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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018549
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】作業機、およびリード部品の装着方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
H05K13/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122343
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】向原 崇二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広己
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB05
5E353HH48
5E353HH51
5E353JJ02
5E353JJ08
5E353JJ11
5E353KK03
5E353KK11
5E353QQ30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業ヘッドが保持したリード部品の複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入してリード部品を適切に基板に装着することを課題とする。
【解決手段】作業ヘッドが保持した極性のないリード部品の複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入してリード部品を基板に装着する際に、作業ヘッドが保持したリード部品の複数のリードを撮像した撮像データに基づいて、作業ヘッドは保持したリード部品をリード部品の鉛直方向の軸線を中心に回転させた後に、複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入してリード部品を基板に装着する作業機。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ヘッドが保持した極性のないリード部品の複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入して前記リード部品を基板に装着する際に、前記作業ヘッドが保持したリード部品の複数のリードを撮像した撮像データに基づいて、前記作業ヘッドは保持したリード部品を前記リード部品の鉛直方向の軸線を中心に回転させた後に、前記複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入して前記リード部品を前記基板に装着する作業機。
【請求項2】
前記複数のリードを撮像した撮像データに基づいて前記複数のリードの位置が設定位置からズレていると判断した場合に、前記作業ヘッドは保持したリード部品を前記鉛直方向の軸線を中心に回転させてズレを修正した後に、前記複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入して保持したリード部品を前記基板に装着する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記複数のリードを撮像した撮像データに基づいて、前記作業ヘッドは保持したリード部品を前記基板に装着するときに当該リード部品の部品本体と前記基板に装着されている先付部品とが干渉しないように前記作業ヘッドは保持したリード部品を前記鉛直方向の軸線を中心に回転させた後に、前記複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入して保持したリード部品を前記基板に装着する請求項1または請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
リード部品を保持する保持具と、前記保持具を鉛直下方に直線的に移動させる保持具移動装置と、前記保持具を鉛直軸線回りに回転させる保持具回転装置とを備える作業機において、
前記基板に装着された先付け部品の位置を記憶する先付け部品位置記憶工程と、
前記保持具が保持したリード部品が備える複数のリードを撮像して前記複数のリードの位置を取得するリード位置取得工程と、
前記保持具移動装置を作動させて前記保持具が保持したリード部品のリードを前記先付け部品が装着された基板の所定の位置に設けられた複数の貫通穴に挿入して前記リード部品を基板に装着する場合に、前記先付け部品位置記憶工程で記憶された先付け部品の位置と前記リード位置取得工程で取得した複数のリードの位置とに基づいて、前記保持具が保持したリード部品と前記先付け部品とが干渉するのか否かを判断する判断工程と、
を実行して、前記保持具が保持したリード部品を基板に装着するリード部品の装着方法であって、
前記判断工程において前記保持具が保持したリード部品と前記先付け部品とが干渉すると判断した場合には前記保持具回転装置と前記保持具移動装置とを作動させて前記保持具が保持したリード部品を前記基板に装着し、前記判断工程において前記保持具が保持したリード部品と前記先付け部品とが干渉しないと判断した場合には前記保持具回転装置を作動させずに前記保持具移動装置を作動させて前記保持具が保持したリード部品を前記基板に装着する、リード部品の装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ヘッドが保持したリード部品の複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入してリード部品を基板に装着する作業機などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、作業ヘッドが保持したリード部品の複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入してリード部品を基板に装着する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2016-072397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業ヘッドが保持したリード部品の複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入してリード部品を適切に基板に装着することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、作業ヘッドが保持した極性のないリード部品の複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入して前記リード部品を基板に装着する際に、前記作業ヘッドが保持したリード部品の複数のリードを撮像した撮像データに基づいて、前記作業ヘッドは保持したリード部品を前記リード部品の鉛直方向の軸線を中心に回転させた後に、前記複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入して前記リード部品を前記基板に装着する作業機を開示する。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本明細書は、リード部品を保持する保持具と、前記保持具を鉛直下方に直線的に移動させる保持具移動装置と、前記保持具を鉛直軸線回りに回転させる保持具回転装置とを備える作業機において、前記基板に装着された先付け部品の位置を記憶する先付け部品位置記憶工程と、前記保持具が保持したリード部品が備える複数のリードを撮像して前記複数のリードの位置を取得するリード位置取得工程と、前記保持具移動装置を作動させて前記保持具が保持したリード部品のリードを前記先付け部品が装着された基板の所定の位置に設けられた複数の貫通穴に挿入して前記リード部品を基板に装着する場合に、前記先付け部品位置記憶工程で記憶された先付け部品の位置と前記リード位置取得工程で取得した複数のリードの位置とに基づいて、前記保持具が保持したリード部品と前記先付け部品とが干渉するのか否かを判断する判断工程と、を実行して、前記保持具が保持したリード部品を基板に装着するリード部品の装着方法であって、前記判断工程において前記保持具が保持したリード部品と前記先付け部品とが干渉すると判断した場合には前記保持具回転装置と前記保持具移動装置とを作動させて前記保持具が保持したリード部品を前記基板に装着し、前記判断工程において前記保持具が保持したリード部品と前記先付け部品とが干渉しないと判断した場合には前記保持具回転装置を作動させずに前記保持具移動装置を作動させて前記保持具が保持したリード部品を前記基板に装着する、リード部品の装着方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業ヘッドが保持したリード部品をリード部品の鉛直方向の軸線を中心に回転させた後に、複数のリードを基板の複数の貫通穴に挿入することで、リード部品を適切に基板に装着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】部品実装機を示す斜視図である
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】制御装置を示すブロック図である。
図4】リード部品を示す図である。
図5】先付部品の隣に装着されるリード部品を示す図である。
図6】先付部品の隣に装着されるリード部品を示す図である。
図7】先付部品の隣に装着されるリード部品を示す図である。
図8】先付部品の隣に装着されるリード部品を示す図である。
図9】先付部品の隣に装着されるリード部品を示す図である。
図10】先付部品の隣に装着されるリード部品を示す図である。
図11】リード部品を下方からの視点において示す図である。
図12】リード部品を下方からの視点において示す図である。
図13】リード部品を下方からの視点において示す図である。
図14】変形例のリード部品を示す図である。
図15図14のリード部品を上方からの視点において示す図である。
図16図14のリード部品を下方からの視点において示す図である。
図17図14のリード部品を下方からの視点において示す図である。
図18図14のリード部品を上方からの視点において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、ばら部品供給装置30、部品供給装置32、制御装置(図3参照)36を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0011】
装置本体20は、フレーム40と、そのフレーム40に上架されたビーム42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0012】
部品装着装置24は、ビーム42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、吸着ノズル(図2参照)66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、各作業ヘッド60,62は、自転装置(図3参照)67を有している。自転装置67は吸着ノズル66をZ方向、つまり鉛直方向に延びる軸線を中心に自転させる装置であり、任意の角度に吸着ノズル66を自転させる。これにより、作業ヘッド60,62は、吸着ノズル66により保持された部品の姿勢を調整する。また、作業ヘッド移動装置64は、図2に示すように、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に鉛直方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に鉛直方向に移動させられる。
【0013】
マークカメラ26は、図2に示すように、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、マークカメラ26は、フレーム40上の任意の位置を撮像する。また、パーツカメラ28は、図1に示すように、フレーム40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置32との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
【0014】
ばら部品供給装置30は、フレーム40の前後方向での一方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置30は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。
【0015】
部品供給装置32は、フレーム40の前後方向での他方側の端部に配設されている。部品供給装置32は、トレイ型部品供給装置86とフィーダ型部品供給装置88とを有している。トレイ型部品供給装置86は、トレイ(図示省略)の上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置88は、テープフィーダ90によって部品を供給する装置である。
【0016】
制御装置36は、図3に示すように、コントローラ100と複数の駆動回路102と画像処理装置104とメモリ106とを備えている。複数の駆動回路102は、搬送装置50、クランプ装置52、作業ヘッド60,62、作業ヘッド移動装置64、トレイ型部品供給装置86、フィーダ型部品供給装置88、ばら部品供給装置30に接続されている。コントローラ100は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路102に接続されている。これにより、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動が、コントローラ100によって制御される。また、コントローラ100は、画像処理装置104に接続されている。画像処理装置104は、マークカメラ26およびパーツカメラ28によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ100は、画像データから各種情報を取得する。また、コントローラ100は、メモリ106に接続されている。メモリ106は各種データを記憶しており、コントローラ100はメモリ106から各種データを取得する。なお、コントローラ100には、生産プログラム110が記憶されており、コントローラ100は、生産プログラム110に従って基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動を制御することで、回路基材12に対する部品の装着作業を実行する。部品実装機10では、種々の部品を回路基材12に装着することが可能であるが、リード部品(図4参照)120を回路基材12に装着する場合について、以下に説明する。
【0017】
具体的には、生産プログラム110に従ったコントローラ100の指令により、基材搬送保持装置22が回路基材12を作業位置まで搬送し、その位置において、クランプ装置52が回路基材12を固定的に保持する。次に、生産プログラム110に従ったコントローラ100の指令により、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、コントローラ100が、回路基材12に形成された1対の貫通穴(図4参照)122の位置に関する情報を取得する。なお、貫通穴122は、断面形状が円形の丸穴であり、貫通穴122の内径は、リード部品120のリード(図4参照)128の外径より所定寸法、大きい。
【0018】
また、生産プログラム110に従ったコントローラ100の指令により、ばら部品供給装置30若しくは、部品供給装置32が、所定の供給位置において、リード部品120を供給する。リード部品120は、図4に示すように、概してブロック状の部品本体126と、その部品本体126の底面から延び出す2本のリード128とを含む。そして、生産プログラム110に従ったコントローラ100の指令により、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66がリード部品120の部品本体126を吸着保持する。続いて、生産プログラム110に従ったコントローラ100の指令により、作業ヘッド60,62が、パーツカメラ28の上方に移動し、パーツカメラ28が、吸着ノズル66に保持されたリード部品120を下方からの視点で撮像する。これにより、1対のリード128の先端位置に関する情報が得られる。続いて、生産プログラム110に従ったコントローラ100の指令により、作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品の位置および保持姿勢を、基材搬送保持装置22の所定の位置において固定的に保持された回路基材12に形成された貫通穴122の位置及び、吸着ノズル66に保持されたリード部品120のリード128の先端位置に関する情報等に基づいて調整する。この際、回路基材12に形成された1対の貫通穴122の位置と、吸着ノズル66に保持されたリード部品120の1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように、作業ヘッド60,62の移動及び保持姿勢の調整が行われる。つまり、回路基材12に形成された1対の貫通穴122のXY座標と、吸着ノズル66に保持されたリード部品120の1対のリード128の先端のXY座標とが一致するように、作業ヘッド60,62の移動及び保持姿勢の調整が行われる。
【0019】
そして、生産プログラム110に従ったコントローラ100の指令により、作業ヘッド60,62が、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように移動すると、作業ヘッド60,62が下降する。これにより、図4に示すように、リード部品120の1対のリード128の先端部が回路基材12の1対の貫通穴122に挿入される。そして、作業ヘッド60,62が更に下降して、リード部品120のリード128が根元まで貫通穴122に挿入されることで、リード部品120が回路基材12に装着される。
【0020】
このように、部品実装機10では、リード部品120のリード128が回路基材12の貫通穴122に挿入されることで、リード部品120が回路基材12に装着される。そして、リード部品120を含む複数の電子部品が回路基材12に装着されることで、回路基材12への電子部品の装着作業が完了する。このため、例えば、リード部品120が回路基材12に装着される前に、回路基材12に既に電子部品が装着されている場合があり、このような場合に、リード部品120は、図5に示すように、電子部品140の隣に装着される。なお、電子部品140は、装着対象のリード部品120より先に回路基材12に装着されている部品であるため、電子部品140を先付部品140と記載する。なお、先付部品140は、図5においてリード部品として示されているが、リードを有していない部品等であってもよい。また、図4では、リード部品120を1対のリード128の並ぶ方向と直行する方向からの視点で示しているため、1対のリード128が示されているが、図5では、リード部品120を1対のリード128の並ぶ方向からの視点で示しているため、1対のリード128の一方のみが示されている。
【0021】
このようにリード部品120が先付部品140の隣に装着される際に、リード部品120のリード128が変形している場合に、リード部品120を回路基材12に装着することができない虞がある。詳しくは、リード部品120のリード128は、製造工程であったり、テープフィーダ90にセットする際、あるいはテープフィーダ90においてテープ化部品から切り離される際などにおいて、屈曲,湾曲等により変形してしまう場合がある。このような場合に、リード部品120を回路基材12に装着するために、図6に示すように、リード部品120のリード128の先端位置と、回路基材12の貫通穴122の位置とを上下方向において一致させた後に、作業ヘッド60,62が下降すると、リード部品120の部品本体126の下面が先付部品140の上面に接触する虞がある。このように、リード部品120の部品本体126の下面が先付部品140の上面に接触すると、リード部品120を更に下降させることができずに、リード128を貫通穴122に挿入することができないため、リード部品120を回路基材12に装着することができない。
【0022】
このため、変形したリード128を有するリード部品120を回路基材12に装着するために、隣接動作による装着作業が実行される。具体的には、リード部品120を回路基材12に装着する際に、図7に示すように、リード部品120が先付部品140に接触しない位置で作業ヘッド60,62が下降する。この際、リード部品120のリード128の先端位置と、回路基材12の貫通穴122の位置とは上下方向において一致していない。また、作業ヘッド60,62は、図8に示すように、部品本体126の下面が先付部品140の上面より下方に位置するまで下降する。そして、作業ヘッド60,62が、図9に示すように、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように移動する。そして、作業ヘッド60,62が下降することで、リード部品120の1対のリード128が回路基材12の1対の貫通穴122に挿入されて、リード部品120が回路基材12に装着される。このように、隣接動作による装着作業が実行されることで、変形したリード128を有するリード部品120を回路基材12に装着することができる。
【0023】
しかしながら、隣接動作による装着作業時において、作業ヘッド60,62が、図9に示すように、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように移動する際に、リード部品120の部品本体126の側面と先付部品140の側面とが干渉する場合がある。このような場合には、吸着ノズル66によるリード部品120の保持姿勢がズレて、リード128を貫通穴122に挿入できずに、リード部品120を回路基材12に装着できない虞がある。また、リード部品120と先付部品140との干渉により、リード部品120が吸着ノズル66から落下する虞もある。
【0024】
このようなことに鑑みて、隣接動作による装着作業の代わりに反転動作による装着作業が実行される。詳しくは、リード部品120のリード128が、図6に示すように変形している場合、つまり、装着予定のリード部品120のリード128が先付部品140から離れる方向に変形している場合には、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように作業ヘッド60,62が移動すると、リード部品120の部品本体126は先付部品140に接近する方向に移動する。このため、リード部品120のリード128が、図6に示すように変形している場合には、作業ヘッド60,62が下降すると、リード部品120の部品本体126の下面が先付部品140の上面と干渉する場合がある。
【0025】
そこで、このような場合には、作業ヘッド60,62の自転装置67が、吸着ノズル66を180度自転させる。つまり、自転装置67が、吸着ノズル66に保持されたリード部品120を、自転装置67の回転中心である吸着ノズル66の軸線であってリード部品120の鉛直方向の軸線(図4参照)146を中心に180度回転させる。なお、リード部品120の鉛直方向の軸線146は、例えば、リード部品120の部品本体126の中心を通る鉛直方向の軸線であり、1対のリード128の根元の間の中点を通る鉛直方向の軸線である。このように、自転装置67が、吸着ノズル66に保持されたリード部品120をリード部品120の鉛直方向の軸線146を中心に180度回転させることで、図10に示すように、リード部品120の姿勢が、リード128が先付部品140に接近する方向の姿勢となり、部品本体126が先付部品140から離れる方向の姿勢となる。そして、自転装置67が吸着ノズル66に保持されたリード部品120を、軸線146を中心に180度回転させた後に、作業ヘッド60,62が、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように移動する。そして、作業ヘッド60,62が下降することで、リード部品120の部品本体126と先付部品140とが干渉することなく、リード部品120のリード128が回路基材12の貫通穴122に挿入される。なお、リード部品120では、1対のリード128が図4に示すように、軸線146を中心に対称的に配設されているため、自転装置67が吸着ノズル66に保持されたリード部品120を、軸線146を中心に180度回転させても、1対のリード128を1対の貫通穴122に挿入することができる。
【0026】
このように、自転装置67が、吸着ノズル66に保持されたリード部品120を、鉛直方向の軸線146を中心に180度回転させ、作業ヘッド60,62が、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように移動した後に、作業ヘッド60,62が下降して、リード部品120のリード128を回路基材12の貫通穴122に挿入する反転動作による装着作業が実行されることで、変形したリード128を有するリード部品120を先付部品140と干渉させることなく、回路基材12に装着することができる。つまり、作業ヘッド60,62は反転動作による装着作業を実行することで、変形したリード128を有するリード部品120と先付部品140とが接触せず、当接もすることなく、さらには、リード部品120と先付部品140とがクリアランスのある状態で、リード部品120を回路基材12に装着することができる。
【0027】
なお、上述したように、吸着ノズル66に保持されたリード部品120のリード128が、図6に示すように変形している場合、つまり、リード128が先付部品140から離れる方向に変形している場合には、作業ヘッド60,62は、反転動作による装着作業を実行する。一方で、吸着ノズル66に保持されたリード部品120のリード128が、図10に示すように変形している場合、つまり、リード128が先付部品140に接近する方向に変形している場合には、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように作業ヘッド60,62が移動すると、リード部品120の部品本体126は先付部品140から離れたところに位置している。このため、リード部品120のリード128が、図10に示すように変形している場合には、作業ヘッド60,62が垂直方向に下降しても、リード部品120の部品本体126は先付部品140とは干渉しない。したがって、リード128が、図10に示すように変形している場合には、作業ヘッド60,62が、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように移動した後に、自転装置67が、吸着ノズル66に保持されたリード部品120を回転させることなく、作業ヘッド60,62が垂直方向に下降して、リード部品120のリード128を回路基材12の貫通穴122に挿入する。つまり、リード128が、図10に示すように変形している場合には、反転動作による装着作業が実行されることなく、作業ヘッド60,62は通常の装着作業を実行して、回路基材12にリード部品を装着する。
【0028】
また、吸着ノズル66に保持されたリード部品120のリード128が、図5に示すように変形していない場合には、作業ヘッド60,62が垂直方向に下降して保持したリード部品120のリード128を回路基材12の貫通穴122に挿入しても、リード部品120の部品本体126は先付部品140とは干渉しない。このため、リード128が変形していない場合には、作業ヘッド60,62が、1対の貫通穴122の位置と1対のリード128の先端位置とが上下方向において一致するように移動した後に、自転装置67が、吸着ノズル66に保持されたリード部品120を回転させることなく、作業ヘッド60,62が下降して、リード部品120のリード128を回路基材12の貫通穴122に挿入する。つまり、リード128が変形していない場合にも、通常の装着作業が実行されて回路基材12にリード部品120が装着される。
【0029】
このように、リード128が図6に示すように変形している場合には反転動作による装着作業が実行され、リード128が図10に示すように変形している場合及びリード128が変形していない場合には通常の装着作業が実行される。また、リード部品120のリード128が何れの方向に変形しているかの判断をコントローラ100がリード部品120の撮像データに基づいて行う。詳しくは、リード部品120の装着時には、上述したように、吸着ノズル66がばら部品供給装置30若しくは、部品供給装置32からリード部品120を保持した後に、パーツカメラ28が吸着ノズル66に保持されたリード部品120を下方からの視点で撮像する。この際、リード部品120の1対のリード128が下方からの視点で撮像されるため、リード部品120の1対のリード128の先端を含む画像の画像データが作成される。そして、その撮像データに基づいてリード部品120の1対のリード部品120の先端位置が演算される。この際、1対のリード128の先端を含む画像の画像データとマスタデータとが比較され、リード128の変形方向が特定される。
【0030】
具体的には、マスタデータとして、図11に示す画像の画像データが制御装置36のメモリ106に記憶されている。その画像は、リード部品120の下面を示す画像であり、部品本体126の下面の画像と、1対のリード128の先端の画像とを含む。マスタデータでの1対のリード128の先端位置は、リード128が反ったり曲がったりして変形しておらずに直線的である場合の先端位置である。つまり、マスタデータは、リード128が変形しておらずに直線的なリード部品120の画像データである。ここで、マスタデータでの1対のリード128の先端位置を設定位置150と記載する。そして、パーツカメラ28により撮像された吸着ノズル66に保持されたリード部品120の撮像データが図12に示す画像である場合に、コントローラ100は、図12に示す撮像データの画像と図11に示すマスタデータの画像とを比較する。図12に示す撮像データの画像では、リード128の先端位置が設定位置150より下方に位置しており、この場合には、リード128が、図6に示すように変形している。つまり、リード128が先付部品140から離れる方向に変形している。このため、コントローラ100がリード部品120の撮像データとマスタデータとを比較して、撮像データでのリード128の先端位置が設定位置150より下方に位置している場合に、コントローラ100は、リード128が先付部品140から離れる方向に変形していると判断する。そして、コントローラ100がリード128が先付部品140から離れる方向に変形していると判断した場合には、作業ヘッド60,62は反転動作による装着作業を実行する。
【0031】
ただし、図6に示すように、吸着ノズル66に保持されたリード部品120のリード128が先付部品140から離れる方向に変形している場合に、通常の装着作業が実行されると、リード部品120の部品本体126と先付部品140とが干渉するが、リード部品120の変形量が僅かであれば、リード部品120の部品本体126と先付部品140とは干渉しない。つまり、例えば、リード部品120の装着予定位置と、先付部品140の装着位置とのクリアランスより、リード128の変形量が少ない場合には、リード128が先付部品140から離れる方向に変形していても、通常の装着作業により、リード部品120の部品本体126と先付部品140とを干渉させることなく、リード部品120を回路基材12に装着することができる。このため、リード部品120の装着予定位置と先付部品140の装着位置とのクリアランスに基づいて閾値Lが設定されている。なお、リード部品120の装着予定位置及び先付部品140の装着位置は、生産プログラム110にプログラミングされているため、生産プログラム110にプログラミングされているリード部品120の装着予定位置と先付部品140の装着位置とのクリアランスに基づいて閾値Lが設定される。そして、図12に示す撮像データでのリード128の先端位置と設定位置150との間の距離ΔLが閾値L未満である場合には、通常の装着作業が実行される。一方、図12に示す撮像データでのリード128の先端位置と設定位置150との間の距離ΔLが閾値L以上である場合には、作業ヘッド60,62は反転動作による装着作業を実行する。
【0032】
また、パーツカメラ28により撮像されたリード部品120の撮像データが図13に示す画像である場合に、コントローラ100は、図13に示す撮像データの画像と図11に示すマスタデータの画像とを比較する。図13に示す撮像データの画像では、リード128の先端位置が設定位置150より上方に位置しており、図13に示す撮像データでのリード128の先端位置が設定位置150より上方に位置している場合には、リード128が、図10に示すように変形している。つまり、リード128が先付部品140に接近する方向に変形している。このため、コントローラ100がリード部品120の撮像データとマスタデータとを比較して、撮像データでのリード128の先端位置が設定位置150より上方に位置している場合に、コントローラ100は、リード128が先付部品140に接近する方向に変形していると判断する。そして、コントローラ100が吸着ノズル66に保持されたリード部品120のリード128が先付部品140に接近する方向に変形していると判断した場合には、作業ヘッド60,62は通常の装着作業を実行する。
【0033】
なお、パーツカメラ28により撮像されたリード部品120の撮像データでのリード128の先端位置が設定位置150と同じ位置である場合には、リード128は変形していないため、作業ヘッド60,62は通常の装着作業を実行する。このように、コントローラ100は吸着ノズル66に保持されたリード部品120のリード128の撮像データに基づいて、通常の装着作業時にリード部品120と先付部品140とが干渉するか否かを判断し、コントローラ100がリード部品120と先付部品140とが干渉すると判断した場合には、作業ヘッド60,62は反転動作による装着作業を実行し、コントローラ100がリード部品120と先付部品140とが干渉しないと判断した場合には、作業ヘッド60,62は通常の装着作業を実行する。
【0034】
なお、上述した反転動作による装着作業は、装着対象のリード部品が極性のない部品である場合にのみ実行される。詳しくは、リード部品には、極性のないリード部品と極性のあるリード部品とが存在する。極性のないリード部品とは、リードに陽極と陰極との区別のない部品であり、極性のあるリード部品とは、リードに陽極と陰極との区別のある部品である。このため、極性のあるリード部品を反転動作による装着作業で回路基材12に装着すると、リード部品が機能しなくなる。具体的には、極性のあるリード部品を回路基材12に装着する場合には、各リードを挿入すべき貫通穴122は予め決まっている。例えば、図4に示すように、極性のあるリード部品のリード128aが陽極であり、リード128bが陰極である場合に、陽極のリード128aを貫通穴122aに挿入し、陰極のリード128bを貫通穴122bに挿入することで、各リードが導通してリード部品は機能する。一方で、極性のあるリード部品が反転動作による装着作業により回路基材12に装着されると、陽極のリード128aが貫通穴122bに挿入され、陰極のリード128bが貫通穴122aに挿入されることで、各リードが導通せずにリード部品は機能しなくなる。このため、極性のあるリード部品に対しては、作業ヘッドは反転動作による装着作業を実行せずに、隣接動作による装着作業を実行し、極性のないリード部品に対しては、作業ヘッドは反転動作による装着作業を実行する。
【0035】
なお、装着対象のリード部品が、極性のないリード部品であるか極性のあるリード部品であるかは、生産プログラム110の作成時に当然、認識されているため、装着対象の複数のリード部品の各々に対して、隣接動作による装着作業と反転動作による装着作業との何れの装着作業により回路基材12に装着されるかが、生産プログラム110にはプログラミングされている。これにより、部品実装機10において構造的に何ら変更を加えることなく、プログラミングを変更するだけで、極性のないリード部品と極性のあるリード部品との何れのリード部品であっても適切に装着作業を行うことが可能となる。
【0036】
なお、部品実装機10は、作業機の一例である。回路基材12は、基板の一例である。作業ヘッド60,62は、作業ヘッドの一例である。吸着ノズル66は、保持具の一例である。自転装置67は、保持具回転装置の一例である。Z方向移動装置72は、保持具移動装置の一例である。リード部品120は、リード部品の一例である。貫通穴122は、貫通穴の一例である。部品本体126は、部品本体の一例である。リード128は、端子の一例である。先付部品140は、先付部品の一例である。
【0037】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更や改良を施した態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、吸着ノズル66が保持したリード部品120のリード128が所定の方向に変形している場合には作業ヘッドは反転動作による装着作業を実行し、吸着ノズル66が保持したリード部品120のリード128が変形していない場合には作業ヘッドは通常の装着作業を実行してリード部品を回路基材12に装着するが、リード部品のリードが変形していない場合であっても作業ヘッドは反転動作による装着作業を実行して吸着ノズル66が保持したリード部品を回路基材12に装着してもよい。具体的には、図14に示すリード部品160は、部品本体162と、部品本体162の下面から下方に向かって延び出す3本のリード164とによって構成されている。3本のリード164のうちの1本のリード164aと2本のリード164b、cとは、部品本体162の鉛直方向の軸線166を挟んで配設されており、1本のリード164aと2本のリード164b、cとは非対称に配設されている。このようなリード部品160を回路基材12に装着する場合には、作業ヘッドは、図15に示すように、リード164aを回路基材12の貫通穴168aに挿入し、リード164bを貫通穴168bに挿入し、リード164cを貫通穴168cに挿入してリード部品160を回路基材12に装着する。
【0038】
ただし、吸着ノズル66がリード部品160を保持する際に、吸着ノズル66によるリード部品160の保持姿勢が適切でないと、リード部品160のリード164を貫通穴122に挿入できない。具体的には、例えば、吸着ノズル66は、図16に示すように、リード164aが左側に位置し、リード164b、cが右側に位置するようにリード部品160を保持する。このように、吸着ノズル66がリード部品160を保持することで、図15に示すように、3本のリード164の先端と3個の貫通穴168とを鉛直方向において一致させて、3本のリード164を回路基材12の3個の貫通穴168に挿入することができる。なお、吸着ノズル66がリード部品160を保持する際に、部品本体162の上面の中央を吸着保持する。この際、吸着ノズル66のノズル先端67の中心を通る鉛直方向の軸線と部品本体162の鉛直方向の軸線166とが一致するように、吸着ノズル66がリード部品160を保持する。一方で、吸着ノズル66が、図17に示すように、リード164aが右側に位置し、リード164b、cが左側に位置するようにリード部品160を保持する場合がある。このような場合には、たとえリード部品160を保持した吸着ノズル66を自転装置で90度以下の角度で回転させたり移動装置で水平方向に移動させたりしたとしても、図18に示すように、3本のリード164の先端と回路基材の3個の貫通穴168とを鉛直方向において一致させることができずに、作業ヘッドは、吸着ノズルが保持したリード部品の3本のリード164を回路基材の3個の貫通穴168に挿入することができない。
【0039】
そこで、吸着ノズル66が保持したリード部品160のリード164を撮像した撮像データに基づいて、コントローラ100がリード部品160の吸着ノズル66による保持姿勢を演算して、演算した保持姿勢に応じて自転装置67が90度以上の角度で吸着ノズル66を回転させることで、作業ヘッドは反転動作を行って吸着ノズル66が保持したリード部品の装着作業を実行する。詳しくは、マスタデータとして、図16に示す画像の画像データが制御装置36のメモリ106に記憶されている。その画像では、3本のリード164の先端位置が設定位置170として設定されている。そして、コントローラ100が、リード部品120の装着時にパーツカメラ28により撮像されたリード部品160の撮像データと、マスタデータとを比較することで、リード部品160の吸着ノズル66による保持姿勢を演算する。例えば、パーツカメラ28が撮像した吸着ノズル66が保持したリード部品の3本のリード164の先端位置と、マスタデータにおける3本のリード164の設定位置170とがリード部品を保持した吸着ノズルを水平方向に移動させたり自転装置で90度未満の角度で回転させたりして一致する場合には、コントローラ100は、吸着ノズル66がリード部品160を適切な姿勢で保持していると判断する。このように、吸着ノズル66がリード部品160を適切な姿勢で保持している場合には、自転装置67が90度以上の角度で吸着ノズル66を回転させることなく、作業ヘッド60,62が3本のリード164の先端と3個の貫通穴168とを鉛直方向において一致させるように水平方向に移動した後に、下降する。これにより、作業ヘッドは、吸着ノズル66が保持したリード部品の3本のリード164を回路基材12の3個の貫通穴168に挿入して、リード部品160を回路基材12に装着する。
【0040】
また、パーツカメラ28が撮像したリード部品160の撮像データが図17に示す画像である場合には、コントローラ100は、図17に示す撮像データの画像と図16に示すマスタデータの画像とを比較する。この際、コントローラ100は、マスタデータにおけるリード164の設定位置170に対して撮像データにおけるリード164の先端位置の角度ズレを演算する。例えば、図16図17とを比較して分かるように、マスタデータにおけるリード164の設定位置170に対して、取得した撮像データにおけるリード164の先端位置の角度ズレは90度以上の180度である。このため、コントローラ100は、マスタデータにおけるリード164の設定位置170に対して撮像データにおけるリード164の先端位置の回転角度は180度であると演算する。つまり、コントローラ100は、リード部品160の吸着ノズル66による保持姿勢が適切な保持姿勢から180度回転した姿勢であると判断する。このように、コントローラ100がリード部品160の保持姿勢を演算すると、自転装置67が、吸着ノズル66をコントローラ100が演算した角度である180度回転させることで、吸着ノズル66によるリード部品160の保持姿勢を、マスタデータにおけるリード164の設定位置170と同じにすることができる。そして、自転装置67が吸着ノズル66を回転させた後に、作業ヘッド60,62が3本のリード164の先端と3個の貫通穴168とを鉛直方向において一致させるように水平方向に移動して、下降する。これにより、作業ヘッドが、吸着ノズル66が保持したリード部品160の3本のリード164を回路基材12に形成された3個の貫通穴168に挿入することで、リード部品160を回路基材12に装着する。
【0041】
また、例えば、コントローラ100が、吸着ノズル66が保持したリード部品160をパーツカメラ28で撮像して取得した撮像データと、メモリ106に記憶されたマスタデータの画像とを比較して、マスタデータにおけるリード164の設定位置170に対して、取得した撮像データにおけるリード164の先端位置の角度ズレを演算したところ90度である場合がある。このような場合には、自転装置67は吸着ノズル66を90度回転させることで、吸着ノズル66によるリード部品160の保持姿勢を、マスタデータにおけるリード164の設定位置170と同じにすることができる。そして、自転装置67が吸着ノズル66を回転させた後に、作業ヘッド60,62が3本のリード164の先端と3個の貫通穴168とを鉛直方向において一致させるように水平方向に移動して、下降する。これにより、作業ヘッドが、吸着ノズル66が保持したリード部品160の3本のリード164を回路基材12に形成された3個の貫通穴168に挿入することで、リード部品160を回路基材12に装着する。
【0042】
このように、吸着ノズル66が保持したリード部品が備える複数本のリードと基材搬送保持装置22によって固定的に保持された回路基材12に形成された複数の貫通穴とに角度ズレがあったとしても、自転装置67が吸着ノズル66を回転させた後に、リード部品160のリード164を回路基材12の貫通穴168に挿入する反転動作による装着作業を実行することで、吸着ノズルが保持したリード部品160が備える非対称に配設されたリード164を所定の位置に固定的に保持された回路基材12に形成された3個の貫通穴168に適切に挿入することができる。なお、リード部品160が回路基材12に装着される際には、必ず、リード164aが貫通穴168aに挿入され、リード164bが貫通穴168bに挿入され、リード164cが貫通穴168cに挿入される。つまり、リード部品の極性の有無に関わらず、作業ヘッドは、非対称に配設されたリード164を有するリード部品160を反転動作による装着作業を行って回路基材12に装着することができる。
【0043】
また、上記実施例では、自転装置67がリード部品120をリード部品の鉛直方向の軸線146を中心に180度回転させた後に、作業ヘッドがリード部品120を回路基材12に装着するが、自転装置67がリード部品を180度以外の角度回転させた後に、作業ヘッドがリード部品を回路基材12に装着してもよい。具体的には、例えば、4本のリードが4等配に配設されているリード部品の場合であって、吸着ノズルが保持したリード部品が備える4本のリードと基材搬送保持装置によって固定的に保持された回路基材に形成された4つの貫通穴との角度ズレが90度以上の角度である90度もしくは270度であった場合には、自転装置67がリード部品を鉛直方向の軸線を中心に90度、若しくは270度回転させた後に、作業ヘッドが保持したリード部品を回路基材12に装着してもよい。
【0044】
また、上記実施例では、コントローラ100が、リード部品の下方からの視点におけるリード部品の撮像データに基づいてリードの変形量や角度ズレあるいは傾斜する方向を演算しているが、リード部品の下方以外の方向、例えば、リード部品の側方からの視点におけるリード部品の撮像データに基づいてリードの変形量や角度ズレあるいは傾斜する方向を演算してもよい。
【0045】
また、上記実施例では、回路基材12に装着されている先付部品140の装着位置は生産プログラム110にプログラミングされており、生産プログラム110にプログラミングされている先付部品140の装着位置に基づいて閾値Lが設定されている。一方で、作業ヘッドが先付部品140を回路基材12に装着した際に、装着した先付部品140の装着位置を制御装置36のメモリ106に記憶し、そのメモリ106に記憶した先付部品140の装着位置に基づいて閾値Lを設定してもよい。また、リード部品120の装着前に、回路基材12に装着されている先付部品140をマークカメラが撮像したり、スキャナ等が読み取ることで、先付部品140の装着位置を特定し、特定した先付部品140の装着位置に基づいて閾値Lを設定してもよい。
【0046】
また、上記実施例では、吸着ノズル66がリード部品120を保持しているが、チャック等の保持具がリード部品120を保持してもよい。この際、チャックは、リード部品120の部品本体126を保持してもよく、リード128を保持してもよい。
【0047】
また、上記実施例では、吸着ノズルの軸線がリード部品の鉛直方向の軸線と一致した状態で、吸着ノズルがリード部品を保持しているが、当然ながら一致していない状態で保持することもある。その場合、吸着ノズルが保持したリード部品を先付け部品が装着された回路基材12に装着するときには、吸着ノズルの軸線とリード部品の鉛直方向の軸線とのズレ量を考慮して保持具移動装置や保持具回転装置を作動させ、各種の装着動作を実行することは云うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
10:部品実装機(作業機) 12:回路基材(基板) 60:作業ヘッド 62:作業ヘッド 66:吸着ノズル(保持具) 67:自転装置(保持具回転装置) 72:Z方向移動装置(保持具移動装置) 120:リード部品 122:貫通穴 126:部品本体 128:リード(端子) 140:先付部品
図1
図2
図3
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図5
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図9
図10
図11
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