(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018903
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】固定具
(51)【国際特許分類】
F16B 7/04 20060101AFI20250130BHJP
F16B 1/00 20060101ALI20250130BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20250130BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20250130BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F16B7/04 301H
F16B1/00 A
F16B7/18 Z
F16B7/18 A
F16B7/18 E
F16B7/04 301M
F16B7/04 301G
E04B9/18 F
E04B1/58 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043598
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2023120512
(32)【優先日】2023-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591020685
【氏名又は名称】株式会社能重製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】八百板 潤
(72)【発明者】
【氏名】前川 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】能重 彰彦
【テーマコード(参考)】
2E125
3J039
【Fターム(参考)】
2E125AA33
2E125AA59
2E125AB05
2E125AB13
2E125AC15
2E125AC18
2E125AG03
2E125AG12
2E125AG41
2E125BB09
2E125BB13
2E125BD01
2E125BE02
2E125BE06
2E125BF03
2E125CA01
3J039AA01
3J039AA04
3J039AA06
3J039BB01
3J039BB04
3J039CA01
3J039GA04
(57)【要約】
【課題】第1の棒状部材を容易に固定するとともに、固定部材を第1の棒状部材に強固に固定する。
【解決手段】固定具は、第1の棒状部材(12)に固定される固定部材(21)と、固定部材(21)に対し回動可能に取り付けられる可動部材(22)とを備え、固定部材(21)は、板部(24)と、第1のフランジ部(25)と、第2のフランジ部(26)と、棒状部材挿通部(27)とを備え、棒状部材挿通部(27)は、開口部(30)と、第1のフランジ部(25)に設けられる第1の係合部(31)と、第2のフランジ部(26)に設けられる第2の係合部(32)とを備え、可動部材(22)は、回動軸(23)で回動して開口部(30)を開閉可能で、可動部材(22)が開口部(30)を覆う状態では、第1の棒状部材(12)は、第1の係合部(31)及び第2の係合部(32)と可動部材(22)との間に挟持される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の棒状部材に第2の棒状部材を固定する固定具であって、
前記第1の棒状部材に固定される固定部材と、前記固定部材に対し回動可能に取り付けられ、前記第2の棒状部材が固定される可動部材とを備え、
前記固定部材は、前記第1の棒状部材の軸方向に延びる板部と、前記板部の一端部から延出する第1のフランジ部と、前記板部の他端部から延出する第2のフランジ部と、前記第1の棒状部材が挿通される棒状部材挿通部とを備え、
前記棒状部材挿通部は、前記棒状部材挿通部に配置された前記第1の棒状部材を前記板部の面方向に露出させる開口部と、前記第1のフランジ部に設けられて前記第1の棒状部材に係合する第1の係合部と、前記第2のフランジ部に設けられて前記第1の棒状部材に係合する第2の係合部とを備え、
前記可動部材は、前記板部に設けられた回動軸を中心に回動して前記開口部を開閉可能であり、
前記可動部材が前記開口部を覆う状態では、前記第1の棒状部材は、前記第1の係合部及び前記第2の係合部と前記可動部材との間に挟持される固定具。
【請求項2】
前記第1の棒状部材はボルトであり、
前記第1の係合部及び前記第2の係合部は、前記第1の棒状部材の外周に沿う円弧形状の凹部であり、
前記第1の係合部と前記第2の係合部との距離は、前記第1の棒状部材のねじ部のピッチの整数倍である請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記板部の板面に直交する方向に見た場合に、前記第1のフランジ部及び前記第2のフランジ部は、前記第1の棒状部材の軸線に対して直交する直交線に対し傾斜角を有して配置され、
前記傾斜角は、前記ねじ部のリード角に合わせて設定される請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
前記第1の係合部及び前記第2の係合部は、その円弧形状における一端及び他端をそれぞれ備え、
前記一端は、前記第1の棒状部材の軸方向において前記ねじ部に当接する一端側当接面を備え、
前記他端は、前記第1の棒状部材の軸方向において前記一端側当接面とは反対側で前記ねじ部に当接する他端側当接面を備え、
前記傾斜角は、前記一端側当接面及び前記他端側当接面の両方が同時に前記ねじ部に当接する角度に設定される請求項3に記載の固定具。
【請求項5】
前記第1のフランジ部における前記板部とは反対側の端部から前記第2のフランジ部側に延出する第1のリブ、及び、前記第2のフランジ部における前記板部とは反対側の端部から前記第1のフランジ部側に延出する第2のリブの少なくともいずれかが設けられる請求項1から4のいずれかに記載の固定具。
【請求項6】
前記固定部材は、前記開口部の端縁から前記第1の棒状部材の外周に沿って前記棒状部材挿通部の内側に延びる内壁部を備える請求項1から4のいずれかに記載の固定具。
【請求項7】
前記可動部材は、前記固定部材に当接した状態で回動する当接部と、前記当接部に対し前記固定部材の外側に延出して前記第2の棒状部材が取り付けられる取付部とを備え、
前記当接部において前記取付部とは反対側の端部には、前記当接部が長手方向に小さくなるように切り欠かれた切り欠き部が設けられる請求項1から4のいずれかに記載の固定具。
【請求項8】
棒状部材に固定される固定具であって、
前記棒状部材に係合する固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記固定部材との間で前記棒状部材を挟持するカバー部材とを備え、
前記固定部材は、前記棒状部材の軸方向に延びる板部と、前記板部から延出する第1のフランジ部と、前記第1のフランジ部に対し前記棒状部材の軸方向に離れた位置で前記板部から延出する第2のフランジ部と、前記棒状部材が挿通される棒状部材挿通部とを備え、
前記棒状部材挿通部は、前記棒状部材に沿って前記板部を切り欠いた開口部と、前記第1のフランジ部を前記板部側から凹状に切り欠いた第1受け部と、前記第2のフランジ部を前記板部側から凹状に切り欠いた第2受け部とを備え、
前記開口部の縁部には、前記棒状部材を径方向の両外側から挟む雌ねじ部が形成され、
前記固定部材と前記カバー部材との間に挟持された前記棒状部材は、前記第1受け部及び前記第2受け部に当接するとともに、前記棒状部材の外周のねじ部が前記雌ねじ部に係合している固定具。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記棒状部材の外周面及び前記板部に当接する当接面を備え、前記板部は、前記当接面を受けるカバー受け面を備え、
前記カバー受け面からの前記第1受け部及び前記第2受け部の深さは、前記棒状部材の直径と同等に設定され、
前記雌ねじ部は、前記カバー受け面から前記第1受け部及び前記第2受け部の深さ方向に離間した位置に設けられる請求項8に記載の固定具。
【請求項10】
前記深さ方向において、前記雌ねじ部の位置と前記棒状部材の軸線の位置とが重複する請求項9に記載の固定具。
【請求項11】
前記固定部材は、前記カバー受け面を備える外側固定部材と、前記雌ねじ部を備える内側固定部材とを備え、
前記内側固定部材は、前記カバー受け面に設けられた外側開口部から前記雌ねじ部が露出するように前記外側固定部材に取り付けられている請求項9に記載の固定具。
【請求項12】
前記カバー部材は、前記板部に設けられた回動軸を中心に回動して前記開口部を開閉可能であり、
前記カバー部材が前記開口部を覆う状態では、前記棒状部材は、前記第1受け部及び前記第2受け部と前記カバー部材との間に挟持される請求項9に記載の固定具。
【請求項13】
前記カバー部材は、棒状のブレース材が接続される取付部を備える請求項12に記載の固定具。
【請求項14】
前記板部に設けられた第2の回動軸を中心に回動可能な支持部材が設けられ、
前記第2の回動軸は、前記開口部を挟んで前記回動軸とは反対側に設けられ、
前記支持部材に棒状の第2のブレース材が接続される請求項13に記載の固定具。
【請求項15】
前記固定部材は、前記カバー受け面から前記カバー部材側に突出する突出部を、前記開口部を挟んで前記回動軸とは反対側に備え、
前記カバー部材が前記開口部を覆う状態では、前記カバー部材は前記突出部に係合して回転を規制される請求項12に記載の固定具。
【請求項16】
前記カバー部材は、前記突出部に上方から係合する係合部を備え、
前記棒状部材は前記カバー部材の下方で天井部材を吊り下げ支持し、
前記天井部材と前記カバー部材とを接続する落下防止ワイヤーが設けられ、
前記カバー部材が前記落下防止ワイヤーを介して前記天井部材によって下方に引っ張られると、前記突出部が前記係合部を下方から受けて前記カバー部材の回転が規制される請求項15に記載の固定具。
【請求項17】
前記第1受け部及び前記第2受け部の少なくとも何れかによって形成される開口から前記棒状部材を前記棒状部材挿通部に挿入し、前記ねじ部を前記雌ねじ部に螺合可能である請求項8から11のいずれかに記載の固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の棒状部材に第2の棒状部材を固定する固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
吊りボルト(第1の棒状部材)にブレース材(第2の棒状部材)を固定する固定具であって、吊りボルトに固定される固定部材と、この固定部材に対し回動可能に取り付けられ、第2の棒状部材が固定される可動部材とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の構造では、板状の固定部材の側面に設けた係合部と可動部材との間に吊りボルトを挟持するため、固定部材を吊りボルトに容易に固定できる。また、可動部材は、固定部材の側面に設けられた回動軸を中心に回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の固定具では、係合部が設けられる固定部材が板状であり、固定部材の剛性が低くなり易く、外力によって固定部材が変形することが考えられる。特に、上記回動軸を中心に固定部材の面方向に曲げ力が作用すると、固定部材が変形し易い。固定部材の板厚を大きくすれば剛性を向上できるが、重量が増加する。
【0005】
このような点に鑑み、本発明は、固定部材と可動部材とで第1の棒状部材を挟持して第1の棒状部材を容易に固定するとともに、固定部材の変形を抑制し、固定部材を第1の棒状部材に強固に固定できる固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の棒状部材に第2の棒状部材を固定する固定具であって、前記第1の棒状部材に固定される固定部材と、前記固定部材に対し回動可能に取り付けられ、前記第2の棒状部材が固定される可動部材とを備え、前記固定部材は、前記第1の棒状部材の軸方向に延びる板部と、前記板部の一端部から延出する第1のフランジ部と、前記板部の他端部から延出する第2のフランジ部と、前記第1の棒状部材が挿通される棒状部材挿通部とを備え、前記棒状部材挿通部は、前記棒状部材挿通部に配置された前記第1の棒状部材を前記板部の面方向に露出させる開口部と、前記第1のフランジ部に設けられて前記第1の棒状部材に係合する第1の係合部と、前記第2のフランジ部に設けられて前記第1の棒状部材に係合する第2の係合部とを備え、前記可動部材は、前記板部に設けられた回動軸を中心に回動して前記開口部を開閉可能であり、前記可動部材が前記開口部を覆う状態では、前記第1の棒状部材は、前記第1の係合部及び前記第2の係合部と前記可動部材との間に挟持される固定具である。
【0007】
また、本発明は、棒状部材に固定される固定具であって、前記棒状部材に係合する固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記固定部材との間で前記棒状部材を挟持するカバー部材とを備え、前記固定部材は、前記棒状部材の軸方向に延びる板部と、前記板部から延出する第1のフランジ部と、前記第1のフランジ部に対し前記棒状部材の軸方向に離れた位置で前記板部から延出する第2のフランジ部と、前記棒状部材が挿通される棒状部材挿通部とを備え、前記棒状部材挿通部は、前記棒状部材に沿って前記板部を切り欠いた開口部と、前記第1のフランジ部を前記板部側から凹状に切り欠いた第1受け部と、前記第2のフランジ部を前記板部側から凹状に切り欠いた第2受け部とを備え、前記開口部の縁部には、前記棒状部材を径方向の両外側から挟む雌ねじ部が形成され、前記固定部材と前記カバー部材との間に挟持された前記棒状部材は、前記第1受け部及び前記第2受け部に当接するとともに、前記棒状部材の外周のねじ部が前記雌ねじ部に係合している固定具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の固定具によれば、固定部材と可動部材とで第1の棒状部材を挟持して第1の棒状部材を容易に固定するとともに、固定部材の変形を抑制し、固定部材を第1の棒状部材に強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る固定具が用いられた天井の構造を示す側面図である。
【
図2】吊りボルトに固定具が固定された状態を示す斜視図である。
【
図5】第1のフランジ部とねじ部との係合状態を示す図である。
【
図6】吊りボルトに対する可動部材の取付角度を示す図である。
【
図7】第2の実施の形態において第2の固定具が用いられた天井の構造を示す側面図である。
【
図10】第3の実施の形態において第3の固定具が用いられた天井の構造を示す側面図である。
【
図13A】第4の実施の形態において固定部材を示す斜視図である。
【
図13B】第4の実施の形態の変形例1を示す図である。
【
図13C】第4の実施の形態の変形例2を示す図である。
【
図14】第5の実施の形態において固定部材を示す斜視図である。
【
図15】第6の実施の形態に係る固定具を示す正面図である。
【
図17】吊りボルトに固定された状態の固定具を示す正面図である。
【
図18】吊りボルトに固定された状態の固定具を示す背面図である。
【
図19】吊りボルトに固定された状態の固定具を上方から見た平面図である。
【
図20】吊りボルトに固定された状態の固定具を側方から見た側面図である。
【
図21】第7の実施の形態に係る固定具を示す正面図である。
【
図23】吊りボルトに固定された状態の固定具を示す正面図である。
【
図24】吊りボルトに固定された状態の固定具を示す背面図である。
【
図25】吊りボルトに固定された状態の固定具を上方から見た平面図である。
【
図26】吊りボルトに固定された状態の固定具を側方から見た側面図である。
【
図27】第8の実施の形態に係る固定具を示す正面図である。
【
図28】第9の実施の形態に係る固定具が用いられた天井の構造を示す正面図である。
【
図30】吊りボルトに固定された状態の固定具を示す正面図である。
【
図31】吊りボルトに固定された状態の固定具を示す斜視図である。
【
図32】第10の実施の形態に係る固定具が用いられた天井の構造を示す正面図である
【
図35】第11の実施の形態に係る固定具が用いられた天井の構造を側方から見た図である。
【
図37】第12の実施の形態において、吊りボルトに固定された状態の固定具を示す正面図である。
【
図39】吊りボルトに固定された状態の固定具を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明に従う固定具の実施形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る固定具10が用いられた天井の構造を示す側面図である。
天井スラブ11には、吊りボルト12(第1の棒状部材)が設けられる。吊りボルト12は、所定間隔をあけて複数設けられる。吊りボルト12は、天井スラブ11の下面から下方へ鉛直に延出する棒状である。
【0011】
水平方向に延びる棒状の野縁受け13は、吊りボルト12の下端部に設けられるハンガー14によって支持される。
図1において、一対の吊りボルト12は、ハンガー14を介し、野縁受け13によって左右方向(水平方向)に接続されている。
なお、本明細書等において上下方向は、吊りボルト12の軸方向に一致する。
野縁受け13の下面には、水平方向に延びる棒状の野縁(不図示)が設けられる。石膏ボード等によって構成される天井板(不図示)は、上記野縁の下面に取り付けられ、吊りボルト12の軸方向に直交する。
【0012】
天井の強度を向上させるために、吊りボルト12は、棒状のブレース材15(第2の棒状部材)によって野縁受け13に接続される。
ブレース材15は、吊りボルト12の上端部から斜め下方に延び、隣接する他の吊りボルト12の近傍で野縁受け13に接続される。
ブレース材15の上端部は、固定具10によって吊りボルト12の上端部に固定される。すなわち、固定具10は、吊りボルト12にブレース材15を固定する。
【0013】
図2は、吊りボルト12に固定具10が固定された状態を示す斜視図である。
図3は、固定具10を示す斜視図である。
図2及び
図3を参照し、固定具10は、吊りボルト12に固定される固定部材21と、固定部材21に対し回動可能に取り付けられる可動部材22と、可動部材22を回動自在に固定部材21に支持する回動軸23とを備える。
【0014】
図4Aは、固定部材21を上方側から見た平面図である。
図4Bは、固定部材21の正面図である。
図2~
図4Bを参照し、固定部材21は、吊りボルト12と平行に吊りボルト12の軸方向に延びる板部24と、板部24の一端部(上端部)から延出する第1のフランジ部25と、板部24の他端部(下端部)から延出する第2のフランジ部26と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部27とを備える。
【0015】
板部24は、吊りボルト12の軸線12aに直交する正面視(
図4B参照)では、略矩形の平板である。
板部24は、可動部材22が当接する外側面24a(板部の板面)を備える。可動部材22は、外側面24a上で回動する。
板部24には、回動軸23が挿入される回動軸固定孔24bが設けられる。
【0016】
第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26は、板部24に対し略直角の向きで、外側面24a側とは反対方向に延出する。
回動軸23は、回動軸固定孔24bに固定される。回動軸23は、外側面24aから、第1のフランジ部25の延出方向に対し反対方向に延出する。
【0017】
棒状部材挿通部27は、棒状部材挿通部27に配置された吊りボルト12を板部24の面方向に露出させる開口部30と、第1のフランジ部25に設けられる第1の係合部31と、第2のフランジ部26に設けられる第2の係合部32とを備える。
【0018】
開口部30は、吊りボルト12に沿って板部24の上端から下端まで連続する縦長の開口である。開口部30は、固定部材21の幅方向(左右方向)において、中央部に対し一方側にオフセットして配置される。
ここで、本明細書等において、固定部材21の幅方向に一致する左右方向は、軸線12a及び回動軸23の軸方向に直交する方向であり、固定部材21の奥行き方向は、回動軸23の軸方向である。
【0019】
第1の係合部31は、吊りボルト12の外周に沿うように第1のフランジ部25を切り欠いた凹部である。第1の係合部31は、吊りボルト12の外周に沿う略半円の円弧形状に形成される。第1の係合部31は、開口部30の上端に連通している。
【0020】
第2の係合部32は、吊りボルト12の外周に沿うように第2のフランジ部26を切り欠いた凹部である。第2の係合部32は、吊りボルト12の外周に沿う略半円の円弧形状に形成される。第2の係合部32は、開口部30の下端に連通している。
【0021】
第1のフランジ部25と第2のフランジ部26とは互いに対面するとともに、互いに平行に配置される。また、板部24に対する第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26の延出長さは同じである。すなわち、第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26の長さは、固定部材21の奥行き方向において同じである。
なお、第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26の上記延出長さは、必要に応じて変更することができ、例えば、
図3の状態に対して長く形成されても良い。
【0022】
図4Bを参照し、板部24の外側面24aに直交する方向に見た場合に、第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26は、吊りボルト12の軸線12aに対して直交する直交線Rに対し傾斜角θを有して配置される。すなわち、第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26は、水平方向に対して傾斜角θだけ傾斜している。
【0023】
第1のフランジ部25に設けられる第1の係合部31は、第1のフランジ部25と平行であり、直交線Rに対し傾斜角θを有して配置される。
第2のフランジ部26に設けられる第2の係合部32は、第2のフランジ部26と平行であり、直交線Rに対し傾斜角θを有して配置される。
【0024】
図5は、第1のフランジ部25とねじ部12bとの係合状態を示す図である。
図4B及び
図5を参照し、第1の係合部31と第2の係合部32との距離Dは、吊りボルト12のねじ部12bのピッチP(
図5参照)の整数倍である。このため、第1の係合部31及び第2の係合部32の両方を、適切にねじ部12bに係合させることができる。
ここで、距離Dは、軸線12aの軸方向における第1の係合部31と第2の係合部32との距離である。
【0025】
図4A~
図5を参照し、第1の係合部31は、第1のフランジ部25を板部24側から略180°の範囲で半円状に切り欠くようにして設けられる。第1の係合部31の形状は、吊りボルト12のねじ部12bに螺合可能な円形の雌ねじ部を、半円状に切り欠いた形状に対応する。第1の係合部31は、一般的な三角ねじと同様に、先端側に向かうに従って先細るように形成される。第1の係合部31の厚さは、第1のフランジ部25の板厚よりも小さい。
【0026】
第1の係合部31は、吊りボルト12の軸方向に見た場合に、円弧形状における一端33と、一端33から周方向に180°離れた他端34とを備える。
一端33は、吊りボルト12の軸方向においてねじ部12bに当接する一端側当接面33aを備える。一端側当接面33aは、一端33の上面に位置する。
他端34は、吊りボルト12の軸方向においてねじ部12bに当接する他端側当接面34aを備える。他端側当接面34aは、他端34の下面に位置する。他端34は、吊りボルト12の軸方向において一端側当接面33aとは反対側でねじ部12bに当接する。
【0027】
吊りボルト12のねじ部12bは、リード角Lを備える。リード角Lは、直交線Rに対するねじ部12bの角度である。傾斜角θは、直交線Rに対しリード角Lよりも僅かに大きく傾斜して設定される。
【0028】
第1の係合部31がねじ部12bに螺合可能なように、第1の係合部31の厚さは、ねじ部12bのねじ山の溝幅よりも小さい。このため、第1の係合部31とねじ部12bのねじ山の溝との間には、吊りボルト12の軸方向に隙間が存在する。
本実施の形態では、傾斜角θは、一端側当接面33a及び他端側当接面34aの両方が同時にねじ部12bに当接するように、リード角Lよりも大きい角度に設定される。
このため、第1の係合部31は、周方向において一端側当接面33aから他端側当接面34aまでの広い範囲でねじ部12bに強固に係合することができる。
【0029】
第2の係合部32の形状は、第1の係合部31の形状と同一である。すなわち、
図4Bに示すように、第2の係合部32は、一端33、他端34、一端側当接面33a、及び他端側当接面34aを備え、第1の係合部31と同様に、一端側当接面33a及び他端側当接面34aの両方が同時にねじ部12bに当接する。第2の係合部32の厚さは、第2のフランジ部26の板厚よりも小さい。
【0030】
図2~
図4Bを参照し、固定部材21は、第1のフランジ部25における板部24とは反対側の端部から第2のフランジ部26側に延出する第1のリブ35、及び、第2のフランジ部26における板部24とは反対側の端部から第1のフランジ部25側に延出する第2のリブ36を備える。
第1のリブ35は、第1のフランジ部25に対し略直角に延出する。第2のリブ36は、第2のフランジ部26に対し略直角に延出する。
【0031】
また、固定部材21は、開口部30の端縁から吊りボルト12の外周に沿って棒状部材挿通部27の内側に延びる内壁部37を備える。内壁部37は、開口部30において、回動軸23が設けられる側の端縁から延出する。内壁部37は、板部24に対し略直角に延出する。内壁部37は、上下方向において、第1のリブ35と第2のリブ36との間に位置する。
【0032】
固定部材21では、一枚の板材に対し、孔抜き加工及び曲げ加工等が行われ、板部24、第1のフランジ部25、第2のフランジ部26、棒状部材挿通部27、第1のリブ35、第2のリブ36、及び内壁部37が一体に形成されている。このため、固定部材21を容易に形成できる。
【0033】
図2及び
図3を参照し、可動部材22は、上下方向において、固定部材21よりも長く形成される。可動部材22は、板部24の外側面24aに面する回動板部41と、回動板部41の幅方向(短手方向)の両端縁から立設される一対の側面リブ42とを備える。
側面リブ42は、回動板部41から、外側面24aとは反対側に向けて立設される。
【0034】
可動部材22の上部は、外側面24aに当接した状態で回動する当接部43である。可動部材22は、当接部43に対し固定部材21の外側へ延出する取付部44を、当接部43の下方に備える。
ブレース材15は、取付部44に取り付けられる。回動板部41における取付部44の部分には、固定孔44aが複数設けられる。ブレース材15は、固定孔44aに挿通される締結部材45(
図1参照)によって、取付部44に締結される。
【0035】
回動軸23は、当接部43の回動板部41に挿通される。可動部材22は、回動軸23を中心に回動自在である。回動軸23は、棒状部材挿通部27に対し固定部材21の幅方向にオフセットして配置される。また、回動軸23は、可動部材22内では、可動部材22の幅方向において棒状部材挿通部27側にオフセットして配置される。
可動部材22は、回動軸23が回動板部41に挿通された後に、回動軸23の端部23aがカシメられることで、回動軸23に取り付けられる。可動部材22は、回動軸23の軸方向において、端部23aと外側面24aとの間に挟持される。
【0036】
当接部43において取付部44とは反対側の端部には、当接部43が長手方向に小さくなるように切り欠かれた切り欠き部43aが設けられる。切り欠き部43aは、当接部43の上端部に設けられる。
詳細には、切り欠き部43aは、棒状部材挿通部27側から固定部材21の幅方向に遠ざかるに従って、当接部43の上縁が低くなるように、当接部43の上端部を斜めに切り欠いたものである。
【0037】
図6は、吊りボルト12に対する可動部材22の取付角度を示す図である。
図6では、取付角度は、0°、30°、85°の状態が紙面左側から順に示されている。
図6では、取付角度が0°の状態ではブレース材15が図示されるが、取付角度が30°、85°の状態ではブレース材15の図示は省略されている。
【0038】
ここで、固定具10を使用してブレース材15を吊りボルト12に取り付ける手順の一例を説明する。
まず、ブレース材15は、締結部材45によって可動部材22に固定される。
可動部材22は、
図3、及び
図6の取付角度が0°の状態に示されるように、吊りボルト12の軸線12aと可動部材22との角度がほぼ0°となるようにセットされる。この状態では、回動軸23の軸方向に見て、可動部材22は、開口部30、第1の係合部31、及び第2の係合部32に重なっておらず、開口部30、第1の係合部31、及び第2の係合部32は外側に露出する。すなわち、開口部30は外側に開いている。
【0039】
次に、作業者は、開口部30を介し、軸線12aに対し直交する方向から棒状部材挿通部27を吊りボルト12のねじ部12bに係合させる。ここで、作業者は、棒状部材挿通部27を、吊りボルト12に対し上下方向の任意の位置で係合させることができる。
次いで、作業者は、ブレース材15を介し、可動部材22を回動させる。可動部材22の取付角度が30°の場合、可動部材22の当接部43は、開口部30の上部に重なり、開口部30の一部を閉じる。この状態では、吊りボルト12は、第1の係合部31及び第2の係合部32と当接部43との間に挟持される。このように、開口部30を介し棒状部材挿通部27を吊りボルト12にセットし、その後、可動部材22を回動させるだけで、固定具10を容易に吊りボルト12に固定できる。このため、下から天井を見上げるようにして固定具10を吊りボルト12に取り付ける場合であっても、取付作業が容易である。
【0040】
板部24から立設された第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26は、板部24に対し補強リブとして機能する。このため、固定部材21の剛性を高くでき、例えば、地震等によって、回動軸23を中心に板部24の面方向に曲げ力が作用した場合であっても、固定部材21の変形を効果的に抑制でき、天井の強度を高くできる。
【0041】
吊りボルト12の軸方向視において、第1の係合部31の底部と当接部43との間の間隔は、ねじ部12bの外径よりも小さく設定される。同様に、第2の係合部32の底部と当接部43との間の間隔は、ねじ部12bの外径よりも小さく設定される。このため、可動部材22によって、吊りボルト12を第1の係合部31及び第2の係合部32に強く押し付けることができる。
【0042】
作業者は、吊りボルト12の長さ等の諸条件に応じて、可動部材22の取付角度を、例えば30°~90°の間で任意に変更できる。
可動部材22の取付角度が85°の場合、可動部材22の当接部43は、開口部30の上部及び下部に重なり、開口部30の一部を閉じる。この状態では、吊りボルト12は、第1の係合部31及び第2の係合部32と当接部43との間に挟持される。
【0043】
当接部43の上端部に切り欠き部43aが設けられるため、天井スラブ11の下面と当接部43との距離を上下方向に大きく確保できる。このため、可動部材22と天井スラブ11の下面との接触を防止でき、可動部材22の取付角度を大きく確保できる。
【0044】
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、固定具10は、吊りボルト12にブレース材15を固定するものであって、吊りボルト12に固定される固定部材21と、固定部材21に対し回動可能に取り付けられ、ブレース材15が固定される可動部材22とを備える。固定部材21は、吊りボルト12の軸方向に延びる板部24と、板部24の一端部から延出する第1のフランジ部25と、板部24の他端部から延出する第2のフランジ部26と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部27とを備える。棒状部材挿通部27は、棒状部材挿通部27に配置された吊りボルト12を板部24の面方向に露出させる開口部30と、第1のフランジ部25に設けられて吊りボルト12に係合する第1の係合部31と、第2のフランジ部26に設けられて吊りボルト12に係合する第2の係合部32とを備える。可動部材22は、板部24に設けられた回動軸23を中心に回動して開口部30を開閉可能であり、可動部材22が開口部30を覆う状態では、吊りボルト12は、第1の係合部31及び第2の係合部32と可動部材22との間に挟持される。
この構成によれば、板部24の一端部から延出する第1のフランジ部25及び板部24の他端部から延出する第2のフランジ部26は、板部24に対し補強リブとして機能するため、固定部材21の剛性が増加し、外力による固定部材21の変形を抑制できる。このため、固定部材21を吊りボルト12に強固に固定できる。可動部材22が回動して開口部30を覆う状態では、吊りボルト12は、第1の係合部31及び第2の係合部32と可動部材22との間に挟持されるため、固定部材21を容易に固定できる。
【0045】
また、吊りボルト12はボルトであり、第1の係合部31及び第2の係合部32は、吊りボルト12の外周に沿う円弧形状の凹部であり、第1の係合部31と第2の係合部32との距離Dは、吊りボルト12のねじ部12bのピッチPの整数倍である。
この構成によれば、補強リブとして機能する第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26を円弧状に凹ますことで、第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26を利用して簡単な構造で第1の係合部31及び第2の係合部32を設けることができる。また、第1の係合部31と第2の係合部32との距離Dが、吊りボルト12のねじ部12bのピッチPの整数倍であるため、第1の係合部31及び第2の係合部32はねじ部12bに適切に係合する。このため、固定部材21を吊りボルト12に強固に固定できる。
【0046】
また、板部24の板面である外側面24aに直交する方向に見た場合に、第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26は、吊りボルト12の軸線12aに対して直交する直交線Rに対し傾斜角θを有して配置され、傾斜角θは、ねじ部12bのリード角Lに合わせて設定される。
この構成によれば、ねじ部12bのリード角Lに合わせて第1のフランジ部25及び第2のフランジ部26が傾斜しているため、第1の係合部31及び第2の係合部32をリード角Lに合わせて大きく傾斜させる必要が無い。このため、第1の係合部31を第1のフランジ部25に容易に形成でき、第2の係合部32を第2のフランジ部26に容易に形成できる。ここで、傾斜角θは、ねじ部12bのリード角Lに対し、±3°の範囲で設定される。±3°の範囲は、第1の係合部31及び第2の係合部32の周方向の長さを十分確保できるように設定される。
【0047】
さらに、第1の係合部31及び第2の係合部32は、その円弧形状における一端33及び他端34をそれぞれ備え、一端33は、吊りボルト12の軸方向においてねじ部12bに当接する一端側当接面33aを備え、他端34は、吊りボルト12の軸方向において一端側当接面33aとは反対側でねじ部12bに当接する他端側当接面34aを備え、傾斜角θは、一端側当接面33a及び他端側当接面34aの両方が同時にねじ部12bに当接する角度に設定される。
この構成によれば、第1の係合部31及び第2の係合部32は、一端側当接面33a及び他端側当接面34aの両方が同時にねじ部12bに当接するため、第1の係合部31及び第2の係合部32を吊りボルト12に強固に係合させることができる。
ここで、傾斜角θがリード角Lよりも大きい角度に設定されると、一端側当接面33a及び他端側当接面34aの両方を同時にねじ部12bに当接させ易い。
なお、一端側当接面33a及び他端側当接面34aがねじ部12bに当接している状態に対し、逆方向の力が作用した場合には、
図5に示す一端側当接面33b及び他端側当接面34bの両方が同時にねじ部12bに当接する。このため、第1の係合部31及び第2の係合部32を吊りボルト12に強固に係合させることができる。
【0048】
また、第1のフランジ部25における板部24とは反対側の端部から第2のフランジ部26側に延出する第1のリブ35、及び、第2のフランジ部26における板部24とは反対側の端部から第1のフランジ部25側に延出する第2のリブ36が設けられる。
この構成によれば、第1のリブ35は第1のフランジ部25に対し補強リブとして機能し、第2のリブ36は第2のフランジ部26に対し補強リブとして機能する。このため、固定部材21の剛性を効果的に増加させることができる。なお、第1のリブ35及び第2のリブ36は、少なくともいずれかが設けられていればよい。
【0049】
また、固定部材21は、開口部30の端縁から吊りボルト12の外周に沿って棒状部材挿通部27の内側に延びる内壁部37を備える。
この構成によれば、内壁部37は、板部24に対し補強リブとして機能する。このため、固定部材21の剛性を効果的に増加させることができる。また、吊りボルト12の外周に沿う内壁部37によって、吊りボルト12を棒状部材挿通部27にガイドでき、吊りボルト12を棒状部材挿通部27に設置し易い。
【0050】
また、可動部材22は、固定部材21に当接した状態で回動する当接部43と、当接部43に対し固定部材21の外側に延出してブレース材15が取り付けられる取付部44とを備え、当接部43において取付部44とは反対側の端部には、当接部43が長手方向に小さくなるように切り欠かれた切り欠き部43aが設けられる。
この構成によれば、切り欠き部43aによって、可動部材22の当接部43が長手方向に小さくなるため、可動部材22が周囲の部材に干渉することが抑制される。このため、可動部材22の回動範囲を大きく確保できる。
【0051】
[第2の実施の形態]
以下、
図7を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第2の実施の形態は、第2の固定具210に2つの第2の棒状部材が固定される点等が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0052】
図7は、第2の実施の形態において第2の固定具210(固定具)が用いられた天井の構造を示す側面図である。
吊りボルト212a,212b,212cは、天井スラブ11の下面から下方へ鉛直に延出する棒状である。
野縁受け13は、吊りボルト212a,212b,212cの下端部にそれぞれ設けられるハンガー14によって支持される。
【0053】
左右の一方の吊りボルト212aと左右の他方の吊りボルト212cとの間に位置する中央の吊りボルト212bは、棒状の上側ブレース材215a(第2の棒状部材)によって吊りボルト212aに接続される。
また、中央の吊りボルト212bは、棒状の下側ブレース材215b(第2の棒状部材)によって野縁受け13に接続される。
【0054】
吊りボルト212bの上下の中間部には、第2の固定具210(固定具)が固定される。
上側ブレース材215aは、吊りボルト212aの上端部から斜め下方に延び、第2の固定具210に固定される。
下側ブレース材215bは、第2の固定具210から斜め下方に延び、吊りボルト212cの近傍で野縁受け13に接続される。
すなわち、第2の固定具210は、第2の棒状部材としての上側ブレース材215a及び下側ブレース材215bを、第1の棒状部材としての吊りボルト212bに固定する固定具である。
【0055】
図8は、第2の固定具210の正面図である。
第2の固定具210は、固定部材21と、回動軸23と、固定部材21に対し回動可能に取り付けられる可動部材222とを備える。
上側ブレース材215a及び下側ブレース材215bは、可動部材222に固定される。
可動部材222は、回動軸23を介して固定部材21に取り付けられ、回動軸23を中心に回動可能である。可動部材222は、固定部材21の外側面24a上で回動する。
【0056】
可動部材222は、上下方向に直線状に延びる棒状である。可動部材222は、固定部材21に対し上方に延出する上側取付部244aと、固定部材21に対し下方に延出する下側取付部244bとを備える。
【0057】
上側ブレース材215aの上端部は、固定具10によって吊りボルト212aの上端部に固定される。
上側ブレース材215aの下端部は、可動部材222の上側取付部244aに固定される。
【0058】
下側ブレース材215bの上端部は、可動部材222の下側取付部244bに固定される。
下側ブレース材215bの下端部は、野縁受け13に固定される。
【0059】
第2の固定具210は、固定部材21の開口部30を介し、吊りボルト212bの外周にセットされる。
次に、可動部材222が回動させられると、可動部材222が開口部30に重なり、開口部30の一部は可動部材222によって閉じられる。この状態では、吊りボルト212bは、第1の係合部31及び第2の係合部32と可動部材222との間に挟持される。
【0060】
図9は、第2の実施の形態の変形例を示す図である。
図9には、L字状に形成された可動部材252が示される。
可動部材252は、回動軸23を介して固定部材21に取り付けられ、回動軸23を中心に回動可能である。可動部材252は、固定部材21の外側面24a上で回動する。
【0061】
可動部材252は、固定部材21に対し上方に延出する上側取付部264aと、固定部材21に対し下方に延出する下側取付部264bとを備える。
回動軸23の軸方向視では、下側取付部264bは、棒状の上側取付部264aの下端部から、上側取付部264aに対し直角に延出する。これにより、可動部材252はL字状となる。
【0062】
図7及び
図9を参照し、上側ブレース材215aの下端部を上側取付部264aに固定し、上側ブレース材215aの上端部を固定具10によって吊りボルト212cの上端部に固定することができる。
また、下側ブレース材215bの上端部を下側取付部264bに固定し、下側ブレース材215bの下端部を、吊りボルト212cの近傍で野縁受け13に固定できる。
吊りボルト212bは、第1の係合部31及び第2の係合部32と可動部材252との間に挟持される。
【0063】
[第3の実施の形態]
以下、
図10~
図12Bを参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第3の実施の形態は、固定部材21を反転させて可動部材として用いる点等が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0064】
図10は、第3の実施の形態において第3の固定具310a~310e(固定具)が用いられた天井の構造を示す側面図である。
一対の吊りボルト312a,312bは、天井スラブ11の下面から下方へ鉛直に延出する棒状である。
吊りボルト312a,312bの下端部にはハンガー14がそれぞれ設けられる。吊りボルト312a,312bには、ハンガー14を介し、天井裏に配置される設備機器360が取り付けられる。
【0065】
一方の吊りボルト312aと他方の吊りボルト312bとは、棒状の第1のブレース材315a及び棒状の第2のブレース材315bによって互いに接続される。第1のブレース材315a及び第2のブレース材315bは、全長に亘ってねじ部が形成された全ねじボルトである。
第1のブレース材315aは、吊りボルト312aの上端部から斜め下方に延び、吊りボルト312bの下端部に接続される。
第1のブレース材315aの上端部は、第3の固定具310aを介して吊りボルト312aの上端部に固定される。第1のブレース材315aの下端部は、第3の固定具310bを介して吊りボルト312bの下端部に固定される。
【0066】
第2のブレース材315bは、吊りボルト312bの上端部から斜め下方に延び、吊りボルト312aの下端部に接続される。
第2のブレース材315bの上端部は、第3の固定具310cを介して吊りボルト312bの上端部に固定される。第2のブレース材315bの下端部は、第3の固定具310dを介して吊りボルト312aの下端部に固定される。
【0067】
第1のブレース材315aと第2のブレース材315bとは、吊りボルト312aと吊りボルト312bとの間の中間位置で略直交している。第1のブレース材315aと第2のブレース材315bとが略直交する直交部370では、第3の固定具310eによって第1のブレース材315aと第2のブレース材315bとが固定されている。
図5に図示された5個の第3の固定具310a~310eは、同一の部品である。
【0068】
図11は、第3の固定具310aの分解斜視図である。
図12Aは、第3の固定具310aの斜視図である。第3の固定具310a~310eは、同一の形状であるため、代表して第3の固定具310aについて説明する。
第3の固定具310aは、固定部材21と、回動軸23と、固定部材21に対し回動可能に取り付けられる可動部材322とを備える。
【0069】
可動部材322は、固定部材21と同一形状の部品である。可動部材322は、可動部材322の外側面24aが固定部材21の外側面24aに当接するように配置され、回動軸23によって固定部材21に固定される。
【0070】
図12Aに示すように、固定部材21の棒状部材挿通部27と可動部材322の棒状部材挿通部27とが平行になる状態では、固定部材21に対する可動部材322の取付角度は0°である。
この状態では、固定部材21の棒状部材挿通部27及び可動部材322の棒状部材挿通部27は、外側面24a側に開放している。
図12Aの状態では、作業者は、吊りボルト312aの上端部に固定部材21の棒状部材挿通部27を係合させることができ、可動部材322の棒状部材挿通部27に第1のブレース材315aの上端部を係合させることができる。
【0071】
次に、
図10の様に、第3の固定具310aにおいて可動部材322を例えば45°回動させると、固定部材21の開口部30は、可動部材322によって一部が閉じられ、可動部材322の開口部30も、固定部材21によって一部が塞がれる。
この状態では、吊りボルト312aの上端部は、固定部材21の第1の係合部31及び第2の係合部32と、可動部材322との間に挟持される。また、第1のブレース材315aの上端部は、可動部材322の第1の係合部31及び第2の係合部32と、固定部材21との間に挟持される。
第3の固定具310aにおいては、固定部材21は、第1の棒状部材としての吊りボルト312aに固定され、可動部材322には、第2の棒状部材としての第1のブレース材315aが固定される。
なお、
図10では、第3の固定具310aの他に、第3の固定具310b,310c,310d,310eを用いて固定する構造を図示しているが、
図10はあくまで概念図であり、例えば、第3の固定具310b,310c,310d,310eに替えて、他の固定方法で固定を行っても良い。
【0072】
図10の直交部370に設けられる第3の固定具310eでは、上記取付角度が0°の状態において、第2のブレース材315bの上下の中間部に固定部材21の棒状部材挿通部27(
図12A参照)が係合され、可動部材322の棒状部材挿通部27(
図12A参照)に第1のブレース材315aの上下の中間部が係合される。
【0073】
図12Bは、第3の固定具310eの斜視図である。
次に、
図12Bの様に、第3の固定具310eにおいて可動部材322を略90°回動させると、固定部材21の開口部30は、可動部材322によって一部が閉じられ、可動部材322の開口部30も、固定部材21によって一部が塞がれる。
この状態では、第2のブレース材315bは、固定部材21の第1の係合部31及び第2の係合部32と、可動部材322との間に挟持される。また、第1のブレース材315aは、可動部材322の第1の係合部31及び第2の係合部32と、固定部材21との間に挟持される。
第3の固定具310eにおいては、固定部材21は、第1の棒状部材としての第2のブレース材315bに固定され、可動部材322には、第2の棒状部材としての第1のブレース材315aが固定される。
なお、
図10では、第3の固定具310eの他に、第3の固定具310a,310b,310c,310dを用いて固定する構造を図示しているが、
図10はあくまで概念図であり、例えば、第3の固定具310a,310b,310c,310dに替えて、他の固定方法で固定を行っても良い。
【0074】
[第4の実施の形態]
以下、
図13A~
図13Cを参照して、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第4の実施の形態では、固定部材21とは異なる形状の固定部材が示される。
【0075】
図13Aは、第4の実施の形態において固定部材421を示す斜視図である。
固定部材421は、第1のフランジ部25における板部24とは反対側の端部から第2のフランジ部26側とは反対方向に延出する壁部461と、壁部461の先端から回動軸23の軸方向に延出する第3のフランジ部462とを備える。
第3のフランジ部462は、第1のフランジ部25に対向するとともに、第1のフランジ部25に対し平行である。
第3のフランジ部462には、第3の係合部463が設けられる。第3の係合部463は、第1の係合部31及び第2の係合部32と同一形状であるとともに、第1の係合部31及び第2の係合部32と同軸の位置関係で配置される。
【0076】
図2及び
図13Aを参照し、固定部材21に替えて固定部材421を用いた場合、吊りボルト12は、第1の係合部31、第2の係合部32、及び第3の係合部463と、可動部材22の当接部43との間に挟持される。なお、固定部材421の大きさに合わせて、可動部材22を延長しても良い。
【0077】
図13Bは、第4の実施の形態の変形例1を示す図である。
固定部材471は、固定部材21を吊りボルト12の軸方向に並べて2つ配置し、この二つの固定部材21を壁部472によって吊りボルト12の軸方向に接続したような形状を備える。
なお、固定部材471では、第1のリブ35及び第2のリブ36は設けられていない。
【0078】
固定部材471では、一対の第1の係合部31及び第2の係合部32が、吊りボルト12の軸方向に2組設けられている。
図2及び
図13Bを参照し、固定部材21に替えて固定部材471を用いた場合、吊りボルト12は、2つの第1の係合部31及び2つの第2の係合部32と、可動部材22の当接部43との間に挟持される。
【0079】
図13Cは、第4の実施の形態の変形例2を示す図である。
固定部材481は、第3のフランジ部462等に加えて、第2のフランジ部26における板部24とは反対側の端部から第1のフランジ部25側とは反対方向に延出する壁部482と、壁部482の先端から回動軸23の軸方向に延出する第4のフランジ部483とを備える。
【0080】
第4のフランジ部483は、第2のフランジ部26に対向するとともに、第2のフランジ部26に対し平行である。
第4のフランジ部483には、第4の係合部484が設けられる。第4の係合部484は、第1の係合部31~第3の係合部463と同一形状であるとともに、第1の係合部31~第3の係合部463と同軸の位置関係で配置される。
【0081】
図2及び
図13Cを参照し、固定部材21に替えて固定部材481を用いた場合、吊りボルト12は、第1の係合部31、第2の係合部32、第3の係合部463、及び第4の係合部484と、可動部材22の当接部43との間に挟持される。このように、係合部を第1の係合部31~第4の係合部484まで設けることで、これら係合部に作用する力を分散させることができるとともに、吊りボルト12を強固に支持できる。
【0082】
[第5の実施の形態]
以下、
図14を参照して、本発明を適用した第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第5の実施の形態では、固定部材21とは異なる形状の固定部材が示される。
【0083】
図14は、第5の実施の形態において固定部材521を示す斜視図である。
固定部材521の第1のフランジ部25の外面(上面)には、突起部580が設けられる。突起部580は、第1の係合部31の外周に沿うように線状に設けられる。
詳細には、突起部580は、第1の係合部31の幅方向の両側で固定部材521の奥行き方向に延びる第1突起580aと、一対の第1突起580aを固定部材521の幅方向に繋ぐ第2突起580bとを備える。
突起部580によって固定部材521の剛性は増加する。また、突起部580と同様の突起部(不図示)が、第2のフランジ部26において第2の係合部32の外周に沿うように設けられる。
【0084】
[第6の実施の形態]
以下、
図15~
図20を参照して、本発明を適用した第6の実施の形態について説明する。この第6の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
【0085】
図15は、第6の実施の形態に係る固定具610を示す正面図である。
図1及び
図15を参照し、固定具610は、
図1に示される固定具10に替えて吊りボルト12(棒状部材)に固定される。
固定具610は、吊りボルト12の上端部に取り付けられる。固定具610には、棒状のブレース材15が取り付けられる。
ブレース材15の上端部は、固定具610に接続される。ブレース材15は、固定具610から斜め下方に延びて野縁受け13に接続される。
【0086】
図16は、固定具610の分解斜視図である。
図17は、吊りボルト12に固定された状態の固定具610を示す正面図である。
図18は、吊りボルト12に固定された状態の固定具610を示す背面図である。
図19は、吊りボルト12に固定された状態の固定具610を上方から見た平面図である。
図20は、吊りボルト12に固定された状態の固定具610を側方から見た側面図である。
【0087】
図15~
図20を参照し、固定具610は、吊りボルト12に係合する固定部材621と、固定部材621に対し回動可能に取り付けられるカバー部材622と、カバー部材622を回動自在に固定部材621に支持する回動軸623とを備える。
固定具610は、固定部材621とカバー部材622との間で吊りボルト12を挟持することで吊りボルト12に固定される。
【0088】
図16及び
図20を参照し、固定部材621は、カバー部材622が当接する外側固定部材650に、外側固定部材650の内側に配置される内側固定部材660を取り付けて構成される。
外側固定部材650は、上記第1の実施の形態において固定部材21として説明したものに相当するが、本第6の実施の形態では、外側固定部材650として説明する。外側固定部材650及び内側固定部材660の詳細な構造については後述し、まず固定部材621について説明する。
【0089】
固定部材621は、吊りボルト12と平行に吊りボルト12の軸方向に延びる板部624と、板部624の一端部(上端部)から延出する第1のフランジ部625と、板部624の他端部(下端部)から延出する第2のフランジ部626と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部627とを備える。
【0090】
板部624は、吊りボルト12の軸線12aに直交する正面視(
図17参照)では、略矩形の平板である。
板部624の板厚方向の外面は、カバー部材622を受けるカバー受け面624aである。カバー部材622は、カバー受け面624a上で回動する。
板部624には、回動軸623が挿入される回動軸固定孔624bと、板部624を板厚方向に貫通する固定孔624cとが設けられる。
【0091】
第1のフランジ部625及び第2のフランジ部626は、板部624に対し略直角の向きで、カバー受け面624a側とは反対方向に延出する。
回動軸623は、回動軸固定孔624bに固定される。回動軸623は、カバー受け面624aから、第1のフランジ部625の延出方向に対し反対方向に延出する。
【0092】
第1のフランジ部625と第2のフランジ部626とは互いに対面するとともに、互いに平行に配置される。また、板部624に対する第1のフランジ部625及び第2のフランジ部626の延出長さは同じである。
【0093】
図17及び
図18を参照し、板部624のカバー受け面624aに直交する方向に見た場合に、第1のフランジ部625及び第2のフランジ部626は、吊りボルト12の軸線12aに対して直交する直交線R(
図17)に対し傾斜角θを有して配置される。すなわち、第1のフランジ部625及び第2のフランジ部626は、水平方向に対して傾斜角θだけ傾斜している。
【0094】
棒状部材挿通部627は、棒状部材挿通部627に配置される吊りボルト12に沿って板部624を切り欠いた開口部630と、第1のフランジ部625を板部624側から凹状に切り欠いた第1受け部631と、第2のフランジ部626を板部624側から凹状に切り欠いた第2受け部632とを備える。
【0095】
開口部630は、吊りボルト12に沿って板部624の上端から下端まで連続する縦長の開口である。開口部630は、固定部材621の幅方向(左右方向)において、中央部に対し一方側にオフセットして配置される。
ここで、固定具610における上下方向は、吊りボルト12の軸方向に一致する。固定部材621の幅方向に一致する左右方向は、軸線12a及び回動軸623の軸方向に直交する方向であり、固定部材621の前後方向は、回動軸623の軸方向である。
【0096】
図15及び
図17を参照し、開口部630は、
図17のように前方からの正面視において、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む一対の縁部を有し、この縁部には、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む雌ねじ部630aが形成されている。雌ねじ部630aは、開口部630の縁部にねじ山として機能する突起を吊りボルト12のピッチP(
図5参照)と同じピッチで吊りボルト12の軸方向に複数形成したものである。雌ねじ部630aの幅は、吊りボルト12の直径よりも僅かに大きい。
吊りボルト12は、吊りボルト12の全長に亘って外周にねじ部12bが形成されている。棒状部材挿通部627に吊りボルト12が配置されると、雌ねじ部630aはねじ部12bに係合する。
雌ねじ部630aは、第1受け部631と第2受け部632との間で吊りボルト12の軸方向に延びる。
【0097】
図15、
図16及び
図19を参照し、第1受け部631は、吊りボルト12の外周に沿うように第1のフランジ部625を切り欠いた凹部である。第1受け部631は、開口部630の上端に連通している。第1のフランジ部625に設けられる第1受け部631は、第1のフランジ部625と平行であり、直交線R(
図17)に対し傾斜角θを有して配置される。
また、第2受け部632は、吊りボルト12の外周に沿うように第2のフランジ部626を切り欠いた凹部である。第2受け部632は、開口部630の下端に連通している。第2のフランジ部626に設けられる第2受け部632は、第2のフランジ部626と平行であり、直交線R(
図17)に対し傾斜角θを有して配置される。
棒状部材挿通部627に吊りボルト12が配置されると、第1受け部631及び第2受け部632は、吊りボルト12のねじ部12bに当接して吊りボルト12を受ける。
【0098】
図15~
図20を参照し、固定部材621の外側固定部材650は、カバー受け面624aを備える外側板部651と、外側板部651の一端部(上端部)から延出する第1の外側フランジ部652と、外側板部651の他端部(下端部)から延出する第2の外側フランジ部653とを備える。
また、外側固定部材650は、吊りボルト12に沿って外側板部651を切り欠いた外側開口部654と、第1の外側フランジ部652を外側板部651側から凹状に切り欠いた第1の係合部655と、第2の外側フランジ部653を外側板部651側から凹状に切り欠いた第2の係合部656とを備える。
【0099】
固定部材621の内側固定部材660は、外側板部651の内面に取り付けられる内側板部661と、内側板部661の一端部(上端部)から延出する第1の内側フランジ部662と、内側板部661の他端部(下端部)から延出する第2の内側フランジ部663とを備える。
また、内側固定部材660は、吊りボルト12に沿って内側板部661を切り欠いた内側開口部664と、第1の内側フランジ部662を内側板部661側から凹状に切り欠いた第1切り欠き部665と、第2の内側フランジ部663を内側板部661側から凹状に切り欠いた第2切り欠き部666とを備える。
内側開口部664は、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む一対の縁部を有し、この縁部に雌ねじ部630aが形成されている。
【0100】
内側固定部材660は、上下の長さが外側固定部材650よりも小さく形成されていて、第1の外側フランジ部652と第2の外側フランジ部653との間に収納される。
内側板部661及び外側板部651は、正面視で略矩形の板であり、互いに平行に設けられる。
内側固定部材660は、内側板部661が外側板部651の内面に取り付けられることで外側固定部材650に固定される。
【0101】
固定部材621の板部624は、外側板部651及び内側板部661によって構成される。
板部624の開口部630は、外側開口部654及び内側開口部664によって構成される。外側開口部654は、前方側から内側開口部664に重なる。前方から見ると、外側開口部654の左右の幅は内側開口部664の左右の幅よりも大きく形成されており、雌ねじ部630aは、外側開口部654の左右の縁部654aに対し開口部630の内側に突出する。雌ねじ部630aは、外側開口部654(
図15)から前方に露出する。
【0102】
固定部材621の第1のフランジ部625は、第1の外側フランジ部652及び第1の内側フランジ部662によって構成される。第1の内側フランジ部662は、第1の外側フランジ部652に下方から重なるように配置され、第1の外側フランジ部652と平行に延びる。第1の内側フランジ部662は、第1の外側フランジ部652に対し下方に離間して配置される。
第1のフランジ部625に設けられる第1受け部631は、第1の係合部655及び第1切り欠き部665によって構成される。第1受け部631は、第1の係合部655が第1切り欠き部665に上方から重なることで形成され、第1のフランジ部625を上下に貫通する。
【0103】
図16及び
図19を参照し、第1の係合部655は、吊りボルト12の外周に沿うように第1の外側フランジ部652を切り欠いた凹部である。第1の係合部655は、吊りボルト12の外周に沿う略半円の円弧形状に形成され、ねじ部12bに螺合可能である。
第1の係合部655は、上記第1の実施の形態の第1の係合部31(
図4A、
図4B参照)と同一形状であるため、形状についての詳細な説明は省略する。
【0104】
第1切り欠き部665は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第1切り欠き部665の底部665a(
図16)はカバー受け面624aと略平行である。
【0105】
図19に示されるように、カバー受け面624aからの第1の係合部655の深さAは、吊りボルト12の直径と同等に設定されている。
また、カバー受け面624aからの第1切り欠き部665の底部665a(
図16)の深さは、深さAよりも大きく設定されている。
【0106】
固定部材621の第2のフランジ部626は、第2の外側フランジ部653及び第2の内側フランジ部663によって構成される。第2の内側フランジ部663は、第2の外側フランジ部653に上方から重なるように配置され、第2の外側フランジ部653と平行に延びる。第2の内側フランジ部663は、第2の外側フランジ部653に対し上方に離間して配置される。
第2のフランジ部626に設けられる第2受け部632は、第2の係合部656及び第2切り欠き部666によって構成される。第2受け部632は、第2の係合部656が第2切り欠き部666に下方から重なることで形成され、第2のフランジ部626を上下に貫通する。
【0107】
図19に示される第1の係合部655と同様に、第2の係合部656(
図16)は、吊りボルト12の外周に沿うように第1の外側フランジ部652を切り欠いた凹部である。第2の係合部656は、吊りボルト12の外周に沿う略半円の円弧形状に形成され、ねじ部12bに螺合可能である。
第2の係合部656は、上記第1の実施の形態の第2の係合部32と同一形状であるため、形状についての詳細な説明は省略する。
【0108】
第2切り欠き部666(
図16)は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第2切り欠き部666の底部666aはカバー受け面624aと略平行である。
【0109】
カバー受け面624aからの第2の係合部656の深さA(
図19参照)は、吊りボルト12の直径と同等に設定されている。
また、カバー受け面624aからの第2切り欠き部666の底部666aの深さは、深さAよりも大きく設定されている。
【0110】
固定部材621が有する回動軸固定孔624b及び固定孔624cは、内側板部661及び外側板部651を板厚方向に貫通する孔である。
内側固定部材660は、カバー受け面624a側から固定孔624cに挿通される締結具624dによって外側固定部材650に締結される。締結具624dは、例えばボルトである。
また、内側固定部材660は、回動軸固定孔624bに挿通される回動軸623によっても外側固定部材650に締結される。回動軸623は、例えば板部624にカシメられるピン部材である。
図17を参照し、回動軸623は、開口部630を境に板部624の幅方向の一方側に配置される。締結具624dは、開口部630を境に板部624の幅方向の他方側に配置される。
【0111】
図15から
図20を参照し、カバー部材622は、上下方向において、固定部材621よりも長く形成される。カバー部材622は、板部624のカバー受け面624aに面する回動板部641と、回動板部641の幅方向(短手方向)の両端縁から立設される一対の側面リブ642とを備える。
側面リブ642は、回動板部641から、前方側に向けて立設される。
カバー部材622は、回動板部641の上部に挿通される回動軸623によって固定部材621に取り付けられ、回動軸623を中心に回動可能である。
【0112】
回動板部641の上部の後面は、カバー受け面624aに当接した状態で回動する当接面643である。カバー部材622は、当接面643に対し固定部材621の外側へ延出する取付部644を、当接面643の下方に備える。
ブレース材15(
図1及び
図15参照)は、ボルト等の締結具によって取付部644に取り付けられる。
【0113】
固定具610を吊りボルト12に取り付ける際には、固定具610は、
図15に示されるように、開口部630とカバー部材622とが略平行の状態とされ、開口部630の全体が前方に開いた状態とされる。
次に、吊りボルト12に対し直交する方向から棒状部材挿通部627を吊りボルト12のねじ部12bに係合させる。ここで、作業者は、棒状部材挿通部627を、吊りボルト12に対し上下方向の任意の位置で係合させて、固定具610の位置を調整できる。
【0114】
その後、
図17~
図20で示されるように、カバー部材622を回動させ、カバー部材622によって開口部630の一部を閉じると、固定具610が吊りボルト12に固定された固定状態となる。この固定状態では、カバー部材622の当接面643が吊りボルト12の外周に当接し、吊りボルト12は、当接面643と第1の係合部655及び第2の係合部656との間で挟持される。上記固定状態の当接面643において吊りボルト12の外周に当接する部分は、カバー受け面624aに平行な平坦面である。
【0115】
ここで、カバー受け面624aからの第1の係合部655及び第2の係合部656の深さA(
図19)は、吊りボルト12の直径と同等に設定されている。詳細には、深さAは、平坦面である当接面643と第1の係合部655及び第2の係合部656との間で吊りボルト12を挟持できる程度に吊りボルト12の直径と同等な深さであれば、吊りボルト12の直径と同一であっても、吊りボルト12の直径よりも僅かに小さくても、吊りボルト12の直径よりも僅かに大きくても良い。
【0116】
第1切り欠き部665の底部665a(
図16)の深さ及び第2切り欠き部666の底部666aの深さは、深さAよりも大きく設定されているため、底部665a及び底部666aは吊りボルト12に対し後方に逃げて吊りボルト12の外周に当接しない。
【0117】
上記固定状態では、第1の係合部655及び第2の係合部656が吊りボルト12のねじ部12bに係合するとともに、開口部630の雌ねじ部630aがねじ部12bに係合している。このため、第1の係合部655、第2の係合部656、及び雌ねじ部630aによって固定具610を吊りボルト12に固定でき、固定具610を吊りボルト12に強固に固定できる。
雌ねじ部630aは、第1の係合部655と第2の係合部656との間で吊りボルト12の軸方向の長い範囲に設けられている。雌ねじ部630aは、吊りボルト12の軸方向において吊りボルト12の直径よりも長い範囲に設けられる。このため、固定具610と吊りボルト12との係合部の面積を大きく確保でき、固定具610を吊りボルト12に強固に固定できる。
また、雌ねじ部630aは、内側板部661の板厚方向の全体に設けられる。
【0118】
図20を参照し、上記固定状態では、雌ねじ部630aは、第1の係合部655及び第2の係合部656の深さAの方向の中間部に位置し、深さAの方向において吊りボルト12の軸線12aと重複する位置に配置される。このため、雌ねじ部630aを吊りボルト12の中心に近い位置でねじ部12bに係合させることができ、雌ねじ部630aをねじ部12bに適切に係合させることができる。
【0119】
なお、
図16に仮想線で示すワッシャー状のスペーサー645a,645bを内側板部661と外側板部651との間に配置し、雌ねじ部630aの位置が軸線12aの位置に重複するように内側板部661の位置を調整しても良い。
スペーサー645aには、締結具624dが挿通される。スペーサー645bには回動軸623が挿通される。
【0120】
図4Bを参照し、第1の係合部655(第1の係合部31に相当)と第2の係合部656(第2の係合部32に相当)との距離Dは、吊りボルト12のねじ部12bのピッチP(
図5参照)の整数倍である。このため、第1の係合部655及び第2の係合部656の両方を、適切にねじ部12bに係合させることができる。
また、雌ねじ部630aの各ねじ山は、第1の係合部655(第1の係合部31に相当)からねじ部12bのピッチP(
図5参照)の整数倍の位置に配置される。
【0121】
以上説明したように、本発明を適用した第6の実施の形態によれば、固定具610は、吊りボルト12に係合する固定部材621と、固定部材621に取り付けられ、固定部材621との間で吊りボルト12を挟持するカバー部材622とを備える。固定部材621は、吊りボルト12の軸方向に延びる板部624と、板部624から延出する第1のフランジ部625と、第1のフランジ部625に対し吊りボルト12の軸方向に離れた位置で板部624から延出する第2のフランジ部626と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部627とを備える。棒状部材挿通部627は、吊りボルト12に沿って板部624を切り欠いた開口部630と、第1のフランジ部625を板部624側から凹状に切り欠いた第1受け部631と、第2のフランジ部626を板部624側から凹状に切り欠いた第2受け部632とを備える。開口部630の縁部には、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む雌ねじ部630aが形成され、固定部材621とカバー部材622との間に挟持された吊りボルト12は、第1受け部631及び第2受け部632に当接するとともに、吊りボルト12の外周のねじ部12bが雌ねじ部630aに係合している。
この構成によれば、板部624から延出する第1のフランジ部625及び第2のフランジ部626は、板部624に対し補強リブとして機能するため、固定部材621の剛性が増加し、外力による固定部材621の変形を抑制できる。さらに、第1のフランジ部625及び第2のフランジ部626を利用して設けた第1受け部631及び第2受け部632によって吊りボルト12を受けることができるとともに、板部624を切り欠いた開口部630に設けられた雌ねじ部630aに吊りボルト12のねじ部12bが係合するため、簡単な構造で固定具610を吊りボルト12に強固に固定できる。
【0122】
また、カバー部材622は、吊りボルト12の外周面及び板部624に当接する当接面643を備え、板部624は、当接面643を受けるカバー受け面624aを備え、カバー受け面624aからの第1受け部631及び第2受け部632の深さAは、吊りボルト12の直径と同等に設定され、雌ねじ部630aは、カバー受け面624aから第1受け部631及び第2受け部632の深さ方向に離間した位置に設けられる。
この構成によれば、吊りボルト12の直径が第1受け部631及び第2受け部632内に収まった状態でカバー部材622の当接面643を吊りボルト12の外周面及びカバー受け面624aに当接させることができる。このため、当接面643を平坦面にでき、当接面643を簡単な形状にできる。また、雌ねじ部630aが、カバー受け面624aから第1受け部631及び第2受け部632の深さ方向に離間した位置に設けられるため、吊りボルト12の中心に近い位置で雌ねじ部630aをねじ部12bに係合させることができ、雌ねじ部630aを効果的にねじ部12bに係合させることができる。
ここで、第1受け部631の深さAは、第1受け部631が吊りボルト12を深さAの方向に受ける部分の深さであり、第1の係合部655の深さである。第2受け部632の深さAは、第2受け部632が吊りボルト12を深さAの方向に受ける部分の深さであり、第2の係合部656の深さである。
【0123】
また、深さAの方向において、雌ねじ部630aの位置と吊りボルト12の軸線12aの位置とが重複する。
この構成によれば、雌ねじ部630aは、雌ねじ部630aが吊りボルト12の軸線12aの位置に重複する位置で吊りボルト12のねじ部12bに係合するため、雌ねじ部630aを効果的にねじ部12bに係合させることができる。
【0124】
また、固定部材621は、カバー受け面624aを備える外側固定部材650と、雌ねじ部630aを備える内側固定部材660とを備え、内側固定部材660は、カバー受け面624aに設けられた外側開口部654から雌ねじ部630aが露出するように外側固定部材650に取り付けられている。
この構成によれば、外側固定部材650に内側固定部材660を取り付けると、外側開口部654から雌ねじ部630aが露出するため、雌ねじ部630aがカバー受け面624aから深さAの方向に離間した位置に設けられる固定部材621を容易に形成できる。
【0125】
また、カバー部材622は、板部624に設けられた回動軸623を中心に回動して開口部630を開閉可能であり、カバー部材622が開口部630を覆う状態では、吊りボルト12は、第1受け部631及び第2受け部632とカバー部材622との間に挟持される。
この構成によれば、カバー受け面624a側から第1受け部631、第2受け部632、及び雌ねじ部630aに吊りボルト12をセットし、回動軸623を中心にカバー部材622を回動してカバー部材622によって開口部630を閉じると、固定具610を吊りボルト12に固定できる。このため、固定具610を吊りボルト12に容易に固定できる。
【0126】
また、カバー部材622は、棒状のブレース材15が接続される取付部644を備える。
この構成によれば、固定具610を介しブレース材15を吊りボルト12に容易に固定できる。また、ブレース材15してカバー部材622を回動させて、固定具610を吊りボルト12に容易に取り付けできる。
【0127】
[第7の実施の形態]
以下、
図21~
図26を参照して、本発明を適用した第7の実施の形態について説明する。
【0128】
図21は、第7の実施の形態に係る固定具710を示す正面図である。
図1及び
図21を参照し、固定具710は、
図1に示される固定具10に替えて吊りボルト12(棒状部材)に固定される。
固定具710は、吊りボルト12の上端部に取り付けられる。固定具710には、棒状のブレース材15が取り付けられる。
ブレース材15の上端部は、固定具710に接続される。ブレース材15は、固定具710から斜め下方に延びて野縁受け13に接続される。
【0129】
図22は、固定具710の分解斜視図である。
図23は、吊りボルト12に固定された状態の固定具710を示す正面図である。
図24は、吊りボルト12に固定された状態の固定具710を示す背面図である。
図25は、吊りボルト12に固定された状態の固定具710を上方から見た平面図である。
図26は、吊りボルト12に固定された状態の固定具710を側方から見た側面図である。
【0130】
図21~
図26を参照し、固定具710は、吊りボルト12に係合する固定部材721と、固定部材721に対し回動可能に取り付けられるカバー部材722と、カバー部材722を回動自在に固定部材721に支持する回動軸723とを備える。
固定具710は、固定部材721とカバー部材722との間で吊りボルト12を挟持することで吊りボルト12に固定される。
【0131】
図22及び
図26を参照し、固定部材721は、カバー部材722が当接する外側固定部材750に、外側固定部材750の内側に配置される内側固定部材760を取り付けて構成される。
外側固定部材750及び内側固定部材760の詳細な構造については後述し、まず固定部材721について説明する。
【0132】
固定部材721は、吊りボルト12と平行に吊りボルト12の軸方向に延びる板部724と、板部724の一端部(上端部)から延出する第1のフランジ部725と、板部724の他端部(下端部)から延出する第2のフランジ部726と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部727とを備える。
【0133】
板部724は、吊りボルト12の軸線12aに直交する正面視(
図23参照)では、略矩形の平板である。
板部724の板厚方向の外面は、カバー部材722を受けるカバー受け面724aである。カバー部材722は、カバー受け面724a上で回動する。
板部724には、回動軸723が挿入される回動軸固定孔724bと、板部724を板厚方向に貫通する固定孔724cと、固定孔724cよりも上方で板部724を板厚方向に貫通する複数の孔724eとを備える。
【0134】
第1のフランジ部725及び第2のフランジ部726は、板部724に対し略直角の向きで、カバー受け面724a側とは反対方向に延出する。
回動軸723は、回動軸固定孔724bに固定される。回動軸723は、カバー受け面724aから、第1のフランジ部725の延出方向に対し反対方向に延出する。
【0135】
第1のフランジ部725と第2のフランジ部726とは互いに対面するとともに、互いに平行に配置される。また、板部724に対する第1のフランジ部725及び第2のフランジ部726の延出長さは同じである。
【0136】
図23及び
図24を参照し、板部724のカバー受け面724aに直交する方向に見た場合に、第1のフランジ部725及び第2のフランジ部726は、吊りボルト12の軸線12aに対して直交している。すなわち、第1のフランジ部725及び第2のフランジ部726は、略水平に配置される。
【0137】
棒状部材挿通部727は、棒状部材挿通部727に配置される吊りボルト12に沿って板部724を切り欠いた開口部730と、第1のフランジ部725を板部724側から凹状に切り欠いた第1受け部731と、第2のフランジ部726を板部724側から凹状に切り欠いた第2受け部732とを備える。
【0138】
開口部730は、吊りボルト12に沿って板部724の上端から下端まで連続する縦長の開口である。開口部730は、固定部材721の幅方向(左右方向)の中央部に配置される。
ここで、固定具710における上下方向は、吊りボルト12の軸方向に一致する。固定部材721の幅方向に一致する左右方向は、軸線12a及び回動軸723の軸方向に直交する方向であり、固定部材721の前後方向は、回動軸723の軸方向である。
【0139】
図21及び
図23を参照し、開口部730は、
図23のように前方からの正面視において、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む一対の縁部を有し、この縁部には、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む雌ねじ部730aが形成されている。雌ねじ部730aは、開口部730の縁部にねじ山として機能する突起を吊りボルト12のピッチPと同じピッチで吊りボルト12の軸方向に複数形成したものである。雌ねじ部730aの幅は、吊りボルト12の直径よりも僅かに大きい。
吊りボルト12は、吊りボルト12の全長に亘って外周にねじ部12bが形成されている。棒状部材挿通部727に吊りボルト12が配置されると、雌ねじ部730aはねじ部12bに係合する。
雌ねじ部730aは、第1受け部731と第2受け部732との間で吊りボルト12の軸方向に延びる。
【0140】
図21、
図22及び
図25を参照し、第1受け部731は、吊りボルト12の外周に沿うように第1のフランジ部725を切り欠いた凹部である。第1受け部731は、開口部730の上端に連通している。
また、第2受け部732は、吊りボルト12の外周に沿うように第2のフランジ部726を切り欠いた凹部である。第2受け部732は、開口部730の下端に連通している。
棒状部材挿通部727に吊りボルト12が配置されると、第1受け部731及び第2受け部732は、吊りボルト12のねじ部12bに当接して吊りボルト12を受ける。
【0141】
図21~
図26を参照し、固定部材721の外側固定部材750は、カバー受け面724aを備える外側板部751と、外側板部751の一端部(上端部)から延出する第1の外側フランジ部752と、外側板部751の他端部(下端部)から延出する第2の外側フランジ部753とを備える。
また、外側固定部材750は、吊りボルト12に沿って外側板部751を切り欠いた外側開口部754と、第1の外側フランジ部752を外側板部751側から凹状に切り欠いた第1の切り欠き部755と、第2の外側フランジ部753を外側板部751側から凹状に切り欠いた第2の切り欠き部756とを備える。
【0142】
固定部材721の内側固定部材760は、外側板部751の内面に取り付けられる内側板部761と、内側板部761の一端部(上端部)から延出する第1の内側フランジ部762と、内側板部761の他端部(下端部)から延出する第2の内側フランジ部763とを備える。
また、内側固定部材760は、吊りボルト12に沿って内側板部761を切り欠いた内側開口部764と、第1の内側フランジ部762を内側板部761側から凹状に切り欠いた第1凹部765と、第2の内側フランジ部763を内側板部761側から凹状に切り欠いた第2凹部766とを備える。
内側開口部764は、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む一対の縁部を有し、この縁部に雌ねじ部730aが形成されている。
【0143】
内側固定部材760は、上下の長さが外側固定部材750よりも小さく形成されていて、第1の外側フランジ部752と第2の外側フランジ部753との間に収納される。
内側板部761及び外側板部751は、正面視で略矩形の板であり、互いに平行に設けられる。
内側固定部材760は、内側板部761が外側板部751の内面に取り付けられることで外側固定部材750に固定される。
【0144】
固定部材721の板部724は、外側板部751及び内側板部761によって構成される。
板部724の開口部730は、外側開口部754及び内側開口部764によって構成される。外側開口部754は、前方側から内側開口部764に重なる。前方から見ると、外側開口部754の左右の幅は内側開口部764の左右の幅よりも大きく形成されており、雌ねじ部730aは、外側開口部754の左右の縁部754aに対し開口部730の内側に突出する。雌ねじ部730aは、外側開口部754(
図21)から前方に露出する。
雌ねじ部730aは、カバー受け面724aに対し外側板部751の板厚の分だけ後方に離間している。
【0145】
固定部材721の第1のフランジ部725は、第1の外側フランジ部752及び第1の内側フランジ部762によって構成される。第1の内側フランジ部762は、第1の外側フランジ部752に下方から重なるように配置され、第1の外側フランジ部752と平行に延びる。第1の内側フランジ部762は、第1の外側フランジ部752に対し下方に離間して配置される。
第1のフランジ部725に設けられる第1受け部731は、第1の切り欠き部755及び第1凹部765によって構成される。第1受け部731は、第1の切り欠き部755が第1凹部765に上方から重なることで形成され、第1のフランジ部725を上下に貫通する。
【0146】
図22及び
図25を参照し、第1凹部765は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第1凹部765の底部765a(
図22)はカバー受け面724aと略平行である。
また、第1の切り欠き部755は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第1の切り欠き部755の底部755a(
図22)はカバー受け面724aと略平行である。
第1凹部765の幅は、吊りボルト12の直径よりも大きく、第1の切り欠き部755の幅は、第1凹部765の幅よりも大きい。
【0147】
図25に示されるように、カバー受け面724aからの第1凹部765の底部765aの深さA1(第1受け部731の深さ)は、吊りボルト12の直径と同等に設定されている。
また、カバー受け面724aからの第1の切り欠き部755の底部755aの深さは、深さA1よりも大きく設定されている。
【0148】
固定部材721の第2のフランジ部726は、第2の外側フランジ部753及び第2の内側フランジ部763によって構成される。第2の内側フランジ部763は、第2の外側フランジ部753に上方から重なるように配置され、第2の外側フランジ部753と平行に延びる。第2の内側フランジ部763は、第2の外側フランジ部753に対し上方に離間して配置される。
第2のフランジ部726に設けられる第2受け部732は、第2凹部766及び第2の切り欠き部756によって構成される。第2受け部732は、第2の切り欠き部756が第2凹部766に下方から重なることで形成され、第2のフランジ部726を上下に貫通する。
【0149】
第2凹部766(
図22)は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第2凹部766の底部766aはカバー受け面724aと略平行である。
また、第2の切り欠き部756(
図22)は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第2の切り欠き部756の底部756aはカバー受け面724aと略平行である。
第2凹部766の幅は、吊りボルト12の直径よりも大きく、第2の切り欠き部756の幅は、第2凹部766の幅よりも大きい。
【0150】
図25を参照し、カバー受け面724aからの第2凹部766の底部766aの深さA1(第2受け部732の深さ)は、吊りボルト12の直径と同等に設定されている。
また、カバー受け面724aからの第2の切り欠き部756の底部756aの深さは、深さA1よりも大きく設定されている。
【0151】
固定部材721が有する回動軸固定孔724b及び固定孔724cは、内側板部761及び外側板部751を板厚方向に貫通する孔である。
内側固定部材760は、カバー受け面724a側から固定孔724cに挿通される締結具724dによって外側固定部材750に締結される。締結具724dは、例えば板部724にカシメられるピン部材である。
また、内側固定部材760は、回動軸固定孔724bに挿通される回動軸723によっても外側固定部材750に締結される。回動軸723は、例えば板部724にカシメられるピン部材である。
図23を参照し、回動軸723は、開口部730を境に板部724の幅方向の一方側に配置される。締結具724dは、開口部730を境に板部724の幅方向の他方側に配置される。
【0152】
図21から
図26を参照し、カバー部材722は、上下方向において、固定部材721よりも長く形成される。カバー部材722は、板部724のカバー受け面724aに面する回動板部741と、回動板部741の幅方向(短手方向)の両端縁から立設される一対の側面リブ742とを備える。
側面リブ742は、回動板部741から、前方側に向けて立設される。
カバー部材722は、回動板部741の上部に挿通される回動軸723によって固定部材721に取り付けられ、回動軸723を中心に回動可能である。
【0153】
回動板部741の上部の後面は、カバー受け面724aに当接した状態で回動する当接面743である。カバー部材722は、当接面743に対し固定部材721の外側へ延出する取付部744を、当接面743の下方に備える。
ブレース材15(
図1及び
図21参照)は、ボルト等の締結具によって取付部744に取り付けられる。
【0154】
固定具710を吊りボルト12に取り付ける際には、固定具710は、
図21に示されるように、開口部730とカバー部材722とが略平行の状態とされ、開口部730の全体が前方に開いた状態とされる。
次に、吊りボルト12に対し直交する方向から棒状部材挿通部727を吊りボルト12のねじ部12bに係合させる。ここで、作業者は、棒状部材挿通部727を、吊りボルト12に対し上下方向の任意の位置で係合させて、固定具710の位置を調整できる。
【0155】
その後、
図23~
図26で示されるように、カバー部材722を回動させ、カバー部材722によって開口部730の一部を閉じると、固定具710が吊りボルト12に固定された固定状態となる。この固定状態では、カバー部材722の当接面743が吊りボルト12の外周に当接し、吊りボルト12は、当接面743と第1凹部765及び第2凹部766との間で挟持される。上記固定状態の当接面743において吊りボルト12の外周に当接する部分は、カバー受け面724aに平行な平坦面である。
【0156】
詳細には、第1受け部731では、第1凹部765の底部765aが吊りボルト12の外周に後方から当接することで、カバー受け面724aとの間で吊りボルト12を挟持する。ここで、底部765aの板厚はねじ部12bのピッチP(
図5参照)よりも大きいとともに、ねじ部12bは水平に対して傾斜角θを有している。このため、底部765aは、ねじ部12bに対して係合せず、ねじ部12bの外周に当接するだけである。
【0157】
同様に、第2受け部732では、第2凹部766の底部766aが吊りボルト12の外周に後方から当接することで、カバー受け面724aとの間で吊りボルト12を挟持する。ここで、底部766aの板厚はねじ部12bのピッチP(
図5参照)よりも大きいとともに、ねじ部12bは水平に対して傾斜角θを有している。このため、底部766aは、ねじ部12bに対して係合せず、ねじ部12bの外周に当接するだけである。
【0158】
図25及び
図26を参照し、カバー受け面724aからの第1受け部731及び第2受け部732の深さA1は、吊りボルト12の直径と同等に設定されている。詳細には、深さA1は、平坦面である当接面743と第1受け部731及び第2受け部732との間で吊りボルト12を挟持できる程度に吊りボルト12の直径と同等な深さであれば、吊りボルト12の直径と同一であっても、吊りボルト12の直径よりも僅かに小さくても、吊りボルト12の直径よりも僅かに大きくても良い。
【0159】
第1の切り欠き部755の底部755a(
図25)の深さ及び第2の切り欠き部756の底部756a(
図22)の深さは、深さA1よりも大きく設定されているため、底部755a及び底部756aは吊りボルト12に対し後方に逃げて吊りボルト12の外周に当接しない。
【0160】
上記固定状態では、第1受け部731及び第2受け部732が吊りボルト12のねじ部12bに当接するとともに、開口部730の雌ねじ部730aがねじ部12bに係合している。このため、第1受け部731、第2受け部732、及び雌ねじ部730aによって固定具710を吊りボルト12に固定でき、固定具710を吊りボルト12に強固に固定できる。
雌ねじ部730aは、第1受け部731と第2受け部732との間で吊りボルト12の軸方向の長い範囲に設けられている。雌ねじ部730aは、吊りボルト12の軸方向において吊りボルト12の直径よりも長い範囲に設けられる。このため、固定具710と吊りボルト12との係合部の面積を大きく確保でき、固定具710を吊りボルト12に強固に固定できる。
また、雌ねじ部730aは、内側板部761の板厚方向の全体に設けられる。
【0161】
図26を参照し、上記固定状態では、雌ねじ部730aは、第1受け部731及び第2受け部732の深さA1の方向の中間部に位置し、深さA1の方向において吊りボルト12の軸線12aと重複する位置に配置される。このため、雌ねじ部730aを吊りボルト12の中心に近い位置でねじ部12bに係合させることができ、雌ねじ部730aをねじ部12bに適切に係合させることができる。
【0162】
なお、内側板部761と外側板部751との間にスペーサー(例えば
図16に仮想線で示すワッシャー状のスペーサー645a,645b)を配置し、雌ねじ部730aの位置が軸線12aの位置に重複するように内側板部761の位置を調整しても良い。
【0163】
以上説明したように、本発明を適用した第7の実施の形態によれば、固定具710は、吊りボルト12に係合する固定部材721と、固定部材721に取り付けられ、固定部材721との間で吊りボルト12を挟持するカバー部材722とを備える。固定部材721は、吊りボルト12の軸方向に延びる板部724と、板部724から延出する第1のフランジ部725と、第1のフランジ部725に対し吊りボルト12の軸方向に離れた位置で板部724から延出する第2のフランジ部726と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部727とを備える。棒状部材挿通部727は、吊りボルト12に沿って板部724を切り欠いた開口部730と、第1のフランジ部725を板部724側から凹状に切り欠いた第1受け部731と、第2のフランジ部726を板部724側から凹状に切り欠いた第2受け部732とを備える。開口部730の縁部には、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む雌ねじ部730aが形成され、固定部材721とカバー部材722との間に挟持された吊りボルト12は、第1受け部731及び第2受け部732に当接するとともに、吊りボルト12の外周のねじ部12bが雌ねじ部730aに係合している。
この構成によれば、板部724から延出する第1のフランジ部725及び第2のフランジ部726は、板部724に対し補強リブとして機能するため、固定部材721の剛性が増加し、外力による固定部材721の変形を抑制できる。さらに、第1のフランジ部725及び第2のフランジ部726を利用して設けた第1受け部731及び第2受け部732によって吊りボルト12を受けることができるとともに、板部724を切り欠いた開口部730に設けられた雌ねじ部730aに吊りボルト12のねじ部12bが係合するため、簡単な構造で固定具710を吊りボルト12に強固に固定できる。
【0164】
また、カバー部材722は、吊りボルト12の外周面及び板部724に当接する当接面743を備え、板部724は、当接面743を受けるカバー受け面724aを備え、カバー受け面724aからの第1受け部731及び第2受け部732の深さA1は、吊りボルト12の直径と同等に設定され、雌ねじ部730aは、カバー受け面724aから第1受け部731及び第2受け部732の深さA1の方向に離間した位置に設けられる。
この構成によれば、吊りボルト12の直径が第1受け部731及び第2受け部732内に収まった状態でカバー部材722の当接面743を吊りボルト12の外周面及びカバー受け面724aに当接させることができる。このため、当接面743を平坦面にでき、当接面743を簡単な形状にできる。また、雌ねじ部730aが、カバー受け面724aから第1受け部731及び第2受け部732の深さA1の方向に離間した位置に設けられるため、吊りボルト12の中心に近い位置で雌ねじ部730aをねじ部12bに係合させることができ、雌ねじ部730aを効果的にねじ部12bに係合させることができる。
ここで、第1受け部731の深さA1は、第1受け部731が吊りボルト12を深さA1の方向に受ける部分の深さであり、第1凹部765の深さである。第2受け部732の深さA1は、第2受け部732が吊りボルト12を深さA1の方向に受ける部分の深さであり、第2凹部766の深さである。
【0165】
また、深さA1の方向において、雌ねじ部730aの位置と吊りボルト12の軸線12aの位置とが重複する。
この構成によれば、雌ねじ部730aは、雌ねじ部730aが吊りボルト12の軸線12aの位置に重複する位置で吊りボルト12のねじ部12bに係合するため、雌ねじ部730aを効果的にねじ部12bに係合させることができる。
【0166】
また、固定部材721は、カバー受け面724aを備える外側固定部材750と、雌ねじ部730aを備える内側固定部材760とを備え、内側固定部材760は、カバー受け面724aに設けられた外側開口部754から雌ねじ部730aが露出するように外側固定部材750に取り付けられている。
この構成によれば、外側固定部材750に内側固定部材760を取り付けると、外側開口部754から雌ねじ部730aが露出するため、雌ねじ部730aがカバー受け面724aから第1受け部731及び第2受け部732の深さA1の方向に離間した位置に設けられる固定部材721を容易に形成できる。
なお、固定部材721は、外側固定部材750と内側固定部材760とを取り付けて形成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、内側固定部材760を設けずに固定部材を外側固定部材750のみによって構成し、外側固定部材750に第1凹部765及び第2凹部766を一体に設けるとともに、外側固定部材750のカバー受け面724aから深さA1の方向に離間した位置に、雌ねじ部730aを外側固定部材750と一体に形成しても良い。
【0167】
また、カバー部材722は、板部724に設けられた回動軸723を中心に回動して開口部730を開閉可能であり、カバー部材722が開口部730を覆う状態では、吊りボルト12は、第1受け部731及び第2受け部732とカバー部材722との間に挟持される。
この構成によれば、カバー受け面724a側から第1受け部731、第2受け部732、及び雌ねじ部730aに吊りボルト12をセットし、回動軸723を中心にカバー部材722を回動してカバー部材722によって開口部730を閉じると、固定具710を吊りボルト12に固定できる。このため、固定具710を吊りボルト12に容易に固定できる。
【0168】
また、カバー部材722は、棒状のブレース材15が接続される取付部744を備える。
この構成によれば、固定具710を介しブレース材15を吊りボルト12に容易に固定できる。また、ブレース材15を介してカバー部材722を容易に回動させて、固定具710を吊りボルト12に容易に取り付けできる。
【0169】
[第8の実施の形態]
以下、
図27を参照して、本発明を適用した第8の実施の形態について説明する。この第8の実施の形態において、上記第7の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第8の実施の形態は、第2のブレース材815を取り付け可能な支持部材870が設けられる点が、上記第7の実施の形態と異なる。
【0170】
図27は、第8の実施の形態に係る固定具810を示す正面図である。
固定具810は、固定部材721と、カバー部材722と、回動軸723と、固定部材721に取り付けられる支持部材870と、支持部材870を回動自在に固定部材721に支持する第2の回動軸823とを備える。
【0171】
第2の回動軸823は、固定孔724c(
図22)に挿通されて板部724に固定される。第2の回動軸823は、カバー受け面724aから回動軸723と平行に前方へ延びる。
第2の回動軸823は、板部724にカシメて固定されるピン部材であり、外側板部751と内側板部761とを締結する。
第2の回動軸823は、正面視で、開口部730を挟んで回動軸723とは反対側に設けられる。
【0172】
支持部材870は、長手方向の一端部が第2の回動軸823に連結されている。支持部材870は、カバー受け面724a上で第2の回動軸823を中心に回動可能である。
支持部材870は、長手方向の他端部側に、棒状の第2のブレース材815の一端部(上端部)が取り付けられるブレース接続部871を備える。第2のブレース材815の他端部(下端部)は、例えば野縁受け13(
図1参照)に接続される。
ブレース材15及び第2のブレース材815が野縁受け13等の接続対象に接続された状態では、支持部材870とカバー部材722とは略直交する姿勢となる。
【0173】
以上説明したように、本発明を適用した第8の実施の形態によれば、板部724に設けられた第2の回動軸823を中心に回動可能な支持部材870が設けられ、第2の回動軸823は、開口部730を挟んで回動軸723とは反対側に設けられ、支持部材870に棒状の第2のブレース材815が接続される。
この構成によれば、開口部730を挟んで回動軸723とは反対側のスペースを利用して、支持部材870を介し第2のブレース材815を固定部材721に回動可能に接続することができる。
【0174】
[第9の実施の形態]
以下、
図28~
図31を参照して、本発明を適用した第9の実施の形態について説明する。この第9の実施の形態において、上記第7の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第9の実施の形態は、カバー部材922が突出部976によって回転を規制される点等が、上記第7の実施の形態と異なる。
【0175】
図28は、第9の実施の形態に係る固定具910が用いられた天井の構造を示す正面図である。
複数の吊りボルト12(棒状部材)は、天井スラブ11から下方に延びる。水平方向に延びる棒状の野縁受け13(天井部材)は、吊りボルト12の下端部に設けられるハンガー14によって支持される。
固定具910は、野縁受け13の上方で吊りボルト12に固定される。固定具910は、落下防止ワイヤー975を介して野縁受け13に接続されている。
【0176】
図29は、固定具910を示す正面図である。
図30は、吊りボルト12に固定された状態の固定具910を示す正面図である。
図31は、吊りボルト12に固定された状態の固定具910を示す斜視図である。
図29では落下防止ワイヤー975は不図示である。
固定具910は、固定部材721と、固定部材721に対し回動可能に取り付けられるカバー部材922と、カバー部材922に接続される落下防止ワイヤー975と、回動軸723とを備える。
固定具910は、固定部材721とカバー部材922との間で吊りボルト12を挟持することで吊りボルト12に固定される。
【0177】
板部724の固定孔724cには、突出部976が固定される。突出部976は、固定孔724cに挿入されて固定孔724cに固定される。突出部976は、板部724から回動軸723と平行に前方へ突出する。
詳細には、突出部976は、カバー受け面724aから前方へ突出する軸部976aと、軸部976aの前端に設けられる頭部976bとを備える。頭部976bは、軸部976aよりも大径である。
突出部976は、例えば固定孔724cに挿入されるボルトであり、外側板部751と内側板部761とを締結する。
【0178】
カバー部材922は、上下方向において、固定部材721よりも長く形成されている。カバー部材922は、板部724のカバー受け面724aに面する回動板部941を備える。また、カバー部材922は、
図29のようにカバー部材922が上下方向に指向する状態において、回動板部941の幅方向の外側縁から前方に立設される外側リブ942aと、回動板部941の幅方向の内側縁から前方に立設される内側リブ942bとを備える。
【0179】
カバー部材922は、カバー部材922の一端部において回動板部941に挿通される回動軸723によって固定部材721に取り付けられ、回動軸723を中心に回動可能である。
カバー部材922の他端部において回動板部941には、落下防止ワイヤー975の一端部が接続されるワイヤー接続部977が設けられる。ワイヤー接続部977は、落下防止ワイヤー975の一端部が通される孔部である。
回動板部941の後面は、カバー受け面724aに当接した状態で回動する当接面943(
図31)である。
【0180】
回動板部941においてワイヤー接続部977と回動軸723との間には、回動板部941を貫通する係合部978が設けられる。係合部978は、回動板部941の下端から上部まで延びる開口である。
また、カバー部材922は、係合部978に連通する逃げ孔979を外側リブ942aに備える。
【0181】
図29のように、棒状部材挿通部727に吊りボルト12をセットし、
図31のように回動軸723を中心にカバー部材922を回転させると、開口部730の一部がカバー部材922によって閉じられ、固定具910が吊りボルト12に固定された固定状態となる。
この固定状態では、カバー部材922の当接面943が吊りボルト12の外周に当接し、吊りボルト12は、当接面943と第1受け部731及びび第2受け部732との間で挟持される。また、固定状態では、開口部730の雌ねじ部730aがねじ部12bに係合している。
【0182】
上記固定状態では、カバー部材922は略水平となり、カバー部材922の係合部978が突出部976に上方から係合している。突出部976は、下方から逃げ孔979を通って突出部976に係合する。
詳細には、
図30及び31に示すように、カバー部材922は、係合部978の上縁が突出部976の軸部976aに上方から当接することで、下方への回動を規制されている。
また、上記固定状態では、頭部976bは、係合部978の前方に位置してカバー部材922の前方への変位を規制し、突出部976からの係合部978の脱落を防止する。
【0183】
落下防止ワイヤー975はカバー部材922から下方に延び、落下防止ワイヤー975の他端部は、野縁受け13に接続される。
図28では、落下防止ワイヤー975は弛んだ状態である。野縁受け13が吊りボルト12から脱落して下方に移動すると、落下防止ワイヤー975は野縁受け13によって下方に引っ張られて張った状態となる。固定具910は、落下防止ワイヤー975を介して野縁受け13を吊りボルト12に支持させている。
【0184】
以上説明したように、本発明を適用した第9の実施の形態によれば、固定部材721は、カバー受け面724aからカバー部材922側に突出する突出部976を、開口部730を挟んで回動軸723とは反対側に備える。カバー部材922が開口部730を覆う状態では、カバー部材922は突出部976に係合して回転を規制される。
この構成によれば、カバー部材922は突出部976に係合して回転を規制されるため、カバー部材922の回転により開口部730が開かれることを防止でき、固定具910を吊りボルト12に強固に固定できる。
【0185】
また、カバー部材922は、突出部976に上方から係合する係合部978を備え、吊りボルト12はカバー部材922の下方で野縁受け13を吊り下げ支持し、野縁受け13とカバー部材922とを接続する落下防止ワイヤー975が設けられる。カバー部材922が落下防止ワイヤー975を介して野縁受け13によって下方に引っ張られると、突出部976が係合部978を下方から受けてカバー部材922の回転が規制される。
この構成によれば、落下防止ワイヤー975が作動した場合であっても、カバー部材922の回転を突出部976によって規制でき、固定具910を吊りボルト12に強固に固定しておくことができる。
【0186】
[第10の実施の形態]
以下、
図32~
図34を参照して、本発明を適用した第10の実施の形態について説明する。この第10の実施の形態において、上記第7の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第10の実施の形態は、カバー部材722とは異なるカバー部材(母材1022)が用いられる点等が、上記第7の実施の形態と異なる。
【0187】
図32は、第10の実施の形態に係る固定具1010が用いられた天井の構造を示す正面図である。
天井には、吊りボルト12の吊り元の部材として、水平に延在する棒状の母材1022が設けられる。
吊りボルト12は、固定部材721を介して母材1022から吊り下げられる。水平方向に延びる棒状の野縁受け13は、吊りボルト12の下端部に設けられるハンガー14によって支持される。
吊りボルト12の上部には、例えば第6の実施の形態の固定具610(
図17参照)が固定され、固定具610に取り付けられたブレース材15の下端部は、野縁受け13に接続されている。
【0188】
吊りボルト12に固定される固定具1010は、固定部材721と、固定部材721に取り付けられ、固定部材721との間で吊りボルト12を挟持するカバー部材としての母材1022とを備える。
【0189】
図33は、固定具1010を下方側から見た斜視図である。
図34は、固定具1010を母材1022の軸方向に見た図である。
母材1022は、断面がC字型のC型チャンネル材である。詳細には、母材1022は、鉛直に延びる縦壁部1022aと、縦壁部1022aの上端及び下端から水平に延出する一対の横壁部1022bと、横壁部1022bの端から鉛直方向に折り返された一対のフランジ壁部1022cとを備える。
【0190】
第10の実施の形態では、固定部材721は、第1受け部731(
図21及び
図25等を参照)に替えて第1受け部1031を備える。
第1受け部1031は、第1凹部765によって構成されている。第1受け部1031では、第1の切り欠き部755(
図22)は設けられておらず、第1の切り欠き部755が形成されていた部分は、第1の外側フランジ部752を構成する板部によって塞がれている。
【0191】
外側固定部材750と内側固定部材760とは、固定孔724c(
図22)及び回動軸固定孔724b(
図22)にそれぞれ挿通される締結具1023によって互いに締結される。締結具1023は、カシメて固定される。
【0192】
固定部材721は、カバー受け面724aを母材1022の縦壁部1022aの外面に当接させた状態で縦壁部1022aに固定される。縦壁部1022aの上記外面は、カバー受け面724aに当接する当接面1043である。当接面1043は、カバー受け面724aと平行な平坦面である。
なお、当接面1043とカバー受け面724aとの間にワッシャー等で構成されるスペーサー(不図示)を配置しても良い。この場合、当接面1043は、スペーサーを介してカバー受け面724aに当接する。
【0193】
固定部材721は、固定部材721の内側から孔724e(
図22参照)に挿通される締結具1059によって縦壁部1022aに固定される。
固定部材721は、第2のフランジ部726の下面が下側の横壁部1022bの下面と略面一となるように、縦壁部1022aの下部に固定されている。
【0194】
固定部材721が縦壁部1022aに固定された状態では、開口部730は、縦壁部1022aによって閉じられる。
図33に示すように、第2のフランジ部726に設けられた第2受け部732は、棒状部材挿通部727を下方に開放させる開口を形成する。
【0195】
作業者は、第2受け部732が形成する開口から吊りボルト12を挿入し、吊りボルト12を回転させることで、ねじ部12bを雌ねじ部730aに螺合させ、吊りボルト12と固定具1010とが固定された固定状態とすることができる。
固定状態では、吊りボルト12は、吊りボルト12の上端が第1凹部765に入り込んで第1の外側フランジ部752の下面に当接するまで締め込まれている。この状態では、母材1022の当接面1043が吊りボルト12の外周に当接し、吊りボルト12は、当接面1043と第1凹部765及び第2凹部766との間で挟持される。また、開口部730の雌ねじ部730aは、ねじ部12bに係合している。
なお、棒状部材挿通部727に吊りボルト12がセットされた状態の固定部材721を縦壁部1022aに固定することで、吊りボルト12と固定具1010とを固定しても良い。
【0196】
図34に示すように、雌ねじ部730aは、深さA1の方向において、雌ねじ部730aが吊りボルト12の軸線12aの位置に重複する位置で吊りボルト12のねじ部12bに係合する。このため、雌ねじ部730aを効果的にねじ部12bに係合させることができる。
【0197】
以上説明したように、本発明を適用した第10の実施の形態によれば、第2受け部732によって形成される開口から吊りボルト12を棒状部材挿通部727に挿入し、ねじ部12bを雌ねじ部730aに螺合可能である。
この構成によれば、第2受け部732よって形成される開口からねじ部12bを雌ねじ部730aに螺合可能であるため、固定具1010を吊りボルト12に容易に取り付けできる。
【0198】
[第11の実施の形態]
以下、
図35~
図36を参照して、本発明を適用した第11の実施の形態について説明する。この第11の実施の形態において、上記第7の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第11の実施の形態は、カバー部材722とは異なるカバー部材1122が用いられる点等が、上記第7の実施の形態と異なる。
【0199】
図35は、第11の実施の形態に係る固定具1110が用いられた天井の構造を側方から見た図である。
図36は、固定具1110を示す斜視図である。
固定具1110は、固定部材721と、固定部材721に取り付けられ、固定部材721との間で吊りボルト12を挟持するカバー部材1122とを備える。
吊りボルト12は、固定具1110を介して、上記第10の実施の形態で説明した母材1022に取り付けられる。
【0200】
カバー部材1122は、固定部材721のカバー受け面724aに取り付けられる縦板部1180と、母材1022に係合する母材係合部1181とを備える。
縦板部1180は、カバー受け面724aと平行に上下に延びる平板である。縦板部1180の下部はカバー受け面724aに取り付けられる。縦板部1180の上部は、固定部材721よりも上方に延出する。
【0201】
母材係合部1181は、縦板部1180の上端部から第1受け部731の深さA1の方向に延出する延出部1181aと、延出部1181aの基端部を下縁から上方に切り欠いた溝部1181bとを備える。
母材係合部1181は、縦板部1180の幅方向の一端部及び他端部にそれぞれ設けられる。
棒状部材挿通部727は、一対の母材係合部1181の間に配置される。母材係合部1181は、第1のフランジ部725の上方に位置する。
【0202】
カバー部材1122は、縦板部1180の孔(不図示)及び回動軸固定孔724b(
図22)に挿通される締結具1123aによって、固定部材721に固定される。
また、カバー部材1122は、縦板部1180の孔(不図示)及び回動軸固定孔724b(
図22)に挿通される締結具1123bによって、固定部材721に固定される。締結具1123bはカシメて固定される。
【0203】
縦板部1180は、カバー受け面724aに当接する当接面1143を備える。当接面1143は、カバー受け面724aと平行な平坦面である。
【0204】
カバー部材1122が固定部材721に固定された状態では、開口部730は、縦板部1180によって閉じられる。
図36に示すように、第2のフランジ部726に設けられた第2受け部732は、棒状部材挿通部727を下方に開放させる開口を形成する。
【0205】
ここで、吊りボルト12及び固定具1110の取り付け手順の一例を説明する。
作業者は、
図36の状態において、第2受け部732が形成する開口から吊りボルト12を挿入し、吊りボルト12を回転させることで、ねじ部12bを雌ねじ部730aに螺合させる。
次に、作業者は、
図35のように、母材係合部1181の溝部1181bを母材1022の下側のフランジ壁部1022cに係合させる。
そして、吊りボルト12をさらに締め込んで、吊りボルト12の上端を下側の横壁部1022bの下面に当接させる。これにより、溝部1181bを上方からフランジ壁部1022cに押し付けることができ、母材係合部1181をフランジ壁部1022cに強固に係合させることができる。
【0206】
吊りボルト12と固定具1110とが固定された固定状態では、カバー部材1122の当接面1143が吊りボルト12の外周に当接する。この固定状態では、吊りボルト12は、当接面1143と第1凹部765及び第2凹部766との間で挟持されとともに、開口部730の雌ねじ部730aがねじ部12bに係合している。
なお、棒状部材挿通部727に吊りボルト12がセットされた状態の固定部材721をカバー部材1122に固定することで、吊りボルト12と固定具1110とを固定しても良い。
【0207】
図35に示すように、雌ねじ部730aは、深さA1の方向において、雌ねじ部730aが吊りボルト12の軸線12aの位置に重複する位置で吊りボルト12のねじ部12bに係合する。このため、雌ねじ部730aを効果的にねじ部12bに係合させることができる。
【0208】
以上説明したように、本発明を適用した第11の実施の形態によれば、第2受け部732によって形成される開口から吊りボルト12を棒状部材挿通部727に挿入し、ねじ部12bを雌ねじ部730aに螺合可能である。
この構成によれば、第2受け部732よって形成される開口からねじ部12bを雌ねじ部730aに螺合可能であるため、固定具1110を吊りボルト12に容易に取り付けできる。
なお、第1受け部731によって形成される開口から吊りボルト12を棒状部材挿通部727に挿入し、ねじ部12bを雌ねじ部730aに螺合させても良い。
【0209】
[第12の実施の形態]
以下、
図37~
図39を参照して、本発明を適用した第12の実施の形態について説明する。
【0210】
図37は、第12の実施の形態において、吊りボルト12に固定された状態の固定具1210を示す正面図である。
図38は、固定具1210の分解斜視図である。
図39は、吊りボルト12に固定された状態の固定具1210を上方から見た平面図である。
【0211】
固定具1210は、例えば
図1に示す吊りボルト12の下端部に固定される。固定具1210に接続されたブレース材15は、上方に斜めに延びて他の吊りボルト12に接続される。
【0212】
固定具1210は、吊りボルト12に係合する固定部材1221と、固定部材1221に取り付けられ、固定部材1221との間で吊りボルト12を挟持するカバー部材1222と、ブレース材15を支持するブレース支持部材1290と、ブレース支持部材1290を回動可能に支持する軸部材1223とを備える。軸部材1223は、例えば、ボルトとナットで構成される。
詳細には、固定部材1221とカバー部材1222とは同一部品である。カバー部材1222は、一方の固定部材1221に対し、他方の固定部材(カバー部材1222)の向きを反転させて一方の固定部材1221に取り付けられる。固定部材1221及びカバー部材1222において同一形状の部分には同一の符号を付して説明する。
また、
図37~
図39では、後方側の固定部材1221を固定部材とし、前方側の固定部材をカバー部材1222として説明する。
【0213】
固定部材1221は、吊りボルト12と平行に吊りボルト12の軸方向に延びる板部1224と、板部1224の一端部(上端部)から延出する第1のフランジ部1225と、板部1224の他端部(下端部)から延出する第2のフランジ部1226と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部1227とを備える。
【0214】
板部1224は、吊りボルト12の軸線12aに直交する正面視(
図37参照)では、略矩形の平板である。
板部1224の板厚方向の一方の面は、カバー部材1222を受ける受け面1224aである。
板部1224には、板部1224を板厚方向に貫通する固定孔1224b(
図38)が一対設けられる。
固定部材1221とカバー部材1222とは、各固定孔1224bに挿通される軸部材1223によって固定される。
【0215】
第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226は、板部1224に対し略直角の向きで、受け面1224a側とは反対方向に延出する。
第1のフランジ部1225と第2のフランジ部1226とは互いに対面するとともに、互いに平行に配置される。
【0216】
図37を参照し、受け面1224aに直交する方向に見た場合に、第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226は、吊りボルト12の軸線12aに対して直交している。すなわち、第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226は、略水平に配置される。
【0217】
棒状部材挿通部1227は、棒状部材挿通部1227に配置される吊りボルト12に沿って板部1224を切り欠いた開口部1230と、第1のフランジ部1225を板部1224側から凹状に切り欠いた第1受け部1231と、第2のフランジ部1226を板部1224側から凹状に切り欠いた第2受け部1232とを備える。
【0218】
開口部1230は、吊りボルト12に沿って板部1224の上端から下端まで連続する縦長の開口である。開口部1230は、固定部材1221の幅方向(左右方向)の中央部に配置される。
ここで、固定具1210における上下方向は、吊りボルト12の軸方向に一致する。固定部材1221の幅方向に一致する左右方向は、軸線12a及び軸部材1223の軸方向に直交する方向であり、固定部材1221の前後方向は、軸部材1223の軸方向である。
【0219】
図37~
図39を参照し、開口部1230は、前方からの正面視において、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む一対の縁部を有し、この縁部には、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む雌ねじ部1230aが形成されている。雌ねじ部1230aの幅は、吊りボルト12の直径よりも僅かに大きい。
吊りボルト12は、吊りボルト12の全長に亘って外周にねじ部12bが形成されている。棒状部材挿通部1227に吊りボルト12が配置されると、雌ねじ部1230aはねじ部12bに係合する。
雌ねじ部1230aは、第1受け部1231と第2受け部1232との間で吊りボルト12の軸方向に延びる。
【0220】
第1受け部1231は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第1受け部1231の底部1232aは受け面1224aと略平行である。第1受け部1231は、開口部1230の上端に連通している。
第1受け部1231の幅は、吊りボルト12の直径よりも大きい。
図39に示されるように、受け面1224aからの第1受け部1231の底部1231aの深さA2は、吊りボルト12の直径の半分の大きさに設定されている。
【0221】
第2受け部1232は、上方から見ると略矩形の切り欠きであり、第2受け部1232の底部1232aは受け面1224aと略平行である。第2受け部1232は、開口部1230の下端に連通している。
第2受け部1232の幅は、吊りボルト12の直径よりも大きい。
【0222】
受け面1224aからの第2受け部1232の底部1232aの深さA2(
図39の底部1231aの深さA2を参照)は、吊りボルト12の直径の半分の大きさに設定されている。
【0223】
固定具1210は、固定具1210の幅方向において、第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226の一端部に、切り欠き部1291を備える。切り欠き部1291では、第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226は、その延出方向における全体が切り欠かれている。
【0224】
正面視において、軸部材1223は、開口部1230を挟むように左右一対設けられる。
【0225】
板部1224において受け面1224aの反対側の面は、ブレース支持部材1290が取り付けられる内面1224cである。
板状のブレース支持部材1290は、軸部材1223によって回動自在に支持され、内面1224cに沿って回動する。
ブレース支持部材1290は、左右一対の軸部材1223のうち、切り欠き部1291が設けられた側に位置する軸部材1223に支持される。切り欠き部1291が設けられることで、ブレース支持部材1290と第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226との間隔を確保でき、ブレース支持部材1290の回動範囲を大きく確保できる。
【0226】
固定部材1221とカバー部材1222とは、受け面1224a同士が当接し、且つ、固定部材1221の棒状部材挿通部1227とカバー部材1222の棒状部材挿通部1227とが合わさるように配置され、軸部材1223によって締結されている。
詳細には、カバー部材1222は、固定部材1221を吊りボルト12周りに180°回転させて配置したものである。
このように固定部材1221とカバー部材1222とが結合された結合状態では、固定部材1221側ではブレース支持部材1290及び切り欠き部1291は左端側に位置し、カバー部材1222側ではブレース支持部材1290及び切り欠き部1291は右端側に位置する。
【0227】
また、上記結合状態では、
図39に示すように、固定部材1221側の深さA2とカバー部材1222側の深さA2とが合わさる。これにより、向かい合う一対の第1受け部1231の間の距離及び向かい合う一対の第2受け部1232の間の距離が吊りボルト12の直径と同等となる。
さらに、上記結合状態では、固定部材1221の雌ねじ部1230aとカバー部材1222の雌ねじ部1230aとが合わさることで、板厚方向における雌ねじ部1230aの厚さが大きくなる。
【0228】
固定具1210を吊りボルト12に固定する際には、固定部材1221とカバー部材1222とで吊りボルト12を挟み、軸部材1223を締結すれば良い。このように、固定具1210が吊りボルト12に固定された固定状態では、吊りボルト12が一対の第1受け部1231の間及び一対の第2受け部1232の間に挟持されるとともに、開口部1230の雌ねじ部1230aがねじ部12bに係合している。
また、深さA2の方向において、雌ねじ部1230aの位置と吊りボルト12の軸線12aの位置とは重複している。
なお、第2受け部1232が形成する開口または第1受け部1231が形成する開口から吊りボルト12を挿入し、吊りボルト12を回転させることで、ねじ部12bを雌ねじ部1230aに螺合させても良い。
【0229】
以上説明したように、本発明を適用した第12の実施の形態によれば、固定具1210は、吊りボルト12に係合する固定部材1221と、固定部材1221に取り付けられ、固定部材1221との間で吊りボルト12を挟持するカバー部材1222とを備える。固定部材1221は、吊りボルト12の軸方向に延びる板部1224と、板部1224から延出する第1のフランジ部1225と、第1のフランジ部1225に対し吊りボルト12の軸方向に離れた位置で板部1224から延出する第2のフランジ部1226と、吊りボルト12が挿通される棒状部材挿通部1227とを備える。棒状部材挿通部1227は、吊りボルト12に沿って板部1224を切り欠いた開口部1230と、第1のフランジ部1225を板部1224側から凹状に切り欠いた第1受け部1231と、第2のフランジ部1226を板部1224側から凹状に切り欠いた第2受け部1232とを備える。開口部1230の縁部には、吊りボルト12を径方向の両外側から挟む雌ねじ部1230aが形成され、固定部材1221とカバー部材1222との間に挟持された吊りボルト12は、第1受け部1231及び第2受け部1232に当接するとともに、吊りボルト12の外周のねじ部12bが雌ねじ部1230aに係合している。
この構成によれば、板部1224から延出する第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226は、板部1224に対し補強リブとして機能するため、固定部材1221の剛性が増加し、外力による固定部材1221の変形を抑制できる。さらに、第1のフランジ部1225及び第2のフランジ部1226を利用して設けた第1受け部1231及び第2受け部1232によって吊りボルト12を受けることができるとともに、板部1224を切り欠いた開口部1230に設けられた雌ねじ部1230aに吊りボルト12のねじ部12bが係合するため、簡単な構造で固定具1210を吊りボルト12に強固に固定できる。
【0230】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0231】
10:固定具
12,212a,312a:吊りボルト(第1の棒状部材)
12a:軸線
12b:ねじ部
15:ブレース材(第2の棒状部材)
21,421,471,481,521:固定部材
22,222,252,322:可動部材
23:回動軸
24:板部
24a:外側面(板部の板面)
25:第1のフランジ部
26:第2のフランジ部
27:棒状部材挿通部
30:開口部
31:第1の係合部
32:第2の係合部
33:一端
33a:一端側当接面
34:他端
34a:他端側当接面
35:第1のリブ
36:第2のリブ
37:内壁部
43:当接部
43a:切り欠き部
44:取付部
210:第2の固定具(固定具)
215a:上側ブレース材(第2の棒状部材)
215b:下側ブレース材(第2の棒状部材)
310a,310e:第3の固定具(固定具)
315a:第1のブレース材(第2の棒状部材)
315b:第2のブレース材(第1の棒状部材)
D:距離
L:リード角
P:ピッチ
R:直交線
θ:傾斜角
12:吊りボルト(棒状部材)
13:野縁受け(天井部材)
610,710,810,910,1010,1110,1210:固定具
621,721,1221:固定部材
622,722,922,1122,1222:カバー部材
623,723:回動軸
624,724,1224:板部
624a,724a:カバー受け面
625,725,1225:第1のフランジ部
626,726,1226:第2のフランジ部
627,727,1227:棒状部材挿通部
630,730,1230:開口部
630a,730a,1230a:雌ねじ部
631,731,1031,1231:第1受け部
632,732,1232:第2受け部
643,743,1043,1143:当接面
644,744:取付部
650,750:外側固定部材
654,754:外側開口部
660,760:内側固定部材
815:第2のブレース材
823:第2の回動軸
870:支持部材
975:落下防止ワイヤー
976:突出部
978:係合部
1022:母材(カバー部材)
A,A1:深さ