(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018651
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】レンジフード及びレンジフードの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122546
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】垣内 資正
(72)【発明者】
【氏名】山東 伸二
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BJ04
3L058BJ05
(57)【要約】
【課題】ダクトとの接続を容易に行うことが可能なレンジフードを提供する。
【解決手段】レンジフードは、本体部と、排気口具と、治具と、係合部とを備えている。本体部は、本体部の内部空間を画している上壁を有する。上壁には、本体部の内部空間に連通している貫通穴が形成されている。排気口具は、排気入口と排気出口とを有する。治具は、壁に取り付け可能な第1部材を有する。本体部は、係合部が第1部材に係合されることにより、第1部材に対して壁に沿う第1方向に沿ってスライド可能である。排気口具は、排気入口が貫通穴に接続され、かつ係合部が第1部材に係合されている状態で排気出口が第1方向を向くように上壁に取り付け可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
排気口具と、
治具と、
係合部とを備え、
前記本体部は、前記本体部の内部空間を画している上壁を有し、
前記上壁には、前記本体部の内部空間に連通している貫通穴が形成されており、
前記排気口具は、排気入口と、排気出口とを有し、
前記治具は、壁に取り付け可能な第1部材を有し、
前記本体部は、前記係合部が前記第1部材に係合されることにより、前記第1部材に対して前記壁に沿う第1方向に沿ってスライド可能であり、
前記排気口具は、前記排気入口が前記貫通穴に接続され、かつ前記係合部が前記第1部材に係合されている状態で前記排気出口が前記第1方向を向くように前記上壁に取り付け可能である、レンジフード。
【請求項2】
前記第1部材は、板状部と上端部とを有し、かつ前記板状部において前記壁に取り付け可能であり、
前記板状部は、第1端と、第2端とを有し、
前記第2端は、前記第1部材が前記壁に取り付けられた状態で、前記第1方向及び前記壁の法線方向に沿う第2方向に直交する第3方向において前記第1端の上方にあり、
前記上端部は、前記第2端に接続されており、
前記治具は、第2部材をさらに有し、
前記第2部材は、前記係合部を有し、
前記係合部は、前記第1方向に沿ってスライド可能に前記上端部に係合され、
前記係合部は、前記第2部材が前記本体部に取り付けられた状態で、前記上壁から前記第3方向に沿って上方に突出している、請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記上端部には、切り欠きが形成されており、
前記切り欠きに前記係合部が嵌ることで、前記第2部材の前記第1部材に対する位置決めが行われる、請求項2に記載のレンジフード。
【請求項4】
固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、前記係合部が前記上端部に係合されている状態で、前記第2部材を前記第1部材に固定する、請求項3に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記上端部には、前記固定部材が螺合されるねじ穴が形成されており、
前記第2部材には、前記固定部材が挿入される挿入穴が形成されており、
前記第1部材が前記壁に取り付けられ、かつ前記係合部が前記上端部に係合されている状態で、前記挿入穴の前記第1方向における幅は、前記挿入穴の前記第3方向における幅よりも大きく、
前記第1部材が前記壁に取り付けられ、かつ前記係合部が前記上端部に係合されている状態で、前記ねじ穴と前記挿入穴とが前記第1方向において重なっている範囲内において前記係合部が前記切り欠きに嵌る、請求項4に記載のレンジフード。
【請求項6】
治具を用いた壁へのレンジフードの取り付け方法であって、
前記レンジフードは、本体部と、係合部と、排気口具とを有し、
前記本体部は、前記本体部の内部空間を画している上壁を有し、
前記上壁には、前記本体部の内部空間に連通している貫通穴が形成されており、
前記排気口具は、排気入口と、排気出口とを有し、
前記排気口具は、前記排気入口が前記貫通穴に接続され、かつ前記排気出口が前記壁に沿う第1方向を向くように前記上壁に取り付けられており、
前記治具は、前記壁に取り付け可能な第1部材を有し、
前記本体部は、前記係合部が前記第1部材に係合されることにより、前記第1部材に対して前記第1方向に沿ってスライド可能であり、
前記第1部材を前記壁に取り付ける工程と、
前記係合部を前記第1部材に係合することにより前記本体部を前記第1部材に取り付ける工程と、
前記レンジフードを前記第1方向に沿ってスライドさせて前記排気出口と前記第1方向に沿って延在しているダクトのダクト入口とを接続する工程とを備える、レンジフードの取り付け方法。
【請求項7】
前記第1部材は、板状部と上端部とを有し、かつ前記板状部において前記壁に取り付け可能であり、
前記板状部は、第1端と、第2端とを有し、
前記第2端は、前記第1部材が前記壁に取り付けられた状態で、前記第1方向及び前記壁の法線方向に沿う第2方向に直交する第3方向において前記第1端の上方にあり、
前記上端部は、前記第2端に接続されており、
前記治具は、第2部材をさらに有し、
前記第2部材は、前記係合部を有し、
前記係合部は、前記第1方向に沿ってスライド可能に前記上端部に係合され、
前記係合部は、前記第2部材が前記本体部に取り付けられた状態で、前記上壁から前記第3方向に沿って上方に突出している、請求項6に記載のレンジフードの取り付け方法。
【請求項8】
前記ダクトは、スパイラルダクトである、請求項6又は請求項7に記載のレンジフードの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフード及びレンジフードの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-173796号(特許文献1)には、レンジフードが記載されている。特許文献1に記載のレンジフードは、排気ファンが収納される本体部を有している。特許文献1に記載のレンジフードは、設置固定用治具を用いて、壁に取り付けられる。設置固定用治具は、矩形状であり、長手方向が水平方向に沿うように壁に取り付けられる。設置用固定治具は、切り起こし部を有している。特許文献1に記載のレンジフードは、本体部の背面に形成されている係合穴に切り起こし部を挿入することにより、設置用固定治具を用いて壁に取り付けられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレンジフードは、ダクトとの接続に支障が生じることがある。本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、ダクトとの接続を容易に行うことが可能なレンジフードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のレンジフードは、本体部と、排気口具と、治具と、係合部とを備える。本体部は、本体部の内部空間を画している上壁を有する。上壁には、本体部の内部空間に連通している貫通穴が形成されている。排気口具は、排気入口と排気出口とを有する。治具は、壁に取り付け可能な第1部材を有する。本体部は、係合部が第1部材に係合されることにより、第1部材に対して壁に沿う第1方向に沿ってスライド可能である。排気口具は、排気入口が貫通穴に接続され、かつ係合部が第1部材に係合されている状態で排気出口が第1方向を向くように上壁に取り付け可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレンジフードによると、ダクトとの接続を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図2中のIII-IIIにおける断面図である。
【
図9】レンジフード100の取り付け方法を示す工程図である。
【
図10】ダクト接続工程S4を説明する正面図である。
【
図11】変形例に係る治具40の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係るレンジフードを、レンジフード100とする。
【0009】
(レンジフード100の構成)
以下に、レンジフード100の構成を説明する。
【0010】
図1は、レンジフード100の分解斜視図である。
図1に示されているように、レンジフード100は、本体部10と、フード部20と、排気口具30と、治具40とを有している。以下において、第1方向DR1を水平方向の1つとし、第2方向DR2を第1方向DR1に直交する水平方向の他の1つとする。また、以下において、第3方向DR3を、第1方向DR1及び第2方向DR2に直交する方向、つまり鉛直方向とする。レンジフード100は、壁Wに取り付けられる。壁Wの法線方向は、第2方向DR2に沿っている。
【0011】
本体部10は、上端と、下端とを有している。本体部10は、上壁11と、側壁12及び側壁13と、前壁14及び背壁15とを有している。上壁11は、本体部10の上端をなしている。側壁12及び側壁13の上端は、上壁11に連なっている。側壁12及び側壁13は、第1方向DR1において、間隔を空けて互いに対向している。前壁14及び背壁15の上端は、上壁11に連なっている。前壁14及び背壁15は、第2方向DR2において間隔を空けて対向している。
【0012】
本体部10の内部空間は、上壁11、側壁12、側壁13、前壁14及び背壁15で画されている。本体部10の内部空間には、ファン16(図示せず)が収納されている。上壁11には、貫通穴11aが形成されている。貫通穴11aは、本体部10の内部空間と連通している。側壁12及び側壁13には、ねじ穴17(図示せず)が形成されている。
【0013】
フード部20は、本体部10の下端に取り付けられている。フード部20は、上壁21と、底壁22(
図1において図示せず、
図10を参照)とを有している。底壁22には、凹部22a(図示せず)が形成されている。凹部22aにおいて、底壁22は、上壁21側に向かって凹んでいる。レンジフード100は、整流板22b(図示せず)をさらに有している。整流板22bは、凹部22aの底面と間隔を空けて対向するように、フード部20に取り付けられている。フード部20には、貫通穴20a(図示せず)が形成されている。貫通穴20aは、フード部20を第3方向DR3に沿って貫通しており、本体部10の内部空間と連通している。
【0014】
排気口具30は、排気入口31(図示せず)と、排気出口32とを有している。排気口具30は、排気入口31が貫通穴11aに接続され、かつ排気出口32が第1方向DR1を向くように、上壁11に取り付け可能である。なお、排気口具30は、排気入口31が第1方向DR1とは別の方向を向くように上壁11に取り付けることも可能である。
【0015】
治具40は、第1部材41と、第2部材42とを有している。
図2は、第1部材41の正面図である。
図3は、
図2中のIII-IIIにおける断面図である。
図2及び
図3に示されているように、第1部材41は、板状部43と、上端部44とを有している。
【0016】
板状部43は、平板状の部分である。板状部43は、例えば、長手方向が第4方向DR4に沿っている矩形状である。なお、第5方向DR5は第4方向DR4に直交する方向であり、第6方向DR6は第4方向DR4及び第5方向DR5に直交する方向である。板状部43は、第1端43aと、第2端43bとを有している。第1端43a及び第2端43bは、第6方向DR6における板状部43の両端を構成している。第2端43bは、第1端43aの反対側の端である。
【0017】
板状部43は、第1面43cと、第2面43dとを有している。第1面43c及び第2面43dは、第5方向DR5における板状部43の両端面を構成している。つまり、第1面43c及び第2面43dは、板状部43の厚さ方向における両端面を構成している。第1面43cは、第1部材41が壁Wに取り付けられた際に、壁Wと接触する面である。第2面43dは、第1面43cの反対面である。
【0018】
板状部43には、複数の貫通穴43eが形成されている。貫通穴43eは、板状部43を第5方向DR5に沿って貫通している。すなわち、貫通穴43eは、板状部43を厚さ方向に沿って貫通している。第1部材41は、板状部43において、壁Wに取り付けられる。より具体的には、第1部材41は、ねじ等の固定部材(図示せず)を貫通穴43eに挿通するとともに、貫通穴43eに挿通されたねじ等の固定部材を壁Wの内部にある間柱(補強桟)に螺合することで、壁Wに取り付けられる。複数の貫通穴43eのうちのどれを用いるかは、壁Wの内部にある間柱の位置に応じて適宜選択される。
【0019】
第1部材41が壁Wに取り付けられた状態で、第4方向DR4は、第1方向DR1に沿っている。また、第2端43bは、第1部材41が壁Wに取り付けられた状態で、第1端43aよりも上方にある。
【0020】
上端部44は、第1部分44aと第2部分44bとを有している。第1部分44aは、第2端43bに接続されている。第1部分44aは、板状部43が壁Wに取り付けられた状態で壁Wから離れるように第5方向DR5に沿って延在している。すなわち、第1部分44aは、第1面43cから第2面43dに向かう方向に沿って延在している。第2部分44bは、第2端43bとは反対側の第1部分44aの端に接続されている。第2部分44bは、板状部43が壁Wに取り付けられた状態で、上方に向かって第6方向DR6に沿って延在している。すなわち、第2部分44bは、第2端43bから離れるように第5方向DR5に沿って延在している。このように、上端部44は、第4方向DR4に直交する断面視において、L字状になっている。
【0021】
第2部分44bには、ねじ穴44cが形成されている。ねじ穴44cは、第5方向DR5に沿って第2部分44bを貫通している。つまり、ねじ穴44cは、第2部分44bを厚さ方向に沿って貫通している。第1部分44aとは反対側の第2部分44bの端には、2つの切り欠き44dが形成されている。2つの切り欠き44dは、第4方向DR4において、間隔を空けて配置されている。
【0022】
第1部材41の第4方向DR4における幅を、幅WDとする。幅WDは、レンジフード100が取り付けられる場所のスペースに合わせて適宜選択される。幅WDは、例えば、600mm、750mm又は900mmである。
【0023】
図4は、第2部材42の正面図である。
図5は、第2部材42の第1側面図である。
図6は、第2部材42の第2側面図である。
図4から
図6に示されているように、第2部材42は、板状部45と、2つの係合部46と、2つの固定部47とを有している。
【0024】
板状部45は、平板状の部分である。板状部45は、例えば、長手方向が第7方向DR7に沿っている矩形状である。なお、第8方向DR8は第7方向DR7に直交する方向であり、第9方向DR9は第7方向DR7及び第8方向DR8に直交する方向である。板状部45は、第1端45aと、第2端45bとを有している。第1端45a及び第2端45bは、第7方向DR7における板状部45の両端を構成している。第2端45bは、第1端45aの反対側の端である。
【0025】
2つの係合部46は、それぞれ、第1端45a及び第2端45bに接続されている。係合部46は、第9方向DR9に沿って延在している。係合部46には、貫通穴46aが形成されている。貫通穴46aは、第7方向DR7に沿って係合部46を貫通している。すなわち、貫通穴46aは、係合部46を厚さ方向に沿って貫通している。
【0026】
係合部46のうちの1つは、貫通穴46aに固定部材48(図示せず)が挿通されるとともに、挿通された固定部材48が側壁12に形成されているねじ穴17に螺合されることにより、本体部10に取り付けられている。係合部46のうちの他の1つは、貫通穴46aに固定部材48が挿通されるとともに、挿通された固定部材48が側壁13に形成されているねじ穴17に螺合されることにより本体部10に取り付けられている。固定部材48は、例えば、ねじである。第2部材42が本体部10に取り付けられた状態で、第7方向DR7、第8方向DR8及び第9方向DR9は、それぞれ、第1方向DR1、第2方向DR2及び第3方向DR3に沿っている。
【0027】
板状部45は、第1面45cと第2面45dとを有している(
図8を参照)。第1面45c及び第2面45dは、第8方向DR8における板状部45の両端面を構成している。すなわち、第1面45c及び第2面45dは、板状部45の厚さ方向における両端面を構成している。第1面45cは、第2部材42が本体部10に取り付けられており、かつ第1部材41に取り付けられた状態で第1部材41(板状部43)と対向している。第2面45dは、第1面45cの反対面である。第1面45cは、例えば背壁15と面一になっている。
【0028】
係合部46は、第2部材42が本体部10に取り付けられた状態で、上壁11から上方に突出している(
図10を参照)。係合部46には、凹部46bが形成されている。凹部46bは、本体部10に取り付けられた状態で上壁11よりも上方に突出している係合部46の部分に形成されている。凹部46bは、側面46cと、側面46dと、底面46eとを有している。側面46c及び側面46dは、第9方向DR9において間隔を空けて対向している。底面46eは、側面46c及び側面46dに連なっている。側面46cは、凸部46caを有している。側面46cは、側面46d側に向かって突出している。凸部46caは、第8方向DR8において、底面46eと間隔を空けて配置されている。
【0029】
第2部分44bが側面46cと接触することで、係合部46が上端部44に係合されることになる。より具体的には、第2部分44bが凸部46caと底面46eとの間に挿入されることで、係合部46が上端部44に係合される。係合部46が上端部44に係合された状態で、第2部材42は、第1部材41に対して第1方向DR1に沿ってスライド可能である。第2部材42を第1部材41に対して第1方向DR1に沿ってスライドさせることにより、係合部46が切り欠き44dに嵌る。係合部46が上端部44に係合された状態で、側面46dは、第1部分44aと対向している。
【0030】
固定部47は、底面46eに接続されている。1つの係合部46に接続されている固定部47は、他の1つの係合部46に向かって、第7方向DR7に沿って延在している。固定部47の厚さ方向は、第8方向DR8に沿っている。固定部47には、挿入穴47aが形成されている。挿入穴47aは、第8方向DR8に沿って固定部47を貫通している。すなわち、挿入穴47aは、固定部47を厚さ方向に沿って貫通している。
図7は、治具40の分解斜視図である。
図7に示されるように、係合部46が上端部44に係合された状態で固定部材49が挿入穴47aに挿通されるとともに、挿通された固定部材49がねじ穴44cに螺合される。
【0031】
図8は、治具40の断面図である。
図8に示されているように、板状部43は、第1部材41が壁に取り付けられ、第2部材42が本体部10に取り付けられ、かつ係合部46が上端部44に係合されている状態で、壁Wと本体部10(背壁15)との間に挟み込まれている。
【0032】
<変形例>
上記においては、治具40が第1部材41及び第2部材42を有する例を説明したが、治具40は第2部材42を有していなくてもよい。この場合、例えば、係合部46が本体部10の一部をなしていてもよい。
【0033】
上記においては、上壁11、側壁12、側壁13、前壁14及び背壁15が平坦形状である場合の例を説明したが、上壁11、側壁12、側壁13、前壁14及び背壁15のうちの少なくともいずれは平坦形状でなくてもよく、例えばアーチ状であってもよい。上記においては、上壁21、底壁22、側壁23、側壁24、前壁25及び背壁26が平坦形状である場合の例を説明したが、上壁21、底壁22、側壁23、側壁24、前壁25及び背壁26のうちの少なくともいずれかは平坦形状でなくてもよく、例えばアーチ状であってもよい。
【0034】
(レンジフード100の取り付け方法)
以下に、レンジフード100の取り付け方法を説明する。
【0035】
図9は、レンジフード100の取り付け方法を示す工程図である。
図9に示されているように、レンジフード100の取り付け方法は、第1部材取り付け工程S1と、第2部材取り付け工程S2と、仮置き工程S3と、ダクト接続工程S4と、治具固定工程S5とを有している。
【0036】
第1部材取り付け工程S1では、第1部材41が壁Wに取り付けられる。第2部材取り付け工程S2では、本体部10に取り付けられる。仮置き工程S3では、係合部46が上端部44に係合されることにより、本体部10、フード部20及び排気口具30が、壁Wに仮に取り付けられる。本体部10、フード部20及び排気口具30は、第1方向DR1においてダクト50から離れた位置に仮置きされる。
【0037】
ダクト50は、第1方向DR1に沿って延在している。ダクト50は、第1方向DR1における一方端において、ダクト入口51を有している。ダクト50は、例えばスパイラルダクトである。スパイラルダクトは、フレキシブルダクトとは異なり、変形させることが困難なダクトである。排気口具30は、仮置き工程S3が行われた後に上壁11に取り付けられてもよい。この際、係合部46は、切り欠き44dに嵌っていない。
【0038】
図10は、ダクト接続工程S4を説明する正面図である。
図10に示されるように、ダクト接続工程S4では、本体部10、フード部20及び排気口具30が、第1部材41に対して第1方向DR1に沿ってスライドされる(
図10中の矢印参照)。これにより、排気出口32がダクト入口51と接続されることになる。また、この際、係合部46が切り欠き44dに嵌められる。治具固定工程S5では、固定部材49が挿入穴47aに挿通されるとともに、挿入穴47aに挿通された固定部材49がねじ穴44cに螺合されることにより、第2部材42が第1部材41に固定される。以上により、レンジフード100の壁Wへの取り付けが完了する。
【0039】
図11は、変形例に係る治具40の拡大正面図である。
図11に示されているように、第2部材42が第1部材41に取り付けられた状態で、挿入穴47aの第1方向DR1における幅が、挿入穴47aの第3方向DR3における幅よりも大きくてもよい。このことを別の観点から言えば、挿入穴47aは、長手方向が第1方向DR1に沿う長穴であってもよい。切り欠き44dは、第1方向DR1において、挿入穴47aとねじ穴44cと第1方向DR1において重なり合っている範囲内で係合部46が嵌るような幅を有していてもよい。この場合には、排気口具30をダクト50へ接続した後にレンジフード100の取り付け位置の微調整が可能となる。
【0040】
(レンジフード100の効果)
以下に、レンジフード100の効果を説明する。
【0041】
ダクト50を変形させることが困難である場合(例えばダクト50がスパイラルダクトである場合)、ダクト50がレンジフードを設置する際に障害になり、レンジフードの設置に支障をきたすことがある。この点、レンジフード100では、第2部材42が壁Wに取り付けられた第1部材41にスライド可能に取り付けられる。そのため、レンジフード100では、ダクト50から離れた位置に一旦仮置きした後にスライドさせることで排気出口32とダクト入口51とを接続することができる。このように、レンジフード100によると、ダクト50が変形しがたいものであっても、ダクト50との接続を容易に行うことが可能である。
【0042】
レンジフード100では、係合部46が上壁11よりも上方に突出しているため、作業者は係合部46と上端部44との係合箇所を目視しながら作業を進めることができる。そのため、レンジフード100によると、第1部材41への仮置きを容易に行うことが可能である。また、レンジフード100が設置される場所の状況は様々である。そのため、レンジフード100が設置される場所の状況に合わせて、異なる幅WDを有する第1部材41を用いる必要がある。レンジフード100では、幅WDが異なる第1部材41を用いる場合であっても、第2部材42に変更をきたすことなく、係合部46を上端部44に係合することで取り付けを行うことが可能である。
【0043】
レンジフード100では、係合部46を上端部44に係合されている状態で、側面46dが第1部分44aと対向している。そのため、係合部46が上端部44に係合されている状態でレンジフード100に対して下方から上方への力が不意に加わっても、側面46dと第1部分44aとが接触し、係合部46が上端部44から外れにくい。そのため、レンジフード100によると、取り付けを安全に進めることが可能である。
【0044】
第2部材42が第1部材41に取り付けられている状態で、第1部材41には、レンジフード100の重量により上端部44側が壁Wから離れるようなモーメントが作用する。レンジフード100では、板状部43が本体部10(背壁15)と壁Wとの間に挟み込まれているため、上記のモーメントを打ち消す方向の反力が、壁Wから板状部43に作用する。そのため、レンジフード100では、その重量に起因した第1部材41の変形及び当該変形に伴う垂れ下がりを抑制可能である。
【0045】
(付記)
本実施形態には、以下の構成が含まれている。
【0046】
<付記1>
本体部と、
排気口具と、
治具と、
係合部とを備え、
前記本体部は、前記本体部の内部空間を画している上壁を有し、
前記上壁には、前記本体部の内部空間に連通している貫通穴が形成されており、
前記排気口具は、排気入口と、排気出口とを有し、
前記治具は、壁に取り付け可能な第1部材を有し、
前記本体部は、前記係合部が前記第1部材に係合されることにより、前記第1部材に対して前記壁に沿う第1方向に沿ってスライド可能であり、
前記排気口具は、前記排気入口が前記貫通穴に接続され、かつ前記係合部が前記第1部材に係合されている状態で前記排気出口が前記第1方向を向くように前記上壁に取り付け可能である、レンジフード。
【0047】
<付記2>
前記第1部材は、板状部と上端部とを有し、かつ前記板状部において前記壁に取り付け可能であり、
前記板状部は、第1端と、第2端とを有し、
前記第2端は、前記第1部材が前記壁に取り付けられた状態で、前記第1方向及び前記壁の法線方向に沿う第2方向に直交する第3方向において前記第1端の上方にあり、
前記上端部は、前記第2端に接続されており、
前記治具は、第2部材をさらに有し、
前記第2部材は、前記係合部を有し、
前記係合部は、前記第1方向に沿ってスライド可能に前記上端部に係合され、
前記係合部は、前記第2部材が前記本体部に取り付けられた状態で、前記上壁から前記第3方向に沿って上方に突出している、付記1に記載のレンジフード。
【0048】
<付記3>
前記上端部には、切り欠きが形成されており、
前記切り欠きに前記係合部が嵌ることで、前記第2部材の前記第1部材に対する位置決めが行われる、付記2に記載のレンジフード。
【0049】
<付記4>
固定部材をさらに備え、
前記固定部材は、前記係合部が前記上端部に係合されている状態で、前記第2部材を前記第1部材に固定する、付記3に記載のレンジフード。
【0050】
<付記5>
前記上端部には、前記固定部材が螺合されるねじ穴が形成されており、
前記第2部材には、前記固定部材が挿入される挿入穴が形成されており、
前記第1部材が前記壁に取り付けられ、かつ前記係合部が前記上端部に係合されている状態で、前記挿入穴の前記第1方向における幅は、前記挿入穴の前記第3方向における幅よりも大きく、
前記第1部材が前記壁に取り付けられ、かつ前記係合部が前記上端部に係合されている状態で、前記ねじ穴と前記挿入穴とが前記第1方向において重なっている範囲内において前記係合部が前記切り欠きに嵌る、付記4に記載のレンジフード。
【0051】
<付記6>
治具を用いた壁へのレンジフードの取り付け方法であって、
前記レンジフードは、本体部と、係合部と、排気口具とを有し、
前記本体部は、前記本体部の内部空間を画している上壁を有し、
前記上壁には、前記本体部の内部空間に連通している貫通穴が形成されており、
前記排気口具は、排気入口と、排気出口とを有し、
前記排気口具は、前記排気入口が前記貫通穴に接続され、かつ前記排気出口が前記壁に沿う第1方向を向くように前記上壁に取り付けられており、
前記治具は、前記壁に取り付け可能な第1部材を有し、
前記本体部は、前記係合部が前記第1部材に係合されることにより、前記第1部材に対して前記第1方向に沿ってスライド可能であり、
前記第1部材を前記壁に取り付ける工程と、
前記係合部を前記第1部材に係合することにより前記本体部を前記第1部材に取り付ける工程と、
前記レンジフードを前記第1方向に沿ってスライドさせて前記排気出口と前記第1方向に沿って延在しているダクトのダクト入口とを接続する工程とを備える、レンジフードの取り付け方法。
【0052】
<付記7>
前記第1部材は、板状部と上端部とを有し、かつ前記板状部において前記壁に取り付け可能であり、
前記板状部は、第1端と、第2端とを有し、
前記第2端は、前記第1部材が前記壁に取り付けられた状態で、前記第1方向及び前記壁の法線方向に沿う第2方向に直交する第3方向において前記第1端の上方にあり、
前記上端部は、前記第2端に接続されており、
前記治具は、第2部材をさらに有し、
前記第2部材は、前記係合部を有し、
前記係合部は、前記第1方向に沿ってスライド可能に前記上端部に係合され、
前記係合部は、前記第2部材が前記本体部に取り付けられた状態で、前記上壁から前記第3方向に沿って上方に突出している、付記6に記載のレンジフードの取り付け方法。
【0053】
<付記8>
前記ダクトは、スパイラルダクトである、付記6又は付記7に記載のレンジフードの取り付け方法。
【0054】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上記の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0055】
100 レンジフード、10 本体部、11 上壁、11a 貫通穴、12,13 側壁、14 前壁、15 背壁、16 ファン、17 ねじ穴、20 フード部、20a 貫通穴、21 上壁、22 底壁、22a 凹部、22b 整流板、23 側壁、24 側壁、25 前壁、26 背壁、30 排気口具、31 排気入口、32 排気出口、40 治具、41 第1部材、42 第2部材、43 板状部、43a 第1端、43b 第2端、43c 第1面、43d 第2面、44e 貫通穴、44 上端部、44a 第1部分、44b 第2部分、44c ねじ穴、44d 切り欠き、45 板状部、45a 第1端、45b 第2端、45c 第1面、45d 第2面、46 係合部、46a 貫通穴、46b 凹部、46c,46d 側面、46ca 凸部、46e 底面、47 固定部、47a 挿入穴、48,49 固定部材、50 ダクト、51 ダクト入口、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、DR4 第4方向、DR5 第5方向、DR6 第6方向、DR7 第7方向、DR8 第8方向、DR9 第9方向、S1 第1部材取り付け工程、S2 第2部材取り付け工程、S3 仮置き工程、S4 ダクト接続工程、S5 治具固定工程、W 壁、WD 幅。