(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018561
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】洗濯機用の嵩上げ具
(51)【国際特許分類】
D06F 39/12 20060101AFI20250130BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20250130BHJP
D06F 37/26 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
D06F39/12 Z
F16M13/00 Z
D06F37/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122371
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】513101685
【氏名又は名称】株式会社タツフト
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】笹尾 隆文
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA23
3B165BA24
3B165BA88
3B165CA21
3B165CA22
(57)【要約】
【課題】洗濯機の設置場所に拘わらずその設置高さを調整することができる洗濯機用の嵩上げ具の提供。
【解決手段】第1ベース部材12と1つまたは複数の第2ベース部材14とを組み合わせることによって形成され、洗濯機の各脚の下部に配置される。第1ベース部材12の上端部には、第1窪み部18が形成される。第2ベース部材14の上端部には、第2窪み部24が形成され、第2ベース部材14の下端部には、下方に突出する突出部26が形成される。突出部26を第1ベース部材12の第1窪み部18に嵌め込むことによって、第1ベース部材12と第2ベース部材14とが縦方向に組み合わせられ、第2ベース部材14の第2窪み部24に他の第2ベース部材14の突出部26を嵌め込むことによって、複数の第2ベース部材14が縦方向に組み合わせられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の各脚の下部に配置され、第1ベース部材と少なくとも1つの第2ベース部材とによって形成される洗濯機用の嵩上げ具であって、
前記第1ベース部材の上端部に形成される第1窪み部、前記第2ベース部材の下端部に形成され、前記第1窪み部と嵌合可能な形状に形成される突出部、および前記第2ベース部材の上端部に形成され、他の前記第2ベース部材の前記突出部と嵌合可能な形状に形成される第2窪み部を備えることを特徴とする洗濯機用の嵩上げ具。
【請求項2】
前記第1ベース部材の下方部分には、底面カバーが取り付けられている請求項1に記載の洗濯機用の嵩上げ具。
【請求項3】
前記第1ベース部材は、上面視及び下面視において略8角形状であって、立体的なダイヤ模様が施された上方部分と、上下方向において垂直に延びる下方部分とを有する請求項1又は2に記載の洗濯機用の嵩上げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機を床面から嵩上げするための洗濯機用の嵩上げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機用を床面から嵩上げするための製品は公知である。例えば、特許文献1には、洗濯機を床面に設置する際に、床面から嵩上げするための嵩上げ台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、洗濯機を室内洗濯パンに載置する場合にしか用いることができず、さらに、洗濯機を設置する位置、向き、および高さを適宜調整することができない。たとえば、床に直置きしなければならない環境や、洗濯パンの種類(4辺の高さがないフラットタイプ、高さが5cm以上のもの)によっては設置が出来ないために、特許文献1の洗濯機用の嵩上げ台によってこれに対応するのはきわめて困難である。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の技術的課題を解決するために、洗濯機の設置場所に拘わらずその設置高さを調整することができる、洗濯機用の嵩上げ具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗濯機の各脚の下部に配置され、第1ベース部材と少なくとも1つの第2ベース部材とによって形成される洗濯機用の嵩上げ具に関する。
【0007】
本発明に係る洗濯機用の嵩上げ具は、前記第1ベース部材の上端部に形成される第1窪み部、前記第2ベース部材の下端部に形成され、前記第1窪み部と嵌合可能な形状に形成される突出部、および前記第2ベース部材の上端部に形成され、他の前記第2ベース部材の前記突出部と嵌合可能な形状に形成される第2窪み部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る洗濯機用の敷きマットは、以下の好ましい実施態様を有する。
(1)前記第1ベース部材の下方部分には、底面カバーが取り付けられている。
(2)前記第1ベース部材は、上面視及び下面視において略8角形状であって、立体的なダイヤ模様が施された上方部分と、上下方向において垂直に延びる下方部分とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗濯機の各脚の下部に配置される洗濯機用の嵩上げ具の高さを調整することができるため、洗濯機の設置場所に拘わらずその設置高さを調整することができる。
【0010】
本発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかになるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例の洗濯機用の嵩上げ具を洗濯機の脚の下部に設けた様子を示す図解図。
【
図2】(A)
図1の嵩上げ具の側面図。(B)底面カバーの斜視図。
【
図3】(A)第1ベース部材の側面図。(B)第1ベース部材の平面図。(C)第1ベース部材の底面図。
【
図4】(A)第2ベース部材の側面図。(B)第2ベース部材の平面図。(C)第2ベース部材の底面図。
【
図6】(A)使用例の一例における嵩上げ具の斜視図。(B)他の使用例の一例における嵩上げ具の斜視図。
【
図7】(A)他の使用例の一例における嵩上げ具の斜視図。(B)他の使用例の一例における嵩上げ具の斜視図。
【
図8】(A)他の実施例に係る洗濯機用の嵩上げ具の斜視図。(B)他の実施例に係る第1ベース部材の側面図。(C)他の実施例に係る第1ベース部材の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る洗濯機用の嵩上げ具10は、洗濯機100の振動を防止するとともに、洗濯機100が設置される床面に伝わる音を低減させるためのものであり、第1ベース部材12と第2ベース部材14とを縦(上下)方向に組み合わせることによって、または、第1ベース部材12のみ、第2ベース部材14のみ、複数の第1ベース部材12を積み重ねたもの、複数の第2ベース部材14を積み重ねたもの等から形成される。この洗濯機用の嵩上げ具10は、
図1に示すように、洗濯機100の脚102の下部であり、洗濯機100の脚102と設置面(洗濯パン、屋内の床面や屋外の地面等)との間に配置されて、洗濯機100を支持する。第1及び第2ベース部材12,14は、それぞれが、洗濯機100を支持する土台部材(ベース部材)または嵩上げ部材としての役割を果たしうる。
【0013】
第1ベース部材12は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、エラストマー、NBR(ニトリルゴム)、IIR(ブチルゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)やNR(天然ゴム)等のゴムからなる。
図3(A)、(B)および(C)に示すように、この第1ベース部材12の本体16は、略直方体に形成される。
図3(B)に示すように、本体16は、上面視が略正方形状であり、たとえば、1辺の長さ寸法L1,W1が90~140mm程度に設定される。また、
図3(A)に示すように、本体16は、その上下方向の長さ寸法(高さ寸法)H1が25~60mm程度に設定される。
【0014】
図3(A)および(B)に示すように、第1ベース部材12(本体16)の上端部には、第1窪み部18が形成される。第1窪み部18は、詳細は後述する、第2ベース部材14の突出部26に相当する大きさ(形状)を有する窪みである。
図3(B)に示すように、第1窪み部18は、上面視が略正方形状であり、たとえば、1辺の長さ寸法L2,W2が80~120mm程度に設定される。また、
図3(A)に示すように、第1窪み部18は、その上下方向の長さ寸法(深さ寸法)D1が4~7mm程度に設定される。
【0015】
第1ベース部材12が、上下方向において垂直に延びる上方部分12aと、下方へテーパー状に延びる中間部分12cと、上下方向において垂直に延びていて、中間部分12cよりも幅狭の突出部12bとを有する。第1ベース部材12がかかる形態を有することによって、下面の面積が上面の面積よりも小さくなっており、例えば、洗濯パンが洗濯機の底面よりも僅かに小さい場合であっても、嵩上げ具10を設置することができる。
【0016】
また、
図3(A)及び(C)に示すように、第1ベース部材12(本体16)の下端部には、複数の肉盗み部20が形成されており、この肉盗み部20によって第1ベース部材12の軽量化が図られる。この実施例では、略直方体状に形成される肉盗み部20が規則的に配置されるが、その形状および配置位置はこれに限定されるものではない。
【0017】
また、
図2(B)に示すとおり、第1ベース部材12の突出部12bには、底面カバー30が取り付けられている。底面カバー30は、第1ベース部材12と同様にゴム製(具体的には、シリコーン樹脂製)であって、可撓性を有し、被覆面31と、被覆面31の外周から上方へ起立する周壁部32とを含む。
【0018】
底面カバー30の周壁部32の内周面に第1ベース部材12の突出部12bが当接されるように底面カバー30を第1ベース部材12の下面に押し当てることによって、底面カバー30を容易に突出部12bに被着することができる。第1ベース部材12に底面カバー30が取り付けられることによって、第1ベース部材12が床面に触れて汚れるのを防止することができ、床面に第1ベース部材12の設置跡が付くのを抑制することができ、また、シリコーン特有のグリップ力で稼働を抑制することができる。
【0019】
図4(A)~(C)に示すとおり、第2ベース部材14も第1ベース部材12と同じ形状を有し、第1ベース部材12よりも厚さ寸法が小さくなっている。第2ベース部材14は、第1ベース部材12と同様のゴムによって形成され、第1ベース部材12の上部に配置される。
図4(A)、(B)および(C)に示すように、この第2ベース部材14の本体22は、上方に向けて拡開する略逆台形状に形成される。
図4(B)および(C)に示すように、本体22は、上面視ならびに下面視が略正方形状であり、たとえば、上面の1辺の長さ寸法L3,W3が90~140mm程度に設定され、下面の1辺の長さ寸法L5,W5が上面の1辺の長さ寸法L3,W3よりも10~20mm程度小さく設定される。また、
図4(A)に示すように、本体22は、その上下方向の長さ寸法(高さ寸法)H2が20~45mm程度に設定される。
【0020】
図4(A)および(B)に示すように、第2ベース部材14(本体22)の上端部には、第2窪み部24が形成される。第2窪み部24は、第1ベース部材12の第1窪み部18と略等しい大きさ(形状)を有する窪みである。
図4(B)に示すように、第2窪み部24は、上面視で略正方形状であり、たとえば、1辺の長さL4,W4が80~120mm程度に設定される。また、
図4(A)に示すように、第2窪み部24は、その上下方向の長さ寸法(深さ寸法)D2が4~7mm程度に設定される。
【0021】
図4(A)および(C)に示すように、第2ベース部材14(本体22)の下端部には、突出部26が形成される。突出部26は、上述したように、第1ベース部材12の第1窪み部18、ならびに第2ベース部材14自身の第2窪み部24に相当する大きさ(形状)を有する略直方体状に形成され、その上下方向の長さ寸法(高さ寸法)が4~7mm程度に設定される。
【0022】
また、
図4(C)に示すように、第2ベース部材14(本体22)の下端部には、複数の肉盗み部28が形成されており、この肉盗み部28によって第2ベース部材14の軽量化が図られる。この実施例では、第1ベース部材12の肉盗み部28と同様に、略直方体状に形成される肉盗み部28が規則的に配置されるが、その形状および配置位置はこれに限定されるものではない。
【0023】
たとえば、このような洗濯機用の嵩上げ具10によって、洗濯機100を支持する場合には、先ず、洗濯機100の脚102のそれぞれに対応する位置に第1ベース部材12を配置し、その上に第2ベース部材14を重ねる。具体的には、
図5に示すとおり、第1ベース部材12の第1窪み部18の位置と第2ベース部材14の突出部26の位置とが合わせられて、第2ベース部材14の突出部26が第1ベース部材12の第1窪み部18に嵌め込まれる。すると、
図1に示すように、第1ベース部材12と第2ベース部材14とが縦(上下)方向に組み合わせられ、図示は省略するが、この第2ベース部材14の上部(第2窪み部24)に洗濯機100の脚102を載置することができる。
【0024】
さらに、複数の第2ベース部材14を重ねる場合には、第1ベース部材12と組み合わされている第2ベース部材14の第2窪み部24の位置と他の第2ベース部材14の突出部26の位置とが合わせられて、第1ベース部材12と組み合わされている第2ベース部材14の第2窪み部24に他の第2ベース部材14の突出部26が嵌め込まれる。
【0025】
このように、この実施例では、洗濯機100の各脚102の下部に洗濯機用の嵩上げ具10が設けられる。このため、洗濯機100の大きさ、排水口の位置、洗濯機の設置環境(洗濯パンの有無、洗濯パンの高さ、室内又は室外の床に直置き等)、給水栓の位置などに応じて適宜対応することができる。また、1つまたは複数の第2ベース部材14を組み合わせることができるので、洗濯機用の嵩上げ具10の高さを適宜調整することができる。したがって、この実施例によれば、洗濯機100の設置場所に拘わらずその設置高さを調整することができる。
【0026】
さらに、この実施例では、第1ベース部材12と第2ベース部材14とが、第1及び第2窪み部18,24と突出部26との嵌合構造によって、縦方向に組み合わさ(重ねら)れる。このため、洗濯機用の嵩上げ具10の高さを調整しても、その安定を保つことができる。
【0027】
なお、
図1では、1つの第1ベース部材12と1つの第2ベース部材14とを組み合わせることによって洗濯機用の嵩上げ具10を形成しているが、これに限定される必要はなく、洗濯機100の設置高さに応じて、第1ベース部材12と1つまたは複数の第2ベース部材14とを縦方向に組み合わせて、洗濯機用の嵩上げ具10を形成することができる。
【0028】
また、第1ベース部材12を用いずに、1つまたは複数の第2ベース部材14のみを縦方向に組み合わせることによって、洗濯機用の嵩上げ具10を形成してもよい。
【0029】
さらに、上述の実施例では、第2ベース部材14の突出部26が、第1ベース部材12の第1窪み部18、ならびに第2ベース部材14の第2窪み部24に相当する大きさ(形状)を有する略直方体状に形成されたが、これに限定される必要はなく、第2ベース部材14の突出部26と第1ベース部材12の第1窪み部18とが嵌合可能な形状に形成されるとともに、第2ベース部材14の突出部26と他の第2ベース部材14の第2窪み部24とが嵌合可能な形状に形成されるのであれば、第1ベース部材12の第1窪み部18、第2ベース部材14の突出部26、ならびに第2ベース部材14自身の第2窪み部24の形状は特に問わない。
【0030】
図6(A)では、嵩上げ具10の他の使用例として、嵩上げ具10が第1ベース部材12のみから構成されている。また、
図6(B)では、嵩上げ具10の他の使用例として、嵩上げ具10が第2ベース部材14のみから構成されている。このように、第1ベース部材12又は第2ベース部材14のみであっても嵩上げ具10として好適に使用することができる。
図6(B)に示すとおり、底面カバー30は、第1ベース部材12のみならず、第2ベース部材14の底面に対しても被着して使用することができる。
【0031】
図7(A)では、嵩上げ具10の他の使用例として、嵩上げ具10が2つの第1ベース部材12を積み重ねて構成されている。また、
図7(B)では、嵩上げ具10の他の使用例として、嵩上げ具10が2つの第2ベース部材14を積み重ねて構成されている。このように、同じ種類である、第1ベース部材12どうし又は第2ベース部材14どうしを積み重ねた場合であっても、嵩上げ具10として好適に使用することができる。
【0032】
なお、上述した径や高さ寸法等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【0033】
<他の実施例>
図8(A)は、他の実施例に係る洗濯機用の嵩上げ具10の斜視図、
図8(B)は、さらに他の実施例に係る第1ベース部材12の側面図、
図8(C)は、第1ベース部材12の下面の平面図である。洗濯機用の嵩上げ具10の基本構成は、
図1~
図7に示した嵩上げ具10と同じであるから、相違点についてのみ以下に述べる。なお、本実施形態において、第1ベース部材12の高さ寸法は、25~60mm、第2べース部材14の高さ寸法は、20~45mmである。
【0034】
本実施形態に係る嵩上げ具10では、第1ベース部材12は、上面視及び下面視において略8角形状であって、立体的なダイヤ模様が施された上方部分12aと、上下方向において垂直に延びる突出部12bとを有する。上方部分12aの立体的なダイヤ模様は、大小様々な大きさの略3角形状の面41,42が複数組み合わされて形成されていて、上方部分12aのうちの下方側に位置する面42の一部は、下方部分12bに向かって傾斜状に延びている。
【0035】
図8(A)に示すように、第2ベース部材14は、第1ベース部材12と同様の形状を有している。このように、第1ベース部材12と第2ベース部材14とが立体的なダイヤ模様が施されていることによって、平坦な外面を有する場合に比べて、装飾性に優れる。
【0036】
図8(C)を参照すると、第1ベース部材12の下面は略八角形状であって、第1実施形態と同様に、矩形状の肉盗み部20が複数形成されている。第1ベース部材12の第1窪み部18が略八角形状であって、第1ベース部材12の上に積み重ねられる第2ベース部材14の下面の形状も略八角形状であるから、それらが四角形状である第1及び第2実施形態に係る嵩上げ具10に比べて、第1ベース部材12と第2ベース部材14とが互いに接触する面が多方向へ延びており、多方向からの第2ベース部材14を第1ベース部材12から横ずれさせようとする力にも抗することができるといえる。
【符号の説明】
【0037】
10 洗濯機用の嵩上げ具
12 第1ベース部材
12a 上方部分
12b 下方部分
14 第2ベース部材
18 第1窪み部
24 第2窪み部
26 突出部
30 底面カバー
100 洗濯機
102 脚