(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018850
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】二重管CFT合成杭
(51)【国際特許分類】
E02D 5/30 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
E02D5/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023130480
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】523230650
【氏名又は名称】ジーネットワーク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡田 仁
(72)【発明者】
【氏名】吉永 光浩
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA03
2D041BA07
2D041BA33
2D041BA42
2D041BA43
2D041CB01
2D041CB05
2D041DA02
2D041DA03
2D041DB02
2D041DB09
2D041EA05
2D041EB02
(57)【要約】
【課題】現在の建造物基礎鉄筋コンクリート杭は、その杭径および重量が大きく、靭性は乏しい。
加えて施工の際に鉄筋カゴを用いる為、多くの作業手間と工事費用がかかる。
また、既存の鉄筋カゴを用いた杭を解体する際にも、同様である。
鉄筋カゴを用いない新たな構法で杭を構築する事で、その品質の向上を図り、手間および工事費用の軽減を目的とした現場打ちコンクリート杭を提供する。
【解決手段】杭設置箇所の掘削工事終了後、事前に工場製作した引張構造部材の鋼管またはFRP管の二重管を構築する。
その後に現場でコンクリートを打設して、二重管と合成一体化する事により、CFT造の合成杭を構築する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重管CFT合成杭。
【請求項2】
請求項1に記載の二重管CFT合成杭における鋼製またはFRP製の二重管。
【請求項3】
請求項2に記載の鋼製またはFRP製の二重管における、打ち殺し埋設型枠および構造部材となる外側ケーシング管と構造部材となる内側トレミー管。
【請求項4】
請求項3に記載の外側ケーシング管と内側トレミー管の位置固定の為に設置する鋼製またはFRP製の二重管位置固定リング・プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋を使用せずに作業を軽減して高品質なコンクリート杭の構築を目的とした二重管CFT合成杭と、その構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建設・土木で構築されている建造物基礎における現場造成杭は、鉄筋カゴとコンクリートを組合せた鉄筋コンクリート造で構築する事が一般的である。
また、近年S造、RC造、SRC造に加えて、CFT:Concrete Filled Tubeと呼ばれる鉄筋や型枠の組立を必要としないコンクリート充填鋼管構造が、柱に用いられる事が増えている。
加えて、建築・土木分野だけでなく、航空機、船舶、車両等のたくさんのモノづくりにおいて、従来の引張応力を負担する鉄筋等鋼製部材に替えてFRP:Fiber Reinforced Plasticsと呼ばれる、強化繊維プラスチックが構造材料および構造部材として研究され、用いられる事が増えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、一般的に構築されている建造物基礎の鉄筋コンクリート造の杭は、引張応力構造部材として鉄筋カゴを用いて構築される事が一般的であり、その杭径および重量が大きく、靭性が乏しい。
加えて、鉄筋カゴの構築には、多くの作業手間と工事費用がかかる。
本発明は、前述の問題点を解決するものであり、その課題は、鉄筋カゴに替えて鋼管またはFRP管を引張応力構造部材として設置する事によって、より杭径が小さく靭性に優れた高品質な杭を簡単に構築する事である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、鉄筋カゴに替えて、管径が異なる大小の鋼管またはFRP管で構成される二重管とコンクリートでCFT合成杭を構築する事である。
杭設置箇所の掘削終了後に、工場製作による大小二種類の管を設置してその後にコンクリートを打設、一体化して、CFT合成杭が構築される。
当該、鋼管またはFRP管によって構成される二重管が引張応力を負担、コンクリートは圧縮応力を負担して、高品質なCFT合成杭になる。
【0005】
本発明における二重管は構造部材のみならず、外側の管はケーシング管および打殺し埋設型枠、内側の管はトレミー管として機能する。
【0006】
前述の構造部材およびトレミー管である内側の管の先端部分においては、外側ケーシング管と内側トレミー管の位置を固定する為に、鋼製またはFRP製のリング・プレートを設置する。
この部材により、CFT合成杭における二重管の適正な位置が保たれる。
【発明の効果】
【0007】
前述の二重管CFT合成杭は、鉄筋カゴが無く製作、設置の必要がない為に、多くの手間と工事費用を軽減できる。
【0008】
同様に二重管CFT合成杭には、鉄筋カゴが無い為に、解体撤去の際にも多くの手間と工事費用を軽減できる。
【0009】
本発明の二重管CFT合成杭は、在来鉄筋コンクリート造の杭と比較して、その杭径および重量が小さく、靭性に優れた高品質な杭となる。
また、二重管部分の材質をFRP管とすると、より軽量となって錆ない為に、さらなる軽量で耐久性及び構造性能に優れた高品質な合成杭となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る二重管CFT合成杭の実施形態の平面図及び断面図及び姿図。
【
図2】本発明に係る二重管CFT合成杭の実施形態の平面詳細図及び断面詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の二重管CFT合成杭の図面を参照して説明する。
図1は二重管CFT合成杭の全体の平面図及び断面図である。
二重管CFT合成杭は、現場で鋼管またはFRP管の二重管とコンクリートを合成一体化して構築する。
当該二重管CFT合成杭を構成する二重管は引張応力を負担、コンクリートは圧縮応力を負担して、CFT造の品質が高い合成杭となる。
【0012】
図2は二重管CFT合成杭の平面詳細図及び断面詳細図である。
二重管は、工場製作した大小管径の異なる鋼管またはFRP管によって、現場で所定の位置に設置して構築される。
また鋼管またはFRP管の二重管は、その設置後に打設するコンクリートと合成一体化して、CFT造の二重管合成杭となる。
【符号の説明】
【0013】
1 コンクリート
2 外側ケーシング管(鋼管またはFRP管)
3 内側トレミー管(鋼管またはFRP管)
4 二重管位置固定リング・プレート(鋼製またはFRP製)