(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018491
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】報知システム
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20250130BHJP
F17D 5/02 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61M39/10
F17D5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122223
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】六軒 益成
【テーマコード(参考)】
3J071
4C066
【Fターム(参考)】
3J071EE21
3J071EE22
3J071EE29
3J071EE37
3J071FF16
4C066JJ02
4C066JJ04
4C066QQ78
4C066QQ83
(57)【要約】
【課題】継手が分離した事実がユーザに伝達されないことに伴う不具合の発生を抑制可能な報知システムを提供する。
【解決手段】報知システムは、継手を備える。継手は、管状部材に接続される。継手は、互いに分離可能な状態で接続された第1及び第2ユニットを含む。第1及び第2ユニットによって、管状部材に連通した流路が形成される。この報知システムは、報知部と、電気回路とをさらに備える。報知部は、電力供給を受けることによってユーザに報知する。電気回路は、第1及び第2ユニットが互いに分離する前においては、報知部への電力供給を行なわず、第1及び第2ユニットが互いに分離した後においては、第1及び第2ユニットが再び互いに接続されたか否かに拘わらず報知部への電力供給を継続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部材に接続される継手を備え、
前記継手は、互いに分離可能な状態で接続された第1及び第2ユニットを含み、
前記第1及び第2ユニットによって、前記管状部材に連通した流路が形成され、
電力供給を受けることによってユーザに報知する報知部と、
前記第1及び第2ユニットが互いに分離する前においては、前記報知部への電力供給を行なわず、前記第1及び第2ユニットが互いに分離した後においては、前記第1及び第2ユニットが再び互いに接続されたか否かに拘わらず前記報知部への電力供給を継続する電気回路とをさらに備える、報知システム。
【請求項2】
前記管状部材を抜く方向に力が加えられるのに応じて、前記第1及び第2ユニットの各々において前記流路が狭まり、その後、前記第1及び第2ユニットが互いに分離する、請求項1に記載の報知システム。
【請求項3】
前記電気回路は自己保持回路によって構成される、請求項1又は請求項2に記載の報知システム。
【請求項4】
前記報知部は発光素子によって構成される、請求項1又は請求項2に記載の報知システム。
【請求項5】
前記管状部材は、患者に留置されたカテーテルによって構成され、
前記継手は、前記管状部材に直接的又は間接的に接続される、請求項1又は請求項2に記載の報知システム。
【請求項6】
前記第1及び第2ユニットが互いに分離するのに応じて、前記第1及び第2ユニットが互いに分離した旨を示すデータを医療従事者の端末へ送信する送信部をさらに備える、請求項5に記載の報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-226546号公報は、配管継手を開示する。この配管継手は、メス継手とオス継手とを含んでいる。この配管継手において、メス継手とオス継手とは互いに分離可能である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような分離可能な継手において、ユーザが意図せぬタイミングで継手が分離することが考えられる。このような事態が生じた場合に、例えば、継手の分離に気付くべきユーザ以外の者が継手の再接続をしたときは、継手が分離した事実にユーザが気付かない。継手の分離が生じたことをユーザが認識しないことによって不具合が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、継手が分離した事実がユーザに伝達されないことに伴う不具合の発生を抑制可能な報知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う報知システムは、継手を備える。継手は、管状部材に接続される。継手は、互いに分離可能な状態で接続された第1及び第2ユニットを含む。第1及び第2ユニットによって、管状部材に連通した流路が形成される。この報知システムは、報知部と、電気回路とをさらに備える。報知部は、電力供給を受けることによってユーザに報知する。電気回路は、第1及び第2ユニットが互いに分離する前においては、報知部への電力供給を行なわず、第1及び第2ユニットが互いに分離した後においては、第1及び第2ユニットが再び互いに接続されたか否かに拘わらず報知部への電力供給を継続する。
【0007】
この報知システムにおいては、第1及び第2ユニットが一度互いに分離すると、第1及び第2ユニットが再び互いに接続されたか否かに拘わらず、報知部による報知が継続される。したがって、この報知システムによれば、第1及び第2ユニットが互いに分離し、その後、第1及び第2ユニットが再び互いに接続されたとしても、第1及び第2ユニットが互いに分離したことをユーザに継続的に報知することができる。その結果、この報知システムによれば、第1及び第2ユニットが互いに分離した事実がユーザに伝達されないことに伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0008】
上記報知システムにおいては、管状部材を抜く方向に力が加えられるのに応じて、第1及び第2ユニットの各々において流路が狭まり、その後、第1及び第2ユニットが互いに分離してもよい。
【0009】
この報知システムにおいては、管状部材を抜く方向に力が加えられるのに応じて、第1及び第2ユニットの各々において流路が狭まり、その後、第1及び第2ユニットが互いに分離する。したがって、この報知システムによれば、例えば、第1及び第2ユニットが互いに分離する前に第1及び第2ユニットの各々において流路が狭まるため、流路が破断されることに伴う液漏れを抑制することができる。
【0010】
上記報知システムにおいて、電気回路は自己保持回路によって構成されてもよい。
【0011】
この報知システムによれば、上記電気回路の機能を自己保持回路によって容易に実現することができる。
【0012】
上記報知システムにおいて、報知部は発光素子によって構成されてもよい。
【0013】
この報知システムによれば、発光素子を継続的に発光させることにより、第1及び第2ユニットが互いに分離したことをユーザに継続的に報知することができる。
【0014】
上記報知システムにおいて、管状部材は、患者に留置されたカテーテルによって構成され、継手は、管状部材に直接的又は間接的に接続されてもよい。
【0015】
この報知システムにおいては、例えば、患者自身によるカテーテルの抜去(以下、「自己抜去」とも称する。)に伴って第1及び第2ユニットが一度互いに分離すると、第1及び第2ユニットが再び互いに接続されたか否かに拘わらず、報知部による報知が継続される。したがって、この報知システムによれば、例えば、自己抜去に伴って第1及び第2ユニットが互いに分離し、その後、第1及び第2ユニットが再び互いに接続されたとしても、第1及び第2ユニットが互いに分離したことをユーザ(例えば、看護師等の医療従事者)に継続的に報知することができる。その結果、この報知システムによれば、例えば、第1及び第2ユニットが自己抜去に起因して互いに分離した事実がユーザに伝達されないことに伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0016】
上記報知システムは、第1及び第2ユニットが互いに分離するのに応じて、第1及び第2ユニットが互いに分離した旨を示すデータを医療従事者の端末へ送信する送信部をさらに備えてもよい。
【0017】
この報知システムにおいては、第1及び第2ユニットが互いに分離するのに応じて、第1及び第2ユニットが互いに分離した旨を示すデータが医療従事者の端末へ送信される。したがって、この報知システムによれば、第1及び第2ユニットが互いに分離した旨を医療従事者に認識させることができる。また、この報知システムによれば、仮に通信環境が芳しくない場合であっても、第1及び第2ユニットが一度互いに分離すると報知部による報知が継続されるため、第1及び第2ユニットが互いに分離した旨が医療従事者に認識されない可能性をより低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、継手が分離した事実がユーザに伝達されないことに伴う不具合の発生を抑制可能な報知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1に従う報知システムを模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態1に従う報知システムに含まれる継手の外観構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態1に従う報知システムの回路構成を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態2に従う報知システムを模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態2に従う報知システムに含まれる継手の外観構成を模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態2に従う報知システムの回路構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0021】
[1.実施の形態1]
<1-1.報知システムの全体構成>
治療のためにカテーテル(例えば、中心静脈カテーテル)が患者の体内に留置されることがある。例えば、患者がせん妄状態である場合に、患者自身がカテーテルを引き抜く行為(自己抜去)が医療現場で問題となっている。自己抜去が発生すると、例えば、カテーテルの穿刺が再び必要となる。すなわち、患者は穿刺の痛みに再び耐える必要があり、医療従事者は再び穿刺作業を行なう必要がある。本実施の形態1に従う報知システム10においては、このような問題に対処するための工夫が施されている。以下、報知システム10について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態1に従う報知システム10を模式的に示す図である。
図1に示されるように、報知システム10は、継手100と、カテーテル200と、チューブ300と、輸液ボトル400と、報知装置500とを含んでいる。
【0023】
継手100において、一方の端部にはカテーテル200が接続されており、他方の端部にはチューブ300が接続されている。カテーテル200は、例えば、処置部FI1を介して患者の体内に穿刺されている。カテーテル200は、例えば、粘着テープ等によって処置部FI1において患者に固定されている。チューブ300は、輸液ボトル400に接続されている。
【0024】
継手100は第1ユニット110と第2ユニット120とを含んでおり、第1ユニット110及び第2ユニット120の各々の内部には流路が形成されている。輸液ボトル400には薬液又は栄養剤等の液体が収容されており、輸液ボトル400に収容された液体は、チューブ300、継手100及びカテーテル200を通じて患者の体内へ供給される。
【0025】
継手100は、自己抜去を試みる患者によってチューブ300が引っ張られると、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離するように構成されている。換言すると、第1ユニット110及び第2ユニット120は、例えば、カテーテル200を抜く方向に所定の力以上の力が加わると、互いに分離するように構成されている。所定の力は、例えば、粘着テープ等がカテーテル200を患者に固定する力よりも小さい。所定の力以上の力が継手100に加わった場合に、カテーテル200が患者から抜ける前に継手100が分離する。したがって、継手100によれば、患者がチューブ300を引っ張ることによってカテーテル200が患者から抜ける事態の発生を抑制することができる。
【0026】
また、第1ユニット110及び第2ユニット120の各々は、分離前に流路を狭めるように構成されている。例えば、第1ユニット110の内部には、継手100の分離前にカテーテル200を挟み込む第1グリッパ(不図示)が設けられていてもよい。また、第2ユニット120の内部には、継手100の分離前にチューブ300を挟み込む第2グリッパ(不図示)が設けられていてもよい。例えば、患者がチューブ300を引っ張るのに応じて、第1グリッパ及び第2グリッパがカテーテル200及びチューブ300をそれぞれ挟み込むことによって流路が閉じられてもよい。継手100によれば、継手100の分離前に流路が狭められるため、継手100の分離に起因する液漏れを抑制することができる。
【0027】
報知装置500は、継手100が分離したことを医療従事者等(報知システム10のユーザ)へ報知するように構成されている。具体的には、報知装置500は、発光することによって継手100が分離したことを医療従事者等へ報知する。報知装置500は、例えば、患者が使用しているベッド上、又は、病室の入り口付近に配置される。医療従事者等は、報知装置500の発光状態を確認することによって継手100が分離しているか否かを認識することができる。
【0028】
報知装置500は、電源部510と、電気回路520と、発光素子530とを含んでいる。電源部510は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池(バッテリ)によって構成される。電源部510は、例えば、電力を発光素子530へ供給する。発光素子530は、例えば、LED(Light Emitting Diode)によって構成される。発光素子530は、電源部510から電力供給を受けることによって発光する。
【0029】
電気回路520は、継手100が分離するのに応じて電源部510から発光素子530へ電力を供給するように構成されている。電源部510から発光素子530へ電力が供給されることによって発光素子530が発光する。すなわち、継手100が分離するのに応じて発光素子530が発光する。医療従事者等は、発光素子530が発光していることを視認することによって、継手100の分離が生じたことを認識することができる。
【0030】
仮に、第1ユニット110及び第2ユニット120が分離後に再接続された場合に、発光素子530の発光が停止するとする。この場合には、発光素子530の発光停止後に報知装置500を視認した医療従事者等が、継手100の分離が生じていたことを認識することができない。しかしながら、患者自身によって第1ユニット110及び第2ユニット120の再接続が行なわれた場合に、薬液等が汚染される事態、又は、カテーテル200内に空気が入る事態等の問題が生じている可能性があるため、継手100の再接続が行なわれた後であっても医療従事者等は継手100の分離が生じていたことを認識すべきである。
【0031】
そのため、電気回路520は、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離した後においては、第1ユニット110及び第2ユニット120が再び互いに接続されたか否かに拘わらず、発光素子530への電力供給を継続するように構成されている。したがって、報知システム10によれば、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離し、その後、第1ユニット110及び第2ユニット120が再び互いに接続されたとしても、継手100が分離したことを医療従事者等に継続的に報知することができる。なお、電気回路520の回路構成については後程詳しく説明する。
【0032】
<1-2.継手の外観構成>
図2は、本実施の形態1に従う報知システム10に含まれる継手100の外観構成を模式的に示す図である。
図2に示されるように、継手100は、第1ユニット110と、第2ユニット120とを含んでいる。第1ユニット110はメス継手であり、第2ユニット120はオス継手である。
【0033】
第1ユニット110には電線EL1が接続されており、第2ユニット120には電線EL2が接続されている。電線EL1,EL2の各々は報知装置500(
図1)に接続されている。第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続された状態においては、電線EL1と電線EL2とが電気的に導通している。一方、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続されていない状態においては、電線EL1と電線EL2とが電気的に導通していない。上述の電気回路520(
図1)においては、電線EL1と電線EL2との導通状態がスイッチ(後述の継手分離スイッチSW2)として機能する。次に、電気回路520について詳細に説明する。
【0034】
<1-3.報知システムの回路構成>
図3は、本実施の形態1に従う報知システム10の回路構成を模式的に示す図である。
図3に示されるように、報知システム10は、電源部510と、電気回路520と、発光素子530とを含んでいる。電気回路520は、いわゆる自己保持回路であり、リレーRL1と、リレーRL2とを含んでいる。リレーRL1,RL2の各々は、例えば、電磁リレーによって構成される。リレーRL1はいわゆるノーマリークローズのリレーであり、リレーRL2はいわゆるノーマリーオープンのリレーである。リレーRL1は、コイル部X1と接点部X1b1とを含んでいる。接点部X1b1は、いわゆるブレイク接点(b接点)である。リレーRL2は、コイル部X2と接点部X2a1,X2a2とを含んでいる。接点部X2a1,X2a2の各々は、いわゆるメーク接点(a接点)である。
【0035】
電源部510の正極は電線EL3に接続され、電源部510の負極は電線EL4に接続されている。電線EL3,EL5間にはメインスイッチSW1が設けられている。メインスイッチSW1は、例えば、報知装置500に設けられている。
【0036】
電線EL5に設けられた複数(3つ)の接続点のうち最もメインスイッチSW1に近い位置の接続点P1に電線EL1が接続されている。また、電線EL4に設けられた複数(2つ)の接続点のうち電源部510に近い方の接続点P2に電線EL6が接続されている。電線EL1,EL2間に継手分離スイッチSW2が設けられており、電線EL2,EL6間にコイル部X1が設けられている。継手分離スイッチSW2は、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続されている場合にオン状態となり、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続されていない場合にオフ状態となる。
【0037】
電線EL5に設けられた複数の接続点のうち接続点P1の次にメインスイッチSW1に近い位置の接続点P3に電線EL7が接続されている。また、電線EL4に設けられた複数の接続点のうち電源部510から遠い方の接続点P4に電線EL9が接続されている。電線EL7,EL8間に接点部X1b1が設けられており、電線EL8,EL9間にコイル部X2が設けられている。
【0038】
電線EL5に設けられた複数の接続点のうちメインスイッチSW1から最も遠い位置の接続点P5に電線EL10が接続されている。電線EL8に設けられた接続点P6には電線EL11が接続されており、電線EL10,EL11間には接点部X2a1が設けられている。電線EL5,EL12間には接点部X2a2が設けられており、電線EL4,EL13間には抵抗R1が設けられている。電線EL12,EL13間には発光素子530が設けられている。
【0039】
<1-4.報知システムの動作>
まず、継手分離スイッチSW2がオン状態であり(第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続された状態)、かつ、一度も継手分離スイッチSW2がオフ状態(第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離された状態)になったことがない場合について考える。この場合にメインスイッチSW1がオン状態となると、リレーRL1がノーマリークローズであり、かつ、コイル部X1に電流が流れるため、接点部X1b1は開放状態となる。接点部X1b1が開放状態であるため、コイル部X2には電流が流れない。リレーRL2がノーマリーオープンであるため、接点部X2a1,X2a2の各々は開放状態となる。接点部X2a2が開放状態であるため、発光素子530には電流が流れず、発光素子530が発光しない。
【0040】
次に、継手分離スイッチSW2がオフ状態である場合について考える。この場合にメインスイッチSW1がオン状態となると、リレーRL1がノーマリークローズであり、かつ、コイル部X1に電流が流れないため、接点部X1b1は閉成状態となる。接点部X1b1が閉成状態であるため、コイル部X2には電流が流れる。リレーRL2がノーマリーオープンであるため、接点部X2a1,X2a2の各々は閉成状態となる。接点部X2a2が閉成状態であるため、発光素子530には電流が流れ、発光素子530が発光する。
【0041】
次に、メインスイッチSW1のオン状態が維持された状態で、継手分離スイッチSW2が一度オフ状態になった後に再びオン状態となった場合について考える。継手分離スイッチSW2がオフ状態からオン状態に切り替わったとしても、接点部X2a1が閉成状態であるためコイル部X2には継続して電流が流れる。コイル部X2に電流が流れるため、
接点部X2a1,X2a2の閉成状態は維持される。接点部X2a2が閉成状態であるため、発光素子530には電流が流れ、発光素子530の発光状態が継続する。
【0042】
<1-5.特徴>
以上のように、本実施の形態1に従う報知システム10においては、第1ユニット110及び第2ユニット120が一度互いに分離すると、第1ユニット110及び第2ユニット120が再び互いに接続されたか否かに拘わらず、発光素子530による発光が継続される。したがって、報知システム10によれば、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離し、その後、第1ユニット110及び第2ユニット120が再び互いに接続されたとしても、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離したことをユーザ(医療従事者等)に継続的に報知することができる。その結果、報知システム10によれば、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離した事実がユーザに伝達されないことに伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0043】
また、報知システム10によれば、例えば、患者の自己抜去に伴って第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離し、その後、第1ユニット110及び第2ユニット120が再び互いに接続されたとしても、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離したことをユーザ(例えば、看護師等の医療従事者)に継続的に報知することができる。
【0044】
[2.実施の形態2]
上記実施の形態1に従う報知システム10においては、
図3に示される回路構成によって所望の機能が実現された。しかしながら、具体的な回路構成は
図3に示されるものに限定されない。本実施の形態2に従う報知システム10Aにおいては、
図3に示される回路構成とは異なる回路構成によって所望の機能が実現される。以下では、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、実施の形態1と実質的に同一の部分については説明を繰り返さない。
【0045】
<2-1.報知システムの全体構成>
図4は、本実施の形態2に従う報知システム10Aを模式的に示す図である。
図4に示されるように、報知システム10Aは、継手100Aと、カテーテル200と、チューブ300と、輸液ボトル400と、報知装置500Aとを含んでいる。
【0046】
継手100Aにおいて、一方の端部にはカテーテル200が接続されており、他方の端部にはチューブ300が接続されている。継手100Aは第1ユニット110Aと第2ユニット120Aとを含んでおり、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aの各々の内部には流路が形成されている。継手100Aは、自己抜去を試みる患者によってチューブ300が引っ張られると、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに分離するように構成されている。また、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aの各々は、分離前に流路を狭めるように構成されている。
【0047】
報知装置500Aは、継手100Aが分離したことを医療従事者等(報知システム10Aのユーザ)へ報知するように構成されている。具体的には、報知装置500Aは、発光することによって継手100Aが分離したことを医療従事者等へ報知する。報知装置500Aは、電源部510と、電気回路520Aと、発光素子530とを含んでいる。
【0048】
電気回路520Aは、継手100Aが分離するのに応じて電源部510から発光素子530へ電力を供給するように構成されている。電源部510から発光素子530へ電力が供給されることによって発光素子530が発光する。すなわち、継手100Aが分離するのに応じて発光素子530が発光する。電気回路520Aは、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに分離した後においては、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが再び互いに接続されたか否かに拘わらず、発光素子530への電力供給を継続するように構成されている。
【0049】
<2-2.継手の外観構成>
図5は、本実施の形態2に従う報知システム10Aに含まれる継手100Aの外観構成を模式的に示す図である。
図5に示されるように、継手100Aは、第1ユニット110Aと、第2ユニット120Aとを含んでいる。第1ユニット110Aはメス継手であり、第2ユニット120Aはオス継手である。
【0050】
第1ユニット110Aには、電線EL1Aが接続されている。また、第1ユニット110Aにはバネ部111が設けられており、バネ部111には電線EL2Aが固定されている。第2ユニット120Aには、絶縁部121が設けられている。絶縁部121は、例えば、ゴム又は樹脂で構成される。第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに接続された状態において、バネ部111は、電線EL2Aが絶縁部121に押さえ付けられるように電線EL2Aを付勢する。電線EL1A,EL2Aの各々は報知装置500A(
図4)に接続されている。
【0051】
第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに接続された状態においては、第1ユニット110A(例えば、金属等の導電性部材)と電線EL2Aとの間に絶縁部121が存在するため、電線EL1Aと電線EL2Aとが電気的に導通していない。一方、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに接続されていない状態においては、電線EL2Aがバネ部111により付勢されることによって電線EL2Aと第1ユニット110Aとが接触するため、電線EL1Aと電線EL2Aとが電気的に導通する。上述の電気回路520A(
図4)においては、電線EL1Aと電線EL2Aとの導通状態がスイッチ(後述の継手分離スイッチSW3)として機能する。次に、電気回路520Aについて詳細に説明する。
【0052】
<2-3.報知システムの回路構成>
図6は、本実施の形態2に従う報知システム10Aの回路構成を模式的に示す図である。
図6に示されるように、報知システム10Aは、電源部510と、電気回路520Aと、発光素子530とを含んでいる。電気回路520Aは、いわゆる自己保持回路であり、リレーRL2を含んでいる。上記実施の形態1に従う報知システム10の回路構成と異なる点は、電線EL1,EL6、コイル部X1及び継手分離スイッチSW2が省略されている点、並びに、電線EL7,EL8及び接点部X1b1の代わりに電線EL1A,EL2A及び継手分離スイッチSW3がそれぞれ設けられている点である。継手分離スイッチSW3は、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続されている場合にオフ状態となり、第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続されていない場合にオン状態となる。
【0053】
<2-4.報知システムの動作>
まず、継手分離スイッチSW3がオフ状態であり(第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに接続された状態)、かつ、一度も継手分離スイッチSW3がオン状態(第1ユニット110及び第2ユニット120が互いに分離された状態)になったことがない場合について考える。この場合にメインスイッチSW1がオン状態となると、リレーRL2がノーマリーオープンであり、かつ、コイル部X2に電流が流れないため、接点部X2a1,X2a2の各々は開放状態となる。接点部X2a2が開放状態であるため、発光素子530には電流が流れず、発光素子530が発光しない。
【0054】
次に、継手分離スイッチSW3がオン状態である場合について考える。この場合にメインスイッチSW1がオン状態となると、リレーRL2がノーマリーオープンであり、かつ、コイル部X2に電流が流れるため、接点部X2a1,X2a2の各々は閉成状態となる。接点部X2a2が閉成状態であるため、発光素子530には電流が流れ、発光素子530が発光する。
【0055】
次に、メインスイッチSW1のオン状態が維持された状態で、継手分離スイッチSW3が一度オン状態になった後に再びオフ状態となった場合について考える。継手分離スイッチSW3がオン状態からオフ状態に切り替わったとしても、接点部X2a1が閉成状態であるためコイル部X2には継続して電流が流れる。コイル部X2に電流が流れるため、
接点部X2a1,X2a2の閉成状態は維持される。接点部X2a2が閉成状態であるため、発光素子530には電流が流れ、発光素子530の発光状態が継続する。
【0056】
<2-5.特徴>
以上のように、本実施の形態2に従う報知システム10Aにおいては、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが一度互いに分離すると、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが再び互いに接続されたか否かに拘わらず、発光素子530による発光が継続される。したがって、報知システム10Aによれば、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに分離し、その後、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが再び互いに接続されたとしても、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに分離したことをユーザ(医療従事者等)に継続的に報知することができる。その結果、報知システム10Aによれば、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに分離した事実がユーザに伝達されないことに伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0057】
また、報知システム10Aによれば、例えば、患者の自己抜去に伴って第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに分離し、その後、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが再び互いに接続されたとしても、第1ユニット110A及び第2ユニット120Aが互いに分離したことをユーザ(例えば、看護師等の医療従事者)に継続的に報知することができる。
【0058】
[3.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0059】
<3-1>
上記実施の形態1,2に従う各報知システム(10,10A)は、第1ユニット(110,110A)及び第2ユニット(120,120A)が互いに分離したことを検出するセンサをさらに含んでいてもよい。また、各報知システム(10,10A)は、継手(100,100A)の分離が検出されるのに応じて、継手が分離した旨を示すデータを医療従事者等の通信端末へ送信する送信部をさらに含んでいてもよい。送信部は、例えば、無線LAN(Local Area Network)モジュール等の通信モジュールで構成されてもよい。
【0060】
この報知システム(10,10A)においては、第1ユニット(110,110A)及び第2ユニット(120,120A)が互いに分離するのに応じて、継手(100,100A)が分離した旨を示すデータが医療従事者等の通信端末へ送信される。したがって、この報知システム(10,10A)によれば、継手(100,100A)が分離した旨を医療従事者等に認識させることができる。また、この報知システム(10,10A)によれば、仮に通信環境が芳しくない場合であっても、継手(100,100A)が一度分離すると発光素子530による発光が継続されるため、継手(100,100A)が分離した旨が医療従事者等に認識されない可能性をより低減することができる。
【0061】
<3-2>
上記実施の形態1,2に従う各報知システム(10,10A)においては、発光素子530が発光することによって継手(100,100A)が分離したことの報知が行なわれた。しかしながら、継手(100,100A)が分離したことの報知手段はこれに限定されない。例えば、各報知システム(10,10A)は、発光素子530の代わりにブザー等の音声出力部材を含んでもよく、音声を出力することによって継手(100,100A)が分離したことの報知を行なってもよい。
【0062】
<3-3>
上記実施の形態1,2に従う各報知システム(10,10A)においては、電源部510がリチウムイオン電池等の二次電池(バッテリ)によって構成された。しかしながら、電源部510は、必ずしもバッテリによって構成されなくてもよい。電源部510は、例えば、商用電源から供給された交流電力に基づいて直流電力を生成する電源回路によって実現されてもよい。この場合には、電気回路520,520Aの構成が、同様の機能が実現されるように適宜変更されてもよい。
【0063】
<3-4>
上記実施の形態1,2に従う各報知システム(10,10A)において、リレーRL1,RL2の各々は、半導体リレーによって構成されてもよい。
【0064】
<3-5>
上記実施の形態1,2に従う各報知システム(10,10A)は、必ずしも医療分野において使用されなくてもよい。各報知システム(10,10A)は、例えば、継手(100,100A)の両端に一般産業機器の管(チューブ)を接続することによって産業分野で使用されてもよい。例えば、一般産業機器においては、配管の分離後に配管が再接続されることによって、配管内への異物若しくは空気等の流入、又は、配管の誤接続が生じる可能性がある。したがって、一般産業機器に各報知システム(10,10A)を適用し、継手(100,100A)の再接続後においても継手(100,100A)の分離が生じていたことを継続的に報知することによって、上記問題に起因する被害の拡大を抑制することができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0066】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。例えば、いずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成と、他のいずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成とが組み合わされてもよい。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 報知システム
100,100A 継手
110,110A 第1ユニット
111 バネ部
120,120A 第2ユニット
121 絶縁部
200 カテーテル(「管状部材」の一例)
300 チューブ(「管状部材」の一例)
400 輸液ボトル
500 報知装置
510 電源部
520,520A 電気回路
530 発光素子(「報知部」の一例)
EL1,EL1A,EL2,EL2A,EL3,EL4,EL5,EL6,EL7,EL8,EL9,EL10,EL11,EL12,EL13,EL14 電線
FI1 処置部
P1,P2,P3,P4,P5,P6 接続点
R1 抵抗
RL1,RL2 リレー
SW1 メインスイッチ
SW2,SW3 継手分離スイッチ
X1,X2 コイル部
X1b1,X2a1,X2a2 接点部