(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018533
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】歯車機構
(51)【国際特許分類】
F16H 55/08 20060101AFI20250130BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F16H55/08 A
F16H1/06
F16H55/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122320
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】511122075
【氏名又は名称】テクノダイナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 平三郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚功
(72)【発明者】
【氏名】早川 明宏
【テーマコード(参考)】
3J009
3J030
【Fターム(参考)】
3J009EA04
3J009EA05
3J009EA11
3J009EA32
3J009EA43
3J009EB02
3J030BA01
3J030BB11
3J030BB12
3J030BB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】速度ばらつき抑制し、コンパクトな歯車機構を実現する。
【解決手段】M個の歯を備え、第一中心軸で回転する外歯円弧歯車と、N個の歯を備え、第一中心軸から所定距離D離れた第二中心軸で回転する外歯非円弧歯車とを有する歯車機構。前記外歯円弧歯車は、歯先部と、前記歯先部の側部に位置し半径rの円弧形状を備える歯側部とを有し、前記外歯非円弧歯車の非円弧歯は、歯先部と、前記歯先部の側部に位置し前記円弧歯車歯側部と接触する歯側部とを有し、前記非円弧歯車歯側部は、少なくとも一部の形状が、前記第二中心軸を中心とする半径D×N/(M+N)の仮想円を定円とし、前記第一中心軸を中心とする半径D×M/(M+N)の仮想円を動円とし、前記円弧歯車歯側部の中心を描画点とて描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように形成され、前記外歯円弧歯車の歯数Mは、4以上10以下である。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
M個の円弧歯を備え、第一中心軸周りに回転する外歯状円弧歯車と、N個の非円弧歯を備え、第一中心軸から所定距離D離れた第二中心軸周りに回転する外歯状非円弧歯車と、を有する歯車機構であって、
前記外歯状円弧歯車の前記円弧歯は、円弧歯車歯先部と、前記円弧歯車歯先部の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部と、を有し、
前記外歯状非円弧歯車の非円弧歯は、非円弧歯車歯先部と、前記非円弧歯車歯先部の側部に位置し前記円弧歯車歯側部と接触する非円弧歯車歯側部と、を有し、
前記非円弧歯車歯側部は、少なくともその一部の形状が、
前記第二中心軸を中心とする半径D×N/(M+N)の仮想円を定円とし、前記第一中心軸を中心とする半径D×M/(M+N)の仮想円を動円とし、前記円弧歯車歯側部の中心を描画点としたときに、描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように、
形成されており、
前記外歯状円弧歯車の歯数Mは、4以上10以下であることを特徴とする歯車機構。
【請求項2】
M個の円弧歯を備え、第一中心軸周りに回転する外歯状円弧歯車と、N個の非円弧歯を備え、第一中心軸から所定距離D離れた第二中心軸周りに回転する外歯状非円弧歯車と、を有する歯車機構であって、
前記外歯状円弧歯車の前記円弧歯は、円弧歯車歯先部と、前記円弧歯車歯先部の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部と、を有し、
前記外歯状非円弧歯車の非円弧歯は、非円弧歯車歯先部と、前記非円弧歯車歯先部の側部に位置し前記円弧歯車歯側部と接触する非円弧歯車歯側部と、を有し、
前記非円弧歯車歯側部は、少なくともその一部の形状が、
前記第二中心軸を中心とする半径D×N/(M+N)の仮想円を定円とし、前記第一中心軸を中心とする半径D×M/(M+N)の仮想円を動円とし、前記円弧歯車歯側部の中心を描画点としたときに、描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように、
形成されており、
前記外歯状非円弧歯車の歯数Nは、3以上10以下であることを特徴とする歯車機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車機構に関する。
【背景技術】
【0002】
第一中心軸周りに回転する外歯状歯車と、当該第一中心軸から所定距離離れた第二中心軸周りに回転する外歯状歯車とを備えた歯車機構は、既によく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、このような歯車機構の中には、片方の外歯状歯車が等速回転しているのに、他方の外歯状歯車の方がガタついて速度がばらつくような欠点(速度ばらつきと呼ぶ)を有するものがあった。そのため、このような欠点のない新たな歯形状を備えた歯車機構が要請されていた。
【0005】
また、商業上のメリットを鑑みると、上記欠点がない上で、さらに、コンパクトな歯車機構が要請されていた。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、速度ばらつき抑制効果が発揮され、かつ、コンパクト化が実現されて商業上のメリットが大きい歯車機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、
M個の円弧歯を備え、第一中心軸周りに回転する外歯状円弧歯車と、N個の非円弧歯を備え、第一中心軸から所定距離D離れた第二中心軸周りに回転する外歯状非円弧歯車と、を有する歯車機構であって、
前記外歯状円弧歯車の前記円弧歯は、円弧歯車歯先部と、前記円弧歯車歯先部の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部と、を有し、
前記外歯状非円弧歯車の非円弧歯は、非円弧歯車歯先部と、前記非円弧歯車歯先部の側部に位置し前記円弧歯車歯側部と接触する非円弧歯車歯側部と、を有し、
前記非円弧歯車歯側部は、少なくともその一部の形状が、
前記第二中心軸を中心とする半径D×N/(M+N)の仮想円を定円とし、前記第一中心軸を中心とする半径D×M/(M+N)の仮想円を動円とし、前記円弧歯車歯側部の中心を描画点としたときに、描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように、
形成されており、
前記外歯状円弧歯車の歯数Mは、4以上10以下であることを特徴とする歯車機構である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る歯車機構1を説明するための説明図である。
【
図2】本実施の形態に係る外歯状円弧歯車10の円弧歯14を説明するための説明図である。
【
図3】エピトロコイド曲線EPの描き方を示した図である。
【
図4】エピトロコイド曲線EPの別の描き方を示した図である。
【
図5】エピトロコイド曲線EPに係るカム60と半径0のカムフォロア62aとを備えるカム機構の振る舞いを説明するための説明図である。
【
図6】オフセットエピトロコイド曲線OEPを説明するための説明図である。
【
図7】オフセットエピトロコイド曲線OEPに係るカム60と半径rの円に係るカムフォロア62aとを備えるカム機構の振る舞いを説明するための説明図である。
【
図8】本実施の形態に係る外歯状非円弧歯車30の非円弧歯34を説明するための説明図である。
【
図10】外歯状円弧歯車10と外歯状非円弧歯車30が2点で接触している様子を示した概念図である。
【
図11】噛み合い率条件を説明するための説明図である。
【
図12】3つのケースの各々について、ピッチ角度θ1とまたぎ角度θ2を示した図である。
【
図13】切下げ限界を説明するための説明図である。
【
図14】外歯状非円弧歯車30の歯数Nと条件式の左辺の値との関係を表した図である。
【
図15】第二実施形態に係る歯車機構100を説明するための説明図である。
【
図16】外歯状円弧歯車10の歯数Mと条件式の左辺の値との関係を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
M個の円弧歯を備え、第一中心軸周りに回転する外歯状円弧歯車と、N個の非円弧歯を備え、第一中心軸から所定距離D離れた第二中心軸周りに回転する外歯状非円弧歯車と、を有する歯車機構であって、
前記外歯状円弧歯車の前記円弧歯は、円弧歯車歯先部と、前記円弧歯車歯先部の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部と、を有し、
前記外歯状非円弧歯車の非円弧歯は、非円弧歯車歯先部と、前記非円弧歯車歯先部の側部に位置し前記円弧歯車歯側部と接触する非円弧歯車歯側部と、を有し、
前記非円弧歯車歯側部は、少なくともその一部の形状が、
前記第二中心軸を中心とする半径D×N/(M+N)の仮想円を定円とし、前記第一中心軸を中心とする半径D×M/(M+N)の仮想円を動円とし、前記円弧歯車歯側部の中心を描画点としたときに、描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように、
形成されており、
前記外歯状円弧歯車の歯数Mは、4以上10以下であることを特徴とする歯車機構。
【0012】
このような歯車機構によれば、速度ばらつき抑制効果が発揮され、かつ、コンパクト化が実現されて商業上のメリットが大きい歯車機構を実現することが可能となる。
【0013】
M個の円弧歯を備え、第一中心軸周りに回転する外歯状円弧歯車と、N個の非円弧歯を備え、第一中心軸から所定距離D離れた第二中心軸周りに回転する外歯状非円弧歯車と、を有する歯車機構であって、
前記外歯状円弧歯車の前記円弧歯は、円弧歯車歯先部と、前記円弧歯車歯先部の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部と、を有し、
前記外歯状非円弧歯車の非円弧歯は、非円弧歯車歯先部と、前記非円弧歯車歯先部の側部に位置し前記円弧歯車歯側部と接触する非円弧歯車歯側部と、を有し、
前記非円弧歯車歯側部は、少なくともその一部の形状が、
前記第二中心軸を中心とする半径D×N/(M+N)の仮想円を定円とし、前記第一中心軸を中心とする半径D×M/(M+N)の仮想円を動円とし、前記円弧歯車歯側部の中心を描画点としたときに、描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように、
形成されており、
前記外歯状非円弧歯車の歯数Nは、3以上10以下であることを特徴とする歯車機構。
【0014】
このような歯車機構によれば、速度ばらつき抑制効果が発揮され、かつ、コンパクト化が実現されて商業上のメリットが大きい歯車機構を実現することが可能となる。
【0015】
===本実施の形態に係る歯車機構1について===
次に、本実施の形態に係る歯車機構1について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る歯車機構1を説明するための説明図である。
【0016】
歯車機構1は、互いに噛み合う2つの外歯状歯車(外歯車)を備えている。詳細については後述するが、一方の歯車の歯の形状が円弧状となっており、他方の歯車の歯の形状はそのようになっていない。そのため、便宜上、前者の歯車を外歯状円弧歯車10、後者の歯車を外歯状非円弧歯車30と呼ぶ。
【0017】
外歯状円弧歯車10は第一中心軸12周りに回転する歯車であり、M個(本実施の形態においては、8個)の歯(便宜上、円弧歯14と呼ぶ)を備えている。すなわち、外歯状円弧歯車10の歯数Mは8となっている。
【0018】
また、外歯状非円弧歯車30は、第一中心軸12から所定距離(つまり、軸間距離D)離れた第二中心軸32周りに回転する歯車であり、N個(本実施の形態においては、16個)の歯(便宜上、非円弧歯34と呼ぶ)を備えている。すなわち、外歯状円弧歯車10の歯数Nは16となっている。
【0019】
そして、円弧歯14と非円弧歯34は、互いに噛み合っている。
【0020】
なお、歯数M、歯数Nは、8、16に限定されない(歯数Mと歯数Nが同じ数であってもよい)。
【0021】
また、外歯状円弧歯車10はM(8)個の円弧歯14を備え、外歯状非円弧歯車30はN(16)個の円弧歯14を備えており、外歯状非円弧歯車30の歯数は、外歯状円弧歯車10の歯数のN/M(2)倍となっている。そして、これに基づき、外歯状非円弧歯車30の大きさを外歯状円弧歯車10の2倍としている。より具体的には、軸間距離DのM/(M+N)倍(1/3倍)の数値を外歯状円弧歯車10のピッチ円PC1のピッチ円半径R1として使用し、軸間距離DのN/(M+N)倍(2/3倍)の数値を外歯状非円弧歯車30のピッチ円PC2のピッチ円半径R2として使用する。
【0022】
===円弧歯14について===
次に、本実施の形態に係る外歯状円弧歯車10の円弧歯14について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る外歯状円弧歯車10の円弧歯14を説明するための説明図である。なお、
図2においては、図を分かり易くするために、便宜上、円弧歯14を一つのみとし、他の円弧歯14の記載を省略している。
【0023】
円弧歯14は、歯車において一般的なインボリュート曲線とは異なる円弧曲線を備えた歯側部を有している。すなわち、円弧歯14は、円弧歯車歯先部16と円弧歯車歯先部16の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部18とを有している。円弧歯車歯側部18としては、2つの歯側部が備えられている(第一円弧歯車歯側部18a、第二円弧歯車歯側部18bと呼ぶ。どちらも、等しい半径rを有する)。
【0024】
そして、第二円弧歯車歯側部18bは、円弧歯車歯先部16から見て、第一円弧歯車歯側部18aとは反対側に設けられている。また、第二円弧歯車歯側部18bの中心C2は、第一円弧歯車歯側部18aの中心C1と異なっている。なお、第一中心軸12から中心C1までの距離Lは、第一中心軸12から中心C2までの距離Lと同じである(この距離Lは、任意に設定可能である)。また、半径rや
図2に示す円弧対ピッチ角α(この角度を調整することで歯幅を調整することができる)も任意に設定可能である。
【0025】
歯丈についても、任意に設定可能であるが、本実施の形態においては、モジュールm(=ピッチ円半径R1×2/歯数M)を使用して、半径R1のピッチ円PC1を基準に内側に‐1.25×mの位置、外側に+mの位置で円弧をカットしたものを円弧歯14とする。
【0026】
===非円弧歯34について===
次に、本実施の形態に係る外歯状非円弧歯車30の非円弧歯34について説明する。非円弧歯34の形状は、以下で説明するように、エピトロコイド曲線EPをオフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEPとなっている。
【0027】
<<<エピトロコイド曲線EPについて>>>
トロコイド曲線とは、円をある曲線(円はその特殊な場合)に沿って滑らないように転がしたとき、その円の内部または外部の定点(描画点とも呼ばれる)が描く曲線と定義されている。特に2つの外接円で構成したもの(つまり、移動する動円を固定された定円に沿って滑らないように転がしたとき、その動円の内部または外部の描画点が描く曲線)をエピトロコイド曲線EPという。
【0028】
図3は、エピトロコイド曲線EPの描き方を示した図である。左上図において、固定された定円(第二摩擦車52)が左側に、移動する動円(第一摩擦車50)が右側に、それぞれ位置している。この例では、定円(第二摩擦車52)の半径は、動円(第一摩擦車50)の半径の2倍となっており、描画点Pは、動円(第一摩擦車50)内かつX軸上に配置されている。かかる状態から、動円(第一摩擦車50)が定円(第二摩擦車52)に沿って自転しつつ公転し(左上図→右上図→左下図→右下図。θ1は自転角度、θ2は公転角度を表している)、公転角度が360度となったところで、動円(第一摩擦車50)は元の位置に戻る。かかる動円(第一摩擦車50)の移動の際に、描画点Pが描く軌跡がエピトロコイド曲線EPとなる。
【0029】
上記の
図3で示したエピトロコイド曲線EPの描き方は、エピトロコイド曲線EPの定義に則った描き方であったが、別の描き方もある。
図4は、エピトロコイド曲線EPの別の描き方を示した図である。
【0030】
図3の例では、第二摩擦車52が固定されていたが、本例では、第二摩擦車52は回転する。また、
図3の例では、第一摩擦車50は自転しながら公転していたが、本例では、第一摩擦車50は自転のみで公転しない。つまり、本例では、第一摩擦車50及び第二摩擦車52の回転中心が固定された状態で、第一摩擦車50及び第二摩擦車52が互いに滑らないように回転(自転)する(左上図→右上図→左下図→右下図。θ1は第一摩擦車50の自転角度、θ2は第二摩擦車52の自転角度を表している)。そして、かかる第一摩擦車50の移動の際に、描画点P(描画点Pの配置は、
図3の例と同じ)が描く軌跡がエピトロコイド曲線EPとなるが、本例では、XY座標系を第二摩擦車52の回転と共に回転させる(したがって、過去に描画された軌跡がXY座標系の回転に伴って移動して行くこととなる)。このように、本例では、第二摩擦車52を回転させた時に第一摩擦車50が滑らないように転がった時に描画点Pが描く軌跡により描画を行うが、描画点Pの描く軌跡を第二摩擦車52に固定されたXY座標系から見て描画する。
図4の右下図には、第一摩擦車50が2回転(θ1=720度)し、第二摩擦車52が1回転(θ2=360度)して、XY座標系が元の位置に戻り、エピトロコイド曲線EPが描画された様子が示されている。
図3の右下図と比較することにより明らかな通り、本例の方法でも
図3で示したエピトロコイド曲線EPと同じものを描くことができる。
【0031】
次に、仮に、当該エピトロコイド曲線EPをカム60、描画点Pを半径0の(換言すれば、限りなく直径が0に近い)カムフォロア62aと想定(仮定)したときの、カム機構の振る舞いを考察する。
図5は、エピトロコイド曲線EPに係るカム60と半径0のカムフォロア62aとを備えるカム機構の振る舞いを説明するための説明図である。
【0032】
図5は、
図4と基本的には同じ図となっている。ただし、
図5では、
図4で描画されるエピトロコイド曲線EPの全体を4つの全図において表し(右下図だけでなく、左上図、右上図、左下図においてもエピトロコイド曲線EPの全体を表している)、これをカム60としている。また、これに加えて、
図4における描画点Pを半径0の(換言すれば、限りなく直径が0に近い)カムフォロア62aとし、描画点Pから第一摩擦車50の中心までを腕62bとし、カムフォロア62aと腕62bを有する従節62を想定している。
【0033】
そして、
図5に示されるように、第二摩擦車52の回転に伴ってエピトロコイド曲線EPが回転すると(左上図→右上図→左下図→右下図)、第一摩擦車50の回転に伴って移動する描画点Pは、エピトロコイド曲線EP上を移動することとなる。つまり、カム60(エピトロコイド曲線EP)とカムフォロア62a(描画点P)は、互いに係合(接触)した状態で運動する。
【0034】
さらに、第一摩擦車50及び第二摩擦車52は互いに滑らないように回転するため、第二摩擦車52が等速回転すると第一摩擦車50も等速回転する。そして、この関係は、カム60(エピトロコイド曲線EP)とカムフォロア62a(描画点P)にも適用される。すなわち、第二摩擦車52が等速回転すると、当該第二摩擦車52に伴って回転するカム60(エピトロコイド曲線EP)も等速回転し、かつ、等速回転する第一摩擦車50に伴って回転するカムフォロア62a(描画点P)も等速回転する。このように、カム60(エピトロコイド曲線EP)とカムフォロア62a(描画点P)は、互いに係合(接触)した状態で、共に等速回転運動を実行する。すなわち、カム60(エピトロコイド曲線EP)が等速回転しているのに、カムフォロア62a(描画点P)の方がガタついて速度がばらつくようなこと(以下、速度ばらつきと呼ぶ)が適切に抑制される。
【0035】
<<<オフセットエピトロコイド曲線OEPについて>>>
上記においては、エピトロコイド曲線EPをカム60、描画点Pを半径0の(換言すれば、限りなく直径が0に近い)カムフォロア62aと想定(仮定)したが、ここでは、当該エピトロコイド曲線EPに関連付けられたオフセットエピトロコイド曲線OEPを定義し、このオフセットエピトロコイド曲線OEPをカム60、エピトロコイド曲線EPの描画点Pを中心とする半径rの円をカムフォロア62aと想定したときの、カム機構の振る舞いを考察する。
図6は、オフセットエピトロコイド曲線OEPを説明するための説明図である。
図7は、オフセットエピトロコイド曲線OEPに係るカム60と半径rの円に係るカムフォロア62aとを備えるカム機構の振る舞いを説明するための説明図である。
【0036】
エピトロコイド曲線上の各点において接線TAを引き、この接線TAに対し当該各点から法線方向に内側へ一定距離オフセットさせた点を採る。そして、これらの点を結んだ曲線をオフセットエピトロコイド曲線OEPと定義する。換言すれば、
図6に示すように、バー70の外側端70aにおいてバー70と直交するラインLIが常にエピトロコイド曲線EPの接線TAになるように、バー70を動かしたときのバーの内側端70bの軌跡が、オフセットエピトロコイド曲線OEPとなる。
【0037】
そして、当該一定距離を長さrとしたオフセットエピトロコイド曲線OEP(つまり、エピトロコイド曲線EPを長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEP)をカム60、エピトロコイド曲線EPの描画点Pを中心とする半径rの円をカムフォロア62aとして想定する。すなわち、
図7では、エピトロコイド曲線EPを長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEPを4つの全図において表し、これをカム60としている。また、これに加えて、描画点Pを中心とする半径rの円をカムフォロア62aとし、描画点Pから第一摩擦車50の中心までを腕62bとし、カムフォロア62aと腕62bを有する従節62を想定している。
【0038】
そして、
図7に示されるように、第二摩擦車52(エピトロコイド曲線EP)の回転に伴ってオフセットエピトロコイド曲線OEPが回転すると(左上図→右上図→左下図→右下図)、第一摩擦車50(描画点P)の回転に伴って移動するカムフォロア62aは、オフセットエピトロコイド曲線OEPと接した状態を維持したまま動作することとなる。つまり、カム60(エピトロコイド曲線EPを長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEP)とカムフォロア62a(半径rの円)は、互いに係合(接触)した状態で運動する。
【0039】
さらに、第一摩擦車50及び第二摩擦車52は互いに滑らないように回転するため、第二摩擦車52が等速回転すると第一摩擦車50も等速回転する。そして、この関係は、カム60(エピトロコイド曲線EPを長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEP)とカムフォロア62a(半径rの円)にも適用される。すなわち、第二摩擦車52が等速回転すると、当該第二摩擦車52に伴って回転するカム60(オフセットエピトロコイド曲線OEP)も等速回転し、かつ、等速回転する第一摩擦車50に伴って回転する(第一摩擦車50の中心周りを公転する)カムフォロア62a(半径rの円)も等速回転する。このように、カム60(オフセットエピトロコイド曲線OEP)とカムフォロア62a(半径rの円)は、互いに係合(接触)した状態で、共に等速回転運動を実行する。すなわち、カム60(オフセットエピトロコイド曲線OEP)が等速回転しているのに、カムフォロア62a(半径rの円)の方がガタついて速度がばらつくようなこと(速度ばらつき)が適切に抑制される。
【0040】
<<<非円弧歯34の形状について>>>
上述した通り、エピトロコイド曲線EPを長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEP)をカム60、エピトロコイド曲線EPの描画点Pを中心とする半径rの円をカムフォロア62aと想定すると、このカム機構については、速度ばらつきが適切に抑制される効果(以下、速度ばらつき抑制効果とも呼ぶ)が発揮される。したがって、かかる事項を、歯車機構1の歯の設計に適用(応用)する。
【0041】
この点について、
図1、
図2、
図7~
図9を用いて説明する。
図8は、本実施の形態に係る外歯状非円弧歯車30の非円弧歯34を説明するための説明図である。
図9については、後述する。
【0042】
前述したとおり、円弧歯14は、円弧曲線を備えた円弧歯車歯側部18(第一円弧歯車歯側部18a及び第二円弧歯車歯側部18b)を有している。ここで、円弧歯車歯側部18は半径rの円の一部となっているため、1つの円弧歯14の第一円弧歯車歯側部18a(例えば、符号TC1で示した円弧歯車歯側部18)を前記カムフォロア62aに対応させることができる(
図7、
図8の上図参照)。そうすると、第二中心軸32を中心とする半径R2(=軸間距離D×歯数N/(歯数M+歯数N))の仮想円を定円(第二摩擦車52)とし、第一中心軸12を中心とする半径R1(=軸間距離D×歯数M/(歯数M+歯数N))の仮想円を動円(第一摩擦車50)とし、第一円弧歯車歯側部TC1の中心C1を描画点Pとしたときに、描かれるエピトロコイド曲線EPを、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEP(
図7参照)は、前記カム60に対応することになる。したがって、円弧歯車歯側部18(第一円弧歯車歯側部18a)と接触する非円弧歯車歯側部38の形状を、当該オフセットエピトロコイド曲線OEPとすれば(
図8の上図参照)、速度ばらつき抑制効果を備えた歯車機構1を実現することができる。
【0043】
このように、本実施の形態に係る非円弧歯車歯側部38は、少なくともその一部の形状が、第二中心軸32を中心とする半径R2(=軸間距離D×歯数N/(歯数M+歯数N))の仮想円を定円(第二摩擦車52)とし、第一中心軸12を中心とする半径R1(=軸間距離D×歯数M/(歯数M+歯数N))の仮想円を動円(第一摩擦車50)とし、第一円弧歯車歯側部18aの中心C1を描画点Pとしたときに、描かれるエピトロコイド曲線EPを、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEP(
図7参照)となるように、形成されている。
【0044】
なお、非円弧歯34は、円弧歯14と同様、非円弧歯車歯側部38の他に非円弧歯車歯先部36を備えている。つまり、非円弧歯34は、非円弧歯車歯先部36と、前記非円弧歯車歯先部36の側部に位置する非円弧歯車歯側部38を有している。
【0045】
また、本実施の形態に係る非円弧歯34の設計例について、具体的に説明すると、以下の通りとなる。先ず、1つの第一円弧歯車歯側部18a(例えば、符号TC1で示した円弧歯車歯側部18)を選択し、これに対応する前記オフセットエピトロコイド曲線OEPを描画する。そして、オフセットエピトロコイド曲線OEPのうち、第一円弧歯車歯側部TC1と接触し得る部分について、円弧歯14と同様、半径R2のピッチ円PC2を基準に内側に‐1.25×mの位置、外側に+mの位置でオフセットエピトロコイド曲線OEPをカットしたものを非円弧歯34の非円弧歯車歯側部38(符号TN1aで示す)とする(ただし、歯丈について、円弧歯14と同様、任意に設定可能である)。
【0046】
また、本実施の形態においては、外歯状非円弧歯車30の歯数が外歯状円弧歯車10の歯数の2倍となっているため、外歯状円弧歯車10が2回転する間に外歯状非円弧歯車30が1回転する。したがって、第一円弧歯車歯側部TC1と接触する非円弧歯車歯側部38は2つ存在するため、非円弧歯車歯側部TN1aと第二中心軸32から見て点対称の位置にあるオフセットエピトロコイド曲線OEPをカットしたものも非円弧歯車歯側部38(符号TN1bで示す)とする。上述した設計により、本実施の形態に係る非円弧歯車歯側部TN1a、TN1bについては、全体の形状がオフセットエピトロコイド曲線OEPとなっており、したがって、非円弧歯車歯側部TN1a、TN1bは、円弧歯車歯側部18と接触する部分の全ての形状がオフセットエピトロコイド曲線OEPとなるように、形成されていることとなる。
【0047】
次に、上記事項(手順)を、円弧歯車歯先部16から見て第一円弧歯車歯側部TC1とは反対側に設けられた第二円弧歯車歯側部18b(符号TC2で示す)でも行う(
図8の下図参照)。すなわち、第二円弧歯車歯側部TC2に対応する前記オフセットエピトロコイド曲線OEPを描画する。そして、オフセットエピトロコイド曲線OEPのうち、第二円弧歯車歯側部TC2と接触し得る部分について、半径R2のピッチ円PC2を基準に内側に‐1.25×mの位置、外側に+mの位置でオフセットエピトロコイド曲線OEPをカットしたものを非円弧歯34の非円弧歯車歯側部38(符号TN2aで示す)とする。さらに、非円弧歯車歯側部TN2aと第二中心軸32から見て点対称の位置にあるオフセットエピトロコイド曲線OEPをカットしたものも非円弧歯車歯側部38(符号TN2bで示す)とする。なお、非円弧歯車歯側部TN2a(非円弧歯車歯側部TN2b)は、非円弧歯車歯側部TN1a(非円弧歯車歯側部TN1b)を備える非円弧歯34(第一非円弧歯34aとも呼ぶ)とは異なる別の(隣りの)非円弧歯34(第二非円弧歯34bとも呼ぶ)の歯側部である。
【0048】
そして、上記事項(手順)を、他の7個の円弧歯14について行えば、全ての非円弧歯34を得ることができる。
図9は、歯側部の対応関係を示した図である。第一円弧歯車歯側部TC1(TC3、TC5、TC7、TC9、TC11、TC13、TC15)に上記手順を施すことによって得られる非円弧歯車歯側部38を符号TN1a及びTN1b(TN3a及びTN3b、TN5a及びTN5b、TN7a及びTN7b、TN9a及びTN9b、TN11a及びTN11b、TN13a及びTN13b、TN15a及びTN15b)で示し、第二円弧歯車歯側部TC2(TC4、TC6、TC8、TC10、TC12、TC14、TC16)に上記手順を施すことによって得られる非円弧歯車歯側部38を符号TN2a及びTN2b(TN4a及びTN4b、TN6a及びTN6b、TN8a及びTN8b、TN10a及びTN10b、TN12a及びTN12b、TN14a及びTN14b、TN16a及びTN16b)で示す。
【0049】
なお、非円弧歯34においても、円弧歯車歯側部18と同様、非円弧歯車歯側部38として、2つの歯側部、すなわち、第一非円弧歯車歯側部38a(例えば、符号TN3aで示された非円弧歯車歯側部38)と、非円弧歯車歯先部36から見て第一非円弧歯車歯側部38aとは反対側に設けられた第二非円弧歯車歯側部38b(例えば、符号TN2aで示された非円弧歯車歯側部38)と、が備えられている。
【0050】
また、上記においては、外歯状円弧歯車10が、
図9に示すような回転位置に位置するときに、上記事項(手順)を行って外歯状非円弧歯車30を形成したが、この回転位置については任意である。例えば、外歯状円弧歯車10が、
図9の回転位置から少し回転した位置で、上記事項(手順)を行っても、同様の外歯状非円弧歯車30を形成することができる。
【0051】
===外歯状円弧歯車10の歯数Mについて===
従来のインボリュート歯車は、専用の歯切工具を備えた歯車専用の加工機を使用して、従来工法(例えば、ホブ工法)により製造される。そして、製造する歯車の歯数が小さくなると、前述の速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような歯車機構を、当該歯切工具(当該従来工法)により製造するのは、難しくなることが知られている。実際には、このような効果を奏し、歯数Mが10以下のインボリュート歯車を実現することは不可能だった。
【0052】
これに対し、本実施の形態に係る外歯状円弧歯車10には、歯数が小さい歯車に対する上述したような製造上の制約は存在しない。外歯状円弧歯車10は、インボリュート歯車とは異なり、カム(特に、パラレルカム)・カムフォロアの製造技術を用いて製造されるからである。具体的には、カム・カムフォロアと同様、外歯状円弧歯車10は、エンドミル加工法や、小型であればワイヤーカットによる加工法により製造される。つまり、カム・カムフォロアの解析手法によって外歯状円弧歯車10とそれに対応するカム曲線を有する外歯状非円弧歯車30のプロファイルがデジタル表示されるので、これらのデータから三次元CAD上でシミュレーションされ、バックラッシや歯の干渉がチェックされ、三次元データの事前チェックの後、NCマシニングセンターによるエンドミル加工か、ワイヤーカット加工法で外歯状円弧歯車10とこれに対応する外歯状非円弧歯車30が製造される。
【0053】
このように、本実施の形態に係る外歯状円弧歯車10においては、歯数が小さい歯車に対する製造上の制約がなく、歯数Mを10以下とすることが可能である。そのため、歯車のコンパクト化を実現することができるし、さらには、一桁歯数の歯車を購買検討者にアピールすることもできるので商業上のメリットも大きくなる。
【0054】
上述した通り、本実施の形態に係る外歯状円弧歯車10においては、歯数Mを10以下とすることが可能であるが、幾らでも歯数Mを小さくすることができるわけではない。すなわち、歯数Mの下限値(歯数Mがこの下限値を下回った場合には、どんな場合でも速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような外歯状円弧歯車10を実現できないという値)が存在する。速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような外歯状円弧歯車10を実現するために、噛み合い率が1以上であることが必要であり、当該下限値はかかる条件(噛み合い率が1以上という条件。以下、噛み合い率条件と呼ぶ)から導き出される。すなわち、噛み合い率条件を満たし得る(満たす可能性がある)歯数Mの下限値が導き出される。以下で、かかる事項につき詳しく説明する。
【0055】
<<<外歯状円弧歯車10の歯数Mの下限値について>>>
図10は、外歯状円弧歯車10と外歯状非円弧歯車30が2点で接触している様子を示した概念図である。
図11は、噛み合い率条件を説明するための説明図である。上図に噛み合い率が1より大きいケースを、中央図に噛み合い率が1となるケースを、下図に噛み合い率が1より小さいケースを、それぞれ示している。
図12は、
図11に対応した図であり、3つのケースの各々について、ピッチ角度θ1とまたぎ角度θ2を示した図である。なお、
図11、
図12においては、外歯状円弧歯車10の円弧歯として、円弧の半径を0としたものを示している。すなわち、本項では、外歯状円弧歯車10の円弧歯として、限りなく円弧の直径が0に近いもの(つまり、限りなく円弧の直径が0に近いカムフォロアと腕を有する従節)を想定して、説明を行う。
【0056】
外歯状円弧歯車10と外歯状非円弧歯車30の間にガタ無く、常に双方の歯車が追随して回転するようにするためには、噛み合い率が1以上である必要がある。「噛み合い率が1」とは、双方の歯車が常に2点以上で接触していることであり(
図10参照。接触点を符号80で示す)、実際には、2点で接触(長期)→3点で接触(一瞬)→2点で接触(長期)→3点で接触(一瞬)→・・・・を繰り返す。
【0057】
図11に示すように、外歯状円弧歯車10と外歯状非円弧歯車30が常に2点以上で接するためには、外歯状円弧歯車10の1つの円弧歯(符号A1で示す)が外歯状非円弧歯車30の中心を向く状態のときに、両隣(上側と下側)の円弧歯(符号A2で示す)が外歯状非円弧歯車30と接していなくてはならない。この条件に着目して
図11を見ると、
図11の上図及び中央図は噛合い率が1以上となるが、下図は、符号A2の円弧歯が外歯状非円弧歯車30と接しておらず噛合い率が1より小さいことがわかる。なお、上図の接触点の数の推移は、2点で接触(長期)→3点で接触(長期)→2点で接触(長期)→3点で接触(長期)→・・・・となり、下図の接触点の数の推移は、1点で接触(長期)→2点で接触(長期)→1点で接触(長期)→2点で接触(長期)→・・・・となる。
【0058】
そして、かかる条件は、外歯状非円弧歯車30のピッチ角度θ1と、外歯状非円弧歯車30の中心から見た外歯状円弧歯車10の円弧中心間の角度(この角度を、便宜上、またぎ角度θ2と呼ぶ)の大小関係で表すことができる。それぞれの角度を比較したとき、
図12の上図に示すように、またぎ角度θ2がピッチ角度θ1より大きい場合には、両外の外歯状円弧歯車10が外歯状非円弧歯車30を挟む状態となり、図示した3点接触の状態から回転が進んでもしばらく3点接触を維持することができるため、噛合い率は1を超える。また、
図12の中央図に示すように、またぎ角度θ2とピッチ角度θ1が等しい場合には、両外の外歯状円弧歯車10と外歯状非円弧歯車30の頂点が一致するため、図示した3点接触の状態から回転が進むと2点接触となるので、噛合い率が1となる。また、
図12の下図に示すように、またぎ角度θ2がピッチ角度θ1よりも小さい場合には、1点接触となるため、噛合い率が1より小さくなる。
【0059】
以上のことから、噛み合い率条件の条件式は、またぎ角度θ2-ピッチ角度θ1≧0となる。なお、θ1とθ2は、それぞれ、前記軸間距離D、前記距離L(外歯状円弧歯車10の回転中心から円弧中心までの距離。すなわち、
図11、
図12における外歯状円弧歯車10(従節)の腕の長さ)、前記外歯状円弧歯車10の歯数M、前記外歯状非円弧歯車30の歯数Nを用いて、θ1=2π/N、θ2=2・tan
-1(L・sin(2π/M)/(D-L・cos(2π/M)))と表すことができる。したがって、条件式は、2・tan
-1(L・sin(2π/M)/(D-L・cos(2π/M)))-2π/N≧0となる。
【0060】
次に、当該条件式を簡易化するために、距離Lを切下げ限界のときの値とする。ここで、切下げ限界について、
図13を用いて説明する。
図13は、切下げ限界を説明するための説明図である。
【0061】
図13の左図は、
図4の右下図(
図5の左上図)に対応する。すなわち、
図13の左図は、描画点P(従節62のカムフォロア62a)を移動させて、エピトロコイド曲線EP(カム60)を描画したものである。
図13の中央図は、
図13の左図と比べて、従節62の腕62bの長さ(つまり、距離L)をより長くして、同様の方法で、エピトロコイド曲線EP(カム60)を描画したものである。より具体的には、距離Lを、第一摩擦車50(動円)の半径D×M/(M+N)と等しくして(つまり、描画点Pは第一摩擦車50(動円)上に位置する)、エピトロコイド曲線EP(カム60)を描画したものである。また、
図13の右図は、
図13の中央図と比べて、さらに、従節62の腕62bの長さ(つまり、距離L)をより長くして、同様の方法で、エピトロコイド曲線EP(カム60)を描画したものである。
【0062】
図13の右図に着目すると、エピトロコイド曲線EP(カム60)にループした部分(符号LOで示す)が生じているのが分かる。かかる現象を切り下げといい、当該切り下げが発生すると、当然のことながら、カム60を実際に製造することはできない。したがって、距離Lを切り下げが生じない長さとする必要がある。
【0063】
切り下げ発生有無の分岐点は、実際には、距離L=D×M/(M+N)のとき、つまり、
図13の中央図の状態となる。すなわち、距離LをD×M/(M+N)より大きくすると切下げが生じ、距離LをD×M/(M+N)より小さくすると切り下げが生じない。したがって、
図13の中央図の状態は、切り下げ限界と呼ばれている。
【0064】
そして、上述した条件式2・tan-1(L・sin(2π/M)/(D-L・cos(2π/M)))-2π/N≧0のLに、切下げ限界のときの値であるD×M/(M+N)を代入して式を整理する。そうすると、条件式は、tan-1(sin(2π/M)/((M+N)/M-cos(2π/M)))-π/N≧0となる。
【0065】
なお、条件式のLに切下げ限界のときの値を代入した理由、つまり、条件式を用いて歯数Mの下限値を求める際にL=D×M/(M+N)のケースに限定した理由は、以下の通りである。すなわち、
図11から明らかなように、距離L(つまり、従節の腕の長さ)を短くするほど前記条件式を満たしにくくなる(厳しい条件となる)ので、L=D×M/(M+N)のケース(切下げ限界のケース)が、カム機構を実現し得る中(切り下げが発生せずカム60を実際に製造できる中)で最も緩い条件となる。
【0066】
一方、本検討の目的は、噛み合い率条件を満たし得る(満たす可能性がある)歯数Mの下限値を見出すことである。そのため、最も緩い条件で下限値を求めるのが望ましい(例えば、歯数Mの真の下限値が4の場合(すなわち、歯数Mが4のときに実際に噛み合い率条件を満たし得る場合)に、より厳しい条件で求めてしまったあまりに、答えが5と出てしまったのでは、検討が適切でないことになってしまう)。以上のことから、条件式を用いて歯数Mの下限値を求める際に、条件式のLに切下げ限界のときの値を代入する。
【0067】
また、前述したとおり、外歯状円弧歯車10の円弧歯として、限りなく円弧の直径が0に近いもの(つまり、限りなく円弧の直径が0に近いカムフォロアと腕を有する従節)を想定したが、これも同様の理由である。すなわち、
図11から明らかなように、円弧の直径を0からより大きくするほど、またぎ角度θ2が小さくなるので、前記条件式を満たしにくくなる(厳しい条件となる)。そのため、(最も緩い条件である)限りなく円弧の直径が0に近いケースで検討を行っている。
【0068】
条件式に戻って、検討を続ける。条件式は、tan-1(sin(2π/M)/((M+N)/M-cos(2π/M)))-π/N≧0であり、これは、歯数Mと歯数Nの関数になっている。
【0069】
図14は、外歯状非円弧歯車30の歯数Nと条件式の左辺の値との関係を表した図である。この図では、横軸に外歯状非円弧歯車30の歯数N(1から100まで)を、縦軸に条件式の左辺の値を採っている。グラフが6つあるが、各々は歯数Mが1~6のときに対応する。すなわち、
図14では、歯数Mが1~6のときの各々について、歯数Nを変化させて条件式の左辺の値を求めている。
【0070】
図14から分かるように、歯数Mが1~3のときには、歯数Nがどのような場合であっても、左辺の値が0より大きくなることはない(なお、歯数Mが1~3のときには、歯数Nを無限大にしても左辺の値が0より大きくならないことを確認済みである)。したがって、歯数Mが1~3のときには、前記緩い条件であるにもかかわらず、また、歯数Nにかかわらず、噛み合い率条件を満たすことはないことがわかる。一方で、歯数Mが4以上では、左辺の値が0より大きくなり、噛み合い率条件を満たす場合が存在する。以上のことから、歯数Mの下限値(歯数Mがこの下限値を下回った場合には、どんな場合でも速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような外歯状円弧歯車10を実現できないという値)は、4であることがわかる。
【0071】
<<<本実施の形態に係る歯車機構1の有効性について>>>
本実施の形態に係る歯車機構1は、M個の円弧歯14を備え、第一中心軸12周りに回転する外歯状円弧歯車10と、N個の非円弧歯34を備え、第一中心軸12から所定距離D離れた第二中心軸32周りに回転する外歯状非円弧歯車30と、を備え、外歯状円弧歯車10の円弧歯14は、円弧歯車歯先部16と、前記円弧歯車歯先部16の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部18(例えば、
図8において、符号TC1で示した第一円弧歯車歯側部18a)と、を有している。
【0072】
そして、外歯状非円弧歯車30の非円弧歯34は、非円弧歯車歯先部36と、非円弧歯車歯先部36の側部に位置し円弧歯車歯側部18(例えば、
図8において、符号TC1で示した第一円弧歯車歯側部18a)と接触する非円弧歯車歯側部38(例えば、
図8において、符号TN1aやTN1bで示した非円弧歯車歯側部38)と、を有し、非円弧歯車歯側部38(例えば、
図8において、符号TN1aやTN1bで示した非円弧歯車歯側部38)は、少なくともその一部の形状が、第二中心軸32を中心とする半径R2(=軸間距離D×歯数N/(歯数M+歯数N))の仮想円を定円(第二摩擦車52)とし、第一中心軸12を中心とする半径R1(=軸間距離D×歯数M/(歯数M+歯数N))の仮想円を動円(第一摩擦車50)とし、第一円弧歯車歯側部18aの中心C1を描画点Pとしたときに、描かれるエピトロコイド曲線EPを、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線OEP(
図7参照)となるように、形成されている。
【0073】
そして、前記外歯状円弧歯車10の歯数Mは、4以上10以下となっている。
【0074】
そのため、上述したとおり、速度ばらつき抑制効果が発揮され、かつ、コンパクト化が実現されて商業上のメリットが大きい歯車機構1を実現することが可能となる。
【0075】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る歯車機構を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0076】
上記実施の形態(第一実施形態とも呼ぶ)においては、外歯状円弧歯車10とオフセットエピトロコイド曲線OEPを有する外歯状非円弧歯車30とを備え、外歯状円弧歯車10の歯数Mを小さくすることで、コンパクト化が実現された歯車機構1の例を挙げたが、これに限定されるものでなはなく、外歯状非円弧歯車30の歯数Nを小さくすることで、コンパクト化を実現することとしてもよい。
【0077】
図15は、
図1に対応する図であり、第二実施形態に係る歯車機構100を説明するための説明図である。
【0078】
第二実施形態に係る歯車機構100は、第一実施形態と同様、M個(本実施の形態においては、16個)の円弧歯14を備え、第一中心軸12周りに回転する外歯状円弧歯車10と、N個(本実施の形態においては、8個)の非円弧歯34を備え、第一中心軸12から所定距離D離れた第二中心軸32周りに回転する外歯状非円弧歯車30と、を備え、外歯状円弧歯車10の円弧歯14は、円弧歯車歯先部16と、前記円弧歯車歯先部16の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部18と、を有している。
【0079】
そして、第一実施形態と同様、外歯状非円弧歯車30の非円弧歯34は、非円弧歯車歯先部36と、非円弧歯車歯先部36の側部に位置し円弧歯車歯側部18と接触する非円弧歯車歯側部38と、を有し、非円弧歯車歯側部38は、少なくともその一部の形状が、第二中心軸32を中心とする半径R2(=軸間距離D×歯数N/(歯数M+歯数N))の仮想円を定円とし、第一中心軸12を中心とする半径R1(=軸間距離D×歯数M/(歯数M+歯数N))の仮想円を動円とし、第一円弧歯車歯側部18aの中心を描画点としたときに、描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように、形成されている。
【0080】
そして、外歯状非円弧歯車30の歯数Nについては、以下のようになっている。先ず、歯数が小さい歯車に対する製造上の制約がない点については、外歯状非円弧歯車30についても同様である。
【0081】
すなわち、従来のインボリュート歯車は、専用の歯切工具を備えた歯車専用の加工機を使用して、従来工法(例えば、ホブ工法)により製造される。そして、製造する歯車の歯数が小さくなると、前述の速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような歯車機構を、当該歯切工具(当該従来工法)により製造するのは、難しくなることが知られている。実際には、このような効果を奏し、歯数Nが10以下のインボリュート歯車を実現することは不可能だった。
【0082】
これに対し、第二実施形態に係る外歯状非円弧歯車30には、歯数が小さい歯車に対する上述したような製造上の制約は存在しない。外歯状非円弧歯車30は、インボリュート歯車とは異なり、カム(特に、パラレルカム)・カムフォロアの製造技術を用いて製造されるからである。具体的には、カム・カムフォロアと同様、外歯状非円弧歯車30は、エンドミル加工法や、小型であればワイヤーカットによる加工法により製造される。つまり、カム・カムフォロアの解析手法によって外歯状円弧歯車10とそれに対応するカム曲線を有する外歯状非円弧歯車30のプロファイルがデジタル表示されるので、これらのデータから三次元CAD上でシミュレーションされ、バックラッシや歯の干渉がチェックされ、三次元データの事前チェックの後、NCマシニングセンターによるエンドミル加工か、ワイヤーカット加工法で外歯状円弧歯車10とこれに対応する外歯状非円弧歯車30が製造される。
【0083】
このように、第二実施形態に係る外歯状非円弧歯車30においては、歯数が小さい歯車に対する製造上の制約がなく、歯数Nを10以下とすることが可能である。そのため、歯車のコンパクト化を実現することができるし、さらには、一桁歯数の歯車を購買検討者にアピールすることもできるので商業上のメリットも大きくなる。
【0084】
上述した通り、第二実施形態に係る外歯状非円弧歯車30においては、歯数Nを10以下とすることが可能であるが、幾らでも歯数Nを小さくすることができるわけではない点についても、外歯状円弧歯車10(第一実施形態)と同様である。すなわち、歯数Nの下限値(歯数Nがこの下限値を下回った場合には、どんな場合でも速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような外歯状非円弧歯車30を実現できないという値)が存在する。速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような外歯状非円弧歯車30を実現するために、噛み合い率が1以上であることが必要であり、当該下限値は噛み合い率条件から導き出される点についても、外歯状円弧歯車10(第一実施形態)と同様である。すなわち、噛み合い率条件を満たし得る(満たす可能性がある)歯数Nの下限値が導き出される。以下で、かかる事項につき詳しく説明する。
【0085】
<<<外歯状非円弧歯車30の歯数Nの下限値について>>>
外歯状非円弧歯車30の歯数Nの下限値を求める際にも、前述した条件式tan-1(sin(2π/M)/((M+N)/M-cos(2π/M)))-π/N≧0を用いることができる。
【0086】
図16は、外歯状円弧歯車10の歯数Mと条件式の左辺の値との関係を表した図である。この図では、横軸に外歯状円弧歯車10の歯数M(1から100まで)を、縦軸に条件式の左辺の値を採っている。グラフが6つあるが、各々は歯数Nが1~6のときに対応する。すなわち、
図16では、歯数Nが1~6のときの各々について、歯数Mを変化させて条件式の左辺の値を求めている。
【0087】
図16から分かるように、歯数Nが1~2のときには、歯数Nがどのような場合であっても、左辺の値が0より大きくなることはない(なお、歯数Nが1~2のときには、歯数Mを無限大にしても左辺の値が0より大きくならないことを確認済みである)。したがって、歯数Nが1~2のときには、前記緩い条件であるにもかかわらず、また、歯数Mにかかわらず、噛み合い率条件を満たすことはないことがわかる。一方で、歯数Nが3以上では、左辺の値が0より大きくなり、噛み合い率条件を満たす場合が存在する。以上のことから、歯数Mの下限値(歯数Mがこの下限値を下回った場合には、どんな場合でも速度ばらつき抑制効果が適切に発揮されるような外歯状円弧歯車10を実現できないという値)は、3であることがわかる。
【0088】
<<<第二実施形態に係る歯車機構100の有効性について>>>
第二実施形態に係る歯車機構100は、M個の円弧歯14を備え、第一中心軸12周りに回転する外歯状円弧歯車10と、N個の非円弧歯34を備え、第一中心軸12から所定距離D離れた第二中心軸32周りに回転する外歯状非円弧歯車30と、を備え、外歯状円弧歯車10の円弧歯14は、円弧歯車歯先部16と、前記円弧歯車歯先部16の側部に位置し半径rの円弧形状を備える円弧歯車歯側部18と、を有している。
【0089】
そして、第一実施形態と同様、外歯状非円弧歯車30の非円弧歯34は、非円弧歯車歯先部36と、非円弧歯車歯先部36の側部に位置し円弧歯車歯側部18と接触する非円弧歯車歯側部38と、を有し、非円弧歯車歯側部38は、少なくともその一部の形状が、第二中心軸32を中心とする半径R2(=軸間距離D×歯数N/(歯数M+歯数N))の仮想円を定円とし、第一中心軸12を中心とする半径R1(=軸間距離D×歯数M/(歯数M+歯数N))の仮想円を動円とし、第一円弧歯車歯側部18aの中心を描画点としたときに、描かれるエピトロコイド曲線を、長さr分オフセットしたオフセットエピトロコイド曲線となるように、形成されている。
【0090】
そして、前記外歯状非円弧歯車30の歯数Mは、3以上10以下となっている。
【0091】
そのため、上述したとおり、速度ばらつき抑制効果が発揮され、かつ、コンパクト化が実現されて商業上のメリットが大きい歯車機構1を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0092】
1 歯車機構
10 外歯状円弧歯車
12 第一中心軸
14 円弧歯
16 円弧歯車歯先部
18 円弧歯車歯側部
18a 第一円弧歯車歯側部
18b 第二円弧歯車歯側部
30 外歯状非円弧歯車
32 第二中心軸
34 非円弧歯
34a 第一非円弧歯
34b 第二非円弧歯
36 非円弧歯車歯先部
38 非円弧歯車歯側部
38a 第一非円弧歯車歯側部
38b 第二非円弧歯車歯側部
50 第一摩擦車
52 第二摩擦車
60 カム
62 従節
62a カムフォロア
62b 腕
70 バー
70a 外側端
70b 内側端
80 接触点
100 歯車機構
A1 円弧歯
A2 円弧歯
C1 中心
C2 中心
D 軸間距離
EP エピトロコイド曲線
L 距離
LI ライン
LO ループした部分
OEP オフセットエピトロコイド曲線
P 描画点
PC1 ピッチ円
PC2 ピッチ円
R1 ピッチ円半径
R2 ピッチ円半径
TA 接線
α 円弧対ピッチ角
TC1 第一円弧歯車歯側部
TC2 第二円弧歯車歯側部
TC3 第一円弧歯車歯側部
TC4 第二円弧歯車歯側部
TC5 第一円弧歯車歯側部
TC6 第二円弧歯車歯側部
TC7 第一円弧歯車歯側部
TC8 第二円弧歯車歯側部
TC9 第一円弧歯車歯側部
TC10 第二円弧歯車歯側部
TC11 第一円弧歯車歯側部
TC12 第二円弧歯車歯側部
TC13 第一円弧歯車歯側部
TC14 第二円弧歯車歯側部
TC15 第一円弧歯車歯側部
TC16 第二円弧歯車歯側部
TN1a、TN1b 非円弧歯車歯側部
TN2a、TN2b 非円弧歯車歯側部
TN3a、TN3b 非円弧歯車歯側部
TN4a、TN4b 非円弧歯車歯側部
TN5a、TN5b 非円弧歯車歯側部
TN6a、TN6b 非円弧歯車歯側部
TN7a、TN7b 非円弧歯車歯側部
TN8a、TN8b 非円弧歯車歯側部
TN9a、TN9b 非円弧歯車歯側部
TN10a、TN10b 非円弧歯車歯側部
TN11a、TN11b 非円弧歯車歯側部
TN12a、TN12b 非円弧歯車歯側部
TN13a、TN13b 非円弧歯車歯側部
TN14a、TN14b 非円弧歯車歯側部
TN15a、TN15b 非円弧歯車歯側部
TN16a、TN16b 非円弧歯車歯側部