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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018708
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】駐輪設備兼用ベンチ
(51)【国際特許分類】
   B62H 3/10 20060101AFI20250130BHJP
   B62H 3/04 20060101ALI20250130BHJP
   A47C 13/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B62H3/10
B62H3/04
A47C13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122667
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金馬 貴之
【テーマコード(参考)】
3B095
【Fターム(参考)】
3B095EA00
3B095EB00
(57)【要約】
【課題】駐輪ラックとしての機能を満たしながら、通常時にはベンチとしての利用が可能な駐輪設備兼用ベンチを提供する。
【解決手段】着座するための座面12と、前記座面12に形成され、自転車または二輪車を駐輪するために自転車または二輪車の車輪を前記座面12の側方から挿入可能なスリット部14とを備えるようにする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座するための座面と、前記座面に形成され、自転車または二輪車を駐輪するために自転車または二輪車の車輪を前記座面の側方から挿入可能なスリット部とを備えることを特徴とする駐輪設備兼用ベンチ。
【請求項2】
前記座面は、所定幅のブロックを幅方向に所定の間隔をあけて複数配置することによって構成され、前記スリット部は、隣り合う前記ブロックの間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の駐輪設備兼用ベンチ。
【請求項3】
前記座面は、幅方向から見た形状が異なる前記ブロックを、幅方向に沿って次第に前記座面の形状が変化するように複数配置することによって構成されることを特徴とする請求項2に記載の駐輪設備兼用ベンチ。
【請求項4】
前記ブロックは、付加製造装置から吐出した水硬性硬化体で構成されることを特徴とする請求項2または3に記載の駐輪設備兼用ベンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐輪設備兼用ベンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車を駐輪すべき位置に案内して駐輪させるためのガイドレールを複数本、並列に配置した駐輪ラックが知られている(例えば、特許文献1を参照)。駐輪ラックは、施設や建物などに隣接して設置されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-200648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駐輪ラックの設置後に、施設や建物の運用上、駐輪ラックとして利用しなくなる場合があった。そのような場合になっても、駐輪ラックとしての機能を満たしながら、通常時にはベンチとしての利用が可能な構造が求められていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駐輪ラックとしての機能を満たしながら、通常時にはベンチとしての利用が可能な駐輪設備兼用ベンチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチは、着座するための座面と、前記座面に形成され、自転車または二輪車を駐輪するために自転車または二輪車の車輪を前記座面の側方から挿入可能なスリット部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチは、上述した発明において、前記座面は、所定幅のブロックを幅方向に所定の間隔をあけて複数配置することによって構成され、前記スリット部は、隣り合う前記ブロックの間に形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチは、上述した発明において、前記座面は、幅方向から見た形状が異なる前記ブロックを、幅方向に沿って次第に前記座面の形状が変化するように複数配置することによって構成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチは、上述した発明において、前記ブロックは、付加製造装置から吐出した水硬性硬化体で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る駐輪設備兼用ベンチによれば、着座するための座面と、前記座面に形成され、自転車または二輪車を駐輪するために自転車または二輪車の車輪を前記座面の側方から挿入可能なスリット部とを備えるので、駐輪ラックとして利用することができる一方、ベンチとしても利用することができるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチによれば、前記座面は、所定幅のブロックを幅方向に所定の間隔をあけて複数配置することによって構成され、前記スリット部は、隣り合う前記ブロックの間に形成されるので、切欠き等の加工を要することなく、座面にスリット部を容易に形成することができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチによれば、前記座面は、幅方向から見た形状が異なる前記ブロックを、幅方向に沿って次第に前記座面の形状が変化するように複数配置することによって構成されるので、意匠性を高めることができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチによれば、前記ブロックは、付加製造装置から吐出した水硬性硬化体で構成されるので、付加製造装置(3Dプリンタ)から吐出した水硬性材料により、容易に製作することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチの実施の形態を示す正面図である。
図2図2は、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチの実施の形態を示す右側面図である。
図3図3は、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチの実施の形態を示す左側面図である。
図4図4は、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチの実施の形態を示す背面図である。
図5図5は、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチの実施の形態を示す平面図である。
図6図6は、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチの実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1~5に示すように、本発明の実施の形態に係る駐輪設備兼用ベンチ10は、着座するためのベンチ用の座面12と、自転車を駐輪するために自転車の前輪(車輪)を座面12の側方から挿入可能なスリット部14とを備える。なお、本発明は、自転車の車輪に限るものではなく、自動二輪車などの二輪車の車輪(例えば前輪)を駐輪対象としてもよい。
【0017】
座面12は、ベンチ10の幅方向Xに間隔をあけて複数配置されたブロック16の上面18に形成される。各ブロック16は、筒軸方向を幅方向Xに向けた短筒状であり、幅Wの寸法は等しいが、幅方向Xから見た形状が各ブロック16で微妙に異なっている。各ブロック16の底面20は水平な床面22に配置され、背面24は面一に配置される。各ブロック16は、背面24側に幅方向に配置した略帯状の繋ぎ材26で連結される。繋ぎ材26は、各ブロック16の背面24に対してボルト28を打ち込んで固定される。繋ぎ材26は、例えば、溝形鋼で構成することができる。
【0018】
各ブロック16は、幅方向Xに沿って次第に座面12の形状が変化するように配置される。図の例では、幅方向Xの両端に、筒の形状が略矩形状のブロック16Aと、略L字状のブロック16Bが配置され、その間に、幅方向Xに滑らかにベンチ10の輪郭形状が変化するように複数のブロック16が間隔をあけて配置される場合が示されている。一端側の略L字状のブロック16Bの底面20の前後方向長さおよび背面24の高さは、他端側の略矩形状のブロック16Aの底面20の前後方向長さおよび背面24の高さのそれぞれ2倍程度である。このため、ベンチ10の他端側は背もたれ部分はないが、一端側に行くにしたがって次第に背もたれ部分30が形成される流線的な曲線を持つ外観形状が得られる。したがって、駐輪設備兼用ベンチ10の意匠性を高めることができる。
【0019】
各ブロック16の幅は、10cm程度の同一幅を想定しているが、本発明はこれに限るものではない。なお、本発明は、幅方向Xから見た形状が微妙に異なるブロック16で構成する場合に限るものではなく、同一形状のブロックのみで構成してもよい。
【0020】
ブロック16は、例えば、モルタル(水硬性硬化体)などのセメント系材料(水硬性材料)で構成することができる。ブロック16をモルタルで製造する場合には、周知の付加製造装置(3Dプリンタ)を用いて製造することが好ましい。このような製造方法を用いることにより、形状が微妙に異なった複数のブロック16に合わせて型枠を用意することなく、ブロック16を容易に製作することができる。また、スリット部14を設けるために切欠き等の加工を要しないので、材料の無駄が生じない。このため、作業手間の低減と、材料コストの節約を図ることができる。なお、ブロック16は、モルタルなどのセメント系材料に限るものではなく、樹脂、金属で構成することも可能である。また、ブロック16の形状は、短筒状に限るものではなく、座面12を構成するとともに、座面12にスリット部14を形成可能であればいかなるものでもよく、例えば、幅方向Xから見た形状がC字状、逆U字状、T字状、板状などでもよい。
【0021】
スリット部14は、幅方向Xに隣り合うブロック16の間に細溝状に形成される開口部である。スリット部14は、ベンチ10の正面32から上面18(座面)および背面24の上側にかけて連続的に形成される。スリット部14は、隣り合うブロック16により複数形成されるため、切欠き等の加工を要することなく、座面12の中に容易に形成することができる。スリット部14は、自転車の前輪の幅よりも若干大きい幅を有している。各スリット部14の幅W1は、10cm程度の同一幅を想定しているが、本発明はこれに限るものでなく、これ以外の幅でもよい。また、異なる幅のスリット部14を複数設けてもよい。スリット部14には、挿入された車輪をロックする駐輪機構を設けてもよい。
【0022】
上記構成の動作および作用について説明する。
図6に示すように、ブロック16からなる座面12を有するため、ベンチとしての利用が可能である。一方、ブロック16の正面32前方から任意のスリット部14に自転車34の前輪36を挿入することが可能である。スリット部14に前輪36の前端をブロック16の背面24側まで押し入れると、前輪36の前方下側の部分がスリット部14の両縁部38から挟み込まれる形になる。これにより、自転車34を駐輪することができる。
【0023】
本実施の形態によれば、駐輪ラックとしての機能を満たしながら、ベンチとしての形状を有している。したがって、駐輪ラックとして利用することができる一方、ベンチとしても利用することができる。上述したように、駐輪ラックを設置した後において建物の運用上、駐輪ラックとして運用しない場合があるが、本実施の形態は、通常時にはベンチとしての利用が可能であるため、そのような場合に好適である。
【0024】
上記の駐輪設備兼用ベンチ10を施工する場合の施工手順の一例について説明する。
まず、周知の付加製造装置(3Dプリンタ)から吐出したセメント系材料により、モルタル製の複数のブロック16を製造し、養生を済ませておく。各ブロック16は、形状が微妙に異なるが、付加製造装置を用いて製造されるので、各ブロック16に合わせた型枠を用意する必要はない。このため、形状が微妙に異なるブロック16を容易かつ安価に製作することができる。次に、ベンチ設置場所の床上に各ブロック16を幅方向Xに所定の順序で間隔をあけて配置し、繋ぎ材26で連結する。その後、繋ぎ材26やブロック16の少なくとも一部を床や周囲の壁などに固定してもよい。このようにすることで、駐輪設備兼用ベンチ10を容易に施工することができる。
【0025】
以上説明したように、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチによれば、着座するための座面と、前記座面に形成され、自転車または二輪車を駐輪するために自転車または二輪車の車輪を前記座面の側方から挿入可能なスリット部とを備えるので、駐輪ラックとして利用することができる一方、ベンチとしても利用することができる。
【0026】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチによれば、前記座面は、所定幅のブロックを幅方向に所定の間隔をあけて複数配置することによって構成され、前記スリット部は、隣り合う前記ブロックの間に形成されるので、切欠き等の加工を要することなく、座面にスリット部を容易に形成することができる。
【0027】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチによれば、前記座面は、幅方向から見た形状が異なる前記ブロックを、幅方向に沿って次第に前記座面の形状が変化するように複数配置することによって構成されるので、意匠性を高めることができる。
【0028】
また、本発明に係る他の駐輪設備兼用ベンチによれば、前記ブロックは、付加製造装置から吐出した水硬性硬化体で構成されるので、付加製造装置(3Dプリンタ)から吐出した水硬性材料により、容易に製作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明に係る駐輪設備兼用ベンチは、施設や建物に近接して設けられる駐輪設備に有用であり、特に、駐輪ラックとしての機能を満たしながら、通常時にベンチとして利用するのに適している。
【符号の説明】
【0030】
10 駐輪設備兼用ベンチ
12 座面
14 スリット部
16 ブロック
18 上面
20 底面
22 床面
24 背面
26 繋ぎ材
28 ボルト
30 背もたれ部分
32 正面
34 自転車
36 前輪
38 両縁部
W,W1 幅
X 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6