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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018662
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】商品吊下陳列具
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A47F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122580
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】593113422
【氏名又は名称】三洋スーパースタンド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】三浦 洋一
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118FA01
(57)【要約】
【課題】 商品吊下陳列具の商品吊下バーに商品の重量が掛ったとしても、商品吊下陳列具が、その取付箇所である水平杆部材から抜脱してしまう不都合を解消することができる商品吊下陳列具を提供する。
【解決手段】 横設された水平杆部材1に上方から嵌め込んで取着する取付基部2と、取付基部2から前方へ延びる商品吊下バー3とを備えた商品吊下陳列具において、取付基部2の前面部11の下端部を後方に傾斜するように形成して、その傾斜の境界部に水平杆部材1の前側下端が当接するようになっていることを特徴としている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横設された水平杆部材に上方から嵌め込んで取着する取付基部と、前記取付基部から前方へ延びる商品吊下バーとを備えた商品吊下陳列具において、
前記取付基部は、前記水平杆部材の上方に位置させる上面部と、前記水平杆部材の前側に位置させる前面部と、前記水平杆部材の後側に位置させる後面部とによって側面視下向き凹状に形成されており、
前記取付基部の少なくとも上端部の前後方向の内法は、前記水平杆部材の前後方向の外法よりも長く設定されており、
前記取付基部の前面部は、その下端部が後方に向かって傾斜するように形成されていて、その傾斜の境界部近傍に前記水平杆部材の前側下端が当接するようになっていることを特徴とする商品吊下陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品吊下陳列具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗等において商品を陳列する方法として、下向き凹状の取付基部と該取付基部の前方に水平姿勢に延びる商品吊下バーからなる商品吊下陳列具が用いられている。すなわち、商品棚の支柱間に横設された水平杆部材に陳列具の取付基部を嵌め込んで、前方に延びる商品吊下バーに商品を吊下げて陳列する方法であり、例えば、下記特許文献1に示されているものは、その典型的なものである。
【0003】
そして、特許文献1に示されているような典型的な商品吊下陳列具は、その取付基部(特許文献1では「装着部材3」)の内法を水平杆部材(特許文献1では「フレーム5」)の外法に対してややゆとりを持たせて形成するのが一般的である。すなわち、仮に取付基部の内法にまったくゆとりがないとすれば、取付基部を水平杆部材に装着するにあたり、取付作業に手間取ったり、場合によっては適正に嵌まらないといった事態も生じ得る。そのため、通常は、若干の隙間、すなわち、取付基部の内法寸法を水平杆部材の外法寸法よりも若干長くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3169928号公報
【特許文献2】特開2020-116342号公報
【0005】
しかしながら、商品吊下陳列具の取付基部にゆとりをもたせると、次のような問題を生じさせてしまう。すなわち、商品吊下陳列具の商品吊下げバーに比較的高重量の商品を吊下げたり、あるいは、複数の商品を吊下げた場合、商品吊下バーに大きな力が加わって回転しようとするため、ひいては、商品吊下陳列具が水平杆部材から抜脱してしまうことがある。
【0006】
そこで、上記問題を解消し得る商品吊下陳列具として、特許文献2に示されているものが存在している。この商品吊下陳列具は、取付基部(特許文献2では「固定部13」)を側面視コ字形に形成し、水平杆部材(特許文献2では「取り付けバー7」)に装着するにあたっては、取付基部の下方からねじ13cによって締め付け固定している。
【0007】
しかしながら、特許文献2に示されているように商品吊下陳列具の取付基部を構成すると、ねじ等の余分な部品が必要となり、必然的に製造コストが余分に掛ってしまうことになる。また、商品吊下陳列具を装着する際に、ねじ止めといった作業を要するため、装着のための作業効率を悪くするといった問題もある。さらに、商品吊下陳列具に商品を吊下げたり、商品吊下陳列具から商品を外したりしているうちに、ねじが緩んで当該ねじが外れてしまい、ひいては、商品吊下陳列具が水平杆部材から抜脱してしまうといった事態も起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、仮に商品吊下陳列具に吊下される商品が高重量であっても、商品吊下陳列具が水平杆部材から抜脱してしまう問題を解消することができ、しかも、これを比較的簡易な構造でなし得る商品吊下陳列具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明は、横設された水平杆部材に上方から嵌め込んで取着する取付基部と、前記取付基部から前方へ延びる商品吊下バーとを備えた商品吊下陳列具において、前記取付基部は、前記水平杆部材の上方に位置させる上面部と、前記水平杆部材の前側に位置させる前面部と、前記水平杆部材の後側に位置させる後面部とによって側面視下向き凹状に形成されており、前記取付基部の少なくとも上端部の前後方向の内法は、前記水平杆部材の前後方向の外法よりも長く設定されており、前記取付基部の前面部は、その下端部が後方に向かって傾斜するように形成されていて、その傾斜の境界部近傍に前記水平杆部材の前側下端が当接するようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、商品吊下陳列具の商品吊下バーに商品の重量が掛ったとしても、商品吊下げバーが回転してしまうことを防止し、ひいては、商品吊下陳列具が水平杆部材から抜脱してしまう不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】水平杆部材に装着した商品吊下陳列具の斜視図。
図2】商品吊下陳列具の右側面図。
図3】取付基部が水平杆部材に装着された状態を示す商品吊下陳列具の部分拡大図。
図4】商品吊下陳列具の平面図。
図5】商品吊下陳列具の底面図。
図6】(a)商品吊下陳列具の正面図。(b)商品吊下陳列具の背面図。
図7】(a)(b)(c)異なる形状の取付基部の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は水平杆部材に装着した商品吊下陳列具の斜視図、図2は商品吊下陳列具の右側面図、図3は取付基部が水平杆部材に装着された状態を示す商品吊下陳列具の部分拡大図、図4は商品吊下陳列具の平面図、図5は商品吊下陳列具の底面図、図6(a)は商品吊下陳列具の正面図、図6(b)は商品吊下陳列具の背面図である。本発明に係る商品吊下陳列具は、横設された水平杆部材1に上方から嵌め込んで取着する取付基部2と、取付基部2から前方へ略水平姿勢に延びる商品吊下バー3とによって概略構成されている。
【0013】
図1は、商品棚の片方の支柱に水平杆部材1を横設し、ここに商品吊下陳列具を装着した例を示している。なお、図1では、商品棚について図示はしていないが、ここでの商品棚は一般に使用されているものを想定しており、地面に設置される平面視矩形状のベース部と、ベース部から上方に一定の距離をもって配置される平面視矩形状の天板部と、ベース部と天板部の間であり、これらの左右両側端部のそれぞれに配置された2本の支柱によって構成されている。そして、商品棚の2本の支柱の間に水平杆部材1が横設されている。なお、ここで述べた商品棚は、あくまでも一例であり、水平杆部材が横設されているものであれば、その形態等は問題とならない。また、水平杆部材1が横設されるのは、商品棚以外のものであってもよい。
【0014】
前記水平杆部材1は、スチール等の金属により成形されており、前面板、後面板、天板、及び底板からなり、内部が中空の断面矩形状になっている。すなわち、左右方向に延びる角柱状に形成されている。そして、水平杆部材1の左右両端部のそれぞれが商品棚の支柱に横設されている。なお、本発明に係る商品吊下陳列具を使用するにあたり、水平杆部材1の材質は問題とならず、例えば、合成樹脂や木製等でもよい。また、水平杆部材1は、必ず内部中空である必要もない。また、水平杆部材1の形状も必ずしも断面矩形状である必要はなく、例えば、前面板と後面板が所定の間隔をもって支柱等の間に横設されていてもよい。すなわち、水平杆部材1は、詳細を後述する取付基部2を嵌め込み可能な前面板と後面板を備えていればよい。
【0015】
前記取付基部2は、商品吊下陳列具を前述の水平杆部材1に装着した際、水平杆部材1の天板の上方に位置する上面板部10と、水平杆部材1の前面板の前側に位置する前面板部11と、水平杆部材1の後面板に位置する後面板部12とによって側面視下向き凹状に形成されている。また、この実施形態における上面板部10の内法寸法、換言すると、前面板部11と後面板部12それぞれの上端内側間の長さ寸法は、取付対象となる水平杆部材1の天板の幅方向の長さよりも若干長く形成されている。そのため、商品吊下陳列具を水平杆部材1に装着した際、図3に示されているように、水平杆部材1の前面板外側面と取付基部2の前面板部11の内側面との間に若干の隙間Gができることになる。また、この実施形態における取付基部2の前面板部10と後面板部11は、上下方向の長さが異なっている。すなわち、後面板部12の上端から下端までの長さは、前面板部11の上端から下端までの長さの略半分の長さに形成されている。また、後面板部12の下端部には、外方(後方)に向かってやや傾斜するように屈曲する屈曲片部12aが形成されている。一方、前面板部11は、前端部から下端部までの上板片部11aが緩やかに内側(後方)に向かって傾斜し、さらに、上板片部11aから下端にかけて内側(後方)に上板片部11aより角度をつけて傾斜する下板片部11bが形成されている。ちなみに、この実施形態では、水平杆部材1の天板の上面から前方に引いた仮想水平線と取付基部2の前面板部11の間の角度が94度に設定されている。また、図1及び図6に示されているように、下板片部11bの下端は、円弧状の切欠き13が形成されている。そして、商品吊下陳列具を水平杆部材1に装着した際、図3に示されているように、前面板部11の上板片部11aと下板片部11bの間の折曲部分(境界)である当接部が、水平杆部材1の前側下端の角部、すなわち、前面板と底面板の間の角部に当接するようになっている。ちなみに、この実施形態では、商品吊下陳列具を水平杆部材1に装着した際、商品吊下陳列具の上面板部10が水平杆部材1の天板よりも前側に向かって上方へ傾斜した状態になっている。なお、前述の実施形態では、取付基部2の後面板部12の上下方向長さが前面板部11の略半分の長さにした例を示したがこれに限られず、当該寸法を自由に設定することが可能である。また、取付基部2の前面板部11と後面板部12の間の長さ(内法)は、水平杆部材1の寸法に合わせて自由に設計可能である。
【0016】
前記商品吊下バー3は、金属製の一本の剛性線材からなる丸棒状の部材を複数箇所で折曲して形成されている。具体的には、図1及び図2に示されているように、この実施形態における商品吊下バー3は、丸棒状の剛性線材の2箇所を折曲して側面視コ字形に形成されている。すなわち、取付基部2の上面板部10上に位置し、上面板部10の前方に水平姿勢で延びる吊下部15と、吊下部15の後端を直角に折曲してなる連結部16と、連結部16の上端を直角に折曲して吊下部15の上方に平行に位置する情報表示取付部17とによって形成されている。また、吊下部15の前端部は、上方に傾斜するように折曲されており、吊り下げられた商品が吊下部15から抜け落ちることを防止する箇所を形成している。さらに、情報表示取付部17は、吊下部15より長さ寸法を短く設定してあり、その前端部を上方に直角に屈曲して、商品名や値段といった情報を表示したプレート等を装着できる箇所18を形成している。そして、吊下部15の後端部が取付基部2の上面板部10上に溶接されることにより、商品吊下バー3が取付基部2に固着されている。もっとも、上に示した商品吊下バー3は、あくまでも具体例であり、商品吊下バー3は、取付基部2から前方に延出し、商品を吊下げ可能な棒状の部材であれば、様々なバリエーションを採用することができる。例えば、上記の例では、商品吊下バー3が前方に真っ直ぐ延びているが、商品吊下バーの途中を横方向へ屈曲させて斜め前方へ延びるようにしてもよい。また、商品吊下バーを取付基部2の上面板部10の前端から下方へ屈曲させ、さらに、上面板部10の下端から前方へ屈曲させて前方へ延びるようにしてもよい。ちなみに、前述したとおり、この実施形態における商品吊下陳列具は、水平杆部材1に装着すると、上面板部10が水平杆部材1の天板よりも前側に向かって若干上方へ傾斜しているが、この上面板部10に固着されている商品吊下バー3も必然的に前方に向かうに従って上方へ傾斜することになる。これによって、商品吊下バー3に商品を吊り下げることが容易になると共に、商品吊下バー3から商品が抜け落ちることを防止することができる。なお、この実施形態では、商品吊下バー3を丸棒状の線材によって形成されている例を示したが、商品吊下バー3は、所定の長さを有する棒状のものであればよく、例えば、平板状の棒、角柱状の棒等の様々な形状のものを採用することが可能である。また、商品吊下バー3は、商品を吊下げる箇所である上述の吊下部に相当する部位があれば、その他の部位は特に設けられていなくてもよい。
【0017】
次に、上記のように構成された商品吊下陳列具の作用について説明する。まず、商品吊下陳列具を使用するにあたっては、支柱等に横設された水平杆部材1に対し、商品吊下陳列具の取付基部2を上方から嵌め込む。すなわち、取付基部2の前面板部11の下端、取付基部2の後面板部12の下端が水平杆部材1の上方に位置するようにして、取付基部2を水平杆部材1に押し込むようにする。これにより、取付基部2の下端が若干弾性変形しつつ拡開して、水平杆部材1に嵌り込むことになる。この時、水平杆部材1の前面板外側面と取付基部2の前面板部11の内側面との間に若干の隙間Gができるため、比較的簡易に取付基部2を水平杆部材1に装着することができる。なお、水平杆部材1に取付基部2が装着されると、商品吊下陳列具の商品吊下バー3の吊下部15は、取付基部2の前方へ延出されている状態になる。そして、この商品吊下バー3の吊下部15に、図1に示されているように商品を吊下する。この時、吊下した商品が比較的高重量である場合、あるいは、複数の商品を吊下げた場合、吊下部15に大きな力が加わって回転しようとする力が作用するが、水平杆部材1の前側下端の角部が取付基部2の前面板部11の上板片部11aと下板片部11bの間の折曲部分である当接部に当接していることから、前述の回転力が阻止され、ひいては、商品吊下陳列具が水平杆部材1から抜脱することを阻止することができる。なお、図3では、水平杆部材1の前側下端の角部が、取付基部2の上板片部11aと下板片部11bの境界部である折曲部分に略合致して当接している例を示したが、水平杆部材1の前側下端の角部が境界部の近傍に当接すれば、商品吊下バー2に高重量が掛かることによる商品吊下陳列具の回転を阻止することができる。すなわち、上板片部11aと下板片部11bの近傍であれば、水平杆部材1の前側下端の角部が上板片部11aに当接していても、下板片部11bに当接していても、いずれの場合も本発明の目的を達成することができる。
【0018】
図7は、商品吊下陳列具の取付基部の異なる形状のバリエーションを示すもので、図7(c)に示されているものが、上記実施形態の取付基部2に該当する。すなわち、この取付基部2は、先に述べたとおり、下板片部11bの下端に円弧状の切欠き13が形成されている。もっとも、この円弧状の切欠き13は、デザイン上のものであり、図7(b)のように切欠きを設けないで、下板片部11bの下端13を直線状にしてもよい。他方、図7(a)に示す取付基部2は、図7(c)に示したものよりも、円弧状の切欠き13が深く形成されており、下板片部11bのみならず、上板片部11aに跨がっている。従って、水平杆部材1に商品吊下陳列具を装着した際、図7(c)及び図7(b)に示したものと異なり、水平杆部材1の前側下端の角部全体が、上板片部11aと下板片部11bの間の折曲部分である当接部に当接しない。すなわち、図7(a)に示す取付基部2は、上板片部11aと下板片部11bの間の折曲部分である当接部が右側と左側の2箇所に分断された形になっているため、必然的に、水平杆部材1の前側下端の角部の左右の2箇所のみが当接することになる。もっとも、図7(c)及び図7(b)に示す取付基部2のように、水平杆部材1の前側下端の角部全体が上板片部11aと下板片部11bの間の折曲部分に当接しなくても、図7(a)に示す取付基部2のように、2箇所で水平杆部材1の前側下端の角部を当接させれば、商品吊下陳列具が回転し水平杆部材1から抜脱することを阻止することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 水平杆部材
2 取付基部
3 商品吊下バー
10 上面板部(上面部)
11 前面板部(前面部)
11a 上板片部
11b 下板片部
12 後面板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7