(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025187327
(43)【公開日】2025-12-25
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20251218BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20251218BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/04 E
G02B7/04 Z
G02B7/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096020
(22)【出願日】2024-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】杉山 友彦
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE10
2H044BF05
2H044BF07
2H044DA01
2H044DA02
2H044DB02
(57)【要約】
【課題】レンズ保持枠を安定的に付勢することを可能にしたレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒であって、レンズを保持し、固定部材に対してレンズの光軸に沿った方向に移動可能であって、第1の当接部と第2の当接部を有するレンズ保持枠と、レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、第1の当接部と当接する第1のガイド部材と、レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、第2の当接部と当接する第2のガイド部材と、付勢力を発生させることで第2の当接部と第2のガイド部材とを当接させる付勢部材と、を備え、付勢部材は、レンズ保持枠に保持される第1のコイルを含む電磁石である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持し、固定部材に対して前記レンズの光軸に沿った方向に移動可能であって、第1の当接部と第2の当接部を有するレンズ保持枠と、
前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、前記第1の当接部と当接する第1のガイド部材と、
前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、前記第2の当接部と当接する第2のガイド部材と、
付勢力を発生させることで前記第2の当接部と前記第2のガイド部材とを当接させる付勢部材と、を備え、
前記付勢部材は、前記レンズ保持枠に保持される第1のコイルを含む電磁石であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記レンズ鏡筒の姿勢に応じて、前記付勢力が変化することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記レンズ鏡筒の姿勢を検出する姿勢検出部を有し、
前記付勢部材は、前記姿勢検出部による姿勢検出結果に基づいて前記付勢力が可変することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記姿勢検出結果に基づいて、前記第1のコイルに印加する電流を制御することで前記付勢部材の前記付勢力を変化させる制御部を有することを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記電磁石は、電流が印加されることで磁気付勢力を発生させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に駆動させるボイスコイルモータと、
フレキシブル基板と、を有し、
前記フレキシブル基板の一方側の端部である第1端部には前記第1のコイル及び前記ボイスコイルモータの第2のコイルが接続され、他方側の端部である第2端部には、前記固定部材が接続されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記フレキシブル基板は、前記第1端部に前記第1のコイル及び前記第2のコイルが連結された状態で前記レンズ保持枠に保持されることを特徴とする請求項6に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記ボイスコイルモータは、さらにヨークとマグネットとを有し、
前記ヨークと前記マグネットにより構成される磁気回路部は、前記固定部材に保持されることを特徴とする請求項6に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記第2のガイド部材は、磁性材料により形成されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記第2の当接部は、外径側に向けた開口を有する溝部であり、
前記第2のガイド部材が前記溝部に配置されることで、前記レンズ保持枠の移動が光軸に沿った方向に制限されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
前記付勢力は、前記電磁石に電流が印加されることで発生する磁気付勢力であり、
前記第2のガイド部材は、磁性材料により形成され、
前記磁気付勢力を発生させることで、前記第2の当接部を前記第2のガイド部材の方向に押し下げ、前記第2の当接部を前記第2のガイド部材を当接させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項12】
前記電磁石は、磁性材料で形成される第1のコア部材と第2のコア部材を更に含み、
前記第1のコイルは、前記第1のコア部材に巻き付けられ、前記第2のコア部材は前記第1のコイルよりも光軸に直交する平面で見た際に外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項13】
前記付勢部材は径方向に付勢力を発生させることで前記第2の当接部と前記第2のガイド部材とを当接させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項14】
前記レンズを通して被写体を撮像する撮像素子と、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒と、を有する、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
前記レンズ鏡筒の姿勢検出結果に基づいて、前記第1のコイルに印加する電流を制御することで前記付勢部材の前記付勢力を変化させる制御部を有することを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒、及び撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラ等の光学機器に用いられるレンズ鏡筒は、変倍(ズーミング)や焦点調節(フォーカシング)を可能にするために、レンズを光軸方向(光軸に沿った方向)に移動させるレンズ駆動装置を備えている。レンズを保持するレンズ保持枠は、ガイド部材により光軸方向に移動可能に当接され、レンズ保持枠の自重による付勢力がガイド部材にかかることで安定的な吊り合いを形成している。以下、このレンズ保持枠の自重によるガイド部材への付勢力を自重付勢力と呼称する。
【0003】
ガイド部材は、レンズ保持枠に設けられた筒状のスリーブに挿通される第1のガイド部材と、光軸と直交する面内において第1のガイド部材周りの回転方向に対するレンズ保持枠の回転規制を行う回転規制部に当接される第2のガイド部材により構成されている。このようなレンズ駆動装置では、光軸と直交する面内において自重がかかる重心位置が第1のガイド部材と第2のガイド部材の間に位置するため、姿勢が変化した際に、レンズ保持枠の自重付勢力が変化する。これによって、レンズ保持枠の安定的な吊り合いを構成できずにレンズ保持枠とガイド部材との間でガタつきを生じる可能性がある。
【0004】
特許文献1では、レンズ保持枠とガイド部材との間で、姿勢変化によるガタつきを防止するために有利なレンズ駆動装置が提案されている。この特許文献1では、レンズ保持枠の回転規制部に一体的にマグネットを保持し、回転規制部に当接される第2のガイド部材は磁性材料で形成されている。そして、特許文献1では、マグネットと第2のガイド部材との間で光軸と直交する方向に磁気吸着力が発生し、回転規制部に磁気付勢力がかかることで、姿勢変化時もレンズ保持枠と第2のガイド部材の間でガタ寄せができる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1の構成によれば、回転規制部への磁気付勢力は常に一定であり、レンズ駆動装置の姿勢が変化した際、レンズ保持枠の自重付勢力が変化するため、磁気付勢力と自重付勢力の加算付勢力は、姿勢により変化する。これによって加算付勢力が変化し、回転規制部への負荷が変動するため、レンズ保持枠を安定的に付勢することが困難となる可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、簡素な構造で、レンズ保持枠を安定的に付勢することを可能にしたレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのレンズ鏡筒は、レンズを保持し、固定部材に対して前記レンズの光軸に沿った方向に移動可能であって、第1の当接部と第2の当接部を有するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、前記第1の当接部と当接する第1のガイド部材と、前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、前記第2の当接部と当接する第2のガイド部材と、付勢力を発生させることで前記第2の当接部と前記第2のガイド部材とを当接させる付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、前記レンズ保持枠に保持される第1のコイルを含む電磁石であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レンズ保持枠を安定的に付勢することを可能にしたレンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るレンズ鏡筒とカメラ本体を含む撮像装置の概念図である。
【
図2】実施形態に係るレンズ駆動装置の全体を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係るレンズ駆動装置の内部構成を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係る電磁石保持部周辺を示す上面図である。
【
図5】実施形態に係る電磁石保持部周辺を示す
図3におけるA-A断面図である。
【
図6】実施形態に係るレンズ駆動装置が正姿勢時のレンズ保持枠への自重付勢力を示す図である。
【
図7】実施形態に係るレンズ駆動装置が姿勢変化した時のレンズ保持枠への磁気付勢力を示す図である。
【
図8】実施形態に係る光軸周りの姿勢変化時に回転規制溝へ作用する付勢力の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について実施例や図を用いて説明する。尚、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略ないし簡略化する。また、以下の各図では、レンズ群の光軸OA方向において被写体に向かう方向にX軸をとり、X軸と直交する平面において、所定の方向にY軸をとり、Y軸に垂直な方向にZ軸をとる。
【0012】
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係る撮像装置3000全体を示す概念図である。
図1に例示しているように、本実施形態における撮像装置3000は、レンズ鏡筒1000(レンズ装置)及びカメラ本体2000を有するように構成される。また、レンズ鏡筒1000にはレンズ駆動装置100が内蔵されている。尚、
図1に図示しているレンズ駆動装置100の構成は例示であって、本実施形態におけるレンズ駆動装置100の詳細は後述して説明する。また、
図1では説明の簡略化のため図示していないが、レンズ鏡筒1000は、例えは、レンズ、カム環、案内筒、ズームリング、電磁絞りユニット、各鏡筒群等を有するように構成される。
【0013】
また、レンズ鏡筒1000内には制御基板(レンズ鏡筒側の制御部)110が配置される。制御基板110は、CPUやメモリ等を含む少なくとも1つのコンピュータとして構成される。制御基板110は、レンズ鏡筒1000の各部と電気的に接続されることで、レンズ鏡筒1000内の各動作(例えば、駆動動作)を制御している。制御基板110は、例えば、後述する第1フレキシブル基板4や第2フレキシブル基板12、不図示の電磁絞りユニット等と電気的に接続される。
【0014】
レンズ鏡筒1000は、マウント120を有する。マウント120は、光学部材(レンズ)を通して被写体を撮像する撮像素子200等の各部材を有するカメラ本体(カメラボディ)2000に固定される部品である。即ち、レンズ鏡筒1000におけるマウント120は、カメラ本体2000に設けられるマウント210に装着可能に構成されており、カメラ本体2000に設けられるマウント210に装着することでカメラ本体2000と通信可能に接続することができる。これにより、レンズ鏡筒1000と撮像素子200を有するカメラ本体2000とで撮像装置3000を構成することができる。撮像装置3000は、レンズ鏡筒1000を通して結像した像を撮影することができる構成となっている。尚、撮像装置3000としては、レンズ鏡筒1000とカメラ本体2000とを一体とした撮像装置であってもよい。
【0015】
撮像素子200は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementry Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサによって構成される。また、カメラ本体2000は、不図示の制御基板(カメラ側の制御部)を有する。不図示の制御基板は、CPUやメモリ等を含む少なくとも1つのコンピュータとして構成され、カメラ本体2000の動作を統括的に制御する。不図示の制御基板は、カメラ本体2000の不図示の電源ボタンを操作することでカメラ本体2000が電源ONの状態となると作動する。また、不図示の制御基板は、レンズ鏡筒1000とカメラ本体2000とが各マウントを介して電気的に接続されることで、制御基板110とも電気的に接続される。そして、カメラ本体2000の不図示の制御部が制御基板110に動作や処理に応じた制御信号を送受信することで、レンズ鏡筒1000の各動作について制御するようにしてもよい。
【0016】
図2は、本実施形態に係るレンズ駆動装置100の全体を示す斜視図である。レンズ駆動装置100は、レンズ鏡筒1000を構成する固定筒1と固定板2からなる固定部材を有する。レンズ駆動装置100は、姿勢検出部3が実装された第1フレキシブル基板4を有し、当該第1フレキシブル基板4は、固定筒1に固定される。
【0017】
図3は、本実施形態に係るレンズ駆動装置100の内部構成を示す斜視図である。
図3(A)は、X軸の被写体方向からレンズ駆動装置100の内部構成を見た斜視部図である。
図3(B)は、X軸の撮像面方向からレンズ駆動装置100の内部構成を見た斜視図である。
【0018】
移動レンズ群5は、レンズ保持枠6により保持される。そして移動レンズ群5は、レンズ保持枠6に保持された状態で光軸OAに沿った方向に移動する。尚、移動レンズ群5は、ズームレンズまたはフォーカスレンズのいずれの種類であってもよい。
【0019】
レンズ保持枠6は、スリーブ部(第1の当接部)を有する。当該スリーブ部は、スリーブ穴6aとスリーブ穴6bの2つの穴部によって構成される。さらにレンズ保持枠6は、スリーブ穴6aとスリーブ穴6bを介して貫通穴を有するように光軸OA方向で延伸して形成されるガイド部を備える。そして、当該ガイド部に第1ガイドバー10を挿入することで、第1ガイドバー10はスリーブ穴6a及びスリーブ穴6bに当接する。
【0020】
また、レンズ保持枠6は、開口を外側(外径側)に向けた回転規制溝(第2の当接部)6cを備える。この回転規制溝6cには、第2ガイドバー11が配置される。回転規制溝6cは、上記のように外径側に向けた開口を有する溝部であり、第2ガイドバー11が配置されることで、レンズ保持枠6の移動を光軸OAに沿った方向に制限する。
【0021】
第1ガイドバー10と第2ガイドバー11は、光軸OAに沿った方向と平行になるように固定筒1と固定板2により固定されている。このため、レンズ保持枠6の移動方向は光軸前後方向(X軸方向)に制限されている。即ち、レンズ保持枠6は光軸OAに沿った方向に進退可能に第1ガイドバー10と第2ガイドバー11によって支持される。言い換えると、レンズ保持枠6は、径方向(光軸直交方向)に移動しないように第1ガイドバー10と第2ガイドバー11によって支持される。尚、後述する電磁石(付勢部材)13への作用の目的で、本実施形態における第2ガイドバー11は、磁性材料によって形成される。
【0022】
次に、本実施形態におけるボイスコイルモータについて説明する。ボイスコイルモータは、レンズ保持枠6を光軸OA方向に進退可能に移動させるアクチュエータの一つである。即ち、ボイスコイルモータが駆動することで、レンズ保持枠6は光軸OA方向に進退する。
図3(B)に示すように、ボイスコイルモータは、マグネット7、ヨーク8、及びボイスコイル(第2のコイル)9により構成されている。ヨーク8は、第1ヨーク8a、第2ヨーク8bからなる。ボイスコイル9は、レンズ保持枠6に固定(保持)されており、マグネット7とヨーク8によって構成される磁気回路部(磁気回路要素)は固定筒1に固定(保持)されている。
【0023】
ヨーク8は、ループ形状に構成される、当該ループの内側(内径側)にマグネット7が配置されている。また、ヨーク8の一部は環状のボイスコイル9の内側を通過しており、マグネット7の磁束は、ボイスコイル9の軸方向に直交し、ヨーク8によって磁束が流れる閉磁路が形成されている。
【0024】
第2フレキシブル基板12は、一方側の端部である第1端部12aがボイスコイル9と後述する電磁コイル15に接続され、他方側の端部である第2端部12bには固定筒1に接続される。尚、第1端部12aとボイスコイル9及び電磁コイル15のそれぞれは、例えば、
図3(B)に例示しているようにリード線等によって接続される。このように、第2フレキシブル基板12は、第1端部12aをボイスコイル9及び電磁コイル15と接続され、第2端部12bが固定筒に接続されることでそれぞれの部材と連結する。第2フレキシブル基板12は、第1端部12aがボイスコイル9と電磁コイルに接続された状態でレンズ保持枠6に固定され、第2端部12bが固定筒1に固定される。
【0025】
第2フレキシブル基板12を介してボイスコイル9に電流が流れると、マグネット7の磁束によるローレンツ力が光軸OA方向に働くため、レンズ保持枠6は光軸OA方向の力を受ける。また、ボイスコイル9への通電方向によってローレンツ力の方向は光軸OA前後方向に切り替えられるため、レンズ保持枠6は光軸OAに沿って前後に移動可能である。このような構成によって、レンズ駆動装置100は光学系のズーム動作及びフォーカス動作のための駆動制御を行っている。
【0026】
次に、レンズ保持枠6の回転規制溝6cに近接した位置に配置される電磁石13について
図4や
図5を参照して以下に説明する。
図4は、本実施形態に係るレンズ駆動装置100の内部構成における電磁石保持部6d周辺をY軸方向から見た上面図(+Y方向から-Y方向を見た図)である。
図5は、本実施形態に係る電磁石保持部6d周辺を示す
図4におけるA-A断面図である。
図5(A)は、
図4における電磁石13保持部周辺のA-A断面図を示す図である。
図5(B)は、
図5(A)におけるA-A断面図の状態で、電磁石13を作用させた時の磁束Bと磁気付勢力Fmを示す図である。
【0027】
電磁石13は、
図5に示すように第2ガイドバー11及び回転規制溝6cの上側(例えば、真上)に位置するようにレンズ保持枠6に配置される。即ち、第2ガイドバー11及び回転規制溝6cよりも、電磁石13の中心位置が外径側(+Y方向側)となるようにレンズ保持枠6に配置される。
【0028】
本実施形態における電磁石13は、磁性体からなるドラムコア(第1のコア部材)14と、ドラムコア14に巻き付けられた電磁コイル(第1のコイル)15と、磁性体からなるリングコア(第2のコア部材)16により構成される。本実施形態における電磁石13は、レンズ鏡筒1000の姿勢に応じて発生させる付勢力が変化する。
【0029】
電磁コイル15は、第2フレキシブル基板12の第1端部12aに連結するように固定されることで電気的に第2フレキシブル基板12と接続する。ドラムコア14とリングコア16は、レンズ保持枠6の電磁石保持部6dに固定される。例えば、接着剤17等の固定手段よって固定される。尚、接着剤は例示であって、接着剤以外の固定手段によって固定されてもよい。
【0030】
第2フレキシブル基板12を介して電磁コイル15に電流が流れると、ドラムコア14とリングコア16が磁化される。これにより、電磁石13には、ドラムコア14とリングコア16によって磁束Bが流れる閉磁路が形成される。
【0031】
上記したように第2ガイドバー11は、磁性材料で形成されているため、電磁コイル15に電流が流れると、電磁石13と第2ガイドバー11の間に磁気付勢力Fmが第2ガイドバー11の方向に働く。即ち、電磁石13は、電流が印加されることで磁気付勢力を発生させることができる。そして、当該磁気付勢力Fmは、回転規制溝6cを第2ガイドバー11の方向に押し下げる(一方向に付勢する)ことで第2ガイドバー11と当接し、ガタ寄せが行われる。
【0032】
図6は、レンズ駆動装置100が正姿勢の時、レンズ保持枠6の自重mgによる自重付勢力を示す図である。
図6(A)は、X軸方向から見た時の正面図である。
図6(B)は、Z軸方向から見た時の側面図である。
【0033】
レンズ保持枠6の自重mgにより、スリーブ穴6aに自重付勢力Faが作用し、スリーブ穴6bに自重付勢力Fbが作用し、回転規制溝6cに自重付勢力Fcが作用する。これにより、レンズ保持枠6が一方に寄せられガタ寄せが行われる。しかし、レンズ駆動装置100の姿勢が変化していった時、回転規制溝6cに自重付勢力Fcが作用せず、安定的な吊り合いを構成できない場合がある。本実施形態では、このような姿勢変化時に電磁石13による磁気付勢力Fmを利用し、回転規制溝6cのガタ寄せを行う。
【0034】
次にレンズ駆動装置100の姿勢が変化した場合の電磁石13の制御について説明する。
図7は、回転規制溝6cへ自重付勢力Fcがかからなくなる姿勢時のレンズ駆動装置100の内部構成を示す正面図である。
図8は、光軸方向(X軸方向)周りの姿勢変化時に回転規制溝6cへ作用する付勢力の変化を示す図である。
【0035】
図8に示すように、横軸の0degを正姿勢(例えば、
図6に示す状態)とした時、例えば光軸周りの姿勢を変化させていく(X軸周りに回転させていく)と徐々に自重付勢力Fcが変化する。そして、第1ガイドバー10からみて重力方向にレンズ保持枠6の重心が存在する位相で、自重によって第1ガイドバー10周りの回転トルクが発生しなくなる(例えば、
図6に示す状態)。この姿勢で自重付勢力Fcがかからなくなる。
【0036】
同様に上下方向に光軸直交周りの姿勢を変化させていく(Z軸周りに回転させていく)ことによっても徐々に自重付勢力Fcが小さくなり、レンズ駆動装置100が上下垂直状態になる所で自重付勢力Fcがかからなくなる。
【0037】
姿勢検出部3は、角速度センサが用いられる。本実施形態における姿勢検出部3は、レンズ鏡筒1000の姿勢を検出する。具体的には、姿勢検出部3は、レンズ鏡筒1000内に配置されるレンズ駆動装置100の姿勢を検出して、検出した角速度信号をレンズ駆動装置100の姿勢情報として、第1フレキシブル基板4を介しレンズ鏡筒1000の制御基板110に出力する。尚、姿勢検出部3は、カメラ本体2000側の制御基板に対して出力するようにしてもよい。
【0038】
そして制御基板110は、姿勢検出部3より出力されたレンズ駆動装置100の姿勢情報から、電磁石13の電磁コイル15に印可する電流を制御(調整)することで、回転規制溝6cを第2ガイドバー11に当接させるように磁気付勢力Fmを変化させる。このように本実施形態における電磁石13は、レンズ鏡筒1000の姿勢に応じて、付勢力が変化する。即ち、電磁石13は、姿勢検出部3による姿勢検出結果に基づいて磁気付勢力が可変する。そして、上記したように制御基板110によって、レンズ鏡筒1000(レンズ駆動装置100)の姿勢に応じて、磁気付勢力Fmを変化させる。
【0039】
これにより、
図8に示すように、姿勢変化による自重付勢力Fcの低下に応じて磁気付勢力Fmを作用させることが可能となり、自重付勢力Fcと磁気付勢力Fmを加算した加算付勢力Fdを一定に保つことができる。そして、姿勢によらず加算付勢力Fdを一定に保つことで、レンズ保持枠6を安定的に付勢し、ガタつき防止と応答性を向上することを可能にしたレンズ駆動装置100を有するレンズ鏡筒1000を提供することができる。
【0040】
以上説明した実施形態は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、上記実施形態に対して種々の変形や変更が可能である。
【0041】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0042】
(構成1)
レンズを保持し、固定部材に対して前記レンズの光軸に沿った方向に移動可能であって、第1の当接部と第2の当接部を有するレンズ保持枠と、
前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、前記第1の当接部と当接する第1のガイド部材と、
前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に支持し、前記第2の当接部と当接する第2のガイド部材と、
付勢力を発生させることで前記第2の当接部と前記第2のガイド部材とを当接させる付勢部材と、を備え、
前記付勢部材は、前記レンズ保持枠に保持される第1のコイルを含む電磁石であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【0043】
(構成2)
前記付勢部材は、前記レンズ鏡筒の姿勢に応じて、前記付勢力が変化することを特徴とする構成1に記載のレンズ鏡筒。
【0044】
(構成3)
前記レンズ鏡筒の姿勢を検出する姿勢検出部を有し、
前記付勢部材は、前記姿勢検出部による姿勢検出結果に基づいて前記付勢力が可変することを特徴とする構成1または2に記載のレンズ鏡筒。
【0045】
(構成4)
前記姿勢検出結果に基づいて、前記第1のコイルに印加する電流を制御することで前記付勢部材の前記付勢力を変化させる制御部を有することを特徴とする構成3に記載のレンズ鏡筒。
【0046】
(構成5)
前記電磁石は、電流が印加されることで磁気付勢力を発生させることを特徴とする構成1乃至4のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
【0047】
(構成6)
前記レンズ保持枠を光軸に沿った方向に進退可能に駆動させるボイスコイルモータと、
フレキシブル基板と、を有し、
前記フレキシブル基板の一方側の端部である第1端部には前記第1のコイル及び前記ボイスコイルモータの第2のコイルが接続され、他方側の端部である第2端部には、前記固定部材が接続されることを特徴とする構成1乃至5のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
【0048】
(構成7)
前記フレキシブル基板は、前記第1端部に前記第1のコイル及び前記第2のコイルが連結された状態で前記レンズ保持枠に保持されることを特徴とする構成6に記載のレンズ鏡筒。
【0049】
(構成8)
前記ボイスコイルモータは、さらにヨークとマグネットとを有し、
前記ヨークと前記マグネットにより構成される磁気回路部は、前記固定部材に保持されることを特徴とする構成6または7に記載のレンズ鏡筒。
【0050】
(構成9)
前記第2のガイド部材は、磁性材料により形成されることを特徴とする構成1乃至8のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
【0051】
(構成10)
前記第2の当接部は、外径側に向けた開口を有する溝部であり、
前記第2のガイド部材が前記溝部に配置されることで、前記レンズ保持枠の移動が光軸に沿った方向に制限されることを特徴とする構成1乃至9のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
【0052】
(構成11)
前記付勢力は、前記電磁石に電流が印加されることで発生する磁気付勢力であり、
前記第2のガイド部材は、磁性材料により形成され、
前記磁気付勢力を発生させることで、前記第2の当接部を前記第2のガイド部材の方向に押し下げ、前記第2の当接部を前記第2のガイド部材を当接させることを特徴とする構成1乃至4のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
【0053】
(構成12)
前記電磁石は、磁性材料で形成される第1のコア部材と第2のコア部材を更に含み、
前記第1のコイルは、前記第1のコア部材に巻き付けられ、前記第2のコア部材は前記第1のコイルよりも光軸に直交する平面で見た際に外側に配置されることを特徴とする構成1乃至11のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
【0054】
(構成13)
前記付勢部材は径方向に付勢力を発生させることで前記第2の当接部と前記第2のガイド部材とを当接させることを特徴とする構成1乃至12のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
【0055】
(構成14)
前記レンズを通して被写体を撮像する撮像素子と、
構成1乃至13のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒と、を有する、
ことを特徴とする撮像装置。
【0056】
(構成15)
前記レンズ鏡筒の姿勢検出結果に基づいて、前記第1のコイルに印加する電流を制御することで前記付勢部材の前記付勢力を変化させる制御部を有することを特徴とする構成14に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0057】
6 レンズ保持枠
6a スリーブ穴
6b スリーブ穴
6c 回転規制溝
10 第1ガイドバー
11 第2ガイドバー
13 電磁石
100 レンズ駆動装置
1000 レンズ鏡筒