(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018872
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】受信機における信号断からの回復後の整定中のリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)の制御
(51)【国際特許分類】
H04B 10/69 20130101AFI20250130BHJP
H03G 3/20 20060101ALI20250130BHJP
H03G 3/34 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H04B10/69 130
H03G3/20 D
H03G3/34
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183429
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】18/359,564
(32)【優先日】2023-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディナップ スクマラン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー. デイビス
【テーマコード(参考)】
5J100
5K102
【Fターム(参考)】
5J100JA01
5J100KA06
5J100LA02
5J100LA09
5J100QA01
5J100SA02
5K102AA52
5K102AH24
5K102AH26
5K102PH31
5K102RD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光受信機において、信号断からの復帰を正確に検出するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】光受信機310の一部である光デバイスは、光信号を受け取るフォトダイオード311と、入力段313と、出力段315と、入力段及び出力段の間に設けられた少なくとも1つの可変ゲインアンプ(VGA)314とを有するリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)312と、を備える。また、少なくとも1つのVGAの出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧を生成する自動ゲイン制御ループ331と、自動ゲイン制御電圧の変化率を検出し、フォトダイオードにおける光信号の不在を示す第1の状態を決定する検出回路330と、を備え、検出回路は、少なくとも決定された第1の状態に応答して、リニアTIAの出力段を無効化する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号用の光デバイスであって、
前記光信号を受け取るように構成されるフォトダイオードと、
入力段と、出力段と、前記入力段および前記出力段の間に設けられた少なくとも1つの可変ゲインアンプ(VGA)とを有するリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)であって、前記入力段は前記フォトダイオードに結合されており、前記出力段は前記入力段に結合されており、リニアトランスインピーダンスアンプ出力の出力を有効化および無効化するように制御可能である、前記リニアトランスインピーダンスアンプと、
前記少なくとも1つのVGAの出力を整流し、前記整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧を生成するように構成される自動ゲイン制御ループと、
前記自動ゲイン制御電圧の変化率を検出するように構成され、前記フォトダイオードにおける前記光信号の不在を示す第1の状態を決定するように構成される検出回路と、
を備え、
少なくとも前記決定された第1の状態に応答して、前記検出回路は、前記リニアトランスインピーダンスアンプの前記出力段を無効化するように構成される、
光デバイス。
【請求項2】
前記検出回路は、前記フォトダイオードにおける前記光信号の存在を示す第2の状態を決定するように構成され、少なくとも前記第1の状態の後に決定された前記第2の状態と、前記検出された変化率とに応答して、前記検出回路は、前記リニアTIAの前記出力段を無効化するように構成される、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記検出回路は、前記フォトダイオードに結合されており、前記フォトダイオードにおける前記光信号の前記第1および第2の状態を示すように構成される受信信号強度インジケータを備える、請求項2に記載の光デバイス。
【請求項4】
少なくとも前記第2の状態と、帰還アンプの帰還信号の前記変化率の不在とに応答して、前記検出回路は、前記リニアTIAの前記出力段を有効化するように構成される、請求項2に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記検出回路は、前記第1の状態、前記第2の状態、前記変化率の前記存在、および前記変化率の前記不在の論理結合を処理するように構成され、前記処理された論理結合に基づいて前記リニアTIAの前記出力段に有効化および無効化信号を提供するデジタル論理回路を備える、請求項4に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記自動ゲイン制御ループは、前記少なくとも1つのVGAの前記出力に接続された整流器と、前記閾値ゲイン設定を生成するように構成される閾値回路と、を備える、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記検出回路は、前記自動ゲイン制御電圧の前記変化率を検出するように構成される傾き検出回路を備え、前記傾き検出回路は、
オペアンプと、
前記オペアンプの出力を正の自動ゲイン制御電圧と比較し、前記比較から第1の比較状態を提供するように構成される第1のコンパレータと、
前記オペアンプの前記出力を負の自動ゲイン制御電圧と比較し、前記比較から第2の比較状態を提供するように構成される第2のコンパレータと、
前記第1および第2の比較状態を受け取り、前記自動ゲイン制御電圧の前記変化率を示す信号を出力するように構成されるOR論理ゲートと、
を備える、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記光デバイスは、光受信機または光送受信機の少なくとも一部である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項9】
フォトダイオードと、
入力段と、出力段と、前記入力段および前記出力段の間に設けられた少なくとも1つの可変ゲインアンプ(VGA)とを備えるリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)であって、前記リニアTIAは前記フォトダイオードに結合されている、前記リニアTIAと、
前記少なくとも1つのVGAの出力を整流し、前記整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧信号を生成するように構成される自動ゲイン制御ループと、
前記自動ゲイン制御電圧信号を受け取るように構成され、前記自動ゲイン制御ループからの前記自動ゲイン制御電圧信号を監視するように構成される傾き検出回路であって、前記傾き検出回路は、前記自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されたことに応答して、前記傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号を提供するように構成される、前記傾き検出回路と、
前記傾き検出回路に結合されており、前記リニアTIAの前記出力段に結合されている論理回路であって、前記論理回路は、前記第1の傾きステータス信号に応答して前記リニアTIAの前記出力段をスケルチするように構成される、前記論理回路と、
を備える、光受信機。
【請求項10】
前記フォトダイオードにおける信号断(LOS)をアサートする第1の指示信号と、前記フォトダイオードにおける前記LOSをデアサートする第2の指示信号とを提供するように構成される受信信号強度インジケータ(RSSI)
をさらに備える、請求項9に記載の光受信機。
【請求項11】
前記論理回路は、信号断(LOS)をアサートする前記第1の指示信号に応答して、前記論理回路から前記リニアTIAの前記出力段にスケルチ信号を出力するように構成される、請求項10に記載の光受信機。
【請求項12】
前記論理回路は、信号断(LOS)をデアサートする前記第2の指示信号と、前記傾きが検出されたことを示す前記第1の傾きステータス信号とに応答して、前記論理回路から前記リニアTIAの前記出力段にスケルチ信号を出力するように構成される、請求項11に記載の光受信機。
【請求項13】
前記傾き検出回路は、前記自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されなかったことに応答して、前記傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号を前記論理回路に提供するようにさらに構成される、請求項11に記載の光受信機。
【請求項14】
前記論理回路は、信号断(LOS)をデアサートする前記第2の指示信号と、前記傾きが検出されなかったことを示す前記第2の傾きステータス信号とに応答して、前記論理回路から前記リニアTIAの前記出力段にスケルチデアサート信号を出力するように構成され、前記スケルチデアサート信号を受け取ったことに応答して前記リニアTIAの前記出力段がアクティブ化される、請求項13に記載の光受信機。
【請求項15】
前記自動ゲイン制御ループは、前記少なくとも1つのVGAの前記出力に接続された整流器と、前記閾値ゲイン設定を生成するように構成される閾値回路と、を備える、請求項9に記載の光受信機。
【請求項16】
前記傾き検出回路は、
オペアンプと、
前記オペアンプの出力を正の自動ゲイン制御電圧と比較し、前記比較から第1の比較状態を提供するように構成される第1のコンパレータと、
前記オペアンプの前記出力を負の自動ゲイン制御電圧と比較し、前記比較から第2の比較状態を提供するように構成される第2のコンパレータと、
前記第1および第2の比較状態を受け取り、前記自動ゲイン制御電圧の前記傾きを示す信号を出力するように構成されるOR論理ゲートと、
を備える、請求項9に記載の光受信機。
【請求項17】
リニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)の出力を制御する方法であって、
信号断(LOS)をアサートする第1の指示信号に応答して、前記リニアTIAの出力バッファにスケルチ信号を送って、前記リニアTIAの出力電圧をスケルチすることと、
前記リニアTIAの少なくとも1つの可変ゲインアンプVGAの出力を整流し、前記整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して、自動ゲイン制御電圧信号を生成することと、
前記自動ゲイン制御電圧信号を監視して、自動ゲイン制御電圧において傾きが検出されたか否かを判定することと、
前記自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されたことに応答して、前記傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号を送ることと、
LOSをデアサートする第2の指示信号および前記第1の傾きステータス信号に応答して、前記リニアTIAの前記出力バッファにスケルチ信号を送って、前記リニアTIAの前記出力電圧をスケルチし続けることと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記自動ゲイン制御電圧信号において傾きが検出されなかったことに応答して、前記傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号を送ることと、
LOSをデアサートする前記第2の指示信号および前記第2の傾きステータス信号に応答して、前記リニアTIAの前記出力バッファにアンスケルチ信号を送って、前記リニアTIAの前記出力電圧をアンスケルチすることと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
LOSをアサートする前記第1の指示信号およびLOSをアサートする前記第2の指示信号は、光受信機のフォトダイオードにおける受信信号強度インジケータ(RSSI)によって提供される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記自動ゲイン制御電圧信号は、前記自動ゲイン制御電圧において傾きが検出されたか否かを判定するために、傾き検出回路によって監視される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、一般に光受信機に関し、いくつかの非限定的な実施形態では、光受信機のリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)の入力において信号再開イベント(たとえば、信号断(loss of signal)の後)が発生した後にリニアTIAが整定(settle)したときを正確に検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の目的のために、光ファイバケーブルの物理インターフェースを考える。
図1Aに示すように、レーザドライバによって駆動されるレーザ送信機100から光ファイバ102を介してデータが送信される。光ファイバ102からの光信号130は、受信機104において、光検出器110とそれに続くリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)120との組み合わせを介して受信され、その出力は
図1Bに示すような電気差動データ140である。
【0003】
スモールフォームファクタプラガブル(SFP:small form-factor pluggable)モジュールなどのデータ通信受信機104では、1つの要件は、入力光信号断イベントが検出されたときに受信機104の出力をスケルチ(squelch)することである。信号断は、受信機のプラグを抜くこと、システムを再構成すること、または他の理由から生じ得る。たとえば、
図1Bは、光信号130の入力断132を示しており、また、TIA出力データ140のスケルチ142を示している。PAM4データの場合、TIAはその増幅がリニアである必要があり、リニアTIAと呼ばれる。入力光信号130が再開すると、受信機のTIA120は、入力光パワーレベルの変化に再適応する時間を必要とし、その時間中、TIA120は正しく動作しなくなる。TIA120は、適応がまだ進行中である間は、無効なデータを送出しないことが好ましい。そのため、有効なデータを送ることができるようになるまでTIA120からのデータ140の出力を停止したいという要望があり、正常に動作したらTIA120からできるだけ早く有効なデータ140を送り始めたいという要望がある。
【0004】
既存の解決策のいくつかは、光信号の再開時に直ちにTIAの出力データ140をオンにし、TIA120が有効な動作状態に再度整定するまで、
図1Bに示すように無効なデータD11を送る。他の解決策は、固定遅延を使用してTIAの出力をスケルチ142されたままにすることによって、そのような無効なデータD11を送らないようにする。TIAの整定時間は入力光信号レベルに依存するので、これらの固定遅延は、TIA120に必要な実際の整定時間よりも短いまたは長い場合がある。遅延が実際のTIA整定時間よりも短い場合、無効なデータD11が送られることになる。遅延がTIA整定時間よりも長い場合、光信号の再開までの応答時間が不必要に長くなる。既存の解決策は、TIA120のデータ140の出力を再開するタイミングを適切に計らないだけでなく、既存の技術は、所望のより短い整定時間を満たすために光入力信号再開イベント中に有効なデータ(140)を出力する時間を短縮するメカニズムを有していない。本出願の譲受人に譲渡された、その全体が引用により本明細書に組み込まれている、「Control of Trans-Impedance Amplifier (TIA) during Settling after Recovery from Loss of Signal in Receiver」と題された米国特許第11,381,318号は、無効なデータを送らないようにするために信号再開イベント後のTIAの整定を正確に検出するためのシステムおよび方法を開示しているが、この特許は、リニアTIAを利用する場合のそのようなシステムの特殊性を考慮していない。たとえば、リニアTIAへの入力信号が再開すると、リニアTIAの自動ゲイン制御(AGC:automatic gain control)ループは整定するのに時間がかかり、整定時間は入力ステップに比例する。リニアTIA制御ループが過渡ステップ入力に整定するまで、リニアTIAは有効なデータを送出することができない。現在のところ、無効なデータを送らないようにするために、リニアTIAのAGC帰還ループの整定の瞬間を正確に検知する方法はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の主題は、上述した問題のうちの1つまたは複数を克服するか、または少なくともその影響を低減することを対象とする。
【0006】
したがって、従来技術の欠点の一部または全てを克服するシステムを提供することが、本開示の主題の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非限定的な実施形態によれば、光信号用の光デバイスが提供される。光デバイスは、光信号を受け取るように構成されるフォトダイオードと、入力段と、出力段と、入力段および出力段の間に設けられた少なくとも1つの可変ゲインアンプ(VGA)とを有するリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)と、を備える。入力段はフォトダイオードに結合されており、出力段は入力段に結合されており、リニアTIA出力の出力を有効化および無効化するように制御可能である。光デバイスはまた、少なくとも1つのVGAの出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧を生成するように構成される自動ゲイン制御ループと、自動ゲイン制御電圧の変化率を検出するように構成され、フォトダイオードにおける光信号の不在を示す第1の状態を決定するように構成される検出回路と、を備える。少なくとも決定された第1の状態に応答して、検出回路は、リニアTIAの出力段を無効化するように構成される。
【0008】
検出回路は、フォトダイオードにおける光信号の存在を示す第2の状態を決定するように構成され得、少なくとも第1の状態の後に決定された第2の状態と、検出された変化率とに応答して、検出回路は、リニアTIAの出力段を無効化するように構成され得る。検出回路は、フォトダイオードに結合されており、フォトダイオードにおける光信号の第1および第2の状態を示すように構成される受信信号強度インジケータを備え得る。少なくとも第2の状態と、帰還アンプの帰還信号の変化率の不在とに応答して、検出回路は、リニアTIAの出力段を有効化するように構成され得る。検出回路は、第1の状態、第2の状態、変化率の存在、および変化率の不在の論理結合を処理するように構成され、処理された論理結合に基づいてリニアTIAの出力段に有効化および無効化信号を提供するデジタル論理回路を備え得る。
【0009】
自動ゲイン制御ループは、少なくとも1つのVGAの出力に接続された整流器と、閾値ゲイン設定を生成するように構成される閾値回路と、を備え得る。検出回路は、自動ゲイン制御電圧の変化率を検出するように構成される傾き検出回路を備え得る。1つの非限定的な実施形態では、傾き検出回路は、オペアンプと、オペアンプの出力を正の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第1の比較状態を提供するように構成される第1のコンパレータと、オペアンプの出力を負の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第2の比較状態を提供するように構成される第2のコンパレータと、第1および第2の比較状態を受け取り、自動ゲイン制御電圧の変化率を示す信号を出力するように構成されるOR論理ゲートと、を備える。光デバイスは、光受信機または光送受信機の少なくとも一部であり得る。
【0010】
非限定的な実施形態によれば、フォトダイオードと、入力段と、出力段と、入力段および出力段の間に設けられた少なくとも1つの可変ゲインアンプ(VGA)とを備えるリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)であって、リニアTIAはフォトダイオードに結合されている、リニアTIAと、少なくとも1つのVGAの出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧信号を生成するように構成される自動ゲイン制御ループと、自動ゲイン制御電圧信号を受け取るように構成され、自動ゲイン制御ループからの自動ゲイン制御電圧信号を監視するように構成される傾き検出回路であって、傾き検出回路は、自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されたことに応答して、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号を提供するように構成される、傾き検出回路と、傾き検出回路に結合されており、リニアTIAの出力段に結合されている論理回路と、を備える、光受信機が提供される。論理回路は、第1の傾きステータス信号に応答してリニアTIAの出力段をスケルチするように構成される。
【0011】
光受信機は、フォトダイオードにおける信号断(LOS:loss of signal)をアサートする第1の指示信号と、フォトダイオードにおけるLOSをデアサートする第2の指示信号とを提供するように構成される受信信号強度インジケータ(RSSI:received-signal-strength indicator)をさらに備え得る。論理回路は、信号断(LOS)をアサートする第1の指示信号に応答して、論理回路からリニアTIAの出力段にスケルチ信号を出力するように構成され得る。論理回路は、信号断(LOS)をデアサートする第2の指示信号と、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号とに応答して、論理回路からリニアTIAの出力段にスケルチ信号を出力するように構成され得る。傾き検出回路は、自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されなかったことに応答して、傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号を論理回路に提供するようにさらに構成され得る。論理回路は、信号断(LOS)をデアサートする第2の指示信号と、傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号とに応答して、論理回路からリニアTIAの出力段にスケルチデアサート信号を出力するように構成され得る。スケルチデアサート信号を受け取ったことに応答してリニアTIAの出力段がアクティブ化され得る。
【0012】
自動ゲイン制御ループは、少なくとも1つのVGAの出力に接続された整流器と、閾値ゲイン設定を生成するように構成される閾値回路と、を備え得る。傾き検出回路は、オペアンプと、オペアンプの出力を正の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第1の比較状態を提供するように構成される第1のコンパレータと、オペアンプの出力を負の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第2の比較状態を提供するように構成される第2のコンパレータと、第1および第2の比較状態を受け取り、自動ゲイン制御電圧の傾きを示す信号を出力するように構成されるOR論理ゲートと、を備え得る。
【0013】
非限定的な実施形態によれば、リニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)の出力を制御する方法が提供される。この方法は、信号断(LOS)をアサートする第1の指示信号に応答して、リニアTIAの出力バッファにスケルチ信号を送って、リニアTIAの出力電圧をスケルチすることと、リニアTIAの少なくとも1つの可変ゲインアンプVGAの出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して、自動ゲイン制御電圧信号を生成することと、自動ゲイン制御電圧信号を監視して、自動ゲイン制御電圧において傾きが検出されたか否かを判定することと、自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されたことに応答して、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号を送ることと、LOSをデアサートする第2の指示信号および第1の傾きステータス信号に応答して、リニアTIAの出力バッファにスケルチ信号を送って、リニアTIAの出力電圧をスケルチし続けることと、を含む。
【0014】
この方法は、自動ゲイン制御電圧信号において傾きが検出されなかったことに応答して、傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号を送ることと、LOSをデアサートする第2の指示信号および第2の傾きステータス信号に応答して、リニアTIAの出力バッファにアンスケルチ信号を送って、リニアTIAの出力電圧をアンスケルチすることと、をさらに含み得る。LOSをアサートする第1の指示信号およびLOSをアサートする第2の指示信号は、光受信機のフォトダイオードにおける受信信号強度インジケータ(RSSI)によって提供され得る。自動ゲイン制御電圧信号は、自動ゲイン制御電圧において傾きが検出されたか否かを判定するために、傾き検出回路によって監視され得る。
【0015】
さらなる実施形態を以下の番号付きの条項に記載する。
【0016】
条項1:光信号用の光デバイスであって、光信号を受け取るように構成されるフォトダイオードと、入力段と、出力段と、入力段および出力段の間に設けられた少なくとも1つの可変ゲインアンプ(VGA)とを有するリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)であって、入力段はフォトダイオードに結合されており、出力段は入力段に結合されており、リニアトランスインピーダンスアンプ出力の出力を有効化および無効化するように制御可能である、リニアトランスインピーダンスアンプと、少なくとも1つのVGAの出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧を生成するように構成される自動ゲイン制御ループと、自動ゲイン制御電圧の変化率を検出するように構成され、フォトダイオードにおける光信号の不在を示す第1の状態を決定するように構成される検出回路と、を備え、少なくとも決定された第1の状態に応答して、検出回路は、リニアトランスインピーダンスアンプの出力段を無効化するように構成される、光デバイス。
【0017】
条項2:検出回路は、フォトダイオードにおける光信号の存在を示す第2の状態を決定するように構成され、少なくとも第1の状態の後に決定された第2の状態と、検出された変化率とに応答して、検出回路は、リニアTIAの出力段を無効化するように構成される、条項1に記載の光デバイス。
【0018】
条項3:検出回路は、フォトダイオードに結合されており、フォトダイオードにおける光信号の第1および第2の状態を示すように構成される受信信号強度インジケータを含む、条項1または2に記載の光デバイス。
【0019】
条項4:少なくとも第2の状態と、帰還アンプの帰還信号の変化率の不在とに応答して、検出回路は、リニアTIAの出力段を有効化するように構成される、条項1または2に記載の光デバイス。
【0020】
条項5:検出回路は、第1の状態、第2の状態、変化率の存在、および変化率の不在の論理結合を処理するように構成され、処理された論理結合に基づいてリニアTIAの出力段に有効化および無効化信号を提供するデジタル論理回路を備える、条項4に記載の光デバイス。
【0021】
条項6:自動ゲイン制御ループは、少なくとも1つのVGAの出力に接続された整流器と、閾値ゲイン設定を生成するように構成される閾値回路と、を備える、条項1~5のいずれかに記載の光デバイス。
【0022】
条項7:検出回路は、自動ゲイン制御電圧の変化率を検出するように構成される傾き検出回路を備え、傾き検出回路は、オペアンプと、オペアンプの出力を正の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第1の比較状態を提供するように構成される第1のコンパレータと、オペアンプの出力を負の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第2の比較状態を提供するように構成される第2のコンパレータと、第1および第2の比較状態を受け取り、自動ゲイン制御電圧の変化率を示す信号を出力するように構成されるOR論理ゲートと、を備える、条項1~6のいずれかに記載の光デバイス。
【0023】
条項8:光デバイスは、光受信機または光送受信機の少なくとも一部である、条項1~7のいずれかに記載の光デバイス。
【0024】
条項9:フォトダイオードと、入力段と、出力段と、入力段および出力段の間に設けられた少なくとも1つの可変ゲインアンプ(VGA)とを備えるリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)であって、リニアTIAはフォトダイオードに結合されている、リニアTIAと、少なくとも1つのVGAの出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧信号を生成するように構成される自動ゲイン制御ループと、自動ゲイン制御電圧信号を受け取るように構成され、自動ゲイン制御ループからの自動ゲイン制御電圧信号を監視するように構成される傾き検出回路であって、傾き検出回路は、自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されたことに応答して、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号を提供するように構成される、傾き検出回路と、傾き検出回路に結合されており、リニアTIAの出力段に結合されている論理回路であって、論理回路は、第1の傾きステータス信号に応答してリニアTIAの出力段をスケルチするように構成される、論理回路と、を備える、光受信機。
【0025】
条項10:フォトダイオードにおける信号断(LOS)をアサートする第1の指示信号と、フォトダイオードにおけるLOSをデアサートする第2の指示信号とを提供するように構成される受信信号強度インジケータ(RSSI)をさらに備える、条項9に記載の光受信機。
【0026】
条項11:論理回路は、信号断(LOS)をアサートする第1の指示信号に応答して、論理回路からリニアTIAの出力段にスケルチ信号を出力するように構成される、条項9または10に記載の光受信機。
【0027】
条項12:論理回路は、信号断(LOS)をデアサートする第2の指示信号と、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号とに応答して、論理回路からリニアTIAの出力段にスケルチ信号を出力するように構成される、条項9~11のいずれかに記載の光受信機。
【0028】
条項13:傾き検出回路は、自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されなかったことに応答して、傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号を論理回路に提供するようにさらに構成される、条項9~11のいずれかに記載の光受信機。
【0029】
条項14:論理回路は、信号断(LOS)をデアサートする第2の指示信号と、傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号とに応答して、論理回路からリニアTIAの出力段にスケルチデアサート信号を出力するように構成され、スケルチデアサート信号を受け取ったことに応答してリニアTIAの出力段がアクティブ化される、条項13に記載の光受信機。
【0030】
条項15:自動ゲイン制御ループは、少なくとも1つのVGAの出力に接続された整流器と、閾値ゲイン設定を生成するように構成される閾値回路と、を備える、条項9~14のいずれかに記載の光受信機。
【0031】
条項16:傾き検出回路は、オペアンプと、オペアンプの出力を正の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第1の比較状態を提供するように構成される第1のコンパレータと、オペアンプの出力を負の自動ゲイン制御電圧と比較し、比較から第2の比較状態を提供するように構成される第2のコンパレータと、第1および第2の比較状態を受け取り、自動ゲイン制御電圧の傾きを示す信号を出力するように構成されるOR論理ゲートと、を備える、条項9~15のいずれかに記載の光受信機。
【0032】
条項17:リニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)の出力を制御する方法であって、信号断(LOS)をアサートする第1の指示信号に応答して、リニアTIAの出力バッファにスケルチ信号を送って、リニアTIAの出力電圧をスケルチすることと、リニアTIAの少なくとも1つの可変ゲインアンプVGAの出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して、自動ゲイン制御電圧信号を生成することと、自動ゲイン制御電圧信号を監視して、自動ゲイン制御電圧において傾きが検出されたか否かを判定することと、自動ゲイン制御電圧信号における傾きが検出されたことに応答して、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号を送ることと、LOSをデアサートする第2の指示信号および第1の傾きステータス信号に応答して、リニアTIAの出力バッファにスケルチ信号を送って、リニアTIAの出力電圧をスケルチし続けることと、を含む、方法。
【0033】
条項18:自動ゲイン制御電圧信号において傾きが検出されなかったことに応答して、傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号を送ることと、LOSをデアサートする第2の指示信号および第2の傾きステータス信号に応答して、リニアTIAの出力バッファにアンスケルチ信号を送って、リニアTIAの出力電圧をアンスケルチすることと、をさらに含む、条項17に記載の方法。
【0034】
条項19:LOSをアサートする第1の指示信号およびLOSをアサートする第2の指示信号は、光受信機のフォトダイオードにおける受信信号強度インジケータ(RSSI)によって提供される、条項17または18に記載の方法。
【0035】
条項20:自動ゲイン制御電圧信号は、自動ゲイン制御電圧において傾きが検出されたか否かを判定するために、傾き検出回路によって監視される、条項17~19のいずれかに記載の方法。
【0036】
本開示の主題のこれらおよび他の特徴および特性、構造の関係する要素の動作方法および機能、ならびに部品の組み合わせおよび製造の経済性は、添付の図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を検討すると、より明らかになると思われ、これらは全て本明細書の一部を構成し、本明細書では、同様の参照番号は様々な図における対応する部分を示す。しかしながら、図面は、例示および説明のみを目的としたものであり、本開示の主題の限界を定義することを意図したものではないということを明確に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲で使用するように、「a」、「an」および「the」といった単数形は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の参照対象を含む。
【0037】
本開示の主題のさらなる利点および詳細は、添付の図面に示した例示的な実施形態を参照して、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1Aは、光ファイバを介して受信機に光信号を伝達する送信機を有する従来の光通信システムを示す図である。
【0039】
図1Bは、受信機で受信された光信号と、信号断(LOS)状態からの回復に起因する受信機によって出力された無効な出力信号との比較を示す図である。
【0040】
【
図2】
図2は、本開示に従って動作するリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)の所望の出力の一例を示す図である。
【0041】
【
図3】
図3は、本開示によるリニアTIAを有する光受信機の簡略化したブロック図である。
【0042】
【
図4】
図4は、傾き検出回路の非限定的な実施形態およびデジタル論理回路の非限定的な実施形態を示す図である。
【0043】
【
図5】
図5は、LOSデアサートの時点からの固定遅延を使用してリニアTIAの出力を「オン」にすることを示す図である。
【0044】
【
図6】
図6は、非限定的な実施形態の傾き検出回路によって決定される動的遅延を使用してリニアTIAの出力を「オン」にすることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明の目的で、「端部」、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「鉛直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」という用語およびそれらの派生語は、図面において方向付けられるときに、本開示の主題に関連するものとする。しかしながら、本開示の主題は、そうでないことを明示している場合を除き、様々な代替的な変形例およびステップシーケンスを想定し得ることを理解されたい。また、添付の図面に示し、以下の明細書で説明する特定のデバイスおよびプロセスは、単に本開示の主題の例示的な実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示した実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、特に断りのない限り限定として解釈されるべきではない。
【0046】
本明細書で使用する態様、構成要素、要素、構造、作用、ステップ、機能、命令などは、重要または必須であると明示的に記載していない限り、そのように解釈すべきではない。また、本明細書で使用する場合、冠詞「a」および「an」は、1つまたは複数のものを含むものとし、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」と互換的に使用され得る。1つだけのものを意図する場合、「1つ」という用語または同様の文言を使用する。また、本明細書で使用する場合、「有する(has、have、having)」などの用語は、オープンエンドの用語であるものとする。また、「~に基づいて」という語句は、明示的にそうではないと述べていない限り、「~に少なくとも部分的に基づいて」を意味するものとする。
【0047】
いくつかの非限定的な実施形態を、閾値に関連して本明細書に記載する。本明細書で使用する場合、閾値を満たすとは、値が閾値より大きいこと、閾値より多いこと、閾値より高いこと、閾値以上であること、閾値より小さいこと、閾値より少ないこと、閾値より低いこと、閾値以下であること、閾値に等しいことなどを指し得る。
【0048】
本開示は、光受信機のリニアトランスインピーダンスアンプ(TIA)の入力において信号再開イベント(たとえば、信号断の後)が発生した後にリニアTIAが整定したときを正確に検出するための傾き検出回路を対象とする。リニアTIAの整定の正確な検知を使用して、TIAの制御ループが再適応して正しい動作状態に再び整定するまでリニアTIAの出力をスケルチすることによって、無効なデータを送らないようにする。
【0049】
図2を参照すると、本開示に従って動作するリニアTIAの所望の出力の一例が示されている。リニアTIAの出力のデータ200は、受信機で信号断が検出されるまで継続する。入力光信号断イベントが検出され、LOS指示がアサートされると、リニアTIAのデータの出力は、期間P21の間スケルチされる。時点202で、入力光信号が再開し、LOS指示はデアサートされるが、受信機(TIA)が適応または再適応するのに時間を要するので、TIAの出力のスケルチはまだデアサートされない。時点202の後には、TIAの自動ゲイン制御(AGC)ループ電圧信号の傾きが存在し、これは、以下でより詳細に説明する傾き検出回路によって検出することができる。それに応じて、受信機の出力は、リニアTIAが適応するまでの期間P22においてさらにスケルチされる。最終的に、期間P22の後に受信機のリニアTIAの適応または整定が完了する時点204において、リニアTIAのAGCループ電圧信号の傾きはなくなり、リニアTIAの出力のスケルチはデアサートされる。それに応じて、受信機の出力のデータ200は、無効なデータを含むことなく継続することができる。本明細書に開示する傾き検出回路を使用することにより、リニアTIAのAGCループの整定の瞬間を正確に検知して、ループが整定するまでの無効なデータを送らないようにすることができ、リニアTIA出力における有効なデータを速やかに利用することができる。1つの非限定的な構成では、入力信号が再開してからリニアTIAの出力のスケルチが終了するまでの期間P22は、過渡ステップ入力から80μs以内であり得る。
【0050】
本開示の傾き検出回路が受信機のリニアTIAの出力をどのように制御するよう意図しているかを理解した上で、議論は次に、受信機の回路および他の特徴、ならびに受信機のリニアTIAの出力を制御する方法に移る。具体的には、
図3は、本開示による光受信機310の簡略化したブロック図を示している。光受信機310は、フォトダイオード311と、受信信号強度インジケータ(RSSI)317と、リニアTIA312と、DCキャンセル帰還アンプ316と、傾き処理回路329と、出力バッファ315とを含む。
【0051】
一般に、以下で説明するように、光受信機310は、フォトダイオード311で光信号を受信し、リニアTIA312は、フォトダイオードからの変動する入力電流を電圧に変換して(増幅も行う)出力バッファ315から差動出力電圧680として出力する。1つの非限定的な実施形態では、リニアTIA312は、フォトダイオード311からの信号を増幅するように構成される低ノイズ入力段313と、それに続く可変ゲインアンプ(VGA)段314および出力バッファ315とを含む。
図3には単一のVGA段314のみを示しているが、用途に基づいて複数のVGA段が存在し得るので、これは本開示を限定するものと解釈されるべきではない。入力信号振幅に基づいて、VGA段314はそのゲインを増加または減少させて、TIA312の出力をリニアに保つようにする。VGA出力は、整流器318によって整流され、閾値回路320によって生成された閾値ゲイン設定と比較されて、VGAゲインを調整するための制御電圧(V
agc)が生成される。1つの非限定的な実施形態では、閾値回路320は、特定のVGAゲインを実現するための閾値電流を提供する。制御電圧(V
agc)はAGCループによって、整流器の電流出力が閾値電流と等しくなるように設定される。
【0052】
DCキャンセル帰還アンプ316は、負帰還を使用して変動する入力電流の、電流のDC成分を低減するために使用される。DCキャンセル帰還アンプ316は、VGA段314から差動出力656、658に接続されている。
【0053】
簡単に説明すると、フォトダイオード311は、受信信号強度インジケータ(RSSI)317に接続されたカソードを有し、リニアTIA312の入力段313に接続されたアノードを有する。フォトダイオード311は、入力光信号を受け取り、入力光信号を、電流が光パワーに比例する電気信号650に変換するように構成される。リニアTIA312の低ノイズ入力段313は、フォトダイオード311から電気信号650を受け取り、電気信号652をリニアTIA312のVGA段314に提供するように構成される。入力段313は、DCキャンセル帰還アンプ316からの帰還に接続されている。すなわち、帰還アンプからの帰還信号670は、VGA段314の出力におけるDCオフセットを処理するために、入力段313に接続されている。
【0054】
VGA段314はリニアTIA312の出力バッファ315に結合されており、ゲインアンプ314は出力バッファ315に差動出力656、658を提供する。転じて、出力バッファ315は、受信機310の差動出力電圧680を提供する。しかしながら、以下で説明する回路から出力バッファ315で受け取られる制御信号672(たとえば、スケルチ信号またはアンスケルチ信号)に応答して、出力バッファ315の差動出力電圧680をスケルチおよびアンスケルチすることができる。
【0055】
信号断に応答して出力バッファ315の差動出力電圧680をスケルチするために、リニアTIA312はLOSステータス600を使用する。信号の再開に応答して出力バッファ315の差動出力電圧680をアンスケルチするために、TIA312はLOSステータス600および傾き処理回路329を使用する。
【0056】
フォトダイオード311のカソード側において、受信信号強度インジケータ(RSSI)317は、受信信号強度を示し、RSSI317の出力端子を介して、入力光信号が失われたことに応答して信号断(LOS)を示すLOSステータス信号600を提供するように構成される。すなわち、入力光信号が失われたことに応答して、信号断(LOS)がアサートされる。それに応じて、出力段315は、以下に論じる方法でスイッチオフされる。
【0057】
入力光信号が再開すると、LOSはデアサートされる。すなわち、光信号が失われていない(すなわち、非LOSである、またはLOSがデアサートされている)ことを示すLOSステータス信号600が生成または提供される。それに応じて、リニアTIA312は、自動ゲイン制御(AGC)ループ331およびDCキャンセルループ333を使用して、そのような変化に適応または再適応する。AGCループ331は、VGA段314の出力を整流し、整流された出力を閾値ゲイン設定と比較して自動ゲイン制御電圧信号675を生成するように構成される。リニアTIA312は、適応または再適応するのに一定の整定時間を要する。整定時間の間、リニアTIA312からの出力データは無効である。
【0058】
再開と、出力バッファ315から有効なデータを送ることとを容易にするために、光受信機310(
図3)の回路は、傾き処理回路329を備える。ここでは概略的に示し、以下でより詳細に論じるように、傾き処理回路329は、傾き検出回路330およびデジタル論理回路350を含む。傾き処理回路329は、RSSI317からLOSステータス信号600を受け取り、自動ゲイン制御ループから自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675を受け取る。傾き検出回路330は、自動ゲイン制御ループ331からの自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675の受け取りおよび監視を行うように構成され得る。
【0059】
LOSステータス信号600が信号断(LOS)を示すことに応答して、傾き処理回路329は、スケルチ信号672を出力バッファ315に提供するまたは送ることによって、差動出力電圧680をスケルチする。たとえば、スケルチ信号672を使用して、出力バッファ315を無効化する。光信号が失われていないことをLOSステータス信号600が示す場合、以下でより詳細に論じるように、傾き処理回路329から出力バッファ315への制御信号672は、自動ゲイン制御ループ331からの自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675において傾きが検出されたか否かに応じて決定される。
【0060】
傾き検出回路330は、LOSステータス信号600によって示される入力光信号の再開後のリニアTIA312の整定を監視するように構成される。いくつかの例では、傾き処理回路329は、リニアTIA312が整定した後に、アンスケルチ信号672(たとえば、スケルチデアサート信号)を出力バッファ315に送ることによって、リニアTIAの出力バッファ315を「オン」に切り替える。すなわち、信号断後にリニアTIA312が整定したことに応答して、傾き処理回路329は、傾き処理回路329から出力バッファ315にアンスケルチ信号672(たとえば、スケルチデアサート信号)を送ることによって、リニアTIAの出力バッファ315を「オン」にする。特定の例では、傾き処理回路329は、スケルチ信号672を出力バッファ315に送ることによって、TIAの出力バッファ315を「オフ」にする(たとえば、スケルチする)。ここでは概略的にのみ示しているように、信号672は、出力バッファ315への電流源335に対するスイッチを操作することによって、出力バッファ315を有効化および無効化するものとして示している(
図4参照)。
【0061】
自動ゲイン制御ループ331が自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675において傾きを有する整定中モードにあることに応答して、傾き検出回路330からの出力はアサートされ、たとえば、高電圧レベルになる。自動ゲイン制御ループ331が整定したこと、たとえば、自動ゲイン制御ループ331の整定が完了したことに応答して、傾き検出回路330からの出力はデアサートされ、たとえば、低電圧レベルになる。したがって、傾き検出回路330の出力を使用して、リニアTIAの自動ゲイン制御ループ331の整定が完了するまで、リニアTIA312の出力をスケルチ信号672でスケルチしたままにしておくことによって、出力バッファ315の差動出力電圧680における無効なデータが防がれ得る。傾き検出回路330を使用して、リニアTIAの自動ゲイン制御ループ331の整定の瞬間をそのように正確に決定することにより、光受信機310から無効なデータが送られることを防ぐことができる。この傾き検出回路330のさらなる詳細については、
図4を参照して以下で論じる。
【0062】
リニアTIA312と共に使用される傾き処理回路329(傾き検出回路330およびデジタル論理回路350)を有する受信機310の回路を理解した上で、議論は傾き検出回路330のさらなる詳細に移る。
図4を参照すると、傾き処理回路329のための傾き検出回路330の一例およびデジタル論理回路350の一例のさらなる詳細が示されている。この構成では、傾き検出回路330およびデジタル論理回路350は、スケルチ/アンスケルチ信号672を出力するように構成される。
【0063】
傾き検出回路330は、自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675を受け取る入力端子を有し、傾きステータス信号671を出力する出力端子を有する。傾き検出回路330は、自動ゲイン制御ループ(331;
図3)からの自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675の受け取りおよび監視を行うように構成される。その信号675を処理して、傾き検出回路330は、受け取った自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675において傾きが存在するか否かを判定または検出するように構成される。受け取られた自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675における傾きは、信号が時間と共に変化しており、まだ整定していないことを示す。
【0064】
デジタル論理回路350は、LOSステータス信号600を受け取るための第1の入力端子を有し、傾き検出回路330から傾きステータス信号671を受け取るための第2の入力端子を有する。任意の適切なデジタル論理を含むことができるデジタル論理回路350は、スケルチ信号672を提供する。信号断(LOS)を示すLOSステータス信号600を受け取ったことに応答して、デジタル論理回路350は、スケルチ信号672を出力バッファ315に送るように構成される。出力バッファ315がスケルチ信号672を受け取ったことに応答して、出力バッファ315の出力が前述のようにスケルチされる。
【0065】
傾き検出回路330によって自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675において傾きが検出されたことに応答して、傾き検出回路330は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号671(たとえば、所定の電圧レベルを有するアサート信号)を提供または出力する。傾き検出回路330によって自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675において傾きが検出されなかったことに応答して、傾き検出回路330は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号671(たとえば、異なる所定の電圧レベルを有するデアサート信号)を提供または出力する。
【0066】
それに応じて、傾き検出回路330の出力は、傾きステータス信号671を受け取るように構成されるデジタル論理回路350に結合されており、傾きステータス信号671は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における傾きが自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675で検出されたことまたは検出されなかったことを示すことができる。
【0067】
いくつかの例では、デジタル論理回路350の第1の入力端子は、光信号がもはや失われていない(すなわち、失われた後に再開した)ことを示すLOSステータス信号600を受け取り、デジタル論理回路350は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号671を受け取ったことに応答して、なおもスケルチ信号672を出力バッファ315に送り、出力バッファ315は差動出力電圧680をスケルチされたままにする。
【0068】
他の例では、デジタル論理回路350の第1の入力端子は、光信号がもはや失われていない(すなわち、失われた後に再開した)ことを示すLOSステータス信号600を受け取り、デジタル論理回路350は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675において傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号671を受け取ったことに応答して、アンスケルチ(スケルチデアサート)信号672を出力バッファ315に送る。それに応じて、出力バッファ315の差動出力電圧680はアンスケルチされる。
【0069】
傾き検出回路330をより詳細に見ると、傾き検出回路330は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675を入力として受け取るように構成される。オペアンプ337は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675を増幅して出力電圧を生成する。たとえば、抵抗およびキャパシタの配置により、オペアンプ337の第2の入力端子と比較したオペアンプ337の第1の入力端子における電圧に時間遅延が生じる。それに応じて、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675において傾きが存在する場合、オペアンプ337の入力端子間の電圧差は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675の傾きに起因する異なる時点における電圧の差を表し、またはそれに対応し得る。
【0070】
オペアンプ337の出力端子は、トランジスタ339のベースに結合されている。トランジスタ339のエミッタは、ウィンドウコンパレータ343の第1のコンパレータ341および第2のコンパレータ342に結合されている。第1のコンパレータ341および第2のコンパレータ342は、出力がORゲート345に接続されており、そこから傾きステータス信号671が利用可能である。第1のコンパレータ341は、反転端子で自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675を受け取り、非反転端子でトランジスタ339のエミッタからの信号を受け取る。第1のコンパレータ341の出力端子は、(a)第1のコンパレータ341の非反転端子が第1のコンパレータ341の反転端子よりも高い電圧を有することに応答して高電圧レベルを出力し、(b)非反転端子の電圧が第1のコンパレータ341の反転端子の電圧以下であることに応答して低電圧レベルを出力するように構成される。
【0071】
それに関連して、第2のコンパレータ342は、非反転端子で自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675を受け取り、反転端子でトランジスタ339のエミッタからの信号を受け取る。第2のコンパレータ342の出力端子は、(a)第2のコンパレータ342の反転端子が第2のコンパレータ342の非反転端子よりも低い電圧を有することに応答して高電圧レベルを出力し、(b)反転端子の電圧が第2のコンパレータ342の非反転端子の電圧以上であることに応答して低電圧レベルを出力するように構成される。
【0072】
コンパレータ341、342からの出力を使用して、ORゲート345は、第1のコンパレータ341または第2のコンパレータ342が高電圧レベルを有することに応答して高電圧レベルを出力するように構成され、ORゲート345は、両方のコンパレータ341、342が低電圧レベルを提供したことに応答して、低電圧レベルを出力するように構成される。ORゲートは、その入力の両方が高電圧レベルを受け取ったことに応答して高電圧レベルを出力することができるが、
図4のコンパレータ341、342は、両方が同時に高電圧レベルを出力するわけではない。すなわち、コンパレータ341が高電圧レベルを出力する場合、コンパレータ342は低電圧レベルしか出力することができず、コンパレータ341が高電圧レベルを出力する場合、コンパレータ342は低電圧レベルしか出力することができない。
【0073】
第1のコンパレータ341は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675の変化に関する正の傾きを検出し、第2のコンパレータ342は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675の変化に関する負の傾きを検出する。特定の例では、傾き検出回路330の入力端子で受け取られた自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における正の傾きに応答して、第1のコンパレータ341の出力が高電圧レベルになり、ORゲート345の出力が、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号671として、高電圧レベルになる。このように、傾き検出回路330は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における正の傾きを検出し、傾きが検出されたことを示すための高電圧レベルの第1の傾きステータス信号671を出力することができる。
【0074】
別の例では、傾き検出回路330で受け取られた自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における負の傾きに応答して、第2のコンパレータ342の出力が高電圧レベルになり、ORゲート345の出力が、傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号671として、高電圧レベルになる。このように、傾き検出回路330は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675の変化における負の傾きを検出し、傾きが検出されたことを示すための高電圧レベルの第1の傾きステータス信号671を出力することができる。
【0075】
他の例では、傾き検出回路330の入力で受け取られた自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における傾きがないことに応答して、第1のコンパレータ341の出力が低電圧レベルになり、第2のコンパレータ342の出力が低電圧レベルになる。このため、ORゲート345の出力は、傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号671として低電圧レベルになる。このように、傾き検出回路330は、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675に傾きがないと判定することができ、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675に傾きがないことを示すための低電圧レベルの第2の傾きステータス信号671を出力することができる。
【0076】
図3を参照して先で論じたように、傾き検出回路330およびデジタル論理回路350は、リニアTIA312に結合され得る。他の例では、傾き検出回路330およびデジタル論理回路350は、リニアTIA312に統合され得、またはリニアTIA312の一部と見なされ得る。たとえば、リニアTIA312の集積回路は、傾き検出回路330およびデジタル論理回路350の構成要素を含むことができる。
【0077】
本開示の教示をさらに示すために、入力光ステップに応答したリニアTIAの出力のアンスケルチの測定結果の概略例を
図5および
図6に示す。
図5は、従来技術による固定遅延を使用したアンスケルチ動作の出力をグラフ化したものであり、
図6は、本開示の傾き検出回路を使用したアンスケルチ動作の出力をグラフ化したものである。
【0078】
図5を参照すると、曲線501は、異なる時点におけるTIA入力電圧を示している。TIA入力電圧501は測定することができ、フォトダイオード311からの電気信号650と等価である。曲線502は、異なる時点における自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675を示している。リニアTIAの自動ゲイン制御ループ331の整定は、曲線502における傾きから解釈することができる。曲線503は、異なる時点におけるLOSステータスを示している。曲線503のLOSステータスは、時点T53においてLOSアサートステータスからLOSデアサートステータスに切り替わる。
【0079】
曲線504は、LOSアサートステータスの後に固定遅延により時点T53でデアサートする、出力バッファ315に送られる従来のスケルチ信号672を示しており、曲線505は、出力バッファ315からのリニアTIA312の出力を示している。
図5の曲線504および505は、LOSステータス曲線503がLOSアサートステータスからLOSデアサートステータスに切り替わる時点T51からの固定遅延D51を使用して、時点T53においてリニアTIAの出力を「オン」にすることを示している。リニアTIAの自動ゲイン制御ループ331の整定は、曲線502における自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675の整定から解釈することができる。時点T51およびT52の間で、曲線502におけるT51およびT52の間の傾きによって示されるように、リニアTIA(たとえば、リニアTIAの自動ゲイン制御ループ)が再適応する。時点T52から、リニアTIAの自動ゲイン制御ループが整定している。すなわち、時点T52から、リニアTIAは有効な動作状態になる。しかしながら、
図5において、曲線505に示すリニアTIAの出力は、曲線502に基づいて解釈できるように、リニアTIAの自動ゲイン制御ループがT52から整定した後でも、時点T52およびT53の間でスケルチされたままである。したがって、この固定遅延D51は、リニアTIAが、既に有効なデータを生成している後に、データの出力を再開しないので、望ましくない動作をもたらす。図には示していないが、固定遅延D51では、同様に、リニアTIAの自動ゲイン制御ループが整定する前にリニアTIAがデータの出力を時期尚早に再開することになり得、その結果、リニアTIAが無効なデータを出力することになる。
【0080】
対照的に、
図6では、TIAの出力は、本開示による傾き検出回路によって決定される動的時間スパン(T61およびT62の間)を使用して「オン」にされる。
図6を参照すると、曲線601は、異なる時点におけるTIA入力電圧を示している。TIA入力電圧601は測定することができ、フォトダイオード311からの電気信号650と等価である。曲線602は、異なる時点における自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675を示している。リニアTIAの自動ゲイン制御ループ331の整定は、曲線602における傾きから解釈することができる。曲線604は、異なる時点におけるLOSステータスを示している。曲線603のLOSステータスは、時点T61においてLOSアサートステータスからLOSデアサートステータスに切り替わる。
【0081】
曲線604は、傾き処理回路329から出力バッファ315へのスケルチ信号672を示しており、曲線605は、出力バッファ315からのリニアTIA312の出力を示している。曲線606は、時間の経過に伴う傾きステータス信号671を示す。傾き検出回路330によって自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675において傾きが検出されたことに応答して、傾き検出回路330は、時刻T61において、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における傾きが検出されたことを示す第1の傾きステータス信号671(たとえば、所定の電圧レベルを有するアサート信号)を提供または出力する。傾き検出回路330によって自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675において傾きが検出されなかったことに応答して、傾き検出回路330は、時刻T62において、自動ゲイン制御電圧信号(Vagc)675における傾きが検出されなかったことを示す第2の傾きステータス信号671(たとえば、異なる所定の電圧レベルを有するデアサート信号)を提供または出力する。
【0082】
図6の曲線604および605は、
図3の回路330などの傾き検出回路によって決定される動的遅延を使用して、時点T62においてリニアTIAの出力を「オン」にすることを示している。リニアTIAの自動ゲイン制御ループ331の整定は、曲線602における自動ゲイン制御電圧信号(V
agc)675の整定から解釈することができる。時点T61およびT62の間で、曲線602におけるT61およびT62の間の傾きによって示されるように、リニアTIA(たとえば、リニアTIAの自動ゲイン制御ループ)が再適応する。時点T62から、リニアTIAの自動ゲイン制御ループが整定している。すなわち、時点T62から、リニアTIAは、有効なまたは通常の動作モードに入るまたは切り替わる。リニアTIAが通常動作モードに入ったことに応答して、曲線605に示すTIAの出力は、傾き検出回路の使用により、速やかに「オン」に切り替わる。それに応じて、リニアTIAが入力光信号再開への適応を完了し、通常動作モードに入るとすぐに(時点T62)、リニアTIAの出力が「オン」にされる(時点T62)。
【0083】
現状で最も実用的かつ好適な実施形態と考えられるものに基づいて、本開示の主題を例示の目的で詳細に説明したが、そのような詳細は例示を目的としたものに過ぎず、本開示の主題は、開示した実施形態に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に収まる変形および均等な構成を包含することを意図したものであることを理解されたい。たとえば、本開示の主題は、可能な限りにおいて、任意の実施形態の1つまたは複数の特徴を他の任意の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができるということを想定していることを理解されたい。
【符号の説明】
【0084】
100 レーザ送信機
102 光ファイバ
104 受信機
110 光検出器
120 リニアトランスインピーダンスアンプ、TIA、リニアTIA
130 光信号
132 入力断
140 TIA出力データ
142 スケルチ
200 データ
202 時点
204 時点
310 光受信機
311 フォトダイオード
312 リニアTIA
313 低ノイズ入力段
314 可変ゲインアンプ(VGA)段
315 出力バッファ
316 DCキャンセル帰還アンプ
317 受信信号強度インジケータ(RSSI)
318 整流器
320 閾値回路
329 傾き処理回路
330 傾き検出回路、傾き検出器
331 自動ゲイン制御ループ、AGCループ
333 DCキャンセルループ
335 電流源
337 オペアンプ
339 トランジスタ
341 第1のコンパレータ
342 第2のコンパレータ
343 ウィンドウコンパレータ
345 ORゲート
350 デジタル論理回路
600 LOSステータス信号
650 電気信号
652 電気信号
656 差動出力
658 差動出力
670 帰還信号
671 傾きステータス信号
672 制御信号、スケルチ信号、アンスケルチ信号
675 自動ゲイン制御電圧信号
680 差動出力電圧
D11 無効なデータ
P21 期間
P22 期間
【外国語明細書】