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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018603
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】物流機器システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122462
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕一
(72)【発明者】
【氏名】中村 彰利
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522CC19
3F522HH30
3F522KK10
3F522LL41
3F522LL51
3F522LL61
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】複数種類の物流機器で発生した異常を1か所の監視装置で自動的に把握することができる物流機器システムを提供する。
【解決手段】本発明は、複数種類の各物流機器4、6、8で発生した異常を監視可能な監視装置2を備えた物流機器システム1であって、各物流機器のコントローラ36は、機器異常検出手段42と、異常名称と異常コードとを紐付けて記憶する記憶手段38とを備え、モニタリング装置2は、各物流機器の記憶手段38に記憶された異常名称データテーブルを受信する受信手段22と、受信した異常名称データテーブルを記憶する記憶手段14と、この記憶手段14に記憶された異常名称データテーブルに基づいて異常名称を出力する異常名称出力手段28と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の物流機器で発生した異常を監視可能な監視装置を備えた物流機器システムであって、
上記複数種類の各物流機器は、それぞれ、機器駆動装置と、上記物流機器の各種の異常を検出するための検出センサと、コントローラとを備え、
上記各物流機器のコントローラは、それぞれ、
上記検出センサの出力に基づいて上記物流機器の異常を検出する機器異常検出手段と、
異常名称と異常コードとを紐付けて記憶する機器側異常名称データテーブル記憶手段と、
上記監視装置と通信可能な機器側通信装置と、を備え、
上記物流機器システムの監視装置は、
上記各物流機器のコントローラとそれぞれ通信可能な通信装置と、
この通信装置を介して上記各物流機器の機器側異常名称データテーブル記憶手段に記憶された異常名称データテーブルを受信する異常名称データテーブル受信手段と、
上記受信した異常名称データテーブルを記憶する異常名称データテーブル記憶手段と、
この異常名称データテーブル記憶手段に記憶された異常名称データテーブルに基づいて異常名称を出力する異常名称出力手段と、を備える、
ことを特徴とする物流機器システム。
【請求項2】
上記各物流機器のコントローラは、上記機器異常検出手段により異常が検出されたとき、その異常に対応する異常コードのみを送信するよう構成され、
上記監視装置は、上記送信された異常コードを受信すると、上記異常名称出力手段が、上記異常名称データテーブル記憶手段に記憶された異常名称データテーブルに基づいて、上記受信した異常コードに対応する異常名称を出力するよう構成されている、請求項1に記載の物流機器システム。
【請求項3】
上記監視装置の異常名称出力手段は、所定の表示装置に、上記各物流機器の異常名称を同じ表示態様で表示するよう構成されている、請求項1または請求項2に記載の物流機器システム。
【請求項4】
上記監視装置は、さらに、上記監視装置の異常名称データテーブル記憶手段に記憶された各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報と、上記機器側異常名称データテーブル記憶手段に記憶された各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報とを比較するバージョン情報比較手段を備え、
上記バージョン情報比較手段は、上記監視装置に上記各物流機器が接続された時、上記監視装置の異常名称データテーブルのバージョン情報と、上記各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報とを比較し、
上記異常名称データテーブル受信手段は、上記比較したバージョン情報が互いに異なる場合に、上記機器側異常名称データテーブル記憶手段に記憶されている異常名称データテーブルを受信し、上記監視装置の異常名称データテーブル記憶手段に、その異常名称データテーブルが記憶されるよう構成されている、請求項1または請求項2に記載の物流機器システム。
【請求項5】
上記監視装置は、上記各物流機器の電源がONとなり通信接続が開始された時、上記バージョン情報比較手段が、上記監視装置の異常名称データテーブルのバージョン情報と、上記各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報とを比較するよう構成されている、請求項4に記載の物流機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流機器システムに係わり、特に、複数種類の物流機器で発生した異常を監視可能な監視装置を備えた物流機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッカクレーン、搬送台車、入出庫コンベヤ、無人搬送車等の搬送機器により物品を搬送する物流システムと、この物流システムの異常からの復旧方法が知られている(たとえば、特許文献1)。この特許文献1では、異常が検出された場合、コントローラが、異常の発生箇所に異常コードを付与し、異常発生箇所と予め記憶していた各搬送機器の異常に対する複数の復旧手順をモニタに表示し、作業者が、所定の復旧手順を選択すると、選択された復旧手順に従い異常発生機器が制御され、在庫データが修正されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許WO2013/042447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来は、複数種類の物流機器を統一してモニタリングする監視システムは存在しておらず、それぞれの物流機器を管理するシステムが、物流機器それぞれの異常名称などのデータテーブルを有するに留まっていた。このような複数種類の物流機器を備える物流システムを設計製造しようとする場合、設計者は、従来、複数種類の物流機器をモニタリングするために、物流機器毎にデータテーブルを選択して登録するか、あるいは、あらかじめ所定のモニタリング装置に全ての物流機器のデータテーブルを記憶させる必要があった。
【0005】
しかしながら、上述したように、設計者が物流機器毎にデータテーブルを選択して登録する場合には、設計工数が過大となる、という問題がある。一方、あらかじめ所定のモニタリング装置に全ての物流機器のデータテーブルを記憶させる場合には、物流機器を改良や改善する場合に、その所定のモニタリング装置のデータテーブルの更新に手間がかかる、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、複数種類の物流機器で発生した異常を、1か所の監視装置で自動的に把握することができる物流機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数種類の物流機器で発生した異常を監視可能な監視装置を備えた物流機器システムであって、複数種類の各物流機器は、それぞれ、機器駆動装置と、物流機器の各種の異常を検出するための検出センサと、コントローラとを備え、各物流機器のコントローラは、それぞれ、検出センサの出力に基づいて物流機器の異常を検出する機器異常検出手段と、異常名称と異常コードとを紐付けて記憶する機器側異常名称データテーブル記憶手段と、監視装置と通信可能な機器側通信装置と、を備え、物流機器システムの監視装置は、各物流機器のコントローラとそれぞれ通信可能な通信装置と、この通信装置を介して各物流機器の機器側異常名称データテーブル記憶手段に記憶された異常名称データテーブルを受信する異常名称データテーブル受信手段と、受信した異常名称データテーブルを記憶する異常名称データテーブル記憶手段と、この異常名称データテーブル記憶手段に記憶された異常名称データテーブルに基づいて異常名称を出力する異常名称出力手段と、を備える、ことを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、監視装置が、各物流機器側から異常名称データテーブルを自動的に取得し、監視装置側で、各物流機器の異常名称データテーブルを記憶することにより、各物流機器のいずれかで異常が発生した場合、監視装置側で記憶した異常名称データテーブルに基づいて異常名称を出力することができる。また、監視装置は、接続した各物流機器からデータを自動的に取得することで、複数種類の物流機器が存在しても、異常発生の監視の抜けを防止することができる。したがって、本発明によれば、複数種類の物流機器で発生した異常を、1か所の監視装置で自動的に把握することができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、各物流機器のコントローラは、機器異常検出手段により異常が検出されたとき、その異常に対応する異常コードのみを送信するよう構成され、監視装置は、送信された異常コードを受信すると、異常名称出力手段が、異常名称データテーブル記憶手段に記憶された異常名称データテーブルに基づいて、受信した異常コードに対応する異常名称を出力するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、物流機器は、異常発生時、異常名称データテーブルの異常コードのみを送信し、監視装置は、異常コードのみを受信するので、異常名称を送受信しない分、システム全体での通信量を減少させることができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、監視装置の異常名称出力手段は、所定の表示装置に、各物流機器の異常名称を同じ表示態様で表示するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、統一した表示とすることで作業者による異常の理解を助けることができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、監視装置は、さらに、監視装置の異常名称データテーブル記憶手段に記憶された各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報と、機器側異常名称データテーブル記憶手段に記憶された各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報とを比較するバージョン情報比較手段を備え、バージョン情報比較手段は、監視装置に各物流機器が接続された時、監視装置の異常名称データテーブルのバージョン情報と、各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報とを比較し、異常名称データテーブル受信手段は、比較したバージョン情報が互いに異なる場合に、機器側異常名称データテーブル記憶手段に記憶されている異常名称データテーブルを受信し、監視装置の異常名称データテーブル記憶手段に、その異常名称データテーブルが記憶されるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、異常名称データテーブルのバージョン情報が異なるとき、すなわち、異常名称データテーブルが修正/更新されているときにだけ、異常名称データテーブルを取得することで、システム全体の通信量を減少させることができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、監視装置は、各物流機器の電源がONとなり通信接続が開始された時、バージョン情報比較手段が、監視装置の異常名称データテーブルのバージョン情報と、各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン情報とを比較するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、各物流機器の電源がONとなったときに異常名称データテーブルのバージョン情報を確認するので、異常名称データテーブルの修正/更新抜けを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の物流機器システムによれば、複数種類の物流機器で発生した異常を、1か所の監視装置で自動的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による物流機器システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図1に示すモニタリング装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態によるモニタリング装置および各物流機器に記憶される異常名称データテーブルの一例を示す図である。
図4図1に示す物流機器の概略構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態によるモニタリング装置のコントローラで実行される処理を示すフローチャートである。
図6】本実施形態による表示装置に表示される異常表示画面の一例を示す図である。
図7図6の一部を拡大表示した異常表示の一例を示す図である。
図8】本実施形態による表示装置に表示される異常表示データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による物流機器システムを説明する。
【0016】
まず、図1乃至図4により、本発明の実施形態による物流機器システムの概略構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による物流機器システムの概略構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示すモニタリング装置の概略構成を示すブロック図であり、図3は、本実施形態によるモニタリング装置および各物流機器に記憶される異常名称データテーブルの一例を示す図であり、図4は、図1に示す物流機器の概略構成を示すブロック図である。
まず、図1に示すように、符号1は、本実施形態による物流機器システムを示す。この物流機器システム1は、1つのモニタリング装置(監視装置)2を備える。このモニタリング装置2は、自動倉庫4、有軌道台車6、コンベヤ8、および、図示しない無人搬送車など、複数種類の物流機器で生じる異常を監視するための装置である。
【0017】
図1に示すように、モニタリング装置2と各物流機器4、6、8等は、有線接続(本例ではイーサネット3)で互いに通信可能に接続されている。なお、これらの通信は、無線を介して行うようなシステム構成としてもよい。また、モニタリング装置2には、イーサネット3を介した有線接続または所定のアクセスポイントを介した無線接続により、物流機器を管理する作業者の端末(PCやタブレット等)10が接続される。なお、上述した有線接続は、イーサネット以外の通信方式を採用してもよい。
【0018】
ここで、本実施形態の物流機器システム1では、各物流機器4、6、8等がサーバー、モニタリング装置2がクライアントとなるFTP(File Transfer Protocol)を利用して、互いに通信可能なシステムを構成している。なお、変形例として、このようなFTP以外の方式を採用してもよい。
【0019】
次に、図2により、モニタリング装置2の概略構成を説明する。
図2に示すように、モニタリング装置2は、コントローラ12と、記憶部14と、モニタ装置16とを備えている。
【0020】
まず、コントローラ12は、イーサネット3を介して各物流機器4、6、8等との間で通信を行うための通信装置18と、各物流機器4、6、8等から、イーサネット3および通信装置18を介して「異常名称データテーブル」を受信する異常名称データテーブル受信部22と、各物流機器4、6、8等から送信された異常名称データテーブルのバージョン情報と、データベース14に記憶されている異常名称データテーブルのバージョン情報とを比較するバージョン比較部24と、各物流機器4、6、8等から送信される「異常コード」を受信する異常コード受信部26と、この異常コード受信部26で受信した異常コードと、データベース14に記憶されている異常名称データテーブルとに基づいて「異常名称」を出力する異常名称出力部28と、を備える。ここで、異常名称データテーブル受信部22、バージョン比較部24、異常コード受信部26、異常名称出力部28は、種々の処理を実行するCPUなどのプロセッサからなり、そのプロセッサに実行させるプログラムは、記憶部14に記憶されている。
【0021】
次に、記憶部(異常名称データテーブル記憶部/データベース)14は、メモリ装置(ROMやRAMやハードディスクなど)からなり、上述した異常名称データテーブル受信部22で受信した、各物流機器4、6、8毎に設定されている異常名称データテーブルをそれぞれ個別に記憶するデータベースとしての機能を有する。
【0022】
次に、モニタ装置16は、後述する異常名称出力部28により出力された異常名称等の情報を表示する装置である。また、異常名称出力部28により出力された情報は、イーサネット3を介して、作業者の端末10に送られ、端末10にも異常名称等の情報が表示される。なお、モニタ装置16および端末10は、作業者が、モニタリング装置2の各種設定をする入力装置としても利用される。
【0023】
ここで、図3により、異常名称データテーブルおよび異常コードを説明する。
図3に示すように、異常名称データテーブルは、各物流機器4、6、8等で想定される複数の異常を規定したデータテーブルであり、主に、「異常コード」と、異常の状態を示す「異常名称」とで構成される。ここで、「異常名称」とは、たとえば「はみ出し異常」など種々の異常の状態を規定するものであり、この異常名称をモニタ装置16や端末10に表示することで、作業者に異常の内容を知らせるエラーメッセージとして利用される。「異常コード」は、「異常名称」に対応して付される数値データ(または英数字データ)であり、「異常名称」より少ないデータ量で記憶/送信可能となっている。
【0024】
また、異常名称データテーブルは、1つのデータファイルとして管理され、ファイル種別とファイル識別子(たとえば「ABCD-1234-567-89-0」のような英数字データ)とが付される。そして、物流機器の改良や改善(たとえば、無人搬送車の機能追加など)が行われた場合、それに応じて、異常名称データファイルも更新される。この更新の際には、ファイル識別子の末尾の数字「-0」を「-1」と数値を増加するように変更することで、異常名称データテーブルの「バージョン情報」として扱うことができるようになっている。なお、変形例として、英数字データの末尾以外の英字や数字を変更するようにしてもよく、あるいは、数字を増加するように変更しなくても良い。
【0025】
次に、図4により、物流機器の概略構成を説明する。本実施形態の物流機器システム1では、各物流機器4、6、8等は互いに共通する基本構成を有しており、図4では、代表して1つの物流機器(ここでは、自動倉庫4)の基本構成を説明し、他の物流機器の基本構成の説明を省略する。
まず、図4に示すように、物流機器4は、機器駆動装置32と、異常検出センサ34と、コントローラ36と、記憶部38と、を備える。
【0026】
まず、機器駆動装置32は、物流機器(自動倉庫)4を構成する各種装置(昇降装置や搬送装置など)を駆動するためのアクチュエータ等であり、図4では、複数存在する駆動装置のうち1つを示す。
次に、異常検出センサ34は、物流機器4で生じる各種の異常を検出するためのセンサであり、図4では、複数のセンサのうち1つを示す。
【0027】
次に、コントローラ36は、上述したモニタリング装置2のコントローラ12(通信装置18)との間で、イーサネット3を介して通信するための通信装置40と、上述した異常検出センサ34の検出信号に基づいて、物流機器4の異常を検出する機器異常検出部42と、この機器異常検出部42で検出された異常に対応する「異常コード」(図3参照)を、記憶部38に記憶されている異常名称データテーブル(図3参照)に基づいて出力する異常コード出力部44と、を備える。機器異常検出部42、異常コード出力部44は、種々の処理を実行するCPUなどのプロセッサからなり、そのプロセッサに実行させるプログラムは、記憶部38に記憶されている。
【0028】
次に、記憶部(機器側異常名称データテーブル記憶部/データベース)38は、メモリ装置(ROMやRAMやハードディスクなど)からなり、各物流機器毎に作成された、個別の「異常名称データテーブル」を記憶するデータベースとしての機能を有する。この図4の例では、自動倉庫4用の異常名称データファイルが記憶されている。なお、このような異常名称データテーブルは、各物流機器4、6、8毎にそれぞれ作成され、各物流機器の記憶部(38)に記憶される。
【0029】
次に、図5により、モニタリング装置2のコントローラ12で実行される処理を説明する。図5は、本実施形態によるモニタリング装置のコントローラで実行される処理を示すフローチャートである。図5において、Sは各処理ステップを示す。
まず、図5に示すように、S1において、コントローラ12は、物流機器(たとえば自動倉庫4)が起動したか否かの信号を受信する。ここで、本実施形態では、物流機器側では、その電源がONにされ、機器が起動する毎に、モニタリング装置2側に起動信号を送信するようにしており、このS1では、そのような信号を受信する。なお、S1において、物流機器の起動信号を受信しない場合(たとえば、物流機器が既に起動し、稼働中である場合)には、以下のS2乃至S5の処理は実行しない。
【0030】
次に、S2において、コントローラ12は、S1で起動信号を受信した物流機器に対して、異常名称データテーブルの所在パスを、所定の指令信号を送信して問い合わせ、物流機器側から、異常名称データテーブルの所在パスに加え、異常名称データテーブルのファイル種別およびファイル識別子を受信する。
【0031】
次に、S3において、バージョン比較部24が、受信したファイル識別子と、データベース14に記憶されている、該当する物流機器の異常名称データテーブルのファイル識別子とを比較し、互いの異常名称データテーブルのバージョンが同じであるか否かを判定する。互いのバージョンが異なる場合(S4でYES)、S5に進み、異常名称データテーブル受信部22が、S3で取得した所在パスに基づいて、物流機器のデータベース38に記憶されている異常名称データテーブルを受信(ダウンロード)し、コントローラ12は、その受信した異常名称データテーブルをデータベース14に記憶させる。
【0032】
一方、互いのバージョンが同じである場合(S4でNO)には、システム全体のデータ通信料の低減のため、このS5の処理は実行しない。
【0033】
なお、以上説明した異常名称データテーブルのバージョンの比較は、上述したように、物流機器の改良や改善が行われ、それに応じて、異常名称データファイルが更新された後のタイミングに実行されるが、変形例として、このようなタイミングに加え、あるは、このようなタイミングにかかわらず、定期的に(たとえば1日に1回など)実行するようにしてもよい。
【0034】
また、上述した、物流機器のデータベース38に記憶されている異常名称データテーブルのモニタリング装置2側へのダウンロードは、たとえば、物流拠点となる建物内に複数種類の物流機器からなる物流機器システムを設置した後、モニタリング装置2を初めて物流機器4、6、8に通信接続する際に実行するのが好ましい。
【0035】
次に、S6に進み、異常コード受信部26が、物流機器の異常コード出力部44から送信された「異常コード」を受信したか否かを判定する。ここで、本実施形態では、物流機器4のコントローラ36は、異常が検出された場合、「異常コード」のみをモニタリング装置2側に送信する一方、その他の「異常名称」等に関するデータは送信しないようにして、イーサネット3等における通信量を極力低減するようにしている。
【0036】
S6において、異常コードを受信した場合には、S7に進み、異常名称出力部28(図2参照)が、受信した異常コードに基づいて、データベース14内の該当する物流機器の異常名称データテーブルを解析/変換し、該当する異常名称を出力する。たとえば、図3に示す異常名称データテーブルを例に説明すると、異常コード「0202」を受信した場合には、「操作部装置内通信異常」の異常名称を出力するようにデータ処理される。より詳細には、このような処理は、異常名称データテーブルのファイル内データを、いわゆるパース処理することにより実行される。
【0037】
次に、S8に進み、異常名称出力部28が、S7で出力した異常名称(たとえば、後述する図6図8の例では「フォーク1荷はみ出し(左)」)をモニタ装置16や端末10に表示させる。
一方、S6において、異常コードが受信されない場合には、以降のS7、S8の処理は実行しない。
【0038】
次に、図6乃至図8により、モニタ装置16や端末10に表示される、異常名称を含む異常時の表示例を説明する。図6は、本実施形態による表示装置に表示される異常表示画面の一例を示す図であり、図7は、図6の一部を拡大表示した異常表示の一例を示す図であり、図8は、本実施形態による表示装置に表示される異常表示データの一例を示す図である。なお、図6乃至図8は、モニタリング装置2の異常名称出力部28により出力されるデータのモニタ装置16や端末10での表示例である。
【0039】
まず、たとえば、図6に示す例では、画面の左側領域に、自動倉庫4を含む複数の物流機器が配置された1つの区画(たとえば、物流拠点となる1つの建物内)の全体の俯瞰図が表示される。
この左側領域においては、作業者の操作により、図7に示すように、異常が生じている箇所/機器を拡大表示させることができる。この図7では、異常が昇降機に生じていることを示し、その昇降機が、実際には、赤色で目立つように表示され、その他の部分がグレー階調で表示される。
【0040】
一方、図6の画面の右側領域では、その上方に、区画内の複数種類の物流機器のリストが表示され、その下方に、「異常名称」を含む、作業者が把握すべき異常に関する詳細情報が表示される。この右側領域下方の表示例が図8である。
【0041】
図8に示す例では、異常名称「フォーク1荷はみ出し(左)」が表示されると共に、その異常が生じている物流機器「クレーン1号機」、異常コード「2131-0001」、物流機器のステータス「自動/準備中/異常発生停止中」などが表示される。ここで、本実施形態では、異常名称「フォーク1荷はみ出し(左)」は、その文字の大きさ、色、フォントが、互いに統一して表示されるようになっている。言い換えれば「昇降テンション異常」、「走行加速度異常」など、異なる異常であっても同じ文字の大きさ、色、フォントで表示されるようになっている。たとえば、「荷はみ出し」という異常の種別については赤色など、種々の設定が可能となっている。なお、全ての表示において統一させなくてもよく、たとえば、異常の種別毎に表示を統一させてもよい。また、図7に示す、異常が生じている機器の3D表示も、異常の種別毎に、互いに統一した色で表示されるようにしている。
【0042】
次に、本実施形態による物流機器システムの作用効果を説明する。
まず、本実施形態による物流機器システム1は、複数種類の物流機器4、6、8で発生した異常を監視可能なモニタリング装置(監視装置)2を備え、各物流機器4、6、8は、それぞれ、機器駆動装置32と異常検出センサ34とコントローラ36とを備え、各物流機器のコントローラ36は、それぞれ、異常検出センサの出力に基づいて物流機器の異常を検出する機器異常検出部42と、異常名称と異常コードとを紐付けて記憶する異常名称データテーブル記憶部38と、モニタリング装置2と通信可能な機器側の通信装置40と、を備え、物流機器システム1のモニタリング装置2は、各物流機器4、6、8のコントローラ12とそれぞれ通信可能な通信装置18と、この通信装置を介して各物流機器の異常名称データテーブル記憶部38に記憶された異常名称データテーブルを受信する異常名称データテーブル受信部22と、受信した異常名称データテーブルを記憶する異常名称データテーブル記憶部14と、この異常名称データテーブル記憶部14に記憶された異常名称データテーブルに基づいて異常名称を出力する異常名称出力部28と、を備えている。
このように構成された本実施形態によれば、モニタリング装置2が、物流機器4、6、8のコントローラ36から異常名称データテーブルを通信装置18により自動的に取得し、モニタリング装置2側で異常名称データテーブルを記憶することにより、各物流機器のいずれかで異常が発生した場合、モニタリング装置2側で記憶した異常名称データテーブルに基づいて異常名称を出力することができる。また、モニタリング装置2は、接続した複数種類の各物流機器4、6、8からデータを自動的に取得することで、複数種類の物流機器が存在しても、異常発生の監視の抜けを防止することができる。
【0043】
また、本実施形態では、各物流機器4、6、8のコントローラ36は、機器異常検出部42により異常が検出されたとき、その異常に対応する異常コードのみを送信し、モニタリング装置2は、異常コードを受信すると、異常名称出力部28が、異常名称データテーブル記憶部14に記憶された異常名称データテーブルに基づいて、受信した異常コードに対応する異常名称を出力するよう構成されている。したがって、本実施形態によれば、物流機器4、6、8は、異常発生時、機器側の異常名称データテーブルに基づいて異常コードのみを送信し、モニタリング装置2は、異常名称を受信せずに異常コードのみを受信するので、システム全体での通信量を減少させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、モニタリング装置2の異常名称出力部28は、モニタ装置16および/または端末10(所定の表示装置)に、各物流機器4、6、8の異常名称を各物流機器の異常の種別毎に同じ表示態様で表示するので、統一した表示により、作業者による異常の理解を助けることができる。
【0045】
また、本実施形態では、モニタリング装置2は、さらに、モニタリング装置の異常名称データテーブル記憶部14に記憶された各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン(ファイル識別子/バージョン情報)と、機器側の異常名称データテーブル記憶部38に記憶された各物流機器の異常名称データテーブルのバージョン(ファイル識別子/バージョン情報)とを比較するバージョン比較部24を備え、バージョン比較部24は、モニタリング装置2に各物流機器4、6、8が通信接続された時、モニタリング装置2の異常名称データテーブルのバージョンと、各物流機器4、6、8の異常名称データテーブルのバージョンとを比較し、異常名称データテーブル受信部22は、比較したバージョンが互いに異なる場合に、機器側の異常名称データテーブル記憶部38に記憶されている異常名称データテーブルを受信し、その受信した異常名称データテーブルが、モニタリング装置2の異常名称データテーブル記憶部14に記憶される。したがって、本実施形態では、異常名称データテーブルのバージョンが異なるとき、すなわち、異常名称データテーブルが修正/更新されているときにだけ、異常名称データテーブルを送受信することで、システム全体の通信量を減少させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、モニタリング装置2は、各物流機器4、6、8の電源がONとなり通信接続が開始されたときに、機器側の異常名称データテーブル記憶部38に記憶されている異常名称データテーブルのバージョンを受信し、バージョン比較部24が、そのバージョンと、モニタリング装置2の異常名称データテーブルのバージョンとを比較するので、異常名称データテーブルの修正/更新抜けを防止することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、モニタリング装置2の異常名称データテーブル記憶部14は、各物流機器4、6、8毎に異常コードと異常名称とを紐付けた異常名称データテーブルをそれぞれ記憶しているので、より確実に、異常が生じた物流機器の異常名称を出力することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 物流機器システム
2 モニタリング装置(監視装置)
3 有線(イーサネット)
4 自動倉庫(物流機器)
6 有軌道台車(物流機器)
8 コンベヤ(物流機器)
10 端末(表示装置)
12 コントローラ
14 記憶部(異常名称データテーブル記憶手段/データベース)
16 モニタ装置(表示装置)
18 通信装置
22 異常名称データテーブル受信部(異常名称データテーブル受信手段)
24 バージョン比較部(バージョン情報比較手段)
26 異常コード受信部(異常コード受信手段)
28 異常名称出力部(異常名称出力手段)
34 異常検出センサ
36 コントローラ(物流機器側コントローラ)
38 記憶部(機器側異常名称データテーブル記憶手段/データベース)
40 通信装置(機器側通信装置)
42 機器異常検出部(機器異常検出手段)
44 異常コード出力部(異常コード出力手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8