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2025-186395NKp46に結合するナチュラルキラー(NK)細胞エンゲージャー及びFCエンジニアリングを有するBCMA変異体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025186395
(43)【公開日】2025-12-23
(54)【発明の名称】NKp46に結合するナチュラルキラー(NK)細胞エンゲージャー及びFCエンジニアリングを有するBCMA変異体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20251216BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20251216BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20251216BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20251216BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20251216BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20251216BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20251216BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20251216BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20251216BHJP
   A61K 40/33 20250101ALI20251216BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20251216BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20251216BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20251216BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20251216BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20251216BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20251216BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20251216BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20251216BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12P21/08
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K40/33
A61K47/55
A61K47/68
A61P35/00
A61K48/00
C07K16/28
C07K16/30
C12N15/13
C12N15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025153938
(22)【出願日】2025-09-17
(62)【分割の表示】P 2024569737の分割
【原出願日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】22305783.7
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22306564.0
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/416,081
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/425,639
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/487,470
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/454,158
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(71)【出願人】
【識別番号】505473891
【氏名又は名称】イネイト・ファルマ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・グルダン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ゴティエ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・タン
(72)【発明者】
【氏名】マリエル・シロン
(72)【発明者】
【氏名】アンジェラ・ヴィロン-オッドス
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・マーシエロ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーヘン・ベニンガ
(72)【発明者】
【氏名】インゴ・フォッケン
(72)【発明者】
【氏名】ボードー・ティルマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】サンバシヴァ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンフェン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】レイラ・セヴィニー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】管理可能な安全性プロファイルを有する強力な抗BCMA治療を提供する。
【解決手段】第1及び第2の抗原結合ドメイン(ABD)並びに免疫グロブリンFc領域又はその変異体の全部又は一部を含む多機能結合タンパク質を提供する。第1のABDはヒトBCMAに特異的に結合し、第2のABDはヒトNKp46に特異的に結合し、免疫グロブリンFc領域又はその変異体の全部又は一部はヒトFc-γ受容体に結合する。また、多発性骨髄腫(MM)を含む増殖性障害の治療又は予防を含む、当該結合タンパク質を作製するための方法、その組成物、及びそれらの使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメイン(ABD)と、NKp46に対する結合特異性を有する第2のABDとを含む結合タンパク質であって、
(a)前記第1のABDが、
(a1)GFTFSNFGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHCDR1配列、VIWSDETNR(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHCDR2配列、及びDQQYCSSDSCFTWFDP(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、
(a2)CXSSTGXVTPXYAN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列であって、XがR又はAであり、XがT又はAであり、XがS又はGであり、XがN又はYであるLCDR1配列、DNNXPP(配列番号5)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列であって、XがS、I又はNであり、XがR又はKであるLCDR2配列、及びALXGXQWV(配列番号6)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列であって、XがW又はYであり、XがF又はYであり、XがN又はGであるLCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)と、を含み、
(b)前記第2のABDが、NKp46に対する結合特異性を含む、結合タンパク質。
【請求項2】
(b)前記第2のABDが、
(b1)第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH2)であって、
-DYVINを含むHCDR1配列、EIYPGSGTNYYNEKFKAを含むHCDR2配列、及びRGRYGLYAMDYを含むHCDR3配列、
-GYTFSDYVIN(配列番号19)を含むHCDR1配列、EIYPGSGTN(配列番号20)を含むHCDR2配列、及びRGRYGLYAMDY(配列番号21)を含むHCDR3配列、
-SDYAWN(配列番号22)を含むHCDR1配列、YITYSGSTSYNPSLES(配列番号23)を含むHCDR2配列、及びGGYYGSSWGVFAY(配列番号24)を含むHCDR3配列、
-EYTMH(配列番号25)を含むHCDR1配列、GISPNIGGTSYNQKFKG(配列番号26)を含むHCDR2配列、及びRGGSFDY(配列番号27)を含むHCDR3配列、
-SFTMH(配列番号28)を含むHCDR1配列、YINPSSGYTEYNQKFKD(配列番号29)を含むHCDR2配列、及びGSSRGFDY(配列番号30)を含むHCDR3配列、又は
-SDYAWN(配列番号31)を含むHCDR1配列、YITYSGSTNYNPSLKS(配列番号32)を含むHCDR2配列、及びCWDYALYAMDC(配列番号33)を含むHCDR3配列、を含む第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH2)と、
(b2)第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL2)であって、
-RASQDISNYLN(配列番号34)を含むLCDR1配列、YTSRLHS(配列番号35)を含むLCDR2配列、及びQQGNTRPWT(配列番号36)を含むLCDR3配列、
-RVSENIYSYLA(配列番号37)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号38)を含むLCDR2配列、及びQHHYGTPWT(配列番号39)を含むLCDR3配列、
-RASQSISDYLH(配列番号40)を含むLCDR1配列、YASQSIS(配列番号41)を含むLCDR2配列、及びQNGHSFPLT(配列番号42)を含むLCDR3配列、
-RASENIYSNLA(配列番号43)を含むLCDR1配列、AATNLAD(配
列番号44)を含むLCDR2配列、及びQHFWGTPRT(配列番号45)を含むLCDR3配列、又は
-RTSENIYSYLA(配列番号46)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号47)を含むLCDR2配列、及びQHHYDTPLT(配列番号48)を含むLCDR3配列、を含む第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL2)と
を含む、請求項1に記載の結合タンパク質。
【請求項3】
前記VL1が、
-CASSTGTVTPSNYAN(配列番号7)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号8)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号9)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、
-CRSSTGTVTPSNYAN(配列番号10)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号11)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号12)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、
-CASSTGAVTPSNYAN(配列番号13)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNIKPP(配列番号14)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWYGGQWV(配列番号15)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、又は
-CASSTGAVTPGYYAN(配列番号16)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNNKPP(配列番号17)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALYYGGQWV(配列番号18)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、
を含む、請求項1に記載の結合タンパク質。
【請求項4】
-前記VH1が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL1が、配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH1が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL1が、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH1が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL1が、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH1が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL1が、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH1が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL1が、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又は
-前記VH1が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL1が、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
任意に、
-前記VH1が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL1が配列番号55のアミノ酸配列を含むか、
-前記VH1が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL1が配列番号50のアミノ酸配列を含むか、
-前記VH1が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL1が配列番号51のアミノ酸配列を含むか、
-前記VH1が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL1が配列番号52のアミノ酸配列を含むか、
前記VH1が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL1が配列番号53のアミノ酸
配列を含むか、又は
-前記VH1が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL1が配列番号54のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の結合タンパク質。
【請求項5】
-前記VH2が、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH2が、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH2が、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH2が、配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH2が、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH2が、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
-前記VH2が、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又は
-前記VH2が、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記VL2が、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
任意に、
前記VH2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号64のアミノ酸配列を含むか、
前記VH2が配列番号57のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号65のアミノ酸配列を含むか、
前記VH2が配列番号58のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号66のアミノ酸配列を含むか、
前記VH2が配列番号59のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号67のアミノ酸配列を含むか、
前記VH2が配列番号60のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号68のアミノ酸配列を含むか、
前記VH2が配列番号61のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号69のアミノ酸配列を含むか、
前記VH2が配列番号62のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号70のアミノ酸配列を含むか、又は
前記VH2が配列番号63のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号71のアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項6】
免疫グロブリンFcドメイン又はその変異体の全部又は一部を更に含み、任意に、
前記免疫グロブリンFcドメイン若しくはその変異体の全部若しくは一部が、ヒトFc-γ受容体に結合し、
前記免疫グロブリンFcドメイン若しくはその変異体の全部若しくは一部が、ヒトCD1
6A(FcγRIII)ポリペプチドに結合し、
前記Fcドメインが、EUナンバリングに従うアミノ酸位置297に天然グリカンを含み、及び/又は
前記結合タンパク質が、N-グリコシル化されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項7】
前記Fcドメイン又はその変異体が、第1のFc重鎖及び第2のFc重鎖を含む、請求項6に記載の結合タンパク質。
【請求項8】
少なくとも1つのFc重鎖が、
(i)アミノ酸位置242のロイシン(L)及びアミノ酸位置334のリジン(K)、
又は
(iii)アミノ酸位置292のアルギニン(R)及びアミノ酸位置302のバリン(V)
に代わるシステイン(C)の対によって媒介される操作された鎖内ジスルフィド結合を含み、前記アミノ酸位置はEUナンバリングに従う、請求項7に記載の結合タンパク質。
【請求項9】
前記第1及び前記第2のFc重鎖がそれぞれ、L242C/K334C置換を含む、請求項8に記載の結合タンパク質。
【請求項10】
前記第1及び前記第2のFc重鎖がそれぞれ、R292C/V302C置換を含む、請求項8に記載の結合タンパク質。
【請求項11】
少なくとも1つのFc重鎖が、EUナンバリングに従うアミノ酸位置332における置換を含み、任意に、アミノ酸位置332における前記置換がグルタミン酸(E)であり、任意に、少なくとも1つのFc重鎖を更に含み、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236、239又は330における1つ以上の置換を更に含み、任意に、アミノ酸位置236における前記置換がアラニン(A)であり、アミノ酸位置239における前記置換がアスパラギン酸(D)であり、アミノ酸位置330における前記置換がロイシン(L)である、請求項7~10のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項12】
少なくとも1つのFc重鎖が、EUナンバリングに従うアミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含むか、
少なくとも1つのFc重鎖が、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含むか、又は
少なくとも1つのFc重鎖が、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置330にロイシン(L)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項13】
少なくとも2つの抗原結合部位を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、少なくとも1つのポリペプチド鎖が、式:
VL1-L1-VL2-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
少なくとも1つのポリペプチド鎖が、式:
VH2-L3-VH1-L4-CH1[II]
によって表される構造を含み、
式中、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iの前記ポリペプチドと式IIの前記ポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成し、任意に、前記結合タンパク質が、2つの抗原結合部位を形成する3つのポリペプチド鎖を含み、1つのポリペプチド鎖が、式:
VL1-L1-VL2-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
1つのポリペプチド鎖が、式:
VH2-L3-VH1-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3[III]
によって表される構造を含み、
1つのポリペプチド鎖が、式:
ヒンジ-CH2-CH3[IV]
によって表される構造を含み、
式中、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり、
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり、
ヒンジは、前記CH1ドメインとCH2ドメインとを接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iの前記ポリペプチドと式IIの前記ポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項14】
(a)L1、L2、L3及びL4が、それぞれ独立して、0アミノ酸長であるか、若しくはGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、S、RT、TKGPS、GQPKAAP、及びGGSGSSGSGGからなる群から選択される配列を含むか、又は
(b)L1、L2、L3及びL4が、それぞれ独立して、GGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、S、RT、TKGPS、GQPKAAP、及びGGSGSSGSGGからなる群から選択される配列を含む、
請求項13に記載の結合タンパク質。
【請求項15】
(i)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、
(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖と、
(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖と、
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項16】
BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメイン(ABD)と、NKp46に対する結合特異性を有する第2のABDとを含む結合タンパク質であって、
(a)前記第1のABDが、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含み、
(b)前記第2のABDが、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH2)と、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第2の免疫グロブ
リン軽鎖可変ドメイン(VL2)とを含み、任意に、
前記VH1が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、
前記VH2が配列番号56のアミノ酸配列を含み、前記VL2が配列番号64のアミノ酸配列を含む、結合タンパク質。
【請求項17】
(i)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、
(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖と、
(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖と、
を含む、請求項16に記載の結合タンパク質。
【請求項18】
BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメイン(ABD)と、NKp46に対する結合特異性を有する第2のABDとを含む結合タンパク質であって、前記結合タンパク質が、
(i)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、
(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖と、
(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖と、
を含む、結合タンパク質。
【請求項19】
医薬品として使用するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項20】
疾患又は障害の治療又は予防のための方法に使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項21】
癌の治療又は予防のための方法に使用するための、請求項1~20のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項22】
多発性骨髄腫の治療又は予防のための方法に使用するための、請求項1~21のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項23】
請求項1~18のいずれか一項に記載の結合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~18のいずれか一項に記載の結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項25】
請求項24に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項26】
請求項24に記載の核酸分子を含む、単離された細胞。
【請求項27】
請求項25に記載の発現ベクターを含む、単離された細胞。
【請求項28】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項27に記載の単離された細胞。
【請求項29】
請求項26又は27に記載の単離された細胞を好適な条件下で培養することと、前記結合タンパク質を回収することとを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の結合タンパク質を作製する方法。
【請求項30】
疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に請求項23に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項31】
癌を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に請求項23に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項32】
多発性骨髄腫を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に請求項23に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項33】
NKp46発現細胞の活性の回復又は増強を必要とする患者においてNKp46発現細胞の活性を回復又は増強させる方法であって、請求項23に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項34】
癌細胞の排除を必要とする患者において癌細胞を排除する方法であって、請求項23に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項35】
癌細胞のNK細胞媒介性溶解を必要とする患者において癌細胞のNK細胞媒介性溶解を誘発又は増加させる方法であって、請求項23に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
B細胞成熟抗原(BCMA)は、成熟B細胞及びB細胞由来腫瘍細胞上に発現される、いくつかのB細胞癌(例えば、多発性骨髄腫)及びB細胞疾患又は障害(例えば、軽鎖アミロイドーシス又はLCA)の進行に関与している。したがって、BCMAは、抗B細胞癌治療及びB細胞関連疾患又は障害の治療のための魅力的な標的である。抗CD3xBCMA T細胞エンゲージャー等の数少ない既存のBCMA標的化療法は、過剰な炎症促進性サイトカイン放出等の強力な毒性問題を誘発する。
【背景技術】
【0002】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然免疫に関与するリンパ球の亜集団である。NK細胞は、腫瘍又はウイルス感染細胞等の望ましくない細胞を排除することができる効率的な免疫監視機構を提供する。NK細胞の特徴及び生物学的特性は、CD16、CD56及び/又はCD57を含む表面抗原の発現、細胞表面上のα/β又はγ/δTCR複合体の非存在、MHC非拘束的に細胞に結合して死滅させる能力、特に特定の細胞溶解酵素の活性化によってMHC/HLA抗原を発現しない「自己」細胞、腫瘍細胞又はNK活性化受容体に対するリガンドを発現する他の疾患細胞を死滅させる能力、及び免疫応答を刺激するサイトカインと呼ばれるタンパク質分子を放出する能力を含む。潜在的な抗腫瘍特性のために、ナチュラルキラー(NK)細胞の周囲で関心が高まっている。
【0003】
管理可能な安全性プロファイルを有する強力な抗BCMA治療が当技術分野で必要とされている。ここで特許請求の範囲に記載される抗BCMA×NKp46結合タンパク質は、この必要性を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、第1及び第2の抗原結合ドメイン(ABD)並びに免疫グロブリンFc領域又はその変異体の全部又は一部を含む多機能結合タンパク質に関し、第1のABDはヒトBCMAに特異的に結合し、第2のABDはヒトNKp46に特異的に結合し、免疫グロブリンFc領域又はその変異体の全部又は一部はヒトFc-γ受容体に結合する。特に、開示されるNKp46-BCMAエンゲージャーは、(抗体の定常領域(Fc)へのCD16(FcγRIIIa)結合を介して)ADCC活性及び/又は血清半減期を増強する広範なFc操作を有する。
【0005】
開示されたNKp46-BCMAエンゲージャーは、NKp46及びCD16との二重NK係合により強い効力を示し、良好な安全性プロファイル(T細胞エンゲージャー(TCE)モダリティと比較して最小の炎症促進性サイトカイン放出)及び長い血清半減期を有する。
【0006】
本開示はまた、当該結合タンパク質を作製するための方法、その組成物、及びそれらの使用に関する。
【0007】
一態様では、本開示は、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメイン(ABD)と、NKp46に対する結合特異性を有する第2のABDとを含む結合タンパク質であって、
(a)第1のABDが、(a1)GFTFSNFGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHCDR1配列、VIWSDETNR(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHCDR
2配列、及びDQQYCSSDSCFTWFDP(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHCDR3配列を含む第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、(a2)CXSSTGXVTPXYAN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列であって、XがR又はAであり、XがT又はAであり、XがS又はGであり、XがN又はYであるLCDR1配列、DNNXPP(配列番号5)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列であって、XがS、I又はNであり、XがR又はKであるLCDR2配列、及びALXGXQWV(配列番号6)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列であって、XがW又はYであり、XがF又はYであり、XがN又はGであるLCDR3配列を含む第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含み、
(b)第2のABDが、NKp46に対する結合特異性を含む、結合タンパク質を提供する。
【0008】
特定の実施形態では、(b)第2のABDは、
(b1)第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH2)であって、
-DYVINを含むHCDR1配列、EIYPGSGTNYYNEKFKAを含むHCDR2配列、及びRGRYGLYAMDYを含むHCDR3配列;-GYTFSDYVIN(配列番号19)を含むHCDR1配列、EIYPGSGTN(配列番号20)を含むHCDR2配列、及びRGRYGLYAMDY(配列番号21)を含むHCDR3配列;-SDYAWN(配列番号22)を含むHCDR1配列、YITYSGSTSYNPSLES(配列番号23)を含むHCDR2配列、及びGGYYGSSWGVFAY(配列番号24)を含むHCDR3配列;-EYTMH(配列番号25)を含むHCDR1配列、GISPNIGGTSYNQKFKG(配列番号26)を含むHCDR2配列、及びRGGSFDY(配列番号27)を含むHCDR3配列;-SFTMH(配列番号28)を含むHCDR1配列、YINPSSGYTEYNQKFKD(配列番号29)を含むHCDR2配列、及びGSSRGFDY(配列番号30)を含むHCDR3配列;又は-SDYAWN(配列番号31)を含むHCDR1配列、YITYSGSTNYNPSLKS(配列番号32)を含むHCDR2配列、及びCWDYALYAMDC(配列番号33)を含むHCDR3配列を含む第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、並びに
(b2)第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL2)であって、
-RASQDISNYLN(配列番号34)を含むLCDR1配列、YTSRLHS(配列番号35)を含むLCDR2配列、及びQQGNTRPWT(配列番号36)を含むLCDR3配列;-RVSENIYSYLA(配列番号37)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号38)を含むLCDR2配列、及びQHHYGTPWT(配列番号39)を含むLCDR3配列;-RASQSISDYLH(配列番号40)を含むLCDR1配列、YASQSIS(配列番号41)を含むLCDR2配列、及びQNGHSFPLT(配列番号42)を含むLCDR3配列;-RASENIYSNLA(配列番号43)を含むLCDR1配列、AATNLAD(配列番号44)を含むLCDR2配列、及びQHFWGTPRT(配列番号45)を含むLCDR3配列;又は-RTSENIYSYLA(配列番号46)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号47)を含むLCDR2配列、及びQHHYDTPLT(配列番号48)を含むLCDR3配列を含む、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインを含む。
【0009】
特定の実施形態では、VL1は、-CASSTGTVTPSNYAN(配列番号7)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号8)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号9)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列;-CRSSTGTVTPSNYAN(配列番号10)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号11)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号12)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列;-CASSTGAVTPSNYAN(配列番号13)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNIKPP(配列番号14)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWYGG
QWV(配列番号15)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列;又は-CASSTGAVTPGYYAN(配列番号16)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNNKPP(配列番号17)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALYYGGQWV(配列番号18)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列を含む。
【0010】
特定の実施形態では、-VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;又は-VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む。
【0011】
特定の実施形態では、VH1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号55のアミノ酸配列を含む;-VH1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号50のアミノ酸配列を含む;-VH1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号51のアミノ酸配列を含む;-VH1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号52のアミノ酸配列を含む;-VH1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号53のアミノ酸配列を含む;又は-VH1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号54のアミノ酸配列を含む。
【0012】
特定の実施形態では、-VH2は、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH2は、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH2は、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH2は、配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;VH2は、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH2は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;-VH2は、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む;又は-VH2は、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含む。
【0013】
特定の実施形態では、-VH2は配列番号56のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号64のアミノ酸配列を含む;-VH2は配列番号57のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号65のアミノ酸配列を含む;-VH2は配列番号58のアミノ酸配列を含み、V
L2は配列番号66のアミノ酸配列を含む;-VH2は配列番号59のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号67のアミノ酸配列を含む;-VH2は配列番号60のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号68のアミノ酸配列を含む;-VH2は配列番号61のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号69のアミノ酸配列を含む;-VH2は配列番号62のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号70のアミノ酸配列を含む;又は-VH2は配列番号63のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号71のアミノ酸配列を含む。
【0014】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、免疫グロブリンFcドメイン又はその変異体の全部又は一部を更に含む。特定の実施形態では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。特定の実施形態では、IgG1 Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。特定の実施形態では、免疫グロブリンFcドメイン若しくはその変異体の全部若しくは一部は、ヒトFc-γ受容体に結合する。特定の実施形態では、免疫グロブリンFcドメイン又はその変異体の全部又は一部がヒトCD16A(FcγRIII)ポリペプチドに結合する。
【0015】
特定の実施形態では、Fcドメインは、EUナンバリングに従うアミノ酸位置297に天然グリカンを含む。
【0016】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、N-グリコシル化される。
【0017】
特定の実施形態では、Fcドメイン又はその変異体は、第1のFc重鎖及び第2のFc重鎖を含む。
【0018】
特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、以下を置換する一対のシステイン(C)によって媒介される操作された鎖内ジスルフィド結合を含む:(i)アミノ酸位置242のロイシン(L)及びアミノ酸位置334のリジン(K);又は(ii)アミノ酸位置292にアルギニン(R)及びアミノ酸位置302にバリン(V)(アミノ酸位置はEUナンバリングに従う)。
【0019】
特定の実施形態では、第1のFc重鎖又は第2のFc重鎖は、システインの対を含む。特定の実施形態では、第1及び第2のFc重鎖はそれぞれ、システインの対を含む。特定の実施形態では、第1及び第2のFc重鎖はそれぞれ、L242C/K334C置換を含む。特定の実施形態では、第1及び第2のFc重鎖はそれぞれ、R292C/V302C置換を含む。
【0020】
特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置332に置換を含む。特定の実施形態では、アミノ酸位置332における置換は、グルタミン酸(E)である。
【0021】
特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236、239又は330に1つ以上の置換を更に含む。特定の実施形態では、アミノ酸位置236における置換は、アラニン(A)である。特定の実施形態では、アミノ酸位置239における置換は、アスパラギン酸(D)である。特定の実施形態では、アミノ酸位置330における置換は、ロイシン(L)である。
【0022】
特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含む。特定の実施形態では、少なくとも
1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置330にロイシン(L)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含む。
【0023】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、少なくとも2つの抗原結合部位を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、少なくとも1つのポリペプチド鎖は、式:
VL1-L1-VL2-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
少なくとも1つのポリペプチド鎖は、式:
VH2-L3-VH1-L4-CH1[II]
によって表される構造を含み、
式中、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成する。
【0024】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、2つの抗原結合部位を形成する3つのポリペプチド鎖を含み、1つのポリペプチド鎖は、以下の式:
VL1-L1-VL2-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
1つのポリペプチド鎖は、式:
VH2-L3-VH1-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3[III]
によって表される構造を含み、
1つのポリペプチド鎖は、式:
ヒンジ-CH2-CH3[IV]
によって表される構造を含み、
式中、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり、
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり、
ヒンジは、CH1ドメインとCH2ドメインとを接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成する。
【0025】
特定の実施形態では、(a)L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、長さが0アミノ酸であるか、又はGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号82)、S、RT、TKGPS(配列番号83)、GQPKAAP(配列番号84)及びGGSGSSGSGG(配列番号85)からなる群から選択される配列を含むか、又は(b)L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、GGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、S、RT、TKGPS、GQPKAAP、及びGGSGSSGSGGからなる群より選択される配列を含む。
【0026】
特定の実施形態では、L1及びL2はそれぞれ、アミノ酸配列GGGGSGGGGSを含む。特定の実施形態では、L3及びL4はそれぞれ存在しない。
【0027】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、(i)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖と、(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖とを含む。
【0028】
別の態様では、本開示は、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメイン(ABD)と、NKp46に対する結合特異性を有する第2のABDとを含む結合タンパク質であって、(a)第1のABDが、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含み、(b)第2のABDが、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH2)と、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL2)とを含む、結合タンパク質を提供する。
【0029】
特定の実施形態では、VH1は配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号55のアミノ酸配列を含み、VH2は配列番号56のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号64のアミノ酸配列を含む。
【0030】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、(i)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖と、(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖とを含む。
【0031】
別の態様では、本開示は、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメイン(ABD)と、NKp46に対する結合特異性を有する第2のABDとを含む結合タンパク質を提供し、結合タンパク質は、(i)配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖と、(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖と、(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖とを含む。
【0032】
特定の実施形態では、上記の結合タンパク質は、医薬品として使用するためのものである。
【0033】
特定の実施形態では、上記の結合タンパク質は、疾患又は障害を治療するための方法に使用するためのものである。
【0034】
特定の実施形態では、上記の結合タンパク質は、癌の治療又は予防のための方法に使用するためのものである。
【0035】
特定の実施形態では、上記の結合タンパク質は、多発性骨髄腫の治療又は予防のための方法に使用するためのものである。
【0036】
特定の実施形態では、上記の結合タンパク質は、軽鎖アミロイドーシス(LCA)の治療又は予防のための方法に使用するためのものである。
【0037】
別の態様では、本開示は、上記の結合タンパク質及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。
【0038】
別の態様では、本開示は、癌を治療又は予防する方法であって、上記の医薬組成物を、当該治療又は予防を必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0039】
別の態様では、本開示は、上記の結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
【0040】
別の態様では、本開示は、配列番号72のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
【0041】
別の態様では、本開示は、配列番号73のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
【0042】
別の態様では、本開示は、配列番号74のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
【0043】
別の態様では、本開示は、上記の核酸分子を含む発現ベクターを提供する。
【0044】
別の態様では、本開示は、上記の核酸分子を含む単離された細胞を提供する。
【0045】
別の態様では、本開示は、上記の発現ベクターを含む単離された細胞を提供する。特定の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。
【0046】
別の態様では、本開示は、結合タンパク質を作製する方法であって、単離された細胞を適切な条件下で培養すること、及び結合タンパク質を回収することを含む方法を提供する。
【0047】
別の態様では、本開示は、上記の結合タンパク質を作製するための方法であって、(a)複数の組換えポリペプチドを発現するのに適した条件下で宿主細胞を培養する工程であって、当該複数が、(i)配列番号72のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、(iii)配列番号74のアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含む、(b)任意に、発現された組換えポリペプチドを回収する工程と、を含む方法を提供する。
【0048】
別の態様では、本開示は、上記の作製方法によって産生される結合タンパク質を提供する。別の態様では、本開示は、疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に上記の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0049】
別の態様では、本開示は、癌を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に上記の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0050】
別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に上記の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性多発性骨髄腫である。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、難治性多発性骨髄腫である。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、くすぶり型多発性骨髄腫である。
【0051】
別の態様では、本開示は、軽鎖アミロイドーシス(LCA)を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に上記の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、LCAは、再発LCAである。特定の実施形態では、LCAは、難治性LCAである。
【0052】
別の態様では、本開示は、NKp46発現細胞の活性の回復又は増強を必要とする患者においてNKp46発現細胞の活性を回復又は増強する方法であって、上記の医薬組成物
を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0053】
別の態様では、本開示は、癌細胞の除去を必要とする患者において癌細胞を除去する方法であって、上記の医薬組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0054】
別の態様では、本開示は、癌細胞のNK細胞媒介性溶解の誘発又は増加を必要とする患者において癌細胞のNK細胞媒介性溶解を誘発又は増加させる方法であって、上記の医薬組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、癌細胞は、BCMAを発現する。
【0055】
別の態様では、本開示は、NK細胞による癌細胞の排除の誘導を必要とする患者においてNK細胞による癌細胞の排除を誘導する方法であって、上記の医薬組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0056】
別の態様では、本開示は、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメイン(ABD)と、NKp46に対する結合特異性を有する第2のABDとを含む結合タンパク質を提供する。
【0057】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、免疫グロブリンFcドメイン又はその変異体の全部又は一部を更に含み、任意に、免疫グロブリンFcドメイン若しくはその変異体の全部又は一部はヒトFc-γ受容体に結合する;免疫グロブリンFcドメイン若しくはその変異体の全部若しくは一部はヒトCD16a(FcγRIIIa)ポリペプチドに結合する;Fcドメインは、EUナンバリングに従うアミノ酸位置297に天然グリカンを含む;及び/又は結合タンパク質はN-グリコシル化されている。
【0058】
特定の実施形態では、Fcドメイン又はその変異体は、第1のFc重鎖及び第2のFc重鎖を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、以下を置換する一対のシステイン(C)によって媒介される操作された鎖内ジスルフィド結合を含む:(i)アミノ酸位置242のロイシン(L)及びアミノ酸位置334のリジン(K);又は(ii)アミノ酸位置292にアルギニン(R)及びアミノ酸位置302にバリン(V);(アミノ酸位置はEUナンバリングに従う)。
【0059】
特定の実施形態では、第1及び第2のFc重鎖はそれぞれ、L242C/K334C置換を含む。特定の実施形態では、第1及び第2のFc重鎖はそれぞれ、R292C/V302C置換を含む。
【0060】
特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置332における置換を含み、任意に、アミノ酸位置332における置換はグルタミン酸(E)であり、任意に、少なくとも1つのFc重鎖を更に含み、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236、239又は330における1つ以上の置換を更に含み、任意に、アミノ酸位置236における置換がアラニン(A)であり、アミノ酸位置239における置換がアスパラギン酸(D)であり、アミノ酸位置330における置換がロイシン(L)である。
【0061】
特定の実施形態では、少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含むか、少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸位置239にアスパラギン酸(D)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含むか、又は少なくとも1つのFc重鎖は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸位置239にアスパラギン酸(D
)、アミノ酸位置330にロイシン(L)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を更に含む。
【0062】
本開示の前述及び他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1A-1B】図1A図1Bは、NKp46多重特異性NK細胞エンゲージャー(NKCE)の概略図である。図1Aは、腫瘍細胞(例えば、BCMA)の表面の抗原に対する一方のアーム及びNK細胞上のNKp46受容体に対する他方のアームと結合するNKp46 NKCEを表す。NKCEのFcドメインはまた、NK細胞上のCD16に結合する。図1Bは、NKp46とFcγ受容体CD16aの両方の二重結合を介してNK細胞を動員し、強化型FcコンピテントフォーマットでADCC活性を誘導しながら、腫瘍細胞の表面でBCMAと係合する異なるNKp46-BCMA NKCEフォーマットを示す。強化型Fcコンピテントフォーマット(以下「CODV-OL1-ADE-DSB」と呼ぶ)は、以下を含む:(1)ADCC活性を増強するためのCH2におけるADE変異(G236A/S239D/I332E);(2)熱安定化及び生産性(例えば、細胞における発現性及び全体的な収率)のためのCH2中のDSB(R292C/V302C);(3)Fc-(3a)ノブ(VH/VLドメインを含有する重鎖)におけるヘテロ二量体形成を促進するためのCH3のノブ-イントゥ-ホール変異(KIH:knob-into-hole):S354C/T366W及び(3b)ホール(VH/VLドメインを欠く重鎖):Y349C/T366S/L368A/Y407V;並びに(4)Fc中のヘテロ二量体の精製を促進するための1つのCH3中のRF変異異(H435R/Y436F)。全てのFcドメインアミノ酸ナンバリングはEUに従う。このNKp46-BCMA NKCE_Fc CODV-OL1-ADE-DSBは、軽鎖に2つのリンカーGGGGSGGGGSを含み、1つは、VL抗BCMAとVL抗NKp46との間であり、VL NKp46とCLとの間である。NKp46結合部位:3D9;BCMA結合部位:CA10v7;ADCCコンピテントFcドメインを介したCD16結合。
図2A-2B】図2Aは、細胞表面FITC蛍光発光に基づく多発性骨髄腫細胞株のパネル上のBCMA密度を表す棒グラフである。図2Bは、降順にランク付けされた各細胞株上のBCMA密度を記録する対応する表である。
図3A-3B】図3Aは、RPMI 8226細胞上のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの代表的な滴定である。示されている滴定データは、抗体濃度の範囲にわたる蛍光強度の中央値である。5つの独立した滴定のEC50値を示す。図3Bは、健常志願者のPBMCから精製したヒトNK細胞上のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの代表的な滴定である。示されている滴定データは、抗体濃度の範囲にわたる蛍光強度の中央値である。3名のNKドナーのEC50値を示す。
図4図4は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することによって定量化される、ヒトCD16aの2つの異なる変異体(アミノ酸位置176にバリン(V)又はフェニルアラニン(F)のいずれかを持つ)に対するNKp46-BCMA-NKCEの12個の異なるFcフォーマットの結合親和性(KDで測定)を示す表である。
図5図5は、SPRを用いて定量した場合のヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に対するNKp46-BCMA-NKCEの12の異なるFcフォーマットの結合親和性(KDで測定)を示す表である。
図6図6は、6名の異なるドナー(D410、D700、D114、D974、D245及びD409)RPMI8226細胞からの精製休止期NK細胞の存在下でインキュベートした、漸増濃度(nM)での強化型ADCC(Fc-DE、Fc-DE-DSB、Fc-ADE、Fc-ADE-DSB)及び非強化型ADCC(NKp46-BCMA_Fc)と、NKp46-BCMA-NKCEの細胞傷害性を比較するインビトロ細胞細胞傷害性アッセイであり、RPMI8226細胞を標的として使用し、エフェクターとして精製休止期NK細胞を使用した。
図6-1】同上。
図6-2】同上。
図7図7は、2名の異なるドナー(D611及びD222)由来の精製された休止NK細胞の存在下でRPMI8226又はMM.1s細胞のいずれかとインキュベートした、漸増濃度(nM)でのNKp46-BCMA_Fc-ADE、NKp46-BCMA_Fc、参照-1、BCMA_IgG1、IC_IgG1-DE及びNKp46-IC_Fc対照の細胞傷害性を比較するインビトロ細胞細胞傷害性アッセイである。RPMI 8226及びMM.1s細胞を標的として使用し、精製休止期NK細胞をエフェクターとして使用した。
図8図8は、3名の異なるドナー(D786、D371又はD695)由来の精製された休止NK細胞の存在下でRPMI8226細胞と共にインキュベートした漸増濃度(nM)でのNKp46-BCMA_Fc-ADE、参照-1、BCMA_IgG1及びNKp46-IC_Fc-ADE対照の細胞傷害性を比較するインビトロ細胞細胞傷害性アッセイである。RPMI 8226細胞を標的として使用し、精製休止期NK細胞をエフェクターとして使用した。
図9図9は、精製休止期NK細胞を使用したNKp46-BCMA_Fc-ADE及びNKp46-IC_Fc-ADEの細胞傷害性をRPMI 8226細胞と比較するインビトロ細胞細胞傷害性アッセイである。RPMI 8226細胞を標的として使用し、精製休止期NK細胞(左パネル)又はRPMI 8226細胞(右パネル)に51Crを負荷して、同じアッセイで標的細胞死滅及びNK対NKフラトリサイド(fratricide)毒性の両方を決定した。(2名のNK細胞ドナーを示す)。
図10図10は、種々の可溶性BCMA濃度の存在下におけるNKp46-BCMA-NKCEの細胞傷害性を比較するインビトロ細胞細胞傷害性アッセイである。漸増濃度の可溶性BCMA組換えタンパク質(0、2、20及び200ng/mL)の存在下でのRPMI 8226細胞に対するNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの細胞傷害活性。RPMI 8226を標的として使用し、エフェクター(2つのNK細胞ドナー、D504及びD930が示されている)として精製休止期NK細胞を使用した。
図11図11は、最適なNK細胞活性化が、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBによるNKp46及びCD16aの二重標的化を含むことを示す。
図12図12は、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの高い効力が、低BCMAを発現するMM細胞モデルにおいてさえ、腫瘍細胞死滅において高い効率を可能にすることを実証している。
図13図13は、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBが、増強されたADCC特徴を有する抗体よりも増強された効力を有することを実証する。
図14A図14Aは、インビボNKp46-BCMA_Fc抗腫瘍活性を決定するための実験マウスモデルの概略図である。ヒトBCMAをそれぞれ非発現及び発現する緑色(eGFP)及び赤色(dsRed)蛍光マウスリンパ腫RMA細胞の1:1混合物を、ヒトNKp46遺伝子導入Rag1欠損マウス(Tg huNKp46 Rag1 -/-)に静脈内(i.v.)注射した。腫瘍担持マウス(各群n=7)を、総用量12.2ピコモルのNKp46-BCMA_Fc又は対照としてのビヒクルで1回処置した。マウスの肝臓を処置の48時間後に生検し、浸潤したRMA細胞の絶対数を、図14B図14Eに記載されるようにフローサイトメトリーによって監視した。
図14B-14D】図14Bは、生着前にフローサイトメトリーによって分析された緑色(eGFP-huBCMA陰性)及び赤色(dsRed-huBCMA陽性)蛍光マウスリンパ腫RMA細胞の混合集団を示す。図14Cは、緑色(eGFP)及び赤色(dsRed)蛍光マウスリンパ腫RMA細胞のフローサイトメトリーによるヒトBCMAの発現を示す。図14Dは、フローサイトメトリーによって分析した、生着前(インビトロ)及び肝臓生検(エクスビボ)における生着後のdsRed RMA細胞上のヒトBCMAの発現を示す。
図14E図14Eは、処置の48時間後にフローサイトメトリーによって分析された肝臓浸潤RMA細胞の絶対数(左)及びdsRed/eGFP細胞比(右)を示す。データを分析するために使用される統計的検定は、マン・ホイットニー検定である。p>0.05の場合、非有意(ns);有意(**)p<0.01。
図15A図15Aは、1名のMM患者由来の全血由来PBMCを10μg/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB、又は20μg/mLの参照-4抗体(抗CD38 IgG1抗体)、又は対照アイソタイプ(NKp46-IC_Fc-ADE-DSB)で一晩処置した後の、CD138+CD38+細胞として定義される多発性骨髄腫(MM)細胞の割合、並びにCD3-CD56+CD16+細胞として定義されるNK細胞によるCD107a及びCD69の発現の割合のフローサイトメトリーによる測定を示す。左パネルは、1名のMM患者由来のPBMCのCD138及びCD38染色、並びにCD138+CD38+(MM)細胞に対するゲーティングを示すドットプロットである。中央パネルの輪郭図は、CD3-CD56+細胞のCD107a及びCD16染色を示す。右パネルの等高線図は、CD3-CD56+細胞のCD69及びCD16染色を示す。
図15B図15B、左の棒グラフは、PBMC中のCD38+CD138+(MM)細胞の割合を表し、中央の棒グラフは、CD107aを発現するCD3-CD56+CD16+NK細胞の割合を表し、右の棒グラフは、10μg/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB(黒色)、又は20μg/mLの参照-4抗体(灰色-抗CD38 IgG1抗体)、又は対照アイソタイプ(白色)で1名のMM患者由来の全血由来PBMCを一晩処置した後の、CD69を発現するCD3-CD56+CD16+NK細胞の割合を表す。
図16A-16C】図16A~16Cは、治療未経験であるか、又は標準治療後に再発した患者である、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBでエクスビボで治療された患者試料のMM細胞死%を示す。TC=治療クラス;≦4TC:Imid、Dex、PI及び抗CD38mAb;>4TC:以前の薬剤及び/又はアルキル化剤、BH3模倣物、及び/又はBCMA若しくはCD38TCE、及び/又は抗CD47 mAb、及び/又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)。
図17図17は、NKp46-BCMA NKCE_Fc CODV-OL1-ADE-DSB分子上のVYACEVTHQGLSSPVTK(配列番号86)、GPSVFPLAPSSK(配列番号87)及びTTPPVLDSDGSFFLYSK(配列番号88)ペプチドの位置を示す。
図18図18は、雌huFcRn tg32トランスジェニックマウスへの単回静脈内(2.5mg/kg)投与後のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの平均(N=3)血漿中濃度対時間プロファイルを表す。
図19図19は、雌huFcRn tg32トランスジェニックマウスへの単回静脈内(2.5mg/kg)投与後のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの個々の血漿中濃度対時間プロファイルを表す。
図20図20は、huNKp46-Tg x Ragマウスにおける播種性EL4-huBCMA腫瘍細胞に対するNKp46-BCMA Fc WT CODV-OL1二重特異性抗体の活性を示す。グラフは、5、0.5及び0.05mg/kgのNKp46-BCMA Fc WT CODV-OL1二重特異性抗体によって処置された動物についてのカプラン・マイヤー曲線を、参照2化合物に対して表し、対照NKCEは、CD16(青色)、NKp46(緑色)若しくはBCMA結合(黒色)又は未処置群のいずれかについて無効化された。
図21図21は、huFcgR-Tgマウスにおける播種性EL4-huBCMA腫瘍細胞に対するサロゲートmuNKp46-huBCMA CODV-OL1 Fc WT及びFC-ADE二重特異性抗体の活性を示す。グラフは、5、0.5及び0.05mg/kgのFc WT及びFc-ADE muNKp46-huBCMAサロゲート二重特異性抗体で処置した動物のカプラン・マイヤー曲線を表す。
図22図22は、キャピラリー電気泳動(cGE)によって測定されたDTTによる非還元試料の主ピークの還元のパーセント用量反応曲線を示す。mAb ctrl(黄色)、CODV-OL1 wt(青色)、CODV-OL1 ADE(赤色)、CODV-OL1 ADE-DSB(黒色)。
図23A-23B】図23は、CODV-OL1 wt(パネルA)、CODV-OL1 ADE(パネルB)、CODV-OL1 ADE-DSB(パネルC)のNEM取り込み%/DSB減少の用量反応曲線を示す。分析されたシステイン残基は、分析されたタンパク質に従ってナンバリングして図の凡例に示されている。
図23C】同上。
図24A図24A図24Bは、RPMI8226細胞とのNK細胞共培養物(図24A)におけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの細胞傷害性及びPMBCとの当該共培養物(図24B)における炎症促進性サイトカイン放出(IL-1-β、IL-6、TNF-α及びIFN-γ)を示す。
図24B図24A図24Bは、RPMI8226細胞とのNK細胞共培養物(図24A)におけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの細胞傷害性及びPMBCとの当該共培養物(図24B)における炎症促進性サイトカイン放出(IL-1-β、IL-6、TNF-α及びIFN-γ)を示す。
図25A図25A図25Bは、NK細胞共培養(図25A)におけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの存在下でのMM1R腫瘍細胞株の増殖、及びPMBCとの当該共培養(図25B)における炎症促進性サイトカイン放出(IL-1-β、IL-6、TNF-α及びIFN-γ)を示す。
図25B図25A図25Bは、NK細胞共培養(図25A)におけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの存在下でのMM1R腫瘍細胞株の増殖、及びPMBCとの当該共培養(図25B)における炎症促進性サイトカイン放出(IL-1-β、IL-6、TNF-α及びIFN-γ)を示す。
図26A図26A図26Dは、RPMI 8226 MM細胞の存在下又は非存在下での活性化マーカーCD69(図26A及び図26C)及びCD107a/b(図26B及び図26D)によって示されるNK細胞活性化に対するNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの有効性を示す。
図26B】同上。
図26C】同上。
図26D】同上。
図27A図27A図27Fは、RPMI 8826 MM細胞の存在下又は非存在下でのNK細胞によるTFNα(図27A及び図27D)、IFNγ(図27B及び図27E)及びMIP1β(図27C及び図27F)の細胞内産生に対するNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの有効性を示す。
図27B】同上。
図27C】同上。
図27D】同上。
図27E】同上。
図27F】同上。
図28A図28A図28Bは、RPMI 8226-FRP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)又は陰性対照若しくは陽性対照から調製した1、10,100及び300 ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで処置した後のIFN-γ(図28A)及びMIP-1α(図28B)血漿レベルを示す。
図28B図28A図28Bは、RPMI 8226-FRP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)又は陰性対照若しくは陽性対照から調製した1、10,100及び300 ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで処置した後のIFN-γ(図28A)及びMIP-1α(図28B)血漿レベルを示す。
図29A図29A図29Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)から調製した1、10,100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB又は陰性対照若しくは陽性対照で処置した後のTNF-α(図29A)及びIL-1β(図29B)血漿レベルを示す。
図29B図29A図29Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)から調製した1、10,100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB又は陰性対照若しくは陽性対照で処置した後のTNF-α(図29A)及びIL-1β(図29B)血漿レベルを示す。
図30A図30A図30Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)から調製した1、10、100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB又は陰性対照若しくは陽性対照で処置した後のIL-6(図30A)及びIL-8(図30B)血漿中レベルを示す。
図30B図30A図30Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)から調製した1、10、100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB又は陰性対照若しくは陽性対照で処置した後のIL-6(図30A)及びIL-8(図30B)血漿中レベルを示す。
図31A図31A図31Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)又は陰性対照若しくは陽性対照から調製した1、10、100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで処置した後のIL-2(図31A)及びGM-CSF(図31B)血漿レベルを示す。
図31B図31A図31Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)又は陰性対照若しくは陽性対照から調製した1、10、100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで処置した後のIL-2(図31A)及びGM-CSF(図31B)血漿レベルを示す。
図32A図32A図32Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)又は陰性対照若しくは陽性対照から調製した1、10、100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで処置した後のIL-4(図32A)及びIL-10(図32B)血漿レベルを示す。
図32B図32A図32Bは、RPMI 8226-RFP細胞と共培養したヒト全血を用いたインビトロアッセイにおいて、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)又は陰性対照若しくは陽性対照から調製した1、10、100及び300ug/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで処置した後のIL-4(図32A)及びIL-10(図32B)血漿レベルを示す。
図33A-33C】図33A図33Cは、診断時及び再発時の一次患者試料を用いたインビトロ及びエクスビボでのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBによるNK細胞活性化及び腫瘍細胞枯渇の誘導を示す。図33AはMM細胞死の%であり、図33BはCD107+細胞の%であり、図33CはINFγ+細胞の%である。
図34A-34B】図34A図34Bは、カニクイザル(2匹/用量)におけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの反復(週に1回、3週間)皮下注射後の血漿NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB濃度を示すグラフである。図34Aは、25000ug/kg/投与を受けた2匹の雄における血漿濃度を示す。図34Bは、50000ug/kg/投与を受けた2匹の雌における血漿濃度を示す。
図35図35は、カニクイザル(1用量あたり2匹)における25mg/kg/投与又は50mg/kg/投与でのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの反復(3週間にわたって毎週1回)皮下注射後の血漿IL-6レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本開示は、免疫NK細胞上の1つの表面バイオマーカー、すなわちNKp46と、正常及び悪性形質細胞の細胞膜上の1つの目的の抗原、すなわちBCMAとに結合し、BCMA表面バイオマーカーを発現する標的細胞を溶解するようにNK細胞をリダイレクトすることができる多機能結合タンパク質を提供する。本開示の多機能結合タンパク質は、Fc-γ受容体(FcγR)、特に活性化Fc-γ受容体(FcγR)、例えばCD16aとも呼ばれるFcγRIIIaに結合するFc領域又はその変異体の全部又は一部を更に含む。
【0065】
本開示は、改善された熱安定性を有する新規Fcドメイン変異体(例えば、Fcドメイン変異体を含む新規結合ポリペプチド)を提供する。本開示はまた、Fc受容体への結合が改善された新規Fcドメイン変異体(例えば、Fcドメイン変異体を含む新規結合ポリペプチド)を提供する。本開示は更に、野生型(例えば、非修飾)Fcドメインと比較して抗体エフェクター分子との相互作用を増強するグリコシル化Fcドメインを含む新規Fcドメイン変異体(例えば、Fcドメイン変異体を含む結合ポリペプチド)を提供する。本開示はまた、Fcドメイン変異体(例えば、Fcドメイン変異体を含む新規結合ポリペプチド)をコードする核酸、Fcドメイン変異体(例えば、Fcドメイン変異体を含む新規結合ポリペプチド)を作製するための組換え発現ベクター及び宿主細胞、並びに単離されたFcドメイン変異体(例えば、Fcドメイン変異体を含む新規結合ポリペプチド)を含む医薬組成物を提供する。1つ以上の疾患又は障害を処置するために本開示のFcドメイン変異体(例えば、Fcドメイン変異体を含む新規結合ポリペプチド)を使用する方法も提供される。
【0066】
本開示に記載される方法は、そのような方法及び条件が変化し得るため、本明細書に開示される特定の方法及び実験条件に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0067】
さらに、本明細書に記載の実験は、特に指示しない限り、当業者の技術の範囲内の従来の分子的及び細胞的生物学的及び免疫学的技術を使用する。そのような技術は当業者に周知であり、文献で十分に説明されている。例えば、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,N.Y.(1987-2008)(全てのサプリメントを含む)、MR Green及びJ.SambrookによるMolecular Cloning:A Laboratory Manual(第4版)、並びにJ.Sambrook and Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Chapter 14,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor(2013年、第2版)を参照されたい。
【0068】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。潜在的な曖昧さがある場合、本明細書で提供される定義は、辞書又は外部定義に優先する。文脈上他に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。「又は」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。「含む/挙げられる(including)」という用語並びに「含む/挙げられる(includes)」及び「含まれる/挙げられる(
included)」等の他の形態の使用は限定的ではない。
【0069】
一般に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質及び核酸の化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法は周知であり、当技術分野で一般的に使用される。本明細書で提供される方法及び技術は、一般に、特に指示がない限り、当技術分野で周知の従来の方法に従って、本明細書を通して引用及び議論される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されているように実施される。酵素反応及び精製技術は、当技術分野において一般的に遂行される通り又は本明細書に記載の通り、製造業者の仕様書に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、並びに医薬品及び医薬化学に関連して使用される命名法、並びにその実験手順及び技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技術は、患者の化学合成、化学分析、医薬調製、製剤化及び送達、並びに治療に使用される。
【0070】
本開示がより容易に理解され得ることから、選択用語を以下に定義する。
【0071】
「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸の任意のポリマー鎖を指し、文脈に矛盾しない限り、天然若しくは人工のタンパク質、タンパク質配列のポリペプチド類似体若しくは変異体、又はそれらの断片を包含する。ポリペプチドは、単量体又は多量体であり得る。ポリペプチド断片は、例えば、少なくとも約5個の連続するアミノ酸、少なくとも約10個の連続するアミノ酸、少なくとも約15個の連続するアミノ酸、又は少なくとも約20個の連続するアミノ酸を含む。
【0072】
「単離されたタンパク質」又は「単離されたポリペプチド」という用語は、その起源又は由来源により、その天然の状態でそれに付随する天然に関連する成分に関連しない;同じ種由来の他のタンパク質を実質的に含まない;異なる種由来の細胞によって発現される;又は自然界では生じないタンパク質又はポリペプチドを指す。したがって、天然に由来する細胞とは異なる細胞系で化学合成又は合成されるタンパク質又はポリペプチドは、その天然に関連する成分から「単離される」。タンパク質又はポリペプチドはまた、当技術分野で周知のタンパク質精製技術を使用して単離することによって、天然に関連する成分を実質的に含まないようにしてもよい。
【0073】
本明細書で使用される場合、「結合タンパク質」又は「結合ポリペプチド」という用語は、目的の標的抗原(例えば、ヒト標的抗原)への選択的結合に関与する少なくとも1つの結合部位を含むタンパク質又はポリペプチド(例えば、抗体又はイムノアドヘシン)を指す。例示的な結合部位としては、抗体可変ドメイン、受容体のリガンド結合部位、又はリガンドの受容体結合部位が挙げられる。特定の態様では、結合タンパク質又は結合ポリペプチドは、複数の(例えば、2、3、4、又はそれ以上)結合部位を含む。特定の態様では、結合タンパク質又は結合ポリペプチドは治療用酵素である。
【0074】
「リガンド」という用語は、別の物質に結合することができる、又は結合することができる任意の物質を指す。同様に、「抗原」という用語は、抗体が生成され得る任意の物質を指す。「抗原」は抗体結合基質に関して一般的に使用され、「リガンド」は受容体結合基質に関して使用されることが多いが、これらの用語は、一方と他方とを区別するものではなく、広範囲の重複する化学的実体を包含する。疑義を回避するため、抗原及びリガンドは、本明細書全体を通して同義に使用される。抗原/リガンドは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アプタマー、多糖、糖分子、炭水化物、脂質、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、合成分子、無機分子、有機分子、及びそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0075】
結合タンパク質の解離定数(K)は、例えば、表面プラズモン共鳴により決定することができる。一般に、表面プラズモン共鳴分析は、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor;Piscataway,NJ)を使用した表面プラズモン共鳴(SPR)によって、リガンド(バイオセンサーマトリックス上の標的抗原)と検体(溶液中の結合タンパク質)との間のリアルタイム結合相互作用を測定する。アナライト(バイオセンサーマトリックス上の結合タンパク質)を固定化し、リガンド(標的抗原)を提示することにより、表面プラズモン解析を行うこともできる。本明細書で使用される場合、「K」という用語は、特定の結合タンパク質と標的抗原との間の相互作用の解離定数を指す。
【0076】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」という用語は、最大で約1×10-6M、約1×10-7M、約1×10-8M、約1×10-9M、約1×10-10M、約1×10-11M、約1×10-12M以下の解離定数(K)で標的(例えば、抗原)に結合する、及び/又は非特異的抗原に対するその親和性よりも少なくとも約2倍大きい親和性で抗原に結合する抗体又はイムノアドヘシンの能力を指す。抗体の特異的結合は、CDR配列を介した標的抗原への結合であり得る。抗体はまた、Fc領域を介してFcRn又はFcγRIIIa等のFcRに特異的に結合することができる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、目的の抗原(例えば、腫瘍関連抗原)に対して有意な既知の特異的免疫反応性活性を有するそのような集合体(例えば、インタクトな抗体分子、イムノアドヘシン、又はそれらの変異体)を指す。抗体及び免疫グロブリンは、軽鎖及び重鎖を含み、それらの間に鎖間共有結合があってもなくてもよい。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は比較的よく理解されている。
【0078】
以下により詳細に考察するように、一般用語「抗体」は、生化学的に区別することができる5つの異なるクラスの抗体を含む。5つ全てのクラスの抗体が明らかに本開示の範囲内であるが、以下の議論は一般に、免疫グロブリン分子のIgGクラスに関する。IgGに関して、免疫グロブリンは、分子量およそ23,000ダルトンの2つの同一の軽鎖と、分子量53,000~70,000の2つの同一の重鎖とを含む。4つの鎖は、軽鎖が「Y」の口から始まり可変領域を通って続く重鎖を支持する「Y」配置のジスルフィド結合によってつながっている。
【0079】
免疫グロブリンの軽鎖は、カッパ(κ)又はラムダ(λ)のいずれかに分類される。各重鎖クラスは、カッパ軽鎖又はラムダ軽鎖のいずれかと結合し得る。一般に、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞又は遺伝子操作された宿主細胞のいずれかによって生成される場合、軽鎖及び重鎖は互いに共有結合し、2つの重鎖の「尾部」部分は共有ジスルフィド結合又は非共有結合によって互いに結合する。重鎖において、アミノ酸配列は、Y配置の分岐した末端のN末端から各鎖の底部のC末端まで延びる。当業者は、重鎖がガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)又はイプシロン(ε)として分類され、それらの中にいくつかのサブクラスがあることを理解するであろう(例えば、γl-γ4)。抗体の「クラス」をそれぞれIgG、IgM、IgA、又はIgEとして決定するのは、この鎖の性質である。免疫グロブリンアイソタイプサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1等。)は、十分に特徴付けられており、機能的な特殊化を付与することが知られている。これらのクラス及びアイソタイプのそれぞれの修飾バージョンは、本開示を考慮すると当業者には容易に識別可能であり、したがって、本開示の範囲内である。
【0080】
軽鎖及び重鎖の両方が、構造的相同性及び機能的相同性の領域に分けられる。「領域」という用語は、免疫グロブリン又は抗体鎖の一部又は一部を指し、定常領域又は可変領域、並びに当該領域のより別個の部分又は一部を含む。例えば、軽鎖可変領域は、本明細書
で定義される「フレームワーク領域」又は「FR」の間に散在する「相補性決定領域」又は「CDR」を含む。
【0081】
免疫グロブリン重鎖又は軽鎖の領域は、「定常領域」の場合には様々なクラスメンバーの領域内の配列変異の相対的欠如に基づいて、又は「可変領域」の場合には様々なクラスメンバーの領域内の有意な変異に基づいて、「定常」(C)領域又は「可変」(V)領域として定義され得る。「定常領域」及び「可変領域」という用語はまた、機能的に使用され得る。これに関して、免疫グロブリン又は抗体の可変領域が抗原認識及び特異性を決定することが理解されよう。逆に、免疫グロブリン又は抗体の定常領域は、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合等の重要なエフェクター機能を付与する。様々な免疫グロブリンクラスの定常領域のサブユニット構造及び三次元構成は周知である。
【0082】
免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の定常領域及び可変領域は、ドメインに折り畳まれる。「ドメイン」という用語は、例えば、βプリーツシート及び/又は鎖内ジスルフィド結合によって安定化されたペプチドループ(例えば、3~4個のペプチドループを含む)を含む重鎖又は軽鎖の球状領域を指す。免疫グロブリンの軽鎖上の定常領域ドメインは、「軽鎖定常領域ドメイン」、「CL領域」、「CLドメイン」又は「CKドメイン」と同義に呼ばれる。重鎖上の定常ドメイン(例えば、ヒンジ、CH1、CH2又はCH3ドメイン)は、「重鎖定常領域ドメイン」、「CH」領域ドメイン又は「CHドメイン」と同義に呼ばれる。軽鎖上の可変ドメインは、「軽鎖可変領域ドメイン」、「VL領域ドメイン」又は「VLドメイン」と同義に呼ばれる。重鎖上の可変ドメインは、「重鎖可変領域ドメイン」、「VH領域ドメイン」又は「VHドメイン」と同義に呼ばれる。
【0083】
慣例により、可変定常領域ドメインのアミノ酸のナンバリングは、それらが免疫グロブリン又は抗体の抗原結合部位又はアミノ末端からより遠位になるにつれて増加する。各重及び軽免疫グロブリン鎖のN末端は可変領域であり、C末端は定常領域である。CH3ドメイン及びCLドメインは、それぞれ重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端を含む。したがって、軽鎖免疫グロブリンのドメインはVL-CL配向で配置され、重鎖のドメインはVH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3配向で配置される。
【0084】
各可変領域ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,MD,1987 and 1991)の定義に従う。Kabatはまた、異なる重鎖可変領域間又は異なる軽鎖可変領域間の対応する残基に同じ番号を割り当てる、広く使用されているナンバリング規則(Kabatナンバリング)を提供する。VLドメインのCDR 1、2及び3は、本明細書ではそれぞれCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3とも呼ばれる。VHドメインのCDR 1、2及び3は、本明細書ではそれぞれCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3とも呼ばれる。そうであれば、CDRの割り当ては、Kabatの代わりにIMGT(登録商標)(Lefranc et al.,Developmental & Comparative Immunology 27:55-77;2003)に従うことができる。重鎖定常領域のナンバリングは、Kabat(Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1987 and 1991)に記載のEUインデックスによる。所与のCDR又はFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(「Kabat」ナンバリングスキーム)、Al-Lazikani e
t al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム),MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996),“Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography,”J.Mol.Biol.262,732-745.(「接触」ナンバリングスキーム)、Lefranc M P et al.,“IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,”Dev Comp Immunol,2003 January;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム)、及びHonegger A and Pluckthun A,“Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool,”J Mol Biol,2001 Jun.8;309(3):657-70(AHoナンバリングスキーム)によって記載されたものを含むいくつかの周知のスキームのいずれかを使用して容易に決定することができる。
【0085】
所与のCDR又はFRの境界は、識別に使用されるスキームに応じて異なり得る。例えば、Kabatスキームは構造アラインメントに基づくが、Chothiaスキームは構造情報に基づく。Kabatスキーム及びChothiaスキームの両方に対するナンバリングは、最も一般的な抗体領域配列長に基づいており、挿入は、挿入文字、例えば「30a」によって収容され、欠失は、いくつかの抗体において現れる。2つのスキームは、異なる位置に特定の挿入及び欠失(「インデル」)を配置し、異なるナンバリングをもたらす。接触スキームは、複雑な結晶構造の分析に基づいており、多くの点でChothiaナンバリングスキームに類似している。
【0086】
本明細書で使用される場合、抗体のCDRを、Lefranc(1999),The Immunologist,vol.7:132-136及びLefranc et al.(1999),Nucleic Acids Res.,vol.27:209-212に記載されている「IMGT」と呼ばれるナンバリングシステムに従って決定することができる。
【0087】
本明細書で使用される場合、抗体のCDRを、免疫グロブリン構造ループの位置を指すChothiaナンバリングスキームに従って決定することができる。Chothia and Lesk(1987),J.Mol.Biol.,vol.196:901-917;Al-Lazikani et al.(1997),J.Mol.Biol.,vol.273:927-948;Chothia et al.(1992),J.Mol.Biol.,vol.227:799-817;Tramontano A et
al.(1990),J.Mol.Biol.vol.215(1):175-82.
【0088】
本明細書で使用される場合、抗体のCDRを、Honnegger and Pluckthun(2001),J.Mol.Biol.,vol.309(3):657-670に記載されるHonegger-Pluckthunナンバリングスキームに従って決定することができる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「VHドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変ドメインを含み、「VLドメイン」という用語は、免疫グロブリン軽鎖のアミノ末端可変ドメインを含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、「CH1ドメイン」という用語は、例えばKabatナンバリングシステムの約114~223の位置(EU位置118~215)から延びる免疫グロブリン重鎖の第1の(最もアミノ末端の)定常領域ドメインを含む。CH1ドメインは、VHドメインに隣接し、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域のアミノ末端にあり、免疫グロブリン重鎖のFc領域の一部を形成しない。
【0091】
本明細書で使用される場合、「ヒンジ領域」という用語は、CH1ドメインをCH2ドメインにつなぐ重鎖分子の一部を含む。ヒンジ領域はおよそ25残基を含み、柔軟であり、したがって2つのN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、以下の3つの異なるドメインに細分することができる。上部、中央、及び下部ヒンジドメイン(Roux et al.J.Immunol.1998,161:4083)。
【0092】
本明細書で使用される場合、「CH2ドメイン」という用語は、例えば、Kabatナンバリングシステムの約244~360の位置(EU位置231~340)から延びる重鎖免疫グロブリン分子の部分を含む。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対になっていないという点で独特である。むしろ、2つのN結合分枝炭水化物鎖が、インタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に挟まれている。一実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、IgG1分子(例えば、ヒトIgG1分子)に由来するCH2ドメインを含む。
【0093】
本明細書で使用される場合、「CH3ドメイン」という用語は、CH2ドメインのN末端から、例えばKabatナンバリングシステムの約361位~476位(EU位置341~445位)からおよそ110残基延びる重鎖免疫グロブリン分子の部分を含む。CH3ドメインは、典型的には、抗体のC末端部分を形成する。しかしながら、いくつかの免疫グロブリンでは、更なるドメインがCH3ドメインから伸長して、分子のC末端部分を形成し得る(例えば、IgMのμ鎖中のCH4ドメイン及びIgEのe鎖)。一実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、IgG1分子(例えば、ヒトIgG1分子)に由来するCH3ドメインを含む。
【0094】
本明細書で使用される場合、「CLドメイン」という用語は、例えばKabat位置約107AからKabat位置約216まで延びる免疫グロブリン軽鎖の定常領域ドメインを含む。CLドメインはVLドメインに隣接している。一実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、カッパ軽鎖(例えば、ヒトカッパ軽鎖)に由来するCLドメインを含む。
【0095】
抗体の可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体のVLドメインとVHドメインが組み合わさって、三次元抗原結合部位を規定する可変領域(Fv)を形成する。より具体的には、抗原結合部位は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のそれぞれの3つの相補性決定領域(CDR)によって定義される。本明細書で使用される場合、「抗原結合部位」という用語は、抗原(例えば、細胞表面又は可溶性抗原)に特異的に結合する部位を含む。抗原結合部位は免疫グロブリン重鎖及び軽鎖可変領域を含み、これらの可変領域によって形成される結合部位は抗体の特異性を決定する。抗原結合部位は、抗体ごとに異なる可変領域によって形成される。本開示の改変された抗体は、少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0096】
特定の実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、結合ポリペプチドと選択された抗原との会合を提供する少なくとも2つの抗原結合ドメインを含む。抗原結合ドメインは、同じ免疫グロブリン分子に由来する必要はない。これに関して、可変領域は、体液性応答を開始し、所望の抗原に対する免疫グロブリンを生成するように誘導することができる任意の種類の動物に由来してもよい。したがって、結合ポリペプチドの可変領域は、例えば、哺乳動物起源のものであり得、例えば、ヒト、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、非ヒト
霊長類(例えばカニクイザル、マカク等)、ルピナス(lupine)又はラクダ科動物(例えば、ラクダ、ラマ及び関連種から)であり得る。
【0097】
天然に存在する抗体では、各単量体抗体上に存在する6つのCDRは、抗体が水性環境でその三次元構成をとるときに抗原結合部位を形成するように特異的に配置されるアミノ酸の短い不連続配列である。重及び軽可変ドメインの残りの部分は、アミノ酸配列においてより少ない分子間変動性を示し、フレームワーク領域と呼ばれる。フレームワーク領域は、主にβシート立体配座をとり、CDRは、βシート構造を接続し、場合によってはその一部を形成するループを形成する。したがって、これらのフレームワーク領域は、鎖間の非共有結合性相互作用によって6つのCDRを正しい向きに配置する足場を形成するように作用する。配置されたCDRによって形成された抗原結合ドメインは、免疫反応性抗原上のエピトープに相補的な表面を画定する。この相補的な表面は、免疫反応性抗原エピトープへの抗体の非共有結合を促進する。
【0098】
例示的な結合ポリペプチドは、抗体変異体を含む。本明細書で使用される場合、「抗体変異体」という用語は、天然に存在しないように改変された抗体、例えば、少なくとも2つの重鎖部分を含むが2つの完全な重鎖を含まない抗体の合成形態及び操作形態(例えば、ドメイン欠失抗体又はミニボディ);2つ以上の異なる抗原又は単一抗原上の異なるエピトープに結合するように改変された多重特異性形態の抗体(例えば、二重特異性、三重特異性等で);scFv分子等につながった重鎖分子を含む。さらに、「抗体変異体」という用語は、抗体の多価形態(例えば、同じ抗原の3つ、4つ又はそれを超えるコピーに結合する三価、四価等の抗体)を含む。
【0099】
本明細書で使用される場合、「結合価」という用語は、ポリペプチド中の潜在的な標的結合部位の数を指す。各標的結合部位は、標的分子上の1つの標的分子又は特異的部位に特異的に結合する。ポリペプチドが2つ以上の標的結合部位を含む場合、各標的結合部位は、同じ又は異なる分子(例えば、異なるリガンド若しくは異なる抗原、又は同じ抗原上の異なるエピトープに結合し得る)に特異的に結合し得る。対象結合ポリペプチドは、典型的には、ヒト抗原分子に特異的な少なくとも1つの結合部位を有する。例えば、典型的なIgG1モノクローナル抗体は、1つの標的抗原に特異的である。二価抗体は、2つの異なる抗原を標的とする抗原結合ドメイン、又は1つの抗原を標的とする2つの抗原結合ドメインを含むものである。同様に、三価抗体は、単一抗原に対する3つの標的化ドメインを有する単一特異性抗体であり得る。三価抗体は、2つの結合ドメインを有する第1の抗原及び別の結合ドメインを有する第2の抗原に結合する場合、二重特異性であり得る。三価抗体は三重特異性であり得、3つの異なる標的に結合する。
【0100】
「特異性」という用語は、所与の標的抗原(例えば、ヒト標的抗原)に特異的に結合する(例えば、)能力を指す。結合ポリペプチドは単一特異性であり得、標的に特異的に結合する1つ以上の結合部位を含み得るか、又はポリペプチドは多重特異性であり得、同じ又は異なる標的に特異的に結合する2つ以上の結合部位を含み得る。特定の実施形態では、結合ポリペプチドは、同じ標的の2つの異なる(例えば、重なり合わない)部分に特異的である。特定の実施形態では、結合ポリペプチドは、2つ以上の標的に特異的である。腫瘍細胞上に発現される抗原に結合する抗原結合部位を含む例示的な結合ポリペプチド(例えば、抗体)は当技術分野で公知であり、そのような抗体からの1つ以上のCDRは、本明細書に記載の抗体に含めることができる。
【0101】
本明細書で使用される場合、「抗原」又は「標的抗原」という用語は、結合ポリペプチドの結合部位によって結合され得る分子又は分子の一部を指す。標的抗原は、1つ以上のエピトープを有し得る。
【0102】
「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の約10%以内、約5%以内、又は約1%以下等、約20%以内を意味する。
【0103】
本明細書で使用される場合、「投与する」又は「投与」は、それだけに限らないが、肺(例えば、吸入)、粘膜(例えば、鼻腔内)、皮内、静脈内、筋肉内、皮下送達、及び/又は本明細書に記載される若しくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法等によって、体外(例えば、本明細書で提供される単離された結合ポリペプチド)に存在する物質を患者に注射又は他の方法で物理的に送達する行為を指す。疾患又はその症状が管理又は治療されている場合、物質の投与は、典型的には、疾患又はその症状の発症後に行われる。疾患又はその症状が予防されている場合、物質の投与は、典型的には、疾患又はその症状の発症前に行われ、疾患関連症状の出現又は大きさを延期又は減少させるために慢性的に継続され得る。
【0104】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、特定の成分(例えば、本明細書で提供される単離された結合ポリペプチド)を任意に特定の量で含有する生成物、並びに特定の成分の任意選択により特定の量の組み合わせから直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図する。
【0105】
「有効量」は、薬剤を必要とする個体において所望の生理学的転帰を達成するのに十分な活性医薬(例えば、本開示の単離された結合ポリペプチド)の量を意味する。有効量は、治療される個体の健康及び体調、治療される個体の分類群、組成物の製剤、個体の病状の評価、及び他の関連因子に応じて個体間で異なり得る。
【0106】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は互換的に使用される。本明細書で使用される場合、対象は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット等)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)等の哺乳動物であり得る。特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物等の脊椎動物を指す。哺乳動物としては、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、野生動物、野生化動物(feral animal)、家畜、スポーツ動物及びペットが挙げられる。
【0107】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、疾患又はそれに関連する症状の予防、管理、治療及び/又は改善に使用することができる任意のプロトコル、方法及び/又は薬剤を指す。いくつかの実施形態では、「治療」という用語は、対象における感染又はそれに関連する症状に対する免疫応答の調節に使用することができる任意のプロトコル、方法及び/又は薬剤を指す。いくつかの実施形態では、「治療法/療法(複数)」及び「治療法/療法」という用語は、生物学的療法、支持療法、及び/又は医療従事者等の当業者に知られている、疾患又はそれに関連する症状の予防、管理、治療及び/又は改善に有用な他の療法を指す。他の実施形態では、「治療法/療法(複数)」及び「治療法/療法」という用語は、生物学的療法、支持療法、及び/又は医療従事者等の当業者に知られている、対象における感染に対する免疫応答若しくはそれに関連する症候の調節に有用な他の療法指す。
【0108】
本明細書で使用される場合、「治療/処置する(treat)」、「治療/処置(treatment)」及び「治療/処置する(treating)」という用語は、1つ以上の治療(限定されないが、1つ以上の予防剤又は治療剤、例えば、本明細書中に提供される単離された結合ポリペプチドの投与を含む)の投与から生じる疾患又はそれに関連する症状の進行、重症度及び/又は持続期間の減少又は改善を指す。本明細書で使用される場合、「治療/処置する(treating)」という用語はまた、治療される対象の疾患経過を変化させることを指すこともできる。治療の治療効果としては、限定されないが、疾患の発生又は再発の予防、症状()の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的結果
の減少、疾患進行の速度の低下、疾患状態の改善又は緩和、並びに寛解又は予後の改善が挙げられる。
【0109】
BCMA
本明細書で使用される場合、用語「BCMA」とは、B細胞成熟抗原のことを指す。BCMA(TNFRSF17、BCM又はCD269としても知られている)は腫瘍壊死受容体(TNFR)ファミリーのメンバーであり、主に最終分化B細胞、例えばメモリーB細胞及び形質細胞上に発現される。そのリガンドは、TNFファミリーのB細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL)と呼ばれる。BCMAは、長期の体液性免疫を維持するための形質細胞の生存の媒介に関与する。BCMAの遺伝子は、16番染色体上にコードされ、184アミノ酸のタンパク質(NP_001183.2)をコードする994ヌクレオチド長(NCBIアクセッションNM_001192.2)の一次35 mRNA転写物を生成する。BCMA遺伝子座に由来する第2のアンチセンス転写物が記載されており、これはBCMA発現の調節に役割を果たし得る。(Laabi Y.et al.,Nucleic Acids Res.,1994,22:1147-1154)更なる転写変異体が、未知の有意性で記載されている(Smirnova A S et al.Mol Immunol.,2008,45(4):1179-1183。TV4としても知られる第2のアイソフォームが同定されている(Uniprot識別子Q02223-2)。「BCMA」は、全長野生型BCMAの変異、例えば点突然変異、断片、挿入、欠失、及びスプライス変異体を含むタンパク質を含む。
【0110】
ナチュラルキラー細胞
本明細書で使用される場合、「ナチュラルキラー細胞」又は「NK細胞」は、自然免疫に関与するリンパ球の亜集団を指す。NK細胞は、ヒトNK細胞に対するCD16、CD56及び/又はCD57、NKp46を含む特定の表面抗原の発現、細胞表面上のアルファ/ベータ又はガンマ/デルタTCR複合体の非存在、特定の細胞溶解機構の活性化によって「自己」MHC/HLA抗原を発現しない細胞に結合して死滅させる能力、NK活性化受容体に対するリガンドを発現する腫瘍細胞又は他の疾患細胞を死滅させる能力、並びに免疫応答を刺激又は阻害するサイトカインと呼ばれるタンパク質分子を放出する能力等の特定の特徴及び生物学的特性によって同定することができる。これらの特徴及び活性のいずれも、当技術分野で周知の方法を使用してNK細胞を同定するために使用することができる。NK細胞の任意の亜集団もまた、NK細胞という用語に包含される。本明細書の文脈内で、「活性」NK細胞は、標的細胞を溶解する能力又は他の細胞の免疫機能を増強する能力を有するNK細胞を含む、生物学的に活性なNK細胞を指す。NK細胞は、血液試料からの単離、細胞吸着除去療法(cytapheresis)、組織又は細胞の採取等、当技術分野で公知の様々な技術によって得ることができる。NK細胞を含むアッセイに有用なプロトコルは、Natural Killer Cells Protocols(Campbell KS及びColonna Mによって編集)Human Press.pp.219-238(2000)に見出すことができる。
【0111】
NKp46
本明細書で使用される場合、「CD335」又は「NKP46」又は「NK-p46」又は「LY94」としても知られる「NKp46」マーカー又は「天然細胞傷害性誘発受容体1」は、Ncr1遺伝子によってコードされるタンパク質又はポリペプチドを指す。全長ヒトNKp46タンパク質の参照配列は、アクセッション番号NP_004820でNCBIデータベースから入手可能である。ヒトNKp46 mRNA配列は、NCBIアクセッション番号NM_004829に記載されている。
【0112】
NK細胞エンゲージャー
本明細書で使用される場合、単離されたエフェクターコンピテントポリペプチドは、N
K細胞エンゲージャーフォーマットの多重特異性抗体を含む。「NK細胞エンゲージャー」は、活性化NK細胞受容体、抗原特異的標的化領域、及び任意にFc領域を標的化するモノクローナル抗体ドメインを含む結合タンパク質を指す(Gauthier,et al.(2019)Cell,177:1701-13)。NK細胞は、抗体のFc部分に低親和性で結合するFcγRIIIaとしても知られるCD16aを発現する(Cerwenka and Lanier(2018)Science 359:6383)。CD16aの係合は、立体障害がより低いためにCD3係合と比較して要求が少なく、補助分子の欠如によって更に促進される。抗体で装飾された標的細胞を認識すると、NK細胞は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介し、標的細胞を死滅させる(Lo Nigro(2019)Ann Transl Med 7:105)。この天然に存在する機構を利用して、NKp46(別の活性化NK細胞受容体)と組み合わせてCD16を係合させて、三機能性ナチュラルキラー細胞エンゲージャー(すなわち、NKCE)を生成し、印象的な治療転帰をもたらすことができる。NK細胞エンゲージャーの総説については、Demaria et al.(2021)Eur.J.Immunology 51(8):1934(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0113】
三官能性NKCEは、同じ抗原を標的とする臨床治療抗体よりもインビトロで強力であり、完全IgG抗体と同様のインビボ薬物動態を有し、オフターゲット効果はない。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/IB21/62494号を参照されたい。
【0114】
Fcドメイン
本開示の特定の態様では、Fcドメイン、例えばFcドメイン変異体が提供される。本明細書で使用される場合、「Fc領域」又は「Fcドメイン」という用語は、パパイン切断部位(すなわち、IgG中の残基216、重鎖定常領域の最初の残基を114とする)のすぐ上流のヒンジ領域で始まり、抗体のC末端で終わる重鎖定常領域の部分を指す。したがって、完全なFc領域は、少なくともヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。
【0115】
抗体のFc領域は、非抗原結合に関与し、Fc受容体に結合することによってエフェクター機能を媒介することができる。Fc受容体にはいくつかの異なるタイプがあり、それらはそれらが認識する抗体のタイプに基づいて分類される。例えば、Fc-ガンマ受容体(FcγR)はIgGクラス抗体に結合し、Fc-アルファ受容体(FcαR)はIgAクラス抗体に結合し、Fc-イプシロン受容体(FcεR)はIgEクラス抗体に結合する。新生児型Fc受容体(FcRn)は、抗体のFc領域と相互作用して、正常なリソソーム分解の救済による抗体リサイクルを促進する。FcγRは、いくつかのメンバー、例えばFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa及びFcγRIIIbを含むファミリーに属する。
【0116】
本明細書で使用される場合、「天然Fc」又は「野生型Fc」という用語は、抗体の消化から生じるか、又は単量体若しくは多量体形態であるかにかかわらず、他の手段によって産生された非抗原結合断片の配列に対応する分子を指し、ヒンジ領域を含むことができる。天然Fcの元の免疫グロブリン源は、典型的にはヒト起源であり、任意の免疫グロブリン、例えばIgG1及びIgG2であり得る。天然Fc分子は、共有結合(すなわち、ジスルフィド結合)及び非共有結合によって二量体又は多量体形態に連結することができる単量体ポリペプチドで構成される。天然Fc分子の単量体サブユニット間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えばIgG、IgA及びIgE)又はサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgA1、及びIgGA2)に応じて1~4つの範囲にある。天然Fcの一例は、IgGのパパイン消化に起因するジスルフィド結合二量体である。本明細書で使用される場合、「天然Fc」という用語は、単量体、二量体及び多量
体形態のどれにも使える。
【0117】
本明細書で使用される場合、「Fcドメイン変異体」、「Fc変異体」又は「修飾Fc」という用語は、天然/野生型Fcから修飾されているが、依然としてFcRの結合部位を含む分子又は配列を指す。したがって、「Fc変異体」という用語は、非ヒト天然Fcからヒト化された分子又は配列を含むことができる。さらに、天然Fcは、本明細書中に記載される抗体様結合ポリペプチドに必要とされない構造的特徴又は生物学的活性を提供するので、除去され得る領域を含む。したがって、「Fc変異体」という用語は、1つ以上の天然Fc部位若しくは残基を欠くか、又は1つ以上のFc部位若しくは残基が修飾されており、以下に影響を及ぼすか又は関与する分子又は配列を含む:(1)ジスルフィド結合の形成、(2)選択された宿主細胞との不適合性、(3)選択された宿主細胞における発現時のN末端不均一性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合、又は(7)抗体依存性細胞傷害(ADCC)。
【0118】
本明細書で使用される場合、「エフェクターコンピテント(effector-competent)Fc変異体」又は「エフェクターコンピテントポリペプチド」は、本明細書中に更に記載されるような1つ以上のFcエフェクター機能を有するFcドメインをいう。
【0119】
特定の例示的な実施形態では、本明細書において特徴付けられるFc変異体は、野生型Fcと比較して、増加した血清半減期、増強されたFcRn結合親和性、酸性pHでの増強されたFcRn結合親和性、増強されたFcγRIIIa結合親和性、及び/又は同様の熱安定性の1つ以上を有する。
【0120】
FcγRIIIa V176、又はFcγRIIIa V158、又はヒトCD16a-V受容体、又はCD16aは、天然抗体のFc領域に結合し、抗体依存性細胞傷害性を媒介し、位置176又は位置158にバリン(V)を持つCD16ヒト受容体の断片を含むポリペプチドコンストラクトを指し、これは文献ではアロタイプCD16a V176又はアロタイプCD16a V158としても報告されている。
【0121】
FcγRIIIa F176、又はFcγRIIIa F158、又はヒトCD16a-F受容体、又はCD16aは、天然抗体のFc領域に結合し、抗体依存性細胞傷害性を媒介し、位置176又は位置158にフェニルアラニン(F)を持つCD16ヒト受容体の断片を含むポリペプチドコンストラクトを指し、アロタイプCD16a F176又はアロタイプCD16a F158として文献にも報告されている。
【0122】
本明細書で使用される場合、「Fcドメイン」という用語は、本明細書で定義される天然/野生型Fc及びFc変異体並びに配列を包含する。Fc変異体及び天然Fc分子と同様に、「Fcドメイン」という用語は、全抗体から消化されるか、又は他の手段によって産生されるかにかかわらず、単量体又は多量体形態の分子を含む。
【0123】
特定の例示的な実施形態では、本明細書に記載のFcドメインは熱的に安定化されている。
【0124】
特定の例示的な実施形態では、本明細書に記載のFcドメインは、グリコシル化(例えば、N-結合型グリコシル化を介して)されている。特定の例示的な実施形態では、Fcドメインは、例えばアミノ酸配列NXT又はNXS(Xはプロリンを除く任意のアミノ酸残基である)を含むN結合型グリコシル化モチーフにN結合型グリコシル化を含む。特定の例示的な実施形態では、Fcドメインは、EUナンバリングに従うアミノ酸位置297でグリコシル化される。
【0125】
特定の例示的な実施形態では、本明細書中に記載されるFcドメインは、エフェクターコンピテントである。
【0126】
特定の例示的な実施形態では、本明細書に記載のFcドメインは、熱安定化、グリコシル化、及びエフェクターコンピテントの任意の組み合わせである。
【0127】
熱安定化Fcドメイン変異体
定常抗体ドメインの構造は、ループ及び短いヘリックスと接続したβ鎖からなる可変ドメインの構造と類似している。重定常領域のCH2ドメインは、他のドメインで示される広範な鎖間相互作用とは対照的に、炭水化物媒介性の弱い鎖間タンパク質間相互作用を示す。単離されたマウスCH2ドメインは、生理学的温度では比較的不安定であるが(Feige et al.,2004,J.Mol.Biol.344:107-118)、これまでの研究では、CH2ドメインの熱安定性が、鎖内ジスルフィド結合の付加によって増強される場合があり、これらが結合体の足場として使用され得ることが実証されている(Gong et al.,2009,J.Biol.Chem.284:14203-210)。
【0128】
野生型Fcドメインと比較して増加した熱不安定性(すなわち、熱安定性の低下)を示すエフェクター増強Fcドメイン変異体が公知である。例えば、S239D/I332E及びS239D/I332E/A330L変異体は、示差走査熱量測定(DSC)分析における融解温度(Tm)の低下によって示されるように、CH2ドメインの安定性の低下をもたらす。G236A/S239D/A330L/I332Eは、野生型と比較した場合、タンパク質の熱シフト測定が減少し、hFcγRトランスジェニックマウスにおいて半減期がかなり減少している。(Liu et al.(2014)J.Biol.Chem.289(6):3571、及び総説についてはLiu et al.(2020)Antibodies 9(4):64を参照)
【0129】
野生型と比較して安定性が有意に低下していない、FcγR結合が改善されたエフェクター増強Fcドメイン変異体が知られている。(例えば、Igawa et al.、欧州特許第2 940 135号明細書を参照)
【0130】
熱安定化されたFcドメイン変異体は、Fcドメインに1つ以上のジスルフィド結合を導入することによって産生され得ることが更に発見された。したがって、一態様では、本開示は、1つ以上の操作された(例えば、非天然)ジスルフィド結合、例えば、例えば1つ又は複数のシステイン対によって媒介される鎖内ジスルフィド結合を含むFcドメイン変異体を提供する。
【0131】
特定の例示的な実施形態では、ジスルフィド結合は、Fcドメインの2つのCH2領域間の鎖内ジスルフィド結合である。特定の例示的な実施形態では、ジスルフィド結合は、Fcドメインの2つのCH3領域間の鎖内ジスルフィド結合である。特定の例示的な実施形態では、2つ以上の鎖内ジスルフィド結合が、Fcドメインの2つのCH2領域間及び/又はFcドメインの2つのCH3領域間に存在する。
【0132】
熱安定性、又はFcドメイン(例えば、結合ポリペプチドを含む又は含まないFcドメイン)が展開する傾向は、当技術分野で公知の様々な方法を用いて決定され得る。例えば、アンフォールディング又は変性温度は、ナノフォーマット示差走査熱量測定(nanoDSC)又はナノフォーマット示差走査蛍光測定(nanoDSF)によって測定することができる(Wen et al.,2020 Anal.Biochem.593:113581)。タンパク質が展開し始める検出可能な温度はTonsetである。
【0133】
特定の例示的な実施形態では、熱安定化されたFcドメイン変異体(例えば、1つ以上の操作されたジスルフィド結合を有する)のTonsetは、熱安定化されていないFcドメイン変異体と比較して増加している。特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体のTonsetは、熱安定化されていないFcドメイン変異体に対して約1.0℃、約1.5℃、約2.0℃、約2.5℃、約3.0℃、約3.5℃、約4.0℃、約4.5℃、約5.0℃、約5.5℃、約6.0℃、約6.5℃、約7.0℃、約7.5℃、約8.0℃、約8.5℃、約9.0℃、約9.5℃、約10.0℃、約10.5℃、約11.0℃、約11.5℃、約12.0℃、約12.5℃、約13.0℃、約13.5℃、約14.0℃、約14.5℃、約15.0℃、約15.5℃、約16.0℃、約16.5℃、約17.0℃、約17.5℃、約18.0℃、約18.5℃、約19.0℃、約19.5℃、約20.0℃、約20.5℃、約21.0℃、約21.5℃、約22.0℃、約22.5℃、約23.0℃、約23.5℃、約24.0℃、約24.5℃又は約25.0℃上昇する。
【0134】
特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、以下の位置にシステイン置換からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換対を有する:アミノ酸位置242及び334;アミノ酸位置240及び334;アミノ酸位置287及び306;アミノ酸位置292及び302;アミノ酸位置323及び332;アミノ酸位置259及び306;アミノ酸位置350及び441;アミノ酸位置343及び431;アミノ酸位置375及び404;アミノ酸位置375及び396;並びにアミノ酸位置348及び439(EUナンバリングに従う)。(Wozniak-Knopp et al.,2012,PLoS One 7:e30083;Jacobsen et al.,2017 J.Biol.Chem.202:1865-75;総説については国際公開第2014153063号パンフレットを参照)
【0135】
特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、EUナンバリングに従う、(i)アミノ酸位置242のロイシン(L)及びアミノ酸位置334のリジン(K);(ii)アミノ酸位置287のアラニン(A)及びアミノ酸位置306のロイシン(L);又は(iii)アミノ酸位置292のアルギニン(R)及びアミノ酸位置302のバリン(V)を置換する一対のシステインによって媒介される操作された(例えば、非天然)鎖内ジスルフィド結合を含む。
【0136】
特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、EUナンバリングに従う、(i)アミノ酸位置242のロイシン(L)及びアミノ酸位置334のリジン(K);(ii)アミノ酸位置292のアルギニン(R)及びアミノ酸位置302のバリン(V)を置換する一対のシステインによって媒介される操作された(例えば、非天然)鎖内ジスルフィド結合を含む。
【0137】
特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置242のロイシン(L)及びアミノ酸位置334のリジン(K)を置換する一対のシステインによって媒介される操作された(例えば、非天然)鎖内ジスルフィド結合を含む。特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置287のアラニン(A)及びアミノ酸位置306のロイシン(L)を置換する一対のシステインによって媒介される操作された(例えば、非天然)鎖内ジスルフィド結合を含む。特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置292のアルギニン(R)及びアミノ酸位置302のバリン(V)を置換する一対のシステインによって媒介される操作された(例えば、非天然)鎖内ジスルフィド結合を含む。特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、少なくとも1つの操作された鎖内ジスルフィド結合を含み得る。特定の例示的な実施形態では、熱安定化Fcドメイン変異体は、2つ以上の操作さ
れた鎖内ジスルフィド結合を含み得る。
【0138】
エフェクター増強Fcドメイン変異体
一態様では、本開示は、エフェクター増強アミノ酸置換を含むFcドメイン変異体を提供する。
【0139】
一実施形態では、本明細書に開示される、1つ以上のアミノ酸置換を含む、改変されたFcγRIIIa結合を有するFcドメイン変異体。一実施形態では、本明細書に開示される1つ以上のアミノ酸置換を有するFcγRIIIa結合親和性が増強されたFcドメイン変異体。一実施形態では、FcγRIIIa結合親和性が増強されたFcドメイン変異体は、本明細書に開示される2つ以上のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、FcγRIIIa結合親和性が増強されたFcドメイン変異体は、本明細書に開示される3つ以上のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、FcγRIIIa結合親和性が増強されたFcドメイン変異体は、本明細書に開示される4つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0140】
一実施形態では、改変FcRn結合を有するFcドメイン変異体は、本明細書に開示される1つ以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。一実施形態では、増強されたFcRn結合親和性を有するFcドメイン変異体は、本明細書に開示される1つ以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。一実施形態では、増強されたFcRn結合親和性を有するFcドメイン変異体は、本明細書に開示される2つ以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。一実施形態では、増強されたFcRn結合親和性を有するFcドメイン変異体は、本明細書に開示される3つ以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、種特異的FcRn結合親和性を示し得る。一実施形態では、Fcドメイン変異体は、FcRn結合親和性を示し得る。一実施形態では、Fcドメイン変異体は、カニクイザルFcRn結合親和性を示し得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、異種間FcRn結合親和性を示し得る。そのようなFcドメイン変異体は、1つ以上の異なる種にわたって交差反応性であると言われる。一実施形態では、Fcドメイン変異体は、ヒトとカニクイザルの両方のFcRn結合親和性を示し得る。
【0142】
新生児型Fc受容体(FcRn)は、抗体のFc領域と相互作用して、正常なリソソーム分解の救済によるリサイクルを促進する。このプロセスは、酸性pH(例えば、6.5未満のpH)でエンドソームにおいて起こるが、血流の生理学的pH(例えば、非酸性pH)条件下では起こらないpH依存性プロセスである。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、野生型Fcドメインと比較して、酸性pHにおいて増強されたFcRn結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、野生型Fcドメインと比較して、7.0未満のpH、例えば約pH6.5、約pH6.0、約pH5.5、約pH5.0で増強されたFcRn結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、上昇した非酸性pHでの野生型FcドメインのFcRn結合親和性と比較して、7.0未満のpH、例えば約pH6.5、約pH6.0、約pH5.5、約pH5.0で増強されたFcRn結合親和性を有する。上昇した非酸性pHは、例えば、7.0を超えるpH、約pH7.0、約pH7.4、約pH7.6、約pH7.8、約pH8.0、約pH8.5、約pH9.0であり得る。
【0143】
特定の実施形態では、Fcドメイン変異体が、非酸性pHで野生型Fcドメインとほぼ同じFcRn結合親和性を示すことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体が、非酸性pHで、EUナンバリングに従って、二重アミノ酸置換M428L/N434Sを有する修飾Fcドメインを含む結合ポリペプチドよりも低いFcR
n結合親和性を示すことが望ましい場合がある(米国特許第8,088,376号明細書を参照)。したがって、Fcドメイン変異体は、pH依存性FcRn結合に対して最小限の摂動を示すことが望ましい場合がある。
【0144】
いくつかの実施形態では、酸性pHで増強されたFcRn結合親和性を有するFcドメイン変異体は、野生型Fcドメインと比較して減少した(すなわち、より遅い)FcRnオフ速度を有する。いくつかの実施形態では、上昇した非酸性pHにおける結合ポリペプチドのFcRn結合親和性と比較して、酸性pHにおける増強されたFcRn結合親和性を有するFcドメイン変異体は、上昇した非酸性pHにおける野生型FcドメインのFcRnオフ速度と比較して、酸性pHにおけるより遅いFcRnオフ速度を有する。
【0145】
特定の実施形態は、ほぼ同じ免疫原性の完全な変化していない抗体と比較した場合に、所望の生化学的特徴、例えば、低下した又は増強されたエフェクター機能、非共有二量体化する能力、腫瘍の部位に局在する能力の増加、血清半減期の減少、又は血清半減期の増加を提供するように、定常領域ドメインの1つ以上の中の少なくとも1つのアミノ酸が欠失されているか、そうでなければ改変されているFcドメイン変異体を含む。
【0146】
特定の他の実施形態では、Fcドメイン変異体は、異なる抗体アイソタイプ(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のうちの2つ以上に由来する定常領域)に由来する定常領域を含む。他の実施形態では、Fcドメイン変異体は、キメラヒンジ(すなわち、異なる抗体アイソタイプのヒンジドメイン、例えばIgG4分子由来の上部ヒンジドメイン及びIgG1中間ヒンジドメインに由来するヒンジ部分を含むヒンジ)を含む。特定の実施形態では、Fcドメインは、当技術分野で公知の技術を使用してエフェクター機能を増加又は減少させるように変異され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、Fc受容体に対する変化した結合親和性を有する。Fc受容体にはいくつかの異なるタイプがあり、それらはそれらが認識する抗体のタイプに基づいて分類される。例えば、Fc-ガンマ受容体(FcγR)はIgGクラス抗体に結合し、Fc-アルファ受容体(FcαR)はIgAクラス抗体に結合し、Fc-イプシロン受容体(FcεR)はIgEクラス抗体に結合する。FcγRは、いくつかのメンバー、例えばFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa及びFcγRIIIbを含むファミリーに属する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、野生型Fcドメインと比較して、変化したFcγRIIIa結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、野生型Fcドメインと比較して、FcγRIIIa結合親和性が低下している。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、野生型Fcドメインと比較して、増強されたFcγRIIIa結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体修飾Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較して、ほぼ同じFcγRIIIa結合親和性を有する。
【0148】
特定の実施形態では、Fcドメイン変異体は、1つ以上のエフェクター機能を媒介する抗体定常領域(例えばIgG定常領域、例えばヒトIgG定常領域、例えばヒトIgG1定常領域)を含む。例えば、抗体定常領域へのC1複合体の結合は、補体系を活性化し得る。補体系の活性化は、細胞病原体のオプソニン化及び溶解において重要である。補体系の活性化は炎症反応も刺激し、自己免疫過敏症にも関与し得る。さらに、抗体は、Fcドメインを介して様々な細胞上の受容体に結合する(抗体Fc領域上のFc受容体結合部位は、細胞上のFc受容体(FcR)に結合する)。IgG(ガンマ受容体)、IgE(イプシロン受容体)、IgA(アルファ受容体)及びIgM(ミュー受容体)を含む、異なるクラスの抗体に特異的ないくつかのFc受容体が存在する。細胞表面上のFc受容体への抗体の結合は、抗体被覆粒子の貪食及び破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害又はADCCと呼ばれる)による抗体被覆標的細胞の溶
解、炎症性メディエーターの放出、胎盤移行及び免疫グロブリン産生の制御を含む、いくつかの重要で多様な生物学的応答を引き起こす。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体、例えば結合ポリペプチド(例えば、抗体、イムノアドヘシン又は抗体変異体)は、Fc-ガンマ受容体に結合する。代替的な実施形態では、Fcドメイン変異体は、1つ以上のエフェクター機能を欠いている(例えば、ADCC活性)及び/又はFcγ受容体に結合することができない定常領域を含んでいた。
【0149】
特定の例示的な実施形態では、エフェクター増強Fcドメイン変異体は、以下からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を有する:アミノ酸位置221のアスパラギン酸(D);アミノ酸位置222のシステイン(C);アミノ酸位置234のチロシン(Y);アミノ酸位置236にアラニン(A);アミノ酸位置236のトリプトファン(W);アミノ酸位置239のアスパラギン酸(D);アミノ酸位置243のロイシン(L);アミノ酸位置267のグルタミン酸(E);アミノ酸位置268のフェニルアラニン(F);アミノ酸位置292のプロリン(P);アミノ酸位置298のアラニン(A);アミノ酸位置300のロイシン(L);アミノ酸位置305にイソロイシン(I);アミノ酸位置324のトレオニン(T);アミノ酸位置326のトリプトファン(W);アミノ酸位置326にアラニン(A);アミノ酸位置330のロイシン(L);アミノ酸位置332のグルタミン酸(E);アミノ酸位置333にアラニン(A);アミノ酸位置333のセリン(S);アミノ酸位置334にアラニン(A);アミノ酸位置336にアラニン(A);アミノ酸位置345のアルギニン(R);アミノ酸位置396のロイシン(L)(EUナンバリングに従う)。(総説については、Saunders,2009,Front.Immunol.doi:10.3389/fimmu.2019.01296を参照)
【0150】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236、239、330及び332から選択される位置にアミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、置換は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸239にアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置330にロイシン(L)、及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置236のアラニン(A)、アミノ酸239のアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置330のロイシン(L)、及びアミノ酸位置332のグルタミン酸(E)から選択される任意の2つのアミノ酸位置に二重アミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置236のアラニン(A)、アミノ酸239のアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置330のロイシン(L)、及びアミノ酸位置332のグルタミン酸(E)から選択される任意の3つのアミノ酸位置に三重アミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置236のアラニン(A)、アミノ酸239のアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置330のロイシン(L)、及びアミノ酸位置332のグルタミン酸(E)から選択される任意の4つのアミノ酸位置に四重アミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、アミノ酸239にアスパラギン酸(D)及びアミノ酸位置332にグルタミン酸(E)を含むアミノ酸置換の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置236にアラニン(A)、アミノ酸位置332にアスパラギン酸(D)及びグルタミン酸を含むアミノ酸置換の組み合わせを含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、EUナンバリングに従うアミノ酸位置256及び/又は307にアミノ酸置換を更に含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、アミノ酸位置256にアスパラギン酸(D)を含み、アミノ酸位置307にグルタミン(Q)を含むアミノ酸置換の組み合わせを含み得る(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Mackness et al.,2019 MAbs
11:1276-88;国際公開第2019147973A1号パンフレットを参照)
【0152】
グリコシル化Fcドメイン変異体
特定の例示的な実施形態では、結合タンパク質は、グリコシル化されている。それらの定常領域内の保存された位置における抗体のグリコシル化は、抗体機能、特に上記のようなエフェクター機能に大きな影響を及ぼすことが知られている(例えば、Boyd et
al(Mol.Immunol,32:1311-1318,1996を参照)。1つ以上の炭水化物部分が付加、置換、欠失又は修飾されている本開示の結合タンパク質のグリコシル化が企図される。いくつかの実施形態では、結合タンパク質のFcドメインのグリコシル化は、N結合型グリコシル化である。アスパラギン-X-セリン又はアスパラギン-X-トレオニンモチーフの導入は、炭水化物部分の酵素的結合のための潜在的な部位を作り出し、したがってFcドメイン変異体のグリコシル化を操作するために使用され得る。Raju et al.(Biochemistry 40:8868-8876,2001)では、TNFR-IgG免疫アドヘシンの最終的なシアリル化は、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ及び/又はアルファ、2,3シアリルトランスフェラーゼを使用した再ガラクトシル化及び/又は再シアリル化のプロセスを通して増加した。末端シアリル化を増加させると、免疫グロブリンの半減期が増加すると考えられている。
【0153】
抗体は、ほとんどの糖タンパク質と共通して、典型的にはグリコフォームの混合物として産生される。この混合物は、抗体が真核生物、特に哺乳動物細胞で産生される場合に特に明らかである。定義されたグリコフォームを製造するための様々な方法が開発されている(Zhang et al.2004,Science 303:371;Sears
et al,2001,Science 291:2344;Wacker et al.,2002,Science 298:1790;Davis et al.2002,Chem.Rev.102:579;Hang et al.,2001,Acc.Chem.Res.34:727を参照)。いくつかの実施形態では、グリコシル化Fcドメインは、EUナンバリングに従うアミノ酸位置297に天然グリカンを含む。IgG1のCH2ドメイン中のアミノ酸位置297におけるアスパラギンのグリコシル化は、FcドメインとFcγRとの間の相互作用を促進することが公知である。このグリコシル化部位の排除は、エフェクター機能を排除する(Leabman,et al.,2013,MAbs 5:896-903)。特に例示的な実施形態では、Fcドメインは、EUナンバリングに従うアミノ酸位置297に野生型レベル又はほぼ野生型レベルのグリコシル化を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、グリコシル化Fcドメイン変異体は、操作されたグリカン又は非天然グリカンを含む。いくつかの実施形態では、操作されたグリカン又は非天然グリカンは、治療分子(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)にコンジュゲートさせることができる修飾グリカンである。
【0155】
Fc含有結合ポリペプチド
一態様では、本開示は、少なくとも1つの結合ドメイン(例えば、少なくとも1つの結合ポリペプチド)を含むか又はそれと複合体化した(例えば、融合した)単離されたFcドメイン変異体を提供する。特定の実施形態では、結合ドメインは、1つ以上の抗原結合ドメインを含む。抗原結合ドメインは、親Fcドメインと同じ分子に由来する必要はない。特定の実施形態では、Fcドメイン変異体は、抗体中に存在する。
【0156】
一実施形態では、Fcドメイン変異体は、抗体中に存在するか、又は抗体と複合体化している。任意の供給源又は種からの任意の抗体を、本明細書に開示されるFcドメイン変異体と共に使用することができる。適切な抗体としては、限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体が挙げられる。適切な抗体としては、限定されないが、全長抗体
、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、又は単一ドメイン抗体、例えばVHH抗体が挙げられる。
【0157】
特定の例示的な実施形態では、Fcドメイン変異体は、抗体の抗原結合断片に結合又は複合体化され得る。「抗原結合断片」という用語は、抗原に結合するか、又は抗原結合(すなわち、特異的結合)についてインタクト抗体と(すなわち、それらが由来するインタクトな抗体を用と)競合する免疫グロブリン又は抗体のポリペプチドフラグメントを指す。抗原結合断片は、当技術分野で周知の組換え又は生化学的方法によって産生することができる。例示的な抗原結合断片は、Fv、Fab、Fab’及び(Fab’)2を含む。特定の例示的な実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、少なくとも1つの抗原結合断片及びFcドメイン変異体を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、結合ポリペプチドは、一本鎖可変領域配列(ScFv)を含む。一本鎖可変領域配列は、1つ以上の抗原結合部位、例えば、柔軟なリンカーによってVHドメインに連結されたVLドメインを有する単一ポリペプチドを含む。ScFv分子は、VH-リンカー-VL配向又はVL-リンカー-VH配向で構築することができる。抗原結合部位を構成するVL及びVHドメインを連結する可撓性ヒンジは、約10~約50個のアミノ酸残基を含む。連結ペプチドは当技術分野で公知である。結合ポリペプチドは、少なくとも1つのscFv及び/又は少なくとも1つの定常領域を含み得る。一実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、Fcドメイン変異体に連結又は融合された少なくとも1つのscFvを含み得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、抗体をコードするDNA配列をScFv分子(例えば、改変ScFv分子)と融合することによって産生される多価(例えば、四価)抗体である。例えば、一実施形態では、これらの配列は、ScFv分子(例えば、改変されたScFv分子)がそのN末端又はC末端で柔軟なリンカー(例えば、gly/serリンカー)を介してFcドメイン変異体に連結されるように組み合わされる。別の実施形態では、本開示の四価抗体は、ScFv分子を、Fcドメイン変異体に融合されてScFv-Fab四価分子を構築する連結ペプチドに融合することによって作製することができる。
【0160】
別の実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、改変されたミニボディである。本開示の改変されたミニボディは、接続ペプチドを介してFcドメイン変異体に融合されたScFv分子をそれぞれ含む2つのポリペプチド鎖で構成される二量体分子である。ミニボディは、ScFv成分を構築し、当技術分野に記載されている方法を使用してペプチド成分を連結することによって作製することができる(例えば、米国特許第5,837,821号明細書又は国際公開第94/09817Al号パンフレットを参照)。別の実施形態では、四価のミニボディを構築することができる。四価のミニボディは、2つのScFv分子が可撓性リンカーを用いて連結されていることを除いて、ミニボディと同じ様式で構築することができる。次いで、連結されたscFv-scFvコンストラクトをFcドメイン変異体につなぐ。
【0161】
別の実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、ダイアボディを含む。ダイアボディは、それぞれがscFv分子に類似するポリペプチドを有するが、通常、両方の可変ドメインを接続する短い(10未満、例えば約1~約5)アミノ酸残基リンカーを有する二量体四価分子であり、その結果、同じポリペプチド鎖上のVLドメイン及びVHドメインは相互作用することができない。代わりに、1つのポリペプチド鎖のVL及びVHドメインは、第2のポリペプチド鎖上のVH及びVLドメイン(例えば、国際公開第02/02781号パンフレットを参照)と相互作用する。本開示のダイアボディは、Fcドメイン変異体に融合されたscFv様分子を含む。
【0162】
別の実施形態では、本開示の結合ポリペプチドは、VHH又はナノボディとも呼ばれる単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。Nanobody(登録商標)は、Ablynxの登録商標である。VHHは、軽鎖を欠く可変重鎖ドメインを含む。従来のVHドメインと同様に、VHHは4つのFR及び3つのCDRを含む。VHHは、従来の抗体に勝る利点を有する。それらはIgG分子よりも約10倍小さいため、適切に折り畳まれた機能性VHHは、高い収率を達成しながらインビトロ発現によって産生され得る。さらに、VHHは非常に安定であり、プロテアーゼの作用に耐性である。VHHの特性及び生成は、Harmsen及びDe Haard HJ(Appl.Microbiol.Biotechnol.2007 November;77(1):13-22)によって概説されている。
【0163】
特定の例示的な実施形態では、Fcドメインは、1つ以上のVHHと融合される。
【0164】
他の実施形態では、結合ポリペプチドは、同じポリペプチド鎖上に直列に1つ以上の可変ドメインを含む多重特異性抗体又は多価抗体、例えばタンデム可変ドメイン(TVD)ポリペプチドを含む。例示的なTVDポリペプチドは、米国特許第5,989,830号明細書に記載されている「ダブルヘッド」又は「二重Fv」構成を含む。二重Fv配置では、2つの異なる抗体の可変ドメインは、2つの別個の鎖(1つの重鎖及び1つの軽鎖)上にタンデム配向で発現され、一方のポリペプチド鎖は、任意によりペプチドリンカー(VH1-リンカー-VH2)によって分離された直列の2つのVHドメインを有し、他方のポリペプチド鎖は、任意にペプチドリンカー(VL1-リンカー-VL2)によって直列に接続された相補的VLドメインからなる。クロスオーバーダブルヘッド配置では、2つの異なる抗体の可変ドメインは、2つの別個のポリペプチド鎖(1つの重鎖及び1つの軽鎖)上にタンデム配向で発現され、一方のポリペプチド鎖は、任意にペプチドリンカー(VH1-リンカー-VH2)によって分離された直列の2つのVHドメインを有し、他方のポリペプチド鎖は、任意に反対の配向のペプチドリンカー(VL2-リンカー-VL1)によって直列に接続された相補的VLドメインからなる。「二重Fv」フォーマットに基づく更なる抗体変異体としては、二重可変ドメインIgG(DVD-IgG)二重特異性抗体(米国特許第7,612,181号明細書及びTBTIフォーマット(米国特許出願公開第2010/0226923A1号明細書を参照)が挙げられる。いくつかの実施形態では、結合ポリペプチドは、Fcドメイン変異体に融合された同じポリペプチド鎖上に直列の1つ以上の可変ドメインを含む多重特異性又は多価抗体を含む。
【0165】
別の実施形態では、結合ポリペプチドは、「ダブルヘッド」配置(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20120251541号A1を参照)に基づくクロスオーバー二重可変ドメインIgG(CODV-IgG)二重特異性抗体を含む。
【0166】
他の実施形態では、結合ポリペプチドは、CrossMab又はCrossMab-Fab多重特異性フォーマット(国際公開第2009080253号パンフレット及びSchaefer,et al.,PNAS(2011),108:11187-1191を参照)を含む。CrossMabフォーマットに基づく抗体変異体は、正確な鎖会合を可能にする二重特異性IgG抗体の1つのアーム内の抗体ドメインの交差を有する。
【0167】
他の実施形態では、グリコシル化エフェクターコンピテントポリペプチドは、T細胞エンゲージャーフォーマットの多重特異性抗体を含む。「T細胞エンゲージャー」とは、宿主の免疫系に向けられたタンパク質、より具体的にはT細胞の細胞傷害活性、並びに腫瘍標的タンパク質に向けられた結合タンパク質を指す。いくつかの実施形態では、単離されたエフェクターコンピテントポリペプチドは、NK細胞エンゲージャーフォーマットの多
重特異性抗体を含む。「NK細胞エンゲージャー」は、活性化NK細胞受容体、抗原特異的標的化領域、及びFc領域を標的化するモノクローナル抗体断片を含む結合タンパク質を指す(Gauthier,et al.Cell(2019),177:1701-13)。
【0168】
本明細書に記載のFcドメイン変異体を含む本開示の結合ポリペプチドは、既知の「親」抗体のCDR配列又は可変ドメイン配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、親抗体及び本開示の抗体は、本明細書に開示されるFcドメインに対する修飾を除いて、類似又は同一の配列を共有することができる。
【0169】
クロスオーバー二重可変
特定の実施形態では、「クロスオーバー二重可変」又は「CODV」は、少なくとも1つの標的抗原又は少なくとも1つの標的エピトープに特異的に結合し、少なくとも2つの抗原結合部位を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含む抗原結合ドメインを指し、少なくとも1つのポリペプチド鎖は、式:
VL1-L1-VL2-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
少なくとも1つのポリペプチド鎖が、式:
VH2-L3-VH1-L4-CH1[II]
式中、
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり、
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり、
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり、
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成する。
【0170】
特定の例示的な実施形態では、本開示の結合タンパク質は、2つの抗原結合部位を形成する3つのポリペプチド鎖を含む「CODV-OL1」フォーマットを含み、1つのポリペプチド鎖は、式:
VL1-L1-VL2-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
1つのポリペプチド鎖が、式:
VH2-L3-VH1-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3[III]
によって表される構造を含み、
1つのポリペプチド鎖が、式:
ヒンジ-CH2-CH3[IV]
によって表される構造を含み、
式中、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり、
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり、
ヒンジは、CH1ドメインとCH2ドメインとを接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成する。
【0171】
特定の実施形態では、CODV抗原結合ドメインは、少なくとも1つの標的抗原又は少なくとも1つの標的エピトープに特異的に結合し、4つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、2つのポリペプチド鎖はそれぞれ、式:
VL1-L1-VL2-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
2つのポリペプチド鎖はそれぞれ、式:
VH2-L3-VH1-L4-CH1-Fc[II]
によって表される構造を含み、
式中、
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり、
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり、
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり、
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
Fcは免疫グロブリンヒンジ領域、並びにCH2及びCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインであり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成し、
VH1/VL1対は、第1の抗原結合特異性を含み、VH2/VL2対は、第2の抗原結合特異性を含む。
【0172】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、1つ以上の異なる抗原標的に特異的に結合する3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む三重特異性及び/又は三価抗原結合タンパク質であり、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL[I]
によって表される構造を含み、
第2ポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3[II]
によって表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3[III]
によって表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL[IV]
によって表される構造を含み、
式中、
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり、
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり、
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり、
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり、
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり、
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり、
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり、
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり、
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり、
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり、
ヒンジは、CH1ドメインとCH2ドメインとを接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり、
L1、L2、L3、及びL4は、アミノ酸リンカーであり、L1、L2、L3、及びL4のいずれか1つ以上は場合により存在せず、
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドとが、交差軽鎖-重鎖対を形成する。
【0173】
特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、2つの異なる抗原結合部位を形成する交差配向を有する。いくつかの実施形態では、VH1及びVL1は結合対を形成し、第1の抗原結合部位を形成する。いくつかの実施形態では、VH2及びVL2は、結合対を形成し、第2の抗原結合部位を形成する。いくつかの実施形態では、第3のポリペプチド及び第4のポリペプチドは、第3の抗原結合部位を形成する。いくつかの実施形態では、VH3及びVL3は、結合対を形成し、第3の抗原結合部位を形成する。
【0174】
そのような抗原結合タンパク質は、少なくとも3つの抗原結合部位を含む。それは、少なくとも三価の抗原結合分子である。特定の実施形態では、それは1つの抗原標的に特異的に結合する、すなわち単一特異性抗原結合分子である。別の実施形態では、それは2つの異なる抗原標的に特異的に結合する、すなわち二重特異性抗原結合分子である。別の実施形態では、それは3つの異なる抗原標的に特異的に結合する、すなわち三重特異性抗原結合分子である。
【0175】
上に列挙した例は、本開示の範囲を決して限定することを意図するものではなく、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、グリシン及びプロリンからなる群から選択されるランダムに選択されたアミノ酸を含むリンカーが、本明細書に記載の抗体様結合タンパク質に適していることが示されている。
【0176】
結合タンパク質の特定の実施形態では、(a)L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、長さが0アミノ酸であるか、又はGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、S、RT、TKGPS、GQPKAAP及びGGSGSSGSGGからなる群から選択される配列を含むか、又は(b)L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、GGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、S、RT、TKGPS、GQPKAAP及びGGSGSSGSGGからなる群より選択される配列を含む。
【0177】
特定の実施形態では、L1及びL2はそれぞれ、アミノ酸配列GGGGSGGGGSを含む。
【0178】
特定の実施形態では、L3及びL4は、それぞれ存在しない。
【0179】
CODV抗体フォーマット、CODV抗体フォーマットの様々な置換、及びリンカーに関する更なる詳細は、国際公開第2012/135345A1号パンフレット及び国際公開第2017/180913A2号パンフレットに更に記載されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0180】
核酸及びベクター
一態様では、本明細書に開示される結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドが提供される。これらのポリヌクレオチドを発現させることを含む結合タンパク質の作製方法も提供される。
【0181】
本明細書に開示される結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、典型的には、
所望の量の特許請求される結合タンパク質を産生するために使用され得る宿主細胞への導入のための発現ベクターに挿入される。したがって、特定の態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含む発現ベクター、並びにこれらのベクター及びポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。
【0182】
「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲の目的のために、細胞に所望の遺伝子を導入して発現させるために使用されるベクターを意味するために本明細書で使用される。当業者に知られているように、そのようなベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルス及びレトロウイルスからなる群から容易に選択され得る。一般に、ベクターは、選択マーカー、所望の遺伝子のクローニングを容易にするための適切な制限部位、並びに真核細胞又は原核細胞に入る及び/又は複製する能力を含む。
【0183】
多数の発現ベクター系が、使用され得る。例えば、あるクラスのベクターは、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MMTV又はMOMLV)又はSV40ウイルス等の動物ウイルスに由来するDNAエレメントを利用する。その他は、内部リボソーム結合部位を有するポリシストロニックな系の使用を伴う。さらに、DNAをそれらの染色体に組み込んだ細胞は、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入することによって選択され得る。マーカーは、栄養要求性宿主に対する原栄養性、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質)又は銅等の重金属に対する耐性を提供し得る。選択マーカー遺伝子は、発現されるDNA配列に直接連結され得るか、又は共形質転換によって同じ細胞に導入され得る。mRNAの最適な合成のために、更なるエレメントも必要とされ得る。これらの要素は、シグナル配列、スプライスシグナル、並びに転写プロモーター、エンハンサー、及び終結シグナルを含み得る。いくつかの実施形態では、クローニングされた可変領域遺伝子は、上記のように合成された重鎖定常領域遺伝子及び軽鎖定常領域遺伝子(ヒト遺伝子等)と共に発現ベクターに挿入される。
【0184】
他の実施形態では、本明細書に記載されるグリコシル化エフェクターコンピテントポリペプチドは、ポリシストロニックコンストラクトを使用して発現され得る。そのような発現系では、抗体の重鎖及び軽鎖等の目的の複数の遺伝子産物が、単一のポリシストロニックコンストラクトから産生され得る。これらの系は、有益なことに、内部リボソーム侵入部位(IRES)を用いて、真核宿主細胞において、比較的高いレベルのポリペプチドをもたらす。適合性のあるIRES配列は、米国特許第6,193,980号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。当業者は、そのような発現系が、本出願に開示される全範囲のポリペプチドを効果的に産生するために使用され得ることを理解するであろう。
【0185】
より一般的には、本開示の結合タンパク質をコードするベクター又はDNA配列が調製されると、発現ベクターを適切な宿主細胞に導入してもよい。すなわち、宿主細胞が形質転換され得る。宿主細胞へのプラスミドの導入は、当業者に周知の様々な技法によって行うことができる。これらの技法としては、トランスフェクション(電気泳動及びエレクトロポレーションを含む)、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、エンベロープ化DNAとの細胞融合、マイクロインジェクション、並びにインタクトウイルスへの感染が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Ridgway,A.A.G.“Mammalian Expression Vectors”Chapter 24.2,pp.470-472 Vectors,Rodriguez and Denhardt,Eds.(Butterworths,Boston,MA 1988)を参照されたい。トランスフォーメーションした細胞を、軽鎖と重鎖の産生に適する条件下で成長させて、重鎖タンパク質及び/又は軽鎖タンパク質の合成についてアッセイする。例示的なアッセイ技法としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射線免疫アッセイ(
RIA)、蛍光活性化セルソーター解析(FACS)、免疫組織化学等が挙げられる。
【0186】
本明細書で使用される場合、「形質転換」という用語は、遺伝子型を変化させ、結果としてレシピエント細胞の変化をもたらす、レシピエント宿主細胞へのDNAの導入を指す広義に使用されるものとする。
【0187】
同様に、「宿主細胞」は、組換えDNA技術を使用して構築され、少なくとも1つの異種遺伝子をコードするベクターで形質転換された細胞を指す。組換え宿主からポリペプチドを単離するプロセスの説明においては、「細胞」及び「細胞培養液」という用語は、明らかに別段の定めのない限り、抗体の供給源を示す目的で同義的に使用する。言い換えれば、「細胞」からのポリペプチドの回収は、スピンダウンした全細胞、又は培地と懸濁細胞の両方を含む細胞培養液のいずれかからの回収を意味し得る。
【0188】
一実施形態では、結合タンパク質の発現に使用される宿主細胞株は、真核生物又は原核生物起源のものである。一実施形態では、結合タンパク質の発現に使用される宿主細胞株は、細菌起源のものである。一実施形態では、結合タンパク質の発現に使用される宿主細胞株は、哺乳動物起源のものである。当業者は、その中で発現される所望の遺伝子産物に最も適した特定の宿主細胞株を決定することができる。例示的な宿主細胞株としては、DG44及びDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣系統、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頸癌)、CVI(サル腎臓株)、COS(SV40T抗原を有するCVIの誘導体)、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓株)、SP2/O(マウス骨髄腫)、BFA-1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)、293(ヒト腎臓)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、細胞株は、そこから発現される抗体の変化したグリコシル化、例えば、アフコシル化を提供する(例えば、PER.C6(登録商標)(Crucell)又はFUT8ノックアウトCHO細胞株(POTELLIGENT(商標)細胞)(Biowa、ニュージャージー州プリンストン))。一実施形態では、NS0細胞が使用され得る。宿主細胞株は、典型的には、商業サービスのAmerican Tissue Culture Collection又は公の文献から入手可能である。
【0189】
インビトロ生成により、所望の結合タンパク質を大量に得るためのスケールアップが可能になる。組織培養条件下で哺乳動物細胞を培養する技法は、当技術分野において公知であり、この技法としては、例えば、エアリフト反応器若しくは連続撹拌反応器での均質懸濁培養、又は例えば、中空繊維内、マイクロカプセル内、アガロースマイクロビーズ上若しくはセラミックカートリッジ上に固定又は捕捉した細胞の培養が挙げられる。必要及び/又は所望であれば、ポリペプチドの溶液は、慣用的なクロマトグラフィ法、例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィ、DEAE-セルロースでのクロマトグラフィ、及び/又は(免疫)アフィニティークロマトグラフィにより精製することができる。
【0190】
グリコシル化結合タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子はまた、細菌又は酵母又は植物細胞等の非哺乳動物細胞において発現され得る。この関連においては、哺乳動物以外の様々な単細胞微生物(細菌等)もトランスフォーメーションでき、すなわち、これらの微生物を培養又は発酵で成長させることができることは分かるであろう。形質転換に感受性の細菌としては、大腸菌(Escherichia coli)又はサルモネラ(Salmonella)の株等のエンテロバクター科(Enterobacteriaceae)、(バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)等のバシラス科(Bacillaceae)、肺炎球菌(Pneumococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、及びヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)のメンバーが挙げられる。細菌で発現される場合、Fcドメ
イン変異体及び/又は結合ポリペプチドは封入体の一部になり得ることが更に理解されるであろう。結合タンパク質は、単離され、精製され、次いで、機能性分子に組み立てられなければならない。
【0191】
原核生物に加えて、真核生物微生物も使用され得る。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又は一般的なパン酵母は、真核微生物の中で最も一般的に使用されるが、多くの他の株が一般的に利用可能である。サッカロミセス属(Saccharomyces)における発現のために、プラスミドYRp7、例えば、(Stinchcomb et al.,Nature,282:39(1979);Kingsman et al.,Gene,7:141(1979);Tschemper et al.,Gene,10:157(1980))が一般的に使用される。このプラスミドは、トリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の変異株、例えばATCC No.44076又はPEP4-1(Jones,Genetics,85:12(1977))に対する選択マーカーを提供するTRP1遺伝子を既に含有する。酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてのtrpl病変の存在は、トリプトファンの非存在下での成長による形質転換を検出するための有効な環境を提供する。
【0192】
使用方法/治療方法
一態様では、本開示は、本明細書に開示される結合タンパク質の有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象の疾患又は障害を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、疾患及び障害、例えば、癌を、そのような処置を必要とする哺乳動物対象において処置するためのキット及び方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、疾患及び障害、例えば、アミロイドーシス又は多発性骨髄腫を、そのような処置を必要とする哺乳動物対象において処置するためのキット及び方法を提供する。
【0193】
特定の実施形態では、疾患は、癌である。特定の実施形態では、癌は、血液癌である。特定の実施形態では、血液癌は、形質細胞悪性腫瘍である。特定の実施形態では、形質細胞悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発/難治性多発性骨髄腫、新たに診断された多発性骨髄腫、又はくすぶり型多発性骨髄腫である。特定の他の実施形態では、疾患は、軽鎖アミロイドーシス(LCA)である。特定の実施形態では、LCAは、再発/難治性LCA、新たに診断されたLCA、又はくすぶり型LCAである。本開示の結合タンパク質は、いくつかの異なる用途に有用である。例えば、一実施形態では、対象結合タンパク質は、結合タンパク質によって認識されるエピトープを持つ細胞を減少又は排除するのに有用である。別の実施形態では、対象結合タンパク質は、循環中の可溶性抗原の濃度を低下させるか又は排除するのに有効である。別の実施形態では、対象結合タンパク質は、NK細胞エンゲージャーとして有効である。一実施形態では、Fcドメイン変異体は、腫瘍サイズを減少させ、腫瘍成長を阻害し、及び/又は腫瘍担持動物の生存期間を延長し得る。したがって、本開示はまた、有効な非毒性量の本開示の結合タンパク質をヒト又は他の動物に投与することによって、ヒト又は他の動物の腫瘍を治療する方法に関する。
【0194】
別の実施形態では、対象結合タンパク質は、限定されないが、感染症、自己免疫障害、炎症性障害、又は癌を含む他の障害の治療に有用である。疾患は、任意に、BCMAを発現する細胞(例えば、疾患を引き起こす細胞、疾患を引き起こすBリンパ球又は他の免疫細胞)によって特徴付けられるとして特定され得る。例えば、癌細胞、特に血液癌又は形質細胞悪性腫瘍は、癌細胞の表面にBCMAを発現すると特徴付けることができる。したがって、本開示は、例えば、半減期が延長された対象のエフェクターコンピテントポリペプチドを使用することから利益を得るであろう様々な病態を治療する方法に関する。
【0195】
当業者は、日常的な実験によって、悪性腫瘍を治療する目的で、結合タンパク質の有効
な非毒性量が何であるかを決定することができるであろう。例えば、本開示の結合タンパク質の治療活性量は、疾患段階(例えば、ステージI対ステージIV)、対象の年齢、性別、医学的合併症(例えば、免疫抑制状態又は疾患)及び体重、並びに対象において所望の応答を誘発する修飾抗体の能力等の因子に従って変動し得る。
【0196】
一般に、本開示において提供される組成物は、結合タンパク質による癌性細胞の標的化を可能にする抗原マーカーを含む任意の新生物を予防的又は治療的に処置するために使用され得る。
【0197】
多発性骨髄腫の治療方法/使用
一態様では、本開示は、多発性骨髄腫の治療及び予防に関する。
【0198】
「多発性骨髄腫(MM)」(形質細胞骨髄腫、骨髄腫症、又はカーレル病としても知られている)という用語は、通常抗体の産生を担う白血球の一種である形質細胞の進行性血液癌である。この状態は、骨髄中の過剰な数の形質細胞及びインタクトなモノクローナル免疫グロブリン又は遊離モノクローナル軽鎖の過剰産生を特徴とする。臨床的には、疾患は、ヘモグロビン及び血清カルシウム濃度と共に、血清及び/又は尿中のモノクローナル(又は骨髄腫)タンパク質(Mタンパク質)の量に基づく骨髄腫腫瘍細胞塊、骨格調査に基づく溶解性骨病変の数、並びに腎不全の有無を含む様々なパラメータに基づいて診断、病期分類、及び治療される。状態を特徴付けるための更なるアプローチとしては、骨髄検査で10パーセント(10%)を超える形質細胞の検出、軟部組織形質細胞腫の存在、並びに遊離カッパ及びラムダ血清免疫グロブリン軽鎖の検出が挙げられる。骨髄検査は、標準的な組織学及び免疫組織化学技術を用いて行われる。予後を決定するために、骨髄試料の更なる細胞遺伝学が行われ得る。追跡調査は、その侵襲性のために臨床的に示される場合、化学及び骨髄評価からなる。
【0199】
特定の実施形態では、本発明の方法は、再発性及び/又は難治性のMMを有する患者、又はMMのための1つ以上の事前治療を受けたことがあるMMを有する患者の処置を含む。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性/難治性多発性骨髄腫(RR/MM)である。いくつかの実施形態では、患者は、多発性骨髄腫に対する少なくとも1つ又は2つの以前の治療(例えば、レナリドミド等のサリドマイド類似体、プロテアソーム阻害剤、又は自家幹細胞移植(ASCT))を受けており、最後の治療で又は最後の治療の完了後に疾患進行を実証していた。
【0200】
「再発性MM」とは、以前に治療されており、進行し、更なる治療の開始を必要とするが、原発性「難治性」又は再発性及び難治性のMMのいずれかの基準を満たさない多発性骨髄腫を指す。再発を判定するための臨床基準は、当業者に周知である。例えば、International Myeloma Working Group(IMWG)が開発した臨床基準は、1gm/dLを超える血清M成分の増加、新しい軟部組織形質細胞腫又は骨病変の発症、及び既存の形質細胞腫又は骨病変のサイズの増加を含む。
【0201】
「難治性MM」は、非応答性(例えば、治療中に最小限の応答を達成できないか、又は進行性疾患を発症する)の多発性骨髄腫を指す。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、一次療法又はサルベージ療法中は非応答性であるか、又は最後の療法から60日以内に進行する。
【0202】
特定の実施形態では、MMは、「再発性及び難治性MM」である。「再発性及び難治性のMM」は、サルベージ療法(例えば、一次治療による治療が失敗した後に投与される治療)を受けている間は非応答性であるか、又は現在の疾患経過において進行する前のある時点で最小の応答若しくはより良好な応答を達成している患者において最後の療法の60
日間以内に進行する疾患である。
【0203】
特定の実施形態では、MMは、原発性難治性MMである。原発性難治性MMは、いかなる治療でも最小応答又はそれ以上の応答を達成したことがない患者において非応答性であるMM疾患である。
【0204】
特定の実施形態では、MMは、前癌性又は「くすぶり型」MMである。くすぶり型多発性骨髄腫は、血液中の特定のタンパク質を変化させ、及び/又は骨髄中の形質細胞を増加させる前癌状態であるが、疾患の症状を引き起こさない。しかし、この状態と診断された人の約半数が5年以内に多発性骨髄腫を発症する。患者を、活動性多発性骨髄腫への進行の証拠について綿密に監視する。患者は、特定の基準を満たす場合、くすぶり型多発性骨髄腫と診断される:3g/dlを超える血液のMタンパク質を示す血液検査、又は500mg以上のタンパク質を示す24時間尿検査、又は形質細胞が骨髄中の血球の10%~59%を構成することを示す骨髄生検;活動性骨髄腫が引き起こし得る異常な骨病変又は腎臓損傷の兆候はない。現在、くすぶり型多発性骨髄腫に対する承認された治療法はない。
【0205】
「疾患応答」は、血液悪性腫瘍及び病期分類の標準的な基準に従って決定され得る。血液悪性腫瘍の疾患応答を評価する方法は、当業者に公知である。例えば、疾患応答を評価する方法には、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス及びInternational Myeloma Working Group Response Criteria(それぞれ、Oken,et al.,Am.J.Clin.Oncol.1982;5(6):649-655 and Kumar,et al.,Lancet Oncol.2016;17(8):328-346を参照)。疾患応答を評価する方法はまた、疾患マーカーの定量化、骨髄生検及び/又は吸引、形質細胞腫の放射線画像化、骨骨格調査、Mタンパク質定量化(血清及び/又は24時間尿)及び無血清軽鎖レベル又は尿中軽鎖レベル、血清b2-ミクログロブリン、リンパ節生検、放射線腫瘍評価(X線、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、PETスキャン、又は磁気共鳴画像法(MRI)による)、並びに芽球数を含む血球数を含み得る。この評価方法のリストは、非限定的であると理解されるべきである。
【0206】
次いで、疾患応答の評価から得られた結果に基づいて、疾患応答は、基礎疾患に対する標準的な基準に従って層別化し、完全奏効又は完全寛解(CR)、部分奏効(PR)、安定疾患(SD)、又は進行性疾患(PD)に分類され得る。
【0207】
別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫の治療又は予防を必要とする対象において多発性骨髄腫を治療又は予防する方法であって、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインと、ナチュラルキラー(NK)細胞マーカーに対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインとを含む、本明細書に開示される結合タンパク質を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0208】
一態様では、本開示は、多発性骨髄腫を治療又は予防することを必要とする対象において多発性骨髄腫を治療又は予防する方法であって、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインと、ナチュラルキラー(NK)細胞マーカーに対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインとを含む結合タンパク質を対象に投与することを含み、第1の抗原結合ドメインは、
a.GFTFSNFGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHCDR1配列、VIWSDETNR(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHCDR2配列、及びDQQYCSSDSCFTWFDP(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、
b.CX1SSTGX2VTPX3X4YAN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列であって、X1がR又はAであり、X2がT又はAであり、X3がS又はGであり、X4がN又はYであるLCDR1配列、DNNX5X6PP(配列番号5)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列であって、X5がS、I又はNであり、X6がR又はKであるLCDR2配列、及びALX7X8GX9QWV(配列番号6)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列であって、X7がW又はYであり、X8がF又はYであり、X9がN又はGであるLCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含む。
【0209】
特定の実施形態では、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインは、
a.GFTFSNFGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHCDR1配列、VIWSDETNR(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHCDR2配列、及びDQQYCSSDSCFTWFDP(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、
b.CX1SSTGX2VTPX3X4YAN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列であって、X1がR又はAであり、X2がT又はAであり、X3がS又はGであり、X4がN又はYであるLCDR1配列、DNNX5X6PP(配列番号5)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列であって、X5がS、I又はNであり、X6がR又はKであるLCDR2配列、及びALX7X8GX9QWV(配列番号6)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列であって、X7がW又はYであり、X8がF又はYであり、X9がN又はGであるLCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含む。
【0210】
特定の実施形態では、VL1は、
a.CASSTGTVTPSNYAN(配列番号7)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号8)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号9)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、
b.CRSSTGTVTPSNYAN(配列番号10)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号11)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号12)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、
c.CASSTGAVTPSNYAN(配列番号13)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNIKPP(配列番号14)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWYGGQWV(配列番号15)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、又は
d.CASSTGAVTPGYYAN(配列番号16)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNNKPP(配列番号17)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALYYGGQWV(配列番号18)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、を含む。
【0211】
特定の実施形態では、
a.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
b.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
c.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
d.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミ
ノ酸配列を含み、
e.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又は
f.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0212】
特定の実施形態では、
a.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、
b.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号50のアミノ酸配列を含むか、
c.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号51のアミノ酸配列を含むか、
d.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号52のアミノ酸配列を含むか、
e.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号53のアミノ酸配列を含むか、又は
f.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号54のアミノ酸配列を含む。
【0213】
特定の実施形態では、NK細胞マーカーに対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインは、
a.第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH2)であって、
i.DYVIN(配列番号80)のアミノ酸配列からなるHCDR1配列、EIYPGSGTNYYNEKFKA(配列番号81)のアミノ酸配列からなるHCDR2配列、RGRYGLYAMDY(配列番号21)のアミノ酸配列からなるHCDR3配列;
ii.SDYAWN(配列番号22)を含むHCDR1配列、YITYSGSTSYNPSLES(配列番号23)を含むHCDR2配列、及びGGYYGSSWGVFAY(配列番号24)を含むHCDR3配列;
iii.EYTMH(配列番号25)を含むHCDR1配列、GISPNIGGTSYNQKFKG(配列番号26)を含むHCDR2配列、及びRGGSFDY(配列番号27)を含むHCDR3配列;
iv.SFTMH(配列番号28)を含むHCDR1配列、YINPSSGYTEYNQKFKD(配列番号29)を含むHCDR2配列、及びGSSRGFDY(配列番号30)を含むHCDR3配列;又は
v.SDYAWN(配列番号31)を含むHCDR1配列、YITYSGSTNYNPSLKS(配列番号32)を含むHCDR2配列、及びCWDYALYAMDC(配列番号33)を含むHCDR3配列、を含む、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインと、
b.第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL2)であって、
i.RASQDISNYLN(配列番号34)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、YTSRLHS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びQQGNTRPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列;
ii.RVSENIYSYLA(配列番号37)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号38)を含むLCDR2配列、及びQHHYGTPWT(配列番号39)を含むLCDR3配列;
iii.RASQSISDYLH(配列番号40)を含むLCDR1配列、YASQSIS(配列番号41)を含むLCDR2配列、及びQNGHSFPLT(配列番号42)を含むLCDR3配列;
iv.RASENIYSNLA(配列番号43)を含むLCDR1配列、AATNLAD(配列番号44)を含むLCDR2配列、及びQHFWGTPRT(配列番号45)を含むLCDR3配列;又は
v.RTSENIYSYLA(配列番号46)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号47)を含むLCDR2配列、及びQHHYDTPLT(配列番号48)を含むLCDR3配列を含む、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインと、を含む。
【0214】
特定の実施形態では、
a.VH2は、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
b.VH2は、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
c.VH2は、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
d.VH2は、配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
e.VH2は、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
f.VH2は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
g.VH2は、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又は
h.VH2は、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0215】
特定の実施形態では、
a.VH2は配列番号56のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号64のアミノ酸配列を含むか、
b.VH2は配列番号57のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号65のアミノ酸配列を含むか、
c.VH2は配列番号58のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号66のアミノ酸配列を含むか、
d.VH2は配列番号59のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号67のアミノ酸配列を含むか、
e.VH2は配列番号60のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号68のアミノ酸配列を含むか、
f.VH2は配列番号61のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号69のアミノ酸配列を含むか、
g.VH2は配列番号62のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号70のアミノ酸配列を含むか、又は
h.VH2は配列番号63のアミノ酸配列を含むか、VL2は配列番号71のアミノ酸配列を含む。
【0216】
特定の実施形態では、本方法は、免疫グロブリンFcドメイン又はその変異体の全部又は一部を更に含む。
【0217】
特定の実施形態では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。特定の実施形態では、Fcドメイン又はその変異体は、第1のFc重鎖及び第2のFc重鎖を含む。特定の実施形態では、第1のFc重鎖又は第2のFc重鎖は、システインの対を含む。
【0218】
特定の実施形態では、対象は、本明細書中に開示されるようなNKCEによる処置の前に処置又は治療を受けたことがある。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性/難治性多発性骨髄腫である。
【0219】
軽鎖アミロイドーシスの治療方法/使用
一態様では、本開示は、軽鎖アミロイドーシス(LCA)の治療及び予防に関する。
【0220】
特定の実施形態では、本開示は、疾患及び障害、例えば、そのような処置を必要とする哺乳動物対象におけるアミロイドーシスを処置するためのキット及び方法を提供する。LCAのためのケアの現在の基準は、頻繁な臓器機能不全を伴うこの集団における耐容性のために制限されている。このように、有効且つ安全なLCAのための追加の治療薬の必要性は依然として満たされていない。
【0221】
別の態様では、本開示は、軽鎖アミロイドーシスの治療又は予防を必要とする対象において軽鎖アミロイドーシスを治療又は予防する方法であって、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインと、ナチュラルキラー(NK)細胞マーカーに対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインとを含む、本明細書に開示される結合タンパク質を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0222】
一態様では、本開示は、LCAを治療又は予防することを必要とする対象においてLCAを治療又は予防する方法であって、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインと、ナチュラルキラー(NK)細胞マーカーに対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインとを含む結合タンパク質を対象に投与することを含み、第1の抗原結合ドメインは、
a.GFTFSNFGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHCDR1配列、VIWSDETNR(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHCDR2配列、及びDQQYCSSDSCFTWFDP(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、
b.CX1SSTGX2VTPX3X4YAN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列であって、X1がR又はAであり、X2がT又はAであり、X3がS又はGであり、X4がN又はYであるLCDR1配列、DNNX5X6PP(配列番号5)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列であって、X5がS、I又はNであり、X6がR又はKであるLCDR2配列、及びALX7X8GX9QWV(配列番号6)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列であって、X7がW又はYであり、X8がF又はYであり、X9がN又はGであるLCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含む。
【0223】
特定の実施形態では、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインは、
a.GFTFSNFGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHCDR1配列、VIWSDETNR(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHCDR2配列、及びDQQYCSSDSCFTWFDP(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHCDR3配列を含む、第1の
免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、
b.CX1SSTGX2VTPX3X4YAN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列であって、X1がR又はAであり、X2がT又はAであり、X3がS又はGであり、X4がN又はYであるLCDR1配列、DNNX5X6PP(配列番号5)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列であって、X5がS、I又はNであり、X6がR又はKであるLCDR2配列、及びALX7X8GX9QWV(配列番号6)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列であって、X7がW又はYであり、X8がF又はYであり、X9がN又はGであるLCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含む。
【0224】
特定の実施形態では、VL1は、
a.CASSTGTVTPSNYAN(配列番号7)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号8)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号9)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、
b.CRSSTGTVTPSNYAN(配列番号10)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNSRPP(配列番号11)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWFGNQWV(配列番号12)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、
c.CASSTGAVTPSNYAN(配列番号13)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNIKPP(配列番号14)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALWYGGQWV(配列番号15)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、又は
d.CASSTGAVTPGYYAN(配列番号16)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、DNNNKPP(配列番号17)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びALYYGGQWV(配列番号18)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列、を含む。
【0225】
特定の実施形態では、
a.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
b.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
c.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
d.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
e.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又は
f.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0226】
特定の実施形態では、
a.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、
b.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号50のアミノ酸配列を含むか、
c.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号51のアミノ酸
配列を含むか、
d.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号52のアミノ酸配列を含むか、
e.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は配列番号53のアミノ酸配列を含むか、又は
f.VH1は、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1は、配列番号54のアミノ酸配列を含む。
【0227】
特定の実施形態では、NK細胞マーカーに対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインは、
a.第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH2)であって、
i.DYVIN(配列番号80)のアミノ酸配列からなるHCDR1配列、EIYPGSGTNYYNEKFKA(配列番号81)のアミノ酸配列からなるHCDR2配列、RGRYGLYAMDY(配列番号21)のアミノ酸配列からなるHCDR3配列;
ii.SDYAWN(配列番号22)を含むHCDR1配列、YITYSGSTSYNPSLES(配列番号23)を含むHCDR2配列、及びGGYYGSSWGVFAY(配列番号24)を含むHCDR3配列;
iii.EYTMH(配列番号25)を含むHCDR1配列、GISPNIGGTSYNQKFKG(配列番号26)を含むHCDR2配列、及びRGGSFDY(配列番号27)を含むHCDR3配列;
iv.SFTMH(配列番号28)を含むHCDR1配列、YINPSSGYTEYNQKFKD(配列番号29)を含むHCDR2配列、及びGSSRGFDY(配列番号30)を含むHCDR3配列;又は
v.SDYAWN(配列番号31)を含むHCDR1配列、YITYSGSTNYNPSLKS(配列番号32)を含むHCDR2配列、及びCWDYALYAMDC(配列番号33)を含むHCDR3配列、を含む、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインと、
b.第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL2)であって、
i.RASQDISNYLN(配列番号34)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列、YTSRLHS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列、及びQQGNTRPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列;
ii.RVSENIYSYLA(配列番号37)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号38)を含むLCDR2配列、及びQHHYGTPWT(配列番号39)を含むLCDR3配列;
iii.RASQSISDYLH(配列番号40)を含むLCDR1配列、YASQSIS(配列番号41)を含むLCDR2配列、及びQNGHSFPLT(配列番号42)を含むLCDR3配列;
iv.RASENIYSNLA(配列番号43)を含むLCDR1配列、AATNLAD(配列番号44)を含むLCDR2配列、及びQHFWGTPRT(配列番号45)を含むLCDR3配列;又は
v.RTSENIYSYLA(配列番号46)を含むLCDR1配列、NAKTLAE(配列番号47)を含むLCDR2配列、及びQHHYDTPLT(配列番号48)を含むLCDR3配列を含む、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインと、を含む。
【0228】
特定の実施形態では、
a.VH2は、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
b.VH2は、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
c.VH2は、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
d.VH2は、配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
e.VH2は、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
f.VH2は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、
g.VH2は、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むか、又は
h.VH2は、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、VL2は、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0229】
特定の実施形態では、
a.VH2は配列番号56のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号64のアミノ酸配列を含むか、
b.VH2は配列番号57のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号65のアミノ酸配列を含むか、
c.VH2は配列番号58のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号66のアミノ酸配列を含むか、
d.VH2は配列番号59のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号67のアミノ酸配列を含むか、
e.VH2は配列番号60のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号68のアミノ酸配列を含むか、
f.VH2は配列番号61のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号69のアミノ酸配列を含むか、
g.VH2は配列番号62のアミノ酸配列を含み、VL2は配列番号70のアミノ酸配列を含むか、又は
h.VH2は配列番号63のアミノ酸配列を含むか、VL2は配列番号71のアミノ酸配列を含む。
【0230】
特定の実施形態では、本方法は、免疫グロブリンFcドメイン又はその変異体の全部又は一部を更に含む。
【0231】
特定の実施形態では、Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。特定の実施形態では、Fcドメイン又はその変異体は、第1のFc重鎖及び第2のFc重鎖を含む。特定の実施形態では、第1のFc重鎖又は第2のFc重鎖は、システインの対を含む。
【0232】
特定の実施形態では、NK細胞マーカーは、NKp46、NKp30、NKp44、CD16、CD56、CD57、KIR受容体(例えば、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2及びKIR3DL3)、CD94、及びNKG2から選択される。特定の実施形態では、NK細胞マーカーは、NKp46である。
【0233】
特定の実施形態では、本方法は、軽鎖アミロイドーシスを有する対象の選択を更に含み、その選択は、
a.軽鎖アミロイドーシスを有する対象「を診断すること、
b.本明細書に開示される予後システムに基づいて疾患の病期分類を決定すること、及び/又は
c.対象が多発性骨髄腫の事前診断を受けていないと決定することを含む。
【0234】
特定の実施形態では、対象は、治療未経験である。
【0235】
特定の実施形態では、対象は、軽鎖アミロイドーシス(例えば、化学療法、自己幹細胞移植、免疫調節薬、免疫療法、プロテアソーム阻害剤及びそれらの任意の組み合わせ)のための1つ以上の治療薬を受けたことがあるか、又は受けている。特定の実施形態では、対象は、少なくとも1つのプロテアソーム阻害剤を受けたことがある。
【0236】
特定の実施形態では、LCAは、再発性/難治性LCAである。
【0237】
一態様では、本開示は、LCAの処置又は予防を必要とする対象においてLCAを処置又は予防する方法であって、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインと、NKp46に対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインとを含む結合タンパク質を対象に投与することを含み、
a.第1の抗原結合ドメインは、
i.GFTFSNFGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHCDR1配列、VIWSDETNR(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHCDR2配列、及びDQQYCSSDSCFTWFDP(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH1)と、
ii.CX1SSTGX2VTPX3X4YAN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むLCDR1配列であって、X1がR又はAであり、X2がT又はAであり、X3がS又はGであり、X4がN又はYであるLCDR1配列、DNNX5X6PP(配列番号5)のアミノ酸配列を含むLCDR2配列であって、X5がS、I又はNであり、X6がR又はKであるLCDR2配列、及びALX7X8GX9QWV(配列番号6)のアミノ酸配列を含むLCDR3配列であって、X7がW又はYであり、X8がF又はYであり、X9がN又はGであるLCDR3配列を含む、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL1)とを含み、
b.第2の抗原結合ドメインは、
i.DYVIN(配列番号19)を含むHCDR1配列、EIYPGSGTNYYNEKFKA(配列番号20)を含むHCDR2配列、及びRGRYGLYAMDY(配列番号21)を含むHCDR3配列、並びに
ii.RASQDISNYLN(配列番号34)を含むLCDR1配列、YTSRLHS(配列番号35)を含むLCDR2配列、及びQQGNTRPWT(配列番号36)を含むLCDR3配列を含む。
【0238】
一態様では、本開示は、LCAの処置又は予防を必要とする対象においてLCAを処置又は予防する方法であって、BCMAに対する結合特異性を有する第1の抗原結合ドメインと、NKp46に対する結合特異性を有する第2の抗原結合ドメインとを含む結合タンパク質を対象に投与することを含み、
a.第1の抗原結合ドメインは、
i.配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含むVH1と、
ii.配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含むVL1と、を含み、
b.第2の抗原結合ドメインは、
i.配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列を含むVH2と、
ii.配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むVL1と、
を含む。
【0239】
特定の実施形態では、結合タンパク質は、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、又は膣内投与によって投与される。特定の実施形態では、結合タンパク質は、皮下投与によって投与される。
【0240】
特定の実施形態では、Fcドメイン変異体は、ADCC活性を増強するためのCH2中のADE変異(G236/S239D/I332E)を含む。
【0241】
特定の実施形態では、Fドメイン変異体は、安定化のためのCH2中のジスルフィド結合置換(R292C/V302C)を含む。
【0242】
特定の実施形態では、Fcドメイン変異体は、Fcドメイン中のヘテロ二量体形成を促進するためのCH3中のノブ-イントゥ-ホール変異(KIH)を含む。特定の実施形態では、「ノブ」変異は、位置C482/W494にあり、「ホール」変異は、位置C129/S146/A148/V187にある。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体は、Fcドメイン中のヘテロ二量体の精製を促進するために、1つのCH3中にRF変異(H435R/Y436F)を含む。
【0243】
特定の実施形態では、疾患は、アミロイドーシス又はアミロイド疾患である。本明細書で使用される場合、「アミロイドーシス」又は「アミロイド疾患」という用語は、形質細胞障害(plasma cell dyscrasias)の範疇に入る疾患又は障害を指す。アミロイドーシス又はアミロイド疾患は、アミロイドが臓器に蓄積し、正常な生理学的機能を妨げる場合に生じる。本明細書で使用される場合、「アミロイド」という用語は、臓器及び組織に見られる異常な線維性で細胞外のタンパク質性沈着物を指す。アミロイドは通常体内には見られないが、いくつかの異なるタイプのタンパク質から形成され得る。アミロイドは、典型的には不溶性であり、βシート構造によって構造的に支配されている。影響を受ける可能性がある臓器としては、心臓、腎臓、肝臓、脾臓、神経系、皮膚及び消化管が挙げられる。「アミロイドーシス」という用語は、共通の特徴、すなわち臓器及び組織における病的な不溶性原線維タンパク質の細胞外沈着を共有する疾患のクラスターを指すために使用される。
【0244】
アミロイド疾患の顕著な特徴は、色素コンゴーレッドに結合し、色素チオフラビンTに結合したときに蛍光複屈折を示す直径約5~15nmの線維状形態を特徴とするアミロイドの産生である。線維は、プリーツ状のβシートからなるプロトフィラメントと呼ばれる二次構造を形成することができ、これにより分解に対して耐性になる。Toyama and Weissman(2011),Annu Rev Biochem,80:557-585;Picken(2020),Acta Haematol,vol.143:322-334.
【0245】
特定の実施形態では、アミロイドーシス又はアミロイド疾患は、軽鎖アミロイドーシス又はアミロイド軽鎖アミロイドーシスである。アミロイドの現在の分類は、アミロイドタンパク質のタイプに基づく。例えば、アミロイドは「A」(アミロイドの場合)と呼ばれ、その後にタンパク質型の略語が続く:AL(免疫グロブリン軽鎖由来のアミロイド)。「アミロイド軽鎖アミロイドーシス」又は「軽鎖アミロイドーシス」又は「LCA」とい
う用語は、ALアミロイドーシス、AL、ALA又はAL原発性アミロイドーシスとも呼ばれ、米国及び先進国における全身性アミロイドーシスの最も一般的な形態である。Picken(2020),Acta Haematol,vol.143:322-334.患者は、第1の症例のLCA(新たに診断されたLCA)を呈する場合があるか、又はLCAは、再発性及び/若しくは難治性(再発性/難治性LCA)であり得る。LCAは、全身性アミロイドーシスの最も一般的な形態であり、根底にある形質細胞障害に関連する。異常な形質細胞は、単一の形質細胞源に由来し、毒性フィブリル形成遊離軽鎖を分泌する。これらの形質細胞は、BCMA陽性であることが示されている(Godara et al.2019.Blood 134(Supplement _1):4409)。特定の実施形態では、LCAを有する患者は、治療未経験である。いくつかの実施形態では、LCAを有する患者は、軽鎖アミロイドーシス(例えば、化学療法、自己幹細胞移植、免疫調節薬、免疫療法、プロテアソーム阻害剤及びそれらの任意の組み合わせ)のための1つ以上の治療薬を受けたことがあるか、又は受けている。
【0246】
特定の実施形態では、Fcドメイン変異体を含む結合タンパク質を含む結合タンパク質は、いくつかの異なる用途に有用である。例えば、一実施形態では、主題の結合タンパク質は、Fcドメイン変異体の結合ドメインによって認識されるエピトープを持つ細胞を低減又は排除するために有用である。別の実施形態では、対象Fcドメイン変異体は、循環中の可溶性抗原の濃度を低下させるか又は排除するのに有効である。別の実施形態では、対象Fcドメイン変異体は、T細胞エンゲージャーとして有効である。
【0247】
別の実施形態では、Fcドメイン変異体を含むものを含む対象結合タンパク質は、異常なモノクローナルB細胞又は形質細胞に関連する疾患又は障害の治療に有用である。一実施形態では、異常なモノクローナルB細胞又は形質細胞はBCMAを発現する。
【0248】
結合タンパク質は、形質細胞障害のカテゴリー内の疾患又は障害の治療に特に有用であり得る。一実施形態では、形質細胞障害は、多発性骨髄腫ではない。一実施形態では、形質細胞障害はアミロイドーシス、例えばLCA(軽鎖アミロイドーシス、AL(原発性)アミロイドーシス、全身性アミロイドーシス、AL、又はALAとも呼ばれる)である。
【0249】
LCAは、ミスフォールドした免疫グロブリン軽鎖を産生するクローン形質細胞によって主に引き起こされる血液学的障害である。これらの異常な軽鎖は、形質細胞中で毒性凝集体を形成し、臓器及び組織中に原線維(アミロイド)を沈着させ、これにより、重大で時には永続的な臓器機能不全がもたらされる。LCAは、脳以外の任意の臓器に影響を及ぼし得る。Li et al.(2019),J Int Med Res.,47(4):1778-1786.アミロイド原性免疫グロブリン軽鎖が臓器機能不全をもたらす機序は、十分に特徴付けられていないが、アミロイド沈着物及び原線維前凝集物の両方が、根底にある臓器()に対する細胞傷害性効果をもたらす可能性が高い。原発性LCAは、多発性骨髄腫の合併症と関連も考慮もしていないLCAである。
【0250】
症状は、影響を受ける基礎臓器に依存し、一般に疾患進行の後期に認識される。LCAの初期の徴候及び症状としては、足首及び脚の腫脹;重度の疲労及び脱力感(例えば、息切れ;手又は足のしびれ、刺痛又は疼痛)、下痢又は便秘、意図しない著しい体重減少;肥大した舌、皮膚の変化(目の周りの肥厚若しくはあざができやすい、又は紫色の斑点等)、不規則な心拍、又は嚥下困難が挙げられるが、これらに限定されない。より重度のLCAの臨床的特徴としては、心臓、腎臓、肝臓、及び胃腸の関与及び/又は機能不全、並びに神経障害及び巨舌症が挙げられる。心臓病変(例えば、心不全及び不整脈)は、最も一般的なLCA症状であり、単一の最も悪い予後特徴を表す。Bianchi et al.(2021),Cardiooncology,vol.3:4.
【0251】
LCAの診断基準は、(1)全身性症候群の存在、(2)アミロイドの組織学的記録、(3)モノクローナル形質細胞障害(例えば、骨髄又は脂肪吸引物及び/又は標的生検及び血清学的パラメータに基づく)の証拠、及び(4)Ig軽鎖の同定のためのアミロイドーシス分類(例えば、LC-MS又は免疫電子顕微鏡法を介して)を含む。Koh(2020)Blood Res.,55(Suppl):S54-S57.
【0252】
LCA患者の疾患の転帰は、多段階予後システムに基づいて予測することができる。現在、4つの異なる予後モデルがある:(1)Mayo Model 2004(Dispenzieri et al.(2004),J Clin Oncol.,vol.22:3751-7);(2)Mayo Model 2012(Kumar et al.(2012),J Clin Oncol.,vol.30:989-95);(3)European Model 2015(Muchtar et al.(2019),Leukemia,vol.33:811-4);(4)Boston University Score 2019(Lilleness et al.(2019),Blood,vol.133:215-23)。Mayo Model 2012及びEuropean Model 2015は、最近の検証研究において最良の予測性能を示した。Vaxman et al.(2020)Blood Rev,40:100636.
【0253】
自家幹細胞移植(ASCT)はLCA患者にとって最も効果的な治療法である。Sanchorawala(2020),Acta Haematol,vol.143:381-387.トロポニンTレベル>0.06ng/ml又はNT-proBNPレベル>5000ng/Lが高い移植関連死亡率と関連することから、ASCT適格性の評価のために心臓バイオマーカーがしばしば試験される。Gavriatopoulou et al.(2018),Leukemia,vol.32:1183-1898.LCA患者の大部分は幹細胞移植に不適格であり、基礎となる血漿細胞を根絶するために単剤又は併用化学療法及び/又は免疫療法レジメンを受け得る。中リスク患者の標準治療は、経口メルファラン/デキサメタゾン(Mdex)、ボルテゾミブに基づくレジメン(BMDex、又はVCD)であった。しかしながら、治療に関連する死亡率は相当である(24%)。Id.迅速奏効率を達成できない患者は、第二選択治療、すなわち免疫調節薬(IMID)について考慮される。IIMIDには、サリドマイド、レナリドマイド及びポマリドマイド、並びにそれらのアルキル化剤との組み合わせが含まれる。しかしながら、免疫療法は、患者、特に心臓LCAを有する患者では忍容性が低い。Sidiqi & Gertz(2021),Blood Cancer Journal,vol.11:90.全体として、現在使用されているLCA処置レジメンは、しばしば疾患症状を増強する治療の持続的な副作用に屈することが多い患者では、患者が忍容することが困難であることが多い。Hassan and Sanchorawala(2022),Hemato,vol.3:38-46.より最近では、ダラツムマブ(抗CD38)-VCDが、フェーズ3ANDROMEDA研究(NCT03201965)に基づいて、新たに診断されたLCA患者における標準治療として承認された(Kastritis et al.2021.NEJM,385:46-58)。
【0254】
本明細書に開示されるNK細胞エンゲージャーの治療有効量は、対象において「治療応答」を誘導するのに十分な用量又は量、例えばアミロイド疾患の少なくとも1つの尺度の改善、例えば既存のアミロイド沈着物又はプラークのサイズの減少、アミロイド沈着速度の減少、又は標準的な技術によって測定される臓器機能の改善であり得る。共通の標的臓器に特異的な共通の提示徴候の例及び改善された臓器機能の例を以下に要約する。
【0255】
心臓
アミロイド沈着物の一般的に現れる徴候は、労作時呼吸困難、起座呼吸、発作性夜間呼
吸困難、下肢浮腫、胸水、頸静脈拡張、不整脈、失神、狭心症である。患者のN末端プロb型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)のレベルの低下、又は患者のニューヨーク心臓病学会(NYHA)機能分類レベルの低下は、心臓の改善の指標となり得る。Palladini et al.(2003),Circulation,vol.107:2440-2445.改善された心機能はまた、心臓トロポニン値を測定することによって、心臓MRI及び心エコー図を分析することによって評価され得る。
【0256】
腎臓
腎臓におけるアミロイド沈着の一般的な徴候は、下肢浮腫、全身浮腫、及び尿毒症である。タンパク尿又は尿中のタンパク質排出速度及び推定糸球体濾過率(eGFR)の低下は、腎機能の改善の指標となり得る。Kidney Int.Suppl(2011),vol.3(1):19-62.
【0257】
肝臓
肝臓におけるアミロイド沈着物の一般的な徴候は、右上腹部圧痛、肝腫大、腹水及び/又は乏尿である。アルカリホスファターゼ(ALP)レベル、血清y-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルの改善は、肝機能の改善の指標であり得る。高脂血症、凝固異常、血小板減少症、プロトロンビン時間(PT)、赤血球沈降速度、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び/又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、血清アルブミン及び補体断片のレベル等の他の測定基準の改善も、肝アミロイドーシスに対する特異性を欠くため、これらのパラメータを任意の治療前に評価した場合に、肝機能の改善を示すことができる。Park et al.(2003),Medicine,vol.82(5):291-298.
【0258】
GI管
胃腸(GI)管内のアミロイド沈着物の一般的に現れる症状は、運動性の喪失、胃腸出血、吸収不良、体重減少、食欲不振、嘔吐、悪心、血腫、びらん及び潰瘍、又は結節性胃炎である。改善されたGI管機能は、従来のイメージング(例えば、エコーグラフィ、コンピュータ断層撮影スキャナー、X線、内視鏡検査)を使用して評価され得る。
【0259】
神経系
神経の近傍又は神経内のアミロイド沈着物の一般的に現れる症状は、神経障害性疼痛、しびれ、及び進行した場合には脱力の症状を特徴とする感覚運動性多発神経障害である。神経系機能の改善は、神経伝導検査(NCS)、筋電図検査(EMG)、自律神経機能検査(AFT)、及び定量的副運動軸索反射検査(QSART)等の電気生理学的検査によって評価され得る。
【0260】
当業者は、日常的な実験によって、LCAを治療する目的のために、有効な非毒性量の結合タンパク質又はFcドメイン変異体が何であるかを決定することができるであろう。例えば、本開示のFcドメイン変異体を含むものを含む結合タンパク質の治療活性量は、予後判定病期分類システム、対象の年齢、性別、医学的合併症(例えば、免疫抑制状態又は疾患)及び体重、並びに対象において所望の応答を誘発する修飾抗体の能力等の因子に従って変動し得る。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整され得る。例えば、いくつかの分割用量を毎日投与してもよく、又は治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減少させてもよい。
【0261】
一般に、本開示において提供される組成物は、Fcドメイン変異体を含むものを含む、結合タンパク質による癌性細胞の標的化を可能にする抗原マーカーを含む任意の新生物を予防的又は治療的に処置するために使用され得る。
【0262】
本開示の結合タンパク質を、複数の機会に投与することができる。単回投与間の間隔は、毎週、毎月又は毎年であり得る。間隔はまた、患者における結合タンパク質又は結合抗原の血中レベルを測定することによって示されるように不規則であり得る。いくつかの方法では、投薬量は、約1~1000μg/ml、いくつかの方法では約25~300μg/mlの血漿修飾結合ポリペプチド濃度を達成するように調整される。或いは、結合タンパク質は、持続放出製剤として投与することができ、その場合、必要とされる投与頻度は少ない。抗体の場合、投薬量及び頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変化する。一般に、ヒト化抗体は最も長い半減期を示し、次いでキメラ抗体及び非ヒト抗体が続く。
【0263】
投薬量及び投与頻度は、処置が予防的であるか治療的であるかに応じて変化し得る。予防的適用において、本発明のポリペプチド又はそのカクテルを含有する組成物は、患者の耐性を高めるために、まだ疾患状態にない患者に投与される。そのような量は、「予防有効用量」であると定義される。この使用では、正確な量はやはり患者の健康状態及び一般的な免疫に依存するが、一般に、用量あたり約0.1~約25mg、特に用量あたり約0.5~約2.5mgの範囲である。長期間にわたって、比較的低頻度の間隔で、比較的低い投薬量が投与される。一部の患者は、残りの存命期間中、治療を受け続ける。治療用途では、疾患の進行が軽減若しくは終了するまで、又は患者が疾患症状の部分的若しくは完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い投薬量(例えば、約1~400mg/kgの抗体/用量であり、約5~25mgの投薬量が放射性免疫コンジュゲートのためにより一般的に使用され、より高用量が細胞毒素-薬物修飾抗体のために使用される)が必要とされることがある。その後、患者に予防的レジメンを投与することができる。
【0264】
本開示の結合タンパク質(Fc変異体を含むものを含む)は、任意に、治療(例えば、予防的又は治療的)を必要とする障害又は状態を治療するのに有効な他の薬剤と組み合わせて投与することができる。本開示の90Y標識修飾抗体の有効な単単回治療の投薬量(すなわち、治療有効量)は、約5~約75mCi、例えば約10~約40mCiの範囲である。131I修飾抗体の有効な単回治療非骨髄除去投薬量は、約5~約70mCi、又は約5~約40mCiの範囲である。131I標識抗体の有効な単回治療除去投薬量(すなわち、自家骨髄移植を必要とする場合がある)は、約30mCi~約600mCi、例えば、約50mCi~約500mCi未満の範囲である。キメラ抗体と併せて、より長い循環半減期Iマウス抗体のために、ヨウ素-131標識キメラ抗体の非骨髄除去の有効な単回治療の投薬量は、約5mCi~約40mCi、例えば、約30mCi未満の範囲である。例えば111In標識のイメージング基準は、典型的には約5mCi未満である。
【0265】
結合タンパク質は上記のように投与され得るが、他の実施形態では、ポリペプチドは第一選択療法として他の点では健康な患者に投与され得ることを強調しなければならない。そのような実施形態では、結合タンパク質は、正常又は平均的な赤骨髄予備能を有する患者並びに/又は治療を受けたことがない及び受けていない患者に投与され得る。本明細書で使用される場合、補助療法と組み合わせて又は併用してポリペプチドを投与することは、治療及び開示される抗体の連続的に、同時に、同一の広がりをもって、同時、同時発生的に又は同時に存在して投与すること又は適用することを意味する。当業者は、組み合わせた療法レジメンの様々な構成要素の投与又は適用の時間を、治療の全体的な効果を強化するために調整し得ることを理解するであろう。
【0266】
前述のように、本開示の結合タンパク質(Fc変異体を含むものを含む)、その抗体、治療用ポリペプチド又はFc変異融合ポリペプチドは、哺乳動物障害のインビボ治療のための薬学的有効量で投与され得る。これに関して、開示された結合タンパク質は、投与を容易にし、活性薬剤の安定性を促進するために製剤化されることが理解されよう。
【0267】
医薬組成物及びその投与
本開示の結合タンパク質を調製し、対象に投与する方法は、当業者に周知であるか、又は当業者によって容易に決定される。本開示の結合ポリペプチドの投与経路は、経口、非経口、吸入又は局所であり得る。本明細書で使用される場合、非経口という用語は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、又は膣内投与を含む。これらの全ての投与形態は、本開示の範囲内にあると明確に企図されるが、投与形態は、注射用、特に静脈内又は動脈内注射若しくは点滴用又は皮下投与用の溶液である。通常、注射に適した医薬組成物は、緩衝液(例えば、酢酸塩、リン酸塩又はクエン酸塩緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、任意に安定剤(例えば、ヒトアルブミン)等を含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン変異体を有害細胞集団の部位に直接送達することができ、それにより疾患組織の治療剤への曝露を増加させる。
【0268】
非経口投与のための調製物としては、無菌の水性又は非水性の溶液、懸濁液、及び乳剤が挙げられる。水性担体として、水、アルコール性/水性の溶液、エマルション、又は懸濁液(例えば、生理食塩水、及び緩衝媒体)が挙げられる。本開示の組成物及び方法では、薬学的に許容され得る担体としては、0.01~0.1M、例えば0.05Mリン酸緩衝液又は0.8%生理食塩水が挙げられるが、これらに限定されない。その他の一般的な非経口ビヒクルとしては、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は固定油が挙げられる。静脈内用ビヒクルとして、流体及び栄養補充物、電解質補充物(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)等が挙げられる。保存剤及び他の添加剤(例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス等)も存在し得る。より詳細には、注射用に好適な医薬組成物としては、無菌の水性溶液(水溶性)又は分散液、及び無菌の注射液又は分散液の即時使用調製物のための無菌の粉末が挙げられる。そのような場合、組成物は無菌でなければならず、容易に注射し得る程度に流動性である必要がある。これは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、典型的には、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用から保護される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)及びその好適な混合物を含有する、溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング材の使用によって、分散液の場合は要求される粒子径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0269】
多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムが組成物に含まれる。吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることによって、注射用組成物の長期吸収をもたらすことができる。
【0270】
いずれの場合でも、滅菌注射液を、活性化合物(例えば、本開示の結合タンパク質)を、必要に応じて、本明細書に列挙した成分の1つ又は組み合わせを含む適切な溶媒中に必要な量で組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒体及び上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射液の調製のための無菌粉末の場合は、例示的な調製方法は、活性成分と予め濾過滅菌しておいた溶液からの任意の所望の追加成分との粉末が得られる真空乾燥及び凍結乾燥を含む。注射のための調製物を、処理して、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジ、又はバイアル等の容器に充填し、当技術分野で公知の方法に従って無菌条件下で密封する。また、キットの形態で包装して販売してもよい。そのような製造品は、典型的には、関連する組成物が自己免疫障害又は新生物障害に罹患しているか、又はその素因がある対象を治療するのに有用であることを示すラベル又は添付文書を有する。
【0271】
上記の病態の治療のための本開示の組成物の有効用量は、投与の手段、標的部位、患者
の生理的状態、患者がヒトであるか又は動物であるか、投与される他の医薬品、及び治療が予防的であるか又は治療的であるかを含む、多くの異なる因子によって異なる。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物を治療することもできる。安全性及び有効性を最適化するために、当業者に公知である慣行的な方法を使用して、治療投薬量を調節してもよい。
【0272】
本開示による医薬組成物は、生理的食塩水、非毒性緩衝液、保存剤等の薬学的に許容され得る非毒性無菌担体を含むことができる。本出願の目的のために、結合タンパク質の薬学的有効量は、抗原への有効な結合を達成し、利益を達成する、例えば、疾患若しくは障害の症状を改善するため、又は物質若しくは細胞を検出するために十分な量を意味するように保持されるものとする。腫瘍細胞の場合、ポリペプチドは、新生物細胞又は免疫反応性細胞上の選択された抗原と相互作用し、それらの細胞の死を増加させることができる。当然のことながら、本開示の医薬組成物は、薬学的有効量の修飾結合ポリペプチドを提供するために単回又は複数回用量で投与され得る。
【0273】
本開示の範囲に従って、本開示の結合タンパク質は、治療効果又は予防効果をもたらすのに十分な量で、上述の治療方法に従ってヒト又は他の動物に投与され得る。本開示の結合タンパク質を、公知の技術に従って、本開示の抗体を従来の薬学的に許容され得る担体又は希釈剤と組み合わせることによって調製された従来の剤形で、そのようなヒト又は他の動物に投与することができる。薬学的に許容され得る担体又は希釈剤の形態及び特徴は、それと組み合わせる活性成分の量、投与経路及び他の周知の可変因子によって決定されることが当業者によって認識されるであろう。当業者は、本開示に記載される結合ポリペプチドの1つ以上の種を含むカクテルが特に有効であることが判明し得ることを更に理解するであろう。
【0274】
論文、特許、及び特許出願、並びに本明細書で言及又は引用される他の全ての文書及び電子的に利用可能な情報の内容は、あたかも各個々の刊行物が具体的且つ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、そのような物品、特許、特許出願、又は他の物理的及び電子的文書からのありとあらゆる材料及び情報を本出願に物理的に組み込む権利を留保する。
【0275】
本開示をその特定の実施形態を参照して説明してきたが、本開示の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、同等物を置き換える得ることが当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示される実施形態の範囲から逸脱することなく、適切な同等物を使用して、本明細書に記載される方法の他の適切な修正及び適合を行い得ることは、当業者には容易に明らかであろう。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスス工程又は工程を本開示の目的、趣旨及び範囲に適合させるために、多くの修正を行ってもよい。そのような修正はいずれも、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。ここで特定の実施形態を詳細に説明したが、これは、例示のみを目的として含まれ、限定することを意図するものではない以下の実施例を参照することによってより明確に理解されるであろう。
【実施例0276】
本開示は、更なる限定として解釈されるべきではない以下の例によって更に説明される。
【0277】
実施例1:NKp46-BCMA NKCE結合タンパク質の設計
序論
今日まで、抗腫瘍療法はエフェクターT細胞の操作に焦点を当ててきた。T細胞エンゲージャーフォーマットは臨床開発中であるが、潜在的な毒性のためにそれらの使用は血液
疾患に限定されている。対照的に、NKCEを介した癌におけるNK細胞の操作は、エフェクターT細胞と比較した場合、NK細胞の抗腫瘍エフェクター潜在性のために治療的代替法であるが、好ましい毒性プロファイルである。図1Aは、腫瘍細胞の表面の抗原に対する一方のアーム及びNK細胞上のNKp46受容体に対する他方のアームと結合するNKp46 NKCEを図式化している。
【0278】
図1Bに示されるようなユニークなFcフォーマット(すなわち、NKp46-BCMA_CODV-OL1_Fc-ADE-DSB)で操作されたNKp46 NKCEは、腫瘍細胞の表面でBCMAと係合し、同時にNKp46及びFcγ受容体、CD16aの両方とエンゲージする。ADCC活性は、その新規な強化型Fcコンピテントフォーマットで誘導される。新規な強化型Fcコンピテントフォーマット(以下「CODV-OL1-ADE-DSB」と呼ぶ)は、以下を含む:(1)ADCC活性を増強するためのCH2におけるADE変異(G236A/S239D/I332E);(2)熱安定化のためのCH2中のDSB(R292C/V302C);(3)Fc-(3a)ノブ(VH/VLドメインを含有する重鎖)におけるヘテロ二量体形成を促進するためのCH3のノブ-イントゥ-ホール変異(KIH):S354C/T366W及び(3b)ホール(VH/VLドメインを欠く重鎖):Y349C/T366S/L368A/Y407V;並びに(4)Fc中のヘテロ二量体の精製を促進するための1つのCH3中のRF変異異(H435R/Y436F)。このNKp46-BCMA NKCE_Fc CODV-OL1-ADE-DSBは、軽鎖に2つのリンカーGGGGSGGGGSを含み、1つは、VL抗BCMAとVL抗NKp46との間であり、VL NKp46とCLとの間である。
【0279】
材料及び方法-ヒト組換えタンパク質、クローニング、生産、精製
組換えヒトNKp46-クローニング、産生、及び精製
ヒトNKp46(Gln22-Asn255、NCBI参照:NM_004829.5)の細胞外ドメイン(ECD)をコードする配列を発現ベクターに挿入し、精製のためにC末端6×Hisタグを付加した。以下のプライマーをヒトPBMCに対するPCRに使用した:5’TACGACTCACAAGCTTGCCGCCACCATGTCTTCCACACTCCCTGC3’(配列番号107)及び5’CCGCCCCGACTCTAGATCAATGGTGATGGTGGTGATGATTCTGGGCAGTGTGATCCC3’(配列番号108)。アンプリコンの配列を確認した。次いで、ベクターを使用してCHO細胞株をトランスフェクトし、タンパク質を産生するクローンを選択した。タンパク質をNi-NTAビーズ(Qiagen、#1018244)で培養上清から精製し、S200サイズ排除クロマトグラフィーを実施して凝集体の除去を確実にした後、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた結合速度論の下流の質問の特性評価を行った。
【0280】
カニクイザルNKp46のECDをコードする配列(Pro22-Asn254、NP_001271509.1)を発現ベクターにクローニングし、精製のためにC末端Flag-M2タグを付加した。カニクイザルPBMCから予想される配列を増幅するために使用したプライマーは以下の通りであった:5’TACGACTCACAAGCTTGCCGCCACCATGTCTTCCACACTCCGTGC3’(配列番号109)及び5’CCGCCCCGACTCTAGATCACTTGTCATCGTCATCTTTGTAATCATTCTGGGCAGTGTGGTCC3’(配列番号110)。配列検証後、ベクターを使用してCHO-K1SV細胞株をトランスフェクトし、産生細胞クローンを選択した。最初の3つのバッチをM2アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。ビーズを、組換えタンパク質を含有する上清と共に一晩インキュベートした。次いで、ビーズをPBS1Xで洗浄し、溶出をPBS1X中150ng/μlの溶出ペプチドで行った。次いで、タンパク質をPBS 1倍に対して透析する。次のバッチを、製造者の説明書(GEヘルスケア、#20381、バッチQB213815)に従って、抗NKp46抗体をAminoLinkカップリング樹脂にカップリングさせることによるア
フィニティークロマトグラフィーによって精製した。次いで、ビーズを、組換えタンパク質を含有する上清と共に一晩インキュベートした。次いで、ビーズをPBS 1倍で洗浄し、グリシン0.1M pH2.5を用いて溶出を行った。次いで、タンパク質をTBS緩衝液pH7.5に対して透析し、濃縮して、Superdex 200 Increase 10/300 GLカラムで分取サイズ排除クロマトグラフィーを行う。
【0281】
組換えヒトBCMA-クローニング、産生、及び精製
組換えヒトBCMA(TNFRSF17)の作製のために、ジフテリア毒素断片A(DTA)及びHis6精製タグに融合したヒトBCMAの細胞外ドメインをコードする合成HEK293コドン最適化DNA断片をAtum(Newark,CA,USA)から注文した。次いで、合成DNA断片を、Gateway(登録商標)Cloning技術(Life Technologies-ThermoFisher Scientific,)を使用してpTT5哺乳動物発現ベクターにクローニングして、哺乳動物細胞における異種発現のための組換えプラスミドを作製した。
【0282】
Expi293F細胞(ThermoFisher)を、市販のプロトコルを使用してプラスミドDNAでトランスフェクトした。細胞を6日間の成長後に回収し、馴化培地(CM)を遠心分離によって採取した。タンパク質を、Ni-NTAアガロース(Qiagen)を使用して精製した。樹脂を、1000×gで5分間回転させ、毎回新鮮なPBSをデカント/添加することによって、PBS pH7.2中で3回平衡化した。平衡樹脂をCMと共にローラーボトルに添加し、室温で1時間回転させた。200mlの馴化培地ごとに1mlの樹脂を使用した。インキュベーション後、CM/樹脂スラリーを重力落下カラムに注ぎ、10CVのPBS(pH7.2)で洗浄した。PBS中の10CVの600mMイミダゾールでタンパク質を溶出した。溶出液をPBS pH7.2に緩衝液交換し、Amicon Ultra-15遠心フィルター(Millipore)を用いて濃縮した。分取SECは、PBS中で実行されるSuperdex 200(16/60)カラム(Cytiva Life Sciences)を使用して実施した。最終試料をプールし、PBS中で5mg/ml超の最終濃度に濃縮した。
【0283】
CODV-OL1分子-産生及び精製
対応するコンストラクトの異なる鎖をコードする発現プラスミドを大腸菌(E.coli)DH5aで増殖させた。トランスフェクションに使用したプラスミドを、EndoFree Plasmid Megaキット(Qiagen)を用いて大腸菌(E.coli)から調製した。
【0284】
F17無血清懸濁培養 Invitrogen)で成長するHEK 293-FS細胞を、ポリエチレンイミントランスフェクション試薬を使用して示されたプラスミドでトランスフェクトした。8%CO2で37℃で6日間培養した後、遠心分離によって細胞を除去し、上清を0.22μmフィルタに通して粒子を除去した。
【0285】
タンパク質をMabSelect SuRe(Cytiva)で捕捉し、0.1Mクエン酸緩衝液pH3.0で溶出し、1M Tris pH9で中和した。Superdex200 26/60(Cytiva)及び0.22μm濾過及びUV280濃度決定を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってタンパク質を研磨した後、タンパク質を更なる特性評価に使用した。
【0286】
組換え対照試料
以下に列挙するヒト及びカニクイザルの組換えタンパク質を、以前に記載された通りに(LG Cell 2019)、Innate Pharmaにおいて産生及び精製した:ヒトNKp46(Gln22-Asn255、NCBI参照:NM_004829.5
)、ヒト新生児Fc受容体(FcRn、NCBI参照番号:P55899)、ヒトCD16a(ヒトFcγRIIIA V及びFアイソフォーム、NCBI参照:AAH36723)、ヒトCD32a(ヒトFcγRIIA、NCBI参照:AAH20823)、ヒトCD32b(ヒトFcγRIIB、NCBI参照:NP_003992)、ヒトCD16b(ヒトFcgRIIIB、NCBI参照:AAI28563)、ヒトCD64(ヒトFcγRI、NCBI参照:P12314)、カニクイザルNKp46(Gln17-Asn254、NP_001271509.1)、カニクイザルFcRn(NCBI参照:Q8SPV9)、カニクイザルCD16(NCBI参照番号:NP_001270121.1)、カニクイザルCD32a(NCBI参照番号:NP_001270598.1)、カニクイザルCD32b(NCBI参照番号:NP_001271060.1)及びカニクイザルCD64(NCBI参照:AAL92095.1)。組換えヒトBCMAを、ACRO Biosystemsから購入した。
【0287】
【表1】
【0288】
実施例2:骨髄性骨髄腫細胞株のパネル上のBCMA受容体密度の決定
序論
B細胞成熟抗原(BCMA)発現は、多発性骨髄腫(MM)患者における悪性形質細胞の同定のためのマーカーとして提案されている。ほぼ全てのMM腫瘍細胞がBCMAを発現するが、正常な組織発現は形質細胞及び成熟B細胞のサブセットに限定される。Friedman et al.(2018)Hum Gene Ther.29(5):585-601.細胞あたりのBCMA分子の数を決定するために、フローサイトメトリーに基づくBCMA受容体アッセイを使用して、BCMA表面発現を定量し、続いて、BCMA抗体の下流分析に適した選択肢となるMM細胞株を選択した。
【0289】
この研究で使用したMM細胞株のリストを以下の表2に示す。
【0290】
【表2】
【0291】
材料及び方法-フローサイトメトリーによってMM細胞株表面上のBCMA発現に対する抗原結合能を決定するための分析手順。
実験セットアップ
BCMA密度測定のために、CELLQUANT Calibrator(Biocytex、参照:7208)を使用した。最初に、200,000個のMM細胞(全ての試験した細胞株について以下のリストを参照)を、100mLの試薬1中の96ウェル丸底プレート(TPP、Trasadingen、参照92097)に、1倍(蒸留水中で1/10に希釈)+10mLのFcRブロッキング試薬、ヒト(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、参照130-059-901)に、4℃で15分間播種した。
【0292】
次いで、上清を除去する前に、MM細胞を300gで5分間スピンダウンした。10mg/mLのマウス抗ヒトBCMA抗体50mLを添加した後、4℃で30分間インキュベートした(BD BioLegend、クローン19F2 ref 357502、0.5mg/mLのストック濃度、5mLの抗BCMAを245mLの試薬1と1倍で混合することによる1/50の希釈)。
【0293】
対照アイソタイプの場合、50mLの精製マウスIgG2aカッパアイソタイプ対照10mg/mLを代わりに添加した後、4℃で30分間インキュベートした(BD BioLegend、参照番号400201、ストック濃度0.5mg/mL、5mLのIgG2aを245mLの試薬1と1倍で混合することによる1/50の希釈)。
【0294】
ウェルに200mLの試薬1を1倍で添加し、続いて4℃で1分間、2000rpmで遠心分離することによって、2回の連続洗浄工程を実施した。上清を除去した後、細胞を事前に1倍の試薬1で1/10に希釈した50mLの抗マウスIgG FITC二次抗体(15mL使用の場合、Biocytexキットの試薬3、参照番号7208、1.5mL試薬3+13.5mL試薬1)に再懸濁した。較正ビーズを含む50mLを較正専用のウェル(Biocytexキットの試薬2)に添加し、5mLの試薬3を細胞と同じ染色
条件になるように較正ウェル(希釈せず)に最後に添加した。次いで、96ウェルプレートを4℃で20分間インキュベートし、光から保護した。
【0295】
ウェルに200mLの試薬1を1倍で添加し、続いて4℃で1分間、2000rpmで遠心分離することによって、3回の連続洗浄工程を実施した。上清を除去した後、細胞を100mLの冷PBSに再懸濁した後、MACSQuant Analyzer 10又はMACSQuant VYB(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach)で読み取った。
【0296】
取得を、FITC染色のためのB1チャネル及びDAPI染色のためのV1チャネル(細胞生存マーカー)で行う。
【0297】
BCMA密度の算出
FITC蛍光に基づいてMM細胞株上のBCMA密度を決定するために、較正ビーズ情報を使用して、以下の表3に示すような線形較正曲線を作成した。
【0298】
【表3】
【0299】
分析のため、細胞あたりのBCMA密度を以下の式を使用して計算した。
BCMA密度=10(log(FITC BCMA)×a+b)-10(log(FITCアイソタイプ)×a+b)
【0300】
結果
MM細胞株のパネルでの細胞あたりのBCMA密度の計算は、パネルで使用される他のMM細胞株と比較して、EJM細胞株が最も高いレベルのBCMA密度を有し、MM1S細胞株が細胞表面で最も低いレベルのBCMA密度を有することを明らかにした。図2は、1細胞あたりのBCMA密度の高い順にMM細胞株のランキングを示す。これらの結果に基づいて、MM細胞に対するBCMAに対するNKp46-BCMA_Fc結合親和性及び細胞溶解活性を調べる下流の研究に使用するために、細胞株を選択した。特に、RPMI 8226は、約2000部位/細胞のBCMA密度を有し、これは多発性骨髄腫細胞における平均に近い。MM1Sは、約800部位/細胞のBCMA密度を有し、これは、健康な形質細胞におけるBCMA発現のレベルにほぼ対応する。MM1Rは、約5500部位/細胞のBCMA密度を有し、本開示の結合タンパク質の効率を高発現レベルで決定するのに有用である。
【0301】
実施例3:NKp46-BCMA Fcフォーマット変異体の結合特性評価
序論
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEをRPMI細胞に対して滴定して、MM腫瘍細胞並びにドナーNK細胞への結合についてのK値を決定した。その後、FcRn並びにCD16a受容体の2つの変異体に対する親和性を確認するために、NKp46-BCMA-NKCEの異なるFcフォーマット変異体をSPRによって試験した。
【0302】
材料及び方法
細胞
RPMI 8226多発性骨髄腫細胞株を、ATCCで購入した。細胞を完全RPMI培地(10%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム及び1×非必須アミノ酸を含有するRPMI-1640)中で培養した。
【0303】
滴定アッセイ
休止期NK細胞及びRPMI 8226細胞(1.10細胞/ウェル)を、それぞれ225μg/mL及び500μg/mLから始まる非コンジュゲート化分子の1/10段階希釈範囲を有するU底96ウェルプレートで1時間染色した。二次抗体による染色を、ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ断片特異的PE(Jackson Immunoresearch 109-116-170)を用いて行った。染色後、細胞をBD Cellfixに再懸濁し、フローサイトメトリーによって分析した。パラメータを記録し、FlowJoソフトウェアで分析した。染色EC50値を、4パラメータロジスティクス非線形回帰モデルを使用してGraphPadプリズムを用いて計算した。
【0304】
SPR結合実験-CD16a
CD16aによる結合親和性測定のために、HBS-EP+緩衝液(Cytiva、Uppsala、カタログ番号BR1006-69)を、100mLの10×HBS-EP+緩衝液を900mLの精製水と混合することによって調製した。
【0305】
ヒトCD16aタンパク質の親和性捕捉を、His捕捉キット(Cytiva、Uppsala、カタログ番号28995056)を使用して達成した。抗His捕捉抗体をランニング緩衝液で1:20に希釈し、標準アミンカップリングを使用してCM5チップ(Cytiva、Uppsala、カタログ番号29149603)にカップリングさせ、アミンカップリングキット(Cytiva、Uppsala、カタログ番号BR-100-50)を使用しておよそ8000の応答単位(RU)を得た。
【0306】
HBS-EP+アッセイ緩衝液中の二重特異性抗体の10段階1:1希釈液を、5.8nmol/L、11.7nmol/L、23.4nmol/L、46.8nmol/L、93.75nmol/L、187.5nmol/L、375nmol/L、750nmol/L、1500nmol/L及び3000nmol/Lの濃度に調製した。CD16a(V/F)タンパク質をHBS-EP+緩衝液で0.1ng/mLの濃度に希釈し、この濃度で実験に使用した。CD16a(V176)及びCD16a(V176F)をそれぞれフローセル2及び4上で10μL/分の流速で30秒間捕捉して、およそ30RUの最大応答(Rmax)値を得た。
【0307】
測定を、多サイクル動力学実験で行った。各マルチサイクル実験において、CD16aを、シリーズS CM5センサーチップ(ヒト抗体捕捉キット、Cytiva、Uppsala、カタログ番号BR1008-39)に固定化された抗His抗体を介して捕捉した。HBS-EP+緩衝液に希釈した二重特異性抗体を、5.8nmol/L~3000
nmol/Lの1:1希釈系列で120秒間、30μL/分の流速で注入し、続いて120秒間解離相を注入した。二重参照のために、全ての分析物濃度を複数の緩衝液ブランクと共に2連で実行した。捕捉表面の再生を、再生溶液(10mmol/LグリシンpH1.5)の2回の連続注入を用いて30μL/分で30秒間行った。Biacore T200 Evaluation Softwareバージョン3.0(Cytiva、Uppsala)を用いて、測定した抗体濃度に対するSPR応答の定常状態適合を用いて、ヒトCD16aに対する二重特異性抗体の結合親和性(KD値)を評価した。
【0308】
SPR結合実験-huNKp 46及びBCMA
huNKp46及びBCMAによる結合親和性測定のために、ヒトNKp46(濃度範囲50nM~0.1nM)、カニクイザルNKp46(濃度範囲50nM~0.1nM)、ヒトBCMA(濃度範囲50nM~0.1nM)及びカニクイザルBCMA(PPB-17990;50nM~0.1nMの濃度範囲)の連続二倍希釈物をHBS-EP+アッセイ緩衝液中で調製した。
【0309】
mAb試料(FF-20-1319-1、FF-20-1320-1、FF-20-1634-1、FF-20-1635-1、EFF-20-106-1、EFF-20-107-1)の親和性捕捉を、ヒト抗体捕捉キット(Cytiva、Uppsala、カタログ番号BR1008-39)を製造者の説明書に従って使用して達成した。抗Fc捕捉抗体をランニング緩衝液で1:20に希釈し、標準アミンカップリングを使用してCM5チップ(Cytiva、Uppsala、カタログ番号29149603)にカップリングさせ、アミンカップリングキット(Cytiva、Uppsala、カタログ番号BR-100-50)を使用しておよそ8000の応答単位(RU)を得た。
【0310】
抗体をHBS-EP+緩衝液で0.1~0.4μg/mLの濃度に希釈し、この濃度で実験に使用した。抗体を10μL/分の流速で120秒間捕捉して、およそ30RUの最大応答(Rmax)値を得た。
【0311】
Biacore 8K装置を使用して、各抗体の多サイクル動態実験で測定を行った。各マルチサイクル実験において、抗体を、シリーズS CM5センサーチップ(ヒト抗体捕捉キット、Cytiva、Uppsala、カタログ番号BR1008-39)に固定化された抗hum Fc抗体を介して捕捉した。
【0312】
上記のように希釈した抗原(濃度範囲0.1nM~50nM)を、60μL/分の流速で240秒間注入し、続いて400秒間の解離相を注入した。二重参照のために、全ての分析物濃度を複数の緩衝液ブランクと共に2連で実行した。捕捉面の再生を、再生液(3mol/L MgCl2)を用いて30μL/分で60秒行った。物質移行制限を伴う1:1結合モデルを使用して、Biacore 8K評価ソフトウェアバージョン1.1.1.7442を用いて結合速度論データを評価した。
【0313】
結果
RPMI細胞及びドナーNK細胞上のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの滴定は、図3A及び図3Bに示すように、ADCCを増強したFcフォーマットのNKp46-BCMAが依然としてNKp46及びBCMA標的に対する親和性を保持していることを実証した。
【0314】
NKp46-BCMA-NKCEの12の異なるFcフォーマットのより大きなパネルでのSPR結合分析により、図4及び図5にそれぞれ示すように、CD16a及びFcRnに対する親和性が確認された。特に、全てのADCC増強分子は、図4に示すように、CD16(V176)及び(F176)変異体に対する結合の増加を実証した。
【0315】
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEについて、NKp46(ヒト及びカニクイザル)、BCMA(ヒト及びカニクイザル)、及びFcγRに対する結合速度も計算し、結果を以下の表4、5、及び6に示す。
【0316】
【表4】
【0317】
【表5】
【0318】
【表6】
【0319】
実施例4:Fc操作NKp46-BCMA NKCEは増強されたインビトロ細胞細胞傷害活性を実証する
序論
増強されたADCC(Fc-DE、Fc-DE-DSB、Fc-ADE、Fc-ADE-DSB)又は増強されていないADCC(NKp46-BCMA_Fc)のいずれかを有する、異なるFcフォーマットで操作されたNKp46-BCMA NKCEを、NKドナー細胞の存在下でMM腫瘍細胞の溶解を促進する能力について、並びに潜在的なオフターゲットNK細胞毒性の評価について評価した。さらに、NKp46-BCMA NKCEを抗BCMA抗体対照と比較して、それらのMM腫瘍死滅能を評価した。
【0320】
材料及び方法
細胞
ヒトNK細胞.健康なヒトのバフィーコートはEtablissement Francais du Sang(EFS、フランスの血液サービス、Marseille;AC-2019-3428)によって提供された。末梢単核細胞(PBMC)を、Ficoll密度勾配遠心分離によってバフィーコートから単離した。ヒトNK細胞を、STEMCELL Technologies又はMiltenyi Biotecのビーズベースの陰性選択キットを用いてPBMCから精製した。
MM細胞株.RPMI 8226及びMM1.S多発性骨髄腫細胞株を、ATCCで購入した。細胞を完全RPMI培地(10%FBS、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム及び1×非必須アミノ酸を含有するRPMI-1640)中で培養した。
【0321】
NK細胞に基づく細胞傷害性アッセイ
MM細胞株に対して行われる細胞傷害性アッセイのために、標的細胞にCr-51を交互に負荷した。実験に応じて5、10又は15μg/mLから始めて、試験項目及び対照項目について1/10段階希釈範囲を実施した。試験した分子、標識された標的細胞(約3,000個の細胞)及び健常ドナー(新鮮又は一晩放置)由来のヒトNK細胞(約30,000個の細胞)を、丸底96ウェルプレートの各ウェルに連続的に添加して、10:1(E:T)の比を得た。4時間の共インキュベーション後、上清をLumaplate(Cr-51用)に移した。Cr-51に基づく細胞傷害性アッセイでは、死んだ標的細胞から放出されたCr-51をTopCount NXT(Microplate Scintillation及びLuminescence Counter;Perkin
Elmer)で測定した。各ウェルについて60秒間のγ放出をカウントすることによって、放射能を測定した。結果を、cpm=毎分のカウントで表す。特異的溶解パーセントを、以下の式を用いて計算した:
特異的溶解(%)=(ER(cpm)-SR(cpm))/(MR(cpm)-SR(cpm))×100
式中、ER=実験的放出、SR=自発的放出及びMR=最大放出である。
【0322】
Graphpad Prism Softwareを用いて適切な非線形回帰曲線(「log(アゴニスト)対応答-可変勾配(4つのパラメータ)」モデルの選択)を描くことによって、各分子についてEC50を決定した。
【0323】
結果
図6に示すように、ADCCを増強したFcフォーマット(Fc-DE、Fc-DE-DSB、Fc-ADE、Fc-ADE-DSB)において操作されたNKp46-BCMA NKCEは、非増強ADCCフォーマットNKp46-BCMA_Fcよりも効果的にNK細胞媒介性MM腫瘍細胞傷害活性を促進した。細胞傷害活性は、分子を安定化するDSBの導入によって損なわれなかった。図7及び図8に示すように、NK細胞エフェクターの存在下でのNKp46-IC_Fc-ADE及びNKp46-BCMA_Fcの両方がMM腫瘍細胞死を、IgG1フォーマットの抗BCMA抗体(BCMA_IgG1)又は脱フコシル化IgG1フォーマットの抗BCMA抗体(参照-1)と同様のレベルまで、又は優れた細胞傷害活性で媒介した。
【0324】
NKp46-IC_Fc-ADE及びNKp46-BCMA_Fcの両方が、NK細胞の存在下でMM腫瘍細胞に対して優れた細胞傷害活性を有したが、フラトリサイド(fratricidal)NK細胞死滅は観察されず、NKp46-BCMA NKCEが潜在的な毒性オフターゲット効果を誘導しないことを示している(図9)。
MM患者の血清中の可溶性BCMAの存在が記載されている。Hipp et al.(2017)Leukemia 31:1743-1751.MM細胞及びNK細胞共培養物を用いた細胞傷害性アッセイにおいて漸増濃度で滴定した可溶性BCMAは、可溶性BCMAが、NKp46-BCMA NKCEの効力にわずかに影響したが、図10に示すように、MM細胞溶解の最大レベルには影響しなかったことを実証している。
【0325】
実施例5:指標としてカルセイン放出を使用するインビトロ細胞傷害性アッセイ
材料及び方法
全血試料:EFS Ile de FranceとSanofi-Aventis Recherche et Developpementとの間で確立された合意N 12/EFS/131に記載されている「terms & conditions」に従って、EFS Ile de Franceから供給された健康なドナーの全血試料から新鮮なヒト末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。
【0326】
全血からのヒトPBMCの単離:ヒトPBMCを、密度勾配遠心分離によって健康なドナー(HD)の全血から単離した。
【0327】
全血を血液バッグから回収し、40mLの滅菌リン酸緩衝液(PBS)で希釈した。15 mLのFicoll-Paque Plus Cytiva(Sigma Aldrich、参照番号17-1440-02)を4本のsepMate-50チューブの中央に分注した(Stemcell ref#85450)。次いで、80mLの希釈血液を、Ficoll溶液(20ml/チューブ)を含む各sepMate-50チューブの縁に穏やかに加えた。管を1200gで20分間、室温(RT)でブレーキなしで遠心分離した。4つのバフィーコート層を回収し、2つの50mLチューブに採取した。白血球溶液を、最終容量50mLまでの滅菌PBSで完成させた。2本の管を、ブレーキをかけながら室温で10分間、400gで2回(各遠心分離の間に、上清を捨て、50mLのPBSを添加した)遠心分離した。最後の遠心分離後、ペレットを混合し、10%ウシ胎児血
清(FBS)及び2mM L-グルタミンを補充したRPMI1640培地(完全培養培地)によって体積を10mLに完成させた。総生存PBMC数を、Vicell XR計数(Beckman Coulter細胞計数器)によって定義した。
【0328】
NK細胞の採取:ヒトNK細胞を、供給者の推奨に従ってMACSxpress(登録商標)Whole Blood NK Cell Isolation Kit(Miltenyi)を使用してPBMCから精製した。次いで、NK細胞を、活性化アッセイに使用する前に、+37℃、5%CO2で、5×106細胞/mLの完全培地で一晩培養した(いわゆる「休止期」NK細胞)。1×10個の細胞を放置して、フローサイトメトリーによってそれらのNKp46及びCD16の発現を評価した。
【0329】
細胞株:RPMI8226(ATCC CCL-155)、MM.1R(ATCC CRL-2975)及びMM.1S(ATCC CRL-2974)細胞は、多発性骨髄腫細胞株(形質細胞腫)である。それらは主に懸濁液中で成長するが、一部の細胞は接着性に成長し得る(場合によっては最大50%)。維持のために、細胞を新鮮な完全培地に0.3×10細胞/mLで3日間又は4日間再懸濁した。
【0330】
ストック溶液:各抗体のストック溶液をPBS中に4℃で保存した。アッセイの日に、産物をボルテックスして潜在的な凝集物を除去した後、カスケード希釈した。200nM(2倍濃縮)~0.02pM(1/10段階希釈)の希釈範囲を完全培養培地で実施した。
【0331】
これらの連続希釈物のうち、細胞懸濁液(50μlのBCMA+RPMI8226標的細胞及び50μlのNK)を含有する各ウェルに100μLを添加して、100、10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001nMの最終濃度を得た。組合せ抗体(NKp46又はCD16に結合しない)の条件については、第1の濃度を4倍濃縮し、50μlのNKp46-BCMA-Fc ADE-DSBを試験した他の抗体の同じ濃度に到達させた。
【0332】
細胞傷害性アッセイ:BCMA+RPMI8226(又はMM.1R又はMM.1S)標的細胞をアッセイの当日に計数し、実験に必要な細胞の量を評価した(5000細胞/ウェル)。1×10/mlの濃度の標的細胞を、25μlのDMSO中で予め再構成した10μlのカルセイン-AM(50μg)を含有する4mlの完全培地に再懸濁した。標識細胞を、5%CO2(二酸化炭素)の存在下、37℃で30分間インキュベートした。
【0333】
抗体連続希釈液を調製し、U底96ウェルプレート(100μl/ウェル)に添加した(Corning(登録商標)Costar(登録商標)超低接着多重96ウェルプレート;Thermo Scientific)。
【0334】
標的細胞を5mlの完全培地で3回洗浄した(毎回洗浄した後、300gを5分間遠心分離し、上清を廃棄した)。プロベネシド(4倍濃縮)を含有する完全培地(ThermoFisher Scientific)で最終洗浄を行った。標的細胞を計数し、5000細胞/50μl/ウェルで播種した。最後に、10:1のE/T比のNK細胞を標的細胞及び抗体の懸濁液に添加した。対照として、標的細胞単独及びNKを有するが抗体を含まない標的細胞を添加した。さらに、最大の標的細胞死に達するために、2%のTriton Xを考慮した。各条件を二連で実施した。培養プレートを5%CO2の存在下、37℃で4時間インキュベートし、その最後に100μlの上清を採取し、黒色の96ウェルマイクロプレートの平底Med結合に移して、TECAN 1000Proマシンで死標的細胞からのカルセイン放出を評価した。
【0335】
データ分析:抗体の濃度をmg/mlからMに変換するために、以下の式を使用した:濃度(mg/ml)/分子量(Da)=モル濃度(M)
死滅分析のため、特異的溶解パーセントを以下の式を使用して計算した。
細胞傷害性%=[(ER-SR)×100/(MR-SR)]
ER=実験的放出(標的細胞+NK+[抗体])
SR=自発的放出(標的細胞のみ)
MR=最大放出(標的細胞+2%Triton X)
【0336】
統計分析:分析を、GraphPad prism 9.1.2を用いて行った。溶解値の上限は、観察された最大溶解(重複値の平均)に対応していた。Ratkowsky
and Reedyに従って、最大半量有効濃度(EC50)値をpMで表し、4パラメータロジスティクス非線形回帰モデルを使用して計算した。
【0337】
結果
NK細胞活性化を、NK細胞によるRPMI 8226細胞の%特異的溶解及び以下のいずれかを測定することによって決定した:NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB、これはNKp46及びCD16aの両方と係合する;NKp46-BCMA-Fcインコンピテント-DSB(NKp46のみに結合する分子);X-BCMA-ADE-DSB(CD16aのみに結合する分子);NKp46のみの結合剤とCD16aのみの結合剤又はアイソタイプ対照抗体との組合せ(NK細胞上ではなく腫瘍細胞上のBCMAにのみ結合するX-BCMA-Fcインコンピテント-DSB、及び腫瘍細胞上ではなくNK細胞上のNKp46及びCD16aに結合するNKp46-X-ADE-DSB)。他の4つの抗体と単一の標的化剤との組み合わせと比較して、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで最適なNK細胞活性化が起こり、(1)NKp46及びCD16aの二重標的化が、単一の係合よりも高い腫瘍細胞死滅における効力及び有効性をもたらすこと、並びに(2)最適化された効力のためにNKp46アーム及びCD16aアームを同じ分子上に有することの重要性を示した(図11)。
【0338】
さらに、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの高い効力は、低レベルのBCMA(例えば、MM1S細胞)を発現するMM細胞モデルにおいてさえ、腫瘍細胞死滅における強い効率を可能にすることが見出された(図12)。
【0339】
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBも、増強されたADCC特徴を有する抗BCMAモノクローナル抗体と比較した(例えば、脱フコシル化抗BCMA抗体)。NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBは、RPMI 8226細胞及びMM1S細胞の両方において、脱フコシル化抗BCMA抗体と比較した場合、同等の最大溶解及びより良好な効力を実証した(図13)。
【0340】
実施例6:Fc操作NKp46-BCMA NKCEは強力且つ特異的なインビボ抗腫瘍活性を実証する
序論
腫瘍細胞に対するNKp46-BCMA NKCEのインビボ有効性を評価するために、CD16を発現しない異種移植マウスモデルを確立した。図14Aは、異種移植マウスモデルにおけるインビボNKp46-BCMA_Fc抗腫瘍活性を決定するための実験セットの概略図である。簡潔には、ヒトBCMAをそれぞれ非発現及び発現する緑色(eGFP)及び赤色(dsRed)蛍光マウスリンパ腫RMA細胞の1:1混合物を、ヒトNKp46遺伝子導入Rag1欠損マウス(Tg huNKp46 Rag1 -/-)に静脈内(i.v.)注射した。腫瘍担持マウス(各群n=7)を、総用量12.2ピコモルのNKp46-BCMA_Fc又は対照としてのビヒクルで1回処置した。処置の48
時間後にマウスの肝臓を生検し、浸潤したRMA細胞の絶対数をフローサイトメトリーによって監視した。処置の48時間後にマウスの肝臓を生検し、浸潤したRMA細胞の絶対数を以下に記載され、対応する図14B図14Eに示されるようにフローサイトメトリーによって監視した。
【0341】
材料及び方法
短期間モデルにおけるインビボでの抗腫瘍活性
BCMA-NKCE分子の活性を、ヒトBCMAの発現のため、形質導入されたRMA-dsRed-huBCMA Cl.E6(BCMA陽性)又はRMA-eGFP Cl.5A6ではない(BCMA陰性)マウスRMA白血病細胞を使用する播種性腫瘍モデルにおいて評価し、NK細胞上にヒトNKp46を発現する免疫不全マウス(HuNKp46 Tg Rag1-/-)(N=14)の0日目に尾静脈における注射のため1:1の比で混合した。マウスを2つの群に分け、0日目に、ビヒクル(N=7)又はNKp46-BCMA_Fc分子(N=7)で、マウスあたり12.3ピコモルの平坦な用量で処置した。
2日目(処置の48時間後)にマウスを屠殺し、OctoMacs(登録商標)及びPercoll勾配単離による破砕によって播種性RMA細胞を肝臓から抽出した。肝臓に浸潤するRMA細胞を分析し、フローサイトメトリーによって計数した。
【0342】
定量及び統計分析
得られたデータの逐次統計分析を、GraphPad Prism V7を用いて行った。得られた比のデータを対数変換して統計解析を行った。正常性試験(d’Agostino-Pearson)を行って、ノンパラメトリック試験(Kruskal-Wallis、続いて比較後の試験)の使用を確認した。各処置群を対照ビヒクル群と体系的に比較した。データが正常に分布していない場合、対になった試料集団間の差の統計学的有意性を、ウィルコクソンのマッチした対の符号付き順位検定を用いて決定した。Nは、実験に用いた試料の数である。SDを示すエラーバーの有無にかかわらず、平均値又は中央値を示す。有意性を以下のように示す。*p≦0.05;**p≦0.01;***p≦0.001、****p≦0.0001。4パラメータ非線形回帰分析を使用して、NKp46-BCMA_Fc NKCE EC50を計算した。
【0343】
結果
生着前に、フローサイトメトリーによって分析した場合、eGFP-huBCMA陰性細胞よりも相対的に1.5倍多いdsRed-huBCMA RMA細胞が存在し、RMA dsRed細胞のみがBCMAを発現した(図14B~14C)。フローサイトメトリーによって分析した、生着前(インビトロ)及び肝臓生検における生着後(エクスビボ)のdsRed RMA細胞上のヒトBCMAの発現も検出することができた(図14D)。NKp46-BCMA-FC又はビヒクル対照による処置の48時間後、フローサイトメトリーによって分析した肝臓浸潤RMA細胞の絶対数(左)及びdsRed/eGFP細胞比(右)は、NKp46-BCMA_Fc腫瘍死滅がBCMAを発現する腫瘍細胞に特異的であることを実証した(図14E)。
【0344】
実施例7:NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBは、エクスビボでの自己NK細胞活性化及び多発性骨髄腫(MM)細胞死滅を促進する
序論
多発性骨髄腫細胞及び自己免疫エフェクター細胞を含む骨髄及び末梢血試料を、デノボ多発性骨髄腫又は再発性多発性骨髄腫のいずれかを有する未治療又は標準治療の診断された患者から得て、エクスビボでのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの累積的影響を評価した。
【0345】
材料及び方法
細胞及び染色
骨髄及び末梢血試料をMYRACLEコホートから得た(Benaniba et al.,BMC Cancer,2019)。末梢血単核球(PBMC)及び骨髄単核球(BMMC)を、Ficoll-Hypaqueを用いた密度勾配遠心分離によって単離した。標準治療の処置を受けた患者からの試料は、以前に、ダラツムマブ、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン及びレブリミドで治療されていた。
【0346】
細胞(4×10細胞/ウェル)を、CTL-NKCE2、NKCE2(10ug/ml)、参照-4(20ug/ml)又はオビヌツズマブ(10ug/ml)の存在下、5%FCS及び3ng/ml IL-6を含有するRPMI中で24時間インキュベートした。インキュベーションの最後に、細胞をV底プレートに移し、プレートを3000rpmで1分間遠心分離し、PBSで1回洗浄した。BD pharmingen Stain Buffer BSA/Brilliant Stain buffer中の抗体のパネルを、以下の表に記載の各条件で添加した。
【0347】
細胞をFAC緩衝液に再懸濁し、FACS Symphonyを使用してフローサイトメトリーによって分析した。以下に更に記載するNK細胞活性化を、CD3-/CD56+NK細胞上のCD107a及びCD69発現によって評価し、骨髄腫細胞死を、CD138+/CD38+細胞の消失によって評価した。
【0348】
【表7】
【0349】
NK細胞活性化アッセイ
分子をU底96ウェルプレートに添加した。次いで、50,000個の休止期NK細胞及び50,000個のRPMI 8226細胞を各ウェルに連続的に添加して、1:1のエフェクター対標的(E:T)比を得た。対照条件は、50,000個の休止期NK細胞のみをウェルによって添加することによって実施した。BD GolgiSTOP(商標)溶液(BD Biosciences、554724)を、各ウェルにおいて最終希釈1/6000eで添加した(対照及び実験)。最終125 ng/mLのPhorbol
12 myristate 13 acetate(PMA、SIGMA、P8139)及び1μg/mLの最終イオノマイシン(IONO,SIGMA、I0634)を50,000個の休止期NK細胞にウェル添加して、NK細胞活性化の陽性対照を行った。各条件を二連で実施した。37±1℃及び5±1%COでの4時間のコインキュベーションの後、CD3、CD56、CD69、CD107a及びCD107bマーカーについて細胞外染色を行った。細胞の固定及び透過化後、細胞内IFNg、TNFα及びMIP1
β産生の測定のために細胞内染色を行った。抗体の混合物を16000gで+4℃で10分間遠心分離して、潜在的な凝集体を除去した。細胞を最後の染色後に染色緩衝液(PBS、0.2%BSA、2mM EDTA、0.02%アジド)に再懸濁し、フローサイトメトリー(FC)によって分析した。
【0350】
FlowJoソフトウェアを用いてフローサイトメトリーデータを分析した。パーセントNK細胞活性化の分析を、GraphPadプリズムを用いて行った。活性化の最上位値は、観察された最大活性化に対応していた。最大半量有効濃度(EC50)値は、以下の式に対応する4パラメータロジスティクス非線形回帰モデルを使用して計算した。
【数1】
【0351】
EC50と同じモデルを使用して、活性化の最下位計算値、活性化の最上位計算値、傾き及び95%信頼区間(CI)値を計算した。
【0352】
結果
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEで治療したMM患者PBMCのフローサイトメトリー分析は、抗BCMA IgG1 DE抗体又は抗体なし対照と比較して、CD138+/CD38+細胞の消失によって特徴付けられる骨髄腫細胞の頻度の減少(図15A左パネル)、及びCD3-/CD 56+NK細胞上のCD107a及びCD69発現によって評価される活性化NK細胞の増加(図15A中央右パネル)を示した。マーカーの発現レベルのこれらの差を、図15Bに示すように対応する棒グラフで定量した。図16は、診断時、又は標準治療(SoC)治療(ダラツムマブ、イサツキシマブ、プロテアソーム阻害剤、IMID、デキサメタゾン、アルキル化剤、BH3模倣物、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤)、抗CD47、CD3-CD38又はCD3-BCMA T細胞エンゲージャーを含む多様な治療(TC;治療クラス)に失敗したMM患者からの骨髄吸引物を用いた自己設定におけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-NKCE腫瘍死滅活性のエクスビボ特性評価を示す。10%以下の溶解を示す試料は、非常に低いE:T比と関連していた。
【0353】
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEは、診断時又は再発時に患者の試料において同様のエクスビボ抗骨髄腫活性(自己状況)を示す。再発時に抗骨髄腫活性の低下は観察されない。
【0354】
これらのデータは、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEが、例えば、同じ患者由来の多発性骨髄腫細胞及びNK細胞を用いた自己アッセイにおいて、MM患者由来の一次試料中のエクスビボNK細胞を活性化することを実証している。
【0355】
実施例8:Fc操作されたNKp46-BCMA NKCEは、強力且つ特異的なインビボ抗腫瘍活性及び良好な排出半減期を実証する
序論
この実施例は、雌huFcRn Tg32トランスジェニックマウスへの単回静脈内(2.5mg/kg)投与後のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの薬物動態(PK)プロファイル及びパラメータを評価する。
【0356】
材料及び方法
hFcRnトランスジェニックマウスにおけるPK研究
マウス実験は、C57BL/6マウスに由来し、The Jackson Labor
atory(Bar Harbor,Maine)から購入したトランスジェニックTg32(B6.Cg-Fcgrttm、1Dcr Tg(FCGRT)32Dcr/DcrJ)マウスで行った。FcRn-/-hFcRn(系統32)Tgマウスは、マウス遺伝子及びその天然のヒトプロモータの制御下でhFcRn α鎖導入遺伝子を発現する導入遺伝子についてヌル変異を有する。3匹のTg32ホモ接合性ナイーブ成体雌マウス(平均体重21.4g)を研究開始時に使用した。
【0357】
投薬レジメンのために、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCE(ストック溶液液:1.5mg/ml)を、同じ緩衝液に希釈した10mM His、150mM NaCl、pH6緩衝液中に即時調製し、2.5mg/kgの単回静脈内用量として10mL/kgの投与量で尾静脈内に投与した。動物を、28日間の研究期間にわたって投薬後0.083、4、24、72、168、336、504及び672時間の連続サンプリングアプローチを利用して評価した。各時点で、血液試料(約20μL-連続サンプリング)を伏在静脈からK3-EDTA採取装置に採血した。採取直後に、血液試料を湿った氷上に置き、次いで遠心分離した。次いで、4μLの血漿を60μlのDPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に希釈した。
【0358】
分析方法は以下の通りであった:
各時点での濃度を、以下の一般的な方法を使用してボトムアップLC-MS/MSアッセイによって決定した:血漿アリコートの沈殿後、サロゲートペプチドの分析の前に、血漿ペレットをタンパク質変性、還元、アルキル化、トリプシン消化、及び固相抽出に供した。Fab領域(軽鎖)に属するサロゲートペプチドVYACEVTHQGLSSPVTKを、その選択性及び応答因子に応じて、定量化のために各抗体について選択した。1、2.8、7、14、40、80及び100μg/mLで抗体を血漿に添加することによって較正標準を調製した。逆相Xbridge BEH C18カラム(2.1×150mm、3.5μM、300Å、水)を備えたShimadzu UHPLCシステムで、600μL/分の流速で、水中0.1%ギ酸及びアセトニトリル中0.1%ギ酸の段階的勾配でペプチド分離を行った。検出のために、Sciex API6600 TripleTOF質量分析計を正プロダクトイオンモードで使用し、ソース温度は500℃、イオンスプレー電圧は5500V、カーテンガスは35、及びネブライザガスは50であった。滞留時間は各実験について15msであった。デクラスタリングポテンシャル(Declustering Potential)は90V、衝突エネルギーは26Vであった。抗体のユニークなサロゲートペプチドの626.0m/z親イオンの807.4098m/z断片を、MultiQuantソフトウェアのMQ4統合アルゴリズムからのピーク面積を使用して、標準及び対照と比較した濃度決定に使用した。
【0359】
アッセイ方法
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCE濃度を、探索的LBA法を使用して血漿中で決定した。NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEを、Gyrolab微細構造ディスクのストレプトアビジンビーズ上に結合したビオチン-BCMA抗原によって捕捉し、ヤギ抗ヒトIgGFcg Alexaタグトレーサーを使用して検出した。定量下限(LLOQ)値は1.00μg/mLであった。
【0360】
統計分析
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの個々の血漿濃度値(μg/mLで表す)を記述統計(平均、標準偏差(SD)及び変動係数(CV%))によって要約し、サンプリング時間によって集計した。全ての結果は、小数点なしのCV%を除いて、3つの有効数字で報告した。
【0361】
個々のPKパラメータを、上記のように記述統計学によって要約した。個々の値及び平
均値を3つの有効数字で表した(tmax及びtlastは時間値に対して適切に四捨五入されており、中央値及び範囲[最小-最大]値のみが報告されていることを除く)。
【0362】
結果
研究中に臨床徴候又は症状は観察されなかった。
【0363】
雌huFcRn tg32マウスへのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの単回IV(2.5 mg/kg)投与後に得られたNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCE血漿濃度(ug/ml)の平均値及び個別値(N=3)を以下の表8に報告し、対応する平均血漿濃度及び個別血漿濃度対時間プロファイルをそれぞれ図18及び図19に示す。
【0364】
【表8】
【0365】
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの単回静脈内(2.5mg/kg)投与後の血漿中のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEの薬物動態パラメータの平均及び個々の値(N=3)を以下の表9に示す。
【0366】
【表9】
【0367】
2.5mg/kg静脈内投与後、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCE濃度は、最大28日間(最後のサンプリング時間)まで血漿中で定量可能であり、血漿クリアランスは6.4±0.546mL/日/kgと推定され、定常状態での分布体積は121±9.82mL/kgであり、約14日間の最終排出半減期(t1/2)をもたらした。
【0368】
実施例9:NKp46-BCMA Fc WT CODV-OL1は、用量応答様式で強力な抗腫瘍活性を示し、NK細胞上のCD16及びNKp46の両方と共係合することに
よってより良好な活性を実証する。
序論
ヒトBCMAを発現する播種性マウスEL4細胞を移植したhuNKp46-Tg x
Ragマウスにおいて、NKp46-BCMA Fc WT CODV-OL1の有効性を評価した。IgG1コンピテントFcドメインは、全ての活性化マウスFcγRに結合し、マウスエフェクター細胞を動員し、マウスNK細胞でADCCを誘導することができる。
【0369】
材料及び方法
0日目にマウスに0.5×10個の腫瘍細胞を静脈内接種した。処置は、腫瘍移植後1日目にIPで投与した。以下の対照抗体を5mg/kgで投与した:huNKp46及びマウスFcγRに結合するがhuBCMAには結合しない、NKp46-CD16-X
Fc WT;huNKp46及びBCMAに結合するが、マウスFcγRへの結合及びCD16を介したマウスエフェクター細胞の動員を阻害するLALA Fc変異を有するNKp46-X-BCMA;huBCMA及びマウスFcγRに結合するが、huNKp46には結合しない、X-CD16-BCMA。NKp46-BCMA Fc WT CODV-OL1を5、0.5及び0.05mg/kgで投与した。対照群は未治療のままにした。
【0370】
マウスを毎日確認し、有害な臨床反応を認めた。個々のマウスの体重を実験終了まで毎日測定した(60日目)。マウスは、動物の苦痛を避けるために、所定の基準に従って瀕死の状態になったときに安楽死させた。重大であると考えられる病態に関連する臨床徴候は、四肢麻痺、腹水症、触知可能な内部腫瘍塊、20%以上の罹患率又は体重減少である。
主要有効性エンドポイントは、日単位の生存期間中央値(MST)、パーセント増加寿命(%ILS)、及び長期生存率であった。
各マウスの個々の死亡日(もしあれば)を報告した。MSTを各群について決定し、比率ILSを計算し、百分率として表した:
%ILS=100×(T-C)/C
式中、T=処置群のMST及びC=対照群のMSTである。
【0371】
用量は、%ILSが25%よりも優れている場合には治療的に活性であり、%ILSが50%よりも優れている場合には非常に活性であると考えられる(Johnson JI
et al.(2001)Br J Cancer 84(10):1424-1431)。NCI前臨床インビトロモデル及びインビボモデルにおける薬物活性と初期臨床試験との間の関係。Id.
【0372】
長期生存率は、百分率で表される群のマウスの総数に対する対照群のMSTの2倍以上の生存期間を有するマウスの数として定義される。
【0373】
結果
結果を図20及び表10に示す。
【0374】
NKp46-BCMA Fc WT NKCEは、EL4-huBCMA播種性モデルにおいて5、0.5、及び0.05mg/kgの用量で統計学的に有意な活性を誘導し、対照と比較したILSは5の用量で長期生存者の215%及び57%、0.5の用量で長期生存者の215%及び62.5%、並びに0.25mg/kgの用量で長期生存者の132%及び12.5%であった。
【0375】
対照のX-CD16-BCMA NKCEは、EL4-huBCMA播種性モデルにお
いて5mg/kgの用量で統計学的に有意な活性を誘導し、長期生存者のILSは147%及び28.6%であったが、対照のNKp46-X-BCMA NKCEは5mg/kgの用量で有意な活性を誘導せず、ILSは84%であり、長期生存者はいなかった。
【0376】
結論として、NKp46-BCMA CODV-OL1 NKCEは、0.05mg/kgからのロバストな活性を有する用量依存的活性を示し、NKp46-X-BCMA及びX-CD16-BCMA NKCE対照との活性は、NK細胞をNKp46及びFcγRの両方と共係合させてインビボ有効性を改善する利点を実証した。
【0377】
【表10】
【0378】
実施例10:ADCC増強NKCEは、Fc WT NKCEと比較してインビボで明らかな優位性を示す。
序論
ヒトBCMAを発現する播種性マウスEL4細胞を移植したhuFcgR-Tgマウスにおいて、サロゲートmuNKp46-huBCMA Fc WT及びFc-ADE CODV-OL1の有効性を評価した。huFcgR-Tgマウスは、ロックフェラー研究所によって作製され(Smith P et al.(2012)PNAS,109(16):6181-6186)、これらのマウスは、5つのヒトFc γ受容体全てを発現する。ADE変異は、NK細胞によって発現されるヒトFcgRIIIA受容体に対するFc受容体の親和性を高めるが、マウスオルソログFcgRIVに対する親和性は高めない。huFcgR-Tgマウスを使用して、WT NKCEに対するADEの潜在的な増強された活性を評価した。対照サロゲートは、IgG1コンピテントFcドメインを含有する。
【0379】
材料及び方法
0日目にマウスに5×10個の腫瘍細胞を静脈内接種した。処置は、腫瘍移植後1日目にIPで投与した。huBCMA(muNKp46-X)ではなく、muNKp46に結合する対照抗体を、5mg/kgで投与した。muNKp46-BCMA Fc WT及びFc-ADE CODV-OL1を5、0.5及び0.05mg/kgで投与した。
【0380】
マウスを毎日確認し、有害な臨床反応を認めた。個々のマウスの体重を実験終了まで毎日測定した(60日目)。マウスは、動物の苦痛を避けるために、所定の基準に従って瀕死の状態になったときに安楽死させた。重大であると考えられる病態に関連する臨床徴候は、四肢麻痺、腹水症、触知可能な内部腫瘍塊、20%以上の罹患率又は体重減少である。
【0381】
主要有効性エンドポイントは、日単位の生存期間中央値(MST)、パーセント増加寿命(%ILS)、及び長期生存率であった。
【0382】
各マウスの個々の死亡日(もしあれば)を報告した。MSTを各群について決定し、比率ILSを計算し、百分率として表した:
%ILS=100×(T-C)/C
式中、T=処置群のMST及びC=対照群のMSTである。
【0383】
用量は、%ILSが25%よりも優れている場合には治療的に活性であり、%ILSが50%よりも優れている場合には非常に活性であると考えられる(Johnson JI
et al.(2001),Br.J.Cancer,84(10):1424-31)。
【0384】
長期生存率は、百分率で表される群のマウスの総数に対する対照群のMSTの2倍以上の生存期間を有するマウスの数として定義される。
【0385】
結果
結果を図21及び表11に示す。
【0386】
サロゲートmuNKp46-huBCMA Fc WT NKCEは、EL4-huBCMA播種性モデルにおいて5、0.5及び0.05 mg/kgの用量で統計学的に有意な活性を誘導しなかった(対照NKCE群と比較)。対照的に、サロゲートmuNKp46-huBCMA Fc ADE NKCEは、5mg/kg及び0.5mg/kgの用量で統計学的に有意な活性を誘導し、ILSは長期生存者の100%及び90%超であった。0.05mg/kgのより低い用量は、統計学的に有意な活性を誘導しなかった。
【0387】
結論として、muNKp46-huBCMA Fc ADEサロゲートNKCEは、WT Fcサロゲートよりも良好な活性を用量依存的に示した。
【0388】
【表11】
【0389】
実施例11:還元条件におけるNKp46-BCMA CODV-OL1分子内のジスルフィド結合R292C_V302Cの化学的安定性/完全性
序論
Fc CH2ドメイン上のジスルフィド結合(DSB)の操作は安定性を高める。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第63/193,665号明細書を参照されたい。NKp46-BCMA CODV-OL1分子内の操作されたDSB、R292C_V302C及びADE変異(G236A/S239D/I332E)がDSB還元挙動に異常に影響しないことを確実にするために、還元速度をDTT及びその後のトリプシンペプチドマッピングによって測定した。
【0390】
材料及び方法
還元感受性アッセイ
PBS-EにおけるDTTの段階希釈を行った(アッセイにおける最終DTT濃度:20、10、5、2、1、0.5、0.2及び0.1mM)。タンパク質バッチFF-20-819-1、FF-20-821-1及びFF-21-170-5を、スピン脱塩カラムを使用してPBS-E緩衝液中に透析して、還元中にpH7.2が得られるようにした。タンパク質試料をPBS-E中1.5mg/mLに正規化した。正規化した試料の二部を各DTT希釈液の一部にPCRプレートに添加し、添加後に混合した。この工程は、1分以内に最低濃度から最高濃度のDTT濃度まで実施した。Thermostat C Thermoblock上で25℃で10分間インキュベートすることによって還元を行った。3部のNEMストック溶液を全てのウェルに添加することによって、反応をクエンチした。アッセイの一貫性を確実にするために、1分以内に最低から最高のDTT濃度までNEM添加を行い、添加後に混合した。調製したプレートを、キャピラリーゲル電気泳
動(cGE)及び質量分析(ペプチドマッピング)による測定まで室温で保存した。以下の表12及び表13は、それぞれ還元感受性アッセイ及びキャピラリーゲル電気泳動のための試薬及び材料のリストを含む。
【0391】
【表12】
【0392】
【表13】
【0393】
還元感受性アッセイを実施した後、製造業者の指示に従って、プロテインクリアHRアッセイの非還元プロトコルを使用して試料を測定した。
【0394】
チップを調製するために、全てのアッセイ成分を室温に平衡化させた。Protein
Clear HR GelマトリックスをProtein Clear HR Dye溶液と混合し、濾過した後、製造業者の指示に従ってリンスしたチップウェルに添加した。
【0395】
提供されたアッセイ対照VeriMAb標準を非還元性試料緩衝液で希釈し、70℃で10分間変性させ、製造業者の指示に従って水と混合し、アッセイ較正のためにLabChip GXII Touch機器に入れた。Protein Clear HR Ladderを水中で1:10希釈した後、示された体積のラダー溶液及びProtein Clear HR Wash緩衝液を対応するチューブに移し、LabChip GXII Touch機器に入れた。較正プロセスを、試料を測定する前に首尾よく終了した。
【0396】
試料を調製するために、還元感受性アッセイからの各試料5μLをPCRプレート中の非還元性試料緩衝液18μLに添加し、これを密封し、試料をサーモスタットC Thermoblock上で70℃で10分間変性させた。変性後、試料を35μLの水で希釈した。調製したアッセイプレートを、LabChip GXII Touch機器で測定するまで室温で保存した。
【0397】
測定後、LabChip Reviewer Softwareを使用してデータを分析した。相対ピーク面積が0.85%以上の全てのピークを積分した。残りのインタクトな分子の相対ピーク面積[%]をDTT濃度に対してプロットし、曲線を4パラメータロジスティックモデル/シグモイド用量応答モデル(Xlfit、用量反応の一部位、モデル205)によってフィッティングした。DTTを添加していない試料の面積を標準化のために使用し、100%に設定した。インタクトな分子の50%が残っている各試料のDTT濃度をEC50値として使用して、還元に対する分子の感受性を評価した。
【0398】
トリプシンペプチドマッピング実験のための還元アッセイ後の抗体試料調製
還元感受性アッセイを行った後、試料を消化手順に供した。抗体試料あたり100μgを、0.2mol/L塩化ヒスチジン、5.6mmol/L塩酸グアニジニウムpH6を使用して、0.5mL Zeba Spin Desalting Column(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号89883)との緩衝液交換によって変性させた。緩衝液交換を1回繰り返して、NEMの完全な除去を確実にした。次いで、10mmol/L TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号T2556)を37℃で1時間添加することによって試料を還元した。その後、緩衝液を0.5mL Zeba Spin Desalting Columns(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号89883)で20mmol/L塩化ヒスチジン、0.5mmol/L TCEP、pH6に交換した。抗体をトリプシンにより37℃で一晩、1:20の酵素対基質比で消化した。7μLの10%ギ酸溶液を添加することによって消化を停止し、試料を更なる分析まで-80℃で凍結した。
【0399】
液体クロマトグラフィータンデム質量分析による修飾ペプチドの検出
ペプチドを、EASY-ETDイオン源(Thermo Fisher Scientific、San Jose,CA,USA)を備えたorbitrap Fusion(商標)Lumos(商標)Tribrid(商標)質量分析計に連結されたVanquish(商標)Flex UHPLCシステムを使用して分析した。
ペプチド分離のために、二成分溶媒系を使用した:(A)0.1%ギ酸及び(B)90%アセトニトリル、0.1%ギ酸。トリプシン消化した試料2μgを、直線的に漸増濃度の溶媒Bを用いて1時間の勾配で50分間分離し、続いて95%Bで5分間洗浄し、Hypersil GOLDTM C18 LCカラム(150mm×2.1mm、粒径1.9μm、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号25003
-152130-V)で5%溶媒Bに5分間再平衡化した。カラム上で分離されたペプチドを、以下の重要な設定で検出された:質量範囲を375~2000に設定し、自動利得制御(AGC)の目標を4.0e5とし、最大注入時間を50msとし、1μスキャンを用いて、120,000の分解能(200m/zで定義)で完全MSスペクトルを取得した。200msの注入時間内に5.0e4 AGC標的を蓄積した後、15,000の分解能(200m/zで定義)を使用して上位5データ依存モードでデータ依存(MS/MS)スペクトルを取得した。イオンを1.6Thの単離ウィンドウで単離し、30%正規化衝突エネルギーでHCD、EthcD又はEtciDを使用して断片化した。動的排除を10秒に設定した。
【0400】
データ処理
取得したMSデータを、Expressionistソフトウェア(GeneDataバージョン13.5)を使用して処理し、正確な割り当て及び相対定量精度を確保するために手動で検査した。試料分子のアミノ酸配列に対してマススペクトルを検索した。重要な設定は、それぞれ10ppmに設定されたMS及びMS/MSスペクトルの質量公差である。検索パラメータ内で考慮された翻訳後修飾は、システインに対するNEM修飾及びExpressionistからのIgG N-グリカンライブラリを使用した一般的なN末端グリコシル化であった。
【0401】
結果
EC50値を、図22に示されるような用量応答曲線から計算した。キャピラリー電気泳動(cGE)によって測定されたDTTによる非還元試料の主ピークの減少は、CODV-OL1 wt、CODV-OL1 ADE及びCODV-OL1 ADE-DSBについて同一であり、CH2ドメイン中のADE変異も操作されたジスルフィド結合もタンパク質の還元感受性に影響を及ぼさないことを示している。
【0402】
ペプチドマッピングによって分析された還元感受性アッセイからのタンパク質、CODV-OL1 wt、CODV-OL1 ADE及びCODV-OL1 ADE-DSBは、図23A(CODV-OL1 wt)、図23B(CODV-OL1 ADE)及び図23C(CODV-OL1 ADE-DSB)に示すように、還元感受性分子間ジスルフィド結合(DSB)の同様の還元挙動を示す。用量応答曲線に基づいて、EC50値は、3つのタンパク質について1.2~1.5 mMのDTTの範囲にあると推定され、操作されたDSBが典型的な分子間DSBと同様に還元安定性であることを示している。
【0403】
CODV-OL1 wt、CODV-OL1 ADE及びCODV-OL1 ADE-DSB-発現収率
抗体を以下のように作製した:
対応するコンストラクトの異なる鎖をコードする発現プラスミドを大腸菌DH5aで増殖させた。トランスフェクションに使用したプラスミドを、EndoFree Plasmid Megaキット(Qiagen)を用いて大腸菌(E.coli)から調製した。F17無血清懸濁培養 Invitrogen)で成長するHEK 293-FS細胞を、ポリエチレンイミントランスフェクション試薬を使用して示されたプラスミドでトランスフェクトした。8%CO2で37℃で6日間培養した後、遠心分離によって細胞を除去し、上清を0.22μmフィルタに通して粒子を除去した。タンパク質をMabSelect SuRe(Cytiva)で捕捉し、0.1Mクエン酸緩衝液pH3.0で溶出し、1M Tris pH9で中和した。Superdex200 26/60(Cytiva)及び0.22μm濾過及びUV280濃度決定を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってタンパク質を研磨した後、タンパク質を更なる特性評価に使用した。収率を以下の表14に報告する。
【0404】
【表14】
【0405】
正常なIgG1 Fc骨格を有する抗体は、25.2mg/Lの試料収率を実証したが、Fc骨格にADE又はDE変異を有する抗体は、試料収率において5mg/L未満の強い減少を示す。ADE又はDE変異を有するIgG1 Fc及びジスルフィド結合を有する抗体は、WTと同様の試料収率を実証した。
【0406】
実施例12:BCMA陽性RPMI 8226 MM腫瘍細胞とNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBとの共培養におけるPBMC中のインビトロサイトカイン放出
材料及び方法
IncuCyte S3のインビトロ安全性手順(PBMC+MM 1R-RFP、エフェクター:標的比=3:1)
PBMC精製の1日後、PBMCとMM1R-RFPの両方をVi-Cell XRでカウントした(Beckman Coulter、Brea)。
【0407】
標的細胞:MM1R細胞株をATCC/Northwestern University BDWから購入し、Incucyteインキュベーターを用いて数日間にわたって追跡することができるmKate2 Red Fluorescent Protein(RFP)を発現させるために、Incucyte Nuclight Redレンチウイルス(EssenBiosciences、参照番号4476)でトランスフェクトした。MM1R-RFP細胞の選択は、培養培地[20%のウシ胎児血清熱不活性化FBS(Biowest、参照番号S140H-100)及び1%のL-グルタミン200mM(100倍)(Denmark、GIBCO、参照番号25030-024)を含むRPMI培地1640(1倍)(GIBCO、Denmark、参照番号31870-025)]中の最終濃度1μg/mlのピューロマイシン二塩化物水和物(Thermo Scientific、Denmark、参照番号10781691)の添加(addiction)によって得た。
【0408】
MM1R-RFPは半接着性細胞であるため、培養培地を除去し、Nunc EasYフラスコ75cm(Thermo Scientific、Denmark)を洗浄するために使用した5mlのPBS 1倍と共に50mlファルコンチューブに入れた。1ml/75cmフラスコのAccutase Cell Detachment Solution(Corning、参照番号25-058-CI)を添加することによって、残りの接着細胞を剥離した。アキュターゼの作用を37℃で5分後に9mlの培養培地(RPMI+20%FBS、最終容量10ml)で停止させ、MM1R-RFP細胞をVi-Cell XRにおいて計数した。適切な数の細胞を調製し、3:1のE:T比を持つように、30 000細胞/ウェル(50μl/ウェル)の密度で播種した。
【0409】
抗体:全てのAbをRPMI培養培地中で2倍濃縮して調製する(50μlの標的細胞+100μlのAb 2X+50μlのPBMCを各ウェルに添加したため)。実験に使用した抗体をDeepwellプレート(Axigen、参照番号P-DW-11-C-
S)中の培地で1/100倍希釈した。初期濃度が100nM(約200nM)であったCD3-BCMA T細胞エンゲージャーを除いて、全てのAbの出発濃度は1000nM(約2000nMが計算された)であり、3回の希釈を行った。
【0410】
エフェクター細胞:総PBMCを300 000細胞/ウェル(50μl/ウェル)の密度で調製した(E:T比3:1)。計数後、必要な数のPBMCを300gで5分間遠心分離し(加速度=9、ブレーキ=9)、最終濃度が200μlの最終容量/ウェルで1mg/mlになるように、4mg/mlの濃度のヒトIgG(Sigma-Aldrich、参照番号I4506)を含む適切な容量のRPMI培養培地に再懸濁した:[50μlのMM1 R-RFP+100μlの抗体(2倍)+50μlのPBMC]。
【0411】
細胞を96ウェルプレートのポリD(Greiner bio-one、参照番号655946)に播種し、外部ウェルを200μlのPBS 1倍で満たした。
【0412】
腫瘍細胞(50μl/ウェル)+Ab(100μl/ウェル)+PBMC(50μl/ウェル)を播種した後、プレートを室温で1分間100gで遠心分離し、IncuCyte S3(Essen BioScience)のインキュベーターに入れたが、温度の差を避けるためにプレートを少なくとも30分後にのみ読み取った。
【0413】
以下のパラメータを使用して、Incucyte S3上のプレートを読み取った:分析タイプ(Basic Analyzer)、RED、対物レンズ10倍、4画像/ウェル、時点48時間(4時間ごとの画像)、取得時間400ms。
【0414】
48時間後、Incucyteスキャナーを停止させ、プレートを300gで5分間遠心分離し、次いで、100μlの上清/ウェルを採取して、Human Proinflammatory I(4-Plex)Kit V-Plexによるサイトカイン放出の分析を行った。
【0415】
ヒト前炎症性I(4-Plex)キットV-Plexによるサイトカイン放出の分析のための手順
サイトカイン放出の分析のために、Human Proinflammatory I(4-Plex)キットV-Plexを使用した(MSD、参照番号K15052D-1)。
【0416】
最初に、対照範囲を調製した:凍結乾燥チューブを1000μlの希釈剤2(校正器、参照番号C0049-2)で再開し、30分間静置した。希釈剤2(すなわち、75μlのCx+225μlの希釈剤2)で1/4の7つの連続希釈を行った。最後の管n8を陰性対照(希釈剤2単独=0)とみなした一方、チューブではnであった。1出発溶液は希釈しなかった。
【0417】
続いて、DART(すなわち、50μl/ウェル、5μlDART/濃度+495μl希釈剤2の調製)については1/100、他の抗体については1/5(すなわち、50μl/ウェル、100μl Ab/濃度+400μl希釈剤2の調製)の希釈で試料を調製した。
【0418】
二次抗体を希釈液3:100μlのIFNγ+100μlのIL1β+100μlのIL6+100μlのTNFα+4600μlの希釈液3(最終容量5ml)中で調製し、次いで、25μlの二次Ab混合物を全てのウェルに分配した。
【0419】
試料をプレートに添加する前に、プレートを150μlのPBS 1X tween
0.05%(PBS 1X 1L中の500μlのTween20を用いて調製した洗浄緩衝液)で3回洗浄した。次いで、50μl/ウェルの試験される希釈試料及び50μl/ウェルの標準範囲を添加した。プレートをフィルムで覆い、室温で撹拌しながら2時間放置した。
【0420】
プレートを150μlの洗浄緩衝液で3回洗浄し、25μlの二次Abを試料に添加し(二次Abのより良好な分布のためにプレートをタップした)、プレートを再びフィルムで覆い、室温で撹拌しながら2時間放置した。150μlの洗浄緩衝液で洗浄する3工程を行い、150μlの読み取り緩衝液を全てのウェルに添加した[H2O中の1/2希釈によって調製した読み取り緩衝液(4倍)]。プレートをMSD装置1250に読み取った。
【0421】
結果
図24A及び図24Bに示すように、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBは、BCMA発現細胞の強力な細胞傷害性を媒介したが、共培養物中のPBMCからのサイトカイン放出は最小限であった。図25A及び図25Bに示すように、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBはまた、サイトカイン放出を最小限に誘発しながら、低下したMM1R腫瘍細胞増殖を媒介した。インビトロでのサイトカイン放出の減少は、好ましい安全性プロファイルを示す。
【0422】
実施例13.MM細胞の存在下での休止期NK細胞によるNK細胞活性化及びサイトカイン/ケモカイン産生に対するNKCEのインビトロ特性評価。
この実施例は、BCMA陽性細胞株(RPMI 8226多発性骨髄腫細胞)の存在下でのNK細胞の活性化及びサイトカイン/ケモカイン産生に対するNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBのインビトロ有効性の特徴付けに向けられている。
【0423】
材料及び方法
末梢血単核細胞:末梢血単核細胞(PBMC)を単離するために、バフィーコートをRPMIで約1/5に希釈し、室温のPancollチューブに移した。チューブをブレーキなしで800gで20分間遠心分離した。最初の細胞洗浄を、ブレーキを用いて室温で10分間、400gでの遠心分離を用いてRPMI中で行った。細胞の2回目の洗浄を、ブレーキを用いて室温で10分間、130gでの遠心分離を用いてRPMI中で行った。
【0424】
NK細胞の採取:ヒトNK細胞を、NK細胞単離キット(Miltenyi)を用いて、供給業者によって推奨されるプロトコルに従って、手動磁気標識及びその後のLSカラムによる手動分離を用いたネガティブ選択によってPBMC試料から精製した。次いで、NK細胞を、活性化アッセイに使用する前に、37±1℃、5±1%COで約24時間、1×10細胞/mLの完全RPMI中で培養した(いわゆる「休止期」NK細胞)。
【0425】
エフェクター細胞の生存基準を90%以上に設定した。休止期NK細胞上のCD16a及びNKp46の両方の細胞表面発現を、実験当日にフローサイトメトリーによって監視した。
【0426】
NK細胞活性化アッセイ
NKCE分子をU底96ウェルプレートのウェルに添加した。50,000個の休止期(例えば、活性化されていない)NK細胞及び50,000個のRPMI 8226 MM細胞を各ウェルに連続的に添加して、1:1のエフェクター:標的(E:T)比を得た。対照条件は、各ウェルに50,000個の休止期NK細胞のみを添加することによって実施した。GolgiStop(商標)(BD Biosciences)溶液を各ウェル(対照及び実験)に1/1500の最終希釈で添加して、細胞外の細胞内タンパク質輸
送を遮断し、ゴルジ複合体にサイトカインを蓄積させた。125ng/mLの最終濃度のホルボール12ミリステート13アセテート(PMA)及び50,000個の休止期NK細胞に添加した1μg/mLの最終濃度のイオノマイシンを使用することによって、NK細胞活性化の陽性対照を行った。各条件を一連(simplicate)で実施した。
【0427】
37±1℃で4時間共インキュベートした後、フローサイトメトリー分析のために細胞外マーカー(CD3、Cd56、CD69、CD107a及びCD107b)について染色を行うことによって細胞を染色した。固定及び透過化工程の後、IFNγ、TNFα及びMIP1βについて細胞内染色を行った。細胞を、Cytofix(BD Biosciences)を使用して最後の染色後15分間固定し、LSR Fortessa(商標)X-20を用いたフローサイトメトリーによって分析した。FSC-A、FSC-H、FSC-W、SSC-A、SSC-H、SSC-W、FL-1、FL-3、FL-6、FL-7、FL-9、FL-13及びFL-16パラメータをBD FACSDivaソフトウェアで記録し、分析をFlowJoソフトウェアで行った。
【0428】
NK細胞活性化のパーセント及び活性化マーカーの蛍光強度中央値(MedFI)の分析を、GraphPad Prismを用いて行った。活性化の最上位値は、観察された最大活性化に対応していた。最大半量有効濃度(EC50)値は、以下の式に対応する4パラメータロジスティクス非線形回帰モデルを使用して計算した。
【数2】
【0429】
EC50と同じモデルを使用して、活性化の底部の計算値、活性化の最上位計算値、傾き及び95%信頼区間(CI)値を計算した。
【0430】
休止期NK細胞及び標的細胞の純度及び表現型についてのフローサイトメトリー分析
NK細胞活性化実験に使用した休止期NK細胞を、純度、CD16aの発現、及びNKp46に関して分析した。RPMI 8226 MM細胞を、CD32及びBCMAの発現について分析した。
【0431】
実験当日に、休止期NK細胞及び標的細胞の染色を行った。1×10細胞/ウェルを、色素に結合した抗体(アロフィコシアニン、パシフィックブルー、又はフィコエリトリン)を用いてU底96ウェルプレートで染色した。
【0432】
結果;
NK細胞活性化を以下によって評価した:1)細胞表面における活性化マーカー(CD69及びCD107a/b)の発現、並びに2)サイトカイン(IFNγ、TNFα)及びケモカイン(MIP1β)の細胞内産生。7名のNK細胞ドナーを研究で評価した。
【0433】
図26A図26Dに示すように、RPMI 8226 MM細胞の非存在下では、陽性対照であるPMA-イオノマイシンは、CD69及びCD107a/bの発現を誘導することによってNK細胞を活性化した。対照的に、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB及び対照NKCEは、4.88ng/mLからの非シグモイド用量応答活性化を誘導し、CD69陽性細胞の約40%(150前後のCD69 MedFI)及びCD107陽性細胞の14%(90前後のCD107 MedFI)の最高濃度(4.88μg/mL)に達した。
【0434】
RPMI 8226 MM細胞の存在下では、NK細胞は分子の非存在下で活性化され
なかった。対照NKCEの添加は、標的細胞の非存在下で得られた活性化と同様に、NK細胞の低レベルの活性化を誘導した。NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの添加は、対照NKCEで得られた活性化よりも高いNK細胞活性化のためのシグモイド用量応答を誘導した。より正確には、CD69発現(陽性細胞の約60%及びNK細胞上の351のMedFI)及びCD107a/b発現(陽性細胞の約22%及びNK細胞上の132のMedFI)について約48.8ng/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBについて飽和相が観察された(表15)。
【0435】
【表15】
【0436】
CD69発現についてNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBについて飽和相及びシグモイド用量応答が得られたので、EC50を7名の選択されたドナーから抽出した(表16)。CD107a/bの産生レベル(7名のドナーのうち3名について陽性細胞の約20%以下)を考慮すると、CD107a/b活性化マーカーについてEC50は推定されなかった。
【0437】
【表16】
【0438】
NK細胞によるIFNγ、TNFα及びMIP1βの分泌
同じ実験において、NK細胞による細胞内サイトカイン(IFNγ及びTNFα)及びケモカインMIP1βの産生を測定した。TNFα、IFNγ及びMIP1βの放出は、NK細胞活性化に比例した:より高いNK細胞活性化は、より高いサイトカイン/ケモカイン産生をもたらした(図27A図27F)。
【0439】
RPMI 8226 MM細胞及びNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBが存在しない場合、検出可能なTNFα及びIFNγはNK細胞によって産生されなかったが、MIP1βはNK細胞の約80%によって産生された。陽性対照(PMA-イオノマイシン)の添加は、NK細胞によるTNFα(D584については約84%)、IFNγ(D584については約83%)の産生を誘導し、MIP1β(D584については約100%)を増加させた。対照的に、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの添加は、IFNγ及びTNFαの非常に低い標的依存的発現を用量依存的様式で誘導し、陽性細胞の20%未満の観察された活性化の最上位値(IFNγについては8±5%及びTNFαについては12±7%)が観察された。MIP1βは、4.88ng/mLからなるNK細胞によって産生され、2つの分子の用量応答において約95%の陽性細胞(NK細胞上の約5400のMIP1β MedFI)に達した。
【0440】
結果は、RPMI 8226 MM細胞単独の存在は、NKCE分子の非存在下でNK細胞によるサイトカイン分泌を誘導するのに十分ではないことを示した。高濃度の対照NKCE分子の添加は、NK細胞によるサイトカインの低産生又は非常に低い産生を誘導し、シグモイド用量応答を伴うMIP1βの高産生を誘導した。NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの添加は、サイトカイン及びケモカイン産生を誘導した。3つのサイトカイン/ケモカインについて、産生の最大レベルは、ドナーに応じて4.88~48.8ng/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの範囲の濃度で達成された。試験した7名のドナーについて、TNFα又はIFNγを産生するNK細胞の割合は、それぞれ約12±7(NK細胞上のTNFα MedFI:39±7)及び8±5(NK細胞上のIFNγ MedFI:137±30)であり、MIP1βを産生するNK細胞の割合は、最高NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB濃度で約94±2(NK細胞上のMIPβ MedFI:10145±4416)であった(表17)。
【0441】
飽和相及びシグモイド用量応答がTNFα、IFNγ及びMIP1β産生についてのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBについて得られたので、7名の試験ドナーからのMIP1βについて観察された活性化の最上位値(TNFα、IFNγ及びMIP1β)及びEC50が観察された。TNFα及びIFNγ産生のレベル(陽性細胞の20%未満)を考慮すると、これらの2つのサイトカインについてEC50は推定されなかった(表18)。
【0442】
【表17】
【0443】
【表18】
【0444】
実施例14:共培養されたヒトドナー全血細胞及びRPMI(多発性骨髄腫)細胞株を使用したNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBのインビトロサイトカイン放出分析序論
このアッセイで観察された応答の変動性/範囲を評価するために、11名のヒトドナーに由来する全血球を、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB又は陰性対照若しくは陽性対照のいずれかで処置したRPMI-8226-RFP細胞と共培養した。共培養物を37℃で一晩、2つの異なるバッチ(CER又はGMP)から調製した1、10,100及び300μg/mLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB又は以下の材料及び方法のセクションで詳述する陰性対照若しくは陽性対照と共にインキュベートした。処置対照群は、2つの陰性対照(未処置共培養及びアイソタイプ対照300μg/mLで処置した共培養)及び3つの陽性対照:ヒト抗CD3/CD28 T細胞活性化因子(25μg/mL;ImmunoCult(商標))、抗CD52組換え抗体(アレムツズマブ100μg/mL;Campath-1H(登録商標))、及び内部BCMA T細胞エンゲージャーツール化合物(TCE-BCMA 100μg/mL)を含んだ。
【0445】
材料及び方法
RPMI 8226細胞株をATCC(American Type Culture
Collection、USA)から得て、赤色蛍光タンパク質(RFP)でトランスフェクトした。この修飾RPMI 8226-RFP細胞を、10%ウシ胎児血清(Thermo Fisher Scientific,Inc.)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(10,000U/mL、Thermo Fisher Scientific,Inc.)を添加したRPMI 1640培地(Thermo Fisher Scientific,Inc.、Waltham,MA,USA)中、+37℃、5%COの加湿雰囲気下で培養した。
【0446】
サイトカイン放出アッセイの日に、細胞を計数し、Cellometer(Nexelcom、Lawrence,MA,USA)で生存率について評価した。RPMI-8226-RFP細胞を800,000細胞/mLの濃度に調整し、25μLの細胞を96ウェル組織培養プレート(Thermo Fisher Scientific,Inc.)に20,000細胞/ウェルの最終密度でウェル当たり播種した。
【0447】
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB及び対照を、10% w/vウシ胎児血清及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(10,000U/mL)を補充したRPMI 1640培地、GlutaMax(Thermo Fisher Scientific,Inc.)に溶解した。25μLのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB及び対照をウェルあたり三連で添加した。陰性対照は、培地のみ及び300μg/mLの最終濃度のアイソタイプ対照であった。それぞれの濃度を有する陽性対照を上に列挙し、図28図32にも標識する。
【0448】
同意した11名のドナーからの全血を、ナトリウム-ヘパリン抗凝固薬を含有する10mLバキュテーナー(vacutainer)チューブに静脈穿刺した。試料を穏やかに混合し、研究開始まで周囲条件下で維持した。RPMI-8226-RFP細胞をNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB又は処置対照群のいずれかに添加した後、ドナーからの新鮮な全血試料(200μL)をウェルに添加し、プレートを5%COの加湿雰囲気中+37℃で24時間インキュベートした。
【0449】
インキュベーション期間の終了時に、プレートを500×gで10分間遠心分離した。これらのプレートから血漿を採取し、次いで新しい96ウェル細胞培養プレートに直接移し、次いで2000×gで10分間遠心分離して残りの細胞残屑を除去した。最終血漿試料を新しい96ウェル培養プレートに移し、サイトカインレベルの即時評価に使用した。
【0450】
製造業者(Mesoscale Discovery、Rockville,Maryland,USA)の説明書に従って、MSD U-PLEXアッセイ(カタログ番号K15067L-2;Lot番号404471)を使用して、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF;定量範囲0.33~10,200pg/mL)、インターフェロンガンマ(IFN-γ;定量範囲9.45~27,000pg/mL)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β;定量範囲0.35~4430pg/mL)、インターロイキン-2(IL-2;q定量範囲1.24~1990pg/mL)、インターロイキン-4(IL-4;定量範囲0.16~1,780pg/mL)、インターロイキン-6(IL-6;定量範囲0.89~2,050pg/mL)、インターロイキン-8(IL-8;定量範囲0.35~2,180pg/mL)、インターロイキン-10(IL-10;定量範囲0.35~3,770pg/mL)、マクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP-1α;定量範囲14.5~5,580pg/mL)及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α;定量範囲0.66~2,940pg/mL)のレベルについて血漿試料を評価した。
【0451】
サイトカインレベルを、較正標準からのシグナルを1/Yの重み付けで4パラメータロジスティック又はシグモイド用量反応モデルに当てはめることによって、各サイトカインに対する較正曲線を用いて定義した。サイトカイン濃度を決定するための計算を、MSD DISCOVERY WORKBENCH解析バージョン4.0(Mesoscale Discovery、Rockville,Maryland,USA)を使用して行い、濃度をpg/mLの単位で表した。
【0452】
サイトカインデータ(3連)を分析し、GraphPad Prismソフトウェア、バージョン9.1.2(GraphPad Software、San Diego,CA,USA)を使用して、3連間の変動係数(%CV)を計算した。底部制約を0に設定したシグモイド線量応答4パラメータ可変勾配計算を分析に使用した。技術的エラーが発生し、何も検出されなかった試料は、未検出(UD)として報告された。定量下限(LLOQ)以下の濃度の試料をLLOQとして報告し、この値を全ての計算に使用した。定量の上限(ULOQ)を超える濃度の試料を、得られた外挿値として報告し、この値を全ての計算に使用した。陰性対照(未処置共培養物)と比較して、各処置試料についてサイトカインレベルの倍数変化を計算した[全体平均(SDあり)及び中央値(Q1及びQ3:第1及び第3の四分位数)]。
【0453】
結果
図28図32に示すように、陽性対照、抗CD3/CD28及びTCE-BCMAは、陰性対照(未処置及びアイソタイプ対照)と比較した場合、IFN-γ(図28A)、MIP-1α(図28B)、TNF-α(図29A)、IL-1β(図29B)、IL-6(図30A)、IL-8(図30B)、IL-2(図31A)、GM-CSF(図31B)、IL-4(図32A)及びIL-10(図32B)についてサイトカイン放出の強い増加を実証する。陽性対照、抗CD52は、IFN-γ(図28A)、IL-6(図30A)、MIP-1α(図28B)、IL-1β(図29B)及びIL-8(図30B)のサイトカイン放出を誘導したが、IL-2(図28A)、IL-10(図31A)、GM-CSF(図31B)又はIL-4(図32A)等の典型的にT細胞応答に関連するサイトカインは誘導しなかった。異なることに、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBは、IFN-γ(図28A)及びMIP-1α(図28B)のみの分泌を誘導し、評価した他の全てのサイトカインの変化は報告されなかった。
【0454】
未処置全血及びRPMI 8226-RFP共培養物(陰性対照)と比較した場合、試験した全ての濃度(1、10,100、及び300μg/mL)でドナー全体でIFN-γ及びMIP-1αの明らかなNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB関連増加があった。(全ての試験濃度で)NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBと共にインキュベートした試料中のIFN-γレベル(図28A)は、陰性対照よりも高かったが(3~6倍)、陽性対照よりもはるかに低かった。IFN-γの増加に対するNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB関連濃度依存性はなく、レベルはアイソタイプ対照に匹敵し、IFN-γ分泌が、BCMA結合活性に関連するのではなく、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBによるNK細胞係合に関与することを示唆した。NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB誘導性MIP-1α(図28B)レベルは、陰性対照よりもわずかに高かったが(1~3倍)、陽性対照よりも著しく低かった。試験した両方のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBバッチ(CER及びGMP)間でサイトカイン放出プロファイルに差はなかった。
【0455】
総合すると、結果は、ヒトにおけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB結果ni CRSのリスクが低いと考えられることを示している。これらの結果はまた、実施例12に示されるインビトロサイトカイン放出アッセイ(PBMC)からの結果を裏付け
ており、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBが好ましい安全性プロファイルを有するという結論を支持する。
【0456】
実施例15:NKp46二重特異性抗体に応答したNK細胞活性化及びMM細胞溶解の分析
序論
この実施例は、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBが、MM末梢血からのNK細胞を活性化し、MM細胞死を誘導する能力を評価した。標的細胞としてのKarpas 620 MMを、漸増濃度のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB、アイソタイプ対照抗体(10mg/ml)又はダラツムマブ(10mg/ml)の存在下、E:T比10:1で、エフェクター細胞としてのMM患者(n=13、表18)からのPBMCと共インキュベートした。
【0457】
この目的のために、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBを使用して、MM診断時にMM患者由来のPBMCと共インキュベートしたKarpas 620 MM細胞(N=2)、又は再発したMM症例(N=11)を処置した。CD138発現の喪失によるMM細胞死について、フローサイトメトリーによって試料を分析した。並行して、CD107a及びIFNg発現によるNK細胞(CD3CD56dim)の活性化を評価した。
【0458】
材料及び方法
(1)細胞精製及び共培養条件。MM細胞溶解アッセイの前日に、密度勾配遠心分離後に単離されたMM患者由来のPBMCをCD3-PE及びCD56-APCによって直ちに染色し、NK活性化前にフローサイトメトリーを使用して結果を分析してCD3-/CD56+細胞の割合を決定した。NK細胞が5%を超えるリンパ球を表す場合、PBMCを、10%FCS(NK細胞を保存するための自然ファルマ由来のFCS)を含有する培養培地中に37℃及び5%CO2で一晩維持した。10:1の比の休止期PBMC及びMM標的細胞株を、試験した分子の存在下で4時間共培養した。次いで、(i)NK細胞上の活性化マーカー(CD107a)の発現及びサイトカイン(IFNg)の細胞内産生、並びに(ii)MM細胞死(CD138)をフローサイトメトリーによって分析した。
【0459】
(2)細胞調製及び処置並びに対照群の条件。300,000個のPBMC及び30,000個のMM標的細胞(Karpas 620)を採取し、U底96ウェルプレートの各ウェルに計数して、エフェクターを得た:10:1の比の標的(E:T)細胞比。400,000個のPBMCを、患者のNK細胞の最小限の表現型検査(CD56、CD3、CD16、NKp46)のためにインキュベーター内に保った。細胞を300gで5分間遠心分離し、BD GolgiSTOP(商標)溶液(1/6000)を含有する培地に再懸濁し、ウェルあたり300,000個のPBMC及び30,000個のMM細胞で分注した。対照条件は以下の通りであった:陰性対照は、処置を加えていないKarpas
620、PBMC及びKarpas 620+PBMCであった。NK活性化の陽性対照は、125ng/mlのPhorbol 12 myristate 13 acetate(PMA、Sigma、参照P8139)及び1mg/mlのイオノマイシン(シグマ、参照I0634)で処置したPBMCであった。処置群はアイソタイプ対照(10mg/ml)、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB(10mg/ml)を共培養試料に37±1℃及び5±1%COで4時間添加した。処置を加える前に、抗体を+4℃で10分間16000×gで遠心分離して、潜在的な凝集体を除去した。
【0460】
(3)染色及びフローサイトメトリー分析。37±1℃及び5±1%COでの4時間のコインキュベーションの後、細胞をフローサイトメトリー分析のために細胞外又は細胞内で染色した。(3a)細胞外染色。細胞をV底プレートに移し、1900×gで1分間
遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を200μlのPBSで洗浄し、再び1900×gで1分間遠心分離し、上清を廃棄した。50μlのBD Pharmingen Stain Buffer BSA/Brilliant Stain buffer plus
antibody master mixを各試料に添加した。NK活性化及びMM細胞死解析に用いた抗体を以下の表19に示す。その後、細胞を暗所で4℃で20分間インキュベートした。最後に、細胞を200μlの染色緩衝液で洗浄し、1900gで1分間遠心分離し、上清を廃棄した(2回)。(3b)細胞内染色。細胞を100mlのBD Cytofix/Cytopermに再懸濁し、暗所で4℃で20分間インキュベートした。細胞を200μlの1×BD Perm/洗浄緩衝液(蒸留HO中の10×BD Perm/洗浄緩衝液)で2回洗浄し、1900gで1分間遠心分離し、上清を廃棄した。細胞を50μlの抗体マスターミックス+BD Perm/Wash緩衝液に再懸濁し、4℃で30分間暗所でインキュベートした。その後、細胞を200μlのBD Perm/Wash緩衝液で2回洗浄し、1900gで1分間遠心分離し、上清を捨てた。最後に、細胞を200μlの染色緩衝液に再懸濁し、フローサイトメトリー分析を行った。取得前に、UltraComp eBeads(Invitrogen)を各抗体フルオロフォアで染色して、適切な蛍光補償対照を設定した。結果を、BD FACSymphony A5及びBD FACSDivaソフトウェアを使用して分析した。FlowJoソフトウェアを使用して分析を行った。
【0461】
【表19】
【0462】
結果
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBによって誘導されたKarpas 620 MM細胞死を、フローサイトメトリーによってCD138発現の喪失を測定することによって最初に分析した。NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBは、疾患の病期にかかわらず、13名のMM患者のPBMCのうち10名と共培養した場合、Karpas 620 MM細胞死の誘導を実証した。予想されるように、アイソタイプ対照はMM細胞死を誘導しない。興味深いことに、10mg/mlのNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBによって誘導されたMM細胞死は、有意であった(p=0.0105、図
33A)。
【0463】
並行して、NKdim細胞上のIFNg及びCD107a発現の測定によってNK細胞活性化を誘導するNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBの能力を評価した(図33B及び図33C)。IFNg及びCD107aの発現は、アイソタイプ対照よりもNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBに応答してより特異的に誘導される。
【0464】
まとめると、これらの結果は、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBが、原発性又は難治性のMMを有する患者を処置するための治療的可能性を有することを示している。
【0465】
実施例16.MM患者試料に対するNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBのエクスビボ機能活性
この実施例は、MM患者からの一次試料を使用して、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBがMM細胞死を誘導する能力を評価する。細胞死を、CD138MM細胞の減少によって決定した。
【0466】
材料及び方法
(1)細胞精製及び共培養条件。MM細胞死アッセイの日に、MM患者からの骨髄単核細胞(BMMC)を、Ficoll-Hypaqueを使用する密度勾配遠心分離によって単離し、抗CD138-PEモノクローナル抗体で直ちに染色し、MM細胞(CD138細胞)の割合を決定するためにフローサイトメトリーを使用して分析した。BMMC又はPBMCを陰性対照又はSAR445514又はダラツムマブの存在下で18時間インキュベートした。
【0467】
(2)細胞調製及び処置並びに対照群の条件。400,000個のBMMCを、5%FCS及び3ng/mlの組換えヒトIL-6を含有するRPMI中のU底96ウェルプレートの各ウェルに播種した。600,000個のPBMCを、患者NK細胞の最小限の表現型検査(CD56、CD3、CD16、NKp46)のために、及びMM細胞のBCMA発現を決定するために、インキュベーター内に保った。対照条件は以下の通りであった:陰性対照は、処置を加えていないBMMC又はPBMCであった。処置群は、アイソタイプ対照(10μg/ml)、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB(10μg/ml)を37±1℃及び5±1%COで18時間試料に添加した。処置を加える前に、抗体を+4℃で10分間16000×gで遠心分離して、潜在的な凝集体を除去した。
【0468】
(3)染色及びフローサイトメトリー分析。37±1℃及び5±1%COでの18時間のコインキュベーションの後、細胞をフローサイトメトリー分析のために細胞外染色した。(3a)細胞をV底プレートに移し、1900×gで1分間遠心分離した。上清を捨て、細胞を200μlのPBSで洗浄し、再び1900×gで1分間遠心分離した。上清を捨てた。50μlのBD Pharmingen Stain Buffer BSA/Brilliant Stain buffer plus antibody master mixを各試料に添加し、暗所において4℃で30分間インキュベートした。細胞を200μlのBD Pharmingen Stain Buffer BSAで洗浄し、1900gで1分間遠心分離し、上清を捨てた。これを2回目に繰り返した。細胞をPBS中1%パラホルムアルデヒドで50μlに再懸濁し、暗所で4℃で15分間インキュベートした。次いで、細胞を200μLのBD Pharmingen Stain Buffer BSA中で1回洗浄し、200μLのBD Pharmingen Stain Buffer BSAに再懸濁させてフローサイトメトリー分析を実施した。
【0469】
試料取得前に、UltraComp eBeads(Invitrogen)を各抗体フルオロフォアで染色して、適切な蛍光補償対照を設定した。試料及びeBeadsは、BD FACSDivaソフトウェアを備えたBD FACSymphony A5を使用して取得した。FlowJoソフトウェアを使用して分析を行った。
【0470】
NK細胞活性化を、CD3-/CD56dimNK細胞上のCD16、CD107a及びCD69発現によって評価した。骨髄腫細胞死をCD138細胞の消失によって評価した。
【0471】
【表20】
【0472】
【表21】
【0473】
【表22】
【0474】
結果
MM患者試料(N=16)に対するNKp46-BCMAのエクスビボ活性を試験した。このために、多発性骨髄腫患者由来のBMMC又はPBMCを未処置とし、10mg/ml NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBで処置し、又は10μg/mLのアイソタイプ対照で18時間処置した。MM細胞死を、フローサイトメトリーを使用するCD138発現の喪失によって測定した。図16A~16Cは、治療未経験患者からの試料におけるエクスビボNKp46=BCMA_Fc-ADE-DSB NKCE治療を、標準治療を事前に受けた者又は臨床試験に含まれた者と比較した結果を示す。患者試料は、ダラツムマブに対する治療未経験の場合、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB治療に対してより応答性であり(図16A)、患者が複数回の再発を有した場合、応答する可能性がわずかに低かった(図16B)。図16Cは、再発>4 TC後に試料がNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBにあまり応答しなかったことを示す。
【0475】
これらのデータは、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB NKCEが、疾患の異なる段階(診断又は再発)のMM患者からの試料においてMM細胞死を誘導することを実証している。
【0476】
実施例17.カニクイザルにおける反復皮下投与後の併用薬物動態(PK)及び安全性研究
方法及び材料
NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBのストック溶液を、10mMヒスチジン、pH5.5、8%スクロース、0.05%PS80及び10μM EDTA中50mg/mLの濃度で提供した。
【0477】
用量レベル及び投与:両性(雄及び雌)の非ヒト霊長類(NHP)カニクイザル(Macaca fascicularis)に、NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBを1mL/kgで週に1回(1、8、15日目)、3週間皮下経路(SC、背部領域)で投与した。
【0478】
【表23】
【0479】
採取した試料:薬物動態(PK)及びサイトカイン評価のために血漿を採取した。
PK試料:PKデータのための血漿試料を以下の時点で採取した:1日目、1、5、及び24時間;8日目、0及び24時間;15日目、0、1、5、24、及び144時間。
【0480】
サイトカイン(INF-g、IL-6、IL-8及びTNF-a)評価:サンプリング時点は、処置前、各投薬の5時間後及び24時間後であった(1、8、15日目)。サンプリング部位は、大腿静脈、伏在静脈、及び/又は橈側静脈であった。血液試料(0.5mL)をK2-EDTAサンプリングチューブに採取した。サル血漿試料中のINF-g、IL-6、IL-8及びTNF-αの測定は、Mesoscale Discovery(U-PLEX Proinflam Combo 1(NHP)SECTORアッセイキット、カタログ番号K15070K-2)からの探索ECLIA(電気化学発光イムノアッセイ)法を用いて行った。全ての変動を、ベースライン値(1日目の最初の投薬前)と比較して表す。分析上のばらつきのために、値が対応するベースライン値よりも2倍超高い場合、サイトカインの増加は生物学的に有意であると考えられた。等級付けを以下のように適用した:2倍以下の変化:生物学的に関連する変化なし;3~10倍の変化:非常に最小限の増加;11~100倍の変化:最小の増加;101~1000倍の変化:中程度の増加;及び1001倍以上の変化:著しい増加。
【0481】
結果
血漿中のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB濃度を、Gyrolabプラットフォームで実行される探索免疫測定法を使用して決定した。カニクイザルにNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSBを毎週SC投薬した後の血漿中の記述統計(平均及び%CV)NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB PKパラメータを表24に示す。個々のNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB PKパラメータを表25に示す。個々の(及び平均)NKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB血漿濃度値を表26に示す。
【0482】
【表24】
【0483】
週3回のSC投与後、8及び15日目の血漿中にわずかなNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB蓄積が観察され、蓄積比はそれぞれ25,000及び50,000μg/kg/adm(すなわち、25及び50mg/kg/adm)で1.6~2.6の範囲であった(図34A及び図34B)。
全体として、サルにおけるNKp46-BCMA_Fc-ADE-DSB SC投薬後、バイオアベイラビリティは90%に近かった。
【0484】
【表25】
【0485】
【表26】
【0486】
サイトカイン(INF-g、IL-6、IL-8及びTNF-a)評価:サイトカイン(INF-g、IL-6、IL-8及びTNF-α)を、方法及び材料の節で指定された時点で採取した血漿試料において測定した。毎週のSC投薬後、IFN-g及びTNF-αレベルの変化はいずれの動物においても観察されなかった。IL-6(図35)については、試験した最高用量の50mg/kg/admの後に、一過性の非常に最小限(雌25番における最大10倍の変化)から最小限(雌24番における最大21倍の変化)の増加のみが観察された。IL-8については、25mg/kg/admを投与した両動物において、非常に最小限の増加(最大6倍の変化)が観察された。
【0487】
実施例18.多発性骨髄腫患者におけるNKp46-BCMA NKCE結合タンパク質の研究
これは、再発性/難治性多発性骨髄腫(r/r MM)の参加者において本明細書に開示されるNKp46-BCMA NKCEを評価するためのファーストインヒューマンフェーズ1/フェーズ2研究である。
【0488】
研究は3つの部分を含む。第1に、用量最適化部で試験される2つの用量を決定するために投与されるいくつかの用量を評価するr/r MM参加者における用量漸増フェーズ
である。第2に、事前推奨フェーズ2用量(pRP2D)を決定し、NKp46-BCMA NKCEのスケジュールを決定するために用量漸増フェーズから決定された2つの用量を評価することになる用量最適化フェーズである。第3に、確認された推奨第2相用量(cRP2D)の予備的有効性を評価し、r/rのMM患者におけるNKp46-BCMA NKCEのスケジュールを行う用量拡大フェーズ。
【0489】
参加者は、登録及び治験介入によって治療され、そのまま分離される:第1部/用量漸増フェーズの約18~30名の参加者;第2部/用量最適化フェーズの約30名の参加者;及び約15名の参加者が、第3部/用量拡大に参加した。
【0490】
参加者の研究期間は、サイクル1の1日目(C1D1)の前の最大28日間のスクリーニング期間、登録した参加者が4週間サイクルのNKp46-BCMA NKCEの皮下投与を受ける治療期間を含む。治療訪問の終了は、最後の治験医薬製品投与又は更なる治療の開始前のいずれか早い方から30日間(+/-7日)行われる。
【0491】
主要評価項目測定:
・用量漸増:用量制限毒性(DLT)の存在。DLTは、CRS又はICANSのNCI
CTCAEバージョン5.0又はASTCT基準を使用して定義される。
・用量の最適化:全奏効率(ORR)。ORRは、2016年のInternational Myeloma Working Group(IMWG)基準による、最後の参加者が少なくとも4サイクル治療された後、又は早期に中止された後の、ストリンジェントな完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)、及び部分奏効(PR)を有する参加者の割合として定義される。
・用量拡大:全奏効率(ORR)。ORRは、2016年のInternational
Myeloma Working Group(IMWG)基準による、ストリンジェントな完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)、及び部分奏効(PR)を有する参加者の割合として定義される。
【0492】
副次評価項目測定:
・用量漸増全奏効率(ORR):ORRは、2016 IMWG基準によるsCR、CR、VGPR及びPRを有する参加者の割合として定義される。
・用量の最適化:DLTの存在及び治療下で発現した有害事象(TEAE:treatment-emergent adverse events)を経験している参加者の割合。TEAEは、治療期間中に発症する、悪化する、又は重篤になる有害事象として定義される。治療期間は、治験治療の最初の用量から治験治療最後の用量の30日後までの時間として定義される。
・用量の最適化及び拡大:
o非常に良好な部分奏効又はより良好なレート
o奏効期間(DOR)。DORは、最初の応答の日付から進行性疾患の最初の発生の日付までの時間(治験責任医師によって決定されたPD又は何らかの原因による死亡のいずれか早い方)として定義される。DORは、応答(PR又はそれ以上)を達成した参加者に対してのみ決定される。
o最初の応答までの時間(TT1R):TT1Rは、最初の応答の日付から進行性疾患の最初の発生の日付までの時間(治験責任医師によって決定されたPD又は何らかの原因による死亡のいずれか早い方)として定義される。DORは、応答(PR又はそれ以上)を達成した参加者に対してのみ決定される。
o最良効果までの時間(TTBR):TTBRは、IMPの最初の投与から、続いて確認される最良総合効果(PR又はそれ以上)の最初の発生の日までの時間として定義される。
o無増悪生存期間(PFS):PFSは、IMPの最初の投与日から進行性疾患の最初の
文書化日又は任意の原因による死亡日のいずれか早い方までの時間として定義される。応答をIMWG基準に従って決定する。パラプロテインに基づく進行は、2つの連続した評価に基づいて確認される。
o全生存期間(OS):OSは、IMPの最初の投与の日付から任意の原因で死亡するまでの時間として定義される。
o臨床的有効率(CBR):CBRは、IMWG 2016基準に従って治験責任医師によって決定された、最初のIMP投与から少なくとも6ヶ月の任意の時点での確認されたCR若しくはPR又は安定疾患(SD)を有する参加者の割合である。
o治療下で発現した有害事象(TEAE)を経験している参加者の割合:治療下で発現した有害事象(Aes)は、処置期間中に発症するか、悪化するか、又は重篤になるAesとして定義される。治療期間は、治験治療の最初の用量から治験治療の最後の用量の30日後までの時間として定義される。
o注入関連反応(IAR)の発生率
o注射部位反応の発生率(ISR)
o検査異常の発生率
o単剤療法AUClastにおけるNKp46-BCMA NKCEの薬物動態(PK)パラメータの評価:時間0から定量下限を超えて観察された最後の濃度の時間まで台形法を使用して計算した血漿濃度対時間曲線下面積(すなわち、Clast)
o単剤療法におけるNKp46-BCMA NKCEの薬物動態(PK)パラメータの評価:Cmax(最大観察濃度)
o単剤療法におけるSAR445514の薬物動態(PK)パラメータの評価:Tmax(Cmaxに達する最初の時間)
o単剤療法におけるNKp46-BCMA NKCEに対する抗薬物抗体(ADA)の発生率
o最小残存病変(MRD)陰性率:VGPR又はそれ以上の応答を有する患者におけるMRDの状態
【0493】
選択基準:
・参加者は、次のものを有しなければならない:
o多発性骨髄腫の文書化された診断
o再発/難治性多発性骨髄腫(r/r MM)
or/r MMの測定可能な疾患
oMMを有する参加者は、第二世代又は第三世代の免疫調節薬、ステロイド、プロテアソーム阻害薬及び抗CD38モノクローナル抗体の少なくとも2回の連続サイクルを含まなければならない少なくとも2種類の事前治療を受けていなければならない。
oIMWG 2016基準による、進行性疾患(PD)の文書化された証拠がなければならない
o用量漸増の場合、体重40~120kg以内
o署名されたインフォームドコンセントを与えることができる
【0494】
除外基準:
・原発性難治性MMは、疾患経過中に任意の治療で少なくとも最小限の応答を達成したことがない参加者として定義される。
・第2の原発性悪性腫瘍
・原発性全身LCA及び形質細胞白血病
・鬱血性心不全
・治験治療前14日以内の制御されていない感染
・抗ウイルス治療を必要とする公知の後天性免疫不全症候群関連疾患又は公知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患又は活動性A型肝炎(A型肝炎抗原陽性又はIgM陽性として定義される);スクリーニング時のHIV血清学は、地域の規制によって要求される国
の参加者に対して試験される。
・制御されない又は活動性のB型肝炎ウイルス(HBV)感染:陽性B表面抗原(HBsAg)及び/又はHBVデオキシリボ核酸(DNA)を有する参加者
・活動性C型肝炎ウイルス(HCV)感染:陽性HCVリボ核酸(RNA)及び陰性抗HCV
・治験治療前14日以内の任意の抗MM薬物治療
・活動性移植片対宿主病(GvHD)を伴う以前の同種異系造血幹細胞(HSC)移植(GvHD、任意のグレード及び/又は無作為化前の最後の2ヶ月以内の免疫抑制治療下にある)
・治験治療の開始前14日以内の任意の主要手順
・治験治療の最初の投与の90日前未満での抗CD38モノクローナル抗体(イサツキシマブ又はダラツムマブ)の投与
・治験治療の投与の21日前未満での抗BCMA剤(限定されないが、CAR T細胞、TCE、抗体薬物コンジュゲートを含む)の投与
・CTCAEバージョン5.0グレード1に解消されていないと定義される、以前の抗癌療法からの解消されていない毒性。
・デキサメタゾンに対する禁忌を有する参加者
・28日以内又は治験治療からの5半減期のいずれか短い方の期間内に、この研究のための任意の他の治験薬物又は禁止された治療を受けた
・ヘモグロビン<8g/dL(5.0mmol/L)
・血小板<50×10^9/L(このレベルに達するようにスクリーニング血小板数前1週間以内に参加者に輸血することは許容されない)
・絶対好中球数(ANC)<1000μL(1×10^9/L)
・クレアチニンクリアランス<30mL/分(腎疾患処方における食餌の修正)
・総ビリルビン>1.5×正常値の上限(ULN)(対象がギルバート症候群を実証していない限り、その場合直接ビリルビンは>2.5×ULNであるべきではない)
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/SGOT)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/SGPT)>2.5×ULN
・グレード3又は4の高カルシウム血症(12.5mg/dL超の補正血清カルシウム;3.1mmol/L超;1.6mmol/L超のイオン化カルシウム;又は入院を必要とする)を有する患者は、患者が抗高カルシウム血症処置下でグレード2以下に回復しない限り適格ではない。
・規制又は法的命令のために機関に収容されている個人;法的に施設に収容されている被収容者又は参加者。
・治験責任医師が判断した理由を問わず参加に適さない参加者
・治験介入、又はその成分、又は治験責任医師の意見では研究への参加を禁忌とする薬物又は他のアレルギーのいずれかに対する感受性
【0495】
実施例19.再発性/難治性軽鎖アミロイドーシス患者におけるNKp46-BCMA NKCE結合タンパク質の研究
LCAを治療するために使用される単一及び併用化学療法剤又は免疫療法レジメンは、患者にとってしばしば忍容が困難であり、患者は現在のLCA治療レジメンの持続する副作用に屈することが多い。Hassan and Sanchorawala(2022),Hemato,vol.3:38-46.;Sidiqi & Gertz(2021),Blood Cancer Journal,vol.11:90.
【0496】
本明細書で設計されるナチュラルキラー細胞エンゲージャーは強力であるが、他の状況では好ましい毒性プロファイルを有する。したがって、ナチュラルキラー細胞エンゲージャーはLCA患者に対しても治療効果を有すると仮定される。
【0497】
再発性/難治性軽鎖アミロイドーシス患者に本明細書に開示されるNKp46-BCMA NKCEを投薬することの安全性、耐容性及び実現可能性のフェーズ1研究を実施する。この研究は、患者に安全に投与することができるNKp46-BCMA NKCEの用量及びレジメンを同定することである。研究全体を通して、毒性、有害な副作用及び疾患の進行について患者を監視する。多発性骨髄腫の事前診断なしに軽鎖アミロイドーシスと診断された患者が、この研究のために選択される。
【0498】
研究の概要:
これは、再発性/難治性軽鎖アミロイドーシス(RRLCA)患者における単剤療法としての、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするNK細胞エンゲージャーであるNKp46-BCMA NKCEの安全性及び有効性を調査するためのファーストインヒューマン、非盲検フェーズ1/2研究である。
【0499】
選択基準及び除外基準:
軽鎖アミロイドーシスの文書化された診断を有し、少なくとも1つのプロテアソーム阻害剤を含む少なくとも1つの先行治療ラインを受けた患者の登録が許可される。患者は、国際アミロイドーシス学会(ISA)2012更新に従って測定可能な疾患を示さなければならず、ISA 2012基準に従って、進行性疾患(PD)の実証された証拠を有していなければならない。患者は、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインに従ってアミロイドーシスの影響を受ける1つ以上の臓器を有するべきである。
【0500】
用量漸増目的のために、患者の体重は50~100kgであるべきである。患者はまた、18歳を超える成人でなければならず、署名されたインフォームドコンセントを与えることもできなければならない。
【0501】
以下のいずれかが実証された場合、患者は研究から除外される。
1.以下の1つ以上として定義される、臨床的に有意な心血管状態の証拠:
a.脳性ナトリウム利尿ペプチドのN末端プロホルモン(NT-proBNP)>8500ng/mL
b.ニューヨーク心臓病学会(NYHA)分類IIIb又はIV心不全
c.治験責任医師の意見では、LCA心筋症に主に関連しない心不全(限定されないが、虚血性心疾患、矯正されていない弁膜疾患、感染症を含む)
d.急性冠動脈症候群、心筋梗塞又は不安定狭心症の過去6ヶ月の前の事象(病歴)、並びに過去6ヶ月間にステント及び/又は冠動脈バイパスによる経皮的心臓介入を経験した参加者
e.心血管事象に関連する治療前の最後の4週間の入院
f.持続性心室頻拍、房室の関連、又は洞房結節機能不全を含むが、これらに限定されない、ペースメーカー又は植込み型除細動器(ICD)を必要とするが、それらが配置されていない不整脈及び/又は心伝導障害の既往歴
2.収縮期血圧<100mmHg又は拡張期血圧<55mmHg
3.溶解性骨疾患、形質細胞腫、骨髄中の60%以上の形質細胞、又は高カルシウム血症の存在を含む、症候性多発性骨髄腫の以前又は現在の診断
4.治験治療前14日以内の制御されていない感染
5.抗ウイルス治療を必要とする公知の後天性免疫不全症候群関連疾患又は公知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患又は活動性A型肝炎(A型肝炎抗原陽性又はIgM陽性として定義される);スクリーニング時のHIV血清学は、地域の規制によって要求される国の参加者に対して試験される。
6.制御されない又は活動性のB型肝炎ウイルス(HBV)感染:陽性B表面抗原(HBsAg)及び/又はHBVデオキシリボ核酸(DNA)を有する参加者
7.活動性C型肝炎(HCV)感染症:陽性HCVリボ核酸(RNA)及び陰性抗HCV8.任意の非軽鎖アミロイドーシス
8.事前/併用療法:
a.治験治療前14日以内の任意の抗多発性骨髄腫薬物治療
b.無作為化前の最後の2ヶ月以内に、任意のグレードの活性移植片対宿主病(GvHD)及び/又は免疫抑制治療下である事前の同種異系造血幹細胞(HSC)移植
c.治験治療の開始前14日以内の任意の主要手順
d.治験治療の最初の投与の90日前未満での抗CD38モノクローナル抗体(イサツキシマブ又はダラツムマブ)の投与
e.治験治療の投与の21日前未満での抗BCMA剤(限定されないが、CAR T細胞、TCE、抗体薬物コンジュゲートを含む)の投与
f.CTCAEバージョン5.0グレード1に解消されていないと定義される、以前の抗癌療法からの解消されていない毒性。
g.デキサメタゾンに対する禁忌を有する参加者
9.事前/同時臨床研究経験
a.28日以内又は治験治療からの5半減期のいずれか短い方の期間内に、この研究のための任意の他の治験薬物又は禁止された治療を受けた
10.診断評価
a.ヘモグロビン<8g/dL(5.0mmol/L)
b.血小板<50×10/L(このレベルに達するようにスクリーニング血小板数前1週間以内に参加者に輸血することは許容されない)
c.絶対好中球数(ANC)<1000μL(1×10/L)
d.クレアチニンクリアランス<30 m L/分(腎疾患式における食事の修飾)
e.総ビリルビン>1.5×正常値の上限(ULN)(対象がギルバート症候群を実証していない限り、その場合直接ビリルビンは>2.5×ULNであるべきではない)
f.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/SGOT)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/SGPT)>2.5×ULN
g.グレード3又は4の高カルシウム血症(12.5mg/dL超の補正血清カルシウム;3.1mmol/L超;1.6mml/L超のイオン化カルシウム;又は入院を必要とする)を有する患者は、患者が抗高カルシウム血症処置下でグレード2以下に回復しない限り適格ではない。
11.その他の除外:
a.規制又は法的命令のために機関に収容されている個人;法的に施設に収容されている被収容者又は参加者。
b.治験責任医師が判断した理由を問わず参加に適さない参加者
c.治験介入、又はその成分、又は治験責任医師の意見では研究への参加を禁忌とする薬物又は他のアレルギーのいずれかに対する感受性。
【0502】
研究目的:
この研究の主な目的は、以下の通りである:1)用量漸増中の推奨されるフェーズ2用量(RP2D)を決定する;2)用量拡大中の併用推奨フェーズ2用量での血液学的応答を決定する。pRP2Dは、サイクル1での用量制限毒性(DLT)を考慮に入れ、全体的な安全性プロファイル、薬物動態(適切な場合)、及びバイオマーカーを考慮に入れる。血液学的応答は、欧州血液学会/国際血液学会の作業グループ基準による、ストリンジェントな完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)及び部分奏効(PR)を有する参加者の割合として定義される。
【0503】
研究の副次的目的は、以下の通りである:1)参加者におけるNKp46-BCMA NKCEの潜在的有効性を評価する、2)参加者におけるNKp46-BCMA NKCEの安全性を評価する、3)単剤療法としてのNKp46-BCMA NKCEの薬物動
態(PK)を特徴付ける、4)単剤療法としてのNKp46-BCMA NKCEの潜在的免疫原性を評価する(NKp46-BCMA NKCEに対する抗薬物抗体(ADA)の発生率)、及び5)VGPR以上の応答を有する患者におけるNKp46-BCMA NKCEの最小残存病変(MRD)陰性率を評価する。
【0504】
研究の三次目的は以下の通りである:1)臨床転帰(日常生活動作(ADL)及び手段的日常生活動作(IADL)アンケート)に対する虚弱の影響を評価する;2)RRLCA患者の神経学的症状に対するNKp46-BCMA NKCEの影響を評価する
【0505】
研究設計:
これは、再発性/難治性LCA(RRLCA)を有する参加者における単剤としてのNKp46-BCMA NKCEの安全性及び有効性を評価するためのファーストインヒューマン(FIH)非盲検研究である。用量が安全であることを確実にするために2つの用量を評価するためのRRLCAにおける用量漸増フェーズ。用量拡大段階は、推奨されるフェーズ2用量(RP2D)の予備的有効性を評価し、スケジュールする。用量漸増フェーズ及び用量拡大フェーズの間、NKp46-BCMA NKCEは、皮下経路を使用して参加者に投与される。
【0506】
この研究は、以下を含む:
-研究開始前の最大28日間のスクリーニング期間;
-登録された参加者が治験薬を受ける治療期間(4週間サイクル、皮下投与)
-治療訪問の終了。治療訪問の終了は、最後の治験薬からおよそ30日後、又は更なる薬の開始前のいずれか早い方に行われる。
【0507】
参加者の研究期間は、以下を含む:
-スクリーニング期間:サイクル1の1日目の28日前まで(C1D1)
-治療期間:登録された参加者は、4週間サイクルのNKp46-BCMA NKCEの皮下投与を受けるであろう。
-治療の終了は、治験医薬製品の最後の投与(IMP)から30日間(+/-7日間)又は更なる治療の開始前のいずれか早い方から行われる。
-フォローアップ期間は、死亡するまで、参加者が研究の中止を要求したとき、最終的な全生存期間分析のとき、又は任意の時点での試験依頼者の裁量による生存フォローアップの中止のときまで継続する。
【0508】
用量決定のための考察は、サイクル1でのDLT、全体的な安全性プロファイル、PK、及びバイオマーカー(例えば、NK細胞数、NK細胞活性化マーカー、可溶性BCMA)を含み(ただし、これらに限定されない可能性もある)、推定MTDを超えてはならない。
【0509】
用量拡大は、pRP2Dで治療された14名の参加者を含むであろう。コホートの主要エンドポイントは、最後の参加者が4サイクル治療された後、又は時期尚早に中止された後の血液学的応答である。LCA血液学的応答及び進行並びに臓器応答及び進行を、ISA 2012基準を使用して局所的に評価することになる。用量漸増及び用量拡大の間にcRP2Dで治療された全ての参加者(曝露集団)を、主要エンドポイント及び副次的エンドポイント分析のために考慮に入れることになる。LPIのおよそ15ヶ月後にPFS及びOS分析の更新があり、最終OS分析のカットオフ日はLPEのおよそ30ヶ月後であり、これも曝露集団で行われる。
【0510】
リスク評価:
この研究における、NKp46-BCMA_NKCEの以下の重要な潜在的リスク(既
存の生物学的妥当性及び皮下投与経路を考慮):注入反応、サイトカイン放出症候群、神経毒性(ICAN以外)、低ガンマグロブリン血症、B細胞枯渇及び感染症、ウイルス再活性化、コロナウイルス病2019(COVID-19)との関連におけるリスク、注射部位反応、免疫原性、並びに第2の原発性悪性腫瘍。
【0511】
エンドポイント:
主要エンドポイント:
用量漸増終了時の観察:
-サイクル1の終わり(4週間)での用量制限毒性(DLT)の存在及びベースラインからフォローアップの終わり(およそ15ヶ月)までに観察された治療下で発現した有害事象(TEAE)を経験している参加者の割合。
-血液学的応答(HR)。HRは、サイクル1~4(サイクルあたり4週間)の間の、欧州血液学会/国際血液学会作業グループガイドラインによるストリンジェントな完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)及び部分奏効(PR)を有する参加者の割合として定義される。
【0512】
副次的エンドポイント:
用量漸増終了時の観察:
-全血液学的応答(OHR)。OHRは、国際アミロイドーシス学会のガイドライン(ISA 2012)に従って、CR、VGPR及びPRを有する参加者の割合として定義される。OHRは、サイクル1から最初の進行性疾患又はフォローアップの終了までのいずれか早い方まで(28日間のサイクルでおよそ15ヶ月間)測定される。
【0513】
用量延長終了時の観察:
-血液学的完全奏効率(HCR)。HCRは、ISA 2012による完全奏効を有する患者の割合として定義される。サイクル1から最初の進行性疾患又はフォローアップの終了までのいずれか早い方まで(28日間のサイクルでおよそ15ヶ月間)、HCRを評価する。
【0514】
用量拡大終了時の観察:
-全生存期間(OS)。OSは、研究登録日から任意の原因による死亡までの時間として定義される。OSは、サイクル1から死亡又はフォローアップの終了までのいずれか早い方(28日間のサイクルでおよそ15ヶ月)で評価する。
-無増悪生存期間(PFS)。PFSは、IMPの最初の投与から以下のいずれかまでの時間として定義される。血液学的進行、ISA 2012基準による主要臓器進行(心臓、腎臓、又は肝臓)又は何らかの原因による死亡。PFSは、サイクル1から最初に来る最初の進行性疾患(臓器又は血液学的)又はフォローアップの終了(28日間のサイクルでおよそ15ヶ月)まで評価される。
-最初の血液学的応答までの時間(TT1HR)。TT1HRは、IMPの最初の投与から、続いて確認される最初の血液学的応答(PR又はそれ以上)の日付までの時間として定義される。サイクル1から最初の進行性疾患又はフォローアップの終了までのいずれか早い方まで(28日間のサイクルでおよそ15ヶ月間)、TT1HRを評価する。
-血液学的応答の持続時間(DOHR)。DOHRは、IMPの最初の投与から以下のいずれかまでの時間として定義される。血液学的進行、ISA 2012基準による主要臓器進行(心臓、腎臓、又は肝臓)又は何らかの原因による死亡。サイクル1から最初の進行性疾患又はフォローアップの終了までのいずれか早い方まで(28日間のサイクルでおよそ15ヶ月間)、DOHRを評価する。
-治療下で発現した有害事象(TEAE)を経験している参加者の割合:TEAEは、治療期間中に発症する、悪化する、又は重篤になる有害事象として定義される。治療期間は、治験治療の最初の用量から治験治療の最後の用量の30日後までの時間として定義され
る。TEAEは、治験治療の最初の用量から試験治療の最後の用量の30日後まで(28日間のサイクルでおよそ1年間)評価する。
【0515】
注入関連反応(IAR)の発生率をサイクル1から治療終了まで(28日間のサイクルでおよそ1年間)評価する。
【0516】
注射部位反応(ISR)の発生率をサイクル1から治療終了まで(28日間のサイクルでおよそ1年間)評価する。
【0517】
臨床検査値異常の発生率をサイクル1から治療終了まで(28日間のサイクルでおよそ1年間)評価する。
【0518】
単剤療法におけるNKp46-BCMA NKCEの薬物動態(PK)パラメータの評価を、サイクル1から治療終了まで(28日間のサイクルでおよそ1年間)評価する。
【0519】
単剤療法におけるNKp46-BCMA NKCEに対する抗薬物抗体(ADA)の発生率を、サイクル1から治療終了まで(28日間のサイクルでおよそ1年間)評価する。
【0520】
三次観察:
-日常生活動作(ADL)及び手段的日常生活動作(IADL)アンケートを使用した参加者の臨床転帰に対する虚弱の影響。
-起立性低血圧応答率は、スクリーニング時に起立性低血圧を有するコホートの参加者における起立性低血圧が10mmHg増加したコホートの参加者の割合として定義され、仰臥収縮期血圧と比較した起立性収縮期血圧の20mmHgの減少として定義される。
-コホートにおけるパフォーマンスステータス改善率であって、カルノフスキーパフォーマンスステータス指数において少なくとも10の改善を有する参加者の数として定義される、パフォーマンスステータス改善率。
-インターフェロン-ガンマ、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-a)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-1b(IL-1b)、MIP-1b等のサイトカインのレベル。
-免疫細胞プロファイリング及びBCMA+腫瘍細胞プロファイリング(血液及び骨髄[BM]吸引物)。
-細胞遺伝学的異常(主に限定されないが、t[4;14]、t[14;16];del[17p]、及び[1q21+])。
-PK/薬力学的関係を調べる。NKp46-BCMA_NKCE PKと、NK細胞数、NK細胞活性化マーカー、可溶性BMA等のバイオマーカーとの関係。
【0521】
用量制限毒性(DLT):
この試験では、DLTを、サイクル1(28日間)の間に国立癌研究所(NCI)有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン5.0の基準を使用して評価して、最大耐量(MTD)の確率を推定することになる。
【0522】
DLT評価可能参加者とみなされるためには、参加者は、DLT評価期間を完了し、DLTが発生しない限り、計画された用量の少なくとも75%を受けなければならない。DLT評価期間は、IMPの最初の投与から28日目の終わりまでであるように選択されている。
【0523】
作用様式及びBCMA標的化剤について採取された以前のデータを考慮すると、主に予想される治療下で発現した有害事象(TEAE)は以下の通りである。
【0524】
NK細胞係合に起因する:注入反応;
BCMA標的化に起因する:感染症に関連する又は関連しない血球減少症(好中球減少症、貧血及び血小板減少症);B細胞形成不全;及び低ガンマグロブリン血症。
【0525】
この研究のDLTは、以下を含む:
血液学的DLT、疾患進行に起因しない限り、又は明らかに疾患進行又は明らかに無関係な原因に起因しない限り、以下のいずれか:
-連続して7日超持続するグレード4の好中球減少症
-グレード3以上の発熱性好中球減少症(ANC<1000/mm^3及び38.3C超の単一温度又は38.0℃以上の持続温度)又はグレード3以上の好中球減少性感染症。
-輸血を必要とする出血に関連するグレード3以上の血小板減少症。
-グレード4の血小板減少症が7日を超えて連続して持続する。
-基礎疾患によって説明されないグレード4の貧血。
-血小板減少症はMMの予期される合併症であり、参加者は既存の血小板減少症で研究に参加することができるため、出血がない場合の血小板輸血は、以前の基準を満たさない場合、DLTを示すとはみなされない。
【0526】
非血液学的DLT、疾患の進行又は明らかに無関係な原因による場合を除き、以下のいずれか:
-グレード3以上の非血液学的IMP関連AE(ただし、以下を除く):
・1週間未満継続するグレード3の疲労、又は
・1週間未満で少なくともグレード2に改善するグレード3の臨床検査異常(そうでない場合、関連するグレード4はDLTとみなされるべきである)、又は
・72時間まで持続し、臨床的に複雑ではなく、自発的に解消するか、又は従来の薬物介入に応答するグレード3以上の孤立性電解質異常、又は
・48時間以内の最適な医学的管理に応答するグレード3の悪心/嘔吐/下痢、又は
・48時間以内にグレード1以下又はベースラインに解消するグレード3注入関連反応又はサイトカイン放出症候群。期間にかかわらず任意のグレード4がDLTであるべきである。
-肝機能障害:任意のグレード3以上の肝臓酵素(ALT又はAST)の上昇
-IMP関連検査異常又はTEAEによるサイクル2の14日を超える開始の遅延。
-治験責任医師及び治験依頼者がその重症度にかかわらず用量制限的であると考える任意の他のAEも、DLTとみなされ得る。
【0527】
治験介入は、以下の順序に従って投与される:NKp46-BCMA NKCE(モンテルカストとは別に、NKCE投与の30~60分前)、次いでNKp46-BCMA NKCEの前投薬。
【0528】
参加者は、進行、許容できない毒性の発生、又は他の永続的な中止基準まで治験治療を受ける。
参加者は、潜在的な有害事象のリスクを予防又は低減するために、少なくとも4回の投与(モンテルカスト及びデキサメタゾン/メチルプレドニゾロンを除く)のために以下の薬物療法を受けるであろう。モンテルカストとは別に、全ての前投薬がNKCE投与の15~50分前に与えられる。
・モンテルカスト(ATCコード:R03DC03)10mg PO(サイクル1、1日目、8日目、15日目にのみ投与する):NKCE投与の2時間前。
・デキサメタゾン(ATCコード:H02AB02)投与の30~60分前に20mg PO投与(サイクル1の1日目、8日目、15日目)。或いは、メチルプレドニゾロン(ATCコード:H02AB04)又は同等物を100mg IVの用量で与えることがで
きる(サイクル1の1日目、8日目、15日目)。
・アセトアミノフェン(パラセタモールATCコード:N02BE01)650 mg~1000mg PO又はIV
・ジフェンヒドラミン50mg PO(ATCコード:R05AA02)又は同等物、例えば承認入手可能性によるセチリジン、プロメタジン、デクスクロルフェニラミン、又はジフェンヒドラミン25~50mg IV(又は同等物)。最初の4回のNKCE投与には静脈内経路(Intravenous root)が好ましい。
【0529】
トシリズマブ又は他の施設が推奨する介入は、参加者が重度のサイトカイン放出症候群の治療のために迅速な介入を必要とするベントにおいて常に現場で利用可能であるべきである。
【0530】
有効性評価:
主要エンドポイント及び副次的エンドポイントは、中央検査室Mタンパク質分析及びISA 2012基準を使用した臓器進行/応答の局所評価に基づいて評価される。
【0531】
臨床検査は、スクリーニング時に(適格性について)、この場合もサイクル1/1日目(応答評価のためのベースライン)、次いで治療中から進行までの間の各サイクルの1日目に治験治療投与を開始する前の24時間以内に、及び進行以外の理由で治験治療を中止する参加者については、PDまでのフォローアップ中に4週間ごとに行われる:
・Mタンパク質定量(血清、24時間尿、タンパク質免疫電気泳動、及び免疫固定)。サイクル1の1日目の後、検出不能なMタンパク質(血清及び尿)の場合に免疫固定を行う。
・無血清軽鎖レベル。
・定量的免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)。
【0532】
骨髄吸引:
形質細胞の割合を定量するためには、スクリーニング/ベースライン時(治験治療投与前21日以内)に必要である。CR又はsCRが疑われる場合、CR又はsCRを確認するために繰り返す。
【0533】
スクリーニングでのMRD評価のために、確認されたCRの時間、C1D1の12ヶ月後(CR患者の場合)及び最初のMRD陰性の6ヶ月後。
【0534】
細胞遺伝学的評価の場合:スクリーニング時に、骨髄穿刺液を蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH:in situ hybridization)(del[17p]、t[4;14]、t[14;16])、1q21+を含むが、これらに限定されない)分析のために採取する。
【0535】
スクリーニング時及び進行時のゲノム及び遺伝子プロファイリングのための骨髄吸引。
【0536】
全ての臓器の関与が、ベースライン時及び研究の経過中に評価されるべきである。臓器進行/応答は、ISA 2012基準を使用して評価されるべきである。
【0537】
【表27】
【0538】
【表28】
【0539】
【表29】
【0540】
【表30】
【0541】
【表31】
【0542】
【表32】
【0543】
【表33】
【0544】
【表34】
【0545】
【表35】
【0546】
【表36】
図1A-1B】
図2A-2B】
図3A-3B】
図4
図5
図6
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B-14D】
図14E
図15A
図15B
図16A-16C】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A-23B】
図23C
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E
図27F
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B
図33A-33C】
図34A-34B】
図35
【配列表】
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