(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001859
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ピッキングリフト及びピッキングリフトの調整方法
(51)【国際特許分類】
B66F 9/12 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
B66F9/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101585
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正人
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 直人
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AA15
3F333AB13
3F333AE02
3F333BB15
3F333DB02
3F333FD01
(57)【要約】
【課題】アクチュエータの制御に係る調整作業を容易にする。
【解決手段】ロックバーがロック解除状態であるときに、レバー95が前後方向において第4延出部94から離れるように変位されることによって前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材を介在可能である。ロックバーがロック解除状態であるときの第4延出部94に当接するレバー95の位置を第1位置とし、前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材が介在された状態であるときのレバー95の位置を第2位置とする。制御部は、変位量検出部83によって検出された第1位置と第2位置とのレバー95の変位量である基準値に基づいて、アクチュエータを制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転台から延出するフォークと、
パレットの下側デッキボードに押し付けられることによって前記フォークと共に前記パレットをロックするロックバーと、
前記パレットをロックするロック状態と前記パレットのロックを解除するロック解除状態とで前記ロックバーを変位可能なアクチュエータと、
収縮可能なスプリングを含み、前記ロックバーと前記アクチュエータとの間に配置されるリンク機構と、
第1方向に延びる延出部を含み、前記スプリングの収縮量に応じて前記第1方向に対して直交する第2方向に変位する延出部材と、
前記第2方向における前記延出部材の変位に伴って前記延出部に当接しながら前記第1方向及び前記第2方向に変位するレバーと、
前記レバーの変位量を検出する変位量検出部と、
前記アクチュエータを制御する制御部と、を備え、
前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときに、前記レバーが前記第2方向において前記延出部から離れるように変位されることによって前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に介在部材を介在可能であり、
前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときの前記延出部に当接する前記レバーの位置を第1位置とし、前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に前記介在部材が介在された状態であるときの前記レバーの位置を第2位置とすると、
前記制御部は、前記変位量検出部によって検出された前記第1位置と前記第2位置との前記レバーの変位量である基準値に基づいて、前記アクチュエータを制御することを特徴とするピッキングリフト。
【請求項2】
前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に介在された前記介在部材を支持する支持部材を備える、請求項1に記載のピッキングリフト。
【請求項3】
運転台から延出するフォークと、
パレットの下側デッキボードに押し付けられることによって前記フォークと共に前記パレットをロックするロックバーと、
前記パレットをロックするロック状態と前記パレットのロックを解除するロック解除状態とで前記ロックバーを変位可能なアクチュエータと、
収縮可能なスプリングを含み、前記ロックバーと前記アクチュエータとの間に配置されるリンク機構と、
第1方向に延びる延出部を含み、前記スプリングの収縮量に応じて前記第1方向に対して直交する第2方向に変位する延出部材と、
前記第2方向における前記延出部材の変位に伴って前記延出部に当接しながら前記第1方向及び前記第2方向に変位するレバーと、
前記レバーの変位量を検出する変位量検出部と、
前記アクチュエータを制御する制御部と、を備えるピッキングリフトの調整方法であって、
前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときに、前記レバーを前記第2方向において前記延出部から離れるように変位させることによって前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に介在部材を介在させ、
前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときの前記延出部に当接する前記レバーの位置を第1位置とし、前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に前記介在部材が介在された状態であるときの前記レバーの位置を第2位置とすると、
前記変位量検出部は、前記第1位置と前記第2位置との前記レバーの変位量を基準値として検出し、
前記制御部は、前記基準値に基づいて前記アクチュエータを制御することを特徴とするピッキングリフトの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングリフト及びピッキングリフトの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトの1つとして、ピッキングリフトが知られている。ピッキングリフトは、運転台から延出するフォークを備える。ピッキングリフトを用いたピッキング作業では、パレットのがたつきの抑制が求められている。特許文献1に記載のピッキングリフトは、上記のがたつきを抑制する目的で、ロックバーと、アクチュエータと、を備えている。ロックバーは、パレットの下側デッキボードに押し付けられることによってフォークと共にパレットをロックする。アクチュエータは、パレットをロックするロック状態とパレットのロックを解除するロック解除状態とでロックバーを変位可能である。ロックバーの変位に伴って変位する部材の変位量が変位量検出部によって検出されている。この変位量検出部による検出値を用いて、アクチュエータの制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長時間の使用によって変位量検出部の検出値にずれが生じているおそれのある状況下や、変位量検出部の取り換えが行われた状況下において、変位量検出部による検出を行うことで、アクチュエータの制御に係る調整作業を行うことがある。この場合、ロックバーをロック状態とロック解除状態とで変位させるとともに、各状態で変位量検出部による検出を行うことが考えられるが、アクチュエータの制御に係る調整作業をさらに容易に行うことが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するピッキングリフトは、運転台から延出するフォークと、パレットの下側デッキボードに押し付けられることによって前記フォークと共に前記パレットをロックするロックバーと、前記パレットをロックするロック状態と前記パレットのロックを解除するロック解除状態とで前記ロックバーを変位可能なアクチュエータと、収縮可能なスプリングを含み、前記ロックバーと前記アクチュエータとの間に配置されるリンク機構と、第1方向に延びる延出部を含み、前記スプリングの収縮量に応じて前記第1方向に対して直交する第2方向に変位する延出部材と、前記第2方向における前記延出部材の変位に伴って前記延出部に当接しながら前記第1方向及び前記第2方向に変位するレバーと、前記レバーの変位量を検出する変位量検出部と、前記アクチュエータを制御する制御部と、を備え、前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときに、前記レバーが前記第2方向において前記延出部から離れるように変位されることによって前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に介在部材を介在可能であり、前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときの前記延出部に当接する前記レバーの位置を第1位置とし、前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に前記介在部材が介在された状態であるときの前記レバーの位置を第2位置とすると、前記制御部は、前記変位量検出部によって検出された前記第1位置と前記第2位置との前記レバーの変位量である基準値に基づいて、前記アクチュエータを制御することを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するピッキングリフトの調整方法は、運転台から延出するフォークと、パレットの下側デッキボードに押し付けられることによって前記フォークと共に前記パレットをロックするロックバーと、前記パレットをロックするロック状態と前記パレットのロックを解除するロック解除状態とで前記ロックバーを変位可能なアクチュエータと、収縮可能なスプリングを含み、前記ロックバーと前記アクチュエータとの間に配置されるリンク機構と、第1方向に延びる延出部を含み、前記スプリングの収縮量に応じて前記第1方向に対して直交する第2方向に変位する延出部材と、前記第2方向における前記延出部材の変位に伴って前記延出部に当接しながら前記第1方向及び前記第2方向に変位するレバーと、前記レバーの変位量を検出する変位量検出部と、前記アクチュエータを制御する制御部と、を備えるピッキングリフトの調整方法であって、前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときに、前記レバーを前記第2方向において前記延出部から離れるように変位させることによって前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に介在部材を介在させ、前記ロックバーが前記ロック解除状態であるときの前記延出部に当接する前記レバーの位置を第1位置とし、前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に前記介在部材が介在された状態であるときの前記レバーの位置を第2位置とすると、前記変位量検出部は、前記第1位置と前記第2位置との前記レバーの変位量を基準値として検出し、前記制御部は、前記基準値に基づいて前記アクチュエータを制御することを特徴とする。
【0007】
上記の構成及び上記の方法によれば、ロックバーをロック解除状態に維持させたままで、レバーの位置を第1位置からずれた第2位置に変位させることができる。変位量検出部によって第1位置と第2位置とのレバーの変位量を基準値として検出することにより、基準値を用いて制御部にアクチュエータを制御させることができるようになる。したがって、ロックバーをロック解除状態から変位させずにアクチュエータの制御に係る調整を行えるため、アクチュエータの制御に係る調整作業を容易にできる。
【0008】
ピッキングリフトにおいて、前記第2方向における前記延出部と前記レバーとの間に介在された前記介在部材を支持する支持部材を備えてもよい。
上記構成によれば、介在部材は、支持部材によって延出部とレバーとの間に介在される位置で支持される。これにより、延出部とレバーとの間に介在された介在部材の位置ずれを抑制できる。したがって、変位量検出部による基準値の検出をより正確に行えるため、アクチュエータの制御に係る調整作業の精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、アクチュエータの制御に係る調整作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態におけるピッキングリフトを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態におけるピッキングリフトを示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態におけるピッキングリフトの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態におけるパレットロック装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、フォークが上側デッキボードに接触する前のパレットロック装置を示す側面図である。
【
図7】
図7は、フォークが上側デッキボードに接触した状態のパレットロック装置を示す側面図である。
【
図8】
図8は、ロック状態のパレットロック装置を示す側面図である。
【
図9】
図9は、ロックバーがロック解除状態であるときとロック状態であるときとの延出部材及びレバーを示す模式図である。
【
図10】
図10は、延出部とレバーとの間に介在部材を介在させたときの延出部材及びレバーを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ピッキングリフト及びピッキングリフトの調整方法を具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。なお、以下の説明における「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、ピッキングリフトの搭乗者が運転時に前進方向を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」のことをいう。
【0012】
<ピッキングリフトの基本構成>
図1及び
図2に示すように、ピッキングリフト10は、車体12と、昇降部13と、荷役装置14と、を備えている。車体12は、本体部21と、一対の脚部22と、を有している。本体部21は、ピッキングリフト10の前部に位置している。本体部21には、駆動輪23が設けられている。本体部21の内部には、走行モータ24が設けられている。走行モータ24は、駆動輪23を回転させる。これにより、車体12は走行する。駆動輪23は、操舵輪を兼ねている。一対の脚部22は、本体部21から後方に向けて延びている。一対の脚部22には、従動輪25が設けられている。
【0013】
昇降部13は、運転台31と、一対のフォーク32と、壁部33と、を有している。すなわち、ピッキングリフト10は、フォーク32を備える。運転台31は、ピッキングリフト10の搭乗者が搭乗する部位である。運転台31は、ピッキングリフト10の後部に位置している。運転台31は、一対の脚部22の間に設けられている。運転台31は、上板31aと下板31bとを有している。上板31aと下板31bとは、上下方向に間隔を空けて配置されている。上板31aの上面は、運転台31の上面を構成している。下板31bの下面は、運転台31の下面を構成している。フォーク32は、運転台31から延出する。詳細には、一対のフォーク32は、運転台31から後方に向けて延びている。一対のフォーク32は、左右方向において間隔を空けて並んでいる。
【0014】
壁部33は、運転台31の前部から上方に延びている。壁部33の上部は、ネット状になっている。これにより、ピッキングリフト10の搭乗者の前方の視界が確保されるとともに搭乗者が保護される。壁部33の後面には、ガード34が設けられている。ガード34は、搭乗者を取り囲むことによって、搭乗者を保護する。壁部33の後面には、インストルメントパネル35が設けられている。インストルメントパネル35には、荷役レバー36が設けられている。荷役レバー36は、昇降部13を昇降させるときに操作される。インストルメントパネル35には、切替スイッチ37が設けられている。切替スイッチ37は、後述するパレットロック装置16のパレットロック機能のオン・オフを切り替えるためのスイッチである。荷役レバー36及び切替スイッチ37は、搭乗者によって操作される。
【0015】
図2に示すように、荷役装置14は、マスト41と、マスト41を駆動させるマスト駆動部42と、を有している。マスト41は、車体12の本体部21と昇降部13の壁部33との間に位置している。マスト41は、アウタマスト41aとインナマスト41bとを有している。アウタマスト41aは、車体12に固定されている。インナマスト41bは、アウタマスト41aに対して上下方向に昇降可能である。インナマスト41bの上部には、図示しないチェーンホイールが設けられている。チェーンホイールには、図示しないチェーンが掛けられている。チェーンの一端は、アウタマスト41aに取り付けられる。チェーンの他端は、運転台31に取り付けられている。アウタマスト41aに対するインナマスト41bの昇降に伴って、昇降部13は上下方向に昇降する。
【0016】
マスト駆動部42は、リフトシリンダ43と、タンク44と、バルブ45と、油圧ポンプ46と、荷役モータ47と、を有している。リフトシリンダ43は、油圧シリンダである。リフトシリンダ43への作動油の給排によって、インナマスト41bはアウタマスト41aに対して上下方向に移動する。タンク44には、作動油が貯留されている。リフトシリンダ43とタンク44とは、油路48によって接続されている。バルブ45は、油路48に設けられている。荷役レバー36が操作されているとき、バルブ45は開状態となる。荷役レバー36が操作されていないとき、バルブ45は閉状態となる。バルブ45が開状態のとき、リフトシリンダ43とタンク44とは連通する。バルブ45が閉状態のとき、リフトシリンダ43とタンク44とは連通しない。
【0017】
油圧ポンプ46は、油路48におけるバルブ45とタンク44との間に設けられている。油圧ポンプ46は、荷役モータ47によって駆動される。荷役モータ47は、荷役レバー36が操作されている場合に駆動する。荷役モータ47は、双方向に回転可能なモータである。荷役モータ47の回転方向の切り替えによって油圧ポンプ46の作動状態が切り替えられる。これにより、タンク44に貯留された作動油をリフトシリンダ43に供給すること、リフトシリンダ43に充填された作動油をタンク44へ戻すことと、が油圧ポンプ46によって切り替られつつ行われる。このように荷役モータ47は、昇降部13を昇降させるためのモータである。
【0018】
図3及び
図4に示すように、ピッキングリフト10は、パレットPをロックするパレットロック機能を有するパレットロック装置16を備えている。パレットロック装置16は、ロックバー60とロックバー駆動部70とを有している。すなわち、ピッキングリフト10はロックバー60を備える。
【0019】
パレットロック装置16は、制御部80と、パレット接触検出部81と、ロック解除検出部82と、変位量検出部83と、を有している。すなわち、ピッキングリフト10は、制御部80と、変位量検出部83と、を備える。
【0020】
図4及び
図5に示すように、ロックバー60及びロックバー駆動部70は、運転台31に設けられている。運転台31は、ロックバー60及びロックバー駆動部70を運転台31に取り付けるための一対の第1取付部311及び一対の第2取付部312を有している。一対の第1取付部311及び一対の第2取付部312は、運転台31の下板31bの上面から突出している。一対の第1取付部311は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。一対の第2取付部312は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。一対の第2取付部312は、左右方向に延びる支持軸38を支持している。
【0021】
ロックバー駆動部70は、運転台31の上板31aと下板31bとの間に配置されている。これにより、ロックバー駆動部70は、運転台31に内蔵されている。ロックバー駆動部70は、アクチュエータ71とリンク機構72とを有している。すなわち、ピッキングリフト10は、アクチュエータ71と、リンク機構72と、を備える。
【0022】
<ロックバーの詳細>
図4に示すように、ロックバー60は、バー本体61と、一対の爪部62と、一対の取付片63と、延伸部64と、を有している。バー本体61は、左右方向に延びている。バー本体61は、運転台31の下板31bよりも後方に位置している。
【0023】
一対の爪部62は、バー本体61の下面に設けられている。一対の爪部62は、左右方向におけるバー本体61の両端部に位置している。一対の爪部62は、バー本体61から後方に向かって延びている。
図1に示すように、一対の爪部62は、運転台31から後方に向かって延びている。一対の爪部62は、一対のフォーク32の間に位置している。
【0024】
一対の取付片63は、バー本体61の下面に設けられている。一対の取付片63は、バー本体61から前方に向けて延びている。一対の取付片63は、左右方向に間隔を空けて並んでいる。支持軸38は、一対の取付片63を貫通している。ロックバー60は、支持軸38によって上下方向に揺動可能に支持されている。
【0025】
延伸部64は、バー本体61から前方に向けて延びている。延伸部64は、一対の取付片63よりも前方まで延びている。一対の爪部62が下降するようにロックバー60が揺動するとき、延伸部64は上昇する。一方、爪部62が上昇するようにロックバー60が揺動するとき、延伸部64は下降する。
【0026】
ロックバー駆動部70は、ロックバー60を上下方向に揺動させることによって、ロックバー60の一対の爪部62をパレットPの下側デッキボードD2の上面に対して押し付け可能である。こうしてロックバー60は、パレットPの下側デッキボードD2に押し付けられることによってフォーク32と共にパレットPをロックする。
【0027】
<アクチュエータ>
アクチュエータ71は、パレットPをロックするロック状態とパレットPのロックを解除するロック解除状態とでロックバー60を変位可能である。本実施形態におけるアクチュエータ71は、シリンダ73と、シリンダモータ74と、を有する電動シリンダである。アクチュエータ71は、シリンダ73が前後方向に延びるように配置されている。シリンダ73は、シリンダチューブ73aと、ピストンロッド73bと、を有している。ピストンロッド73bは、シリンダモータ74によって、シリンダチューブ73aに対して前後方向に移動される。
【0028】
<リンク機構>
リンク機構72は、ロックバー60とアクチュエータ71との間に配置される。リンク機構72は、第1リンクアーム75と、第2リンクアーム76と、連結部材77と、を有している。第1リンクアーム75は、一対の第1取付部311の間に位置している。第1リンクアーム75の下端部は、一対の第1取付部311と連結されている。第1リンクアーム75は、第1取付部311に対して前後方向に揺動可能である。第1リンクアーム75の上端部は、ピストンロッド73bの先端部と連結されている。
【0029】
第2リンクアーム76は、一対の第2取付部312の間に位置している。支持軸38は、第2リンクアーム76の下端部を貫通している。第2リンクアーム76は、支持軸38によって前後方向に揺動可能に支持されている。ロックバー60のバー本体61は、第2リンクアーム76の揺動軌跡上に配置されている。詳しくは、バー本体61は、第2リンクアーム76が後方に揺動したときに第2リンクアーム76と接触するような位置に配置されている。
【0030】
連結部材77は、第1リンクアーム75と第2リンクアーム76とを前後方向に連結している。詳しくは、連結部材77の前端部は、第1リンクアーム75における上端部と下端部との間に連結されている。連結部材77の後端部は、第2リンクアーム76の上端部に連結されている。
【0031】
図5及び
図6に示すように、連結部材77は、前後方向に伸縮可能なスプリング77aを含んでいる。すなわち、リンク機構72は、スプリング77aを含む。スプリング77aは、収縮可能である。ロックバー60が後述するロック状態であるときのスプリング77aの収縮量は、ロックバー60が後述するロック解除状態であるときのスプリング77aの収縮量よりも大きい。
【0032】
連結部材77は、延出部材90と、レバー95と、支持部材98と、を含んでいる。すなわち、ピッキングリフト10は、延出部材90と、レバー95と、支持部材98と、を備えている。延出部材90は、第1延出部91、第2延出部92、第3延出部93、及び延出部としての第4延出部94を有する。すなわち、延出部材90は、延出部としての第4延出部94を含む。本実施形態における第1延出部91、第2延出部92、第3延出部93、及び第4延出部94は、平板状である。
【0033】
第1延出部91は、前後方向に直交するように延びる。第1延出部91は、スプリング77aよりも後方に位置する。第1延出部91は、スプリング77aの後端部と接していてもよい。第2延出部92は、第1延出部91の左端から延びる。第2延出部92は、第1延出部91の上端部から延びている。これにより、第1延出部91よりも左方且つ第2延出部92よりも下方には空間が形成されている。
【0034】
第3延出部93は、第2延出部92の端部から前方に延びる。第3延出部93は、左右方向に直交するように延びる。第4延出部94は、左右方向に直交するように延びる。第4延出部94は、第3延出部93の前端から下方に延びる。これにより、第4延出部94は、第1方向としての上下方向に延びるものである。
【0035】
第3延出部93よりも下方且つ第4延出部94よりも後方には空間が形成されている。第3延出部93の上下方向における寸法は、第2延出部92の上下方向における寸法とほぼ同じ大きさである。そのため、第3延出部93よりも下方且つ第4延出部94よりも後方に形成される空間は、第2延出部92の下方に形成された空間と繋がっている。
【0036】
第1延出部91は、スプリング77aの収縮量が大きくなるほど、スプリング77aによって後方に向けて付勢されることにより、後方に変位する。これに対して、第1延出部91は、スプリング77aの収縮量が小さくなるほど、スプリング77aから受ける後方への付勢が弱まることにより、前方に変位する。第1延出部91の変位に伴って、第2延出部92、第3延出部93、及び第4延出部94も第1延出部91と同じ方向に変位する。そのため、延出部材90は、スプリング77aの収縮量に応じて第1方向としての上下方向に対して直交する第2方向としての前後方向に変位する。
【0037】
支持部材98は、例えば前後方向に延びる矩形柱状である。支持部材98は左右方向における第1延出部91と第3延出部93及び第4延出部94との間に位置する。支持部材98は、第2延出部92よりも下方に位置する。支持部材98の上面98aと第2延出部92とは上下方向に離れている。連結部材77を左方からみて、第3延出部93の下端縁と支持部材98の上面98aとは上下方向に離れている。支持部材98には支持板部99が固定されている。支持板部99は、支持部材98の左端から延びる平板状である。
【0038】
レバー95は、例えば、レバー固定部96と、レバー本体部97と、を有している。レバー固定部96は、支持板部99に対して固定されている。レバー固定部96は、左右方向における支持部材98と支持板部99との間に位置している。レバー本体部97は、レバー固定部96に対して回転可能に固定されている。レバー本体部97は、レバー固定部96から第4延出部94に向けて延びている。レバー本体部97のレバー固定部96とは反対側の端部には、突出部97aが設けられている。突出部97aは、レバー本体部97から右方に延びている。突出部97aは、例えば左右方向に延びる円柱状である。レバー本体部97及び突出部97aは、支持部材98から左方に離れている。
【0039】
レバー本体部97は、突出部97aが第4延出部94に近づくように付勢されている。この付勢は、例えばレバー本体部97に設けられた不図示のばね部材によるものであってもよい。こうした付勢によって、突出部97aは、第4延出部94の後端面に当接する。
【0040】
レバー95は、第2方向としての前後方向における延出部材90の変位に伴って、延出部としての第4延出部94に当接しながら第1方向としての上下方向及び第2方向としての前後方向に変位する。詳細には、第4延出部94の前後方向における変位に伴って、突出部97aは第4延出部94に当接しながら第4延出部94の変位方向と同方向に変位する。この際、突出部97aは、第4延出部94に対する当接位置を上下方向にて変えながら前後方向に変位する。こうした突出部97aの変位に伴って、レバー本体部97はレバー固定部96に対して回転する。
【0041】
<荷役動作>
図5に示すように、ピッキングリフト10の荷役動作時、一対のフォーク32はパレットPのフォーク差込口Pfに挿入される。フォーク差込口Pfは、パレットPの上側デッキボードD1の下面と下側デッキボードD2の上面とによって区画されている。また、ロックバー60の一対の爪部62も、フォーク差込口Pfに挿入される。ロックバー60は、水平に延びている。
【0042】
図7に示すように、一対のフォーク32及び一対の爪部62がフォーク差込口Pfに挿入された状態で昇降部13が上昇すると、一対の爪部62は、パレットPの上側デッキボードD1の下面に接触する。ロックバー60は、一対の爪部62が上側デッキボードD1によって押し下げられることによって、一対の爪部62が下降し、かつ延伸部64が上昇するように揺動する。また、一対のフォーク32は、パレットPの上側デッキボードD1の下面に接触する。昇降部13は、一対のフォーク32が上側デッキボードD1を支持した状態で上昇することによってパレットPを持ち上げる。
【0043】
図5、
図7、及び
図8に示すように、ロックバー60は、パレットロック装置16によってロック状態とロック解除状態とに切り替えられる。
<ロック解除状態>
図5及び
図7は、ロックバー60がロック解除状態であるときのパレットロック装置16を示す。シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量は最小になっている。ロックバー60の一対の爪部62は、パレットPの下側デッキボードD2の上面に対して押し付けられていない。したがって、パレットPは、上方には動くことができる。すなわち、パレットPはロックされていない。ロック解除状態のパレットロック装置16において、シリンダチューブ73aに対してピストンロッド73bが後方に移動することにより、パレットロック装置16はロック状態となる。
【0044】
図9に示すように、ロックバー60がロック解除状態であるとき、延出部材90及びレバー95は二点鎖線で示す位置となる。ロックバー60がロック解除状態であるときの延出部としての第4延出部94に当接するレバー95の位置を第1位置P1とする。
【0045】
<ロック状態>
図8は、ロックバー60がロック状態であるときのパレットロック装置16を示す。シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量はロック解除状態のときよりも多い。ロックバー60の一対の爪部62は、パレットPの下側デッキボードD2の上面に対して押し付けられている。上側デッキボードD1が一対のフォーク32によって支持されるとともに、下側デッキボードD2に一対の爪部62が押し付けられる。これにより、パレットPの上下方向への移動が規制されている。すなわち、パレットPはロックされている。
【0046】
ピストンロッド73bがシリンダチューブ73aに対して後方に移動すると、ピストンロッド73bと連結された第1リンクアーム75は、後方に向けて揺動する。第1リンクアーム75が後方に向けて揺動すると、第1リンクアーム75と連結された連結部材77も後方に向けて移動する。連結部材77が後方に向けて移動すると、連結部材77と連結された第2リンクアーム76も後方に向けて揺動する。第2リンクアーム76は後方に揺動することによって、ロックバー60のバー本体61を押し下げる。これにより、ロックバー60は、一対の爪部62が下降するとともに延伸部64が上昇するように揺動する。
【0047】
下降した一対の爪部62は、パレットPの下側デッキボードD2の上面に接触する。一対の爪部62が下側デッキボードD2の上面に接触した後も、ピストンロッド73bが後方に向けて移動すると、一対の爪部62は下側デッキボードD2の上面に対して押し付けられる。これにより、パレットロック装置16はロック状態となるとともに、スプリング77aが圧縮される。このように、ロックバー60が下側デッキボードD2の上面に押し付けられることによってパレットロック装置16がロック状態になると、スプリング77aの収縮量は増大する。
【0048】
図9に示すように、ロックバー60がロック状態であるとき、延出部材90及びレバー95は実線で示す位置となる。延出部材90は、二点鎖線で示すロックバー60がロック解除状態であるときの延出部材90の位置よりも後方にずれた位置となる。レバー95は、二点鎖線で示すロックバー60がロック解除状態であるときのレバー95の位置よりも後方且つ上方にずれた位置となる。ロックバー60がロック状態であるときの延出部としての第4延出部94に当接するレバー95の位置を第2位置P2とする。
【0049】
図8に示すロック状態のパレットロック装置16において、シリンダチューブ73aに対してピストンロッド73bが前方に移動することにより、パレットロック装置16はロック解除状態となる。このとき、シリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量は減少する。ピストンロッド73bがシリンダチューブ73aに対して前方に向けて移動すると、ピストンロッド73bと連結された第1リンクアーム75も前方に向けて揺動する。第1リンクアーム75が前方に向けて揺動すると、スプリング77aの収縮状態が元に戻るとともに、第1リンクアーム75と連結された連結部材77も前方に向けて移動する。連結部材77が前方に向けて移動すると、連結部材77と連結された第2リンクアーム76も前方に向けて揺動する。第2リンクアーム76が前方に向けて揺動すると、ロックバー60は第2リンクアーム76によって押し下げられなくなる。したがって、ロックバー60は、一対の爪部62が上昇するとともに延伸部64が下降するように揺動可能になる。
【0050】
<制御部及び検出部による検出>
図3に示すように、制御部80は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部には、パレットロック装置16を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部80は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部80は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0051】
制御部80は、切替スイッチ37と接続されている。制御部80は、切替スイッチ37の操作状態からパレットロック機能のオン・オフを認識する。制御部80は、パレット接触検出部81、ロック解除検出部82、及び変位量検出部83と接続されている。制御部80は、各検出部の検出結果からパレットロック装置16やパレットPの状態を認識する。また、制御部80は、ロックバー駆動部70に接続されている。制御部80は、アクチュエータ71を制御する。詳細には、制御部80は、シリンダモータ74を制御することによって、パレットロック装置16の動作を制御する。
【0052】
図3及び
図5に示すように、パレット接触検出部81は、一対のフォーク32がパレットPの上側デッキボードD1の下面に接触したことを検出するために用いられる。本実施形態のパレット接触検出部81は、リミットスイッチである。パレット接触検出部81は、パレット検出バー81aを有している。パレット検出バー81aは、延伸部64の下方に配置されている。パレット接触検出部81は、パレット検出バー81aが延伸部64によって押し下げられているとき、オン状態になる。パレット接触検出部81は、パレット検出バー81aが延伸部64によって押し下げられていないとき、オフ状態になる。
【0053】
一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触する前、ロックバー60は水平に延びている。このとき、パレット検出バー81aは延伸部64によって押し下げられているため、パレット接触検出部81はオン状態である。そして、一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触するとき、ロックバー60は延伸部64が上昇するように揺動する。これにより、パレット検出バー81aは延伸部64によって押し下げられなくなるため、パレット接触検出部81はオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0054】
制御部80は、パレット接触検出部81の検出結果から一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触したことを検出する。制御部80は、パレット接触検出部81がオン状態からオフ状態になったとき、一対のフォーク32が上側デッキボードD1の下面に接触したことを検出する。
【0055】
ロック解除検出部82は、パレットロック装置16がロック解除状態であるか否かを判定するために用いられる。本実施形態のロック解除検出部82は、リミットスイッチである。ロック解除検出部82は、リンク検出バー82aを有している。リンク検出バー82aは、第1リンクアーム75の揺動軌跡上に配置されている。詳しくは、リンク検出バー82aは、第1リンクアーム75が前方に揺動したときに第1リンクアーム75と接触するような位置に配置されている。ロック解除検出部82は、リンク検出バー82aが第1リンクアーム75によって押圧されているとき、オン状態になる。ロック解除検出部82は、リンク検出バー82aが第1リンクアーム75によって押圧されていないとき、オフ状態になる。
【0056】
パレットロック装置16がロック解除状態であるとき、すなわちシリンダチューブ73aからのピストンロッド73bの突出量が最小のとき、第1リンクアーム75は前方に傾いている。このとき、リンク検出バー82aは、第1リンクアーム75によって押圧されているため、ロック解除検出部82はオン状態である。
【0057】
制御部80は、ロック解除検出部82の検出結果からパレットロック装置16がロック解除状態であるか否かを判定する。制御部80は、ロック解除検出部82がオン状態のとき、ロックバー60がロック解除状態であると判定する。制御部80は、ロック解除検出部82がオフ状態のとき、ロックバー60がロック解除状態でないと判定する。
【0058】
変位量検出部83は、ロックバー60がロック状態であるか否かを判定するために用いられる。また、変位量検出部83は、パレットPが床や棚、荷台等に着地したか否かを判定するために用いられる。変位量検出部83は、スプリング77aの収縮量を検出する。本実施形態の変位量検出部83は、ポテンショメータである。
【0059】
図6に示すように、変位量検出部83は、レバー95の変位量を検出するものである。詳細には、レバー本体部97の回転角度を検出することによって、上記のレバー95の変位量を検出する。レバー本体部97を含むレバー95は、上述した通り、延出部材90の変位に伴って変位する。延出部材90は、スプリング77aの収縮量に応じて変位する。そのため、レバー95の変位量は、スプリング77aの収縮量と相関する。したがって、変位量検出部83は、スプリング77aの収縮量と相関するレバー95の変位量を検出する。
【0060】
上述したように、ロックバー60がロック状態になると、スプリング77aの収縮量は増大する。制御部80は、変位量検出部83の検出結果からパレットロック装置16がロック状態であるか否かを判定する。制御部80は、変位量検出部83によって検出されたレバー95の変位量が所定の基準値S以上であるとき、パレットロック装置16がロック状態であると判定する。制御部80は、変位量検出部83によって検出されたレバー95の変位量が基準値S未満であるとき、ロックバー60がロック状態でないと判定する。なお、基準値Sは、変位量検出部83によって検出された第1位置P1と第2位置P2とのレバー95の変位量である。
【0061】
昇降部13が下降することによってパレットPが着地されると、一対のフォーク32は、パレットPの上側デッキボードD1の下面から離れる。また、一対の爪部62が下側デッキボードD2によって押し上げられることによって、ロックバー60は一対の爪部62が上昇するように揺動する。すると、第2リンクアーム76は前方に向けて揺動する。このとき、連結部材77のスプリング77aよりも前方の部材は前方に移動することができないため、スプリング77aが圧縮される。なお、スプリング77aはパレットロック装置16がロック状態になる際にすでに圧縮されているため、スプリング77aの圧縮量はさらに増大することになる。
【0062】
制御部80は、変位量検出部83の検出結果からパレットPが着地されたか否かを判定する。制御部80は、変位量検出部83によって検出されたスプリング77aの圧縮量が所定の着地判定用閾値以上であるとき、パレットPが着地したと判定する。なお、着地判定用閾値は、基準値Sよりも大きな値に設定されている。制御部80は、変位量検出部83によって検出されたレバー95の変位量が着地判定用閾値未満であるとき、パレットPが着地していないと判定する。
【0063】
ロックバー60がロック解除状態であり、且つフォーク32がパレットPの上側デッキボードD1に接触しているときに、パレットロック機能がオンにされると、制御部80は、ロックバー60をロック解除状態からロック状態に変位させる。詳細には、制御部80は、アクチュエータ71を制御することによって、ピストンロッド73bが後方に移動するようにシリンダモータ74を制御する。
【0064】
ロックバー60がロック状態であるときに、パレットロック機能がオフにされると、制御部80は、ロックバー60をロック状態からロック解除状態に変位させる。詳細には、制御部80は、アクチュエータ71を制御することによって、ピストンロッド73bが前方に移動するようにシリンダモータ74を制御する。
【0065】
<介在部材>
図3及び
図10に示すように、ロックバー60がロック解除状態であるときに、レバー95が前後方向において第4延出部94から離れるように変位されることによって前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材100を介在可能である。なお、レバー本体部97には、突出部97aが第4延出部94に近づくように付勢が生じているが、この付勢に抗するようにレバー本体部97を変位させることで、突出部97aが第4延出部94から離れる。介在部材100は、左右方向に延びる四角柱状の部材である。介在部材100は、汎用のシックネスゲージであってもよいし、この作業のための専用の治具であってもよい。
【0066】
第2方向としての前後方向における延出部としての第4延出部94とレバー95との間に介在部材100が介在された状態であるときのレバー95の位置を第2位置P2とする。すなわち、本実施形態においては、上記の介在部材100が介在された状態であるときのレバー95の位置と、ロックバー60がロック状態であるときの第4延出部94に当接するレバー95の位置と、が同じ位置である。本実施形態において採用される介在部材100の前後方向における寸法は、ロックバー60がロック解除状態であるときの第4延出部94の位置と、ロックバー60がロック状態であるときの第4延出部94の位置と、の前後方向における距離に設定されている。
【0067】
上記の第4延出部94とレバー95との間への介在部材100の介在は、基準値Sの調整のために行われる。上記のように第4延出部94とレバー95との間に介在部材100を介在した状態で、変位量検出部83による検出が行われる。これにより、変位量検出部83によって第1位置P1と第2位置P2とのレバー95の変位量である基準値Sが検出される。この基準値Sが制御部80に記憶される。制御部80は、変位量検出部83によって検出された基準値Sに基づいて、アクチュエータ71を制御する。
【0068】
前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在された介在部材100は、第4延出部94とレバー95とで前後方向において挟持される。また、第4延出部94とレバー95との間に介在された介在部材100は、支持部材98の上面98aに載せられる。詳細には、介在部材100の下面のうち、右方の部分が支持部材98の上面98aと接する。こうして、支持部材98は、前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在された介在部材100を支持する。
【0069】
<ピッキングリフトの調整方法>
次に、ピッキングリフト10の調整方法について説明する。ピッキングリフト10の調整方法を用いて基準値Sの調整が行われる。この作業は、例えば、長時間の使用による変位量検出部83の基準値Sのずれを修正する目的や、変位量検出部83の取り換えが行われた際に基準値Sを設定する目的で行われる。
【0070】
ピッキングリフト10の調整は、ロックバー60がロック解除状態であるときに行われる。このときのレバー95は、
図10に二点鎖線で示すように、第4延出部94に当接した状態で第1位置P1に位置している。このレバー95を作業者が前後方向において第4延出部94から離れるように変位させる。このレバー95の変位は、例えば、作業者がレバー95を把持しつつレバー95を第4延出部94から離すことで行われる。こうしたレバー95の変位によって、
図10に実線で示すように、前後方向において第4延出部94とレバー95とが離れた状態となるとともに、レバー95は第2位置P2に位置した状態となる。
【0071】
上記のようにレバー95を第2位置P2にまで変位させた後、前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材100を介在させる。これにより、ロックバー60がロック解除状態であるときに、レバー95を前後方向において第4延出部94から離れるように変位させることによって前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材100を介在させる。このときの介在部材100は、支持部材98の上面98aに置かれることにより、支持部材98によって第4延出部94とレバー95との間に介在される位置で支持される。
【0072】
第4延出部94とレバー95との間に介在部材100を介在させた状態で、変位量検出部83にレバー95の変位量を検出させる。このとき、変位量検出部83は、第1位置P1と第2位置P2とのレバー95の変位量を基準値Sとして検出する。検出された基準値Sは制御部80に記憶される。これにより、制御部80は、基準値Sに基づいてアクチュエータ71を制御する。
【0073】
[実施形態の作用及び効果]
実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)ロックバー60がロック解除状態であるときに、レバー95が前後方向において第4延出部94から離れるように変位されることによって前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材100を介在可能である。制御部80は、変位量検出部83によって検出された第1位置P1と第2位置P2とのレバー95の変位量である基準値Sに基づいて、アクチュエータ71を制御する。そのため、ロックバー60をロック解除状態に維持させたままで、レバー95の位置を第1位置P1からずれた第2位置P2に変位させることができる。変位量検出部83によって第1位置P1と第2位置P2とのレバー95の変位量を基準値Sとして検出することにより、基準値Sを用いて制御部80にアクチュエータ71を制御させることができるようになる。したがって、ロックバー60をロック解除状態から変位させずにアクチュエータ71の制御に係る調整を行えるため、アクチュエータ71の制御に係る調整作業を容易にできる。
【0074】
(2)ピッキングリフト10は、前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在された介在部材100を支持する支持部材98を備える。そのため、介在部材100は、支持部材98によって第4延出部94とレバー95との間に介在される位置で支持される。これにより、第4延出部94とレバー95との間に介在された介在部材100の位置ずれを抑制できる。したがって、変位量検出部83による基準値Sの検出をより正確に行えるため、アクチュエータ71の制御に係る調整作業の精度を向上させることができる。
【0075】
(3)前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材100が介在された状態である第2位置P2にレバー95が位置する状態で、変位量検出部83は基準値Sとしてのレバー95の変位量を検出する。検出された基準値Sに基づいて、制御部80はアクチュエータ71を制御する。仮に、制御部80が予め設定された設定値を基準値として用いてアクチュエータ71の制御を行う場合、変位量検出部83からの検出値として上記の設定値を得るまで、変位量検出部83の設置位置をずらす作業が必要となる。実施形態によれば、そうした作業を行わずにアクチュエータ71の制御に係る調整作業を完了できる。したがって、変位量検出部83からの検出値が所望の設定値になるまで変位量検出部83の設置位置をずらす場合と比較して、アクチュエータ71の制御に係る調整作業を容易にできる。
【0076】
[変更例]
なお、実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0077】
○ パレット接触検出部81の具体的な構成は適宜変更されてもよい。パレット接触検出部81は、例えば、延伸部64の先端部に取り付けられた磁石の磁気を検出する磁気センサであってもよい。
【0078】
○ ロック解除検出部82の具体的な構成は適宜変更されてもよい。
○ 変位量検出部83の具体的な構成は適宜変更されてもよい。
○ 支持部材98の形状及び設置位置は適宜変更されてもよい。例えば、支持部材98は、延出部材90に取り付けられていてもよいし、支持部材98と一体形成されていてもよい。
【0079】
○ ピッキングリフト10から支持部材98を省略してもよい。この場合、第2方向としての前後方向において、延出部としての第4延出部94とレバー95との間に介在部材100を介在させる際に、介在部材100を支持するための部材を設置してもよい。
【0080】
○ 第2位置P2は、ロックバー60がロック状態であるときの第4延出部94に当接するレバー95の位置でなくてもよい。この場合、ロックバー60がロック状態であるときの第4延出部94に当接するレバー95の位置と、前後方向における第4延出部94とレバー95との間に介在部材100が介在された状態であるときのレバー95の位置である第2位置P2と、が互いに異なる。この場合の第2位置P2は、例えば、ロックバー60がロック解除状態からロック状態に変位する途中であるときの第4延出部94に当接するレバー95の位置であってもよい。この場合の基準値Sは、パレットロック装置16がロック状態であると制御部80が判定するための閾値に限らない。
【0081】
○ 延出部材90の形状は適宜変更されてもよい。要するに、延出部材90は、第1方向としての上下方向に延びる延出部を含むものであればよい。
○ ピッキングリフト10は、前進方向の前側に本体部21が位置するとともに後側に運転台31が位置するタイプに限定されない。ピッキングリフト10は、前進方向の前側に運転台31が位置するとともに後側に本体部21が位置するタイプであってもよい。この場合の前後方向は、実施形態の前後方向と反対方向になる。インストルメントパネル35は、例えば、ガード34に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0082】
D2…下側デッキボード、P…パレット、P1…第1位置、P2…第2位置、S…基準値、10…ピッキングリフト、31…運転台、32…フォーク、60…ロックバー、71…アクチュエータ、72…リンク機構、77a…スプリング、80…制御部、83…変位量検出部、90…延出部材、94…延出部としての第4延出部、95…レバー、98…支持部材、100…介在部材。