(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018857
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】積層鉄心製造装置及び積層鉄心製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/02 20060101AFI20250130BHJP
H02K 15/027 20250101ALI20250130BHJP
H02K 15/02 20250101ALI20250130BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20250130BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B21D28/02 C
H02K15/02 E
H02K15/02 F
H01F41/02 B
B21D43/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023133167
(22)【出願日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】石橋 美有
(72)【発明者】
【氏名】豊丸 陽平
(72)【発明者】
【氏名】小野 慎一郎
【テーマコード(参考)】
5E062
5H615
【Fターム(参考)】
5E062AC02
5E062AC11
5H615AA01
5H615BB05
5H615PP01
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS05
5H615SS10
5H615SS18
(57)【要約】
【課題】 接着剤等の連結手段を付与された被加工材に対し、被加工材の連結手段非付与部位に接するリフタ部で支持を実行して、被加工材の加工及び搬送を進行させる、積層鉄心製造装置を提供する。
【解決手段】 被加工材80からの鉄心片打ち抜きの前に、鉄心片に対応する被加工材80の加工対象部位に連結手段を付与し、被加工材80から打ち抜いて積層した鉄心片を連結手段で一体化して、積層鉄心を製造する。一方、被加工材80の連結手段付与位置と重なる部位に逃げ部27aのあるリフタ部27で被加工材80を支持して、連結手段を付与した被加工材80の搬送を行う間、被加工材80に付与された連結手段がリフタ部27の逃げ部27aを移動する。これにより、被加工材80の搬送を行う間も、リフタ部27が連結手段との接触なしに被加工材各部を支持して、製造装置各部と被加工材又は連結手段との接触による悪影響を回避できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に搬送される帯状の被加工材をプレス加工して所定形状の鉄心片を得、当該鉄心片を複数積層して積層鉄心を製造する、積層鉄心製造装置において、
前記被加工材における前記鉄心片にあたる加工対象部位に、積層状態の前記鉄心片同士を連結するための連結手段を複数付与する付与部と、
前記被加工材から前記連結手段を付与された前記加工対象部位を打ち抜いて前記鉄心片とする打ち抜き加工部と、
少なくとも前記付与部から前記打ち抜き加工部へ搬送される前記被加工材を下から支持する、一又は複数の板状体からなるリフタ部とを備え、
前記リフタ部が、搬送される前記被加工材における前記連結手段の位置と重なる逃げ部を、前記被加工材の搬送方向に連続させて複数設けられ、前記被加工材における前記連結手段のない位置に前記逃げ部ではない箇所で接して、前記被加工材を支持することを
特徴とする積層鉄心製造装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の積層鉄心製造装置において、
前記打ち抜き加工部が、前記被加工材に対し上側に配置されるパンチと、前記被加工材に対し下側に配置されるダイとを有し、前記パンチとダイとの間に位置させた前記被加工材の前記加工対象部位を打ち抜いて前記鉄心片を形成可能とされ、
前記リフタ部が、少なくとも前記被加工材が搬送される間は、前記被加工材下面及び前記連結手段を前記ダイの上端より上側に位置させることを
特徴とする積層鉄心製造装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の積層鉄心製造装置において、
前記リフタ部が、外部から力を加えられていない状態では、前記被加工材下面及び前記連結手段が前記ダイの上端より上側に位置するように、前記被加工材を支持可能とされ、
前記打ち抜き加工部が、前記ダイに対し上下方向に相対移動可能とされる押さえ部を有し、前記被加工材から前記加工対象部位を打ち抜くのに合わせて、前記押さえ部で前記リフタ部を相対的に上から押し下げ、前記リフタ部で支持される前記被加工材の下面を前記ダイの上端に接触させることを
特徴とする積層鉄心製造装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の積層鉄心製造装置において、
前記付与部が、前記被加工材における前記加工対象部位の複数箇所に、前記連結手段としての接着剤を下から塗布する、接着剤塗布部とされることを
特徴とする積層鉄心製造装置。
【請求項5】
前記請求項1に記載の積層鉄心製造装置において、
前記リフタ部の逃げ部が、前記被加工材の搬送方向に連続する、溝、凹部、切欠き、孔、及び、前記リフタ部をなす複数の前記板状体間の隙間、のうち少なくとも一つであることを
特徴とする積層鉄心製造装置。
【請求項6】
間欠的に搬送される帯状の被加工材をプレス加工して所定形状の鉄心片を得、当該鉄心片を複数積層して積層鉄心を製造する、積層鉄心製造方法において、
前記被加工材における前記鉄心片にあたる加工対象部位に、積層状態の前記鉄心片同士を連結するための連結手段を複数付与する付与工程と、
前記被加工材から前記連結手段を付与された前記加工対象部位を打ち抜いて前記鉄心片とする打ち抜き工程とを含み、
少なくとも前記付与工程を経てから前記打ち抜き工程へ向けて搬送される前記被加工材を、一又は複数の板状体からなるリフタ部で下から支持し、
前記リフタ部が、搬送される前記被加工材における前記連結手段の位置と重なる逃げ部を、前記被加工材の搬送方向に連続させて複数設けられ、前記被加工材における前記連結手段のない位置に前記逃げ部ではない箇所で接して、前記被加工材を支持することを
特徴とする積層鉄心製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層鉄心の製造装置とこれに適用される製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機や発電機といった回転電機の固定子又は回転子において、コイルや永久磁石を配設されるコアには、積層鉄心が一般に用いられる。
こうした積層鉄心の製造は、積層鉄心をなす鉄心片をプレス加工で打ち抜き、積層する手法で行われている。
【0003】
プレス加工によって金属である被加工材から鉄心片のような複雑な形状の打ち抜きを行う場合、いわゆる順送り加工として、帯状の被加工材を送りながら複数の打ち抜き工程を金型によるプレスで進行させる加工法が一般的に用いられている。
そして、被加工材から最終的に打ち抜かれた鉄心片は積層状態とされ、積層された複数の鉄心片がかしめや接着等により一体化され、積層鉄心とされる。
【0004】
積層された鉄心片を接着で一体化する場合、あらかじめ鉄心片を打ち抜く前の段階で、金型内に設けられる接着剤塗布装置が、被加工材の鉄心片に対応する加工対象部位に接着剤を塗布するようにされる。こうして接着剤を塗布された鉄心片が打ち抜かれて積層されることで、鉄心片同士が接着一体化される仕組みであった。
こうした従来の接着による一体化を採用した積層鉄心の製造装置の一例として、特許第6843887号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の積層鉄心の製造は、前記特許文献に示されるように、被加工材の加工対象部位における複数箇所に接着剤を塗布した後、こうした加工対象部位に対する打ち抜きを実行し、得られた鉄心片を積層して接着一体化する、という手順で行われていた。
【0007】
特許文献の製造装置では、送り時にリフタピンにより被加工材(フープ材)がその幅方向の両端部を支持されて上昇し、ダイを支えるダイプレートの上面から離れた状態で移送されるようにしていた。
【0008】
一方、近年では被加工材の薄型化に伴い、被加工材が変形しやすくなっている。このため、被加工材を上昇させるために、被加工材の幅方向の両端部を支持する手法の場合、被加工材の中央が垂れ下がって、下型上面のダイプレートに対し被加工材を引き摺る状態になる危険性が高まっている。
【0009】
仮に搬送時に下型上面のダイプレートに対し被加工材を引き摺る状態になると、被加工材に塗布した接着剤がダイプレートに付くおそれがある。
こうした状態では、被加工材に付着する接着剤の量が不足し、被加工材から打ち抜かれた鉄心片の積層一体化が適切に行えなくなる事態が生じやすい。また、ダイプレート表面に接着剤が付着、残留して、被加工材の搬送と加工に悪影響を及ぼすことにも繋がる。
【0010】
本発明の開示は、前記課題を解消するためになされるものである。本開示は、接着剤等の連結手段を付与された被加工材に対し、被加工材の連結手段非付与部位に接するリフタ部で支持を実行して、被加工材の加工及び搬送を進行させる、積層鉄心製造装置及び積層鉄心製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の開示に係る積層鉄心製造装置は、間欠的に搬送される帯状の被加工材をプレス加工して所定形状の鉄心片を得、当該鉄心片を複数積層して積層鉄心を製造する、積層鉄心製造装置において、前記被加工材における前記鉄心片にあたる加工対象部位に、積層状態の前記鉄心片同士を連結するための連結手段を複数付与する付与部と、前記被加工材から前記連結手段を付与された前記加工対象部位を打ち抜いて前記鉄心片とする打ち抜き加工部と、少なくとも前記付与部から前記打ち抜き加工部へ搬送される前記被加工材を下から支持する、一又は複数の板状体からなるリフタ部とを備え、前記リフタ部が、搬送される前記被加工材における前記連結手段の位置と重なる逃げ部を、前記被加工材の搬送方向に連続させて複数設けられ、前記被加工材における前記連結手段のない位置に前記逃げ部ではない箇所で接して、前記被加工材を支持するものである。
【0012】
このように本発明の開示によれば、被加工材からの鉄心片打ち抜きの前に、鉄心片に対応する被加工材の加工対象部位に連結手段を付与し、被加工材から打ち抜いて積層した鉄心片を連結手段で一体化して、積層鉄心を製造可能としている。一方、被加工材の連結手段付与位置と重なる部位に逃げ部のあるリフタ部で被加工材を支持して、連結手段を付与した被加工材の搬送を行う間、被加工材に付与された連結手段がリフタ部の逃げ部を移動する。これにより、被加工材の搬送を行う間も、リフタ部が連結手段との接触なしに被加工材各部を支持して、被加工材の変形を抑えられる。加えて、製造装置各部と被加工材又は連結手段との接触による悪影響も回避でき、積層鉄心製造の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置における被加工材搬送状態の概略説明図である。
【
図2】
図2(a)は本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置における下型の概略平面図であり、
図2(b)は本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置による被加工材打ち抜き状態説明図である。
【
図3】
図3(a)は本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置におけるリフタ部の被加工材搬送時位置の概略説明図であり、
図2(b)は本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置におけるリフタ部の最大下降状態の概略説明図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置における上型の最大下降状態の概略説明図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る積層鉄心製造装置におけるリフタ部の平面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る積層鉄心製造装置における接着剤塗布部、被加工材の接着剤塗布部位、及びリフタ部の位置関係の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置を
図1~
図4に基づいて説明する。本実施形態においては、プレス加工で所定形状の鉄心片を得てから、鉄心片を複数積層して接着一体化し、回転電機の固定子用積層鉄心を製造する装置の例について説明する。
【0015】
各図において本実施形態に係る積層鉄心製造装置1は、磁性金属材料の帯状体である被加工材80に対し順送り加工方式のプレス加工を行い、所定形状の鉄心片81を得、この鉄心片81を複数積層して積層鉄心85を製造するものである。
積層鉄心製造装置1は、付与部としての接着剤塗布部25と、打ち抜き加工部30と、リフタ部27とを備える構成である。
【0016】
積層鉄心製造装置1は、間欠的に搬送される被加工材80に対し、上型10と下型20による順送り加工で複数段階の打ち抜きを実行し、被加工材80における鉄心片81にあたる加工対象部位に鉄心片81の各部形状を形成していく機構を有する構成である。
【0017】
また、積層鉄心製造装置1は、順送り加工の中間の所定段階で、被加工材80の加工対象部位に、積層状態の鉄心片同士を連結するための連結手段を複数付与する、付与部としての接着剤塗布部25を有する。
【0018】
さらに、積層鉄心製造装置1は、順送り加工の最終段階で、接着剤塗布部21で連結手段が付与された加工対象部位を被加工材80から打ち抜いて鉄心片81とする、打ち抜き加工部30を有する。
この他、積層鉄心製造装置1は、付与部としての接着剤塗布部25から打ち抜き加工部30へ搬送される被加工材80を下から支持するリフタ部27を有する。
【0019】
こうした積層鉄心製造装置1における、上型10と下型20で順送り加工を行う基本的構成については、順送り加工方式のプレス加工で用いられる公知のプレス加工装置と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
特に、積層鉄心製造装置1のうち、接着剤塗布部25より前段側の複数段階の打ち抜きを実行する各機構については、順送り加工方式のプレス加工で用いられる公知の装置と同様のものであり、説明を省略する。
一方、積層鉄心製造装置1における、リフタ部27で被加工材80を支持する構成については、本実施形態の特徴的な構成であり、具体的に説明する。
【0020】
本実施形態に係る積層鉄心製造装置1に適用される積層鉄心製造方法は、付与工程としての接着剤塗布工程と、打ち抜き工程とを少なくとも含む。
接着剤塗布工程は、接着剤塗布部25により、被加工材80の加工対象部位の複数箇所に接着剤40を塗布する工程である。また、打ち抜き工程は、打ち抜き加工部30により被加工材80の加工対象部位を打ち抜いて鉄心片81を得る工程である。
【0021】
本実施形態に係る積層鉄心製造装置1により製造される積層鉄心85は、磁性金属材料製の鉄心片81を複数積層して形成されるものである。この積層鉄心85は、環状のヨーク部や、ヨーク部の内周側から突出して放射状に配置される複数のティース部を備えて、回転電機(電動機や発電機)の固定子の要部をなす、公知の構造を有するものであり、詳細な説明を省略する。
【0022】
積層鉄心製造装置1は、公知の送出装置60により間欠的に搬送される被加工材80に対し、被加工材80の搬送経路の上側に配置される上型10と、被加工材80の搬送経路の下側に配置される下型20とで順送り加工を行う。具体的には、積層鉄心製造装置1は、間欠的に搬送される被加工材80に対し、上型10を下型20に対し上下動させて、上型10のパンチと下型20のダイとで被加工材80の加工対象部位に複数回打ち抜きを行うこととなる。
【0023】
上型10は、打ち抜き用のパンチ11、12、13、14と、被加工材80の不要な動きを抑えるストリッパ15と、これらパンチ11、12、13、14及びストリッパ15を支持するパンチホルダ16とを備える構成である。
これら上型10をなすパンチ、ストリッパ、及びパンチホルダの各機構は、公知の順送り加工で打ち抜きを行うプレス加工装置における上型と同様のものである。
【0024】
パンチ11、12、13、14は、下型20側でそれぞれ対応するダイと共に被加工材80を所定形状に打ち抜くものである。パンチ11、12、13、14は、パンチホルダ16に取り付けられ、吊り下げ状態で支持される。これらパンチ11、12、13、14の構成は、公知の順送り加工で積層鉄心をなす鉄心片の打ち抜きを行うプレス加工装置で用いられるものと同様であり、詳細な説明を省略する。
パンチのうち、第四のパンチ14は、被加工材80の加工対象部位を打ち抜いて鉄心片81とする打ち抜き加工部30の一部をなす。
【0025】
ストリッパ15は、パンチ11、12、13、14でそれぞれ被加工材80を打ち抜く際に、上から被加工材80を下型20の各ダイに押し付けて保持するものである。また、ストリッパ15は、打ち抜きの後、被加工材80に食い込んだパンチ11、12、13、14が元の位置に復帰しようとするのに伴って上昇しようとする被加工材80を押しとどめ、パンチ11、12、13、14から離す役割も有する。
【0026】
ストリッパ15は、パンチホルダ16に吊り下げ状態で且つパンチホルダ16に対して相対的に上下移動可能となるように支持される。
ストリッパ15は、パンチ11、12、13、14の下部を挿通させており、打ち抜きの前後、被加工材80に接したストリッパ15に対し、パンチ11、12、13、14がそれぞれ相対的に上下動する。
【0027】
ストリッパ15には、このストリッパ15と一体に下型20側のダイに対し上下方向に相対移動可能とされる押さえ部19が下方に突出状態で配設される。この押さえ部19も打ち抜き加工部30の一部をなす。
【0028】
押さえ部19は、打ち抜き加工部30が被加工材80から加工対象部位を打ち抜くのに合わせて、リフタ部27に接してこれを相対的に押し下げ、リフタ部27で支持される被加工材80の下面をダイの上端に接触させるものである。
【0029】
こうしたストリッパ15の構成は、押さえ部19を除いて、公知の打ち抜きを行うプレス加工装置で用いられるものと同様であり、詳細な説明を省略する。
【0030】
パンチホルダ16は、複数のパンチ11、12、13、14及びストリッパ15を上から吊り下げ支持する公知の盤状部品である。
【0031】
下型20は、打ち抜き用のダイ21、22、23、24と、接着剤塗布部25と、これらダイ21、22、23、24及び接着剤塗布部25を支持するダイシュー26と、被加工材80を支持するリフタ部27とを備える構成である。
【0032】
ダイ21、22、23、24は、被加工材80の搬送方向に所定の間隔を空けて、ダイシュー26の上部にそれぞれ配設される。各ダイ21、22、23、24には、対応する上型10側のパンチ11、12、13、14を挿抜可能とするダイ孔21a、22a、23a、24aが上下方向に貫通する孔として設けられる。
各ダイ21、22、23、24は、対応するパンチ11、12、13、14との組で、被加工材80に対し打ち抜き加工を行う公知の金型であり、詳細な説明を省略する。
【0033】
ダイのうち、第四のダイ24は、対応する第四のパンチ14と共に打ち抜き加工部30の要部を構成する。第四のパンチ14と第四のダイ24は、接着剤塗布部25によって接着剤が塗布された後の被加工材80の加工対象部位の打ち抜きを実行し、接着剤が付着した鉄心片81を形成する。
第四のダイ24におけるダイ孔24aでは、被加工材80から打ち抜かれた鉄心片81が、先行して打ち抜かれた鉄心片81に積み重なり、複数の鉄心片81が積層状態となる。
【0034】
接着剤塗布部25は、ダイシュー26上部における第三のダイ23と第四のダイ24との間に配設されて、被加工材80における加工対象部位の複数箇所に、連結手段としての接着剤を下から塗布するものである。
【0035】
接着剤塗布部25は、接着剤を吐出する複数の吐出口25aを、被加工材80の下面における加工対象部位のあらかじめ設定された複数箇所に対し、接着剤をそれぞれ塗布可能な配置として設けられる。一方、接着剤塗布部25は、吐出口25aの配置や接着剤の塗布量の設定により、被加工材80の加工対象部位に接着剤が塗布されない領域も存在するようにされる。
こうした接着剤塗布部25における接着剤の供給及び塗布に係る構成は、順送り加工の中間で被加工材の複数箇所に接着剤を塗布する工程を有する、公知のプレス加工装置で採用されている接着剤塗布機構と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0036】
ダイシュー26は、ダイ21、22、23、24、接着剤塗布部25、及びリフタ部27を支持する台状の部品である。なお、ダイ21、22、23は、ダイシュー26上部に設けられるダイプレート28に嵌め込まれた状態で、ダイシュー26に支持される。
ダイシュー26は、公知の案内機構(図示を省略)により、上型10のパンチホルダ16を上下方向に移動可能で且つ上下方向以外の動きを制限した状態として連結される構成である。
【0037】
ダイシュー26には、その内部に複数の排出孔26a、26b、26c、26dが設けられる。このうち、排出孔26a、26b、26cは、ダイ21、22、23のダイ孔21a、22a、23aと連通し、被加工材80から打ち抜かれた材料片(廃材)を排出するためのものである。
また、第四のダイ24におけるダイ孔24aと連通するダイシュー26の排出孔26dは、打ち抜かれ積層状態とされた複数の鉄心片81を、最終的に積層鉄心85の状態で外部に送出するためのものである。
【0038】
積層状態の鉄心片81は、塗布された接着剤で他の鉄心片と接着され一体化した積層鉄心85となる。積層鉄心85は、排出孔26dを経て、この積層鉄心85を次工程の装置(例えば、加熱装置、磁石挿入装置、樹脂注入装置など)に搬出するベルトコンベア等の公知の搬出装置に達することとなる。
【0039】
リフタ部27は、板状体で形成され、ダイシュー26の上側における接着剤塗布部25の終端から第四のダイ24の周囲にかけて上下動可能に設けられ、搬送される被加工材80における接着剤の近傍を板状体上面で支持する構成である。
【0040】
リフタ部27は、被加工材80が搬送される間、被加工材80を下から押し上げて、被加工材80の下面及び連結手段としての接着剤がダイ24の上端より上側に位置し、被加工材80及び接着剤がダイ24に接触しない状態とするものである。
【0041】
リフタ部27には、被加工材80における接着剤の塗布位置に対応する逃げ部27aとしての、被加工材80の搬送方向に連続する溝が設けられる。そして、リフタ部27の逃げ部27aのない箇所が、被加工材80における接着剤の近傍位置、すなわち、接着剤が塗布されない位置に接して、被加工材80を支持することとなる。
【0042】
リフタ部27は、ダイシュー26に所定の範囲内で上下動可能に取り付けられると共に、所定の弾性部材で上方に付勢される構成である。リフタ部27が外部から力を加えられていない状態にある、被加工材80の搬送時には、弾性部材による付勢でリフタ部27が被加工材80を押し上げてダイ24から離す仕組みである。
【0043】
一方、打ち抜きの際には、打ち抜き加工部30の一部をなす押さえ部19でリフタ部27が強制的に押し下げられることで、リフタ部27に支持される被加工材80の下面をダイ24の上端に接触させる仕組みである。
【0044】
リフタ部27が押さえ部19で上から押される位置は、打ち抜きのタイミングで被加工材80と重ならず上方に露出する箇所、例えば、被加工材80に設けられた貫通孔に対応する位置や、被加工材80の幅方向の端部より外側となる部位に設定される。なお、被加工材80に設けられた貫通孔とは、接着剤塗布部25より前段側の工程で打ち抜かれた部位である。
【0045】
リフタ部27は、連続する一つの板状体に限られず、複数の小さな板状体の組合せ構造であってもかまわない。
【0046】
リフタ部27の逃げ部27aは、被加工材80の搬送状態において、被加工材80に塗布された接着剤を逃げ部27aの範囲内に収めて、リフタ部27と接着剤との接触なく被加工材80をリフタ部27上で移動させられるものであれば、溝に限られない。例えば、逃げ部は、リフタ部において被加工材の搬送方向に連続する凹部や切欠き、孔でもかまわない。また、リフタ部が複数の板状体を組合せて構成される場合は、逃げ部は板状体間の隙間であってもよい。
【0047】
下型20には、接着剤塗布部25より前段側に、他のリフタ部を設けるようにしてもよい。こうした他のリフタ部は、被加工材80の搬送の際に、被加工材80の下面をダイ21、22、23に接触させないようにするものであれば、公知の順送り加工用のプレス加工装置に用いられるものと同様の機構でかまわない。その場合、他のリフタ部は、打ち抜きの際には下降して、被加工材下面とダイとの接触を許容するものであることはいうまでもない。
【0048】
次に、本実施形態に係る積層鉄心製造装置による積層鉄心の製造過程について説明する。
積層鉄心製造装置1は、送出装置60により間欠的に搬送される帯状の被加工材80に対し順送り加工を行う。
この順送り加工では、鉄心片81における外周以外の各部形状に対応する被加工材80の打ち抜き、接着剤塗布部25による被加工材80への接着剤塗布等がそれぞれ行われる。そして、最終的に鉄心片81を被加工材80から打ち抜いて分離するようにされる。
【0049】
帯状に連続する被加工材80は、送出装置60によって間欠的に搬送され、積層鉄心製造装置1の上型10と下型20との間に送り込まれる。あらかじめ設定された送り量の被加工材80が搬送され、被加工材80の所定箇所が第一のパンチ11とダイ21との間に達すると、搬送が一時停止し、上型10が下型20に対し近付くように下がる。
【0050】
上型10のストリッパ15は、被加工材80に次第に近付いて、被加工材80に接し、被加工材80をダイ21に押し付け、ストリッパ15とダイ21との間に被加工材80が挟持された状態とする。被加工材80を上から押さえたストリッパ15がそれ以上動かない一方、パンチホルダ16とパンチ11はさらに下方へ移動し、パンチ11の先端がストリッパ15への挿通部分を経てダイ21に達する。これにより、被加工材80の一部がパンチ11とダイ21とによって打ち抜かれ、この打ち抜きで被加工材80に貫通孔が設けられる(
図2(b)参照)。
【0051】
打ち抜き後、パンチホルダ16とパンチ11は上方へ移動し、被加工材80からパンチ11が離れると、ストリッパ15も上昇して被加工材80から離れる。引き続き上型10各部が当初位置へ戻るのに合わせて、適切なタイミングで被加工材80の搬送が再開される。
【0052】
搬送される被加工材80の加工対象部位が第二のパンチ12とダイ22との間に達すると、第一のパンチ11とダイ21の場合と同様に、搬送は一時停止となり、上型10が下がり、被加工材80の一部がパンチ12とダイ22とによって打ち抜かれる。この打ち抜きで被加工材80に新たな貫通孔が設けられる(
図2(b)参照)。
打ち抜き後、上型10各部が当初位置へ戻るのに合わせて、被加工材80の搬送が再開される。
【0053】
搬送される被加工材80の加工対象部位が第三のパンチ13とダイ23との間に達すると、第一のパンチ11とダイ21の場合と同様に、搬送は一時停止となり、上型10が下がり、被加工材80の一部がパンチ13とダイ23とによって打ち抜かれる。この打ち抜きで被加工材80にさらに貫通孔が設けられる(
図2(b)参照)。
打ち抜き後、上型10各部が当初位置へ戻るのに合わせて、被加工材80の搬送が再開される。
【0054】
これら第一のパンチ11とダイ21、第二のパンチ12とダイ22、及び第三のパンチ13とダイ23による各打ち抜きは、公知のプレス加工装置での順送り加工による打ち抜きと同様のものであるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0055】
なお、第一のパンチ11とダイ21とによる打ち抜きは、例えば、被加工材80にパイロット孔83を設けるためのものである(
図2(b)参照)。パイロット孔83は、これより後段側の各パンチとダイによる打ち抜きの際に位置決め用のピンを挿入して、被加工材が動かないようにするための、公知の順送り加工で設けられ使用される孔である。
【0056】
また、第二のパンチ12とダイ22とによる打ち抜きは、例えば、被加工材80に鉄心片81の一部形状に対応する孔を設けるためのものである(
図2(b)参照)。さらに、第三のパンチ13とダイ23とによる打ち抜きは、例えば、被加工材80の加工対象部位の中央部を打ち抜いて、被加工材80に鉄心片81の外周以外の各部形状が現れた状態とするためのものである(
図2(b)参照)。
【0057】
各パンチとダイとにより打ち抜かれて生じた廃材は、各ダイ孔21a、22a、23a及びこれらに連通するダイシュー26の各排出孔26a、26b、26cを通じて外部に排出される。
【0058】
第三のパンチ13とダイ23とによる打ち抜きを経て搬送される被加工材80の加工対象部位が、新たに接着剤塗布部25に達すると、搬送が一時停止状態となる。そして、上型10が下型20に対し近付くように下がる。
上型10のストリッパ15は、被加工材80に次第に近付いて、被加工材80に接し、被加工材80を接着剤塗布部25に押し付け、ストリッパ15と接着剤塗布部25との間に被加工材80が挟持された状態とする。
【0059】
こうして被加工材80が接着剤塗布部25に接する状態において、接着剤塗布部25の各吐出口25aには、液状である接着剤が供給されている。このため、被加工材80の加工対象部位における下面側の、各吐出口25aに相対する複数の所定箇所には、接着剤が塗布されることとなる。一方、吐出口25aに相対する箇所以外の被加工材80の下面は、接着剤を塗布されない状態に維持される。
【0060】
接着剤の塗布後、パンチホルダ16等の上型10の他部と共に、ストリッパ15も上昇して被加工材80から離れる。引き続き上型10各部が当初位置へ戻るのに合わせて、適切なタイミングで被加工材80の搬送が再開される。
【0061】
なお、積層鉄心85の最下層を構成する鉄心片81に対応する、被加工材80の加工対象部位に対しては、接着剤塗布部25の各吐出口25aに接着剤が供給されないようにされることで、接着剤は塗布されない。これにより、打ち抜き加工部30で打ち抜かれて得られた最下層の鉄心片81の下面に付着している接着剤により、鉄心片を積層させる機構各部に悪影響が及ぶことを回避できる。
【0062】
これと同様に、必要に応じて被加工材の加工対象部位に接着剤が塗布されないようにする他の機構としては、接着剤を塗布すべきでないタイミングに、接着剤塗布部が下方へ移動して、被加工材と接触しないよう退避する機構等を採用することもできる。
【0063】
こうして被加工材80の接着剤を塗布された加工対象部位が接着剤塗布部25から打ち抜き加工部30をなす第四のパンチ14とダイ24との間に達するまでの搬送中、加工対象部位はリフタ部27により支持される状態となっている。
この被加工材80の加工対象部位がリフタ部27により支持される状態では、被加工材80のうち、塗布された接着剤の近傍となる各位置に、リフタ部27をなす板状体の上面が接して支持することとなる。加えて、被加工材80下面の接着剤の塗布された箇所は、リフタ部27の逃げ部27aをなす溝を通過するため、リフタ部27に接着剤が付着することはない。
【0064】
また、この搬送状態では、ストリッパ15が被加工材80から離れて上方に位置し、押さえ部19もリフタ部27から離れていることから、外部から力を加えられていないリフタ部27は、被加工材80をダイ24の上端より上側に位置するよう支持する。この状態では、被加工材80下面に塗布された接着剤も、ダイ24の上端より上側に位置するように、被加工材80が支持されていることから、接着剤や被加工材80下面とダイとの接触やそれに伴う問題は生じ得ない。
【0065】
搬送される被加工材80の加工対象部位が打ち抜き加工部30をなす第四のパンチ14とダイ24との間に達すると、搬送は一時停止となる。
この段階でも、依然ストリッパ15が被加工材80から離れて上方に位置し、押さえ部19もリフタ部27から離れていることから、上から押圧力を受けていないリフタ部27が被加工材80をダイ24よりも上方で支持する。
【0066】
搬送の一時停止状態で、上型10が下型20に対し近付くように下がる。上型10のストリッパ15は被加工材80に次第に近付いて、被加工材80に接する。そして、下降するストリッパ15は、被加工材80を押しつつ、一体の押さえ部19によりリフタ部27を下方に押し下げる。ストリッパ15は、これに支持された被加工材80もダイ24に接するまで下げて、ストリッパ15とダイ24との間に被加工材80が挟持された状態とする(
図3(b)参照)。
【0067】
ストリッパ15が被加工材80を介してリフタ部27を押し下げるだけでなく、被加工材80の存在しない部位で押さえ部19でリフタ部27を直接押し下げることから、リフタ部27にこれを押し下げる力が偏りなく加わる状態を得ることができる。
【0068】
なお、こうした押さえ部19でリフタ部27を直接押し下げる構成に限られるものではなく、リフタ部を適切に押し下げ可能であれば、押さえ部のないストリッパが被加工材を押すことで、被加工材を介してリフタ部を押し下げる構成であってもかまわない。
【0069】
被加工材80をダイ24との間で挟持して動かない状態となったストリッパ15に対し、パンチホルダ26とパンチ14はさらに下方へ移動し、パンチ14の先端がストリッパ15への挿通部分を経てダイ24に達する。これにより、被加工材80の加工対象部位が打ち抜き加工部30をなすパンチ14とダイ24とによって打ち抜かれる。この打ち抜きで被加工材80から加工対象部位が分離し、鉄心片81となる一方、被加工材80には鉄心片81の外縁形状に相当する孔が残る(
図2(b)参照)。
【0070】
打ち抜き加工部30をなすパンチ14とダイ24とによる打ち抜きで得られた鉄心片81は、ダイ孔24aにおいて複数積層される。ダイ孔24aでは、鉄心片81を積層状態で一時的に保持し、新たな鉄心片81が打ち抜かれて重なるたびに、鉄心片81を下方に移動させていく。なお、鉄心片81は、必要に応じて転積などの調整を加えられつつ積層状態とすることもできる。
【0071】
複数の鉄心片81は、この積層の過程で、接着一体化されることとなる。積層された鉄心片81の積数(積厚)が規定値に達すると、積層状態で一体化された鉄心片81、すなわち積層鉄心85が、ダイシュー26の排出孔26dを経て装置外に達し、搬出装置(図示を省略)により次工程へ向けて搬出される。
【0072】
このように、本実施形態に係る積層鉄心製造装置においては、被加工材80からの鉄心片打ち抜きの前に、被加工材80の加工対象部位に接着剤を塗布し、被加工材80から打ち抜いて積層した鉄心片81を接着で一体化して、積層鉄心85を製造可能としている。一方、被加工材80の接着剤塗布位置と重なる部位に逃げ部27aのあるリフタ部27で被加工材80を支持して、被加工材80の搬送を行う間、被加工材80に塗布された接着剤がリフタ部27の逃げ部27aを移動する。これにより、被加工材80の搬送を行う間も、リフタ部27が接着剤との接触なしに被加工材80各部を支持して、被加工材80の変形を抑えられる。加えて、装置各部と被加工材80又は接着剤との接触による悪影響も回避でき、積層鉄心製造の効率化が図れる。
【0073】
なお、本実施形態に係る積層鉄心製造装置においては、付与部として接着剤塗布部25を設け、被加工材80への連結手段の付与として、接着剤の塗布を行う構成としているが、これに限られるものではない。例えば、被加工材に付与する連結手段として、被加工材の上面側で凹状、下面側で凸状となるかしめ部を形成する構成とすることもできる。
この場合、連結手段を付与する付与部は、接着剤塗布部に代えて、被加工材へのプレス加工でかしめ部を形成する機構となる。
【0074】
また、リフタ部は、被加工材下面側に凸状となるかしめ部がダイに接触しないように被加工材を支持すると共に、逃げ部によりリフタ部自体へのかしめ部の接触も回避する機構となる。この場合も、リフタ部は、その上面で、被加工材におけるかしめ部の近傍位置、すなわち、かしめ部のない位置に接して、被加工材を支持する。
打ち抜き加工部で打ち抜かれた鉄心片は、他の鉄心片と積層状態とされる中で、重なったかしめ部同士を上下方向の押圧力付加により連結させるかしめ加工で一体化され、最終的に積層鉄心とされることとなる。
【0075】
このように連結手段をかしめ部とする場合、接着剤の場合と同様、積層鉄心の最下層に配置される鉄心片に対応する被加工材の加工対象部位には、付与部で連結手段としてのかしめ部が形成されないよう設定される。例えば、付与部において、被加工材の加工対象部位に、下面側に凸となる通常のかしめ部を形成せず、代わりに、上側に位置する他の鉄心片のかしめ部とかしめ加工で連結一体化可能となる孔を設ける。
【0076】
なお、連結手段として、鉄心片を重なった他の鉄心片と容易には連結させない、加熱硬化型の接着剤やかしめ等を用いる場合、打ち抜き後、積層させた複数の鉄心片を一体化せず、分離可能な積層状態に維持したまま所定積数ごとに積層鉄心製造装置から排出し、装置外で積層鉄心として一体化した上で次の工程へ送るようにしてもよい。
【0077】
(本発明の第2の実施形態)
第1の実施形態に係る積層鉄心製造装置では、用いる帯状の被加工材80において、鉄心片にあたる加工対象部位が被加工材80の搬送方向に一列に並ぶよう設定され、それに合わせてパンチ及びダイの組、接着剤塗布部25、並びにリフタ部27を配置する構成としている。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、被加工材80における加工対象部位が被加工材80の搬送方向に二列など複数列で並ぶよう設定され、積層鉄心製造装置もこれに対応した構成としてもかまわない。
【0078】
この場合も、被加工材80の搬送方向に並ぶ加工対象部位の列ごとに配置される接着剤塗布部45による被加工材への複数の接着剤塗布位置に対応して、リフタ部47に逃げ部47aを設ける(
図5、
図6参照)。これにより、第1の実施形態と同様に、被加工材80の搬送を行う間、リフタ部47がその上面で被加工材80における接着剤の近傍位置に接し、接着剤との接触なしに被加工材80各部を支持して、被加工材80の変形を抑えられる。加えて、ダイ44やリフタ部47をはじめとする装置各部と被加工材80又は接着剤との接触による悪影響も回避でき、積層鉄心製造の効率化が図れることとなる。
【符号の説明】
【0079】
1 積層鉄心製造装置
10 上型
11、12 パンチ
13、14 パンチ
15 ストリッパ
16 パンチホルダ
19 押さえ部
20 下型
21、22 ダイ
21a、22a ダイ孔
23、24 ダイ
23a、24a ダイ孔
25 接着剤塗布部
25a 吐出口
26 ダイシュー
26a、26b 排出孔
26c、26d 排出孔
27 リフタ部
27a 逃げ部
28 ダイプレート
30 打ち抜き加工部
44 ダイ
45 接着剤塗布部
45a 吐出口
47 リフタ部
47a 逃げ部
60 送出装置
80 被加工材
81 鉄心片
83 パイロット孔
85 積層鉄心