(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018845
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】車両部品
(51)【国際特許分類】
B62D 37/02 20060101AFI20250130BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B62D37/02 C
F16B5/07 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122906
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 敬太
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 秀人
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】内田 涼太
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA04
3J001HA07
3J001HA09
3J001JD33
3J001KA19
3J001KB01
(57)【要約】
【課題】車両部品に係る新規な技術を提供すること。
【解決手段】発明の一態様は、折返壁を有する第1の部材と、前記折返壁に交差する方向に延びるとともに前記折返壁の端部に対向して配置される立壁を有する第2の部材と、を備えた車両部品であって、前記折返壁の端部から突出する係合突部と、前記立壁に形成され、前記係合突部と係合する開口部と、を備える車両部品である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折返壁を有する第1の部材と、前記折返壁に交差する方向に延びるとともに前記折返壁の端部に対向して配置される立壁を有する第2の部材と、を備えた車両部品であって、
前記折返壁の端部から突出する係合突部と、
前記立壁に形成され、前記係合突部と係合する開口部と、を備える車両部品。
【請求項2】
前記開口部の開口縁には、前記立壁から突出し、前記係合突部を覆う覆い部が設けられている請求項1に記載の車両部品。
【請求項3】
前記折返壁を含む前記第1の部材の色と前記立壁を含む前記第2の部材の色とが異なっている請求項2に記載の車両部品。
【請求項4】
前記立壁から突出して前記折返壁の内側に受容される1対の突出部を備え、
前記開口部は、前記1対の突出部の間に配置されている請求項1から3の何れか1の請求項に記載の車両部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両部品として、複数の部品が互いに係合してなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-190654(
図8、
図10等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、車両部品に係る新規な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一態様は、折返壁を有する第1の部材と、前記折返壁に交差する方向に延びるとともに前記折返壁の端部に対向して配置される立壁を有する第2の部材と、を備えた車両部品であって、前記折返壁の端部から突出する係合突部と、前記立壁に形成され、前記係合突部と係合する開口部と、を備える車両部品である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るエアスポイラが取り付けられた車両の後方斜視図
【
図4】
図4Aは、エアスポイラの前端部の側断面図、
図4Bは、第2の部材が第1の部材に嵌め込まれるときのエアスポイラの前端部の側断面図
【
図11】
図11は、第1と第2の部材の後端部の係合部位の下方斜視図
【
図12】
図12は、他の例の第1と第2の部材の後端部の係合部位の下方斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1には、複数の部品が連結してなる車両部品として、エアスポイラ10が示されている。本実施形態の例では、エアスポイラ10は、車両90の後部に取り付けられるルーフエンドスポイラである。例えば、エアスポイラ10は、いわゆるハッチバックタイプ等の車両90の車体パネルのうちリアゲート93の上部(後部ガラス窓より上側)に取り付けられ、後側に突出する。
【0008】
図2及び
図3に示すように、エアスポイラ10は、互いに係合して連結される第1と第2の部材11,12を備えている。なお、本実施形態の例では、互いに係合する第1と第2の部材11,12を備える物品が、車両部品であるエアスポイラ10であるが、これに限定されるものではない。このような物品は、例えば、エアスポイラ以外の車両部品であってもよいし、車両以外(例えば、他の乗り物や建物等)に用いられるもの(例えば、空力部品等)であってもよい。また、このような物品としてのエアスポイラ10は、例えば、セダンタイプの車両の後部に取り付けられるものであってもよいし、車両90の前側下部に取り付けられるフロントスポイラであってもよいし、車両90の側面下部に取り付けられるサイドスポイラであってもよい。
【0009】
本実施形態の例では、第1と第2の部材11,12は、車両90の車幅方向(左右方向)に長くなった横長の扁平形状をなし、上下方向で2枚重ねになっている。具体的には、第1と第2の部材11,12のうち、第2の部材12の方が下側に配置され、リアゲート93(
図1参照)に取り付けられる。なお、例えば、第1と第2の部材11,12は、樹脂のインジェクション成形品である。
【0010】
本実施形態の例では、第1と第2の部材11,12は、前端部と後端部に互いに係合する係合部位を有している。
図2に示すように、この係合部位として、第1と第2の部材11,12の後端部には、それぞれ係合突部21と開口部31が配置されている。また、
図4Aに示すように、上記係合部位として、第1と第2の部材11,12の前端部には、それぞれ前側係合突部18と前側係合凹部17Uが形成されている。なお、第1と第2の部材11,12同士の係合部位は、この位置に限られるものではない。
【0011】
図2に示すように、本実施形態の例では、第1の部材11に、第1の部材11の後端部が第2の部材12側(本実施形態の例では下側)に折り返されてなる折返壁22が設けられている。折返壁22の内側には、受容凹部22Uが形成され、この受容凹部22Uには、第2の部材12の後端部(詳細には、後述の後側突出部33)が受容されて係合する(即ち、第1の部材11の後端部が第2の部材12の後端部を抱き込む構成になっている)。本実施形態の例では、第1の部材11には、板状の本体部20と、本体部20の後端部から第2の部材12との対向面側に突出する突壁23と、突壁の突出先端部から突出した折返先端壁24と、が設けられている。そして、本実施形態の例では、折返壁22は、突壁23と、折返先端壁24と、を含んでいる(
図5及び
図6参照)。
【0012】
第1の部材11の折返先端壁24の突出先端部からは、上述の係合突部21が突出している。例えば、係合突部21は、折返先端壁24の延長上に延びている。本実施形態の例では、係合突部21は、折返先端壁24と上面同士が略面一になるように上側に寄って配置され、折返先端壁24の先端面には、係合突部21へつながる段差部24Dが形成されている。また、本実施形態の例では、係合突部21は、折返先端壁24と厚み方向を同じにする板状をなし、突出先端に向かって幅狭になっている。
【0013】
図3に示すように、第2の部材12には、第2の部材12の後端部が折れ曲がって第1の部材11側に延びる立壁32が形成されている。立壁32には、上述の開口部31が設けられている。
図7に示すように、本実施形態の例では、開口部31は、立壁32を貫通しかつ立壁32の突出先端(本実施形態の例では上端)に開放された切欠き状になっているが、立壁32に形成された貫通孔や凹部であってもよい。なお、本実施形態の例では、開口部31は、立壁32の突出先端から基端側に向かって幅が狭まる形状になっている。
【0014】
図3に示すように、本実施形態の例では、立壁32は、第1の部材11の折返壁22に(具体的には折返先端壁24に)交差する方向に延びて折返先端壁24に突き合わされ、折返先端壁24の先端部に対向している。そして、係合突部21が、開口部31に受容されて係合している。これにより、第2の部材12に対する第1の部材11の車幅方向の位置決めをすることができる。詳細には、本実施形態の例では、係合突部21が、開口部31に挿通され、開口部31の下側開口縁と両側開口縁の下端部とに係止する。
【0015】
なお、
図8及び
図9に示すように、立壁32からは、後側に後側突出部33が突出している。後側突出部33は、第1の部材11の折返壁22の受容凹部22Uに受容される。そして、立壁32と後側突出部33は、折返壁22の受容凹部22Uの内面に突き合わされる。立壁32と後側突出部33の少なくとも一方は、受容凹部22Uの内面に当接してもよい。また、後側突出部33は、開口部31を間に形成する1対の突出部(例えば、以下の横リブ33B)を備えていてもよい。例えば、後側突出部33は、リブ状になっていてもよく、本実施形態の例では、縦リブ33Aと、それと交差する方向に延びる横リブ33Bと、を備えている。例えば、縦リブ33Aは、立壁32の突出方向(上下方向)に延びて車幅方向の複数位置に配置され、本実施形態の例では、開口部31の両側に設けられている。また、例えば、横リブ33Bは、車幅方向に延び、本実施形態の例では、開口部31の開口縁から両側方に延び、開口部31に最も近い縦リブ33Aまで延びている。
【0016】
なお、
図4Aには、第1と第2の部材11,12の前端部の係合部位の例が示されている。例えば、第1の部材11の前端部には、第2の部材12側に突出する突条17が形成され、突条17の内側面には前側係合凹部17Uが形成されている。そして、この前側係合凹部17Uに、第1の部材11の前端部の前側係合突部18が係合する。
【0017】
なお、本実施形態の例では、第1と第2の部材11,12を互いに固定する際には、まず、第1の部材11の係合突部21を、第2の部材12の開口部31に受容させて、第1と第2の部材11,12の後端部同士を係合させる(
図3参照)。その後、第1の部材11のうち折返壁22と突条17との間の領域である受容部25に、第2の部材12を押し込んで(
図4B参照)、第2の部材12の前側係合突部18を、第1の部材11の前側係合凹部17Uに受容させて、第1と第2の部材11,12の前端部同士を係合させる(
図4A参照)。なお、本実施形態の例では、第1と第2の部材11,12の後端部の係合部位は、第1の部材11に対する第2の部材12の傾動支点となる傾動支持部になっている。
【0018】
なお、本実施形態の例では、係合突部21と開口部31は、エアスポイラ10の車幅方向の中央部に配置されているが、該車幅方向の複数位置に配置されていてもよい。
【0019】
ここで、
図2に示すように、本実施形態の例では、第1の部材11の折返先端壁24の突出先端面(詳細には段差部24D)と、第2の部材12の立壁32との間には、隙間Sが設けられる。このように隙間Sが設けられる構成では、
図12に示すように、この隙間Sから、第1の部材11の係合突部21の基端部が視認可能となり、見栄えが悪くなることが考えられる。例えば、本実施形態のように、エアスポイラ10が第1と第2の部材11,12とに分割される境目が、エアスポイラ10の下面の後端寄りに位置し、車両90の後側に突出する部分に配置される場合、下側から視認し易くなることが考えられる。
【0020】
これに対し、本実施形態のエアスポイラ10では、
図2に示すように、第2の部材12に、係合突部21を覆う覆い部37が設けられている。本実施形態の例では、覆い部37は、立壁32から突出し、係合突部21をエアスポイラ10の外側から(下側から)覆う(
図10及び
図11参照)。本実施形態の例では、覆い部37の突出先端は、第1の部材11の折返先端壁24と間隔を置いて配置されているが、折返先端壁24と当接してもよい。なお、本実施形態の例では、覆い部37は、立壁32のうち開口部31の下側開口縁から突出し、例えば、覆い部37の両端は、両側の横リブ33Bにつながっている(
図9参照)。
【0021】
本実施形態の例では、覆い部37が設けられることで、覆い部37がない構成(
図12参照)に比べて、係合突部21を隠すことができ、エアスポイラ10の見栄えを良くすることが可能となる(
図11参照)。例えば、第1と第2の部材11,12の色が(例えば、それらの後端部の色が)互いに異なっている場合には、係合突部21が目立ち易くなるが、エアスポイラ10の見栄えが悪くなることを覆い部37により抑制可能となる(
図3、
図10~
図12では第1の部材11と第2の部材12を、色を異ならせて図示している)。ここで、第1の部材11の色(例えば、その後端部の色)を、第2の部材12の色(例えば、その後端部の色)よりも明度が高い色とすることが考えられるが、この場合、隙間Sが暗く見えるため、第1の部材11の係合突部21がより目立ち易くなる。この場合、覆い部37を設けることで、エアスポイラ10の見栄えを特に良くすることが可能となる。
【0022】
また、本実施形態のエアスポイラ10によれば、第1の部材11の折返壁22の端部から突出する係合突部21と、第2の部材12の立壁32に設けられた開口部31とを係合させるという、車両部品に係る新規な技術を提供することができる。この構成によれば、第2の部材12の後端部と第1の部材11の後端部とを、車幅方向で位置決めすることができ、部材の組付けを容易にすることもできる。ここで、例えば、第1の部材11において、折返壁22の内面から突出部(例えば、縦リブ33Aと略平行に延びる複数のリブ等)を突出させ、この突出部を、開口部31に受容させて係合させることが考えられる。しかしながら、この場合、折返壁22の外側面のうち上記突出部の反対側部分に、ヒケが発生し、外観不良につながることが考えられる。これに対し、本実施形態の例では、係合突部21と開口部31を設けることで、上記突出部を無くすことができ、ヒケの発生を防ぐことが可能となる。
【0023】
[他の実施形態]
上記第1実施形態において、第2の部材12を、立壁32が設けられずに第2の部材12の端部に開口部が設けられ、その開口部に、第1の部材11の折返先端壁24の先端部から突出した係合突部21が係合する構成とすることもできる。
【0024】
上記第1実施形態において、第1の部材11を、折返壁22が設けられずに第1の部材11の端部に係合突部が設けられ、その係合突部が、第2の部材12の開口部31に係合する構成とすることもできる。
【0025】
図12に示すように、上記実施形態において、第2の部材12を、覆い部37が設けられていない構成とすることもできる。
【0026】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0027】
例えば、以下の特徴群は、車両部品に関し、「従来の車両部品(物品)として、複数の部品が互いに係合してなるものが知られている(例えば、特開2019-190654(
図8、
図10等)参照)。」という背景技術について、「本開示では、車両部品(物品)に係る新規な技術を提供する。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。
【0028】
[特徴1]
折返壁を有する第1の部材と、前記折返壁に交差する方向に延びるとともに前記折返壁の端部に対向して配置される立壁を有する第2の部材と、を備えた車両部品(エアスポイラ10)であって、
前記折返壁の端部から突出する係合突部と、
前記立壁に形成され、前記係合突部と係合する開口部と、を備える車両部品。
【0029】
本特徴によれば、車両部品に係る新規な技術を提供できる。
【0030】
[特徴2]
前記開口部の開口縁には、前記立壁から突出し、前記係合突部を覆う覆い部が設けられている特徴1に記載の車両部品。
【0031】
[特徴3]
前記折返壁を含む前記第1の部材の色と前記立壁を含む前記第2の部材の色とが異なっている特徴2に記載の車両部品。
【0032】
[特徴4]
前記第1の部材の後端部の色が、前記第2の部材の後端部の色よりも明度が高い色である特徴1から3の何れか1の特徴に記載の車両部品。
【0033】
[特徴5]
前記立壁から突出して前記折返壁の内側に受容される1対の突出部(後側突出部33の横リブ33B)を備え、
前記開口部は、前記1対の突出部の間に配置されている特徴1から4の何れか1の特徴に記載の車両部品。
【0034】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0035】
10 エアスポイラ(車両部品)
11 第1の部品
12 第2の部品
21 係合突部
22 折返壁
24 折返先端壁
31 開口部
32 立壁
37 覆い部