材4121cは、車幅方向Dwに延在し、複数の第1支持部材4121aのそれぞれの上端部に結合して、第1支持部材4121aを連結する。
【0037】
第4支持部材4121dは、左右に1つずつ設けられ、一端部において第3支持部材4121cの左端部および右端部に夫々結合し、他端部において車体11に夫々結合する。つまり、第4支持部材4121dは、第3支持部材4121cを介在させた状態で、第1支持部材4121aを車体11に対して間接的に結合する。このように、第1支持部材4121aは、一端部(つまり、下端部)において車体11に対して直接結合し、他端部(つまり、上端部)において第3、第4支持部材4121c、4121dを介して車体11に結合することで、前後方向Dlにおける傾斜が抑制される。
【0038】
さらに、第4支持部材4121dは、左右に1つずつ設けられ、前後方向Dlに対して斜めに配置されている。左右に配置された第4支持部材4121dは、第3支持部材4121cとの結合部よりも車幅方向Dwの内側に車体11との結合部を有する。このように、第4支持部材4121dが第3支持部材4121cに対して斜めに配置された状態で結合することで、第3支持部材4121cの車幅方向Dwにおける変位が抑制され、第1支持部材4121aの真っ直ぐに起立した状態が保持される。
【0039】
(作用および効果の説明)
図4は、圃場における車両1の動作説明図である。
【0040】
図4は、圃場における畝Hと畝Hとの間に形成された溝に生育した雑草を、車両1により処理する様子を示す。雑草の処理に際し、車両1は、この溝に沿って、溝が延びる方向に走行する。この際、雑草処理装置41の押圧ローラ411により雑草を土壌に押し付け、その生育を阻害することにより、雑草を処理することが可能である。
【0041】
ここで、支持機構412の固定支持部4121により、車体11に対する押圧ローラ411の位置が車両1の前後方向Dlおよび車幅方向Dwに確定される一方、可動支持部4122により、車体11に対する押圧ローラ411の上下方向Dvの変位が、複数の押圧ローラ411のそれぞれが互いに独立に変位可能に許容される。
図4は、車両1の進行方向に対して最も左側の押圧ローラ411と最も右側の押圧ローラ411とが畝Hの側面に乗り上げ、上方に移動するとともに、中央の複数の押圧ローラ411が溝の盛り上がりにあって、やや上方に移動した状態を示す。
【0042】
このように、凹凸のある土壌に対して複数の押圧ローラ411のそれぞれを独立に追従可能とし、雑草の生育を良好に阻害することが可能となる。
【0043】
押圧ローラ411により押圧部を構成し、支持機構412により複数の押圧ローラ411を回転可能に支持することで、土壌に対する押圧ローラ411の接触面積を狭く抑えて、雑草を土壌に確りと押し付け、その生育をより確実に阻害することが可能となる。
【0044】
複数の押圧ローラ411のそれぞれを互いに等しい重量としたことで、車幅方向Dwの位置によらず、雑草を土壌に対して等しい圧力をもって均等に押し付けることが可能となる。さらに、車体11および雑草処理装置41を含む車両1全体で車幅方向Dwにおける重量バランスの均衡を容易に維持し、凹凸のある圃場にあっても車両1を安定して走行させ、雑草の処理および他の作業を効率よく行うことができる。
【0045】
さらに、押圧ローラ411および可動部材4122a全体での重量を個別に調整可能としたことで、凹凸の形状や雑草の生育状態に応じて押圧ローラ411を介して土壌に付与される圧力を個別に調整し、土壌に対して押圧ローラ411を追従させながら、雑草の生育をより効果的に阻害することが可能となる。
【0046】
図6は、車両1に備わる支持機構412(可動支持部4122)の構成図である。
【0047】
本実施形態では、雑草を土壌に押し付ける際の圧力の調整に、可動支持部4122の可動部材4122aに装着可能な重りWを採用する。具体的には、重りWとして、可動部材4122aに形成されたネジ溝に螺合可能なナットを採用し、このナットWの数を増減させることで、押圧ローラ411および可動部材4122a全体の重量を増減させ、押圧ローラ411を介して土壌に付与される圧力を調整する。
図6は、可動部材4122aに3つのナットWが装着された状態を示す。
【0048】
土壌に付与される圧力の調整は、これに限らず、ナット以外の重りを使用してもよいし、重りではなく、可動部材4122aの重量を増減させることによっても可能である。例えば、可動部材4122aを分割可能に構成し、一部の重量を増大したり、一部の長さを延長したりする。さらに、重りを装着する可動部材4122aの部位は、案内部材4122bの外側に限らず、内側であってもよい。
【0049】
押圧ローラ411を上下方向の軸Dvを中心として回動可能な自在輪により構成したことで、車両1を上下方向の軸Dvを中心として旋回(つまり、超信地旋回)させる際に、押圧ローラ411の向きを車両1の動きに容易に追従させ、押圧ローラ411を介して土壌に過剰な負荷がかかる事態を回避することが可能となる。これにより、雑草の処理により土壌が荒らされる事態を回避し、土壌を良好な状態に維持することができる。
【0050】
車輪21として、前輪211(211a、211b)および後輪212(212a、212b)を備え、後輪212を駆動輪とし、前輪211を従動輪とするとともに、押圧ローラ411を、車両1の進行方向に対し、後輪212の後方に配置したことで、駆動輪である後輪212を中心にして旋回が実施され、雑草処理装置41を含む車両1全体の旋回半径を小さく抑えることが可能となる。
【0051】
図5は、車両1の超信地旋回時における旋回半径を示す説明図である。
【0052】
後輪212を駆動輪とする場合の車両1の旋回半径は、後輪212から車体11の前端部までの寸法Daと、後輪212から押圧ローラ411までの間隔と、のうち、大きい方の寸法をもって定められる。本実施形態では、後輪212と前輪211との間隔よりも後輪212と押圧ローラ411との間隔が狭く、寸法Daをもって旋回半径が定められる。これに対し、前輪211を駆動輪とし、前輪211を中心にして旋回を実施する場合は、前輪211と押圧ローラ411との間隔Dbをもって旋回半径が定められる。よって、前輪211から車体11の前端部までの寸法を後輪212と押圧ローラ411との間隔よりも短くすることで、後輪212を駆動輪とする場合の旋回半径を前輪211を駆動輪とする場合よりも小さく抑え、圃場において小回りの効いた走行を実現することが可能となる。
【0053】
上下方向に延びる可動部材4122aにより押圧ローラ411を軸支するとともに、可動部材4122aを案内部材4122bにより上下方向に案内可能とし、さらに、固定支持部4121により案内部材4122bを車体11に固定したことで、比較的簡素な構成により、土壌に追従した押圧ローラ411の動きと、支持機構412による押圧ローラ411の支持と、を実現することが可能となる。
【0054】
固定支持部4121に第1支持部材4121aと第2支持部材4121bとを設け、第1支持部材4121aの上下に離れた複数の部位に第2支持部材4121bを結合し、第1支持部材4121aと案内部材4122bとを、第2支持部材4121bを介して結合したことで、可動支持部4122の案内部材4122bを確りと支持し、特に車体11に対する押圧ローラ411の位置に、前後方向Dlおよび車幅方向Dwのずれが生じる事態を抑制することが可能となる。
【0055】
さらに、車体11の後端部に結合され、上方に延びる第1支持部材4121aにより、車体11に載せた荷物等の搭載物が車両1の後方に落下する事態を抑制することが可能となる。
【0056】
車幅方向Dwに延びる第3支持部材4121cを設け、第1支持部材4121aの上端部を第3支持部材4121cにより互いに結合するとともに、第3支持部材4121cの両端部のそれぞれを第4支持部材4121dにより車体11と結合したことで、第1支持部材4121aをより強固に支持し、もって、固定支持部4121により案内部材4122bをより確実かつ強固に支持することが可能となる。
【0057】
さらに、第3支持部材4121cの両端部と車体11とを繋ぐ第4支持部材4121dにより、車体11に載せた荷物等の搭載物が車両の側方に落下する事態を抑制することが可能となる。このように、第1支持部材4121aおよび第4支持部材4121dにより、車体11の上面を後方および左右の側方から包囲し、搭載物を安全に運搬することができる。
【0058】
第4支持部材4121dは、車体11との結合部が車幅方向Dwに固定された位置にあってもよいし、変位可能であってもよい。第4支持部材4121dと車体11との結合部を車幅方向Dwに可変とする場合について、以下に説明する。
【0059】
(他の実施形態の説明)
図7は、本発明の他の実施形態に係る車両1の平面図である。
【0060】
本実施形態において、第3支持部材4121cと車体11とを繋ぐ第4支持部材4121dは、第3支持部材4121cとの結合部と、車体11との結合部と、の距離の変化に対応するための伸縮機構を有する。この伸縮機構は、第4支持部材4121dの車体11との結合部が外側に変位した場合に、第4支持部材4121dの長さを短縮させるように作動する。
図7は、車体11との結合部が外側に変位した状態にある第4支持部材を、符号4121d’により示す。
【0061】
このように、第4支持部材4121dの車体11に対する結合部を車幅方向Dwに変位可能としたことで、第1支持部材4121aの支持の強化をもって固定支持部4121による案内部材4122bの支持をより確実かつ強固なものとするという、第4支持部材4121d本来の機能を維持しながら、車体11において荷物等の積載に使用可能な空間の拡大を図り、車両1の利便性の向上を図ることができる。
図7中、荷物等の積載に使用可能な空間を、二点鎖線により模式的に示す。
【符号の説明】
【0062】
1…作業車両、11…車体、111a、111b…サイドメンバ、112a、112b、112c…クロスメンバ、113a、113b、113c…補強部材、21…車輪、211…前輪、212a…左前輪、212b…右前輪、212…後輪、212a…左後輪、212b…右後輪、31…駆動装置、311a、311b…電動モータ、41…雑草処理装置、411…押圧部(押圧ローラ)、412…支持機構、4121…固定支持部、4121a…第1支持部材、4121b…第2支持部材、4121c…第3支持部材、4121d…第4支持部材、4122…可動支持部、4122a…可動部材、4122b…案内部材、W…重り、H…畝。