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  • 特開-振動刺激装置及び振動刺激方法 図1
  • 特開-振動刺激装置及び振動刺激方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018612
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】振動刺激装置及び振動刺激方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A61H23/02 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122480
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永安 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】川野 健二
(72)【発明者】
【氏名】森 香子
(72)【発明者】
【氏名】西川 裕一
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 俊彦
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA03
4C074CC01
4C074DD10
4C074FF01
4C074GG02
4C074GG03
4C074GG11
(57)【要約】
【課題】簡潔な設定で筋力の回復又は維持を実現できる振動刺激装置を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、ユーザの身体の原動筋に振動を与えることで、原動筋と対となる拮抗筋に刺激を与えるように構成された少なくとも1つの振動発生部を備える、振動刺激装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体の原動筋に振動を与えることで、前記原動筋と対となる拮抗筋に刺激を与えるように構成された少なくとも1つの振動発生部を備える、振動刺激装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動刺激装置であって、
前記少なくとも1つの振動発生部が発生させる振動の振幅は、0.001mm以上1mm以下である、振動刺激装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の振動刺激装置であって、
前記ユーザが着席可能なシートと、
前記ユーザの下肢を上方から覆うサポータと、
をさらに備え、
前記少なくとも1つの振動発生部は、前記サポータのうち前記原動筋を覆う部位に配置される、振動刺激装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の振動刺激装置であって、
前記ユーザの上肢又は下肢に装着可能なギプスをさらに備え、
前記少なくとも1つの振動発生部は、前記ギプスのうち前記原動筋を覆う部位に配置される、振動刺激装置。
【請求項5】
請求項4に記載の振動刺激装置であって、
前記少なくとも1つの振動発生部は、前記原動筋を覆う部位に配置された第1振動発生部と、前記拮抗筋を覆う部位に配置された第2振動発生部と、を含む、振動刺激装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の振動刺激装置であって、
前記ユーザを下から支持可能なマットと、
前記ユーザの前記原動筋を上方から覆うサポータと、
をさらに備え、
前記少なくとも1つの振動発生部は、前記サポータのうち前記原動筋を覆う部位に配置される、振動刺激装置。
【請求項7】
ユーザの身体の原動筋に振動を与えることで、前記原動筋と対となる拮抗筋に刺激を与える工程を備える、振動刺激方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動刺激装置及び振動刺激方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筋力の低下を、電気刺激により予防する装置が考案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。これらの装置は、筋疲労が発生しにくい条件で、筋力維持に必要な最低限の強さでの刺激を行うように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-143061号公報
【特許文献2】国際公開第2016/125312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の装置では、不快感等のマイナスの要素を抑制しつつ広い範囲で効果を得ようとするために、複雑な設定が必要である。
【0005】
本開示の一局面は、簡潔な設定で筋力の回復又は維持を実現できる振動刺激装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ユーザの身体の原動筋に振動を与えることで、原動筋と対となる拮抗筋に刺激を与えるように構成された少なくとも1つの振動発生部(11A,11B)を備える、振動刺激装置(1)である。
【0007】
このような構成によれば、原動筋に小さな振動を与えることで、拮抗筋反射によって拮抗筋の運動神経を刺激することができる。すなわち、本開示の発明者らは、原動筋に小さな振動を与えることで、原動筋と対となる拮抗筋の広い範囲で運動神経を刺激できることを見出した。
【0008】
これにより、直接の振動刺激が不快感を生む部位に対して、運動神経を刺激することができる。結果として、簡潔な設定で筋力の回復又は維持を実現できる。
【0009】
本開示の一態様では、少なくとも1つの振動発生部(11A,11B)が発生させる振動の振幅は、0.001mm以上1mm以下であってもよい。このような構成によれば、大きな振動の付与によるユーザの不快感を低減しつつ、筋力の回復又は維持を図ることができる。
【0010】
本開示の一態様は、ユーザが着席可能なシート(2)と、ユーザの下肢を上方から覆うサポータ(3)と、をさらに備えてもよい。少なくとも1つの振動発生部(11A,11B)は、サポータ(3)のうち原動筋を覆う部位に配置されてもよい。このような構成によれば、神経群が多く存在する臀部への振動刺激を抑えつつ、大腿部中央、膝側の筋腱部等から臀部近傍の拮抗筋に刺激を与えることができる。
【0011】
本開示の一態様は、ユーザの上肢又は下肢に装着可能なギプス(4)をさらに備えてもよい。少なくとも1つの振動発生部(11A,11B)は、ギプス(4)のうち原動筋を覆う部位に配置されてもよい。このような構成によれば、ギプス(4)によって運動が制限された上肢又は下肢に対し、小さな振動にて拮抗筋に刺激を与えることができる。そのため、ギプス解除後の筋力回復の進捗を促進できる。
【0012】
本開示の一態様では、少なくとも1つの振動発生部は、原動筋を覆う部位に配置された第1振動発生部(11A)と、拮抗筋を覆う部位に配置された第2振動発生部(11B)と、を含んでもよい。このような構成によれば、対となる2つの拮抗筋それぞれに刺激が与えられるため、筋力回復効果が促進される。
【0013】
本開示の一態様は、ユーザを下から支持可能なマット(5)と、ユーザの原動筋を上方から覆うサポータ(6)と、をさらに備えてもよい。少なくとも1つの振動発生部(11A,11B)は、サポータ(6)のうち原動筋を覆う部位に配置されてもよい。このような構成によれば、マット(5)に振動発生部を設けることなく、ユーザのマット(5)に面した部位の拮抗筋に刺激を与えることができる。そのため、マット(5)の快適性を損なうことなく、マット(5)に寝た状態でユーザの筋力回復を図ることができる。
【0014】
本開示の別の態様は、ユーザの身体の原動筋に振動を与えることで、原動筋と対となる拮抗筋に刺激を与える工程を備える、振動刺激方法である。
【0015】
このような構成によれば、原動筋に小さな振動を与えることで、拮抗筋反射によって拮抗筋の運動神経を刺激することができるため、簡潔な設定で筋力の回復又は維持を実現できる。
【0016】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態における振動刺激装置を示す模式的な側面図である。
図2図2は、拮抗筋反射を説明する模式図である。
図3図3は、図1とは異なる実施形態における振動刺激装置を示す模式的な側面図である。
図4図4は、図1とは異なる実施形態における振動刺激装置を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す振動刺激装置1は、ユーザUの下肢の筋力及び運動能力を維持又は回復するために使用される。振動刺激装置1は、シート2と、サポータ3と、第1振動発生部11Aと、第2振動発生部11Bとを備える。
【0019】
振動刺激装置1は、ユーザUがシート2に着席した状態で、振動発生部11A,11BによってユーザUに振動刺激を与える。これにより、加齢による筋力低下及び筋肉量減少の抑制、並びにフレイル(つまり脆弱)の予防を図ることができる。
【0020】
そのため、ユーザUが運動を自ら行うことなく、ユーザUの下肢筋力を維持又は回復させることができる。これにより、ユーザUの下肢のバランス及び歩行機能の維持又は改善が期待される。
【0021】
<シート>
シート2は、ユーザUの臀部を支持する座部21と、背もたれ22とを有する。図1では、シート2の背もたれ22は、ユーザUの背筋が直立するようにユーザUを支持しているが、背もたれ22はリクライニング可能であってもよい。
【0022】
<サポータ>
サポータ3は、ユーザUの下肢を上方から覆う装着具である。サポータ3は、例えば、ユーザUの下肢を覆った状態で、ユーザUの衣服又はシート2に固定される。サポータ3は、シート2と共に、ユーザUの下肢を上下方向又は前後方向に挟むように配置される。サポータ3は、複数の部位に分割されていてもよい。
【0023】
<振動発生部>
第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、シート2の着席者(つまりユーザU)に振動を与えるように構成されている。
【0024】
具体的には、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、ユーザUの身体の原動筋に振動を与えることで、振動を与えた原動筋と対となる拮抗筋に刺激を与えるように構成されている。また、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、共通する原動筋に刺激を与える。つまり、同じ原動筋に対し、筋腹に第1振動発生部11Aが振動を与え、筋腱に第2振動発生部11Bが振動を与える。
【0025】
図2は、人体における振動刺激による信号発生のメカニズムを説明する図である。ある原動筋(「振動付与筋」と呼称する)に振動刺激を与えると、振動付与筋の筋紡錘からの信号が神経によって脊髄に送られる。脊髄では、この信号による脊髄活動が発生し、振動付与筋に対する拮抗筋群に信号が送られる。これにより、振動が直接付与されていない拮抗筋に振動刺激が疑似的に与えられる拮抗筋反射が得られる。
【0026】
第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bとしては、公知のアクチュエータ式の振動体が使用できる。各振動体の振動(つまり振動発生部11A,11Bが発生させる振動)の周波数は、20Hz以上110Hz以下が好ましい。また、各振動体の振動の振幅は、0.001mm以上1mm以下が好ましい。
【0027】
このような周波数及び振幅を用いることで、振動刺激によって、拮抗筋の筋紡錘を効果的に反応させることができる。その結果、筋力の回復効果又は維持効果が促進される。すなわち、大きな振動の付与によるユーザUの不快感を低減しつつ、筋力の回復又は維持を図ることができる。
【0028】
図1に示すように、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、サポータ3のうち振動を入力する原動筋を覆う部位に配置されている。
【0029】
第1振動発生部11Aは、大腿部前側の筋(例えば大腿四頭筋)の筋腹部を含む範囲に刺激を与えるように構成されている。具体的には、第1振動発生部11Aは、サポータ3のうち、腿と対向する部位に配置されている。
【0030】
第2振動発生部11Bは、大腿部前側の筋(例えば大腿四頭筋)の筋腱部を含む範囲に刺激を与えるように構成されている。具体的には、第2振動発生部11Bは、サポータ3のうち、膝蓋骨と対向する部位に配置されている。
【0031】
第1振動発生部11Aが筋腹部に与えた振動刺激及び第2振動発生部11Bが筋腱部に与えた振動刺激は、これらの筋の拮抗筋(例えば大腿二頭筋)に刺激効果を与える。つまり、ユーザUの臀部から離れた部位への振動付与によって、ユーザUの臀部に近く、かつ比較的範囲の広い対象領域M1の筋に刺激を与えることができる。また、1つの拮抗筋に対し、異なる部位(例えば筋腹部及び筋腱部)の中から、刺激を与える部位を選択することができる。
【0032】
なお、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、ユーザUの左右の脚に対しそれぞれ1つずつ設けられてもよいし、ユーザUの一方の脚のみに対して設けられてもよい。
【0033】
<振動刺激方法>
本実施形態の振動刺激方法は、振動刺激装置1を用いて、ユーザUの身体の原動筋に振動を与えることで、原動筋と対となる拮抗筋に刺激を与える工程を備える。
【0034】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)原動筋に小さな振動を与えることで、拮抗筋反射によって拮抗筋の運動神経を刺激することができる。これにより、直接の振動刺激が不快感を生む部位に対して、運動神経を刺激することができる。結果として、簡潔な設定で筋力の回復又は維持を実現できる。
【0035】
(1b)神経群が多く存在する臀部への振動刺激を抑えつつ、大腿部中央、膝側の筋腱部等から臀部近傍の拮抗筋に刺激を与えることができる。
【0036】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図3に示す振動刺激装置1Aは、ユーザUの下肢又は上肢の筋力及び運動能力を維持又は回復するために使用される。振動刺激装置1Aは、ギプス4と、第1振動発生部11Aと、第2振動発生部11Bとを備える。
【0037】
振動刺激装置1Aは、ギプス4を装着したユーザUに対し、振動発生部11A,11BによってユーザUに振動刺激を与える。これにより、骨折等による運動制限に伴う筋力低下及び筋肉量減少の抑制を図ることができる。
【0038】
<ギプス>
ギプス4は、ユーザUの下肢に装着可能な装着具である。ギプス4は、例えば、ユーザUの一方の脚に巻き付けられることで装着される。ギプス4は、ユーザUの脚の周方向全体を覆っている。
【0039】
<振動発生部>
第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、第1実施形態と同様のものであり、ギプス4の装着者(つまりユーザU)に振動を与えるように構成されている。
【0040】
第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、ギプス4のうち振動を入力する原動筋を覆う部位に配置されている。
【0041】
第1振動発生部11Aは、下腿の後側(例えば腓腹筋)を含む範囲に刺激を与えるように構成されている。具体的には、第1振動発生部11Aは、ギプス4のうち、脹脛と対向する部位に配置されている。
【0042】
第2振動発生部11Bは、下腿の前側(例えば前脛骨筋)を含む範囲に刺激を与えるように構成されている。具体的には、第2振動発生部11Bは、ギプス4のうち、脛と対向する部位に配置されている。
【0043】
第1振動発生部11Aが下腿の後側の筋に与えた振動刺激は、この筋の拮抗筋(例えば前脛骨筋)を含む対象領域M1に刺激効果を与える。第2振動発生部11Bが下腿の前側の筋に与えた振動刺激は、この筋の拮抗筋(例えば腓腹筋)を含む対象領域M2に刺激効果を与える。
【0044】
つまり、第2振動発生部11Bは、第1振動発生部11Aが刺激を入力する原動筋に対する拮抗筋を覆う部位に配置されている。第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、どちらか一方が連続的に振動を発生させてもよいし、交互に振動を発生させてもよい。
【0045】
なお、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、下腿以外(例えば大腿部、膝等)において、対となる2つの拮抗筋それぞれを覆うように配置されてもよい。また、ギプス4は、上肢に装着されるものであってもよい。第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、上腕、前腕、肘等において、対となる2つの拮抗筋それぞれを覆うように配置されてもよい。
【0046】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)ギプス4によって運動が制限された上肢又は下肢に対して、小さな振動にて拮抗筋に刺激を与えることができる。そのため、ギプス解除後の筋力回復の進捗を促進できる。
【0047】
(2b)第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bによって、対となる2つの拮抗筋それぞれに刺激が与えられるため、筋力回復効果が促進される。
【0048】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
図4に示す振動刺激装置1Bは、ユーザUの下肢の筋力及び運動能力を維持又は回復するために使用される。振動刺激装置1Bは、マット5と、サポータ6と、第1振動発生部11Aと、第2振動発生部11Bとを備える。
【0049】
振動刺激装置1Bは、ユーザUがマット5に臥した状態で、振動発生部11A,11BによってユーザUに振動刺激を与える。これにより、加齢による筋力低下及び筋肉量減少の抑制、並びにフレイルの予防を図ることができる。
【0050】
<マット>
マット5は、横たわったユーザUを下から支持可能な部材である。マット5は、柔軟性を有する。
【0051】
<サポータ>
サポータ6は、ユーザUの下肢を上方から覆う装着具である。サポータ6は、例えば、ユーザUの下肢を覆った状態で、ユーザUの衣服又はマット5に固定される。サポータ6は、マット5と共に、ユーザUの下肢を上下方向に挟むように配置される。サポータ6は、複数の部位に分割されていてもよい。
【0052】
<振動発生部>
第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、第1実施形態と同様のものであり、マット5に臥したユーザUに振動を与えるように構成されている。
【0053】
第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、サポータ6のうち振動を入力する原動筋を覆う部位に配置されている。第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、互いに異なる原動筋に刺激を与える。
【0054】
第1振動発生部11Aは、大腿部中央部分の前側の筋(例えば大腿四頭筋)を含む範囲に刺激を与えるように構成されている。具体的には、第1振動発生部11Aは、サポータ6のうち、腿と対向する部位に配置されている。
【0055】
第2振動発生部11Bは、下腿の前側(例えば前脛骨筋)を含む範囲に刺激を与えるように構成されている。具体的には、第2振動発生部11Bは、サポータ6のうち、脛と対向する部位に配置されている。
【0056】
第1振動発生部11Aが大腿部中央部分の前側の筋に与えた振動刺激は、この筋の拮抗筋(例えば大腿二頭筋)を含む対象領域M1に刺激効果を与える。第2振動発生部11Bが下腿の前側の筋に与えた振動刺激は、この筋の拮抗筋(例えば腓腹筋)を含む対象領域M2に刺激効果を与える。
【0057】
このように、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、ユーザUの身体のうち、マット5に支持されている比較的広い範囲の部位に対し、刺激効果を与えることができる。これにより、マット5自体を振動させた場合のユーザUの不快感が抑制される。
【0058】
なお、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bは、ユーザUの左右の脚に対しそれぞれ1つずつ設けられてもよいし、ユーザUの一方の脚のみに対して設けられてもよい。また、第1振動発生部11A及び第2振動発生部11Bが同時に振動することで、身体の異なる部位に対し、同時に刺激効果を与えられる。
【0059】
[3-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)マット5に振動発生部を設けることなく、ユーザのマット5に面した部位の拮抗筋に刺激を与えることができる。そのため、マット5の快適性を損なうことなく、マット5に寝た状態でユーザの筋力回復を図ることができる。
【0060】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0061】
(4a)上記実施形態の振動刺激装置において、振動発生部の数は2に限定されない。つまり、振動刺激装置は、1又は3以上の振動発生部を備えてもよい。
【0062】
(4b)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0063】
1…振動刺激装置、1A…振動刺激装置、1B…振動刺激装置、2…シート、
3…サポータ、4…ギプス、5…マット、6…サポータ、11A…第1振動発生部、
11B…第2振動発生部、21…座部、22…背もたれ。
図1
図2
図3
図4