(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018871
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】光学的情報読取装置及び光学的情報読取方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20250130BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20250130BHJP
【FI】
G06K7/10 376
H04N23/56
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182463
(22)【出願日】2023-10-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-17
(31)【優先権主張番号】18/360,282
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391062872
【氏名又は名称】株式会社オプトエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 安武
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA59
5C122FC02
5C122GG21
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】光学コードを読み取るための光のちらつきを抑制する光学的情報読取装置を提供すること。
【解決手段】光学的情報読取装置は、光源と、第1露光と第2露光とを繰り返す撮像素子と、前記第1露光時における露光照明の光量重心と、前記第2露光の前後又は前におけるダミー照明の光量重心とが時間的に等間隔になるように前記光源を制御する制御部と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
第1露光と第2露光とを繰り返す撮像素子と、
前記第1露光時における露光照明の光量重心と、前記第2露光の前後又は前におけるダミー照明の光量重心とが時間的に等間隔になるように前記光源を制御する制御部と、
を有する光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記露光照明の光量総量と、前記ダミー照明の光量総量とが等しくなるように前記光源を制御する、
請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2露光を挟む前記第1露光における前記露光照明の光量波形が異なるように前記光源を制御する、
請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2露光の前後における前記ダミー照明の光量波形が異なるように前記光源を制御する、
請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記光源の光量及びオン時間の少なくとも一方を制御する、
請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
第1露光と第2露光とを繰り返し、
前記第1露光時における露光照明の光量重心と、前記第2露光の前後又は前におけるダミー照明の光量重心とが時間的に等間隔になるように光源を制御する、
光学的情報読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学的情報読取装置及び光学的情報読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一次元コードや二次元コードといった光学コードを読取るために、コードスキャナ等の光学的情報読取装置が用いられる。光学的情報読取装置は、商品管理や位置検出といった様々な分野で広く使用されている。
【0003】
光学コードとして、例えば、光反射率が周囲と異なる記号で情報を表記した一次元コード、二次元コード等が利用されている。一次元コードは、バーコード、リニアコード等とも呼ばれる。一次元コードは、種々の幅の線を隣接して直線的に並べ、線部分と空白部分によって英数字等の情報を表現する。一次元コードは、例えば、ユニバーサルプロダクトコードを表現する。二次元コードは、二次元シンボル等とも呼ばれ、情報を縦横に配置したシンボルで表現する。二次元コードは、情報化密度が高く、一次元コードに比べてより多くの情報を格納できる。QRコード(登録商標)は、二次元コードの一種である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-55396号公報
【特許文献2】米国特許第9659199号明細書
【特許文献3】米国特許第7234641号明細書
【特許文献4】米国特許第8902353号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学的情報読取装置には、光学コードを読み取るために点滅した光を光学コードに照明するものがある。光の点滅の間隔が長いと、人の目にちらついて映る場合があり、不快感を与えることがある。
【0006】
本開示は、上記の点に鑑みて為されたものであり、光学コードを読み取るための光のちらつきを抑制できる光学的情報読取装置及び光学的情報読取方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光学的情報読取装置は、光源と、第1露光と第2露光とを繰り返す撮像素子と、前記第1露光時における露光照明の光量重心と、前記第2露光の前後又は前におけるダミー照明の光量重心とが時間的に等間隔になるように前記光源を制御する制御部と、を有する。
【0008】
本開示に係る光学的情報読取方法は、第1露光と第2露光とを繰り返し、前記第1露光時における露光照明の光量重心と、前記第2露光の前後又は前におけるダミー照明の光量重心とが時間的に等間隔になるように光源を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、光学コードを読み取るための光のちらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態に係るコードスキャナの概略ハードウェア構成例を示した図
【
図4】照明と撮影との別のタイミング例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示では、光学的情報読取装置の一例としてコードスキャナを用いる場合について説明する。本開示のコードスキャナは、例えば、店舗等において、顧客が購入する商品の商品情報を読み取るために使用されてもよい。また、本開示のコードスキャナは、例えば、工場の天井等に設置された軌道を走行して部品等を搬送するビークルに取り付けられ、所定位置に貼り付けられた光学コードを読取るために使用されてもよい。
【0012】
<コードスキャナの構成例>
図1は、本開示の実施の形態に係るコードスキャナ100の概略ハードウェア構成例を示した図である。コードスキャナ100は、光学ヘッド部110と、デコーダ部120と、から構成される。光学ヘッド部110とデコーダ部120とは、別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0013】
光学ヘッド部110は、レンズ111と、固体撮像素子の一例であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ(以下単に「CMOS」という)112と、を備える。また、光学ヘッド部110は、光源の一例である発光ダイオード(LED)113を備える。
【0014】
レンズ111は、例えば光学レンズであり、光学コードを含む読取対象物の画像を光学ヘッド部110に取り入れ、CMOS112の撮像エリア上に結像させる。
【0015】
CMOS112は、レンズ111が取り入れた読取対象物からの反射光により、読取対象物を撮像し、撮像で得たアナログの画像信号からデジタルの輝度値で表現される画像データを生成してデコーダ部120に出力する。
【0016】
LED113は、光を照射し、読取対象物を照明する。これにより、CMOS112は、鮮明な画像を撮像できる。
【0017】
デコーダ部120は、第1の入出力インタフェース(第1I/O)121と、プロセッサ122と、RAM(Random Access Memory)123と、ROM(Read Only Memory)124と、第2の入出力インタフェース(第2I/O)125と、を備える。
【0018】
第1I/O121は、光学ヘッド部110とデコーダ部120とがデータ通信を行うためのインタフェースである。CMOS112から出力された画像データは、第1I/O121を介してプロセッサ122に入力される。
【0019】
プロセッサ122は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ122は、制御部と称されてもよい。
【0020】
プロセッサ122は、CMOS112及びLED113の制御、CMOS112から第1I/O121を介して入力される画像データに対するノイズ除去のためのフィルタ処理、デコード準備のためのデータ加工処理、加工後の画像データに含まれる光学コードに対するデコード処理等を行う。なお、デコード処理の詳細については、例えば特開2005-25417号公報に記載の手法など、公知の任意の手法を採用すればよい。
【0021】
RAM123は、CMOS112から入力される画像データを一時的に記憶したり、デコード準備のためのデータ加工処理の際にワークメモリとして用いられたり、その他のコードスキャナ100の動作に必要なデータなど動的に変更するデータを記憶したりする記憶手段である。なお、RAM123の一部を不揮発性としてもよい。
【0022】
ROM124は、コードスキャナ100を起動させるプログラムなどを記憶する不揮発性の記憶手段である。
【0023】
第2I/O125は、プロセッサ122と、例えば、サーバやビークルといった他の装置とがデータ通信を行うためのインタフェースである。プロセッサ122から出力されたデコード後のデータ情報は、第2I/O125を介して、例えば、サーバやビークルといった他の装置に入力される。
【0024】
<分析>
コードスキャナ(CMOS)が光学コードを読み取るとき、LEDから出力される光(照明)が光学コードに照射される。光学コードに照明された光が光学コードにおいて正反射した場合、コードスキャナは、光学コードを適切に読み取れない場合がある。
【0025】
そこで、コードスキャナは、照明(LED)をオンした状態において撮影した光学コードの画像と、照明をオフした状態で撮影した光学コードの画像とを比較し、光学コードでの光の正反射の有無を検出する。
【0026】
図2は、正反射の検出例を説明する図である。
図2の(A)には、照明をオンしたときにコードスキャナが撮影した光学コードA2aの画像が示してある。
図2の(B)には、照明をオフしたときにコードスキャナが撮影した光学コードA2bの画像が示してある。
【0027】
光学コードで光の正反射が生じた場合、
図2の(A)に示すように、光学コードA2aの画像の一部が正反射で見えなくなる。そこで、コードスキャナは、照明をオンしたときの光学コードA2aの画像と、照明をオフしたときの光学コードA2aの画像とを比較することによって、光学コードA2aでの光の正反射を検出する。
【0028】
光学コードA2aの撮影間隔は、時間的に近いことが要求される。例えば、光学コードA2aの撮影間隔が長い場合、照明をオンしたときに光学コードA2aが映っていても、照明をオフしたときに、光学ヘッド部又は光学コードA2aが移動し、光学コードA2aが映っていない場合がある。この場合、コードスキャナは、光学コードA2aでの光の正反射を検出できない。そこで、照明をオンした撮影と、照明をオフした撮影とを交互に実行することが考えられる。
【0029】
図3は、照明と露光とのタイミング例を説明する図である。
図3の(A)には、照明オンによる露光を繰り返す場合のタイミングチャートが示してある。
図3の(B)には、正反射検出を行うために、照明オンによる露光と、照明オフによる露光とを交互に繰り返す場合のタイミングチャートが示してある。
【0030】
なお、
図3の(A)では、光学コードにおける光の正反射の有無を検出できない。
図3の(A)は、
図3の(B)のタイミングチャートとの比較のために図示してある。
【0031】
図3に示す横軸「t」は、時間を示す。
図3に示す縦軸「A」は、光量を示す。
図3に示す「露光」は、CMOSの露光時間を示す。
図3に示す「画像データ転送」は、CMOSが撮影した画像データが、プロセッサに転送される時間を示す。
図3に示す「データ処理」は、プロセッサの画像データ処理時間(例えば、光学コードのデコード時間)を示す。
図3に示す「照明on」は、照明をオンしている時間(期間)を示す。
【0032】
図3の(A)に示す「照明on」の周波数は、例えば、60Hzとする。この場合、照明の点滅は、人の目において捉えづらく、不快感を与えることが少ない。
【0033】
一方、光の正反射検出のために、
図3の(B)に示すように、「照明on」における露光と、次の「照明on」における露光との間に、「照明off」における露光を挿入すると、照明がオンする間隔(周波数)が、例えば、60Hz以下となる。この場合、照明の点滅が人の目において捉えやすくなり、不快感を与えることがある。
【0034】
図4は、照明と露光との別のタイミング例を説明する図である。
図4に示すタイミングチャートでは、
図3の(B)のタイミングチャートに対し、人の目に映る照明の点滅を抑制するため、「照明off」における露光の後に、ダミー照明をオンする(
図4の「ダミー照明on」を参照)。これにより、
図4では、照明がオンする間隔が、
図3の(B)の「照明on」の間隔より短くなり、人の目に映る照明の点滅が抑制される。
【0035】
しかし、
図4のタイミングチャートでは、照明がオンする間隔(「照明on」と「ダミー照明on」との間隔)が等間隔でないため、照明が人の目にちらついて映る場合があり、不快感を与えることがある。
【0036】
そこで、本開示では、人の目に与える不快なちらつきを軽減するため、露光時にオンする照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とを、Nominal toleranceにおいて等しくなるように制御する。
【0037】
<動作例1>
図5は、コードスキャナ100の動作例1を説明する図である。コードスキャナ100は、光の正反射を検出するため、LED113の照明(光)を用いたCMOS112の露光と、LED113の照明を用いないCMOS112の露光とを実行する。
【0038】
例えば、コードスキャナ100は、
図5の矢印A5a,A5cに示すように、LED113の照明を用いたCMOS112の露光と、
図5の矢印A5b,A5dに示すように、LED113の照明を用いないCMOS112の露光とを実行する。
【0039】
照明を用いた露光とは、CMOS112の露光時にLED113がオンされる露光と捉えることができる。照明を用いない露光とは、CMOS112の露光時にLED113がオンされない露光と捉えることができる。
【0040】
以下では、照明を用いた露光を、照明露光と称することがある。照明を用いない露光を、非照明露光と称することがある。また、露光時にオンされる照明を、露光照明と称することがある。露光時で無いときにオンされる照明を、ダミー照明と称することがある。
【0041】
照明露光と非照明露光とは、
図5の矢印A5a~A5dに示すように、間隔を開け、交互に繰り返し実行される。コードスキャナ100は、照明露光と非照明露光との間であって、非照明露光(
図5の矢印A5b,A5dを参照)の前後において、ダミー照明をオンする(
図5の「ダミー照明on」を参照)。
【0042】
図5の点線A5e,A5gは、露光照明の光量重心を示す。例えば、
図5の「照明on」に示すように、露光照明が、パルス状(矩形状)に発光する場合、露光照明の光量重心は、矩形の面積を半分にするタイミング(時間)となる。
【0043】
図5の点線A5f,A5hは、ダミー照明の光量重心を示す。例えば、
図5の「ダミー照明on」に示すように、非照明露光の前後における2つのダミー照明が、同じ光量で、パルス状に発光する場合、ダミー照明の光量重心は、非照明露光の前後における2つのダミー照明の中央のタイミングとなる。
【0044】
プロセッサ122は、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが時間的に(時間軸上で)、交互に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量を制御する。例えば、プロセッサ122は、
図5の点線A5e~A5hの間隔が等間隔となるように、露光照明及びダミー照明のオン時間及び光量を制御する。
【0045】
露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量が制御されればよい。従って、露光照明とダミー照明との間隔は、等間隔でなくてもよい。例えば、
図5の「照明on」と、「ダミー照明on」とに示す矩形の間隔は、等間隔でなくてもよい。
【0046】
このように、プロセッサ122は、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量を制御する。これにより、露光照明とダミー照明とが等間隔でなくても、人の目に映る照明のちらつきが抑制され、不快感が抑制される。
【0047】
なお、プロセッサ122は、露光照明の光量総量と、ダミー照明の光量総量とが等しくなるようにLED113を制御してもよい。
【0048】
また、露光照明の時間(オン時間)は、
図5に示すように、CMOS112の露光時間と同じであってもよい。また、露光照明の時間は、CMOS112の露光時間より短くてもよい(例えば、
図8の(C)の「露光照明」を参照)。また、露光照明の時間は、CMOS112の露光時間より長くてもよい。
【0049】
また、ダミー照明は、非照明露光の前に2以上、非照明露光の後に2以上設けてもよい。この場合、照明のちらつきがより抑制される。なお、
図5に示すように、ダミー照明を、非照明露光の前に1つ、非照明露光の後に1つ設けた場合は、非照明露光の前に2以上、非照明露光の後に2以上設けた場合よりも、消費電力が抑制される。
【0050】
<動作例2>
動作例1では、パルス状の照明を出力したが、これに限られない。照明の波形は、任意の形状であってもよい。
【0051】
図6は、コードスキャナ100の動作例2を説明する図である。動作例1で説明したように、プロセッサ122は、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量を制御する。これにより、照明のちらつきによる不快感が抑制される。
【0052】
従って、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが、交互に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量が制御されれば、LED113から出力される光の光量の波形は、
図6に示すように、任意の形状であってもよい。すなわち、コードスキャナ100は、露光照明とダミー照明とのプロファイル(時系列における光量、つまり光量の波形)を柔軟に制御できる。例えば、
図6の矢印A6a~A6fに示すように、露光照明及びダミー照明のそれぞれにおけるプロファイルは、異なっていてもよい。
【0053】
なお、
図6に示すデータ処理と非照明露光との間にブランクがあるが、このブランクの期間において、プロセッサ122は、露光照明とダミー照明とのプロファイルを計算してもよい。プロセッサ122が、露光照明とダミー照明とのプロファイルを計算しない場合、非照明露光との間のブランクは設けられなくてもよい。
図5で説明した動作例1においても同様である。
【0054】
<動作例3>
動作例1及び動作例2では、非照明露光の前後にダミー照明を出力したが、これに限られない。ダミー照明は、非照明露光の前において出力され、非照明露光の後において出力されなくてもよい。
【0055】
図7は、コードスキャナ100の動作例3を説明する図である。プロセッサ122は、
図7の矢印A7aに示す非照明露光の前において、ダミー照明をオンする。動作例1,2で説明したように、プロセッサ122は、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量を制御する。例えば、プロセッサ122は、
図7の矢印A7bに示すように、光学コードのデータ処理の後、所定時間ディレイした後に(露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように)、LED113のオン時間を制御する。
【0056】
このように、プロセッサ122は、非照明露光の前において、ダミー照明を出力してもよい。この場合でも、プロセッサ122が、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量を制御することで、照明のちらつきによる不快感が抑制される。また、コードスキャナ100の消費電力が抑制される。
【0057】
<検証>
図8は、照明のちらつきの検証を説明する図である。
図8の(A)は、
図4のモデルにおけるタイミングチャートを示す。すなわち、
図8の(A)は、ダミー照明を出力するが、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように制御されていないコードスキャナのタイミングチャートを示す。
【0058】
図8の(B)は、非照明露光の後にダミー照明を出力する場合のコードスキャナのタイミングチャートを示す。
【0059】
図8の(C)は、コードスキャナ100のタイミングチャートを示す。すなわち、
図8の(C)は、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが交互に等間隔となるように、露光照明とダミー照明との出力を制御するコードスキャナ100のタイミングチャートを示す。
【0060】
図8の検証において、照明露光及び非照明露光の時間を8msとした。非照明露光の画像データ転送時間を10msとした。
図8の(A)及び
図8の(B)における露光照明及びダミー照明の時間を4msとした。
図8の(C)における露光照明の時間を4ms、ダミー照明の時間を2msとした。
図8の(A)における露光照明とダミー照明との間隔を22ms及び6msとした。
図8の(B)における露光照明とダミー照明との間隔を22msとした。
図8の(C)における露光照明とダミー照明との間隔を11ms、ダミー照明の間隔を8msとした。
【0061】
図8の(A)及び
図8の(B)のタイミングチャートでは、目視における照明のちらつきが感じられた。これに対し、
図8の(C)のタイミングチャートでは、目視における照明のちらつきが感じられなかった。すなわち、本開示のコードスキャナ100では、目視における照明のちらつきが感じられなかった。
【0062】
<実施の形態のまとめ>
以上説明したように、CMOS112は、照明露光と非照明露光とを繰り返し、プロセッサ122は、照明露光時における露光照明の光量重心と、非照明露光の前後又は前におけるダミー照明の光量重心とが時間的に等間隔になるようにLED113を制御する。これにより、人の目に映る照明のちらつきが抑制され、不快感が抑制される。
【0063】
以上、実施の形態について説明した。上記では、光学的情報読取装置としてコードスキャナを用いる場合について説明したが、本開示は他の光学的情報読取装置を用いる場合にも適用できる。本明細書に記載の「同じ」には、略同じが含まれてもよい。「中央」には、略中央が含まれてもよい。「等間隔」には、略等間隔が含まれてもよい。露光は、撮影と読み替えられてもよい。プロセッサ122は、露光照明の光量重心と、ダミー照明の光量重心とが時間的に等間隔となるように、LED113のオン時間及び光量の少なくとも一方を制御してもよい。
【0064】
図1のハードウェア構成例は、一例であって、
図1の構成例に限定されない。例えば、第1I/O121及び第2I/O125は、プロセッサ122に内包されてもよい。例えば、RAM123及びROM124といった記憶手段は、プロセッサ122に内包されてもよい。また、上記の動作例1~動作例3で説明した機能を実現する手段は、プロセッサ等に限定されず、専用の回路で実現されてもよい。例えば、光学ヘッド部110及びデコーダ部120の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)といったデバイスによって実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示は、光学コードを読取る光学的情報読取装置及び光学的情報読取方法に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0066】
100 コードスキャナ
110 光学ヘッド部
111 レンズ
112 CCD
113 LED
120 デコーダ部
121 第1I/O
122 プロセッサ
123 RAM
124 ROM
125 第2I/O