(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025184813
(43)【公開日】2025-12-18
(54)【発明の名称】ヘキサフルオロプロペンを用いたエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20251211BHJP
C07C 21/18 20060101ALN20251211BHJP
【FI】
H01L21/302 101Z
C07C21/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025086539
(22)【出願日】2025-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2024092419
(32)【優先日】2024-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江藤 友亮
(72)【発明者】
【氏名】杉山 明平
(72)【発明者】
【氏名】黒木 克親
(72)【発明者】
【氏名】中村 新吾
【テーマコード(参考)】
4H006
5F004
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AB99
4H006EA03
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA26
5F004DA27
5F004DA28
5F004DB03
5F004DB07
5F004EB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヘキサフルオロプロペンを用いたエッチング方法を提供する。
【解決手段】エッチングガスは、ヘキサフルオロプロペン及びヘキサフルオロシクロプロパン並びにペンタフルオロプロペン及びヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有する。エッチングガスの総量に対して、(1)ヘキサフルオロプロペンを、95体積%~99.99999体積%含み、(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分、1体積ppm~1,000体積ppm含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ヘキサフルオロプロペン、並びに
(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分
を含有するエッチングガス。
【請求項2】
前記エッチングガスの総量に対して、
前記(1)ヘキサフルオロプロペンを、95体積%~99.99999体積%含み、
前記(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を、1体積ppm~1,000体積ppm含む、
請求項1に記載のエッチングガス。
【請求項3】
請求項1に記載のエッチングガスのガスプラズマで、シリコン酸化膜、或はシリコン窒化膜が形成されたシリコン系材料をエッチングする、エッチング方法。
【請求項4】
前記エッチングガスと、
(3)不活性ガスとを、
別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、
シリコン系材料をエッチングする、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記エッチングガスと、
(4)酸化性ガス及び/又は還元性ガスとを、
別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、
シリコン系材料をエッチングする、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記エッチングガスと、
(3)不活性ガスと、並びに
(4)酸化性ガス及び/又は還元性ガスとを、
別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、
シリコン系材料をエッチングする、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記シリコン系材料は、半導体の製造用基板である、請求項3~6の何れかに記載のエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘキサフルオロプロペンを用いたエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヘキサフルオロプロペンを用いて、酸化シリコン膜及び/又はシリコンを含有する低誘電率膜等のシリコン系材料をエッチングする方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO02/021586-A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、新たに、ヘキサフルオロプロペンを用いたエッチング方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の構成を包含する。
【0006】
項1.
(1)ヘキサフルオロプロペン、並びに
(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分
を含有するエッチングガス。
【0007】
項2.
前記エッチングガスの総量に対して、
前記(1)ヘキサフルオロプロペンを、95体積%~99.99999体積%含み、
前記(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を、1体積ppm~1,000体積ppm含む、
前記項1に記載のエッチングガス。
【0008】
項3.
前記項1に記載のエッチングガスのガスプラズマで、シリコン酸化膜、或はシリコン窒化膜が形成されたシリコン系材料をエッチングする、エッチング方法。
【0009】
項4.
前記エッチングガスと、
(3)不活性ガスとを、
別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、
シリコン系材料をエッチングする、前記項3に記載のエッチング方法。
【0010】
項5.
前記エッチングガスと、
(4)酸化性ガス及び/又は還元性ガスとを、
別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、
シリコン系材料をエッチングする、前記項3に記載のエッチング方法。
【0011】
項6.
前記エッチングガスと、
(3)不活性ガスと、並びに
(4)酸化性ガス及び/又は還元性ガスとを、
別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、
シリコン系材料をエッチングする、前記項3に記載のエッチング方法。
【0012】
項7.
前記シリコン系材料は、半導体の製造用基板である、前記項3~6の何れかに記載のエッチング方法。
【0013】
本開示のエッチングガスは、(1)ヘキサフルオロプロペン、及び(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有し、本開示のエッチングガスを用いて、シリコン酸化膜(SiO2膜)、或はシリコン窒化膜(SiN膜)を含有するシリコン系材料に対して、ホールエッチングを行うと、サイドエッチングを低減させる事が出来、ホール(深孔)の加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。
【発明の効果】
【0014】
本開示に依れば、新たに、新たに、ヘキサフルオロプロペンを用いたエッチング方法を提供する事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみから成る(consist essentially of)」、及び「のみから成る(consist of)」の何れも包含する概念である。本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、「A以上、B以下」を意味する。本明細書において、部、%等の表示を使用する時、これらは質量部、重量部、質量%、或は重量%(wt%)を表す。
【0016】
[1]エッチングガス
従来、半導体の製造において、エッチングガスとして、ヘキサフルオロプロペンを用いて、深孔(ホール)のエッチングを行っている。
【0017】
しかしながら、ホールエッチングの際、エッチングガスとして、ヘキサフルオロプロペンのみの使用では、サイドエッチングが起こり、ホールの加工形状を、十分に保持する事が出来ず、検討が必要で有る。現在、ホールの加工形状を保持する為に、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C4F6)等を使用するプロセスは有るものの、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは高価なガスであり、ホールエッチングのコストが上がるプロセスである。
【0018】
本開示は、半導体を製造する際に、半導体の製造用基板に対して、エッチングを行う為に使用する、ヘキサフルオロプロペンを含有するエッチングガスを包含する。
【0019】
本開示のエッチングガスは、第一成分として、(1)ヘキサフルオロプロペンを含有し、第二成分として、(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有する。
【0020】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、不活性ガスを含有しても良い。
【0021】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、酸化性ガス及び/又は還元性ガスを含有しても良い。
【0022】
本開示のエッチングガスは、第一成分として、(1)ヘキサフルオロプロペンを含有し、第二成分として、(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有し、本開示のエッチングガスを用いて、シリコン酸化膜(SiO2膜)、或はシリコン窒化膜(SiN膜)を含有するシリコン系材料に対して、ホールエッチングを行うと、ホール(深孔)の加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。
【0023】
本開示のエッチングガスは、第二成分を含有する事に依り、半導体の製造用基板に対して、ホールエッチングの際、サイドエッチングを、安価に、10%~30%程度改善させる事が出来る。
【0024】
(1)ヘキサフルオロプロペン
本開示のエッチングガスは、第一成分として、(1)ヘキサフルオロプロペン(CF3-CF=CF2、(別名)ヘキサフルオロプロピレン、HFP)を含有する。
【0025】
本開示のエッチングガスは、第一成分の(1)ヘキサフルオロプロペンを、主成分として含有する。
【0026】
本開示のエッチングガスにおいて、ヘキサフルオロプロペンの含有量は、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行う時に、サイドエッチングを低減させ、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う観点から、本開示のエッチングガスの総量(ガス体積)に対して、好ましくは、95体積%~99.99999体積%であり、より好ましくは、96体積%~99.999体積%であり、更に好ましくは、97体積%~99.995体積%であり、特に好ましくは、98体積%~99.99体積%である。
【0027】
(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分
本開示のエッチングガスは、第二成分として、(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有する。
【0028】
(2-1)ヘキサフルオロシクロプロパン
本開示のエッチングガスは、第二成分として、ヘキサフルオロシクロプロパン(c-C3F6)を含有する事から、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行うと、サイドエッチングを低減させる事が出来、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。
【0029】
本開示のエッチングガスにおいて、ヘキサフルオロシクロプロパンの含有量は、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行う時に、サイドエッチングを低減させ、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う観点、加工形状で穴が詰まる事(孔詰まり)を抑制する観点、エッチングを効率的に進める観点から、本開示のエッチングガスの総量(ガス体積)に対して、好ましくは、0.1体積ppm(ppm容量(volume))~1,000体積ppm(ppm容量(volume))であり、より好ましくは、1体積ppm~500体積ppmであり、更に好ましくは2.5体積ppm~250体積ppmであり、特に好ましくは、5体積ppm~100体積ppmである。
【0030】
(2-2)ペンタフルオロプロペン
本開示のエッチングガスは、第二成分として、ペンタフルオロプロペン(C3HF5)を含有する事から、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行うと、サイドエッチングを低減させる事が出来、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。
【0031】
第二成分のペンタフルオロプロペンは、特に制限はなく、何れの異性体も使用する事が出来る。ペンタフルオロプロペンとして、好ましくは、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(F2C=CF-CHF2)、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(F2C=CH-CF3)、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(HFC=CF-CF3)等を用いる。
【0032】
本開示のエッチングガスは、ペンタフルオロプロペン(異性体を含む)を、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0033】
本開示のエッチングガスにおいて、ペンタフルオロプロペンの含有量は、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行う時に、サイドエッチングを低減させ、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う観点から、加工形状で穴が詰まる事(孔詰まり)を抑制する観点、本開示のエッチングガスの総量(ガス体積)に対して、好ましくは、1体積ppm(ppm容量(volume))~1,000体積ppm(ppm容量(volume))であり、より好ましくは、5体積ppm~500体積ppmであり、更に好ましくは、10体積ppm~100体積ppmであり、特に好ましくは、20体積ppm~50積ppmである。
【0034】
(2-3)ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマー
本開示のエッチングガスは、第二成分として、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーを含有する事から、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行うと、サイドエッチングを低減させる事が出来、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。
【0035】
本開示のエッチングガスにおいて、第二成分のヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーは、ヘキサフルオロプロペン(C3F6)から調製する生成物であり、前記第一成分の(1)ヘキサフルオロプロペン(HFP)とは異なる成分である。
【0036】
(a)ヘキサフルオロプロペン由来のダイマーの調製方法
ヘキサフルオロプロペン由来のダイマーには、下記に示すシス異性体とトランス異性体とが存在し、本開示のエッチングガスには、その存在比に依らず、何れの異性体も使用が可能である。
【0037】
式(I)で表される化合物は、特段の断りがない限り、シス異性体及びトランス異性体の双方を含むものとする。
【0038】
【0039】
ヘキサフルオロプロペン二量体は、(E)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、(Z)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、及び/又は、1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテンを含み得る
【0040】
ヘキサフルオロプロペン由来のダイマーは、例えば、特開平6-234672に記載の方法で調製する。
【0041】
ヘキサフルオロプロペン(HFP)由来のダイマー(二量体)の全量(式(I)、(II)及び(III)で表される化合物(HFP二量体の混合物)の合計量、以下「HFP二量体全量」と記す)中、式(I)で表される化合物の配合率は、HFP二量体全量に対して、好ましくは、順に、1質量%以上、10質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上である。式(I)で表される化合物の配合率は、HFP二量体全量に対して、85質量%以上であっても良い。HFP二量体全量中、式(I)で表される化合物の配合率が高いと、HFP二量体の混合物の粘度が低く成る。
【0042】
式(I)で表される化合物の配合率は、HFP二量体全量に対して、好ましくは、順に、99質量%以下、90質量%以下、85質量%以下(或は未満)、80質量%以下、70質量%以下であり、特に好ましくは、60質量%以下である。
【0043】
式(I)で表される化合物の配合率は、HFP二量体全量に対して、例えば、10質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、10質量%以上85質量%未満、20質量%以上85質量%未満、30質量%以上90質量%以下、30質量%以上85質量%未満、35質量%以上85質量%以下、35質量%以上60質量%以下、40質量%以上85質量%未満、40質量%以上80質量%以下、50質量%以上85質量%未満、50質量%以上60質量%以下、55質量%以上80質量%以下、60質量%以上75質量%以下、65質量%以上70質量%以下に調整する。
【0044】
式(I)で表される化合物の配合率は、HFP二量体全量に対して、好ましくは、順に、30質量%以上90質量%以下、40質量%以上85質量%未満、40質量%以上80質量%以下、45質量%以上70質量%以下であり、特に好ましくは、50質量%以上60質量%以下である。
【0045】
(b)ヘキサフルオロプロペン由来のトリマーの調製方法
ヘキサフルオロプロペン由来のトリマーには、下記に示す異性体が存在し、本開示のエッチングガスには、その存在比に依らず、何れの異性体も使用が可能である。
【0046】
式(I)で表される化合物は、特段の断りがない限り、ジアステレオマーのE体(I-(E))及びZ体(I-(Z))の双方を含むものとする。
【0047】
【0048】
ヘキサフルオロプロペン由来のトリマーは、所望の存在比に由り、適宜選択し、例えば、Chem Bar (1973), Vol. 106, pp2950-2959に記載の方法で調製する。
【0049】
ヘキサフルオロプロペン(HFP)由来のトリマー(三量体)の全量(式(I)、(II)及び(III)で表される化合物(HFP三量体の混合物)の合計量、以下「HFP三量体全量」と記す)中、式(I)で表される化合物の配合率は、HFP三量体全量に対して、好ましくは、順に、1質量%以上、10質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上である。式(I)で表される化合物の配合率は、HFP三量体全量に対して、85質量%以上であっても良い。HFP三量体全量中、式(I)で表される化合物の配合率が高いと、HFP三量体の混合物の粘度が低く成る。
【0050】
式(I)で表される化合物の配合率は、HFP三量体全量に対して、好ましくは、順に、99質量%以下、90質量%以下、85質量%以下(或は未満)、80質量%以下、70質量%以下であり、特に好ましくは、60質量%以下である。
【0051】
式(I)で表される化合物の配合率は、HFP三量体全量に対して、例えば、10質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、10質量%以上85質量%未満、20質量%以上85質量%未満、30質量%以上90質量%以下、30質量%以上85質量%未満、35質量%以上85質量%以下、35質量%以上60質量%以下、40質量%以上85質量%未満、40質量%以上80質量%以下、50質量%以上85質量%未満、50質量%以上60質量%以下、55質量%以上80質量%以下、60質量%以上75質量%以下、65質量%以上70質量%以下に調整する。
【0052】
式(I)で表される化合物の配合率は、HFP三量体全量に対して、好ましくは、順に、30質量%以上90質量%以下、40質量%以上85質量%未満、40質量%以上80質量%以下、45質量%以上70質量%以下であり、特に好ましくは、50質量%以上60質量%以下である。
【0053】
(c)ダイマー及び/又はトリマーの含有量
本開示のエッチングガスは、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーを、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0054】
本開示のエッチングガスにおいて、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーの含有量は、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行う時に、サイドエッチングを低減させ、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う観点、加工形状で穴が詰まる事(孔詰まり)を抑制する観点から、本開示のエッチングガスの総量(ガス体積)に対して、好ましくは、0.1体積ppm(ppm容量(volume))~1,000体積ppm(ppm容量(volume))であり、より好ましくは、0.5体積ppm~500体積ppmであり、更に好ましくは、0.75体積ppm~100体積ppmであり、特に好ましくは、1体積ppm~50体積ppmである。
【0055】
(2-4)第二成分
本開示のエッチングガスは、(第二成分)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0056】
本開示のエッチングガスは、第二成分を含有する事に依り、半導体の製造用基板に対して、ホールエッチングの際、サイドエッチング(粗壁保護の効果)を、安価に、10%~30%程度改善させる事が出来る。本開示のエッチングガスは、ホールの側壁の削れ量(サイドエッチング)を低減させる事が出来る。
【0057】
(3)エッチングガスの使用量
本開示のエッチングガスは、第一成分として、(1)ヘキサフルオロプロペン(HFP)を含有し、第二成分として、(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有する。
【0058】
本開示のエッチングガスの使用量は、良好にエッチングを効率良く進める観点から、好ましくは、2ccm~100ccmであり、より好ましくは、5ccm~50ccmであり、更に好ましくは、8ccm~15ccmである。
【0059】
本明細書において、ガスの使用量の単位「ccm」は、cubic centimetre/min(cc/min)を表し、25℃、1気圧換算の条件下で、瞬時流量が1分間継続した場合の体積(cc、cm3)を表す。
【0060】
(4)他のエッチングガス
本開示のエッチングガスは、良好にエッチングを進める観点から、必要に応じて、(5)他のエッチングガスを含有しても良い。
【0061】
他のエッチングガスは、好ましくは、CH2F2、CHF3、C2H2F2、C2H4F2、C3H2F4等のハイドロフルオロカーボン化合物(HFC);CF4、C2F6、C3F8、C4F8、C4F6、C5F8等のパーフルオロカーボン化合物(PFC);CF3I、C2F5I、C3F7I等のヨウ化物;SF6等を用いる事に依り、エッチング速度を調整する事が出来る。
【0062】
本開示のエッチングガスは、他のエッチングガスを、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0063】
[2]エッチングを行う方法
本開示は、半導体の製造用基板に対して、プラズマを生成する為に供給するガスとして、本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う方法を包含する。
【0064】
本開示は、本開示のエッチングガスのガスプラズマで、シリコン酸化膜(SiO2膜)、或はシリコン窒化膜(SiN膜)が形成されたシリコン系材料をエッチングする方法を包含する。
【0065】
エッチングする対象のシリコン系材料は、好ましくは、半導体の製造用基板である。
【0066】
本開示のエッチングガスを用いる事に依り、発生するガスプラズマで、シリコン酸化膜(SiO2膜)、或はシリコン窒化膜(SiN膜)を含有するシリコン系材料に対して、ホールエッチングを行うと、良好に、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。エッチング方法(特にドライエッチング方法)の条件は、本開示のエッチングガスを用いる事以外は、従来の方法と同様とする事が出来る。
【0067】
(1)エッチング条件の例
エッチング条件は、例えば、以下の通りとする事が出来る。
【0068】
流量は、5ccm~2,000ccm、好ましくは、10ccm~1,000ccmに調整する。
【0069】
放電電力は、200W~20,000W、好ましくは、400W~10,000Wに調整する。
高周波電源は、13.56MHz、0.22Wに調整する。
バイアス電力は、25W~15,000W、好ましくは、100W~10,000Wに調整する。
【0070】
圧力は、30mTorr以下(3.99Pa以下)、好ましくは、2mTorr~10mTorr(0.266Pa~1.33Pa)に調整する。
圧力は、特に断りのない限り、圧力はゲージ圧を示す。
【0071】
電子密度109cm-3~1013cm-3、好ましくは、1010cm-3~1012cm-3に調整する。
電子温度は、2eV~9eV、好ましくは、3eV~8eVに調整する。
【0072】
ウェハー温度は、-40℃~100℃、好ましくは、-30℃~50℃に調整する。
チャンバー壁温度は、-30℃~300℃、好ましくは、20℃~200℃に調整する。
【0073】
放電電力及びバイアス電力は、チャンバーの大きさや電極の大きさ等に依っても異なる。小口径ウェハー用の誘導結合プラズマ(ICP)エッチング装置(チャンバー容積3,500cm3)で酸化シリコン膜等にコンタクトホール等のパターンをエッチングする際の好ましいエッチング条件は、以下の通りとする事が出来る。
【0074】
放電電力は、200W~1,000W、好ましくは、300W~600Wに調整する。
バイアス電力は、50W~500W、好ましくは100W~300Wに調整する。
【0075】
(2)不活性ガス
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、良好にエッチングを進める観点から、本開示のエッチングガスに、必要に応じて、不活性ガスを含有しても良い。
【0076】
本開示のエッチングを行う方法は、好ましくは、本開示のエッチングガスと、不活性ガスとを、別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、
シリコン系材料をエッチングする。
【0077】
不活性ガスは、好ましくは、希ガス、窒素等の1種又は2種以上を含有しても良い。希ガスは、好ましくは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等を含有しても良く、より好ましくは、アルゴン(Ar)を用いる。
【0078】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、不活性ガスを、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0079】
不活性ガスは、プラズマの電子温度及び電子密度を変化させる事が出来、フルオロカーボンラジカルやフルオロカーボンイオンのバランスをコントロールする事が出来る。
【0080】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、不活性ガス(Ar等)を含有する場合、不活性ガスの使用量は、良好にエッチングを進める観点から、好ましくは、50ccm~500ccmであり、より好ましくは、150ccm~400ccmであり、更に好ましくは、220ccm~280ccmである。
【0081】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、不活性ガス(Ar等)を含有する場合、不活性ガスの使用量は、良好にエッチングを進める観点から、エッチングガスの流量に対して、好ましくは、5倍量~50倍量であり、より好ましくは、15倍量~40倍量であり、更に好ましくは、22倍量~28倍量である。
【0082】
(3)酸化性ガス及び/又は還元性ガス
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、良好にエッチングを進める観点から、本開示のエッチングガスに、必要に応じて、酸化性ガス及び/又は還元性ガスを含有しても良い。
【0083】
本開示のエッチングを行う方法は、好ましくは、本開示の前記エッチングガスと、酸化性ガス及び/又は還元性ガスとを、別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、シリコン系材料をエッチングする。
【0084】
酸化性ガスは、好ましくは、O2、O3、NO、N2O、NO2、SO2、COS、CO、CO2等を用いる事で、より好ましくは、酸素(O2)を用いる事で、良好なエッチング形状を得る事が出来る。
【0085】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、酸化性ガスを、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0086】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、酸化性ガス(O2等)を含有する場合、酸化性ガスの使用量は、良好にエッチングを効率良く進める観点から、好ましくは、2ccm~100ccmであり、より好ましくは、5ccm~50ccmであり、更に好ましくは、8ccm~15ccmである。
【0087】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、酸化性ガス(O2等)を含有する場合、酸化性ガスの使用量は、良好にエッチングを効率良く進める観点から、エッチングガスの流量に対して、好ましくは、0.2倍量~10倍量であり、より好ましくは、0.5倍量~5倍量であり、更に好ましくは、0.8倍量~1.5倍量mである。
【0088】
還元性ガスは、好ましくは、水素(H2)、CO、CH4等を用いる事で、特に、シリコン窒化膜(SiN膜)を含有するシリコン系材料に対して、ホールエッチングを行う時に、良好なエッチング形状を得る事が出来る。
【0089】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、還元性ガスを、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0090】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、還元性ガス(H2等)を含有する場合、還元性ガスの使用量は、良好にエッチングを効率良く進める観点から、好ましくは、0.5ccm~20ccmであり、より好ましくは、0.8ccm~10ccmであり、更に好ましくは、1ccm~5ccmである。
【0091】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、還元性ガス(H2等)を含有する場合、還元性ガスの使用量は、良好にエッチングを効率良く進める観点から、エッチングガスの流量に対して、好ましくは、0.05倍量~2倍量であり、より好ましくは、0.08倍量~1倍量であり、更に好ましくは、0.1倍量~0.5倍量である。
【0092】
本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う時、酸化性ガス及び還元性ガスを、1種単独で用いても良く、或は2種以上を混合(ブレンド)して用いても良い。
【0093】
本開示のエッチングを行う方法は、好ましくは、本開示のエッチングガスと、不活性ガスと、並びに、酸化性ガス及び/又は還元性ガスとを、別々に、連続的に供給し、チャンバー内で、エッチング混合ガスを生成し、シリコン系材料をエッチングする。
【0094】
[3]半導体製造装置
本開示は、本開示のエッチングガスのガス噴出部を有する、半導体製造装置を包含する。
【0095】
[4]半導体の製造方法
本開示は、半導体の製造用基板に対して、本開示のエッチングガスを用いて、エッチングを行う、半導体の製造方法を包含する。
【0096】
[5]半導体製造の為の使用
本開示は、本開示のエッチングガスの、半導体の製造用基板に対して、エッチングを行う、半導体製造の為の使用を包含する。
【0097】
本開示のエッチングガスは、第一成分として、(1)ヘキサフルオロプロペンを含有し、第二成分として、(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有し、本開示のエッチングガスを用いてホールエッチングを行うと、加工形状で穴が詰まる事(孔詰まり)を抑制する事が出来、サイドエッチングを低減させる事が出来、ホール(深孔)の加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。
【0098】
本開示のエッチングガスは、第二成分を含有する事に依り、半導体の製造用基板に対して、ホールエッチングの際、サイドエッチング(粗壁保護の効果)を、安価に、10%~30%程度改善させる事が出来る。本開示のエッチングガスは、ホールの側壁の削れ量(サイドエッチング)を低減させる事が出来る。
【実施例0099】
以下、本発明を、実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。本発明は、これらのみに制限されるものではない。
【0100】
[1]エッチング方法
上部電極に接続されたガス導入口から、ヘキサフルオロプロペン(HFP)と添加ガス(第二成分)とを導入後、高周波電源(13.56MHz, 0.22W)に依り、プロセスガスを励起さて、エッチングを行った。
【0101】
HFP及び添加ガスを含むエッチングガス、酸素(酸化性ガス)、Ar(不活性ガス)、水素(還元性ガス、SiN膜をエッチングする時)を、別々のラインから供給し、チャンバー内で混合エッチングガスを形成して、エッチングを行った。
【0102】
ICP(Inductive Coupled Plasma)、放電電力1,000W、バイアス電力300W、圧力10mTorr、電子密度8×1010cm-3~2×1011cm-3、電子温度5eV~7eV]のエッチング条件で、シリコン基板上に形成したシリコン酸化膜(SiO2膜)、及びシリコン窒化膜(SiN膜)に対して、エッチングを行った。
【0103】
[2]アスペクト比、及びサイドエッチングの測定
エッチング後のシリコンウエハ断面をSEM観察する事でアスペクト比、及びサイドエッチング(側壁の削れ量)を測定した。
【0104】
(1)アスペクト比
SiO2膜、及びSiN膜に対してホールエッチングをした時、ホールの幅(1)に対するホールの深さ(相対値α)(エッチング深さ/エッチング幅(寸法))を表す。より深堀エッチング(高アスペクト比エッチング)が出来る程、アスペクト比は大きな値(高アスペクト比)を示す。
【0105】
(2)サイドエッチ率
実施例では、比較例(添加ガスを含有しない例)と比べて、サイドエッチングを低減させる事が出来る程、サイドエッチ率(相対値)は低い値を示す。
サイドエッチ率R=a/b*100
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
実施例のエッチングガスを用いて、SiO2膜、及びSiN膜を含有するシリコン系材料に対して、ホールエッチングを行うと、サイドエッチングを低減させる事(比較例に対するサイドエッチ率が低い事)が出来、ホールの加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来た。
【0112】
実施例のエッチングガスは、ホールエッチングの際、サイドエッチングを、10%~30%程度改善させる事が出来、サイドエッチングを良好に低減させる事が出来た。
【0113】
[3]産業上の利用可能性
本開示のエッチングガスは、第一成分として、(1)ヘキサフルオロプロペンを含有し、第二成分として、(2)ヘキサフルオロシクロプロパン、ペンタフルオロプロペン、並びに、ヘキサフルオロプロペン由来のダイマー及び/又はトリマーから成る群から選択される少なくとも1種の成分を含有し、本開示のエッチングガスを用いて、シリコン酸化膜(SiO2膜)、或はシリコン窒化膜(SiN膜)を含有するシリコン系材料に対して、ホールエッチングを行うと、サイドエッチングを低減させる事が出来、ホール(深孔)の加工形状を良好に保持したエッチングを行う事が出来る。
【0114】
本開示のエッチングガスは、第二成分を含有する事に依り、半導体の製造用基板に対して、ホールエッチングの際、サイドエッチング(粗壁保護の効果)を、安価に、10%~30%程度改善させる事が出来る。本開示のエッチングガスは、ホールの側壁の削れ量(サイドエッチング)を低減させる事が出来る。