(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018557
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】腹巻および腹巻の使用方法
(51)【国際特許分類】
A41C 1/00 20060101AFI20250130BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A41C1/00 B
A41D13/05 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122360
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】520113413
【氏名又は名称】安徽華興羽絨制品有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】505329808
【氏名又は名称】有限会社エルーチーリビング
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪 宇
【テーマコード(参考)】
3B131
3B211
【Fターム(参考)】
3B131AA04
3B131AB11
3B131BA04
3B131BA31
3B131BA41
3B131BA43
3B211AA01
3B211AB08
3B211AC17
3B211AC21
3B211AC22
(57)【要約】
【課題】着脱が容易であり、横たわった姿勢でも着用して胴部を支持することのできる腹巻および腹巻の使用方法を提供する。
【解決手段】
腹巻10は、着用者の胴部に装着するものであって、筒状であって、伸縮性素材の生地11から構成され、周方向に第1~第4の各部分に区画され、少なくとも前記第2~第4の各部分は、表地12および裏地13と、表地12および裏地13の間に形成される室15とを備え、前記第2~第4の各部分の前記室15には充填材16が充填されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の胴部に装着する腹巻であって、
筒状であって、伸縮性を有する生地から構成され、周方向に第1~第4の各部分に区画された本体部分を備え、
少なくとも前記第2~第4の各部分は、前記生地の表地および裏地との間に形成される室とを備え、前記第2~第4の各部分の前記室には充填材が充填されている、腹巻。
【請求項2】
前記第1の部分には充填材が充填されない、請求項1に記載の腹巻。
【請求項3】
前記第1~第4の各部分は、重ね合わされた前記表地および前記裏地に筒状の軸方向に沿ってキルティングを施すことで区画される、請求項1に記載の腹巻。
【請求項4】
前記充填材は、粒状体を含む、請求項1に記載の腹巻。
【請求項5】
前記第1の部分の周方向の長さは、前記第3の部分の周方向の長さよりも長い、請求項1に記載の腹巻。
【請求項6】
前記第2の部分と前記第4の部分とは、周方向の長さが同じである、請求項1に記載の腹巻。
【請求項7】
前記第1の部分の周方向の長さおよび前記第3の部分の周方向の長さは、前記第2の部分と前記第4の部分の周方向の長さよりも長い、請求項1に記載の腹巻。
【請求項8】
前記第1~第4の各部分は、軸方向の長さ全体にわたって形成される、請求項1に記載の腹巻。
【請求項9】
前記本体部分の軸方向の一方側に、前記本体部分に連続して筒状の一方側部分をさらに備える、請求項1に記載の腹巻。
【請求項10】
前記本体部分の軸方向の他方側に、前記本体部分に連続して筒状の他方側部分をさらに備える、請求項9に記載の腹巻。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の腹巻の使用方法であって、
着用者は、前記腹巻を、前記第1の部分が着用者の胴部の腹部側、前記第3の部分が人体の胴部の腰部側、前記第2、第4の各部分が着用者の胴部の左右の横腹部側に位置するように装着し、
着用者が仰向けに寝た場合、前記第3の部分の前記充填材が腰部の形状に沿って移動して腰部を支持する、腹巻の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹巻および腹巻の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腰痛への対策として、主に腰部を支持するためのベルトやサポーターが提案されている。例えば、特許文献1に記載のベルトは、帯状体を腰に巻き付けて止着するものであり、ベルト本体と、ベルト本体を腰部に巻き付けた着用状態を保つための止着部とを備えている。ベルト本体には、金属片又は樹脂片から成る剛性の補強部材が挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明においては、帯状体を腰に巻き付けて止着する必要があり、脱着が面倒である。また、特許文献1に記載のものは、特に立ち姿勢において腰をしっかりと支持することを目的としており、補強部材が使用されているためベルト自体が比較的固く、例えば就寝時など、仰向けや横向きで寝具に横たわった姿勢においては、着用が難しい。
【0005】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、着脱が容易であり、横たわった姿勢でも着用して胴部を支持することのできる腹巻および腹巻の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0007】
項1:着用者の胴部に装着する腹巻であって、
筒状であって、伸縮性を有する生地から構成され、周方向に第1~第4の各部分に区画された本体部分を備え、
少なくとも前記第2~第4の各部分は、前記生地の表地および裏地の間に形成される室を備え、前記第2~第4の各部分の前記室には充填材が充填されている、腹巻。
【0008】
項2:前記第1の部分には充填材が充填されない、項1に記載の腹巻。
【0009】
項3:前記第1~第4の各部分は、重ね合わされた前記表地および前記裏地に筒状の軸方向に沿ってキルティングを施すことで区画される、項1または項2に記載の腹巻。
【0010】
項4:前記充填材は、粒状体を含む、項1から項3のいずれか1項に記載の腹巻。
【0011】
項5:前記第1の部分の周方向の長さは、前記第3の部分の周方向の長さよりも長い、項1から項4のいずれか1項に記載の腹巻。
【0012】
項6:前記第2の部分と前記第4の部分とは、周方向の長さが同じである、項1から項5のいずれか1項に記載の腹巻。
【0013】
項7:前記第1の部分の周方向の長さおよび前記第3の部分の周方向の長さは、前記第2の部分と前記第4の部分の周方向の長さよりも長い、項1から項6のいずれか1項に記載の腹巻。
【0014】
項8:前記第1~第4の各部分は、軸方向の長さ全体にわたって形成される、項1から項7のいずれか1項に記載の腹巻。
【0015】
項9:前記本体部分の軸方向の一方側に、前記本体部分に連続して筒状の一方側部分をさらに備える、項1から項8のいずれか1項に記載の腹巻。
【0016】
項10:前記本体部分の軸方向の他方側に、前記本体部分に連続して筒状の他方側部分をさらに備える、項9に記載の腹巻。
【0017】
項11:項1から10のいずれか1項に記載の腹巻の使用方法であって、
着用者は、前記腹巻を、前記第1の部分が着用者の胴部の腹部側、前記第3の部分が人体の胴部の腰部側、前記第2、第4の各部分が着用者の胴部の左右の横腹部側に位置するように装着し、
着用者が仰向けに寝た場合、前記第3の部分の前記充填材が腰部の形状に沿って移動して腰部を支持する、腹巻の使用方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、着脱が容易であり、横たわった姿勢で着用して胴部を支持することのできる腹巻および腹巻の使用方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の腹巻を正面右上方向からみた状態を示す斜視図である。
【
図2】腹巻を背面左下方向からみた状態を示す斜視図である。
【
図7】(A)は
図3のA-A線に沿う断面図であり、(B)は
図3のB-B線に沿う断面図である。
【
図8】着用者が腹巻を着用して仰向けに寝た状態を示す説明図である。
【
図9】着用者が腹巻を着用して横向けに寝た状態を示す説明図である。
【
図10】本発明の他の実施形態の腹巻を示す斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施形態の腹巻を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1~7は、本発明の一実施形態の腹巻10を示す。本発明の腹巻10は着用者の胴部に装着するものであり、着用者Pの胴部の少なくとも下部であって、腰部、腹部のへそを含む下部、腹部の左右の側部である横腹部を覆うものである。腹巻10は、筒状であって、伸縮性を有する生地11から構成されている。生地11は、少なくとも腹巻10の周方向Yに沿って伸縮性を有する生地11であり、本実施形態では、周方向Yおよび筒状の軸方向Xに沿って伸縮性を有する生地11である。生地11は表地12と裏地13とが重ねられたものである。生地11の軸方向Xの一方の端部および他方の端部は、表地12と裏地13とが周方向Yに沿って連結され、腹巻10は袋状となっている。
【0021】
腹巻10は、本体部分10Aと、本体部分10Aの軸方向Xの一方側に一方側部分10Bとを備え、本体部分10Aは、筒状であって周方向Yに沿って第1~第4の各部分20A~20Dに区画されている。一方側部分10Bは、軸方向Xに沿って筒状の第1~第4の各部分20A~20Dに連続して設けられている。
【0022】
生地11にはキルティング14A~14Eが施されており、キルティング14A~14Eにより第1~第4の各部分20A~20Dおよび一方側部分10Bが区画されている。図面において、キルティング14A~14Eは点で表した線で示されている。腹巻10の少なくとも本体部分10Aの生地11には軸方向Xに沿って4本のキルティング14A~14D(縫い目)が設けられており、このキルティング14A~14Dにより腹巻10の周方向Yに第1~第4の各部分20A~20Dが区画されている。また、腹巻10の本体部分10Aと一方側部分10Bとの間には周方向Yに沿って少なくとも第2~第4の各部分20B~20Dに対応する位置にキルティング14Eが施されており、キルティング14Eにより軸方向Xに沿って一方側部分10Bと第2~第4の各部分20B~20Dとが区画されている。
【0023】
本実施形態においては、4本のキルティング14A~14Dが腹巻10の軸方向Xの全長にわたって設けられており、4本のキルティング14A~14Dは、本体部分10Aを第1~第4の各部分20A~20Dに区画し、一方側部分10Bを小部分21A~21Dに区画している。キルティング14Eは、腹巻10の本体部分10Aと一方側部分10Bとの間であって周方向Yに沿って第2~第4の各部分20B~20Dに対応する位置に設けられている。キルティング14Eは第1の部分20Aに対応する位置には施されていないため、第1の部分20Aと一方側部分10Bの小部分21Aとはキルティング14Eで区画されずに連続している。
【0024】
表地12と裏地13との間の内部空間には室15A~15Hが形成されている。本実施形態においては、
図7(A)、
図7(B)に示すように、第1~第4の各部分20A~20Dはそれぞれ室15A~15Dを備え、一方側部分10Bの小部分21A~21Dはそれぞれ室15E~15Hを備えている。第1の部分20Aの室15Aと一方側部分10Bの小部分21Aの室15Eとは連続している。
【0025】
なお、キルティング14A~14Eは、少なくとも第1~第4の各部分20A~20Dを区画するように設けられていれば、いずれの位置に設けられていてもよい。本実施形態では、4本のキルティング14A~14Dは腹巻10の軸方向Xの全長にわたって、すなわち腹巻10の本体部分10Aと一方側部分10Bに連続して設けられているが、本体部分10Aにのみ設けられていてもよい。この場合、一方側部分10Bは小部分21A~21Dに区画されず、一方側部分10Bは周方向Yに連続した1つの室を備え、第1の部分20Aの室15Aと一方側部分10Bの室が連続する。また、キルティング14Eは周方向Yに1周にわたって設けられていてもよい。この場合、一方側部分10Bと第1~第4の各部分20A~20Dとがキルティング14Eによって区画され、第1の部分20Aの室15Aと一方側部分10Bの室とは連続しない。
【0026】
本実施形態においては、第1の部分20Aの周方向Yの長さL1は、第3の部分20Cの周方向Yの長さL3よりも長く設定され、第2の部分20Bの周方向の長さL2と第4の部分20Dの周方向Yの長さL4が同じに設定され、第3の部分20Cの周方向Yの長さL3は、第2の部分20Bと第4の部分20Dの周方向Yの長さL2、L4よりも長く設定されている。本実施形態においては、腹巻10の周方向Y全体の長さ(周長)は76cm、第1の部分20Aの周方向Yの長さL1は22cm、第3の部分20Cの周方向Yの長さL3は20cm、第2および第4の各部分20B、20Dの周方向Yの長さL2、L4は17cmに設定されている。一方側部分10Bの小部分21A~21Dの周方向の長さは第1~第4の各部分20A~20Dの周方向の長さL1~L4と同じとなる。長さL1~L4は上記の長さに限定されるものではなく、着用者の体型などに合わせて適宜設定される。例えば、第1の部分20Aの周方向Yの長さL1と第3の部分20Cの周方向Yの長さL3とが同じ長さに設定されていてもよい。長さL1~L4は、腹巻10に力を加えておらず、腹巻10が伸びていない、かつ縮んでいない状態でのキルティング14A~14D間の周方向の距離である。
【0027】
表地12、裏地13を構成する伸縮性を有する生地11は、例えば、ベア天竺、スムースといわれる生地などが挙げられるが、伸縮性素材(ストレッチ素材)であればいずれの生地11が用いられてもよい。生地11は、生地11に所定の方向に沿って力を加えたときに、生地11に力を加えていない状態の所定の方向に沿う長さに対して1.2倍以上、3倍以下に伸びる程度の伸縮性を有することが好ましく、より好ましくは1.2倍以上、2倍以下に伸びる程度の伸縮性を有する。生地11が伸縮性を有することで、腹巻10が着用者の体型にフィットする。
【0028】
また、第2~第4の各部分20B~20Dの各室15B~15Dには充填材16が充填される。充填材16は外部から力を加えたときに各室15B~15Dの内部を移動可能であり、これにより、充填材16全体が変形する。本実施形態では、充填材16は少なくとも第1素材である粒状体から構成される。粒状体は、例えば、球体、楕円体、立方体、直方体、多面体等の立体形状を有し、表面上の任意の一点と他の任意の一点との間の距離の最大値が1mm以上、30mm以下であることが好ましく、1mm以上、10mm以下がより好ましい。粒状体は、例えば、発泡ビーズ、ガラスビーズ、ウレタンフォーム等の発泡剤の粉砕物、綿、木綿、シルク、羊毛等の天然繊維を粒加工したもの、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成繊維を粒加工したもの、等やこれらの組み合わせから構成されるが、これに限定されない。本実施形態では、平均直径が3mm程度の発泡ビーズを用いている。
【0029】
また、充填材16は、上記の第1素材と、第1素材とは異なる第2素材とを含んでいてもよい。第2素材は、第1素材よりも流動性の低い素材から構成されてもよい。流動性とは、外部から力を加えたときに各室15B~15D内において移動のしやすさをいう。例えば、同じ組成の素材であれば球体は立方体や直方体よりも流動性が高く、表面の摩擦力が小さい素材は表面の摩擦力が大きい素材よりも流動性が高い。第2素材は、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成繊維の短繊維(カッティング材)、木綿や麻、シルク、羊毛等の天然繊維の短繊維(カッティング材)、レーヨン、リヨセールなどセルロース系の人造繊維の短繊維(カッティング材)、ウレタンや硬綿からなる芯材をカットした粒体などのいずれか、またはこれらのうちから複数を混合したものから構成される。第2素材は、例えば、球体、楕円体、立方体、直方体、多面体等の立体形状を有し、表面上の任意の一点と他の任意の一点との間の距離の最大値が第1素材よりも大きく設定され、1mmより大きく、50mm以下であることが好ましく、1mmより大きく、30mm以下がより好ましい。第1素材と第2素材との混合割合を調整することで、充填材全体の流動性を調整できる。第1素材、第2素材および混合割合は、填材全体として、着用者の腰部、横腹部の形状に沿う流動性を確保できるように適宜選択される。一例では、第1素材として平均直径が3mm程度の発泡ビーズを用い、第2素材として表面上の任意の一点と他の任意の一点との間の距離の最大値の平均が5mm程度のウレタンからなる粒体を用い、第1素材と第2素材との混合割合を1:1と設定してもよい。
【0030】
なお、第1素材、第2素材にさらに消臭性の素材、香りを発する素材、抗菌性の素材等、様々な機能を有する素材等が含まれていてもよく、第1素材、第2素材自体がこれらの機能を備えていてもよい。
【0031】
第1の部分20Aの室15Aには充填材16は充填されていない。また、一方側部分10Bの室15E~15Hには充填材16が充填されていない。「充填材16が充填されない」とは完全に充填材16が含まれない場合に加え、充填材16が充填されている場合であっても、充填材16によって胴部を支持できない程度の非常に少ない量が充填されている場合を含む。
【0032】
本実施形態の腹巻10は以下のように製造される。一枚の長方形の生地11を、生地11の長さ方向が腹巻10の軸方向Xに対応する方向に沿うように二つ折りにする。二つ折りに重なった生地11が表地12および裏地13となる。二つ折りの生地11に、腹巻10の周方向Yに対応する方向に沿ってキルティング14Eを設ける。また、軸方向Xの全長にわたって平行に3本のキルティング14B~14Dを設ける。さらに二つ折りの生地11を腹巻10の周方向Yに対応する方向に沿って曲げて環状とし、キルティング14Aを施して筒状とする。軸方向Xに沿う端部であって折り返された側と反対の側の端部は開放されているので、第2~第4の各部分20B~20Dの各室15B~15Dに、吹き込み方式等により充填材16を充填しながら、もしくは充填した後、反対の側の端部を縫い合わせにより閉じる。
【0033】
なお、製造方法は上記に限定されず、本発明の腹巻10を製造できればいずれの方法でもよく、例えば、2枚の長方形の生地11の周囲を縫い合わせることで、二つ折り長方形を作成してもよい。
【0034】
また、第1の部分20Aの生地11および一方側部分10Bの生地11は、表地12と裏地13のどちらか一方から構成されていてもよい。
【0035】
(腹巻10の使用方法)
腹巻10の使用方法について説明する。着用者は、腹巻10を足側から履く、または頭側から被って、胴部に腹巻10を装着する。このとき、着用者Pは、腹巻10を、一方側部分10Bが着用者Pの頭側に位置し、第1の部分20Aが着用者Pの胴部の腹部側、第3の部分20Cが人体の胴部の腰部側、第2、第4の各部分20B~20Dが着用者Pの胴部の左右の横腹部側に位置するように装着する。腹巻10は伸縮性を有するため、着用者Pの胴部の大きさに合わせて腹巻10の周方向Yの長さが伸びる。
【0036】
図8に示すように、着用者Pが腹巻10を着用して寝具に仰向けに寝た場合、腹巻10の第3の部分20Cの充填材16は着用者Pの自重により室15C内を移動し、着用者Pの腰部の湾曲形状に沿った形状となり、腰部を支持する。また、
図9に示すように、着用者Pが、着用者Pから見て右側が下となるように横向けに寝た場合、第2の部分20Bの充填材16は着用者Pの自重により室15B内を移動し、横腹部の湾曲形状に沿った形状となり、右側の横腹部を支持する。着用者Pが、着用者Pから見て左側が下となるように横向けに寝た場合、第4の部分20Dの充填材16は着用者Pの自重により室15D内を移動し、横腹部の形状に沿った形状となり、左側の横腹部を支持する。充填材16が変形しやすいように、着用者Pは寝る前に予め手で充填材16を腰部、左右の横腹部に対応する位置に寄せておいてもよい。なお、
図8、
図9においては、着用者Pの頭側に一方側部分10Bが位置するように腹巻10が着用されているが、着用者Pの脚側に一方側部分10Bが位置するように腹巻10が着用されてもよい。
【0037】
本実施形態によれば、腹巻10は筒状であって、伸縮性を有する生地11から構成されているため、履く、または被る動作により着用することができ、腰に巻き付ける動作がなく着脱が容易である。また、従来技術のように補強部材を使用しておらず、布地等の生地11から構成されており柔らかいため、横たわった姿勢でも着用することが可能であり、装着したまま就寝することもできる。また、胴部、特に、腰部や左右の横腹部の形状に合わせて充填材16が移動するため、しっかりと胴部、特に要部や左右の横腹部を支持することができる。さらに、腹巻10の第2~第4の各部分20B~20Dに充填材16が充填されているため、第2~第4の各部分20B~20Dは第1の部分20Aに比べて保温性を有し、第2~第4の各部分20B~20Dが位置する腰部や左右の横腹部を暖めることができる。
【0038】
さらに、第1の部分20Aには充填材16が充填されていないため、着用者Pがうつ伏せで寝た場合に、充填材16により腹部が圧迫されることがない。さらに、一方側部分10Bを有することで、一方側部分10Bが腹部の上部や腰部より上の背中の下部に位置し、腹巻10が着用者に接触する面積が大きくなり、腹巻10が腰部や腹部の下部からずれにくくなる。また、一方側部分10Bにより腹部や背中の下部を暖めることができる。また、一方側部分10Bを足側にして着用した場合には、一方側部分10Bにより臀部や太もも部分を暖めることができる。
【0039】
図10に本発明の他の実施形態を示す。
図10の実施形態においては、一方側部分10Bを備えていない点において、第1の実施形態とは異なっている。第1~第4の各部分20A~20Dは腹巻10の軸方向Xに沿って長さ全体にわたって形成されており、キルティング14Eは施されていない。その他の構成については、
図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0040】
図10の実施形態の腹巻10は以下のように製造される。一枚の長方形の生地11を、生地11の長さ方向が腹巻10の軸方向Xに対応する方向に沿うように二つ折りにする。
二つ折りの生地11に、軸方向Xの全長にわたって平行に3本のキルティング14B~14Dを設ける。さらに二つ折りの生地11を腹巻10の周方向Yに対応する方向に沿って曲げて環状とし、キルティング14Aを施して筒状とする。軸方向Xに沿う端部であって折り返された側と反対の側の端部は開放されているので、第2~第4の各部分20B~20Dの各室15B~15Dに、吹き込み方式等により充填材16を充填しながら、反対の側の端部を縫い合わせにより閉じる。
【0041】
図11に本発明の他の実施形態を示す。
図11の実施形態においては、
図1の実施形態の第1~第4の各部分20A~20Dの軸方向の他方側に、第1~第4の各部分20A~20Dに連続して筒状の他方側部分10Cをさらに備えている。キルティング14Eと平行であって、キルティング14Eよりも他方側であって少なくとも第2~第4の各部分20B~20Dに対応する位置に、キルティング14Fが施されている。キルティング14Fにより軸方向Xに沿って他方側部分10Cと本体部分10Aの第2~第4の各部分20B~20Dとが区画されている。
【0042】
本実施形態においては、4本のキルティング14A~14Dが腹巻10の軸方向Xの全長にわたって設けられており、4本のキルティング14A~14Dは、他方側部分10Cを小部分22A~22Dに区画している。キルティング14Fは第1の部分20Aに対応する位置には施されていないため、第1の部分20Aと他方側部分10Cの小部分22Aとはキルティング14Fで区画されずに連続している。他方側部分10Cの小部分22A~22Dはそれぞれ室15I~15Lを備えており、第1の部分20Aの室15Aと他方側部分10Cの小部分22Aの室15Iとは連続している。その他の構成については、
図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0043】
本実施形態の腹巻10は以下のように製造される。一枚の長方形の生地11を、生地11の長さ方向が腹巻10の軸方向Xに対応する方向に沿うように二つ折りにする。二つ折りの生地11に、腹巻10の周方向Yに対応する方向に沿ってキルティング14Eを設ける。また、軸方向Xの全長にわたって平行に3本のキルティング14B~14Dを設ける。さらに二つ折りの生地11を腹巻10の周方向Yに対応する方向に沿って曲げて環状とし、キルティング14Aを施して筒状とする。第2~第4の各部分20B~20Dの各室15B~15Dに、吹き込み方式等により充填材16を充填しながら、もしくは充填した後、キルティング14Fを施す。最後に、軸方向Xに沿う端部であって折り返された側と反対の側の端部、すなわち他方側部分10Cの端部を縫い合わせにより閉じる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
【符号の説明】
【0045】
10 腹巻
10A 本体部分
10B 一方側部分
10C 他方側部分
11 生地
12 表地
13 裏地
14A~14E キルティング
15A~15H 室
16 充填材
20A~20D 第1~第4の各部分
21A~21D 一方側部分の小部分
P 着用者
X 軸方向
Y 周方向