(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018740
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】電子デバイス用封止剤及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20250130BHJP
C08G 59/20 20060101ALI20250130BHJP
H10K 30/88 20230101ALI20250130BHJP
C08G 59/50 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H10K30/50
C08G59/20
H10K30/88
C08G59/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122717
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 和起
(72)【発明者】
【氏名】山田 大雅
(72)【発明者】
【氏名】石井 悠一
【テーマコード(参考)】
4J036
5F251
【Fターム(参考)】
4J036AA01
4J036AH07
4J036DC10
4J036DC21
4J036JA07
5F251FA02
5F251FA06
5F251FA30
5F251GA02
5F251GA03
5F251JA02
5F251JA04
5F251XA01
5F251XA31
(57)【要約】
【課題】有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れる封止剤、及び、該封止剤を有する電子デバイスを提供する。
【解決手段】下記一般式(1):
R-M-X3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、前記封止剤は、エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる封止剤、及び、該封止剤を有する電子デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
R-M-X3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、
前記封止剤は、エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる、封止剤。
【請求項2】
前記キシリレンジアミンの変性体が、下記成分(A)と成分(B)との反応生成物である、請求項1に記載の封止剤。
(A)メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種
(B)下記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種
【化1】
(式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~13のアラルキル基を表す。)
【請求項3】
前記封止剤組成物中の前記エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する前記エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比(活性水素数/エポキシ基数)が0.8~3.0の範囲である、請求項1又は2に記載の封止剤。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂がメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の封止剤。
【請求項5】
前記成分(A)がメタキシリレンジアミンであり、前記成分(B)がアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項2~4のいずれか1項に記載の封止剤。
【請求項6】
前記封止剤の温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過係数が1.0g・mm/(m2・day)以下であり、且つ、温度23℃、相対湿度60%における酸素透過係数が1.0cc・mm/(m2・day)以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の封止剤。
【請求項7】
前記電子デバイスが太陽電池である、請求項1~6のいずれか1項に記載の封止剤。
【請求項8】
下記一般式(1):
R-M-X3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、
エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる封止剤と、を有する電子デバイス。
【請求項9】
前記電子デバイスが、基材、前記光電変換層、及び対向基材を順に有し、前記基材と前記対向基材との間に前記光電変換層が封止された構造を有する、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する組成物の、電子デバイス用の封止剤組成物としての使用であって、
前記電子デバイスが、下記一般式(1):
R-M-X3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤、及び、該封止剤を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ペロブスカイト型太陽電池は、光電変換効率が高いことが知られている(例えば特許文献1参照)。ペロブスカイト型太陽電池は、報告当初は発電効率に問題があったものの、近年では、発電効率が急速に改善され、世界における太陽電池開発の主役ともいえる存在となっている。
ペロブスカイト型太陽電池は、一般に、電極と、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層とを備える。これらの電極及び光電変換層は、太陽電池の長寿命化を図るために大気中の水分及び酸素から保護する必要がある。
【0003】
太陽電池等の電子デバイスにおける電極、光電変換層を保護するために、封止剤が用いられる。
例えば特許文献2には、所定量の水添ノボラック型エポキシ樹脂、水添エポキシ樹脂および/又は分子中に水酸基を有さない芳香族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる常温で液状のエポキシ樹脂、及びカチオン開始剤を含有する光電変換素子用封止剤組成物が開示され、スクリーン印刷性に優れ、電解液による腐食に対して優れた耐久性を有する保護膜を形成できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/056312号
【特許文献2】特開2013-089578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示される封止剤組成物は、光反応性のカチオン重合性組成物であり、強酸を発生するカチオン開始剤を用いていることから、腐食が生じるおそれがある。また、ペロブスカイト型太陽電池においては、特に高い水蒸気バリア性及び酸素バリア性が要求されるため、封止剤のバリア性についても改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れる封止剤、及び、該封止剤を有する電子デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、所定のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる封止剤により、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]下記一般式(1):
R-M-X
3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、
前記封止剤は、エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる、封止剤。
[2]前記キシリレンジアミンの変性体が、下記成分(A)と成分(B)との反応生成物である、[1]に記載の封止剤。
(A)メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種
(B)下記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種
【化1】
(式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~13のアラルキル基を表す。)
[3]前記封止剤組成物中の前記エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する前記エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比(活性水素数/エポキシ基数)が0.8~3.0の範囲である、[1]又は[2]に記載の封止剤。
[4]前記エポキシ樹脂がメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分とする、[1]~[3]のいずれか1項に記載の封止剤。
[5]前記成分(A)がメタキシリレンジアミンであり、前記成分(B)がアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項[2]~[4]のいずれか1項に記載の封止剤。
[6]前記封止剤の温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過係数が1.0g・mm/(m
2・day)以下であり、且つ、温度23℃、相対湿度60%における酸素透過係数が1.0cc・mm/(m
2・day)以下である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の封止剤。
[7]前記電子デバイスが太陽電池である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の封止剤。
[8]下記一般式(1):
R-M-X
3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、
エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる封止剤と、を有する電子デバイス。
[9]前記電子デバイスが、基材、前記光電変換層、及び対向基材を順に有し、前記基材と前記対向基材との間に前記光電変換層が封止された構造を有する、[8]に記載の電子デバイス。
[10]エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する組成物の、電子デバイス用の封止剤組成物としての使用であって、
前記電子デバイスが、下記一般式(1):
R-M-X
3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する、使用。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れる封止剤、及び、該封止剤を有する電子デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の電子デバイスにおける光電変換層の封止態様の一実施形態を示す断面模式図である。
【
図2】本発明の電子デバイスにおける光電変換層の封止態様の一実施形態を示す断面模式図である。
【
図3】本発明の電子デバイスにおける光電変換層の封止態様の一実施形態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[電子デバイス用封止剤]
本発明の電子デバイス用封止剤(以下、単に「本発明の封止剤」ともいう)は、下記一般式(1):
R-M-X3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、
前記封止剤は、エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる。
本発明の封止剤は有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れる。
本発明の封止剤が上記効果を奏する理由は、前記封止剤組成物が、エポキシ樹脂硬化剤としてキシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むことで、得られる硬化物が優れた水蒸気バリア性及び酸素バリア性を発現すると考えられる。
【0011】
[電子デバイス]
本発明の電子デバイスは、下記一般式(1):
R-M-X3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層と、
エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる封止剤と、を有する。
【0012】
(光電変換層)
前記電子デバイスが有する光電変換層は、前記一般式(1)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む。
【0013】
〔一般式(1)で表される有機無機ペロブスカイト化合物〕
一般式(1)中のRは、有機カチオン又は金属カチオンである。一般式(1)中のRにおける有機カチオンは、窒素原子を含む有機化合物のカチオン化物であることが好ましい。
窒素原子を含む有機化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、フェネチルアミン等のアミン化合物;ホルムアミジン、アセトアミジン等のアミジン化合物;グアニジン;イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾール、イミダゾリン、カルバゾール等の複素環式化合物;が挙げられる。
ここで、「窒素原子を含む有機化合物のカチオン化物」とは、例えば、窒素原子を含む有機化合物がアミン化合物である場合は、該アミン化合物中のアミノ基を第4級アンモニウムカチオンに変換したものが挙げられる。その一例として、「メチルアミンのカチオン化物」として、メチルアンモニウムカチオンが挙げられる。
【0014】
上記の中でも、窒素原子を含む有機化合物としては、好ましくはアミン化合物及びアミジン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、フェネチルアミン、ホルムアミジン、及びアセトアミジンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、及びホルムアミジンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0015】
一般式(1)中のRにおける金属カチオンとしては、1価の金属カチオンが好ましく、アルカリ金属カチオンがより好ましい。一般式(1)中のRにおける金属カチオンとしては、例えば、銀カチオン(Ag+)、セシウムカチオン(Cs+)、カリウムカチオン(K+)、ルビジウムカチオン(Rb+)等が挙げられる。
【0016】
一般式(1)中のMは金属原子であり、より詳細には、多価イオンとなり得る金属原子である。該金属原子としては、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0017】
一般式(1)中のXはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。具体的には、ハロゲン原子のうちの1種が単独で用いられもよく、ハロゲン原子のうちの2種以上が併用されてもよい。あるいは、カルコゲン原子のうちの1種が単独で用いられもよく、カルコゲン原子のうちの2種以上が併用されてもよい。有機無機ペロブスカイト化合物の有機溶媒への溶解性向上の観点からは、Xは、好ましくはハロゲン原子である。さらに、有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなるという観点から、当該ハロゲン原子は好ましくはヨウ素原子である。
【0018】
一般式(1)で表される有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機カチオン又は金属カチオンR、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。その理由は定かではないが、有機無機ペロブスカイト化合物が上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変化することができるため、有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、光電変換効率が向上すると推定される。
【0019】
前記有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好ましい。本明細書において結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味する。有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であることにより、有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、光電変換効率が向上すると考えられる。
【0020】
光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記一般式(1)で表される有機無機ペロブスカイト化合物以外に、さらに、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。
有機半導体としては、例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物;ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子;フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物;表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料;等が挙げられる。
無機半導体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、Cu2O、CuI、MoO3、V2O5、WO3、MoS2、MoSe2、Cu2S等が挙げられる。
【0021】
光電変換層が、有機無機ペロブスカイト化合物と有機半導体又は無機半導体とを含む場合、薄膜状の有機半導体部位及び/又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層体であってもよいし、有機半導体部位及び/又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜であってもよい。
【0022】
光電変換層における薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚さは、特に限定されないが、光電変換効率向上の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上であり、好ましくは5000nm以下、より好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは500nm以下である。
【0023】
光電変換層が、有機半導体部位及び/又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とが複合化した複合膜である場合、複合膜の厚さは、光電変換効率向上の観点から、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、また、好ましくは3000nm以下、より好ましくは2000nm以下、さらに好ましくは1000nm以下である。
【0024】
光電変換層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、光電変換層に含まれる材料を0.5~3.0mol/L程度の合計濃度でN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)等の有機溶媒に溶解させた後、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法、スピンコート法、キャスト法、ロールtoロール法等が挙げられる。
【0025】
本発明の電子デバイスの具体例としては、太陽電池、発光センサー、量子ドット等が挙げられる。これらの中でも、有機無機ペロブスカイト化合物の優れた光電変換効率を有効利用する観点から、前記電子デバイスは、好ましくは太陽電池である。
【0026】
本発明の電子デバイスの構成は、前記光電変換層及び前記封止剤を有するものである限り特に制限されないが、光電変換層を水蒸気、酸素等から保護する観点から、電子デバイスは、基材、前記光電変換層、及び対向基材を順に有し、前記基材と前記対向基材との間に前記光電変換層が封止された構造を有することが好ましい。「基材と対向基材との間に光電変換層が封止された構造」とは、基材と対向基材との間に光電変換層が配置され、且つ、該光電変換層が外気と接触しないように封止剤により封止された構造をいう。
【0027】
図1~3は本発明の電子デバイスにおける光電変換層の封止態様の一実施形態を示す断面模式図である。
図1において、1は基材、2は光電変換層、3は封止剤、4は対向基材である。
図1においては、封止剤3は、光電変換層2の上面を覆うように積層され、且つ、光電変換層2の周縁部の端面21を覆うように設けられている。これにより光電変換層2は、基材1と対向基材4との間において、封止剤3により封止される。なお
図1において光電変換層2と封止剤3は接触しているが、この態様に限られない。
図1において、基材1の下面、基材1と光電変換層2との間、光電変換層2と封止剤3との間、封止剤3と対向基材4との間、及び対向基材4の上面には、機能層が積層されていてもよい。該機能層としては、プライマー層、透明電極(陰極)層、電子輸送層、正孔輸送層、金属電極(陽極)層、その他の蒸着層、等が挙げられる。
【0028】
図2において、1は基材、2は光電変換層、31は封止剤、4は対向基材である。
図2において、基材1と対向基材4との間の周縁部は封止剤31により封止されている。これにより光電変換層2は、基材1と対向基材4との間において、封止剤31により封止された構造を有する。
図2において、光電変換層2と封止剤31とは接触していないが、この態様に限られない。また、基材1の下面、基材1と光電変換層2との間、光電変換層2の上面、及び対向基材4の上面又は下面には、前記いずれかの機能層が積層されていてもよい。
【0029】
図3において、1は基材、2は光電変換層、31及び32は封止剤、4は対向基材である。
図3において、基材1と対向基材4との間の周縁部は封止剤31により封止されている。これにより光電変換層2は、基材1と対向基材4との間において、封止剤31により封止された構造を有する。また、封止剤32は、光電変換層2の上面を覆うように積層されている。
なお
図3において、封止剤31及び封止剤32のうち少なくとも一方が本発明の封止剤であればよい。
図3において、光電変換層2と封止剤31とは接触していないが、この態様に限られない。また、基材1の下面、基材1と光電変換層2との間、光電変換層2と封止剤32との間、封止剤32の上面、及び対向基材4の上面又は下面には、前記いずれかの機能層が積層されていてもよい。
【0030】
図1~3における基材1、及び対向基材4としては、ガラス、金属等からなる無機基材、樹脂フィルム等からなる有機基材のいずれも用いることができる。基材1及び対向基材4は、水蒸気バリア性及び酸素バリア性を有するものであることが好ましい。
【0031】
封止剤の厚さは、電子デバイスの種類、形状、使用部位等に応じて適宜選択されるが、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは100μm以上、よりさらに好ましくは200μm以上である。また、基材、光電変換層、及び対向基材等への接着性向上の観点からは、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは600μm以下である。
封止剤の厚さとは、
図1~
図3においてd1~d3で示した距離を意味する。具体的には、
図1の封止剤3においては、封止剤からなる層の上面-下面間の最短距離d1を意味する。
図2及び
図3における封止剤31においては、内面-外面間の最短距離d2を意味し、
図3における封止剤32においては、封止剤からなる層の上面-下面間の最短距離d3を意味する。
【0032】
なお、本発明の電子デバイスが太陽電池である場合、該太陽電池の基本構造としては、例えば、透明電極(陰極)層、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、及び金属電極(陽極)層がこの順で積層された積層体構造を有する。この場合、前記基材は、透明電極層又は金属電極層のいずれか一方の外面に積層され、前記対向基材は、他方の外面に積層されることが好ましい。
【0033】
<封止剤組成物>
本発明の電子デバイス用の封止剤は、エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含むエポキシ樹脂硬化剤と、を含有する封止剤組成物の硬化物からなる。以下、封止剤組成物に含まれる各成分について説明する。
【0034】
(エポキシ樹脂)
封止剤組成物に用いられるエポキシ樹脂は、飽和又は不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってもよい。水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点からは、芳香環又は脂環式構造を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましい。
当該エポキシ樹脂の具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基及び/又はグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上記エポキシ樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記の中でも、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、エポキシ樹脂としてはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、及びビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とするものが好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分とするものがより好ましい。
なお、ここでいう「主成分」とは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の成分を含みうることを意味し、好ましくは全体の50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%、よりさらに好ましくは90~100質量%を意味する。
【0035】
(エポキシ樹脂硬化剤)
封止剤組成物に用いられるエポキシ樹脂硬化剤は、キシリレンジアミン又はその変性体(X)を含む。
〔キシリレンジアミン又はその変性体(X)〕
キシリレンジアミン又はその変性体(X)(以下、単に「成分(X)」ともいう)は、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、又はこれらの変性体である。
キシリレンジアミンの変性体としては、エポキシ樹脂硬化剤としての機能を発現し得る、活性水素を有する変性体であればよく、例えば、キシリレンジアミン、フェノール化合物、及びアルデヒド化合物のマンニッヒ反応生成物;キシリレンジアミンと不飽和炭化水素化合物との反応生成物;キシリレンジアミンと、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ化合物との反応生成物;キシリレンジアミンとカルボン酸又はその誘導体との反応生成物;等が挙げられる。
なお、本明細書において「XとYとの反応生成物」とは、XとYとの反応物(付加物)の他、該反応物以外の副生成物、未反応原料であるX、Y等も含むものである。「X、Y、及びZのマンニッヒ反応生成物」についても同様である。
【0036】
上記の中でも、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、キシリレンジアミンの変性体としては、キシリレンジアミンとカルボン酸又はその誘導体との反応生成物が好ましく、下記成分(A)と成分(B)との反応生成物であることがより好ましい。
(A)メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種
(B)下記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種
【化2】
(式(2)中、R
1、R
2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、又は炭素数7~13のアラルキル基を表す。)
【0037】
前記成分(A)は水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、メタキシリレンジアミンであることが好ましい。
前記成分(B)は前記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である。水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、前記一般式(2)におけるR1は水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましく、水素原子であることがよりさらに好ましい。
また、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、前記一般式(2)におけるR2は水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましく、水素原子であることがよりさらに好ましい。
【0038】
前記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば当該不飽和カルボン酸のエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしてはアルキルエステルが好ましく、良好な反応性を得る観点から、該アルキル炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~3、さらに好ましくは1~2である。
【0039】
前記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸及びその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、α-プロピルアクリル酸、α-イソプロピルアクリル酸、α-n-ブチルアクリル酸、α-t-ブチルアクリル酸、α-ペンチルアクリル酸、α-フェニルアクリル酸、α-ベンジルアクリル酸、クロトン酸、2-ペンテン酸、2-ヘキセン酸、4-メチル-2-ペンテン酸、2-ヘプテン酸、4-メチル-2-ヘキセン酸、5-メチル-2-ヘキセン酸、4,4-ジメチル-2-ペンテン酸、4-フェニル-2-ブテン酸、桂皮酸、o-メチル桂皮酸、m-メチル桂皮酸、p-メチル桂皮酸、2-オクテン酸等の不飽和カルボン酸、及びこれらのエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物等が挙げられる。
【0040】
上記の中でも、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、前記成分(A)がメタキシリレンジアミンであり、前記成分(B)がアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
成分(B)は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びこれらのアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらのアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、アクリル酸のアルキルエステルがよりさらに好ましく、アクリル酸メチルがよりさらに好ましい。
【0041】
前記成分(A)と前記成分(B)との反応は、前記成分(B)として不飽和カルボン酸、エステル、アミドを使用する場合には、0~100℃、より好ましくは0~70℃の条件下で成分(A)と成分(B)とを混合し、100~300℃、好ましくは130~250℃の条件下でマイケル付加反応及び脱水、脱アルコールによるアミド基形成反応を行うことにより実施される。
この場合、アミド基形成反応の際には、反応を完結させるために、必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。さらに脱水剤、脱アルコール剤として、亜リン酸エステル類などの触媒を添加することもできる。
【0042】
一方、前記成分(B)として不飽和カルボン酸の酸無水物、酸塩化物を使用する場合には、0~150℃、好ましくは0~100℃の条件下で混合後、マイケル付加反応及びアミド基形成反応を行うことにより実施される。この場合、アミド基形成反応の際には、反応を完結させるために、必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。さらにピリジン、ピコリン、ルチジン、トリアルキルアミンなどの3級アミンを添加することもできる。
【0043】
前記成分(A)と前記成分(B)との反応により形成されるアミド基部位は高い凝集力を有しているため、当該成分(A)と成分(B)との反応生成物であるエポキシ樹脂硬化剤を用いて形成される封止剤は、水蒸気バリア性、酸素バリア性、及び良好な接着性を有する。
【0044】
前記成分(A)に対する前記成分(B)の反応モル比[(B)/(A)]は、0.3~1.0の範囲であることが好ましい。上記反応モル比が0.3以上であれば、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成し、高いレベルの水蒸気バリア性、酸素バリア性及び接着性が発現する。一方、上記反応モル比が1.0以下の範囲であれば、エポキシ樹脂中のエポキシ基との反応に必要なアミノ基の量が十分であり、耐熱性に優れ、有機溶剤や水に対する溶解性にも優れる。
得られる封止剤の水蒸気バリア性及び酸素バリア性の観点から、前記成分(A)に対する前記成分(B)の反応モル比[(B)/(A)]が0.6~1.0の範囲であることがより好ましい。
【0045】
上記反応生成物は、前記成分(A)と成分(B)と、さらに下記成分(C)、成分(D)及び成分(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との反応生成物であってもよい。
(C)R3-COOHで表される一価のカルボン酸及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種(R3は水素原子、水酸基を有していてもよい炭素数1~7のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基を表す。)
(D)環状カーボネート
(E)炭素数2~20のモノエポキシ化合物
【0046】
前記成分(C)である、R3-COOHで表される一価のカルボン酸及びその誘導体は、必要に応じてエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との反応性を低下させ、作業性を改善する観点から用いられる。
R3は水素原子、水酸基を有していてもよい炭素数1~7のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基を表し、R3は、好ましくは炭素数1~3のアルキル基又はフェニル基である。
またR3-COOHで表される一価のカルボン酸の誘導体としては、例えば当該カルボン酸のエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物が挙げられる。当該カルボン酸のエステルとしてはアルキルエステルが好ましく、当該アルキル炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~3、さらに好ましくは1~2である。
前記成分(C)としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸等の一価のカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。
前記成分(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
前記成分(D)である環状カーボネートは、エポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との反応性を低下させ作業性を改善する観点から、必要に応じて用いられるものであり、前記成分(A)との反応性の観点から、六員環以下の環状カーボネートであることが好ましい。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-メトキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、1,3-ジオキサン-2-オンなどが挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性の観点から、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びグリセリンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0048】
前記成分(E)であるモノエポキシ化合物は、炭素数2~20のモノエポキシ化合物であり、エポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との反応性を低下させ作業性を改善する観点から、必要に応じて用いられる。ガスバリア性の観点から、炭素数2~10のモノエポキシ化合物であることが好ましく、下記式(3)で表される化合物であることがより好ましい。
【0049】
【化3】
(式(3)中、R
4は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、アリール基、又はR
5-O-CH
2-を表し、R
5はフェニル基又はベンジル基を表す。)
前記式(3)で表されるモノエポキシ化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、及びベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。前記成分(E)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
上記反応生成物に前記成分(C)、成分(D)又は成分(E)を用いる場合には、前記成分(C)、成分(D)及び成分(E)からなる群から選ばれるいずれか1種の化合物を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
なお、上記反応生成物は、前記成分(A)~成分(E)のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の成分と反応させた反応生成物であってもよい。ここでいう他の成分としては、例えば芳香族ジカルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。
但し、該「他の成分」の使用量は、上記反応生成物を構成する反応成分の合計量の30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0052】
前記成分(A)及び成分(B)と、さらに前記成分(C)、成分(D)及び成分(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との反応生成物は、前記成分(C)、成分(D)及び成分(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、前記成分(B)と併用して、ポリアミン化合物である前記成分(A)と反応させて得られる。該反応は、前記成分(B)~成分(E)を任意の順序で添加して前記成分(A)と反応させてもよく、前記成分(B)~成分(E)を混合して前記成分(A)と反応させてもよい。
前記成分(A)と前記成分(C)との反応は、前記成分(A)と成分(B)との反応と同様の条件で行うことができる。前記成分(C)を用いる場合には、前記成分(B)及び成分(C)を混合して前記成分(A)と反応させてもよく、初めに前記成分(A)と成分(B)とを反応させてから前記成分(C)を反応させてもよい。
一方、前記成分(D)及び/又は成分(E)を用いる場合には、初めに前記成分(A)と成分(B)とを反応させてから、前記成分(D)及び/又は成分(E)と反応させることが好ましい。
前記成分(A)と前記成分(D)及び/又は成分(E)との反応は、25~200℃の条件下で成分(A)と成分(D)及び/又は成分(E)とを混合し、30~180℃、好ましくは40~170℃の条件下で付加反応を行うことにより実施される。また、必要に応じナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシドなどの触媒を使用することができる。
上記反応の際には、反応を促進するために、必要に応じて成分(D)及び/又は成分(E)を溶融させるか、もしくは非反応性の溶剤で希釈して使用することもできる。
【0053】
上記反応生成物が、前記成分(A)及び成分(B)と、さらに前記成分(C)、成分(D)及び成分(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の反応生成物である場合にも、前記成分(A)に対する前記成分(B)の反応モル比[(B)/(A)]は、前記と同様の理由で0.3~1.0の範囲であることが好ましく、0.6~1.0の範囲であることがより好ましい。一方、前記成分(A)に対する、前記成分(C)、成分(D)及び成分(E)の反応モル比[{(C)+(D)+(E)}/(A)]は、0.05~3.1の範囲であることが好ましく、0.07~2.5の範囲であることがより好ましく、0.1~2.0の範囲であることがより好ましい。
ただし、水蒸気バリア性、酸素バリア性、及び塗工性の観点から、前記成分(A)に対する、前記(B)~成分(E)の反応モル比[{(B)+(C)+(D)+(E)}/(A)]は、0.35~2.5の範囲であることが好ましく、0.35~2.0の範囲であることがより好ましい。
【0054】
前記成分(A)と成分(B)との反応生成物は、水蒸気バリア性、酸素バリア性、及び接着性向上の観点から、前記成分(A)と成分(B)のみを反応させて得られる反応生成物であることが好ましく、メタキシリレンジアミンとアクリル酸アルキルエステルのみを反応させて得られる反応生成物であることがより好ましい。
【0055】
水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、成分(X)は好ましくはメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの変性体であり、より好ましくは、メタキシリレンジアミン、又は、前記成分(A)と成分(B)との反応生成物を含むものであり、さらに好ましくは、前記成分(A)と成分(B)との反応生成物を含むものであり、よりさらに好ましくは前記成分(A)と成分(B)のみを反応させて得られる反応生成物を含むものであり、よりさらに好ましくはメタキシリレンジアミンとアクリル酸アルキルエステルのみを反応させて得られる反応生成物を含むものである。
【0056】
成分(X)が前記成分(A)と成分(B)との反応生成物、好ましくは前記成分(A)と成分(B)のみを反応させて得られる反応生成物、より好ましくはメタキシリレンジアミンとアクリル酸アルキルエステルのみを反応させて得られる反応生成物を含む場合、成分(X)中の前記反応生成物の含有量は、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%以下である。
【0057】
エポキシ樹脂硬化剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(X)以外の硬化剤成分を含むことができる。当該硬化剤成分としては、成分(X)以外のアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤等が挙げられ、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、アミン系硬化剤が好ましい。
但し、水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点から、エポキシ樹脂硬化剤中のキシリレンジアミン又はその変性体(X)の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%以下である。
【0058】
封止剤組成物中のエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂反応物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比(活性水素数/エポキシ基数)が0.2~12.0の範囲であることが好ましい。水蒸気バリア性及び酸素バリア性向上の観点、接着性向上の観点から、(活性水素数/エポキシ基数)は、より好ましくは0.2~10.0、さらに好ましくは0.2~8.0、よりさらに好ましくは0.5~6.0、よりさらに好ましくは0.8~5.0、よりさらに好ましくは0.8~3.0、よりさらに好ましくは1.1~3.0、よりさらに好ましくは1.2~3.0の範囲である。
【0059】
封止剤組成物は、得られる封止剤の基材等への接着性向上の観点から、さらに、カップリング剤を含有していてもよい。該カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等が挙げられ、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤、エポキシ基を有するシランカップリング剤、(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤、メルカプト基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、得られる封止剤の基材等への接着性向上の観点からはアミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カップリング剤を用いる場合、封止剤組成物中のカップリング剤の含有量は、エポキシ樹脂硬化剤100質量部に対し、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは1~8質量部である。
【0060】
封止剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて熱硬化性樹脂、湿潤剤、粘着付与剤、消泡剤、硬化促進剤、防錆添加剤、顔料、酸素捕捉剤等の添加剤を配合してもよい。
添加剤を用いる場合、封止剤組成物中の上記添加剤の合計含有量は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の合計量100質量部に対し20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.001~15.0質量部である。
【0061】
但し、本発明の効果を得る観点から、封止剤組成物の固形分中のエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上であり、100質量%以下である。「エポキシ樹脂組成物の固形分」とは、エポキシ樹脂組成物中の水及び有機溶剤を除いた成分を意味する。
【0062】
封止剤組成物は有機溶剤を含有していてもよく、該有機溶剤としては非反応性溶剤が好ましい。その具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール等のプロトン性極性溶剤の他、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、トルエン等を、1種又は2種以上用いることができる。
上記の中でも、乾燥速度向上の観点からは、メタノール、エタノール、及び酢酸エチルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0063】
封止剤組成物は、例えばエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び、必要に応じ用いられる添加剤並びに溶剤をそれぞれ所定量配合した後、公知の方法及び装置を用いて攪拌、混合することにより調製できる。
【0064】
〔封止剤の形成方法〕
本発明の封止剤は、前記封止剤組成物の硬化物からなる。封止剤組成物を硬化させて封止剤を形成する方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば基材、前記光電変換層、及び、前記封止剤からなる封止剤層が積層された積層構造を有する電子デバイスを作製する場合には、基材の光電変換層の形成面に封止剤組成物層を形成し、次いで該組成物層を硬化させて、封止剤層を形成する方法が挙げられる。
【0065】
封止剤組成物層を形成する際の組成物の塗布方法としては、例えば、バーコート、メイヤーバーコート、エアナイフコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、マイクログラビアコート、マイクロリバースグラビアコート、ダイコート、スロットダイコート、バキュームダイコート、ディップコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、はけ塗り等が挙げられる。これらの中でもバーコート、ロールコート又はスプレーコートが好ましく、工業的にはグラビアコート、リバースグラビアコート、マイクログラビアコート、又はマイクロリバースグラビアコートが好ましい。
封止剤組成物層を形成した後、必要に応じて溶剤を揮発させる工程(乾燥工程)を行う。乾燥工程における条件は適宜選択できるが、例えば、乾燥温度60~180℃、乾燥時間5~180秒の条件で行うことができる。
乾燥工程を行った後、封止剤組成物を硬化させて封止剤層を形成する。硬化温度は、例えば10~140℃の範囲で選択できる。また硬化時間は、例えば0.1~200時間の範囲で選択でき、好ましくは0.5~100時間の範囲である。
【0066】
<封止剤の特性>
本発明の封止剤は、高い水蒸気バリア性及び酸素バリア性を有する。例えば、本発明の封止剤は、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過係数が1.0g・mm/(m2・day)以下であり、且つ、温度23℃、相対湿度60%における酸素透過係数が1.0cc・mm/(m2・day)以下であることが好ましい。
上記水蒸気透過係数は、より好ましくは0.8g・mm/(m2・day)以下、より好ましくは0.6g・mm/(m2・day)以下、さらに好ましくは0.5g・mm/(m2・day)以下、よりさらに好ましくは0.3g・mm/(m2・day)以下である。
上記酸素透過係数は、より好ましくは0.8cc・mm/(m2・day)以下、より好ましくは0.5cc・mm/(m2・day)以下、さらに好ましくは0.3cc・mm/(m2・day)以下、よりさらに好ましくは0.1cc・mm/(m2・day)以下、よりさらに好ましくは0.05cc・mm/(m2・day)以下である。
封止剤の水蒸気透過係数及び酸素透過係数は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0067】
[使用]
本発明はさらに、エポキシ樹脂と、キシリレンジアミン又はその変性体(X)と、を含むエポキシ樹脂硬化剤を含有する組成物の、電子デバイス用の封止剤組成物としての使用であって、
前記電子デバイスが、下記一般式(1):
R-M-X3 (1)
(式(1)中、Rは有機カチオン又は金属カチオン、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)
で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する、使用を提供する。前記組成物を上記特定の電子デバイス用の封止剤組成物として用いることにより、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を水蒸気、酸素等から効果的に保護することができる。
封止剤組成物、電子デバイスの詳細及びその好ましい態様は、前記と同様である。
【実施例0068】
次に実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
本実施例における測定及び評価は以下の方法で行った。
【0069】
<硬化物の厚さ>
各例で得られた封止剤組成物の硬化物の厚さは、多層膜厚測定装置(グンゼ(株)製「DC-8200」)を用いて測定した。
【0070】
<水蒸気透過係数(g・mm/(m2・day))>
各例で得られた封止剤組成物の硬化物について、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製「PERMATRAN-W 1/50」)を用いて、40℃、相対湿度90%の条件下で水蒸気透過係数を測定した。
【0071】
<酸素透過係数(cc・mm/(m2・day))>
各例で得られた封止剤組成物の硬化物について、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製「OX-TRAN2/21」)を使用して、23℃、相対湿度60%の条件下で酸素透過係数を測定した。
【0072】
製造例1(エポキシ樹脂硬化剤溶液Aの調製)
反応容器に1molのメタキシリレンジアミン(MXDA)を仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持することで、アミン系硬化剤Aを得た。そこに、メタノールを1.5時間かけて滴下し、アミン系硬化剤Aが65質量%、メタノールが35質量%のエポキシ樹脂硬化剤溶液Aを得た。
【0073】
製造例2(封止剤組成物Aの調製)
希釈溶剤であるメタノール1.98g、酢酸エチル3.25gを加え、よく撹拌した。次いで、製造例1で得られたエポキシ樹脂硬化剤溶液A 3.64gを加えて撹拌した。ここに、エポキシ樹脂としてメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱瓦斯化学(株)製「TETRAD-X」)1.13g(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数=1.2)を加えて撹拌し、封止剤組成物Aを調製した。
【0074】
製造例3(封止剤組成物Bの調製)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER828」、エポキシ当量:186g/当量)、エポキシ樹脂硬化剤としてメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製、MXDA)を用いた。jER828 18.6gと、MXDA 3.4gとを配合し、撹拌して、封止剤組成物Bを調製した(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数=1.0)。
【0075】
比較製造例1(封止剤組成物(比較)Cの調製)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER828」、エポキシ当量:186g/当量)、エポキシ樹脂硬化剤としてジエチレントリアミン(DETA)を用いた。jER828 18.6gと、DETA 2.1gとを配合し、撹拌して、封止剤組成物(比較)Cを調製した(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数=1.0)。
【0076】
比較製造例2(封止剤組成物(比較)Dの調製)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER828」、エポキシ当量:186g/当量)、エポキシ樹脂硬化剤としてイソホロンジアミン(IPDA)を用いた。jER828 18.6gと、IPDA 4.3gとを配合し、撹拌して、封止剤組成物(比較)Dを調製した(エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数=1.0)。
【0077】
実施例1~2、比較例1~2(封止剤組成物の硬化物(封止剤)の作製、評価)
表1に記載の封止剤組成物を、120℃で1時間硬化させ、各封止剤組成物の硬化物(厚さ約500μm)を作製した。
得られた硬化物を用いて、前記方法で評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【0079】
表1より、本実施例品の封止剤は、水蒸気透過係数が1.0(g・mm/(m2・day))以下で且つ酸素透過係数が1.0(cc・mm/(m2・day))以下であり、水蒸気バリア性及び酸素バリア性がともに良好であることがわかる。
本発明によれば、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を有する電子デバイス用の封止剤であって、水蒸気バリア性及び酸素バリア性に優れる封止剤、及び、該封止剤を有する電子デバイスを提供することができる。