(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018508
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】光デバイス、光送信装置及び光受信装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20250130BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20250130BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20250130BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20250130BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/42
G02B6/122
G02B6/12 301
G02F1/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122262
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳田 百合香
(72)【発明者】
【氏名】三田村 宣明
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AA01
2H137AA05
2H137AB05
2H137AB09
2H137BA01
2H137BA53
2H137BB12
2H137BC73
2H137BC76
2H137CA22A
2H137CA34
2H137CA73
2H137CA74
2H137CC01
2H137DA39
2H137EA02
2H137FA06
2H147AB02
2H147AB05
2H147BG14
2H147CA01
2H147CA30
2H147CC12
2H147EA02B
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147FC08
2H147GA19
2K102AA21
2K102BA02
2K102BA03
2K102BA40
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102EA21
2K102EB16
2K102EB22
(57)【要約】
【課題】光導波路と光ファイバとの間の光結合損失を抑制できる。
【解決手段】光デバイスは、光素子と、光ファイバブロックとを有する。光素子は、光導波路と、前記光導波路の端面が配置された第1の端面と、前記第1の端面に対して突出する第2の端面とを有する。光ファイバブロックは、光ファイバと、前記光ファイバの端面が配置された第3の端面と、前記第3の端面に対してへこんでいる第4の端面とを有する。光デバイスは、前記第2の端面と前記第4の端面とが当て付けるように固定された状態で、前記第1の端面と前記第3の端面とがバットカップリングで接続して前記光導波路の端面と前記光ファイバの端面とを光結合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路と、前記光導波路の端面が配置された第1の端面と、前記第1の端面に対して突出する第2の端面とを有する光素子と、
光ファイバと、前記光ファイバの端面が配置された第3の端面と、前記第3の端面に対してへこんでいる第4の端面とを有する光ファイバブロックと、を有し、
前記第2の端面と前記第4の端面とが当て付けるように固定された状態で、前記第1の端面と前記第3の端面とがバットカップリングで接続して前記光導波路の端面と前記光ファイバの端面とを光結合することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記光ファイバブロックは、
前記第3の端面と前記第4の端面との間に開口部が配置されることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記光ファイバブロックは、
第1のガラスブロックと、前記第1のガラスブロックとは異なる第2のガラスブロックとを有し、
前記第4の端面は、
前記第2のガラスブロックの端面で構成することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記第1の端面と前記第2の端面との間の第1の段差は、前記第3の端面と前記第4の端面との間の第2の段差に略等しいことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
光導波路と、前記光導波路の端面が配置された第1の端面と、前記第1の端面に対して突出する第2の端面とを有する光変調器素子と、
光ファイバと、前記光ファイバの端面が配置された第3の端面と、前記第3の端面に対してへこんでいる第4の端面とを有する光ファイバブロックと、を有し、
前記第2の端面と前記第4の端面とが当て付けるように固定された状態で、前記第1の端面と前記第3の端面とがバットカップリングで接続して前記光導波路の端面と前記光ファイバの端面とを光結合することを特徴とする光送信装置。
【請求項6】
光導波路と、前記光導波路の端面が配置された第1の端面と、前記第1の端面に対して突出する第2の端面とを有する光受信器素子と、
光ファイバと、前記光ファイバの端面が配置された第3の端面と、前記第3の端面に対してへこんでいる第4の端面とを有する光ファイバブロックと、を有し、
前記第2の端面と前記第4の端面とが当て付けるように固定された状態で、前記第1の端面と前記第3の端面とがバットカップリングで接続して前記光導波路の端面と前記光ファイバの端面とを光結合することを特徴とする光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、光送信装置及び光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光導波路を備えた光デバイスでは、光データの伝送容量の大容量化が求められている。また、光送受信機能を備えた光トランシーバでは、小型集積化に適した光導波路が広く採用されている。
【0003】
図19は、従来の光デバイス100の一例を示す略断面図である。
図19に示す光デバイス100は、光素子110と、光ファイバブロック120とを有する。光素子110は、SOI(Silicon On Insulator)ウエハをベースとして作成された光学素子である。光素子110は、Si基板111と、絶縁層112と、光導波路113と、パッシベーション層114とを有する。Si基板111は、SOIウエハを構成する支持基板である。絶縁層112は、Si基板111上に積層されたSiO
2で形成し、光導波路113の下部クラッド層として機能する。光導波路113は、絶縁層112上に形成されたSiの光導波路である。パッシベーション層114は、例えば、SiO
2やSi
3N
4等で形成され、光導波路113の上部クラッド層として機能する。
【0004】
光ファイバブロック120は、光ファイバ121と、ガラスブロック122とを有する。光ファイバ121は、コア121Bと、コア121Bを覆うクラッド121Aと、を有する。光ファイバ121は、ガラスブロック122の中に挿入された状態で、光ファイバ121とガラスブロック122とが光学接着剤Aで固定されている。
【0005】
光導波路113の端面113A及び光ファイバ121のコア端面121B1は、光散乱を防ぐために、光学面(鏡面)となっている。そして、光通信波長域で透明な光学接着剤Aを用いて、光導波路113の端面113Aとコア端面121B1とをバットジョイント(Butt-Joint)で光結合している。この際、光導波路113と光ファイバ121のコア121Bとの間の光結合損失を十分に小さくするために、光導波路113の端面113Aと光ファイバ121のコア端面121B1とは、上下左右方向に、ほぼ同じ位置に光軸調整される。更に、光導波路113の端面113Aと光ファイバ121のコア端面121B1との間の距離も十分に短くしている。
【0006】
図20は、従来の光素子110の切削工程の一例を示す略断面図である。光素子110は、
図20に示すように、回転する切断用ブレードB1を用いて、垂直にダイシングされることになる。
図21は、切削工程後の光素子110の一例を示す略断面図である。ダイシング後の光素子110では、
図21に示すように、光導波路13の端面113Aを含む切断面110Aが粗く、このままでは光散乱が大きくなるため、光導波路113と光ファイバ121との間の光結合損失が大きくなる。
【0007】
図22は、研磨工程の光素子110の一例を示す略断面図である。ダイシング後の光素子110では、
図22に示すように、切断面110Aを下にした状態で、研磨機B2を用いて、光導波路113の端面113Aを光学研磨することで、端面113Aが光学面となる。また、光ファイバ121のコア端面121B1も同様に光学研磨の加工が必要となる。従って、光素子110では、切断(ダイシング)及び光学研磨の加工工程を経ることになるため、加工コストの増加やリードタイムが長くなる。
【0008】
そこで、近年、研磨砥粒をブレード側面に付けた特殊なブレードB3を用いるラップ加工なる手法が開発され、ブレードダイシング装置1台で切断工程と、端面研磨工程とを連続して実行することでリードタイムを短縮化できる。
図23は、光素子110のラップ加工工程の一例を示す略断面図である。例えば、ブレードB3を用いて光素子110のダイシングを実行した後、そのまま連続して、ブレードB3で切断された光素子110内の切断溝110Cに挿入して、ブレードB3で光素子110の上方にある光導波路113の端面113Aを研磨加工することで切断面110Aに端面110Bを形成する。その結果、光素子110の光導波路113の端面113Aを含む端面110Bが光学面となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-106678号公報
【特許文献2】特開2003-057467号公報
【特許文献3】特開2007-199254号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0154866号明細書
【特許文献5】特開平9-026529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ラップ加工で光素子110の切断面110Aの全面を研磨しようとしても、その切断面110Aに当て付けられたラップ加工のブレードB3は光素子110の端面からの反発力によって反ってしまう。その結果、光素子110の切断面110Aにある光導波路113の端面113Aと光ファイバ121のコア端面121B1との間の距離を短くできない。従って、光導波路113と光ファイバ121との間の光結合損失を抑制するのは困難である。
【0011】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、光導波路と光ファイバとの間の光結合損失を抑制できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願が開示する光デバイスは、1つの態様において、光素子と、光ファイバブロックとを有する。光素子は、光導波路と、前記光導波路の端面が配置された第1の端面と、前記第1の端面に対して突出する第2の端面とを有する。光ファイバブロックは、光ファイバと、前記光ファイバの端面が配置された第3の端面と、前記第3の端面に対してへこんでいる第4の端面とを有する。光デバイスは、前記第2の端面と前記第4の端面とが当て付けるように固定された状態で、前記第1の端面と前記第3の端面とがバットカップリングで接続して前記光導波路の端面と前記光ファイバの端面とを光結合する。
【発明の効果】
【0013】
本願が開示する光デバイスの1つの態様によれば、光導波路と光ファイバとの間の光結合損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施例1の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【
図2】
図2は、光ファイバブロックのラップ加工工程の一例を示す略断面図である。
【
図3】
図3は、光ファイバブロックのラップ加工工程をY方向から見た説明図である。
【
図4A】
図4Aは、ラップ加工工程後の光ファイバブロックの一例を示す略断面図である。
【
図4B】
図4Bは、ラップ加工工程後の光素子の一例を示す略断面図である。
【
図5】
図5は、実施例2の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【
図6】
図6は、光ファイバブロックの第1のラップ加工工程の一例を示す略断面図である。
【
図7】
図7は、光ファイバブロックの第1のラップ加工工程をY方向から見た説明図である。
【
図8】
図8は、光ファイバブロックの第2のラップ加工工程の一例を示す略断面図である。
【
図9】
図9は、光ファイバブロックの第2のラップ加工工程をY方向から見た説明図である。
【
図10】
図10は、実施例3の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【
図11】
図11は、光ファイバブロックのラップ加工工程の一例を示す略断面図である。
【
図12】
図12は、第2のガラスブロック配置工程の一例を示す略断面図である。
【
図13】
図13は、光ファイバブロックの一例を示す略断面図である。
【
図14】
図14は、光ファイバブロックのY方向から見た説明図である。
【
図15】
図15は、本実施例の光デバイスを採用した光トランシーバの一例を示す説明図である。
【
図16】
図16は、比較例1の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【
図17】
図17は、比較例1の光素子の一例を示す略断面図である。
【
図18】
図18は、比較例2の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【
図19】
図19は、従来の光デバイスの一例を示す略断面図である。
【
図20】
図20は、従来の光素子の切削工程の一例を示す略断面図である。
【
図21】
図21は、切削工程後の光素子の一例を示す略断面図である。
【
図22】
図22は、研磨工程の光素子の一例を示す略断面図である。
【
図23】
図23は、光素子のラップ加工工程の一例を示す略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
しかし、
図23に示すように光素子110の切断面110Aに当て付けられたラップ加工のブレードB3が切断面110Aでの反発力によって反ってしまうため、光素子110の切断面110Aを全面研磨することができない。そこで、光素子110の光導波路113の端面113A付近のみをラップ加工する方法も考えられる。
図16は、比較例1の光デバイス100Aの一例を示す略断面図、
図17は、比較例1の光素子110の一例を示す略断面図である。尚、説明の便宜上、Si基板111の厚さは、例えば、625umとする。そこで、光素子110の切断面110Aの全面をラップ加工せず、光素子110の光導波路113側の表面から80um程度の深さまでラップ加工を施すことで、光素子110の光導波路113側の表面から10um程度の深さまでの端面110Bを光学研磨する。その結果、光導波路113の端面113Aを含む端面110Bが光学面となる。この際、光素子110の光導波路113の端面113Aと切断面110Aとの段差Lは、例えば、10um程度とする。
【0016】
図16に示すように、光ファイバ121のコア端面121B1とガラスブロック122の端面とが同一平面となる光ファイバブロック120と光素子110とをバットジョイントで接続する。つまり、光素子110の切断面110Aとガラスブロック122の端面とを当て付けた状態で光導波路113の端面113Aと光ファイバ121のコア端面121B1とを光学接着剤Aでバットジョイント接続する。その結果、光ファイバ121のコア端面121B1と光導波路113の端面113Aとの間の距離は、光導波路113の端面113Aと切断面110Aとの段差Lである10umとなる。
【0017】
しかしながら、上記ラップ加工された光導波路113の端面113Aに直接、通常の光ファイバ121のコア端面121B1をバットジョイント接続した場合でも、光導波路113の端面113Aとコア端面121B1との間の距離が10um以上離れる。その結果、光導波路113と光ファイバ121との間の光結合損失が大きく、例えば、約1.35dBとなる。
【0018】
そこで、光結合損失を抑制すべく、光導波路113の端面113Aと光ファイバ121のコア端面121B1との間にレンズを設ける方法も考えられる。
図18は、比較例2の光デバイス100Bの一例を示す略断面図である。光導波路113の端面113Aと光ファイバ121のコア端面121B1との間の光路130上に焦点距離2mmの第1のレンズ131Aと焦点距離2mmの第2のレンズ131Bとをレンズ間距離、例えば、1.5mm離して配置する。光デバイス100Bでは、光ファイバ121のコア端面121B1から出射する光を第1のレンズ131A及び第2のレンズ131Bで集光し、光導波路113の端面113Aに光結合する。しかし、光デバイス100Bでは、第1のレンズ131A及び第2のレンズ131Bの焦点距離とレンズ間距離とを加算した5.5mm分の長さ寸法を確保する必要がある。その結果、光デバイス100Bが大型化し、レンズ分のコストが高くなる。
【0019】
そこで、ラップ加工された光素子の光導波路の端面と光ファイバのコア端面との間の光結合損失が抑制できる小型の光デバイスの実施の形態につき、実施例として以下に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0020】
図1は、実施例1の光デバイス1の一例を示す略断面図である。
図1に示す光デバイス1は、光素子2と、光ファイバブロック3と、を有する。光素子2は、SOI(Silicon On Insulator)ウエハをベースとして作成された光学素子である。光素子2は、Si基板11と、絶縁層12と、光導波路13と、パッシベーション層14とを有する。Si基板11は、SOIウエハを構成する支持基板である。絶縁層12は、Si基板11上に積層されたSiO
2で形成し、光導波路13の下部クラッド層として機能する。光導波路113は、絶縁層112上に形成された、例えば、Siの光導波路である。パッシベーション層114は、例えば、SiO
2やSi
3N
4等で形成され、光導波路113の上部クラッド層として機能する。
【0021】
光ファイバブロック3は、光ファイバ21と、ガラスブロック22とを有する。光ファイバ21は、コア21Bと、コア21Bを覆うクラッド21Aと、を有する。光ファイバ21は、ガラスブロック22の中に挿入された状態で、光ファイバ21とガラスブロック22とが光学接着剤Aで固定されている。
【0022】
光素子2は、光導波路13と、光導波路13の端面13Aを含む第1の端面31と、第1の端面31に対して突出する第2の端面32とを有する。第2の端面32は、光導波路13の軸方向へ突出する端面である。尚、第2の端面32は、ラップ加工に使用するブレードBで切断した光素子2の切断面30で構成され、その切断面30は粗い面である。更に、第1の端面31は、ブレードBの光研磨工程で端面13Aを含む切断面30の箇所を光学研磨することで形成する。光素子2の切断面30は、第1の端面31と第2の端面32との間の第1の段差L1を有する。
【0023】
光ファイバブロック3は、光ファイバ21と、光ファイバ21のコア端面21B1を含む第3の端面41と、第3の端面41に対してへこんでいる第4の端面42とを有する。光ファイバブロック3の第3の端面41は、ラップ加工に使用するブレードBで切断した光ファイバブロック3の切断面40で構成する。第4の端面42は、ブレードBの切削工程で形成することで、光ファイバ21のコア21Bの軸方向へへこんでいる端面である。光ファイバブロック3の切断面40は、第3の端面41と第4の端面42との間の第2の段差L2を有する。
【0024】
光素子2の第1の段差L1は、光ファイバブロック3の第2の段差L2と略等しくしている。第1の段差L1及び第2の段差L2の寸法は、通常のラップ加工で生じる段差10umを解消することを考慮した場合、少なくとも3um以下、例えば、1um以下が望ましい。そして、光デバイス1は、第2の端面32と第4の端面42とが当て付けるように固定された状態で、第1の端面31と第3の端面41とが光学接着剤Aでバットカップリング接続して光導波路13の端面13Aと光ファイバ21のコア端面21B1とを光結合する。
【0025】
次に実施例1の光デバイス1の製造方法について説明する。
【0026】
図2は、光ファイバブロック3のラップ加工工程の一例を示す略断面図、
図3は、光ファイバブロック3のラップ加工工程をY方向から見た説明図である。光ファイバブロック3の光ファイバ21のコア端面21B1は、光路に影響のない範囲で、一部のクラッド21Aを切削加工する。具体的には、ブレードBをX-Z平面に設置し、X方向に動かして切削することで、光ファイバブロック3の切断面40である第3の端面41に第4の端面42を形成する。そして、第3の端面41と第4の端面42との間に第2の段差L2を形成することになる。その結果、光ファイバブロック3の切断面40には、ラップ加工された光素子2の光導波路13の端面13Aを含む第1の端面31と第2の端面32との間の距離である第1の段差L1に略等しい第2の段差L2を容易に設けることができる。
【0027】
図4Aは、ラップ加工工程後の光ファイバブロック3の一例を示す略断面図である。光ファイバブロック3のファイバ径は、例えば、250um、光ファイバ21のクラッド径は、例えば、125um、光ファイバ21のコア径(モードフィールド径)は、例えば、4umとする。第3の端面41と第4の端面42との間の第2の段差L2は、例えば、10um以上とする。更に、第4の端面42付近の光ファイバ21のクラッド21Aは、コア21Bと第4の端面42との間のクラッド残部21A1に相当し、コア21Bから第4の端面42のへこみ部40Aまでの寸法は、例えば、2um~50umの範囲とする。
【0028】
図4Bは、ラップ加工工程後の光素子2の一例を示す略断面図である。Si基板11の厚さは、例えば、625umとする。光素子2は、ラップ加工のブレードBのダイシングで切断面30となる第2の端面32を形成し、切断面30の内、光導波路13の端面13A付近を光学研磨することで第1の端面31を形成する。具体的には、光素子2の切断面30の全面をラップ加工せず、光素子2の光導波路13側の表面から80um程度の深さまでラップ加工を施すことで、光素子2の光導波路13側の表面から10um程度の深さまでの切断面を光学研磨する。その結果、光導波路13の端面13Aを含む第1の端面31が光学面となる。そして、第1の端面31と第2の端面32との間に第1の段差L1を形成することになる。この際、第1の端面31と第2の端面32との間の第1の段差L1は、例えば、10um程度とする。
【0029】
そして、光デバイス1は、第2の端面32と第4の端面42とが当て付けるように固定された状態で、第1の端面31と第3の端面41とがバットカップリングで光学接着剤Aを使用して接続する。光素子2内の光導波路13の端面13Aと光ファイバブロック3内の光ファイバ21のコア端面21B1とが光結合することになる。切削した光ファイバ21のクラッド残部21A1は、へこみ部40Aを光学接着剤Aで充填されることで、クラッド21Aの一部切削による光屈折率への影響を軽減できる。
【0030】
実施例1の光デバイス1では、
図4Aに示すように、ラップ加工された光素子2の切断面30に形成された第1の段差L1に略等しい距離の第2の段差L2を光ファイバブロック3の切断面40に設けた。そして、光デバイス1は、光ファイバブロック3の第4の端面42と光素子2の第2の端面32とを当て付ける状態で、第1の端面31と第3の端面41とをバットジョイント接続で、光導波路13の端面13Aと光ファイバ21のコア端面21B1とを光結合する。その結果、光ファイバ21と光導波路13との間の光結合損失は0.74dBとなり、比較例1の光デバイス100Aに比較して、光結合損失は0.62dB改善する。また、本実施例の構成は、ラップ加工を用いて光素子2の導波路13の端面を含む第1の端面31を選択的に光学研磨することで、リードタイムの短縮化が可能となる。
【0031】
尚、光ファイバブロック3は、ブレードBをX-Z平面に設置し、X方向に動かして切削することで、光ファイバブロック3の切断面40である第3の端面41に第4の端面42を形成する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。従って、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
光デバイス1Aは、第2の端面32と第4の端面42Aとを当て付けるように固定された状態で、第1の端面31と第3の端面41とがバットカップリングで光学接着剤Aを使用して接続する。そして、光素子2内の光導波路13の端面13Aと光ファイバブロック3A内の光ファイバ21のコア端面21B1とが光結合することになる。尚、開口部43は、光学接着剤Aで充填された状態である。
実施例2の光デバイス1Aは、第2の端面32と第4の端面42Aとが当て付けるように固定された状態で、第1の端面31と第3の端面41とがバットカップリングで光学接着剤Aを使用して接続する。その結果、光素子2内の光導波路13の端面13Aと光ファイバブロック3A内の光ファイバ21のコア端面21B1とが光結合することになる。また、切削された光ファイバ21のクラッド21Aの開口部43は光学接着剤Aで埋め込まれるため、クラッド21Aの一部切削による光屈折率への影響を軽減できる。
光デバイス1Aは、光ファイバ21のコア端面21B1と光導波路13の端面13Aとの間の距離を短縮化できるため、光導波路13と光ファイバ21との間の光結合損失も最小限に抑制できる。また、光ファイバブロック3Aの第4の端面42Aを形成する際の切削は短時間で容易に加工できる。