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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025018912
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20250130BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20250130BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 D
H01F27/29 123
H01F27/29 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069129
(22)【出願日】2024-04-22
(31)【優先権主張番号】10-2023-0097947
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン フワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スーン クワン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB07
5E070BB03
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部電極とコイルとの間の間隔を広げSRFを増加させるコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品は、少なくとも1つのターンを有するコイルパターン及び引き出し部331と、コイル引き出し部と連結される外部電極と、を含み、コイルパターンの中心を通る中心線CLを基準として、引き出し部が配置される第1領域R1及び引き出し部が配置されない第2領域R2に区分され、第2領域R2の最外側ターンは、四分円の円弧形状を有する複数のコーナー部331c及び複数のコーナー部331cを連結する直線状の第1連結部311aを含み、第1連結部311aの長さは、コーナー部331cのそれぞれの長さよりも短い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に互いに向かい合う第1面と第2面、及び前記第1方向に垂直な第2方向に互いに向かい合う第3面と第4面を含む本体と、
前記本体内に配置され、少なくとも1つのターンを有するコイルパターン及び前記コイルパターンの外側端部から前記第1面または第2面に延びる引き出し部を含むコイルと、
前記本体上に配置されて前記コイルと連結される外部電極と、を含み、
前記コイルパターンの巻軸に垂直な断面上で、前記コイルパターンは、前記第1方向に垂直であり、前記コイルパターンの中心を通る中心線を基準として、前記引き出し部が配置される第1領域、及び前記引き出し部が配置されない第2領域に区分され、
前記第2領域の最外側ターンは、四分円の円弧形状を有する複数のコーナー部、及び前記複数のコーナー部を連結する直線状の第1連結部を含み、前記第1連結部の長さは、前記複数のコーナー部のそれぞれの長さよりも短い、コイル部品。
【請求項2】
前記第1連結部は、前記第2方向に配置され、前記第1連結部と隣接する本体面と並んでいる、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第2領域の最外側ターンは、前記第1方向に配置され、前記本体の第3面または第4面と並んでいる第2連結部をさらに含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1連結部と前記コーナー部との間の境界を延長した仮想の線と、前記第2連結部と前記コーナー部との間の境界を延長した仮想の線が成す角度は、80度以上100度以下である、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記コーナー部は、前記第1連結部及び前記第2連結部の間を連結する、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記コイルパターンの巻軸に垂直な断面は、
前記第1方向に平行に前記本体の中心を通る第1軸と、前記第2方向に平行に前記本体の中心を通る第2軸が形成する四分面に区分され、
前記コーナー部は、前記四分面のいずれか一つに配置される、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1連結部は前記第1軸を通る、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第2連結部は前記第2軸を通る、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1連結部は曲率が0である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記コーナー部は曲率が0よりも大きい、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第2連結部は曲率が0である、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記コーナー部は、1/4ターンよりも少ないターンを形成する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1連結部は、前記コイルパターンの中心に向かう内側面、及び前記内側面と向かい合う外側面を含み、
前記内側面及び前記外側面のそれぞれの曲率が0である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記コーナー部は、前記コイルパターンの中心に向かう内側面、及び前記内側面と向かい合う外側面を含み、
前記内側面及び前記外側面の少なくとも一つの曲率が0よりも大きい、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記第2連結部は、前記コイルパターンの中心に向かう内側面、及び前記内側面と向かい合う外側面を含み、
前記内側面及び外側面のそれぞれの曲率が0である、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記コイルパターンは複数のターンを有し、ターンごとに前記第1連結部を含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項17】
前記本体内に配置される支持部材をさらに含み、
前記コイルは前記支持部材に配置される、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項18】
前記支持部材は、互いに向かい合う一面と他面を含み、
前記コイルは、
前記支持部材の一面に配置された第1コイルパターン、前記第1コイルパターンから前記第1面に延びる第1引き出し部、前記支持部材の他面に配置された第2コイルパターン、前記第2コイルパターンから前記第2面に延びる第2引き出し部、及び前記第1コイルパターンと前記第2コイルパターンの内側端部を連結するビアを含む、請求項17に記載のコイル部品。
【請求項19】
前記第1コイルパターン及び前記第2コイルパターンのそれぞれは、前記コーナー部及び前記第1連結部を含む、請求項18に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル部品の1つであるインダクタ(inductor)は、抵抗(resistor)及びキャパシタ(capacitor)と一緒に電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。
【0003】
電子機器が徐々に高性能化、小型化するにつれて、電子機器に用いられる電子部品もその数が増加して小型化している。
【0004】
小型化されたコイル部品は、外部電極とコイルとの間の寄生キャパシタンス(Parasitic capacitance、C)が形成されるにつれて、SRF(Self-Resonant Frequency)が減少するという問題が発生する可能性があるが、SRF増加のために外部電極とコイルとの間の間隔を広げる場合、中心コア面積が減少して飽和電流(Isat)特性が低下する可能性がある。
【0005】
したがって、外部電極とコイルとの間の間隔が広がりながらも、中心コア面積は維持されるコイル構造に対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-076700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態による目的の1つは、外部電極とコイルとの間の間隔を広げることでSRF(Self-Resonant Frequency)を増加させることである。
【0008】
本発明の実施形態による目的のもう1つは、外部電極とコイルとの間の間隔を広げながらも、中心コアの面積は維持されるか、または最小限に減少するようにすることで飽和電流(Isat)特性の低下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、第1方向に互いに向かい合う第1面と第2面、及び上記第1方向に垂直な第2方向に互いに向かい合う第3面と第4面を含む本体、上記本体内に配置され、少なくとも1つのターンを有するコイルパターン、及び上記コイルパターンの外側端部から上記第1面または第2面に延びる引き出し部を含むコイル、及び上記本体上に配置されて上記コイルと連結される外部電極を含み、上記コイルパターンの巻軸に垂直な断面上で、上記コイルパターンは、上記第1方向に垂直であり、上記コイルパターンの中心を通る中心線を基準として、上記引き出し部が配置される第1領域及び上記引き出し部が配置されない第2領域に区分され、上記第2領域の最外側ターンは、四分円の円弧形状を有する複数のコーナー部、及び上記複数のコーナー部を連結する直線状の第1連結部を含み、上記第1連結部の長さは、上記コーナー部のそれぞれの長さよりも短いコイル部品が提供されることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によると、外部電極とコイルとの間の間隔が広がるにつれて、コイル部品のSRF(Self-Resonant Frequency)が増加することができる。
【0011】
本発明の他の側面によると、SRFが増加しながらも、コイルの中心コアの面積は維持されるか、または最小限に減少して、コイル部品の飽和電流(Isat)特性の低下が最小化され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施例によるコイル部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1の平面図及び部分拡大図である。
図3図1の平面図に、コーナー部及び第1連結部間の境界の延長線とコーナー部及び第2連結部間の境界の延長線との間の内角、及び四分面領域を示した図面である。
図4図1のI-I'線に沿った断面を示した図面である。
図5図1のII-II'線に沿った断面を示した図面である。
図6】本発明の第2実施例によるコイル部品の平面図であり、図2に対応する図面である。
図7】本発明の第3実施例によるコイル部品のL-T断面を示したものであり、図4に対応する図面である。
図8】本発明の第3実施例によるコイル部品のW-T断面を示したものであり、図5に対応する図面である。
図9】本発明の第1実施例によるコイル部品のSRF特性グラフである。
図10】第1連結部を含まない第1比較例によるコイル部品の平面図であり、図2に対応する図面である。
図11】本発明の第1比較例によるコイル部品のSRF特性グラフである。
図12】第1連結部を含まない第2比較例によるコイル部品の平面図であり、図10に対応する図面である。
図13】本発明の第2比較例によるコイル部品のSRF特性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願で用いられた用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解する必要がある。そして、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0014】
なお、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素間に介在して、他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念で用いる。
【0015】
図面に示される各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意に示したものであり、本発明が必ずしも示されたものに限定されない。
【0016】
図面において、L方向は第1方向または長さ方向、W方向は第2方向または幅方向、T方向は第3方向または厚さ方向と定義することができる。
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るコイル部品を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明することにおいて、同一又は対応する構成要素には同一の図面番号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。
【0018】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去等を目的に様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。
【0019】
すなわち、電子機器においてコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビード(General Bead)、高周波用ビード(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などに用いられることができる。
【0020】
第1実施例
図1は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1の平面図及び部分拡大図であり、図3は、図1の平面図に、コーナー部及び第1連結部間の境界の延長線とコーナー部及び第2連結部間の境界の延長線との間の内角、及び四分面領域を示した図面であり、図4は、図1のI-I'線に沿った断面を示した図面であり、図5は、図1のII-II'線に沿った断面を示した図面である。
【0021】
一方、構成要素間の結合をより明確に示すために本実施例に適用され得る本体100上の絶縁層は省略して示した。また、図2及び図3には外部電極400、500を省略して示した。
【0022】
図1図5を参照すると、本発明の第1実施例によるコイル部品1000は、本体100、支持部材200、コイル300、及び外部電極400、500を含むことができる。
【0023】
本実施形態に係るコイル部品1000は、コイルパターン311、312のうち引き出し部331、332と反対側に配置される領域に直線状の第1連結部311a、312aが含まれ得る。
【0024】
第1連結部311a、312aは、四分円の円弧形状を有する複数のコーナー部311c、312cを互いに連結し、第2方向Wに配置されて、隣接する本体面101、102と一定の間隔d1で離隔することができる。
【0025】
本実施形態に係るコイル部品は、コイルパターン311、312に直線状の第1連結部311a、312aを含むことにより、この部分が曲線状の場合に比べて本体100上に配置される外部電極400、500との離隔間隔d1が広がることができ、その結果、コイルパターン311、312と外部電極400、500との間の寄生キャパシタンス(Parasitic capacitance、Cp)が減少し、SRF(Self-Resonant Frequency)は増加することがある。
【0026】
また、本実施形態に係るコイル部品は、コイルパターン311、312に直線状の第1連結部311a、312aを含むことにより、この部分が曲線状の場合に比べてコイルパターン311、312の中心に配置されるコア110の面積の減少が最小化できるため、飽和電流(Isat)特性の低下を防止することができる。
【0027】
以下、本実施形態に係るコイル部品1000を構成する主要構成要素を詳細に説明する。
【0028】
本体100は、本実施形態に係るコイル部品1000の外観をなし、内部に支持部材200及びコイル300を埋設する。
【0029】
本体100は、全体的に六面体状に形成されることができる。
【0030】
本体100は、長さ方向L(第1方向)に互いに向かい合う第1面101と第2面102、幅方向W(第2方向)に互いに向かい合う第3面103と第4面104、厚さ方向T(第3方向)に互いに向かい合う第5面105と第6面106を含む。本体100の第1から第4面101、102、103、104のそれぞれは、本体100の第5面105と第6面106を連結する本体100の壁面に該当する。
【0031】
本体100は、例示的に、後述する外部電極400、500が形成された本実施形態によるコイル部品1000が、2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び0.8mmの厚さを有するか、2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.6mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅、0.6mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅、0.4mmの厚さを有するか、1.4mmの長さ、1.2mmの幅、0.65mmの厚さを有するか、1.0mmの長さ、0.7mmの幅、0.65mmの厚さを有するか、0.8mmの長さ、0.4mmの幅、0.65mmの厚さを有するか、0.8mmの長さ、0.4mmの幅、0.5mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されない。一方、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さに対する上述した例示的な数値は、工程誤差を反映していない数値をいうため、工程誤差と認められ得る範囲の数値は上述した例示的な数値に該当すると見なければならない。
【0032】
上述したコイル部品1000の長さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の長さ方向Lに向かい合う2つの最外側境界線を長さ方向Lと平行に連結し、厚さ方向Tで互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、長さ方向Lと平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0033】
上述したコイル部品1000の厚さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージ又はSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の厚さ方向Tに向かい合う2つの最外側境界線を厚さ方向Tと平行に連結し、長さ方向Lで互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、厚さ方向Tと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0034】
上述したコイル部品1000の幅とは、コイル部品1000の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の幅方向Wに向かい合う2つの最外側境界線を幅方向Wと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、幅方向Wと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0035】
または、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定されることもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ(tip)間に本実施形態に係るコイル部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法でコイル部品1000の長さを測定することにおいて、コイル部品1000の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。これは、コイル部品1000の幅及び厚さにも同様に適用されることができる。
【0036】
本体100は、磁性物質と樹脂を含むことができる。具体的には、本体100は、磁性物質が樹脂に分散した磁性複合シートを1つ以上積層して形成されることができる。但し、本体100は、磁性物質が樹脂に分散した構造以外に他の構造を有することもできる。例えば、本体100は、フェライトなどの磁性物質からなることもでき、非磁性体からなることもできる。
【0037】
磁性物質はフェライトまたは金属磁性粉末であり得る。
【0038】
フェライトは、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系等のスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系等の六方晶型フェライト類、Y系等のガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも一つ以上であることができる。
【0039】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか1つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも1種以上であることができる。
【0040】
金属磁性粉末は非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0041】
フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであり得るが、これらに制限されない。
【0042】
本体100は、樹脂に分散した2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類とは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれか一つで互いに区別されることを意味する。
【0043】
樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これらに限定されない。
【0044】
本体100は、支持部材200及びコイル300を貫通するコア110を有する。コア110は、磁性複合シートが支持部材200の貫通孔を充填することで形成されることができるが、これに制限されない。
【0045】
支持部材200は本体100内に配置されることができる。支持部材200は、コイル300を支持する構成である。一方、コイル300が巻線型コイルに該当するか、コアレス(coreless)構造を有する場合など、実施形態によっては支持部材200が除外される場合もある。
【0046】
支持部材200は、エポキシ樹脂などの熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性絶縁樹脂または感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された絶縁資材で形成されることができる。例えば、支持部材200は、プリプレグ(Prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)、銅箔積層板(Copper Clad Laminate、CCL)などの資材で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0047】
無機フィラーとしては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO)、チタン酸バリウム(BaTiO)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO)からなる群から選択される少なくとも1つ以上が用いられることができる。
【0048】
支持部材200が補強材を含む絶縁資材で形成される場合、支持部材200はより優れた剛性を提供することができる。支持部材200がガラス繊維を含まない絶縁資材で形成される場合、支持部材200とコイル300の全体の厚さ(図1の厚さ方向Tに沿ったコイル300と支持部材200のそれぞれの数値(dimension)の合計を意味する)を薄型化して部品の厚さを減少させるのに有利である。支持部材200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成される場合、コイル300を形成するための工程数が減って、生産費の節減に有利であり、微細なビア320を形成することができる。支持部材200の厚さは、例えば、10μm以上50μm以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
コイル300は支持部材200に配置される。コイル300は本体100に埋め込まれて、コイル部品の特性を発現する。例えば、本実施形態のコイル部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、コイル300は電場を磁場に蓄えて出力電圧を維持することで電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0050】
コイル300は、支持部材200の互いに向かい合う両面の少なくとも一つに形成され、少なくとも一つのターン(turn)を形成する。本実施形態の場合、コイル300は、コイルパターン311、312、ビア320、及び引き出し部331、332を含むことができる。
【0051】
図1図5を参照すると、第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312のそれぞれは、支持部材200の互いに向かい合う両面に配置されて、本体100のコア110を軸に少なくとも1つのターン(turn)を形成した平面らせんの形態であり得る。例えば、図1の方向に基づいて、第1コイルパターン311は支持部材200の上面に配置されて、コア110を軸に少なくとも1つのターン(turn)を形成する。第2コイルパターン312は、支持部材200の下面に配置されて、コア110を軸に少なくとも1つのターン(turn)を形成する。第1及び第2コイルパターン311、312のそれぞれは、引き出し部331、332と連結される最外側ターン(turn)の端部が本体100の第1面101及び第2面102の方向にそれぞれ延びた形態で形成される。
【0052】
図2を参照すると、コイルパターン311、312の巻軸に垂直なL-W断面上で、コイルパターン311、312は、第1方向Lに垂直であり、コイルパターン311、312の中心を通る中心線CLを基準に、引き出し部331、332が配置される第1領域R1、及び引き出し部331、332が配置されない第2領域R2に区分することができる。
【0053】
以下では、第1コイルパターン311及び第2外部電極500を基準に説明し、第2コイルパターン312及び第1外部電極400も同様に説明することができる。
【0054】
図2の第1コイルパターン311を基準に説明すると、第1コイルパターン311のうち第2領域R2に該当する部分の最外側ターンは四分円の円弧形状を有する複数のコーナー部311c、及び複数のコーナー部311c間を連結する直線状の第1連結部311aを含むことができる。
【0055】
図1及び図2を参照すると、第1連結部311aは第2方向Wに配置されることができ、第1連結部311aに隣接する本体100の第2面102に平行に配置されることができる。
【0056】
ここで、本体100の第2面102は、第2外部電極500が配置される面に該当するため、第1コイルパターン311に直線状の第1連結部311aが含まれることにより、第2外部電極500との間隔d1を確保することができる。
【0057】
図1図3を参照すると、第1コイルパターン311のうち第2領域R2に該当する部分の最外側ターンは第1方向Lに配置され、本体100の第3面103または第4面104と並んだ第2連結部311bをさらに含むことができる。
【0058】
第1連結部311a及び/又は第2連結部312aは、曲率が0である直線形態を有してもよい。
【0059】
また、第1連結部311a及び/又は第2連結部312aは、第1コイルパターン311の中心に向かう内側面、及び内側面と向かい合う外側面を含み、内側面及び外側面のそれぞれ曲率は0で形成されることができる。
【0060】
ここで曲率が0とは、完全な直線形態に限定されるものではなく、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで0に近い曲率を有するという意味である。
【0061】
第2連結部311bは、曲率が0である直線形態を有することができる。ここで曲率が0とは、完全な直線形態に限定されるものではなく、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで0に近い曲率を有するという意味である。
【0062】
図3を参照すると、第1連結部311aとコーナー部311cとの間の境界を延長した仮想の線と、第2連結部311bとコーナー部311cとの間の境界を延長した仮想の線が成す角度θは、80度以上100度以下であり得る。
【0063】
ここで、第1連結部311aとコーナー部311cとの間の境界を延長した仮想の線と、第2連結部311bとコーナー部311cとの間の境界を延長した仮想の線は理想的に直角を成すことができるが、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差などを考慮して±10度の誤差が許容され得る。
【0064】
図1図3を参照すると、コーナー部311cは、第1連結部311a及び第2連結部311b間を連結する構成である。すなわち、コーナー部311cの一端部は第1連結部311aと連結され、コーナー部311cの他端部は第2連結部311bと連結され得る。
【0065】
コーナー部311cは、曲率が0よりも大きい曲線形態を有し、1/4ターンよりも少ないターンを形成することができる。
【0066】
また、コーナー部311cは、第1コイルパターン311の中心に向かう内側面、及び内側面と向かい合う外側面を含み、内側面及び外側面の少なくとも一つの曲率が0よりも大きく形成されることができる。
【0067】
図3を参照すると、第1コイルパターン311の巻軸に垂直な断面は、第1方向Lに平行に本体100の中心を通る第1軸CL1と、第2方向Wに平行に本体100の中心を通る第2軸CL2が形成する四分面に区分され、コーナー部311cは四分面のいずれか一つに配置されることができる。
【0068】
また、第1連結部311aは第1軸CL1を通過するように配置されることができ、第2連結部311bは第2軸CL2を通過するように配置されることができる。
【0069】
一方、説明の便宜上、図1図3等において、第1連結部311a、コーナー部311c、及び第2連結部311b間の仮想の境界線を表示してハッチングを異ならせたが、第1連結部311a、コーナー部311c、及び第2連結部311bは、一体化された1つの第1コイルパターン311の各領域に該当することができる。
【0070】
また、第1連結部311a、コーナー部311c、及び第2連結部311bとの間の境界は、内側面と外側面のそれぞれにおいて曲率が変わる地点同士が連結した仮想の線と定義されることができる。
【0071】
また、第1コイルパターン311の最外側ターンを基準として第1連結部311a、コーナー部311c、及び第2連結部311bの特徴を説明したが、これに制限されるものではなく、図1図3のように、コイルパターン311、312の複数のターンのそれぞれに、第1連結部311a、312a、コーナー部311c、312c、及び第2連結部311b、312bが含まれ得る。
【0072】
図2を参照すると、第1連結部311aの長さSW1は、コーナー部311cのそれぞれの長さC1よりも短く形成されることができる。
【0073】
直線状の第1連結部311aが曲線状のコーナー部311cよりも短く形成されることによって、直線状の第1連結部311aが曲線状のコーナー部311cよりも長い形態である場合に比べて、第1コイルパターン311に電流が流れる場合、コーナー部311cの周囲に磁束が集中することを防止することができる。
【0074】
ここで、第1連結部311aの長さSW1とは、例えば、コイル部品1000の第1コイルパターン311の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示された第1コイルパターン311の最外側ターンにおいて第1連結部311aの両端境界を幅方向Wに連結し、互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、複数の線分は互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0075】
なお、コーナー部311cの長さC1とは、例えば、コイル部品1000の第1コイルパターン311の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示された第1コイルパターン311の最外側ターンにおいてコーナー部311cの両端境界の間で、線幅の中心に沿って連結した線の数値(dimension)は、Image Jプログラムツールを用いて算出した値であり得るが、これに制限されない。
【0076】
図1図4を参照すると、引き出し部331、332は、コイルパターン311、312から本体100の第1面101または第2面102に延びることができる。具体的には、第1引き出し部331は、第1コイルパターン311の外側端部と連結されて本体100の第1面101に延びて第1外部電極400と連結されることができる。また、第2引き出し部332は、第2コイルパターン312の外側端部と連結されて本体100の第2面102に延びて第2外部電極500と連結されることができる。
【0077】
図5を参照すると、コイル300は、第1コイルパターン311と第2コイルパターン312を連結するビア320をさらに含むことができる。具体的には、ビア320は、支持部材200を貫通して第1及び第2コイルパターン311、312のそれぞれの最内側ターン(turn)の内側端部を互いに連結することができる。したがって、第1外部電極400に入力される信号は、第1引き出し部331、第1コイルパターン311、ビア320、第2コイルパターン312、及び第2引き出し部332を経て第2外部電極500に出力されることができる。このような構成により、コイル300の各構成は、全体的に、第1及び第2外部電極400、500の間で連結された1つのコイルとして機能することができる。
【0078】
コイルパターン311、312、ビア320、及び引き出し部331、332の少なくとも1つは、少なくとも1つ以上の導電層を含むことができる。
【0079】
例として、第1コイルパターン311、ビア320、及び第1引き出し部331を支持部材200の上面(図1の方向基準)にめっきで形成する場合、第1コイルパターン311、ビア320、及び第1引き出し部331のそれぞれは、シード層と電解めっき層を含むことができる。シード層は、無電解めっき法またはスパッタリングなどの気相蒸着法で形成されることができる。シード層及び電解めっき層のそれぞれは、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造の電解めっき層は、いずれか一つの電解めっき層を他方の電解めっき層が覆うコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されることもでき、いずれか一つの電解めっき層の一面にのみ他方の電解めっき層が積層された形状で形成されることもできる。第1コイルパターン311のシード層、ビア320のシード層、及び第1引き出し部331のシード層は一体に形成され、相互間に境界が形成されないことがあるが、これに制限されるものではない。第1コイルパターン311の電解めっき層、ビア320の電解めっき層及び第1引き出し部331の電解めっき層は一体に形成されて、相互間に境界が形成されないことがあるが、これに制限されるものではない。
【0080】
コイルパターン311、312、ビア320、及び引き出し部331、332のそれぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)またはこれらの合金などの導電性物質を含むことができるが、これらに限定されない。
【0081】
外部電極400、500は、本体100の第1面101及び第2面102にそれぞれ配置されて、第1及び第2引き出し部331、332とそれぞれ連結されることができる。具体的には、第1外部電極400は、本体100の第1面101に配置されて、第1引き出し部331と接触連結されることができる。また、第2外部電極500は、本体100の第2面102に配置されて、第2引き出し部332と接触連結されることができる。
【0082】
外部電極400、500は、本実施形態に係るコイル部品1000がプリント回路基板等に実装されるとき、コイル部品1000をプリント回路基板等と電気的に連結させる。例として、本体100の第1面101及び第2面102に互いに離隔して配置された外部電極400、500とプリント回路基板の接続部が電気的に連結されることができる。
【0083】
外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されない。
【0084】
外部電極400、500のそれぞれは、複数の層で形成されることができる。例として、第1外部電極400は、第1引き出し部331と接する第1層、第1層に配置された第2層を含むことができる。ここで、第1層は、銅(Cu)及び銀(Ag)の少なくとも一つを含む導電性粉末と絶縁樹脂を含む導電性樹脂層であっても、または銅(Cu)めっき層であってもよい。第2層は、ニッケル(Ni)めっき層/スズ(Sn)めっき層の2重層構造であってもよい。
【0085】
図4及び図5を参照すると、絶縁膜IFは、コイル300を覆うようにコイル300と本体100との間に配置される。絶縁膜IFは、支持部材200及びコイル300の表面に沿って形成されることができる。絶縁膜IFは、コイル300を本体100から絶縁させるためのものであり、パラリンなどの公知の絶縁物質を含むことができるが、これに制限されるものではない。絶縁膜IFは気相蒸着などの方法で形成されることができるが、これに制限されるものではなく、絶縁フィルムを支持部材200の両面に積層することにより形成されることもできる。
【0086】
一方、本実施形態に係るコイル部品1000は、本体100の第3面から第6面103、104、105、106を覆うが、外部電極400、500が配置された領域を除いた領域に配置される絶縁層をさらに含むことができる。
【0087】
絶縁層は、例えば、絶縁樹脂を含む絶縁資材を本体100の表面に塗布及び硬化して形成されたものであってもよい。この場合、絶縁層は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系等の熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂及び感光性絶縁樹脂の少なくとも一つを含むことができる。
【0088】
第2実施例
図6は、本発明の第2実施例によるコイル部品2000の平面図であり、図2に対応する図面である。
【0089】
図6図2と比較すると、本実施形態に係るコイル部品2000の第1連結部311aの長さSW2、コーナー部311cの長さC2、及び本体100の第2面102と第1連結部311aとの間の離隔間隔d2が第1実施例とは異なる。
【0090】
したがって、本実施形態を説明することにおいて、本発明の第1実施例とは異なる第1連結部311aの長さSW2、コーナー部311cの長さC2、及び本体100の第2面102と第1連結部311aとの間の離隔間隔d2についてのみ説明するが、本実施形態の残りの構成については、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0091】
図6を参照すると、本実施形態に係るコイル部品2000の第1連結部311aの長さSW2は、第1実施例の第1連結部311aの長さSW1よりも長く形成されることができる。
【0092】
また、本実施形態に係るコイル部品2000のコーナー部311cの長さC2は、第1実施例のコーナー部311cの長さC1よりも短く形成されることができる。
【0093】
但し、第1実施例と同様に、第1連結部311aの長さSW2は、コーナー部311cの長さC2よりも短く形成されることができる。
【0094】
本実施形態に係るコイル部品2000の場合、第1実施例と比較して、第2外部電極500が配置される本体100の第2面102とコイルパターン311との間の間隔d2が増加して、寄生キャパシタンス(Parasitic capacitance、Cp)の減少及びSRF(Self-Resonant Frequency)の増加効果がさらに大きくなり得る。
【0095】
同時に、直線状の第1連結部311aの長さSW2が増加し、コーナー部311cの長さC2は減少され、第2連結部311bの長さSL1は維持されるにつれて、本体100の第2面102と第1コイルパターン311との間の離隔間隔d2の増加による中心コア面積の減少を相殺させることができる。
【0096】
結果的に、本実施形態に係るコイル部品2000は、SRF(Self-Resonant Frequency)が増加しながらも飽和電流(Isat)特性は維持されることができる。
【0097】
第3実施例
図7は、本発明の第3実施例によるコイル部品3000のL-T断面を概略的に示したものであり、図4に対応する図面であり、図8は、本発明の第3実施例によるコイル部品3000のW-T断面を概略的に示したものであり、図5に対応する図面である。
【0098】
図7、8を図4、5とそれぞれ比較すると、第1コイルパターン311と第2コイルパターン312との間に支持部材200の配置有無、及び第1コイルパターン311と第2コイルパターン312との間の間隔が異なる。
【0099】
したがって、本実施形態を説明することにおいて、本発明の第1実施例とは異なる第1コイルパターン311と第2コイルパターン312との間に支持部材200の配置有無、及び第1コイルパターン311と第2コイルパターン312との間の間隔についてのみ説明し、本実施形態の残りの構成については、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0100】
図7及び図8を参照すると、コイル300は絶縁膜IFによって一体に覆われると同時に支持されることができる。本実施形態は、支持部材200が省略されるコアレス(coreless)構造に該当するが、支持部材200にコイル300を配置した後、支持部材200を完全に除去した後、絶縁膜IFを形成することで実現されることができる。
【0101】
図8を参照すると、第1コイルパターン311と第2コイルパターン312は、絶縁膜IFを貫通するビア320によって互いに連結されることができる。
【0102】
本実施形態において、絶縁膜IFは、パラリン(parylene)またはポリイミド(polyimide)などを含むことができ、気相蒸着またはフィルム積層などの方法で形成されることができるが、これに制限されない。
【0103】
絶縁膜IFは支持部材200よりも薄く形成されることができるため、本実施形態に係るコイル部品3000は、第1実施例と比較して支持部材200が占めていた空間だけ第1コイルパターン311と第2コイルパターン312との間の間隔を狭くすることができ、これにより、限られたサイズの本体100内で磁性物質が充填される空間が確保されて有効体積が増加することができる。
【0104】
結果的に、本実施形態に係るコイル部品3000は、有効体積の増加に応じてインダクタンス特性が向上することができる。
【0105】
SRF改善効果の比較
図9は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000のSRF特性グラフである。図10は、第1連結部311aを含まない第1比較例によるコイル部品10の平面図であり、図2に対応する図面である。図11は、本発明の第1比較例によるコイル部品10のSRF特性グラフである。図12は、第1連結部311aを含まない第2比較例によるコイル部品20の平面図であり、図10に対応する図面である。図13は、本発明の第2比較例によるコイル部品20のSRF特性グラフである。
【0106】
まず、図9は、第1実施例によるコイル部品1000に印加される周波数の変化によるインダクタンス変化を示したグラフに該当し、実験に用いられたサンプルは、1.4mmの長さ、1.2mmの幅、0.65mmの厚さを有するコイル部品1000である。
【0107】
当該サンプルにおいて、外部電極500と第1コイルパターン311との間の離隔間隔d1は120μmであり、第1コイルパターン311と本体100の第3面103との間の離隔間隔は70μmであり、中心コアの面積は0.3054mmである。
【0108】
図9を参照すると、本発明の第1実施例によるコイル部品1000は、周波数が157.530MHzのとき、インダクタンスがほぼ0となってSRFは157.530MHzと測定された。
【0109】
図10を参照すると、第1比較例によるコイル部品10は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と比較するとき、直線状の第1連結部311aを含まず、これにより、第1コイルパターン311と本体100の第2面102との間の間隔d0が第1実施例に比べて狭い。
【0110】
実験に用いられたサンプルは、1.4mmの長さ、1.2mmの幅、0.65mmの厚さを有するコイル部品10であり、当該サンプルにおける外部電極500と第1コイルパターン311との間の離隔間隔d0は80μmであり、第1コイルパターン311と本体100の第3面103との間の離隔間隔は70μmであり、中心コアの面積は0.2961mmである。
【0111】
図11を参照すると、第1比較例によるコイル部品10は、周波数が141.970MHzのとき、インダクタンスが0となってSRFは141.970MHzと測定された。
【0112】
上記結果のように、本発明の第1実施例によるコイル部品1000の場合、直線状の第1連結部311aによって第2外部電極500が配置される本体100の第2面102との間の間隔d1が広くなることで、寄生キャパシタンスが減少してSRFが10.96%増加することが確認できた。
【0113】
次に、図12を参照すると、第2比較例によるコイル部品20は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と比較するとき、直線状の第1連結部311aを含まないが、第1コイルパターン311と本体100の第2面102との間の間隔d1は、第1実施例と同一に形成される。
【0114】
実験に用いられたサンプルは、1.4mmの長さ、1.2mmの幅、0.65mmの厚さを有するコイル部品20であり、当該サンプルにおいて外部電極500と第1コイルパターン311との間の離隔間隔d1は第1実施例と同様に120μmであり、第1コイルパターン311と本体100の第3面103との間の離隔間隔は70μmであり、中心コアの面積は0.2536mmである。
【0115】
ここで、中心コア面積を検討すると、第2比較例によるコイル部品20も直線状の第1連結部311aを含まないため、第1コイルパターン311と本体100の第2面102との間の間隔d1が本発明の第1実施例によるコイル部品1000と同一である場合、中心コア面積が小さいことが分かる。これにより、飽和電流(Isat)特性が低下する可能性がある。
【0116】
本発明の第1実施例によるコイル部品1000は、Isat値が4.0Aであるのに対し、第2比較例によるコイル部品20の場合、Isat値は3.7625Aと測定され、これは中心コア面積の減少による副効果と推定することができる。
【0117】
図13を参照すると、第2比較例によるコイル部品20は、周波数が155.070MHzであるとき、インダクタンスが0となってSRFは155.070MHzと測定された。
【0118】
上記結果のように、本発明の第1実施例によるコイル部品1000の場合、直線状の第1連結部311aがない第2比較例によるコイル部品20と比較するとき、第1コイルパターン311と本体100の第2面102との間の離隔間隔d1は類似であり、SRFは1.59%増加した。
【0119】
特に、本発明の第1実施例によるコイル部品1000は、直線状の第1連結部311aによって中心コアの面積が広がるため、第2比較例によるコイル部品20に比べて飽和電流(Isat)が6.31%増加した。
【0120】
総合すると、本発明の第1実施例によるコイル部品1000の場合、第1比較例及び第2比較例に対比してSRF特性が向上しながらも飽和電流(Isat)特性が低下しない効果を確認することができた。
【0121】
以上、本発明の一実施例について説明したが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の追加、変更又は削除等により本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
100 本体
110 コア
200 支持部材
300 コイル
311 第1コイルパターン、312 第2コイルパターン
311a、312a 第1連結部
311b、312b 第2連結部
311c、312c コーナー部
320 ビア
331 第1引き出し部、332 第2引き出し部
400、500 外部電極
IF 絶縁膜
CL 中心線
CL1 第1軸、CL2 第2軸
θ コーナー部及び第1連結部間の境界の延長線とコーナー部及び第2連結部間の境界の延長線との間の内角
R1 第1領域、R2 第2領域
d0、d1、d2 L方向の間隔
C1、C2 コーナー部の長さ
SW1、SW2 第1連結部の長さ
SL1、SL2 第2連結部の長さ
1000、2000、3000 コイル部品
10、20 比較例
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13