(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018909
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】カンナビジオール懸濁液を含有する可溶性マイクロニードル及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20250130BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20250130BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250130BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250130BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250130BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20250130BHJP
A61P 39/06 20060101ALN20250130BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20250130BHJP
A61P 25/28 20060101ALN20250130BHJP
A61P 25/08 20060101ALN20250130BHJP
【FI】
A61M37/00 505
A61K31/05
A61K9/00
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/36
A61P29/00
A61P39/06
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064211
(22)【出願日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】202310918980.2
(32)【優先日】2023-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】513065550
【氏名又は名称】中国科学院理化技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】521085113
【氏名又は名称】中科微針(北京)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】高 雲華
(72)【発明者】
【氏名】成 阿果
(72)【発明者】
【氏名】劉 寒
(72)【発明者】
【氏名】張 鎖慧
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC04
4C076DD09Q
4C076EE06
4C076EE16
4C076EE16Q
4C076EE23Q
4C076EE32
4C076EE32Q
4C076EE37
4C076EE37Q
4C076FF63
4C206AA02
4C206CA19
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA31
4C206MA83
4C206NA13
4C206ZA02
4C206ZA06
4C206ZA16
4C206ZB11
4C206ZC21
4C267AA72
4C267BB05
4C267BB23
4C267CC05
4C267FF10
4C267GG12
4C267GG16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カンナビジオールのナノ化方法、それにより調製されたナノ化されたカンナビジオール懸濁液及びその応用を提供する。
【解決手段】カンナビジオールのナノ化方法は、カンナビジオールを良溶媒内に溶解してカンナビジオール-良溶媒溶液を得るステップと、カンナビジオール-良溶媒溶液を安定剤の水溶液内に加え、超音波処理後、回転蒸発によって良溶媒を除去し、ナノ化されたカンナビジオール懸濁液を得るステップと、を含む。安定剤はポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びキトサンから選択される1種又は数種である。難溶性薬物ナノ化技術により、カンナビジオールの粒径を小さくし、カンナビジオールナノ懸濁液を得、且つ当該懸濁液では、ナノ化されたカンナビジオールの固体含有量が高く、当該方法はカンナビジオールに対する可溶化作用を実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性マイクロニードルであって、ナノ化されたカンナビジオール懸濁液の薬物成分及び賦形剤を含有する原料で調製され、前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液の調製は、
カンナビジオールを良溶媒内に溶解してカンナビジオール-良溶媒溶液を得るステップであって、前記良溶媒はエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジクロルエタン及びポリエチレングリコールから選択される1種又は数種であるステップと、
カンナビジオール-良溶媒溶液を安定剤の水溶液内に加え、超音波処理後、回転蒸発によって良溶媒を除去し、ナノ化されたカンナビジオール懸濁液を得るステップであって、前記超音波のパワーは25~75Wであり、超音波の時間は5~30minであるステップと、を含み、
ここで、前記安定剤はポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルキトサンから選択される1種又は数種であり、
前記カンナビジオールと安定剤の質量比は1:0.3~1:5であり、
前記賦形剤はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチル基セルロースナトリウム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロースから選択される1種であり、
前記可溶性マイクロニードルにおいて、ナノ化されたカンナビジオールの含有量は1.5~25wt%である、ことを特徴とする可溶性マイクロニードル。
【請求項2】
前記カンナビジオール-良溶媒溶液において、カンナビジオールの濃度は20~500mg/mLである、ことを特徴とする請求項1に記載の可溶性マイクロニードル。
【請求項3】
前記安定剤の水溶液において、安定剤の濃度は10~100mg/mLである、ことを特徴とする請求項1に記載の可溶性マイクロニードル。
【請求項4】
前記良溶媒と水の体積比は1:1~1:10である、ことを特徴とする請求項1に記載の可溶性マイクロニードル。
【請求項5】
前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液において、ナノ化されたカンナビジオールの濃度は10~100mg/mLであり、粒径は50~1000nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の可溶性マイクロニードル。
【請求項6】
前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液を含有する薬物成分と賦形剤を混合して水溶液を得るステップと、
前記水溶液をマイクロニードル金型又はマイクロニードル針先金型内に置き、乾燥して前記マイクロニードル又は可溶性マイクロニードルの針先を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の可溶性マイクロニードルの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカンナビジオールのナノ化技術分野に関する。より具体的には、カンナビジオールのナノ化方法、それにより調製されたナノ化されたカンナビジオール懸濁液及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビジオールは工業用大麻における含有量が最も豊富なカンナビノイドであり、それは精神活性を有さず、基本的に毒性や副作用がない。カンナビジオールはその治療の有益な潜在力により科学界の大きな注目を引き起こす。研究により、カンナビジオールは抗炎症、抗壊死及び抗酸化作用を有し、多発性硬化症、アルツハイマー病、てんかん及びパーキンソン病患者に対して顕著な治療用途を有する。現在市販されているのは、Epidiolex(登録商標)(純粋なCBDの経口溶液)及びSativex(登録商標)(CBD及びΔ-9THC口腔粘膜噴霧剤)を含む2種類の米国FDAが承認したカンナビジオール製品である。しかしカンナビジオールの水溶性が低く、消化管システムの吸収不安定性及び初回通過効果により、その経口投与の生物学的利用度は約6%である。また、カンナビジオールの極端な親油性(logP:5.79)により、それを皮膚の角質層に留まりやすくさせ、カンナビジオールをより深い皮膚に輸送することは一定の挑戦性を有する。そのため受動拡散系の経皮システムはカンナビジオールの体内における循環を実現しにくい。
【0003】
ナノ化は製薬プロセスとして定義され、活性薬物成分の粒径をナノサイズ範囲に小さくすることに関する。これは、サブミクロン範囲の粒径、すなわち<1μmの粒径が達成されることを意味する。ノイブル-ホイートンの方程式によれば、薬物の粒径が小さくなるとその表面積が大きくなるため、溶出速度が比例的に増加し、難溶性薬物の吸収率が向上する。近年、アサヒ二フェノールの溶解度及び生物学的利用度を向上させるために、研究者は様々なアサヒ二フェノールのナノ化方法を開発し、例えば経口自己乳化システム、ナノリポソーム及びナノミセル等であるが、これらの方法はアサヒ二フェノールに対する可溶化が制限されやすく、且つシステムが不安定な場合が存在する。
【0004】
マイクロニードルは能動的な皮膚浸透強化技術であり、マイクロニードルは針状構造を呈し、その長さは通常数百ミクロンであり、皮膚にミクロンサイズの孔を形成し、薬物の伝達を強化する。これらは痛みに関連する神経を刺激せず、患者のコンプライアンスを増加させ、痛みを軽減することができる。
【0005】
カンナビジオールの水溶性が悪く、経口生物利用度が低く、従来技術の可溶化量が限られ及び不安定等の状況に対し、高用量カンナビジオールナノ化技術を開発する必要があり、且つマイクロ注射剤型と結合し、カンナビジオールの貯蔵安定性及び皮膚浸透率を向上させ、投与頻度を減らし、生物利用度及び患者の利便性を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の問題に基づき、本発明の目的はカンナビジオールのナノ化方法、それにより調製されたナノ化されたカンナビジオール懸濁液及びその応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用し、
一態様において、本発明により提供されるカンナビジオールのナノ化方法は、
カンナビジオールを良溶媒内に溶解してカンナビジオール-良溶媒溶液を得るステップと、
カンナビジオール-良溶媒溶液を安定剤の水溶液内に加え、超音波処理後、回転蒸発によって良溶媒を除去し、ナノ化されたカンナビジオール懸濁液を得るステップと、を含み、
ここで、前記安定剤はポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びキトサンから選択される1種又は数種である。この時、得られたナノ化されたカンナビジオールのナノ懸濁液におけるナノ化されたカンナビジオールの濃度が高く、薬物負荷率が高く且つ懸濁液におけるナノ化されたカンナビジオールの粒径をよく制御することができる。
【0008】
さらに、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルはポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(Brij 58)又はポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(Brij 98)から選択される。
【0009】
さらに、安定剤がポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びキトサンから選択される数種の混合である場合、混合割合に要求されず、任意の割合で混合することができる。例示的には、前記安定剤はポリソルベートとヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合から選択され、両者の混合質量比は1:0.5であり、前記安定剤はポリソルベートとポリビニルピロリドンの混合から選択され、両者の混合質量比は1:0.5~1:0.7であり、前記安定剤はポリソルベートとカルボキシメチルキトサンの混合から選択され、両者の混合質量比は1:0.7~1:0.8であり、前記安定剤はポロキサマーとポリビニルピロリドンの混合から選択され、両者の混合質量比は1:0.4等である。
【0010】
さらに、前記カンナビジオールと安定剤の質量比は1:0.1~1:10である。いくつかのより具体的な例では、前記カンナビジオールと安定剤の質量比は、1:0.1~1:5、1:0.1~1:3、1:0.1~1:2、1:0.1~1:1.2、1:0.1~1:0.8、1:0.1~1:0.6、1:0.1~1:0.5、1:0.3~1:5、1:0.3~1:3、1:0.3~1:2、1:0.3~1:1.2、1:0.3~1:0.8、1:0.3~1:0.6、1:0.3~1:0.5、1:0.5~1:5、1:0.5~1:3、1:0.5~1:2、1:0.5~1:1.2、1:0.5~1:0.8、1:0.5~1:0.6、1:0.3、1:0.5:1:0.6、1:0.8、1:1.2等を含むが、これらに限定されない。この時、得られたナノ化されたカンナビジオールのナノ懸濁液におけるナノ化されたカンナビジオールの濃度が高く、薬物負荷率が高く且つ懸濁液におけるナノ化されたカンナビジオールの粒径をよく制御することができる。
【0011】
さらに、前記カンナビジオール-良溶媒溶液において、カンナビジオールの濃度は20~500mg/mLである。いくつかのより具体的な例では、前記カンナビジオール-良溶媒溶液において、カンナビジオールの濃度は25~500mg/mL、25~400mg/mL、25~300mg/mL、25~200mg/mL、25~150mg/mL、25~100mg/mL、100~500mg/mL、100~400mg/mL、100~300mg/mL、100~200mg/mL、100~150mg/mL、150~500mg/mL、150~400mg/mL、150~300mg/mL、150~200mg/mL、200~500mg/mL、200~400mg/mL、200~300mg/mL、300~500mg/mL、300~400mg/mL、25mg/mL、100mg/mL、150mg/mL、200mg/mL300mg/mL、400mg/mL、500mg/mL等を含むが、これらに限定されない。
【0012】
さらに、前記良溶媒はエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジクロロエタン及びポリエチレングリコールから選択される1種又は数種である。
【0013】
さらに、前記安定剤の水溶液において、安定剤の濃度は10~100mg/mLである。いくつかのより具体的な例では、前記安定剤の水溶液において、安定剤の濃度は20~50mg/mL、20~30mg/mL、30~50mg/mL、20mg/mL、30mg/mL等を含むが、これらに限定されない。
【0014】
さらに、前記良溶媒と水の体積比は1:1~1:10である。いくつかのより具体的な例では、前記良溶媒と水の体積比は1:1~1:7、1:1~1:5、1:1~1:5、1:1~1:3、1:1~1:2、1:2~1:7、1:2~1:5、1:2~1:5、1:2~1:3、1:3~1:7、1:3~1:5、1:3~1:5、1:1、1:2、1:3、1:4:1.5、1:7、1:10等を含むが、これらに限定されない。
【0015】
さらに、前記超音波のパワーは25~75Wであり、超音波の時間は5~30minである。
【0016】
さらに、前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液において、ナノ化されたカンナビジオールの濃度は10~100mg/mLであり、粒径は50~1000nmである。
【0017】
さらなる態様において、本発明はナノ化されたカンナビジオール懸濁液を提供し、それは上記方法で調製される。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、上記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液の薬物成分及び賦形剤を含有する原料で調製される可溶性マイクロニードルを提供する。
【0019】
さらに、前記可溶性マイクロニードルにおいて、ナノ化されたカンナビジオールの含有量は1.5~25wt%である。
【0020】
さらに、前記賦形剤はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、カルボキシメチル基セルロースナトリウム及びヒドロキシエチルセルロースから選択される1種又は数種である。
【0021】
さらに、前記原料にはさらにポロゲンが含まれる。ポロゲンの作用は針先溶解を促進することを含む。
【0022】
さらに、ポロゲンは、毛皮内の水分子が針先基質の内部に入り、薬物放出速度を調節することに役立つ。前記ポロゲンはトレハロース、マルトース、スクロース及び塩化マグネシウムから選択される1種又は数種を含むがそれらに限定されない。
【0023】
さらに、前記可溶性マイクロニードルは一体式ニードル又は階層ニードルである。前記可溶性マイクロニードルが階層化ニードルである場合、前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液の薬物成分は針先部分に位置する。
【0024】
さらに、前記可溶性マイクロニードルはコーティングマイクロニードルである。
【0025】
さらなる態様において、本発明により提供される上記可溶性マイクロニードルの調製方法は、
前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液を含有する薬物成分と賦形剤を混合して水溶液を得るステップと、
前記水溶液をマイクロニードル金型又はマイクロニードル針先金型内に置き、乾燥して前記マイクロニードル又は可溶性マイクロニードルの針先を得るステップと、を含む。
【0026】
さらに、前記可溶性が一体式ニードルである場合、その調製方法は、
前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液を含有する薬物成分と賦形剤を混合して水溶液を得るステップと、
前記水溶液をマイクロニードル金型内に置き、乾燥して前記マイクロニードルを得るステップと、を含み、
前記可溶性マイクロニードルが階層化ニードルである場合、その調製方法は、
前記ナノ化されたカンナビジオール懸濁液を含有する薬物成分及び賦形剤を混合して針先水溶液を得るステップと、
前記針先水溶液をマイクロニードル金型内に置いて乾燥するステップと、
さらに下地液を滴下し、金型に負圧真空引きを行い、乾燥して前記マイクロニードルを得るステップと、を含む。
【0027】
さらに、前記水溶液において、賦形剤の固形分含有量は10~25%であり、ポロゲンの固形分含有量は0.03~1%である。
【発明の効果】
【0028】
本発明により提供されるカカンナビジオールのナノ化方法において、難溶性薬物ナノ化技術により、難溶性薬物カンナビジオールの粒径を小さくし、カンナビジオールナノ懸濁液を得、且つ当該懸濁液では、ナノ化されたカンナビジオールの固体含有量が高く、当該方法はカンナビジオールに対する可溶化作用を実現する。本発明により提供される可溶性マイクロニードルの調製方法において、カンナビジオールナノ懸濁液に賦形剤を加えた後、マイクロニードルを調製し、従来のナノ化難溶性薬物懸濁液の固体化方法を省略し、ナノ化薬物の安定性を向上させ、マイクロニードルの薬物標的性を利用して難溶性薬物の経皮投与を完了し、カンナビジオールの皮膚浸透率を向上させ、経口薬物に比べて投与頻度を減らし、生体利用度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【
図1】本発明の実施例10において調製されたカンナビジオールナノ懸濁液の粒径分布図を示す。
【
図2】本発明の実施例30において調製されたマイクロニードルの光学顕微鏡写真を示す。
【
図3】本発明の実施例30において調製されたマイクロニードルを生体外豚皮に突き刺した後のトリパンブルー染色結果を示す。
【
図4】本発明の実施例39において調製されたマイクロニードルを生体外豚皮に突き刺した後の溶解高さの変化図を示す。
【
図5】本発明の実施例39において調製されたマイクロニードルの体外薬物放出の曲線図を示す。
【
図6】本発明の実施例39において調製されたマイクロニードルの経皮累積浸透量の曲線図を示す。
【
図7】本発明の実施例39において調製されたマイクロニードルのラット体内の薬物代謝動態学実験結果を示す。
【
図8】本発明の実施例47において調製された分層マイクロニードルの蛍光顕微鏡におけるトポグラフィー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願をより明確に説明するために、以下、好ましい実施例及び図面を合わせて本発明についてさらに説明する。図面において同様の構成要素は同じ参照符号で示されている。以下に具体的に記載される内容は、例示的であって限定的ではないこと、及びそれにより本発明の保護範囲が限定されるべきではないことが、当業者によって理解されるであろう。
【0031】
(実施例1)
カンナビジオールナノ懸濁液の調製及び評価:
以下のステップに応じてカンナビジオール懸濁液を調製する:
カンナビジオールナノ懸濁液の調製:0.20gのカンナビジオールを1mLの無水エタノールに溶解し、有機相とし、2%(w/w)のポリソルベート水溶液を水相とし、2つの混合体積比を1:5に制御し、有機相を水相に徐々に滴下し、且つ45Wの電力で10min超音波し、得られた混合溶液をスピン蒸発して有機溶媒を除去し、ポリソルベート-カンナビジオールナノ懸濁液を得た。
含有量テスト:実施例1の溶液を移動相アセトニトリル:水=75:25で100倍希釈し、高速液体クロマトグラフィーにより含量テストを行い、薬物負荷率の算出を行った。
薬物負荷率=実際に測定されたカンナビジオール濃度/理論的に得られたカンナビジオール濃度×100%、
理論的に得られたカンナビジオール濃度=カンナビジオール添加量/水相体積。
粒径テスト:実施例1において調製されたサンプルを超純水で100倍希釈した後、ナノ粒子径電位分析計(Mastersizer2000)を用いて測定した。
テストにより、測定されたナノ懸濁液におけるカンナビジオールの濃度は24.7mg/mLであり、薬物負荷率は61.8%であり、ナノ化されたカンナビジオールの粒径は284nm程度である。
【0032】
(比較例1)
撹拌してカンナビジオールナノ懸濁液を調製する:
0.20gのカンナビジオールを1mLの無水エタノールに溶解し、有機相とし、2%(w/w)のポリソルベート水溶液を水相とし、2つの混合体積比を1:5に制御し、磁気撹拌下で有機相を水相に徐々に滴下し、得られた混合溶液をスピン蒸発して有機溶媒を除去し、ポリソルベート-カンナビジオールナノ懸濁液を得た。
テストにより、測定されたカンナビジオールの濃度は17.0mg/mLであり、薬物負荷率は42.5%であった。粒径の大きさは93nm程度であった。
【0033】
(比較例2)
撹拌してカンナビジオールナノエマルジョンを調製する:
0.20gのカンナビジオールを5mLの2%(w/w)ポリソルベート水溶液に直接添加し、24時間磁気撹拌した後、最終的にカンナビジオールを含有するエマルジョンを得た。
テストにより、測定されたカンナビジオールの濃度は10.1mg/mLであり、薬物負荷率は25.2%であり、カンナビジオールの粒径の大きさは55nm程度であった。
【0034】
(実施例2~実施例9)
調製方法は実施例1を参照し、そのうち実施例2~9における各成分のパラメータは表1に示すとおりである。
【0035】
【0036】
以上の結果から明らかなように、実施例における超音波逆溶媒沈殿法は比較例1~2に用いられる方法に比べてカンナビジオールに対してより良好な可溶化効果を有する。
【0037】
(実施例10)
カンナビジオールナノ懸濁液の調製は以下のステップを含み、
0.30gのカンナビジオールを1mLの無水エタノールに溶解し、有機相とし、3%(w/w)のポリソルベート水溶液を水相とし、2つの混合体積比を1:5に制御し、有機相を水相に徐々に滴下し、且つ45Wの電力で10min超音波し、得られた混合溶液をスピン蒸発して有機溶媒を除去し、カンナビジオールナノ懸濁液を得た。
テストにより、最終的に得られた懸濁液におけるカンナビジオールの濃度は46.4mg/mLであり、薬物負荷率は77.33%であった。
図1に示すように、実施例10で得られた懸濁液内のカンナビジオールの粒径の大きさは128nm程度であった。
【0038】
(実施例11~24、比較例3~6)
異なる安定剤を選択してカンナビジオールナノ懸濁液を調製し、方法は実施例1と同じであり、処方は以下の表2に示すとおりである。
【0039】
【0040】
以上の結果から明らかなように、比較例3~6に用いられる安定剤はカンナビジオールナノ懸濁液をよく調製することができず、理想的な可溶化作用及び安定作用を果たすことができない。実施例12~24における安定剤処方において調製されたカンナビジオールナノ懸濁液の粒径は50~1000nmの間にあり、濃度は10~60mg/mLであった。
【0041】
(実施例25~29)
実施例10を参照し、異なる超音波パワー及び時間を用いてカンナビジオールナノ懸濁液を調製し、処方及び結果は以下の表3に示すとおりである。
【0042】
【0043】
以上の結果から明らかなように、実施例26~29は、超音波パワーが25~75Wであり、超音波時間が5~30minの範囲においていずれも目標の濃度及びナノ化要求を満たすことができる。
【0044】
(実施例30)
ナノ化大麻二フェノールを担持する一体化マイクロニードルの調製方法は以下のステップを含み、
(1)マイクロニードル溶液の調製:
上記実施例10において調製された4.0gのカンナビジオールナノ懸濁液を取り、内に賦形剤ポリビニルピロリドン1.0gを加え、両者を均一に混合した後に遠心して気泡を除去した。
(2)マイクロニードルの調製:
PDMS金型にマイクロニードル溶液を60μL加え、5min真空引きし、室温で乾燥し、マイクロニードルを得た。
(3)マイクロニードルの各パラメータの検査
マイクロニードル完全性:マイクロニードル全体の形態を実体顕微鏡で観察し、完全に離型できるか、針先形態が完全であるか否かを観察する。実施例30におけるマイクロニードルの光学顕微鏡でのトポグラフィーは
図2に示すとおりであり、マイクロニードルアレイは144個(12×12)の円錐形アレイで構成され、面積は0.56cm2であり、ニードルの高さは500μmであった。
マイクロニードルの穿刺性:幼獣の耳部皮膚を使用し、適量の面積を切り取り、マイクロニードルの針先を平らに下に向け、マイクロニードルの背部から20Nの針送り押圧を行い、10s押し続け、押圧が完了した後にマイクロニードルを皮膚内から取り出し、針塗布部位の皮膚にトリパンブルー染色溶液を滴下し、5min染色した後に皮膚を洗浄し、整然とした着色針穴アレイが観察されると穿刺性を有する。実施例30の穿刺結果は
図3に示すとおりであり、肉眼で観測されたピンホールが明らかであり、当該皮膚の一枚を取り外すとピンホールアレイが整然とし、より完全なものとなる。
【0045】
(実施例31~34及び比較例7~11)
比較例7~11及び実施例31~34は発明者が試みた賦形剤において調製された一体型溶解マイクロニードルを列挙し、比較例における賦形剤はポリグルタミン酸(γ-PGA)、コンドロイチン硫酸(CS)、デキストラン(DEX)、ヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HHPC)を含み、実施例における賦形剤はポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロン酸(HA)、ヒドロキシエチルセルロース(EC)、カルボキシメチル基セルロースナトリウム(CMC)を含み、いずれも実施例30の方法に基づき、表1に示された物質の重量百分比に基づいて調製された。
【0046】
実施例30と同様の方法でマイクロニードルの完全性、穿刺性及び針体色を検出し、検出結果を表4に示す。
【0047】
【0048】
表4から分かるように、比較例7~11は異なるマイクロニードル基質材料を用い、そのうちγ-PGA、CS及びHPMCで針を形成する時に黄変現象が発生し、DEXマイクロニードルが脆くなり、針先が剥離する時に切断しやすく、いずれも製剤の外観要件に合致せず、HHPCをマイクロニードル材料とする場合、マイクロニードルは穿刺性がなく、マイクロニードル製剤の使用要求に合致せず、PVA、PVP、CMC、HA及びECをマイクロニードル材料とする場合、外観及び穿刺性はいずれも製剤の外観及び使用要求を満たすことができる。
【0049】
(実施例35~36及び比較例12)
可溶性マイクロニードルにおけるカンナビジオールの占める割合の範囲:
調製されたナノ化カンナビジオールの濃度範囲が10~100mg/mLであるため、それがマイクロニードルに調製する薬物担持率の上下限を必要とする。そしてカンナビジオールの濃度が10mg/mLであることを選択してマイクロニードルの薬物負荷率の下限を考察し、カンナビジオールの濃度が100mg/mLであることを選択して薬物負荷率の上限を考察した。
実施例30の調製方法に基づき、表5に示した物質重量百分率でマイクロニードルを調製し、且つその成針性及びマイクロニードルの薬物負荷率を考察した。
マイクロニードル含有量テスト:マイクロニードルサンプル1枚を遠心チューブに入れ、その内に移動相(アセトニトリル:水=75:25)を3mL加え、ボルテックスメーターで120分間振盪してカンナビジオールを抽出し、さらに0.22μmの濾過膜で液相バイアルに濾過し、HPLCテストを行った。
マイクロニードルにおけるカンナビジオールの割合=カンナビジオールの含有量/マイクロニードルにおける固形総含有量×100%。
【0050】
【0051】
マイクロニードルの薬物担持率はカンナビジオールの添加量及び賦形剤の質量比率に関連し、薬物担持率の下限を検討すると、賦形剤の比率を可能な限り高めるべきである。実施例35は70%の質量分率の賦形剤を選択し、得られたマイクロニードルは針形成性が良好であり、薬物負荷率が1.5%であり、質量比率がより高い賦形剤を調製する場合、カンナビジオールに対するマイクロニードルの薬物負荷率がより低いべきであり、実施例36において調製されたマイクロニードルは針先が完全で、靭性に優れ、ただし、比較例12については、PVAの割合を低くすると、マイクロニードルの靭性が不十分となり、針先切れが発生したため、マイクロニードルカンナビジオールの薬担持率を25%以内に制限することが好ましい。
【0052】
(実施例37~42及び比較例13)
異なるポロゲンを加えてナノ化カンナビジオールを担持する一体式マイクロニードルを調製する:
(1)マイクロニードル溶液の調製:
上記実施例10において調製されたカンナビジオールナノ懸濁液を5.0g取り、内に賦形剤であるヒアルロン酸を0.70g、PVPを0.30g加える。続いて、表6に示す処方に応じてポロゲンを加え、均一に混合した後に遠心して気泡を除去した。
(2)マイクロニードルの調製:
PDMS金型にマイクロニードル溶液を60μL加え、5min真空引きし、室温で乾燥し、マイクロニードルを得た。
(3)マイクロニードル溶解性実験:
マイクロニードルを体外豚皮に30s貼付し、且つ感圧接着剤をベース層に貼付し、一定時間維持した。マイクロニードルの経皮溶解性を特徴づけるために、残ったマイクロニードルを蛍光顕微鏡下に置き、マイクロニードル高さの変化を研究した。
【0053】
図4は、実施例39において調製されたマイクロニードル溶解性実験の結果を示す。分かるように、当該マイクロニードルの溶解速度が速く、10min内に針先がほぼ完全に溶解し、マイクロニードルが皮内に速やかに入り、薬物を放出することができる。
【0054】
【0055】
以上の結果から分かるように、ポロゲンを添加した後、マイクロニードルの皮内における溶解速度を向上させ、薬物の放出に役立つことを示す。
【0056】
(実施例43)
カンナビジオールマイクロニードルの加速安定性含有量のテスト:
実施例39におけるマイクロニードルパッチをブリスターとアルミプラスチックバッグで包装し、50℃環境に3ヶ月間放置して保存した。0日目及び3ヶ月目の一体型マイクロニードルについて、高速液体クロマトグラフィーを用いて、カンナビジオールの含有量を測定した。液相テスト後に測定されたマイクロニードルの含有量は99.3%を保持することができ、カンナビジオールをマイクロニードルに調製した後、薬物の良好な安定性を保持することができ、且つマイクロニードル剤型は貯蔵及び輸送しやすい。
【0057】
(実施例44)
カンナビジオールマイクロニードルの体外薬物放出の測定:
実施例において調製されたマイクロニードルを採取した。1枚のマイクロニードルを取り、透析バッグ内に入れ、200μLの受容液で分散させた後、透析バッグを精密に密封し、5mLの受容液が入った栓付三角フラスコ内に懸濁した。受容液は1%ポリソルベート80-PBS溶液であった。三角フラスコ内に磁気子が取り付けられ、磁気撹拌速度は280rpmであり、且つ37±0.2℃の恒温水槽に置き、タイミングで三角フラスコ内のサンプルを全部取り出すと共に、同じ体積の放出媒体を補充した。取り出した液を0.45μmの濾過膜で濾過した後、液相バイアルに移し、高速液体クロマトグラフィーテストにより、サンプルにおけるカンナビジオールの濃度を得た。
【0058】
図5は、実施例39で得られたマイクロニードル体外薬物放出率曲線を示す。実施例39のマイクロニードルは、2h前から急激に放出され、71.25±1.19%の放出度を達成することができ、8h後の累積放出曲線が滑らかになり、最終的に完全に放出されていることが分かる。
【0059】
(実施例45)
カンナビジオールマイクロニードルのラット体内の皮膚動力学実験
雄性成人SDラット(重量約250g)を固定し、脱毛クリームを用いてその腹部皮膚を脱毛処理し、得られたマイクロニードルをその皮膚に垂直に突き刺し、2、4、8、12、24時間押し続けた後、マイクロニードルアレイを取り外し、医療用アルコールで綿球をつけて皮膚を2回洗浄し、取り外したパッチと共に5mLの遠心チューブに入れて保存した。残存マイクロニードル含量の抽出を行い、高速液体クロマトグラフィーにより含量分析を行った。
【0060】
図6は実施例39で得られたマイクロニードルについてラット体内の皮膚動力学実験を行った後のマイクロニードル経皮累積浸透量の曲線図を示す。2h前に、当該マイクロニードルの浸透速度は1246.90±404.07μg/cm2に達することができ、その後の時間内に、浸透が緩やかになることが分かる。
(実施例46)
【0061】
カンナビジオールマイクロニードルのラット体内の薬物代謝動態学実験
雄性成人SDラット(重量約250g)を固定し、脱毛クリームを用いてその腹部皮膚を脱毛処理し、得られたマイクロニードルをその皮膚に垂直に刺し、24h投与後にマイクロニードルを取り除いた。投与前及び投与後の所定の時点でラットに尾静脈採血を行い、ヘパリン管に置き、4℃において5000rpmで10min遠心して上層血漿を収集して80℃で保存した。血漿処理した後、含有量テストを行った。
【0062】
図7は実施例39で得られたマイクロニードルのラット体内の薬物代謝動態学実験結果を示す。マイクロニードル投与は3日間の血中薬物濃度を維持することができ、胃内投与群は2日間しか維持することができず、且つ曲線下面積は胃内投与群の12倍であり、本発明の設計したカンナビジオールマイクロニードル剤型はカンナビジオールの生物学的利用度を向上させるだけでなく一定の徐放効果を実現することができ、投与頻度を減らし、患者のコンプライアンスを向上させる。
【0063】
(比較例14)
有機溶媒で溶解されたカンナビジオール一体式マイクロニードルの調製、耐熱性評価及び体外放出評価:
N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)を溶媒とし、10%(w/w)のポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、10%(w/w)のPVP、4%(w/w)のカンナビジオールを含むカンナビジオールの下地溶液を調製し、均一に混合した後に針先射出成形液とした。PDMS金型にマイクロニードル溶液50μLを入れ、5min真空引きし、50℃で3時間加熱した。
耐熱性評価:比較例14で得られたマイクロニードルを密封包装した後に60℃のインキュベーターに10日間置き、且つ10日後に取り出し、光学顕微鏡でマイクロニードルの側面図を観察し、マイクロニードルのトポグラフィーの完全性及び色を観察した。
体外薬物放出の測定:実施例44と同じ操作である。
【0064】
(比較例15~18)
調製方法は比較例14に応じて、ポリ乳酸(PLA)、PVA、PVP及びHPMC材料を用いて配合し、溶解用の有機溶媒はDMA、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及びN-メチルピロリドン(NMP)を用い、加熱プロセスは加熱及び自然乾燥の方式を採用し、最後に体外放出評価を行った。そのうち比較例15~18における各成分及び実験結果を表7に示す。
【0065】
【0066】
有機溶媒で溶解されたカンナビジオール一体式マイクロニードルシステムは、PLGA、PLA、PVA、PVP及びHPMC材料を使用する場合、体外放出が困難で及び高温条件で変色しやすい等の状況が存在し、カンナビジオールを直接有機溶媒で溶解して一体式マイクロニードルを調製することは不適切である。
【0067】
(実施例47)
ナノ化カンナビジオール階層溶解マイクロニードル
以下のステップに従ってナノ化カンナビジオール階層溶解マイクロニードルを調製する:
(1)階層化マイクロニードル基質溶液の調製:
針先液の調製:実施例10におけるカンナビジオールナノ懸濁液1.0g(蛍光物質クマリン6含有)を取り、その中にHA0.14g、PVP0.06g、トレハロース0.01gを順に加える。均一に撹拌して遠心して使用に備えた。
下地液の調製:超純水10.0gを遠心管に秤量し、遠心管に秤量された10.0gのPVAを加え、80℃のオーブンに入れて加熱して膨潤させ、完全に溶解するまで半時間おきに撹拌し、遠心して気泡を除去し、PVA固形分が50%の下地液を得た。
(2)マイクロニードルの調製:液添加ガンはそれぞれ5μLを移しPDMSマイクロニードルに滴下し、5min真空引きした後、室温条件でマイクロニードルの針先を30min自然乾燥させ、続いてそれぞれ50μLの下地液を滴下し、金型に対して10min減圧して真空引きした後、室温条件でマイクロニードルを自然乾燥して離型した。
(3)マイクロニードルのトポグラフィー観察:
図8に示すように、作製した分画マイクロニードルの針先高さを蛍光顕微鏡で観察したところ、約300μmであった。
(4)マイクロニードル溶解性実験:(実施例37のステップに応じて、顕微鏡において階層化針に薬剤担持針先が5min内に載置されると完全に溶解できることを観察した。
(5)体外薬物放出の測定:(実施例44のステップに応じて、積層ニードル放出速度測定を行った。階層針は前30分間内に累積放出率が50%以上に達することができる。
【0068】
(実施例48)
ナノ化カンナビジオールのコーティングマイクロニードル
以下のステップに応じてナノ化カンナビジオールのコーティングマイクロニードルを調製する:
(1)適量のPLGAをマイクロニードル一体式マトリックス金型に置き、金型の下方を真空引きし、且つ金型を高温加熱し、加熱温度は190℃であり、加熱時間は5分間であり、高分子材料を押圧して平坦化し、冷却して離型した後にポリ乳酸一体式マイクロニードルベースを得た。
(2)薬液:(実施例10におけるカンナビジオールナノ懸濁液1.0gを取り、内に順次PVP0.1g、50%(w/w)PVA溶液0.1g、0.02gトレハロースを加える。均一に撹拌して遠心して使用に備えた。
(3)上記調製した薬液を高さ300μmの薬物負荷プールに入れた。PLGAが搭載されたマイクロニードルベースを取り、針先を下向きに薬物負荷プールに落として薬液浸漬を行った後、マイクロニードルを3min静置してコート層を乾燥させた。当該ディップの乾燥工程を4回繰り返した。最終的にナノ化カンナビジオールを担持するコーティングマイクロニードルを得た。
(4)マイクロニードル溶解性実験:実施例37のステップに応じて、顕微鏡内から観察したところ、コーティングニードルの薬剤担持針先が30min載置されるとほぼ完全に溶解できることを観察した。
(5)体外薬物放出の測定:実施例44のステップに応じて、コーティングニードルの放出速度の測定を行った。コーティングニードルは前の8時間内に累積放出率が50%以上に達することができる。
【0069】
本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するために例示するものに過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではなく、当業者にとって、上記説明に加えて、他の異なる形態の変化又は変動を行ってもよく、ここで、全ての実施形態を網羅することはできず、本発明の技術的解決手段による明らかな変化又は変動は、本発明の保護範囲内に含まれる。